JP6478723B2 - 耐熱樹脂シートのナノインプリント法およびそれを用いて転写された耐熱樹脂シート - Google Patents

耐熱樹脂シートのナノインプリント法およびそれを用いて転写された耐熱樹脂シート Download PDF

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本発明は、耐熱樹脂シートのナノインプリント法およびそれを用いて転写された耐熱樹脂シートに関係する。
ナノインプリント法は、エンボス加工における加工寸法をナノスケールまで微細化したパターン形成技術であり、任意のナノスケールのパターンが表面に形成された鋳型(モールド)を、変形可能な被転写材料に対し押しつけることによって、被転写材料に対しナノスケールパターンを物理的に転写する方法である。
これまで、熱可塑性樹脂やガラス等の材料をガラス転移点以上に加熱し、モールドを押し当ててプレスしてパターンを転写成形する熱ナノインプリント法や、基板上に塗布した液状の光硬化性樹脂を加圧変形させ紫外光を照射することにより、樹脂を硬化させ転写成形を行う光インプリント法等が提案されている。
さらに、市販のサファイア基板を大気中で加熱することで、自己組織的に形成される原子ステップパターンを持つサファイア基板を作製し、このサファイア基板をモールドとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に対し熱ナノインプリントを行うことで、PMMA表面に原子ステップパターンを転写する方法が報告されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、ナノインプリント技術は鋳型を用いてその表面微細凹凸パターンを基板などへ転写する技術であり、また転写される凹凸パターンも極めて微細なものであるため、ナノインプリント技術が適用できる加工材料には実質的な制限があると考えられてきた。具体的な加工材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ABS等が挙げられる。その他、PE、PP、PVC等の熱可塑性プラスチックを適用することも考えられる。これらの材料の常用耐熱温度は、100℃以下であるか、せいぜい百数十度である。耐熱性の高い材料へナノインプリント技術を適用することは難しいとされていた。
一方で、ナノインプリント技術でインプリントされた材料は、様々な用途に利用することが考えられる。一例として、電子部品、マイクロ流体デバイス、バイオ用途への適用が考えられる。特に、電子部品としては、液晶パネル、タッチパネル、有機EL、LED、フィルム、半導体デバイス等への適用が期待される。しかしながら、上記の例示された比較的耐熱温度の低い樹脂材料にナノインプリント技術を適用した場合、樹脂材料自体の耐熱温度によってその後のプロセス条件が制約される。したがって、より耐熱性の高い樹脂材料にナノインプリントを実現する方法が求められている。加えて、各電子部品は、透明性を必要とするディスプレー基材や透明回路基材に用いられることがあり、透明性の高い樹脂材料のニーズも高い。
ところで、ポリイミドは一般的に、他の汎用樹脂やエンジニアリングプラスチックと比べて、優れた耐熱性、機械特性、電気特性を有している。そのため、成形材料、複合材料、電気・電子材料、光学材料などとして、様々な用途で幅広く用いられている。例えば、ポリイミドは、電子機器の様々な部位にも用いられるようになっている。その用途としても、半導体実装材料、回路のベース材料のほか、部品や回路を保護するフィルム、あるいは様々な電子部品や回路材料を接着する接着剤としての用途など多岐にわたる。それら多岐にわたる用途のなかで、従来から要求されている耐熱性や絶縁性に加え、近年は透明性を備えたポリイミドなども開発されている(特許文献1〜4)。
ポリイミドは、耐熱性が高いだけでなく、寸法安定性、機械的強度にも優れている。その一方で、ポリイミドは、耐薬品性や耐熱性が高いため、成形加工性は良好とはいえない。そのため、例えばナノインプリントによってポリイミドにパターン転写することは困難であると考えられている。
実際に、ポリイミドシートにナノインプリントを試みた例がある。それによると、従来300℃〜400℃でインプリントを行っていたところ、100℃前後の低温成形が可能であるとのことである。(非特許文献2) なお、そのインプリント圧力は40MPaと極めて高い圧力を用いている。
特開2012−251080号公報 特許第5174311号公報 特許第5595376号公報 特許第5595381号公報
"Formation of 0.3-nm-high stepped polymer surface by thermal nanoimprinting" 、Jpn. Appl. Phys. Express 7, 055202 (2014)、G. Tan, N. Inoue, T. Funabasama, M. Mita, N. Okuda, J. Mori, K. Koyama, S. Kaneko, M. Nakagawa, A. Matsuda, and M. Yoshimoto 廣島洋ら、ナノインプリント−ポリイミドの低温微細成形− 産業技術総合研究所 研究カタログ2013 p.39 (http://www.aist.go.jp/digbook/openlab/2013/index.html#41)
上述のとおり、優れた耐熱性等を有する樹脂シートにナノインプリントをすることが検討されている。しかしながら、非特許文献2によるポリイミドへのインプリントでは、インプリント圧力が40MPaである。また、微細加工といってもサブナノメートルオーダー(0.1nm単位)の加工には到達していないのが現状である。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その課題は、耐熱性樹脂シートにサブナノメートルオーダーのパターン転写することができる方法の提供、およびそれを用いて作製された耐熱性樹脂シートを提供することである。
なお、特許文献1のポリイミドは低い温度での加工性を有すると記載されている。ただし、その加工性とは、押し出しや射出による成形加工性を指し、より具体的には加熱状態でプレスすることにより、0.1〜5000μm程度の厚さを有するフィルムを成形できる性能を意味する。サブナノメートルオーダーの微細加工性については、特許文献1は記載も示唆もしていない。
本発明の課題は、以下の手段によって解決される。
[1]ガラス転移温度(Tg)が220℃以上である耐熱性樹脂シートにサブナノメートルオーダーのパターンを転写する方法であって、
サブナノメートルオーダーの転写パターンを有する鋳型を用意し、
該鋳型の転写パターン面に耐熱性樹脂シートを接するように配置し、
該耐熱性樹脂シートを加熱し、
該鋳型の転写パターン面を該耐熱性樹脂シートに押圧し、
該耐熱性樹脂シートを該鋳型から取り出すことを、含んでなる方法。
[2]該耐熱性樹脂シートは鋳型に直接接するように配置される、項目[1]に記載の方法。
[3] 該押圧する圧力が0.2MPa以上である、項目[1]または[2]に記載の方法。
[4] 項目[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法によって得られた、サブナノメートルオーダーの被転写パターンを有する耐熱性樹脂シート。
[5] 該耐熱性樹脂は、全光線透過率が80%以上の透明耐熱性樹脂である、項目[4]に記載の耐熱性樹脂シート。
[6] 該被転写パターン上にITO膜を備えた、項目[4]または[5]に記載の耐熱性樹脂シート。
[7] 該耐熱性樹脂がポリイミドである、項目[4]〜[6]のいずれか1項に記載の耐熱性樹脂シート。
本発明により、ガラス転移温度(Tg)が220℃以上である耐熱性樹脂シートにサブナノメートルオーダーのパターン転写することができる方法、およびそれを用いて作製された耐熱性樹脂シートが提供される。つまり、ガラス転移温度(Tg)が220℃以上である耐熱性樹脂シートにサブナノメートルオーダー(0.1nm単位)のパターン成形加工が可能となる。したがって、これまで耐熱性が高く加工性が良好ではないために採用できなかった用途に、耐熱性樹脂シートを適用することが可能となる。例えば、以下のような適用が可能である。耐熱性樹脂シートは、従来加工性の良さで採用されていた比較的軟化温度の低い樹脂材料(例えば、ポリメチルメタクリレート等)に比べて、耐熱性が高い。そのため、耐熱性樹脂シート上でのデバイス製造プロセス温度条件を高めることができ、デバイス開発の可能性が大幅に拡がる。なお、本発明による転写パターンは、サブナノメートルオーダー(0.1nm単位)で制御可能であり、いうまでもなくナノメートルオーダー(1.0nm単位)やマイクロメートル(1000.0nm単位)の制御も可能である。
鋳型(サファイア基板)表面観察結果 ナノインプリント装置の概略構成図 インプリントする前後のポリイミドシート(耐熱性樹脂シート)の表面観察結果 転写温度とインプリント圧力を変化させた場合の、転写の良否を示したグラフ ポリイミドシートにITO膜を形成する前後の表面観察結果
本発明は、ガラス転移温度(Tg)が220℃以上である耐熱性樹脂シートにサブナノメートルオーダーのパターンを転写する方法であり、以下の工程を含む。
サブナノメートルオーダーの転写パターンを有する鋳型を用意する工程、
該鋳型の転写パターン面に耐熱性樹脂シートを接するように配置する工程、
該耐熱性樹脂シートを加熱する工程、
該鋳型の転写パターン面を該耐熱性樹脂シートに押圧する工程、
該耐熱性樹脂シートを該鋳型から取り出す工程。
各工程について説明する。
まず、サブナノメートルオーダーの転写パターンを有する鋳型を用意する。
鋳型には、転写するためのサブナノメートルオーダー(0.1nm単位)の転写パターンを形成する。鋳型は、化学的、機械的に安定であり、サブナノメートルオーダーの転写パターンを保持することが容易であり、繰り返しの転写に耐えられるものであればよく、例えば、表面が酸化物、窒化物、炭化物からなる材料を用いてもよい。より具体的には、Al、SiO、YSZ、TiO、SrTiO、ZnO、AlN、TiN、Si、AlGaN、SiC、TiC、C(Diamond)、C(Graphite)などでもよい。鋳物は、予め鏡面研磨などの手段により、表面を原子レベルで平坦化を行う。平坦化された鋳物に対して、加熱・エッチング等の手段により、転写パターンを形成する。サブナノメートルオーダーの転写パターンの例として、サファイア(α-アルミナ)の(0001)近傍の面を熱処理し、自己組織化した際に表れるステップ構造が挙げられる。自己組織化した基板上の原子ステップの高さは、最外面の結晶面(c面、a面、r面、m面、R面等)を選択することによって調整できる。また、ステップのテラス幅(踏面幅)は、基板を研磨する際の、結晶面と研磨面とのずれ角によって調整できる。
次に、耐熱性樹脂シート用意し、鋳型の転写パターン面にその耐熱性樹脂シートを接するように配置する。この耐熱性樹脂シートは、ガラス転移温度(Tg)が220℃以上である。ガラス転移温度は、好ましくは230℃以上であり、より好ましくは260℃以上である。ガラス転移温度が低いと、十分な耐熱性が得られない恐れがある。ガラス転移温度の上限は、サブナノメートルオーダーのナノインプリントが可能である限り、特に限定されない。概して、ガラス転移温度が高くなるほど、加熱温度が高くなり、成形加工性が困難になる傾向があるので、成形加工性の観点からガラス転移温度の上限を定めてもよい。
なお、本発明におけるガラス転移温度は、以下のように測定される。
[ガラス転移温度(Tg)]:熱機械分析装置(TMA−50、島津製作所社製)を使用し、窒素気流下、昇温速度を5℃/分として耐熱性樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg(℃))を熱機械分析(TMA)により測定した。
耐熱性樹脂はポリイミドであってもよい。ポリイミドは一般にジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で反応させてポリアミド酸を生成し、これを脱水閉環する等の方法で得られる。ポリイミドをシートとして得るには、ポリアミド酸またはポリイミドを有機溶媒でワニスにして、そのワニスをガラス板、金属板、PETやPBTに代表されるポリエステル系フィルム、その他、任意のシート状の基材に塗布し、脱水イミド化反応(ポリアミド酸ワニスの場合)、溶媒の乾燥工程を経た後、基材から剥離する事で、ポリイミドシートを得る事ができる。
こうして得られたポリイミドシートのような耐熱性樹脂シートは、耐熱性樹脂シートの表面が鋳型の転写パターン面に接するように、配置される。後の工程によって、鋳型の転写パターンを、耐熱性樹脂シートに転写するためである。
耐熱性樹脂シートは、鋳型の転写パターン面に該耐熱性樹脂シートが鋳型に直接接するように配置してもよい。つまり、離形剤を用いることなく、転写後に耐熱性樹脂シートを鋳型から取り出すことが可能である。
耐熱性樹脂シートを加熱する工程では、鋳型に配置された耐熱性樹脂シートを鋳型ごと、加熱源で挟みこむ。加熱源は、予め加熱された鉄板や、ホットプレート等を用いてもよい。後段で使用するプレス(押圧)装置が加熱源を兼ねていてもよい。耐熱性樹脂シートは、鋳型を介して、加熱される。また、鋳型が透過性の高い材料で出来ている場合は、耐熱性樹脂シートへの光放射による加熱も可能である。耐熱性樹脂シートは、両面(上面、下面)から加熱してもよく、どちらか一面からの加熱でもよい。
加熱温度は、耐熱性樹脂シートのおおよそのガラス転移温度とする。加熱温度の下限は、ガラス転移温度−30℃でもよく、好ましくはガラス転移温度−20℃、より好ましくはガラス転移温度−10℃である。加熱温度がガラス転移温度より低すぎると、十分に転写されないおそれがある。加熱温度の上限は、ガラス転移温度+20℃でもよく、好ましくはガラス転移温度+10℃、より好ましくはガラス転移温度+5℃である。加熱温度がガラス転移温度より高すぎると、転写パターンにむらが生じたり、転写精度が低下したりするおそれがある。
鋳型の転写パターン面を耐熱性樹脂シートに押圧する工程では、油圧プレス機等によりプレス(押圧)を行う。このとき、鋳型や耐熱性樹脂シートとともに、前述の加熱源や油圧プレス用の押さえ板等もプレスしてもよい。前工程で加熱され、軟化した耐熱性樹脂シートは、プレスを行うことで、鋳型の転写パターンが、耐熱性樹脂シートに転写される。
圧力は、0.2MPa以上であれば、精度よくパターン転写され、耐熱性樹脂シート自体の健全性に影響を与えない範囲であれば特に上限はない。ただし、プレス機等の設備の経済性の観点等から、圧力は20MPa以下でもよく、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下、さらに好ましくは2MPa以下でもよい。
プレス時間はプレス圧・温度などの条件により異なるが、1〜10分の範囲内としてもよい。転写における時間が1分以上であると、被転写体にナノパターンが精度よく転写される。転写における時間が10分以下であると、転写に必要なプロセス時間が短くなり、経済性の観点等から有利である。
該耐熱性樹脂シートを該鋳型から取り出す工程は、押圧工程終了後に行われる。耐熱性樹脂シートがガラス転移温度以下であれば、耐熱性樹脂シートを取り出しても、転写されたナノメートルオーダーのパターンは保持される。耐熱性樹脂シートをガラス転移温度以下に冷却する手段として、押圧工程後に、室温で静置して放冷または水冷により急冷等を行ってもよい。以上の工程により、サブナノメートルオーダー(0.1nm単位)のパターンが転写された耐熱性樹脂シートを得ることができる。
パターンを転写する耐熱性樹脂は、透明耐熱性樹脂であってもよい。ここで、透明とは全光線透過率が80%以上であることを意味し、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。透明耐熱性樹脂は、透明性を必要とするディスプレー基材や透明回路基材、各種光学フィルム材料、レンズ材料、透明封止材などに適用できるが、光線透過率が低ければ、透明性が要求される用途に使用できないことがある。透明耐熱性樹脂として、特許文献1〜4に記載されたポリイミドを用いることができる。
なお本発明における全光線透過率とは、樹脂を10〜50μm程度の厚さのフィルムとし、ヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)により求めた値を30μm厚みに換算したものである。
より具体的には、本発明における全光線透過率とは以下のように測定される。
[全光線透過率]:ヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)により求めた。
[b*]色彩式差計(測定ヘッド:CR-300 ミノルタカメラ社製)およびデータプロセッサ(DP-300 ミノルタカメラ社製)を使用し、耐熱性樹脂シートの黄味の指標となるb*値を測定した。測定は3回計測し、その平均値を採用する。
耐熱性樹脂シートに転写されたパターン上にITO(Indium Tin Oxide)膜を備えてもよい。耐熱性樹脂シートの上に、気相法または液相法により、ITO層を成膜し、およそ200℃から耐熱性樹脂のガラス転移温度以下の温度で焼成して、ITO膜を形成することができる。気相法は常法によることができ、例えばマグネトロンスパッタリング、反応性スパッタリング、等のスパッタ法や、電子ビーム蒸着法のような蒸着法、レーザー分子線エピタキシー法のようなレーザーアブレーション法、化学的気相成長(CVD)法、等が好適に用いられる。液相法では、ITO粒子を溶媒に分散させ、更に必要に応じてアルコール等で希釈したペースト状または液状の導電性ナノ粒子分散液を高温乾燥してITO膜を形成してもよい。形成されたITO膜は、CMP法により表面を研磨してもよい。ITO膜は透明電極として利用することができる。他に、透明電極として、ZnO、n型ZnO、p型ZnO、SnOを用いることもできる。
耐熱性樹脂シートが透明耐熱性樹脂シートである場合、その全光線透過率が80%以上であるので、ITO膜を備えた透明耐熱性樹脂シートの光透過性も高く、透明性の必要な用途に利用することができる。
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実
施例に限定されるものではないことはもちろんである。
[サブナノメートルオーダーの転写パターンを有する鋳型の用意]
鋳型の材料として、サファイア基板(α−Al)を用いた(並木宝石株式会社より入手)。基板の大きさは10×10mmであった。このサファイア基板の、r面(10−12)を鏡面研磨し、1200℃で3時間空気中でアニーリングを行い、その後アセトンおよびエタノール中で超音波洗浄した。この鋳型を原子間力顕微鏡観察装置(AFM)により観察を行った。図1に、AFMによる、パターンの表面(10×10μm)および断面の像を示す。AFMは、(株)日立ハイテクサイエンス製 Nanocuteにて測定を行った。カンチレバーは、Siカンチレバー((株)日立ハイテクサイエンス製 SI−DF40P2)を用いた。表面粗さ(RMS)の測定は、1μm領域を観察後、観察領域において二乗平均粗さ(RMS)を算出した。ステップの高さが0.31(±0.01)nmであり、テラス幅(踏面幅)が500〜700nmであり、表面粗さが(RMS)0.13nmである、サブナノメートルオーダーの転写パターンを有する鋳型が得られた。
[耐熱性樹脂シートの鋳型への配置]
ガラス転移温度が220℃以上である耐熱性樹脂として、三井化学(株)製のポリイミドワニス「ECRIOS(商標)」の「VICT−Bnp」から得た、透明ポリイミドシートを用意した。透明ポリイミドシートは、全光透過率が90%、ガラス転移温度が約265〜270℃であり、厚みは20μmであった。このポリイミドシートを、エタノールで洗浄し、鋳型の転写パターン面にポリイミドシートが接するように配置した。
ナノインプリント装置として、SCIVAX(株)製のSCIVAX X300を利用した。ナノインプリント装置は、2つの加熱ステージから構成されている。図2に示すように、加熱ステージの間に、押さえ板としてのガラス状カーボン板、鋳型、ポリイミドシート、押さえ板の順で配置した。装置内は、30hPaとした。なお離形剤は用いなかった。
[耐熱性樹脂シートの加熱・押圧(インプリント)]
ポリイミドシートを、ナノインプリント装置の加熱ステージによって、加熱した。加熱温度(転写温度)は、220、240、260、280、300℃の5種類の温度でインプリントを行った。所定の転写温度に達したところで、加熱ステージによって、ポリイミドシートの鋳型への押圧(プレス)をしてインプリントを開始し、5分間所定温度を保持した。0.2、1.0、2.0MPaの3種類の圧力でプレスして、インプリントを行った。
[耐熱性樹脂シートの取り出し]
5分間の保持終了後、加熱ステージを30℃まで冷却し、加熱ステージによる押圧を解いた後、ポリイミドシートを該鋳型から取り出した。いずれも、離形剤は用いなかったが、問題なく離形することができた。
[耐熱性樹脂シートの観察]
試料ごとにAFMで表面および断面の観察を行った。
図3に、260℃でインプリントする前と後のポリイミドのAFM像を示す。鋳型であるサファイア基板は、ステップの高さが0.31(±0.01)nmであり、テラス幅(踏面幅)が500〜700nmであり、表面粗さが(RMS)0.13nmであった。これに対して、インプリントをする前のポリイミドでは、原子ステップは観察されず、表面粗さが(RMS)0.25nmであった。そして、パターンを転写された後のポリイミドでは、ステップの高さが0.30(±0.01)nmであり、テラス幅(踏面幅)が500〜700nmであり、表面粗さが(RMS)0.17nmであった。このように、本発明により、従来のナノインプリントより非常に低い圧力である0.2MPaからポリイミドシートにサブナノメートルオーダー(0.1nm単位)のパターンを非常に良好に転写することができた。
また、図4は、転写温度とインプリント圧力を変化させた場合の、転写の良否をまとめたものである。押圧の圧力は高いほど、良好な転写が得られる傾向があった。
[ITO膜の形成]
さらに上記のパターンを転写された後のポリイミドに、ITO膜を形成した。
まず、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いて、極めて平坦な非晶質ITO(Snドープ酸化インジウム)をポリイミド表面に形成した。具体的には、レーザー分子線エピタキシー(レーザーMBE)装置(ラムダフィジク社製、型式:LPX−100)を用いて、室温(約20℃)で、波長248nmのKrFエキシマレーザー(3J/cm、5Hz)を、1.0×10−2TorrのO雰囲気下に置かれた5wt%SnドープITO焼結体ターゲット上に、レンズで集光照射し、非晶質ITO膜をポリイミド表面に堆積させた。得られた非晶質ITO薄膜の厚さは約100nmであった。
次に、堆積された非晶質ITO膜に、真空下(1.0×10−7Torr)240℃で約50分のアニーリングを行って、ITOの結晶化を行った。結晶性の評価には、BrukerAXS社製のX線回折分析装置を使用し、アニーリング後のITO膜が結晶質であることを確認した。
図5に、ITO膜を形成する前後のポリイミド表面のAFM像を示す。AFM像に示されるように結晶性ITOの表面はポリイミド基板の原子ステップ形状を維持していることが確認された。また、ITO膜を備えたポリイミドは透明性を保っていること、ITO膜が導電性を有することも確認できた。

Claims (3)

  1. ガラス転移温度(Tg)が220℃以上である耐熱性樹脂シートにサブナノメートルオーダーのパターンを転写する方法であって、
    サブナノメートルオーダーの転写パターンを有する鋳型を用意し、
    該鋳型の転写パターン面に耐熱性樹脂シートを接するように配置し、
    該耐熱性樹脂シートを加熱し、
    該鋳型の転写パターン面を該耐熱性樹脂シートに押圧し、
    該耐熱性樹脂シートを該鋳型から取り出すことを、含んでなり、
    該耐熱性樹脂がポリイミドである方法。
  2. 該耐熱性樹脂シートは鋳型に直接接するように配置される、請求項1に記載の方法。
  3. 該押圧する圧力が0.2MPa以上である、請求項1または2に記載の方法。
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