JP6473657B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、複層塗膜形成方法に関し、より詳しくは、高明度且つ波長420〜500nmにおける光線透過率が低い塗膜を形成する複層塗膜形成方法に関する。
自動車等の工業製品において、製品を保護し、美粧性を付与することを目的として塗装が施される場合がある。
また、耐食性の点から防食塗料による塗膜を形成した後に、美粧性を付与することがある。そのような場合も同様に、防食塗料による塗膜表面に紫外線をできるだけ到達させないようにすることが必要である。
パール塗色系においては、従来、中塗り層、白ベース層、マイカベース層及びクリヤー層の4層塗膜により塗装が行われるのが主流であった(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、近年、省工程の観点から、白中塗り層、マイカベース層、クリヤー層の主に3層で構成される3コートパール仕様になりつつある(例えば、特許文献3参照)。
このような白系パール塗装仕様において、色調の観点から、中塗り塗料には主な顔料として酸化チタンが使用され、カーボンブラック等の黒色顔料の含有量は少なく、通常、全顔料中1質量%に満たない含有量で使用されている。また、ベース塗料においても、通常主な顔料は光輝性顔料であり、さらに若干量の体質顔料を含有するベース塗料が使用されている。
特開平10−137677号公報 特開2006−326538号公報 特開2003−313490号公報
自動車ボディーの外板の中塗り塗料、上塗り塗料においては、屋外における塗膜の耐候劣化を防止する観点から、紫外線を、自動車塗装の一般的な下塗塗膜である電着塗膜まで到達させないようにする必要がある。
しかしながら、白系パール塗装仕様等の白系塗色においては、他の塗色に比べて可視光(特に波長420nm〜500nmの領域)が塗膜を通過しやすいため耐候性に問題があった。上記の可視光領域波長の光によっても、電着表層が劣化するということも報告されている。
これは、白中塗り塗料に可視光を吸収、反射する着色顔料が少ないことが主な原因であるが、中塗り塗料中の着色顔料の含有量を増加させると、総合塗膜の色調や明度が大きく変化することとなり、白系塗色(ホワイトパール塗色)の意匠性(色調)を考慮すると中塗り塗料中の着色顔料の含有量を増加させる手法は採用することができなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高明度であり且つ波長420〜500nmにおける光線透過率が低い塗膜を形成させることができる、仕上がり外観及び耐候性に優れた、中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を積層する複層塗膜形成方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、中塗り塗料、水性ベース塗料及びクリヤー塗料を順次塗装して、複層塗膜を形成する方法において、中塗り塗料が特定平均粒子径範囲の塩素法酸化チタン顔料、及び特定範囲の粒子径、厚さ及びアスペクト比であるアルミニウム顔料ならびに黄色酸化鉄顔料を含有するものであることを主たる特徴とする複層塗膜形成方法によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔4〕を特徴とする。
〔1〕電着塗装が施された被塗物に、下記の工程(1)〜(4):
工程(1):前記被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装してL値が85.0以上の中塗り塗膜を形成する工程、
工程(2):前記工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)を塗装してベース塗膜を形成する工程、
工程(3):前記工程(2)で形成されたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程、及び
工程(4):前記工程(1)〜(3)で形成された中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を一度に加熱硬化する工程、
を順次行なう複層塗膜形成方法であって、
前記中塗り塗料(X)が、平均粒子径200nm〜700nmの塩素法酸化チタン顔料(A)、平均粒子径が12〜30μm、厚さが0.05〜0.5μm、かつアスペクト比が25〜300であるアルミニウム顔料(B)、黄色酸化鉄顔料(C)、及び樹脂組成物(D)を含有し、
該樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が50〜120質量%、前記アルミニウム顔料(B)の含有量が1.0〜3.5質量%、前記黄色酸化鉄顔料(C)の含有量が0.01〜2.0質量%であり、
前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が0.1〜1.0%であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
〔2〕前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が、0.1〜0.5%である前記〔1〕に記載の複層塗膜形成方法。
〔3〕前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が、樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、80〜120質量%である前記〔1〕又は〔2〕に記載の複層塗膜形成方法。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の複層塗膜形成方法によって得られた塗装物品。
本発明の塗膜形成方法は、中塗り塗料の顔料成分として、硫酸法酸化チタン顔料と比較して、黄味が少ない(b値が青味である)特定平均粒子径範囲の塩素法酸化チタン顔料を含有し、さらに、特定範囲の形状スペックを有する鱗片状のアルミニウム顔料を含有することに主たる特徴を有するものである。
上記特徴を有する塩素法酸化チタン顔料を使用することにより、得られる塗膜のb値の低下効果を得ることができる。
値が低下する分、塗膜の色調が青みにシフトするので、調色等の目的で使用される黄色酸化鉄顔料等の着色顔料をより多く含有させることが可能となるため、従来の白系塗膜と比較して、可視光領域(420nm〜500nm)の光線透過を抑制することが可能となる。
さらにまた、アルミニウム顔料の有する物理的な遮蔽効果も光線透過抑制に寄与することとなる。
以上により、本発明の複層塗膜形成方法によれば所望の白さ(明度)を維持した上で、光線透過を抑制することができるため、仕上がり外観及び耐候性に優れたホワイトパール複層塗膜を得ることができる。
以下、本発明の複層塗膜形成方法について詳細に説明する。
本発明の複層塗膜形成方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう)は、下記工程(1)〜(4)を含むものである。
工程(1):被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装してL値が85.0以上の中塗り塗膜を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)を塗装してベース塗膜を形成する工程
工程(3):工程(2)で形成されたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程
工程(4):工程(1)〜(3)で形成された中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を一度に加熱硬化する工程
<工程(1)>
本発明の方法によれば、まず、工程(1)として、電着塗装が施された被塗物に対して中塗り塗料(X)が塗装され、中塗り塗膜が形成される。中塗り塗料(X)は、本発明の方法で得られる複層塗膜に下地の隠蔽力を付与し、形成される複層塗膜の色相を決定する塗料である。
<<中塗り塗料(X)>>
中塗り塗料(X)は、塩素法酸化チタン顔料(A)、アルミニウム顔料(B)、黄色酸化鉄顔料(C)、及びビヒクル形成成分である樹脂組成物(D)を含有する塗料組成物である。
<<塩素法酸化チタン顔料(A)>>
酸化チタン顔料は、製造方法により硫酸法によるものと塩素法によるものが主流であるが、一般に塩素法酸化チタン顔料のほうが硫酸法酸化チタン顔料よりも青みが強いため、本発明において好適に用いることができる。
塩素法酸化チタン顔料は、天然チタンや合成チタンを原料として工業的に製造されるものである。製造方法は以下のとおりである。天然チタンや合成チタンにコークスを加えて高温で塩素ガスと反応せしめて、粗TiClを生成させる。生成した粗TiClは、固体不純物を除去した後に136℃以上の温度で精留する。精製された高純度のTiClを1000℃程度まで加熱して、酸素と反応せしめて酸化チタン粒子を生成する。得られた酸化チタン粒子は、粉砕、整粒、表面処理、洗浄、乾燥、仕上げ粉砕せしめて、塗料原料として適用可能な塩素法酸化チタン顔料が製造される。
塩素法酸化チタン顔料(A)は、塗装して得られる塗膜の着色力や仕上がり外観の点から、平均粒子径が200nm〜700nmの範囲内であり、好ましくは200nm〜350nm、より好ましくは、200nm〜250nmの範囲内である。
ここで、塩素法酸化チタン顔料の平均粒子径は、電子顕微鏡による観察により測定される平均粒子径である。
塩素法酸化チタン顔料(A)は、市販のものを使用することができ、例えば、CR−90(商品名、石原産業株式会社製、平均粒子径250nm)、CR−97(商品名、石原産業株式会社製、平均粒子径250nm)等を挙げることができる。
中塗り塗料(X)における塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量は、被塗物に対する下地の隠蔽力や仕上がり外観の点から、後述する樹脂組成物(D)の固形分総量に対して、50〜120質量%の範囲内であり、好ましくは80〜120質量%の範囲内である。
中塗り塗料(X)には、塩素法酸化チタン顔料(A)の他に、必要に応じて、塗料の分野で汎用されるその他の酸化チタン顔料を使用することができる。
本発明において用いることのできるその他の酸化チタン顔料としては、耐候性を向上させる点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の酸化物または水酸化物で表面処理されたもの、あるいはポリジメチルシロキサンに代表される有機珪素化合物あるいはステアリン酸に代表される高級脂肪酸あるいはイソプロピルトリイソステアロイルチタネートに代表される有機チタン化合物で表面処理されたもの等が挙げられる。
<<アルミニウム顔料(B)>>
アルミニウム顔料(B)は、色味調整(すなわち、L値とb値を低下させる)、遮蔽効果による光線透過抑制を目的として中塗り塗料(X)に含有させる。
アルミニウム顔料(B)は、一般にアルミニウムをボールミルやアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造される、鱗片状のアルミニウムフレーク顔料である。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。粉砕媒液としてはミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
アルミニウム顔料(B)の大きさは、得られる複層塗膜の仕上がり外観、下地の隠蔽力及び明度の点から、平均粒子径が12〜30μmの範囲内であり、好ましくは12〜20μmの範囲内である。
アルミニウム顔料(B)の厚さは、仕上り外観、機械的安定性の点から、0.05〜0.5μmの範囲内であり、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲内である。
なお、ここでいう粒子径及び厚さは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡でアルミニウム顔料(B)を観察して得られた数値又はレーザー回折法等のレーザーを用いた粒度分布測定装置で測定された数値を意味する。
アルミニウム顔料(B)のアスペクト比は、色味及び遮蔽効果の点から、25〜300の範囲内であり、好ましくは40〜150の範囲内である。
アルミニウム顔料(B)は、市販のものを使用することができ、例えば、GX−3140(商品名、旭化成メタルズ株式会社製、平均粒子径14μm、厚さ0.2μm、アスペクト比70)、MH8805(商品名、旭化成メタルズ株式会社製、平均粒子径17μm、厚さ0.3μm、アスペクト比57)、7640NS(商品名、東洋アルミニウム社製、平均粒子径17μm、厚さ0.27μm、アスペクト比63)等を挙げることができる。
中塗り塗料(X)におけるアルミニウム顔料(B)の含有量は、得られる複層塗膜の明度及び仕上がり外観の点から、後述する樹脂組成物(D)の固形分総量に対して、1.0〜3.5質量%の範囲内であり、好ましくは1.5〜3質量%、特に好ましくは2.0〜3.0質量%の範囲内である。
<<黄色酸化鉄顔料(C)>>
黄色酸化鉄顔料(C)は、硫酸法酸化チタン顔料より色調が青みである塩素法酸化チタン顔料と組合せて、中塗り塗膜の色相調整及び光線透過抑制を目的として、使用されるものである。
黄色酸化鉄顔料(C)は、α−FeO(OH)又はα−Fe・HOで示されるオキシ水酸化鉄からなる黄色顔料であり、天然のものと合成のものが上市されている。
黄色酸化鉄顔料(C)は、針鉄鉱(ゲーサイト)の結晶系(斜方晶)に属し、形状は針状である。中塗り塗料(X)においては、塗装して得られる塗膜の色調の点から、針状の顔料であって、長さと幅のアスペクト比(長さ/幅)が6.0〜10.0程度のものを好適に使用することができる。また、長さ方向の寸法は0.6μm〜1.2μmのものを使用することができる。ここで、黄色酸化鉄顔料の形状を示す上記数値は、電子顕微鏡による観察により測定された数値である。
黄色酸化鉄顔料(C)は、例えば、TAROX LL−50(商品名、チタン工業株式会社製)、TAROX LL−XLO(商品名、チタン工業株式会社製)等として入手することができる。
中塗り塗料(X)における黄色酸化鉄顔料(C)の含有量は、塗装して得られる塗膜の色調や光線透過を制御する点から、後述する樹脂組成物(D)の固形分総量に対して、0.01〜2.0質量%であり、特に、0.05〜1.0質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、中塗り塗料(X)において、上記塩素法酸化チタン顔料(A)、アルミニウム顔料(B)及び黄色酸化鉄顔料(C)等の着色顔料は、粉体として塗料中に配合することができるが、着色顔料を樹脂組成物の一部と混合分散して予め顔料分散体を調製し、これを残りの樹脂組成物や他の成分と共に混合することにより塗料化することもできる。顔料分散体の調製にあたっては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、表面調整剤等の慣用の塗料添加剤を使用することができる。
<<樹脂組成物(D)>>
中塗り塗料(X)は、ビヒクル形成成分として、樹脂組成物(D)を含有する。
具体的には、水酸基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)等の架橋剤とを併用したものを挙げることができ、これらは有機溶剤及び/又は水等の溶媒に溶解または分散して使用される。
<<その他の成分>>
本発明において、中塗り塗料(X)には、上記酸化チタン(A)、アルミニウム顔料(B)及び黄色酸化鉄顔料(C)の他に、明度及び色調を調整する目的で、通常、塗料用途に使用される無機顔料、有機顔料等の着色顔料も必要に応じて含有させることができる。
さらに、中塗り塗料(X)には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤等の各種添加剤、艶調整剤、体質顔料等を適宜配合することができる。
中塗り塗料(X)は、VOC削減の観点から水性塗料であることが好ましい。
ここで、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗膜形成樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。中塗り塗料(X)が水性塗料である場合、中塗り塗料(X)中の水の含有量は、20〜80質量%程度が好ましく、30〜60質量%程度がより好ましい。
中塗り塗料(X)は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製することができる。塗装時の固形分含有率は、20〜60質量%、好ましくは30〜55質量%に調整しておくことが好ましい。
中塗り塗料(X)は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適正な粘度に調整した後に、回転霧化塗装、エアスプレー、エアレススプレー等公知の方法で、必要に応じて印加して、塗装することができ、その膜厚は、塗膜の平滑性や仕上がり性等の観点から、硬化塗膜に基づいて15〜40μm、好ましくは、20〜40μm、さらに好ましくは、20〜35μmの範囲内となるように塗装することができる。
本発明において、中塗り塗料(X)は、硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が0.1〜1.0%となるように各顔料の含有量が調整される。波長420nm〜500nmにおける光線透過率が前記範囲であると、光線透過が抑制され、得られる複層塗膜の耐候性向上という作用が得られる。波長420nm〜500nmにおける光線透過率は、好ましくは0.1〜0.7%、より好ましくは0.1〜0.5%、さらに好ましくは0.1〜0.4%である。
なお、本明細書において、光線透過率は、硬化膜厚が25μmとなるように平滑なPTFE(Polytetrafluoroethylene)板に塗装し、硬化、剥離した塗膜を分光光度計UV3700(商品名、株式会社島津製作所製)にて測定した数値として定義するものとする。
また、本発明において、中塗り塗料(X)は、硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜のL表色系におけるL値が85.0以上となるように各顔料の含有量を調整する。L値が85.0以上であると、高明度(白度が高い)の塗膜である。L値は、好ましくは85.0〜90.0の範囲内である。また、L表色系におけるa値が好ましくは−2.0〜2.0の範囲内で、b値が好ましくは0.5〜5.0の範囲内となるように、上記顔料の量組成を調整することが好ましい。
表色系とは、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本でもJIS Z 8729に採用された表色系であり、明度をL、色相と彩度を示す色度をa及びbで表すものである。aは赤方向(−aは緑方向)、bは黄方向(−bは青方向)を示すものである。
本明細書におけるL、a及びbは、多角度分光光度計CM512m(商品名、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、塗膜表面の垂直な軸に対して25度の照射光で、塗膜表面に対して90度で受光した分光反射率から計算した数値として定義するものとする。
<被塗物>
本発明の方法を適用する被塗物は、電着塗装が施された被塗物であれば特に限定されない。該被塗物としては、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車金属部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板金属部等を挙げることができる。これらの内、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料等を挙げることができる。
また、被塗物としては、自動車車体外板部、家庭電気製品、これらを構成する鋼板等の金属基材等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
本方法を適用する電着塗装が施された被塗物としては、なかでも、カチオン電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体が特に好ましい。
中塗り塗料(X)を塗装して得られる中塗り塗膜それ自体は、焼付け乾燥型の場合、通常、約80℃〜約180℃の温度で硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で硬化させることができる。
本発明の方法においては、中塗り塗膜を硬化させることなく未硬化の状態の中塗り塗膜上に水性ベース塗料(Y)が塗装される。
中塗り塗料(X)が水性塗料である場合、上記中塗り塗膜は、後述する工程(2)で水性ベース塗料(Y)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート(予備加熱)、エアブロー等を行うことが好ましい。なお、本発明において、硬化塗膜とは、JIS K 5600−1−1に規定された硬化乾燥状態、すなわち、塗面の中央を親指と人差指とで強く挟んで、塗面に指紋によるへこみが付かず、塗膜の動きが感じられず、また、塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすって、塗面にすり跡が付かない状態の塗膜である。一方、未硬化塗膜とは、塗膜が上記硬化乾燥状態に至っていない状態であって、JIS K 5600−1−1に規定された指触乾燥状態及び半硬化乾燥状態をも含むものである。
上記プレヒートの温度は、40〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましく、70〜90℃が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間が好ましく、1〜12分間がより好ましく、2〜10分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25℃〜80℃の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
中塗り塗膜は、水性ベース塗料(Y)を塗装する前に、例えば、上記プレヒート、エアブロー等の手段により、塗膜の固形分含有率が通常60〜100質量%、特に80〜100質量%、さらに特に80〜90質量%の範囲内となるように調整することが好ましい。
ここで、塗膜の固形分含有率は以下の方法により測定することができる:
被塗物上に中塗り塗料(X)を塗装すると同時に、予め質量(W)を測定しておいたアルミホイル上にも中塗り塗料(X)を塗装する。続いて、塗装後、プレヒートなどがされた該アルミホイルを水性ベース塗料(Y)が塗装される直前に回収し、その質量(W)を測定する。次に、回収したアルミホイルを110℃で60分間乾燥し、デシケーター内で室温まで放冷した後、該アルミホイルの質量(W)を測定し、以下の式に従って固形分含有率を求める。
固形分含有率(質量%)={(W−W)/(W−W)}×100
<工程(2)>
本発明の方法によれば、次に、工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)が塗装され、ベース塗膜が形成される。水性ベース塗料(Y)は、本発明により形成される白系の複層塗膜の意匠性の付与、中塗り塗膜との積層による意匠性及び深み感を向上させる塗料である。
まず上記ベース塗膜が、観察角度によって色の見え方が変化しないソリッド色を呈する塗膜である場合について説明する。この場合、ベース塗膜は、水性ベース塗料(Y)として水性カラーベース塗料を塗装することによって形成させることができる。
水性カラーベース塗料は、通常、着色顔料を含有する。着色顔料としては、具体的には、例えば、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料;酸化チタン顔料等の金属酸化物顔料及びカーボンブラック顔料等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
本発明において、水性カラーベース塗料における着色顔料の配合量は、複層塗膜の明度等の観点から、水性カラーベース塗料中の樹脂固形分総量に対して、通常0.01〜150質量%、特に0.05〜120質量%の範囲内であることが好ましい。
水性カラーベース塗料において配合せしめる着色顔料は、粉体として塗料中に配合することができるが、着色顔料を樹脂組成物の一部と混合分散して予め顔料分散体を調製し、これを残りの樹脂組成物や他の成分と共に混合することにより塗料化することもできる。顔料分散体の調製にあたっては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、表面調整剤等の慣用の塗料添加剤を使用することができる。
水性カラーベース塗料は、通常、ビヒクルとして、樹脂組成物を含有することができる。樹脂組成物としては、具体的には、水酸基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の基体樹脂を、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物(ブロック体も含む)等の架橋剤と併用したものを挙げることができ、これらは有機溶剤及び/又は水等の溶媒に溶解または分散して使用される。
さらに、水性カラーベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
水性カラーベース塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、特に15〜50質量%に調整しておくことが好ましい。
水性カラーベース塗料は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適正な粘度に調整した後に、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレー等の方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜40μm、特に10〜35μm、さらに特に15〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。
次に、形成されたベース塗膜が、観察角度によって色の見え方が変化するメタリック色を呈する塗膜である場合について説明する。この場合、ベース塗膜は、水性ベース塗料(Y)として水性メタリックベース塗料を塗装することによって形成させることができる。
水性メタリックベース塗料は塗膜に粒子感を付与することを目的として、通常、鱗片状光輝性顔料を含有する。鱗片状光輝性顔料としては、光反射性顔料及び光干渉性顔料の中から、1種類もしくは2種以上を組合せて適宜選択して使用することができる。
光反射性顔料としては、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料、表面を金属酸化物で被覆した鱗片状金属顔料、表面に着色顔料を化学吸着又は結合させた鱗片状金属顔料、表面に酸化反応を起こさせることにより酸化アルミニウム層を形成した鱗片状アルミニウム顔料等を挙げることができる。なかでも粒子感や仕上がり外観の点から鱗片状アルミニウム顔料を好適に使用することができる。
鱗片状アルミニウム顔料は、一般にアルミニウムをボールミルやアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造される。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸の他、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール等を使用することができる。粉砕媒液としてはミネラルスピリット等の脂肪族系炭化水素を使用することができる。
鱗片状アルミニウム顔料は、粉砕助剤の種類によって、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプに大別することができる。リーフィングタイプは、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リーフィング)し、金属感の強い仕上がりが得られ、熱反射作用を有し、防錆力を発揮するものであるため、生産設備等のタンク、ダクト、配管類および屋上ルーフィングをはじめ各種建築材料等に利用されることが多い。本発明において、リーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用可能であるが、このタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用した場合には、その配合量にもよるが、塗膜形成過程において、粉砕助剤の表面張力の効果によって、表面を完全に隠蔽してしまい、粒子感が発現しなくなる可能性があるので注意が必要である。この点から、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
上記鱗片状アルミニウム顔料の大きさは、平均粒子径が8〜25μm、特に10〜18μmの範囲内のものを使用することが、複層塗膜の仕上がり外観やハイライトの明度及び粒子感の点から好ましく、厚さは0.2〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。ここでいう粒子径及び厚さは、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
平均粒子径が前記上限値を超えると、得られる塗膜の粒子感が過剰になって意匠的に好ましくない場合があり、下限値未満では粒子感が不十分になる場合がある。
光干渉性顔料としては、具体的には、天然マイカ、人工マイカ、アルミナフレーク、シリカフレーク、ガラスフレーク等の半透明の基材を金属酸化物で被覆した顔料を使用することができる。
金属酸化物被覆マイカ顔料は、天然マイカ又は人工マイカを基材とし、基材表面に金属酸化物を被覆した顔料である。天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材であり、人工マイカとは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiF等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさや厚さが均一なものである。具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSi10)、カリウム四ケイ素雲母(KMg25AlSi10)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg25AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSi10)、LiNaテニオライト(LiNaMgLiSi10)等が知られている。被覆金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆金属酸化物によって、干渉色を発現することができるものである。
金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、アルミナフレークを基材とし、基材表面に金属酸化物が被覆した顔料である。アルミナフレークとは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。酸化アルミニウム単一成分である必要はなく、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。被覆金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆金属酸化物によって、干渉色を発現することができるものである。
金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、表面が平滑で且つ厚さが均一な基材である鱗片状シリカを、基材とは屈折率が異なる金属酸化物で被覆したものである。被覆金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆金属酸化物によって、干渉色を発現することができるものである。
金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料とは、鱗片状のガラス基材に金属酸化物を被覆したものであって、基材表面が平滑なため、強い光の反射が生じて粒子感を発現する。被覆金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆金属酸化物によって、干渉色を発現することができるものである。
上記光干渉性顔料は、分散性や耐水性、耐薬品性、耐候性等を向上させるための表面処理が施されたものであってもよい。
上記、光干渉性顔料の大きさは、天然マイカ、人工マイカ、アルミナフレーク、シリカフレークを基材とする光干渉性顔料の場合は、塗膜の仕上がり外観や粒子感の点から平均粒子径が5〜30μm、特に7〜25μmの範囲内のものを好適に使用することができる。
ガラスフレークを基材とする光干渉性顔料の場合は、塗膜の粒子感の点から平均粒子径が15〜100μm、特に17〜45μmの範囲内のものを好適に使用することができる。
厚さは0.05〜7.0μmの範囲内のものを使用することが好ましい。
平均粒子径が前記上限値を超えると複層塗膜の光干渉性顔料による粒子感が過剰になって意匠的に好ましくない場合があり、下限値未満では粒子感が不十分になる場合がある。
前記水性メタリックベース塗料における鱗片状光輝性顔料の含有量は、得られる塗膜の仕上がり外観や粒子感の点から、塗料中の樹脂組成物固形分総量に対して、合計で0.01〜25質量%、特に0.01〜15質量%、さらに特に0.05〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
前記水性メタリックベース塗料には、得られる塗膜の色相や明度を微調整することを目的として、着色顔料を含有させることができる。該着色顔料としては、具体的には、例えば、透明性酸化鉄顔料、チタンイエロー等の複合酸化物顔料、微粒子酸化チタンを含む酸化チタン顔料、カーボンブラック顔料等の無機顔料や、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料が挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
該着色顔料は、粉体として塗料中に配合することができるが、着色顔料を樹脂組成物の一部と混合分散して予め顔料分散体を調製し、これを残りの樹脂組成物や他の成分と共に混合することにより塗料化することもできる。顔料分散体の調製にあたっては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、表面調整剤等の慣用の塗料添加剤を使用することができる。
前記水性メタリックベース塗料に着色顔料を含有させる場合、その配合量は、複層塗膜の明度等の観点から、塗料中の樹脂組成物の固形分総量に対して、通常、0.01〜20質量%、特に、0.1〜15質量%の範囲内であることが好ましい。
水性メタリックベース塗料は、通常、ビヒクル形成成分として樹脂組成物を含有する。樹脂組成物としては、具体的には、水酸基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)等の架橋剤とを併用したものを挙げることができ、これらは有機溶剤及び/又は水等の溶媒に溶解または分散して使用される。
さらに、水性メタリックベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤等の各種添加剤、艶調整剤、体質顔料等を適宜配合することができる。
水性メタリックベース塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、特に15〜50質量%に調整しておくことが好ましい。
水性メタリックベース塗料は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適正な粘度に調整した後に、回転霧化塗装、エアスプレー、エアレススプレー等公知の方法で塗装することができる。
本発明の複層塗膜形成方法は、上記のうち、一般に着色顔料の量が少ない、ベース塗膜が、観察角度によって色の見え方が変化するメタリック色を呈する塗膜を形成させる水性メタリックベース塗料を使用する場合に、特に好適に使用することができるものである。
水性ベース塗料(Y)の塗装膜厚は、塗膜の平滑性等の観点から、硬化塗膜に基づいて5〜30μmの範囲内となるように塗装することが好ましく、より好ましくは、10〜20μmの範囲内である。
水性ベース塗料(Y)を塗装して得られるベース塗膜それ自体は、焼付け乾燥型の場合、通常、約80℃〜約180℃の温度で硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で硬化させることができる。
本発明の方法においては、ベース塗膜を硬化させることなく未硬化の状態のベース塗膜上に後述するクリヤー塗料(Z)が塗装される。
上記ベース塗膜は、クリヤー塗料(Z)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件で前記プレヒート、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、60〜80℃が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間が好ましく、1〜10分間がより好ましく、2〜5分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、例えば、被塗物の塗装面に、常温又は25℃〜80℃の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
ベース塗膜は、クリヤー塗料(Z)を塗装する前に、必要に応じて、上記プレヒート、エアブロー等を行うことにより、塗膜の固形分含有率が通常70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは80〜90質量%の範囲内となるように調整することが好適である。
<工程(3)>
本発明の方法によれば、上記の如くして水性ベース塗料(Y)を塗装して得られたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装して、クリヤー塗膜を形成する。
本発明の方法において使用するクリヤー塗料としては、それ自体既知のクリヤー塗料を制限なく使用することができる。具体的には基体樹脂及び架橋剤からなる樹脂組成物を必須成分とし、さらに必要に応じて、塗料用添加剤、水もしくは有機溶剤等の溶媒等を配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状もしくは粉体状のクリヤー塗料を挙げることができる。
基体樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基等の架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂等の樹脂を挙げることができる。架橋剤としては、該基体樹脂の官能基と反応しうる官能基を有する化合物又は樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシリル基含有化合物又は樹脂等を挙げることができる。
該樹脂組成物中における基体樹脂と架橋剤の割合には特に制限はないが、一般に、架橋剤は、基体樹脂固形分総量に対して、10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜40質量%の範囲内で使用することができる。
クリヤー塗料には、必要に応じて、水や有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レオロジーコントロール剤、沈降防止剤等の塗料用添加剤を適宜配合することができる。
クリヤー塗料には、また、塗膜の透明性及び複層塗膜の色調を損なわない範囲内において、着色顔料を適宜使用することができる。着色顔料としては、塗料用としてそれ自体既知の顔料を単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。その配合量は、使用される着色顔料の種類等により異なるが、クリヤー塗料中の樹脂組成物の固形分総量に対して、通常、30質量%以下、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の範囲内とすることができる。
クリヤー塗料は、前述の各成分を混合分散せしめることによって調製することができる。
クリヤー塗料は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適した粘度に調整した後、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレー等の方法により塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて15〜50μm、特に25〜40μmの範囲内とすることが好ましい。
クリヤー塗料が液状である場合、通常、固形分濃度が30〜60質量%、好ましくは40〜55質量%、そして20℃における粘度がフォードカップNo.4で測定して18〜35秒となるように調整しておくことが好ましい。クリヤー塗料を塗装して得られるクリヤー塗膜それ自体は常温〜約150℃の温度で加熱して硬化させることができる。
また、クリヤー塗料(Z)の塗装後は、必要に応じて、室温で1〜60分間程度のインターバルをおいたり、50〜110℃程度で1〜30分間程度プレヒートすることができる。
<工程(4)>
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記工程(1)〜(3)で形成される未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜が、一度に加熱硬化される。
上記中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜の硬化は、通常の塗膜の加熱手段、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等により行うことができる。加熱温度は、80〜180℃が好ましく、110〜170℃がより好ましく、130〜160℃がさらに好ましい。また加熱時間は、10〜90分間が好ましく、15〜60分間がより好ましい。この加熱により、中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜の3層からなる複層塗膜を一度に硬化させることができる。
また、本発明の方法により得られる複層塗膜は、仕上がり外観の観点から、その膜厚を硬化塗膜に基づいて、45〜95μmとするのが好ましく、より好ましくは50〜90μmである。
本発明の複層塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車車体の外板に複層塗膜を形成するのに好適に使用することができ、本発明の方法により得られた塗装物品は、明度が高く、仕上がり外観及び耐候性に優れたものとなる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものであり、また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
また、水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
(製造例1〜10:中塗り塗料(X)の製造)
<樹脂組成物(D)の調製>
下記水酸基含有アクリル樹脂溶液(i)50部(樹脂固形分20部)、下記水酸基含有アクリル樹脂分散液(ii)83.3部(樹脂固形分25部)、ウレタン樹脂エマルション(商品名「ユーコートUX−485」、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルション、固形分40%、三洋化成工業株式会社製)75部(樹脂固形分30部)及びメラミン樹脂(メチルエーテル化メラミン樹脂、重量平均分子量800、固形分70%)35.7部(樹脂固形分25部)を、室温下で撹拌混合し、樹脂組成物(D)を得た。
水酸基含有アクリル樹脂溶液(i):
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30部を仕込み85℃に昇温後、スチレン10部、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、n−ブチルアクリレート11.5部、ヒドロキシエチルアクリレート30部、アクリル酸3.5部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル5部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらに2−(ジメチルアミノ)エタノール3.03部を加え、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度40%の水酸基含有アクリル樹脂溶液(i)を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の酸価は27mgKOH/g、水酸基価は145mgKOH/g、数平均分子量は10000であった。
水酸基含有アクリル樹脂分散液(ii):
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。次いで、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下した。滴下終了後、1時間熟成した。
次いで、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下した。1時間熟成した後、5% 2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過することにより、濾液として、平均粒子径108nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈して20℃で測定した。)、固形分濃度30%の水酸基含有アクリル樹脂分散液(ii)を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の酸価は33mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、「アクアロンKH−10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート38部及びn−ブチルアクリレート11部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、「アクアロンKH−10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部及びn−ブチルアクリレート10.8部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
<中塗り塗料(X)の製造>
上記調製した樹脂組成物(D)の固形分100部あたり、表1に示す量(固形分)の顔料を配合して、ASE−60(アルカリ膨潤型増粘剤、商品名、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加して調整、攪拌混合することにより、pH8.2、塗料固形分48%、20℃におけるB型粘度計による粘度を800〜2000mPa・sに調整した各中塗り塗料(X1)〜(X10)を得た。
なお、中塗り塗料(X6)〜(X10)は、比較例用の中塗り塗料である。
(L,a,bの測定)
予めN−7グレー色の塗膜が形成されたブリキ板に、上記各中塗り塗料(X1)〜(X10)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装し、室温約20℃の実験室に15分放置した後に、温風乾燥機を使用して140℃で30分間乾燥せしめて、硬化塗膜を得た。多角度分光光度計CM512m(商品名、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、塗膜表面の垂直な軸に対して25度の照射光で、塗膜表面に対して90度で受光した分光反射率から、L,a及びbを測定した。結果を表1に示す。
(光線透過率の測定)
平滑なPTFE板に上記各中塗り塗料(X1)〜(X10)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装し、室温約20℃の実験室に15分放置した後に、温風乾燥機を使用して140℃で30分間乾燥せしめて、硬化塗膜を得た。得られた塗膜を剥離してフリーフィルムを作成し、分光光度計UV3700(商品名、株式会社島津製作所製)を使用して波長420nm〜500nmの光線透過率を測定し、平均値を表1に示した。
(製造例11:水性ベース塗料(Y)の製造)
下記水酸基含有アクリル樹脂分散液(iii)100部(固形分30部)、下記水酸基含有水溶性アクリル樹脂(iv)73部(固形分40部)、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂(固形分60%、重量平均分子量2,000)50部(固形分30部)及びXirallic T60−10WNT Crystal Silver(商品名,酸化チタン被覆酸化アルミニウムフレーク顔料,メルク社製)10部を配合して、ASE−60(アルカリ膨潤型増粘剤、商品名、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加して調整、攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、pH8.0、塗料固形分23%の水性ベース塗料(Y1)を得た。
水酸基含有アクリル樹脂分散液(iii):
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。次いで、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下した。滴下終了後、1時間熟成した。次いで、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下した。1時間熟成した後、5% 2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過することにより、濾液として、平均粒子径120nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて、脱イオン水で希釈して20℃で測定した。)、固形分濃度30%の水酸基含有アクリル樹脂分散液(iii)を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂分散液(iii)の酸価は33mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、「アクアロンKH−10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、「アクアロンKH−10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
水酸基含有水溶性アクリル樹脂(iv):
フラスコにプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、n−ブチルアクリレート29部、ヒドロキシエチルアクリレート15部、アクリル酸6部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部を加え、固形分濃度55%、酸価47mgKOH/g、水酸基価72mgKOH/gの水酸基含有水溶性アクリル樹脂(iv)を得た。
<試験板の作成>
(試験用被塗物の作製:電着塗装が施された被塗物)
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に「エレクロンGT−10」(商品名、関西ペイント株式会社製、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
(実施例1)
上記試験用被塗物に、前記製造例1で得た中塗り塗料(X1)を回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化塗膜として25μmとなるように静電塗装し、3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の中塗り塗膜上に前記製造例11で得た水性ベース塗料(Y1)を回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装し、5分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。
次いで、該未硬化のベース塗膜上にクリヤー塗料(Z1)(アクリル樹脂系酸/エポキシ硬化溶剤型上塗クリヤー塗料、商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント株式会社製)を硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した。
その後、140℃で30分間加熱して、中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる該複層塗膜を一度に加熱硬化させることにより試験板を作製した。
(実施例2〜5及び比較例1〜5)
実施例1において、中塗り塗料(X1)を中塗り塗料(X2)〜(X10)のいずれかに変更する以外は、実施例1と同様にして各試験板を作製した。
得られた各試験板につき、仕上がり外観(平滑性)及び促進耐候性の試験を以下の試験方法及び評価方法に基づき行った。試験結果は表1に併せて示す。
<平滑性>
「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWc値を用いて評価した。Wc値は、1〜3mm程度の波長の表面粗度の振幅の指標であり、測定値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示し、Wc値が18以下であると平滑性に優れる。
<促進耐候性試験>
Superxenonウェザーメーター(商品名、促進耐候性試験機、スガ試験機株式会社製)を使用して、JIS K5600−7−7(方法1)に記載された試験条件にて照射と降雨条件を組み合わせたサイクル試験を行った。サイクル試験時間の合計が3000時間後に、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmの碁盤目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後の碁盤目塗膜の残存数を調べ、下記基準「〇」、「△」、「×」により評価した。
○:碁盤目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さな縁欠けが生じていない
△:碁盤目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さな縁欠けが生じている
×:碁盤目塗膜の残存数が99個以下である。
表1の結果から、実施例1〜5はいずれも、中塗り塗料(X)のL値が85.0以上であり、白度が高い(高明度である)ことがわかった。また、実施例1〜5は、光線透過率も低く、複層塗膜の耐候性に優れると共に、平滑性も高く、仕上がり外観にも優れることがわかった。一方、比較例1〜5は、中塗り塗料(X)のL値及び光線透過率の基準、並びに、複層塗膜の平滑性と耐候性を全て満たすことができなかった。

Claims (4)

  1. 電着塗装が施された被塗物に、下記の工程(1)〜(4):
    工程(1):前記被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装してL値が85.0以上の中塗り塗膜を形成する工程、
    工程(2):前記工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)を塗装してベース塗膜を形成する工程、
    工程(3):前記工程(2)で形成されたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程、及び
    工程(4):前記工程(1)〜(3)で形成された中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を一度に加熱硬化する工程、
    を順次行なう複層塗膜形成方法であって、
    前記中塗り塗料(X)が、平均粒子径200nm〜700nmの塩素法酸化チタン顔料(A)、平均粒子径が12〜30μm、厚さが0.05〜0.5μm、かつアスペクト比が25〜300であるアルミニウム顔料(B)、黄色酸化鉄顔料(C)、及び樹脂組成物(D)を含有し(ただし、前記中塗り塗料(X)はカーボンブラック顔料は含有しない。)
    該樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が50〜120質量%、前記アルミニウム顔料(B)の含有量が1.0〜3.5質量%、前記黄色酸化鉄顔料(C)の含有量が0.01〜2.0質量%であり、
    前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が0.1〜1.0%であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が、0.1〜0.5%である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が、樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、80〜120質量%である請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法によって得られた塗装物品。
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