JP6482134B2 - 固定機構 - Google Patents
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Description
車椅子は、例えば室内を走行する場合は小回りを容易にするために前後長が短い方が好ましい。つまり、前輪と後輪の接地点の前後の距離であるホイルベースが短い方が小回りが容易になる。また、搭乗者の乗り降り利便性の観点から、前輪は搭乗者の足置きであるフットレストより後ろ側に位置することが望ましい。
本実施の形態はこのような認識を踏まえて創出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態、変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
車椅子100は、後輪102と、前輪80と、車体104と、固定機構10と、シート(不図示)と、背もたれ(不図示)と、フットレスト122と、を主に含む。車体104は、左右一対のフレーム106を含んで構成される。フレーム106は、バックフレーム112と、アームレストフレーム114と、シートフレーム116と、フロントフレーム118と、支柱12と、アンダーフレーム120と、を主に含む。バックフレーム112と、アームレストフレーム114と、シートフレーム116と、フロントフレーム118と、支柱12と、アンダーフレーム120と、は金属製や樹脂製のパイプ材から形成される。バックフレーム112は、車体104の後方にて上下に延びる部分112dと、部分112dの上端から後方に延びるグリップ112fと、を含む。グリップ112fと部分112dとは略四分円弧状にカーブする部分を挟んで一体に形成される。
図3は、腕構造20が第1の位置にあるときの固定機構10を示す斜視図である。図4は、腕構造20が第2の位置にあるときの固定機構10を示す側面図である。固定機構10は車椅子100の前輪80を固定する機構である。固定機構10は、支柱12と、腕構造20と、を主に備える。支柱12は、フレーム106の一部をなし、前述したようにフロントフレーム118の外側に上下に延在する。支柱12には後述するヒンジ機構50が設けられる。固定機構10の腕構造20は支柱12を中心に回動可能に設けられる。特に、腕構造20は、ヒンジ機構50を介して回動可能にフレーム106に支持される。ここで第1の位置とは、腕構造20が支柱12をから視て後向きに回動した位置をいう(図1、図3を参照)。また、第2の位置とは、腕構造20が支柱12から視て前向きに回動した位置をいう(図2、図4を参照)。第2の位置は腕構造20が第1の位置から180度回動した位置であってもよい。
腕構造20は前輪80と一体に回動可能に支持される機構である。腕構造20は、ヒンジ機構50に支持され、支柱12を中心に回動可能に設けられる。腕構造20の回動する部分は上面視で支柱12の回りを半円弧状に回動する。特に、腕構造20は、支柱12を中心に後向きの位置である第1の位置から180度回動した前向きの位置である第2の位置まで回動可能に設けられる。前輪80は腕構造20の先である回動端に取り付けられる。したがって、腕構造20が第1の位置にあるとき、前輪80は支柱12の後方に位置して後輪102とのホイルベースWB1は最短(例えば320mm)になる。また、腕構造20が第2の位置にあるとき、前輪80は支柱12の前方に位置して後輪102とのホイルベースWB2は最長(例えば640mm)になる。
固定部材30は腕構造20の一部でありフレーム106に固定される部材である。走行時に前輪が左右にぶれると意図せず進行方向が変化することがある。この場合、進行方向を維持するために車椅子を操作する者の負担が増え、乗り心地も低下する懸念がある。そこで、実施の形態の固定機構10の腕構造20は、第1の位置および第2の位置にて支柱12またはその延長部材に固定される固定部材30を含む。固定部材30がフレーム106の一部をなす支柱12またはその延長部材に固定されることで、前輪80のぶれが抑制される。
保持部40は固定部材30のレバー32をフレーム106に固定するための機構である。図5は、腕構造20が第1の位置にあるときの保持部40の周辺を拡大して示す説明図である。図5はさらに保持部40を水平面で切断したA−A断面を示している。図6は、腕構造20が第2の位置にあるときの保持部40の周辺を拡大して示す説明図である。図6はさらに保持部40を垂直面で切断したB−B断面を示している。図5および図6は保持部40の一部を切り欠いた状態を示している。保持部40はフレーム106に設けられる。実施の形態の保持部40は、シートフレーム116の前向きに延びる部分116fの途中に固定される(図1も参照)。特に、保持部40は、部分116fのアームレストフレーム114の部分114dとの結合部の近傍に設けられる。この場合、保持部40の剛性を確保し易い。
次に図4を参照して中間支持部60について説明する。乗り心地改善の観点で走行中の固定部材30のぶれは小さいことが望ましい。特に、レバー32が一端部32bからより離れた位置で保持される状態では、固定部材30のぶれは大きくなり易い。そこで、実施の形態の固定機構10では、保持部40から離れた位置にて固定部材30を支持する支持部である中間支持部60が設けられる。中間支持部60は支柱12またはその延長部材であるフレーム106に支持されてもよい。中間支持部60は腕構造20が第2の位置にて固定部材30が保持部40に保持される状態において、固定部材30を支持する。固定部材30が保持部40と中間支持部60とに支えられることにより、固定状態での固定部材30のぶれひいては腕構造20のぶれを抑制して、乗り心地を改善することができる。
図7は固定機構10の支柱12の周辺の断面を示す模式図である。図7は部材の関係を強調するため寸法比率を変えて示している。図7は腕構造20が第1の位置から90度回動した位置にある状態を示している。既述したように、支柱12は、フロントフレーム118と平行に上下に延在し、フロントフレーム118の外側に結合される。支柱12には腕構造20を回動可能に支持するヒンジ機構50が設けられる。ヒンジ機構50は腕構造20を回動可能に支持しうる構成であれば特別の制限はない。一例として、実施の形態のヒンジ機構50は、スリーブ51と、ブッシュ52、53と、シャフト部54と、吊り元部21b、22b、を含んで構成される。
次に、このように構成された固定機構10の変形過程を説明する。図8は固定機構10の変形過程を説明する説明図である。図8は、腕構造20が第1の位置にある状態(図1も参照)から第2の位置にある状態(図2も参照)まで変形する中間の過程を示す。図8中の(a)は、腕構造20が第1の位置にある状態にて、固定部材30のレバー32を矢印R1に示すように前向きに回動して、保持部40から外した形態を示す。例えば、搭乗者または介助者がレバー32の第2部分32hを手で握り引き上げることで保持部40から外すことができる。図8中の(b)は、腕構造20が90度回動した位置にある状態を示す。例えば、搭乗者または介助者がレバー32を矢印R2に示すようにフレーム106から外向き離れる向きで前方に回動させることで、腕構造20を回動させることができる。図8中の(c)は、腕構造20が第2の位置にある状態にて、レバー32が保持部40に保持される前の形態を示す。例えば、搭乗者または介助者がレバー32をフレーム106に近づく向き(内向き)で前方に回動させることで、腕構造20を回動することができる。さらに、レバー32を矢印R3に示すように保持部40に向けて引き下ろすことで保持部40に嵌入して、保持することができる(図2も参照)。このように、固定機構10はレバー32を操作することで、手動にてホイルベースを短い状態と長い状態との間で容易に切り替えることができる。ホイルベースの長短のいずれの場合であっても固定部材30が保持部40に保持されるから、前輪のぶれを抑制することができる。この操作は介助者だけでなく搭乗者自身でも容易になし得る。
実施の形態の固定機構10は、車椅子本体のフレーム106の一部をなす支柱12と、支柱12から視て後向きの位置である第1の位置から180度回動した前向きの第2の位置まで回動可能な腕構造20と、を備え、前輪80は腕構造20の先に取り付けられ、腕構造20は、第1の位置および第2の位置にて支柱12またはその延長部材に固定される固定部材30を含む。この構成によれば、前輪80を腕構造20の先である回動端に取り付け、その前輪80を支柱12の前方位置と後方位置とに切替えて配置することが可能になる。このことにより、平坦路面走行時はホイルベースを短くして小回りを容易にし、段差乗り越え時はホイルベースを長くして傾斜角を抑制して転倒しにくくすることができる。また、固定部材30を含むことで腕構造20および前輪80のぶれを抑制することができる。
第1変形例について説明する。図9は第1変形例に係る固定機構11を示す斜視図である。図9は図3に対応する。固定機構11は固定機構10に対して、中間支持機構66を備える点で相違し他は同様である。中間支持機構66は、腕構造20が第1の位置にあって、固定部材30であるレバー32が保持部40に保持されるとき、保持部40から離れた位置にてレバー32を支持する機構である。図9の例では、中間支持機構66はレバー32を収容する空間を画定する2つの支持部材66bを含む。2つの支持部材66bは収容したレバー32を両側から挟む板状の部材であり、レバー32の左右の移動を規制する。中間支持機構66はフレーム106の任意の箇所に設けられてもよい。
第2変形例について説明する。図10は第2変形例に係る固定機構15を示す斜視図である。図10は腕構造25が第1の位置にある状態を示す。図11は第2変形例に係る固定機構15を示す別の斜視図である。図11は腕構造25が第2の位置にある状態を示す。図10は図3に対応し、図11は図4に対応する。固定機構15は固定機構10に対応し、主に固定部材35の動作が固定部材30と相違する。固定機構15は支柱12と腕構造25とを主に備える。腕構造25は腕構造20に対応し、第1アーム61と、第2アーム62と、第3アーム63と、固定部材35と、を含む。第1アーム61は第1アーム21に、第2アーム62は第2アーム22に、第3アーム63は第3アーム23に、固定部材35は固定部材30に対応する。第1アーム61と第2アーム62は略平行に設けられる。第1アーム61と、第2アーム62と、支柱12と、第3アーム63と、は略矩形状または平行四辺形状に組み合わされる。
次に、このように構成された固定機構15の変形過程を説明する。図12は第2変形例に係る固定機構15を示すさらに別の斜視図である。図12は固定機構15の変形の途中過程にて、腕構造25が第1の位置から90度回動したいわば中間の位置にある状態を示す。まず、図10中の(a)の状態にてレバー64を前向きにスライドさせることで、図10中の(b)に示すようにレバー64を保持部45から外す。この状態で腕構造25を回動させることで図12の状態に至る。この状態からレバー64を外向きにスライドさせる。さらに回動させることで腕構造25は第2の位置に至る。このとき、レバー64は図11中の(b)に示す位置にある。レバー64を後向きにスライドさせることでレバー64を保持部45に装着することができる。この状態で、図11中の(a)に示すように腕構造25は第2の位置で回動が規制される状態に至る。
Claims (4)
- 車椅子の前輪を固定する固定機構であって、
前記車椅子の後輪より前側に配置される支柱と、
前記支柱に対して回動可能な腕構造と、
を備え、
前記前輪は前記腕構造の先に取り付けられ、
前記腕構造は、前記後輪より前側において、前記支柱から視て後向きの第1の位置から180度回動した前向きの第2の位置まで回動し、前記前輪と前記後輪との間のホイルベースを変化させ、
前記腕構造は、前記第1の位置および前記第2の位置にて前記車椅子に固定される固定部材を含むことを特徴とする固定機構。 - 前記車椅子には、前記腕構造が前記第1の位置および前記第2の位置にあるとき、前記固定部材を着脱可能に保持する保持部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の固定機構。
- 前記固定部材は当該固定部材の一端部を中心に回動可能に設けられることを特徴とする請求項2に記載の固定機構。
- 前記腕構造が前記第2の位置にあって、前記固定部材が前記保持部に保持されるとき、前記保持部から離れた位置にて前記固定部材を支持する支持部が設けられることを特徴とする請求項3に記載の固定機構。
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