JP6474635B2 - ウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
これを回避するためには、前記U/A樹脂を、例えば噴霧乾燥法のような、特殊な乾燥方法を用いて乾燥し、固形状の粒子とすればよいが、このような方法は、エネルギー消費が大きく、また樹脂の組成等によっては、噴霧乾燥中に熱融着などが起こって粒子径の調整が難しかったり、乾燥機の内壁に付着したりするという問題点を有している。
[1]ウレタンポリマーである(A)成分と(メタ)アクリル系単量体である(B)成分とを、分散安定剤である(C)成分を含む水性媒体中に添加・分散させ、次いで重合開始剤である(D)成分を用いて前記(B)成分を重合させることを特徴とする、ウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。
[2]前記の(A)成分と(B)成分とを予め混合した混合物を、前記(C)成分を含む水性媒体中に添加・分散させることを特徴とする[1]に記載のウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。
[4]前記(A)成分のカルボキシル基の少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたものであることを特徴とする[3]に記載のウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。
[6]前記(C)成分が部分ケン化ポリ酢酸ビニルであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。
[8]平均粒子径が5〜250μmであるウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子。
この発明は、ウレタンポリマー((A)成分)と(メタ)アクリル系単量体((B)成分)との混合物を、分散安定剤((C)成分)を含む水性媒体中で、重合開始剤((D)成分)を用いて前記(B)成分を重合させてウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂(U/A樹脂)粒子を製造する方法である。
前記(A)成分であるウレタンポリマーは、多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とをウレタン化反応して得られるポリマーである。
その具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、メチルペンタンジオールアジペート等の比較的低分子量のポリオール類、又はこれらの少なくとも1種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるポリエステルポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリアルキレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリル酸エステルポリオール、及びこれらのポリオール類にプロピレンオキシドを付加したポリエーテルポリオール類などが挙げられる。
これらのポリオール化合物は、1種のみを用いてもよく、複数種を用いてもよい。
混合比が1.2/1.0未満では、生成するウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、後述する懸濁重合の際に水性媒体への分散性が低下して、凝集したり粗大粒子が発生したりすることがある。一方、前記混合比が2.0/1.0より大きいと、未反応の多価イソシアネートが多くなって、水性媒体分散時に凝集したり、発泡が起こったりして、分散状態が悪化することがある。
混合比の下限は1.4/1.0がより好ましく、またその上限は、1.9/1.0がより好ましい。
この塩基性化合物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、アンモニア等があげられる。
前記(B)成分は、(メタ)アクリル系単量体であり、二重結合を1つ有する単官能(メタ)アクリル系単量体や、二重結合を複数有する多官能(メタ)アクリル系単量体が含まれる。また、この(B)成分が例えば水酸基のような、ウレタンポリマー((A)成分)と結合可能な官能基を有すると、(A)成分と(B)成分とをさらに緊密に複合化することができるので好ましい。このような、ウレタンポリマー((A)成分)と結合可能な官能基を有する重合性単量体を、「ウレタン結合性重合性単量体」と称する。
なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
これらの(メタ)アクリル系単量体は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のU/A樹脂粒子の製造方法においては、必須成分である前記の(A)成分、(B)成分に加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、スチレン及びその誘導体、酢酸ビニルその他のビニル系単量体などの重合性単量体も使用することができる。
前記(A)成分と(B)成分とは、前記(C)成分を含む水性媒体中に添加・分散されるが、これらは、両者を予め混合した混合物を添加してもよく、個別に添加してもよい。より均一な生成物を得るためには、予め両者を混合した混合物を添加・分散することが好ましい。
なお、(A)成分が水性分散液として得られる場合、(A)成分と(B)成分との混合物は、混合液(又は混合分散液)として得られる。
(C)成分の分散安定剤としては、水中油型の分散液を形成するために通常用いられる分散安定剤が特に制限無く使用できる。その具体例としては、例えば部分ケン化ポリ酢酸ビニルや完全ケン化ポリ酢酸ビニル(ポリビニルアルコール)等のいわゆるポリビニルアルコール(以下「PVA」と記す)類、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチンなどの水溶性ポリマー等が挙げられる。
(D)成分の重合開始剤としては、通常のラジカル重合で使用される重合開始剤を特に制限無く使用することができる。このラジカル重合開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物等のラジカル重合開始剤があげられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらのラジカル重合開始剤と、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)等の還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤として用いることもできる。
この(D)成分の使用量は、例えば(メタ)アクリル系単量体に対して、0.01〜2重量%等の、通常のラジカル重合に一般的に用いられる量で差し支えない。
ラジカル重合反応は、前記の通り、(A)成分と(B)成分との混合物を、(C)成分を含む水性媒体中に添加・分散させ、次いで(D)成分を用いて前記(B)成分を重合させることにより行われる。これにより、U/A樹脂水性懸濁液が得られる。
得られるU/A樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上、中でも特に好ましくは20μm以上である。平均粒子径が5μmより小さいと、得られた微粒子の分離に手間を要することがある。一方、平均粒子径の上限は、好ましくは250μm、より好ましくは200μm、特に好ましくは150μm、中でも特に好ましくは100μmである。平均粒子径が250μmより大きいと、製造工程において分離・沈降が生じやすくなるという問題点を生じる場合がある。
なお、粒子径の測定方法としては、光学顕微鏡で観察する方法や、レーザー回折型粒子径測定機、光散乱型粒子径測定機などを用いて測定する方法などが挙げられる。
このようにして製造されたU/A樹脂粒子は、その皮膜形成能を活かしてコーティング剤、化粧料等の用途向けに、より簡便な加工方法を適用することができる。
[(A)成分の原料]
・P−2010…メチルペンタンジオールアジペート、(株)クラレ製:P−2010、水酸基価(OHV):57
・Bis−MPA…ジメチロールプロピオン酸、広栄パーストープ(株)製:Bis−MPA
・IPDI…イソホロンジイソシアネート、エボニック・デグサ・ジャパン(株)製:IPDI
・MMA…メチルメタクリレート、三菱レイヨン(株)製
・BA…ブチルアクリレート、三菱化学(株)製
・PVA205…ポリビニルアルコール、(株)クラレ製:PVA205、10重量%水溶液
[(D)成分]
・H−70…t−ブチルハイドロパーオキサイド、化薬アクゾ(株)製、:カヤブチルH−70
・アスコルビン酸…BASFジャパン(株)製
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4ツ口フラスコに、P−2010を60重量部、Bis−MPAを9.4重量部、MMAを70重量部、BAを39重量部加え、撹拌及び昇温を開始した。内温が50℃となったところで、IPDIを40重量部加えて90℃に昇温し、引き続き90℃に維持して5時間ウレタン化反応を行い、ウレタンポリマーと(メタ)アクリル系単量体との混合物を得た。(この時の(A)ウレタンポリマー/(B)(メタ)アクリル系単量体の重量比は、50/50であった。)
別途準備した温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4ツ口フラスコにPVA205の5重量%水溶液70重量部、イオン交換水630重量部を加え、その後、60℃に加温し、撹拌を開始した。
ここにH−70を0.3重量部、アスコルビン酸を0.1重量部添加して、液温を60℃に調節しながら、前記で得たウレタンポリマーと(メタ)アクリル系単量体との混合物を、滴下ロートを用いて3時間掛けて添加した。添加終了後も撹拌を継続し、重合による発熱が終了した後、引き続き内温を50℃に維持して30分間撹拌を行ってウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子を得た。
冷却後、目開き200メッシュのろ布を用いて、ウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子を捕集した。得られた複合樹脂粒子はイオン交換水を用いて、洗液から濁りがなくなるまで水洗した。
仕込量及び条件を表1に示す。
表1に示すように(メタ)アクリル系単量体の使用比率を変更したこと以外は、前記実施例1と同様にしてウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子を製造した。
仕込量及び条件を表1に併せて示す。
前記実施例1、2で得られた微粒子を光学顕微鏡で観察した。観察結果をそれぞれ図1、図2に示す。
それぞれの図上で、観察される粒子のうち10個をランダムに選んで粒径を測定した。測定された粒径の平均値を算出して平均粒子径とした。その結果を表2に示す。
前記結果より、本発明の方法を用いることにより、前記特許文献1(特開平11−140149)の実施例1において示されるようなウレタン−アクリル複合粒子(平均粒子径130nm)(同文献、[0093])と比較して、約1000倍の粒子径をもつウレタン−(メタ)アクリル系複合樹脂粒子を得られることができたことが判る。
Claims (4)
- (メタ)アクリル系単量体である(B)成分の存在下で、カルボキシル基含有ジオールと多価イソシアネート化合物とを反応させて、ウレタンポリマーである(A)成分を生成することにより得られた、前記(A)成分と前記(B)成分との混合物を、分散安定剤である(C)成分を含む水性媒体中に添加・分散させ、
次いで重合開始剤である(D)成分を用いて前記(B)成分を重合させることを特徴とする、ウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。 - 前記(A)成分のカルボキシル基の少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたものであることを特徴とする請求項1に記載のウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。
- ウレタンポリマーである(A)成分と(メタ)アクリル系単量体である(B)成分とを、(A)/(B)=80/20〜20/80の重量比率で、分散安定剤である(C)成分を含む水性媒体中に添加・分散させ、
この(C)成分として部分ケン化ポリ酢酸ビニルを用い、
次いで重合開始剤である(D)成分を用いて前記(B)成分を重合させることを特徴とする、ウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。 - 前記のウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の粒子径が、5〜250μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレタン/(メタ)アクリル系複合樹脂粒子の製造方法。
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