JP5892698B2 - 水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法 - Google Patents

水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクリル樹脂粒子、水酸基含有樹脂、架橋剤、粘性調整剤及び顔料を含有する事を特徴とする水性塗料組成物並びに複層塗膜形成方法に関する。
自動車車体又は自動車部品等の優れた外観が要求される被塗物に対する塗装は、形成される塗膜の外観や生産効率等の観点から、一般に、塗料を微粒化して塗装する方法が用いられる。このような塗装方法としては、具体的には、例えば、スプレー塗装、回転霧化塗装等が挙げられる。
塗料を微粒化して塗装する場合、使用される塗料は、一般に、スプレー時、回転霧化時等の塗料微粒化時には、その粘度が低く、より小さな塗料粒子が形成されることが、平滑性に優れた塗膜が形成されるため、好ましい。また、一方で、塗料が被塗物に塗着した後は、塗料粘度が比較的高いことが、上層又は/及び下層に塗装される塗料との混層が起こりにくく、鮮映性に優れた塗膜が形成され、更に被塗物の垂直面で塗膜が垂れにくくなるため、好ましい。また、上記塗料がアルミニウム顔料等の光輝性顔料を含有するベース塗料の場合、該塗料が被塗物に塗着した後の塗料粘度が高いと、塗料中の光輝性顔料が動きにくく、配向が乱れにくくなるため、光輝性に優れた塗膜を形成することができる。なお、光輝性に優れた塗膜とは、一般に、角度を変えて塗膜を観察した際に、観察の角度による明度の変化が顕著であり、さらに、光輝性顔料が塗膜中に比較的均一に存在して、メタリックムラがほとんど見られない塗膜をいう。また、上記のように、観察の角度による明度の変化が顕著であることは、一般に、フリップフロップ性が高いといわれる。
上記のような理由から、微粒化時のようにせん断速度が大きい時は粘度が低く、塗料静置時や塗着時のようにせん断速度が小さい時は粘度が高い塗料であることが、貯蔵性(顔料沈降性又は色分かれ性など)や優れた外観を有する塗膜を形成することができるため、好ましい。すなわち、せん断速度の増加と共に粘度が低下する塗料であることが好適である。
ところで、従来、自動車車体又は自動車部品における複層塗膜形成方法としては、被塗物(電着塗装された鋼板、プラスチックなど)に、プライマー塗料(中塗り塗料)の塗装→加熱硬化→ベース塗料の塗装→クリヤー塗料の塗装→加熱硬化を順次行なう3コート2ベーク方式により複層塗膜を形成せしめる方法が広く採用されている。
一般に、上記3コート2ベーク方式は、光輝性顔料を含有するベース塗料を使用して、所謂メタリック色の塗膜を形成せしめる場合に採用される。
これに対し、近年、ライン工程の短縮及び省エネルギーの観点から、プライマー塗装後の加熱硬化工程又はプライマー塗装工程を省略し、プライマー塗料の塗装→ベース塗料の塗装→クリヤー塗料の塗装→加熱硬化を順次行なう3コート1ベーク方式及びベース塗料の塗装→クリヤー塗料の塗装→加熱硬化を順次行なう2コート1ベーク方式(塗料を塗装後にプレヒート(予備加熱)工程を入れても良い)が検討されている。なかでも、有機溶剤の揮散による環境汚染を抑制する観点から、ベース塗料として水性塗料を用いた3コート1ベーク方式及び2コート1ベーク方式が特に求められている。
しかしながら、上記3コート1ベーク方式又は2コート1ベーク方式にした場合、水性ベース塗料とプライマー塗料、及び/又は水性ベース塗料とクリヤー塗料との層間で、混層による形成塗膜の平滑性、鮮映性及びフリップフロップ性の低下が生じる場合があり、課題とされていた。
上記水性ベース塗料において、塗着後のせん断速度が低い時に粘度を上げ、混層を抑制せしめる手段としては、塗料中に会合型粘性調整剤を配合する方法が挙げられる。該会合型粘性調整剤は、一般に、1分子中に親水性部分と疎水性部分を有し、水性塗料中において、親水性部分が水溶液中での安定性に寄与し、疎水性部分が水性塗料中に配合している顔料やアクリル・エマルション粒子の表面に吸着したり、疎水性部分同士が会合したりすることにより、網状構造を形成し、効果的に増粘作用を示す粘性調整剤である。また、会合による増粘効果を上げるため、該アクリル・エマルション粒子においては、疎水性モノマーを含有する事が好ましい。
上記会合型粘性調整剤は、通常、疎水性相互作用によって網状構造を形成し、粘度を発現する。一方で、大きなせん断力が加わった場合は、疎水性相互作用及び網状構造が崩れ、粘度が低下する。このため、該会合型粘性調整剤を含有する水性塗料は、せん断速度の増加と共に粘度が低下する粘性特性を有する。
上記水性ベース塗料は、一般に、疎水性の樹脂成分を水中に分散させるため、界面活性剤を含有する場合がある。また、水溶性樹脂、添加剤、又は顔料分散ペ−ストを含有する場合、含有する親水性有機溶媒が水性塗料に持ち込まれる場合がある。
しかしながら、上記界面活性剤及び/又は親水性有機溶媒を含有する水性ベース塗料において、会合型粘性調整剤を使用する場合、会合型粘性調整剤による粘度が発現しにくくなり、形成される塗膜の平滑性、鮮映性及びフリップフロップ性が低下する場合があるため、課題とされていた。具体的には、該水性ベース塗料が被塗物に塗着した時の粘度が低い場合、上層及び/又は下層に塗装される塗料との間に混層が生じて、形成される塗膜の平滑性や鮮映性が低下したり、水性塗料が光輝性顔料を含有する場合に、塗料が塗着した後に塗料中の光輝性顔料が動き、光輝性顔料の配向が不規則になって、フリップフロップ性が低下したり、メタリックムラが発生したりする場合があった。一方で、水性塗料中の会合型粘性調整剤の含有量を増やすことにより、塗着した時の粘度を高くする場合は、せん断速度が大きい時の粘度も高くなり、塗料を微粒化した時の塗料粒子が大きくなるため、形成される塗膜の平滑性が劣る場合があった。
特許文献1には、親水性ポリマーを疎水化修飾して得られる、及び/又は、疎水性ポリマーを親水化修飾して得られる、疎水性部分と親水性部分とを備える粘性制御剤は、水性分散体の粘度の濃度依存性を低減することができ、さらに、該粘性制御剤を用いた水性塗料は、塗装条件、特に温湿度条件の変動にかかわらず、安定したフロー性を発揮し、安定的に良好な仕上がりの塗膜が得られることが記載されている。しかしながら、該粘性制御剤は、粘度の発現が不十分な場合があった。特に、該粘性制御剤を、界面活性剤及び/又は親水性有機溶媒を含有する塗料中で使用した場合、十分な粘度が得られず、形成される塗膜の鮮映性及びフリップフロップ性が低下したり、メタリックムラが発生したりする傾向があった。
特許文献2には、特定の構造を有するウレタン系粘性調整剤が、増粘性とチクソトロピック性に優れた増粘、粘度調整剤となることが記載されている。なお、チクソトロピック性とは、上述の、せん断速度の増加と共に粘度が低下する粘性特性のことである。しかしながら、該ウレタン系粘性調整剤は、粘度の発現が不十分な場合があった。特に、該ウレタン系粘性調整剤を、界面活性剤及び/又は親水性有機溶媒を含有する塗料中で使用した場合、十分な粘度が得られず、形成される塗膜の鮮映性及びフリップフロップ性が低下したり、メタリックムラが発生したりする傾向があった。
特許文献3には、基材上に、中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を、順次ウエットオンウエットで形成する3コート1ベーク方式の塗膜形成方法において、中塗り塗膜を形成する中塗り塗料及びベース塗膜を形成するベース塗料が、アミド基含有アクリル樹脂及び架橋剤を含有するものであり、かつ中塗り塗料中に含まれる架橋剤が、脂肪族イソシアナート系の活性メチレンブロックイソシアナートからなる塗膜形成方法が記載されている。この架橋剤である該脂肪族イソシアナート系の活性メチレンブロックイソシアナートが、平均官能基数が3よりも大きいものである場合に、アミド基含有アクリル樹脂によって、粘性制御効果が発揮され、3コート1ベーク法で塗装した場合における各塗膜層間の界面でのなじみや反転を制御され、更に、中塗り塗膜の硬化がベース塗膜及びクリヤー塗膜よりも先に開始し、充分なフロー性を確保することができ、電着塗膜の肌荒れに対する下地隠蔽性を優れたものとなるため、仕上がり外観に優れ、かつ、塗膜物性、特に耐チッピング性に優れた複層塗膜が得られることが記載されている。しかしながら、塗料中での活性メチレンブロックイソシアナートの貯蔵安定性が悪く、平滑性及び鮮映性の低下や硬化不足による付着性及び耐水性の低下が生じたりする場合があった。
特許文献4には、基材上に第1水性塗料、第2水性塗料、及びクリヤ塗料を順次ウェットオンウェットで塗装して複層塗膜を形成するための第2水性塗料において、(a)多官能性ビニルモノマーを含むビニル重合性モノマーの共重合体で構成されるエマルション、(b)アミド基含有水溶性アクリル樹脂、(c)ウレタンエマルション及び(d)架橋剤を含有した場合、エマルション粒子内の架橋構造により、ウェットオンウェットで塗装された場合でも、クリヤ塗料成分の下層塗膜への浸入が抑制されるため、上層塗膜との混層が制御される。その結果、低エネルギー化が可能で、外観及び耐水性に優れた複層塗膜が得られること、また、第2水性塗料は、(b)アミド基含有水溶性アクリル樹脂、(c)ウレタンエマルション及び(d)架橋剤の含有により貯蔵安定性にも優れることが記載されている。しかしながら、中塗り塗料と水性ベース塗料、及び/又は水性ベース塗料とクリヤー塗料との層間において、混層による形成塗膜の平滑性、鮮映性及びフリップフロップ性の低下が生じたり、加熱温度が低くなると、硬化不足による耐水性の低下が生じる場合があった。
特開2000−1662号公報 特開2002−69430号公報 特開2002−153806号公報 特開2007−297545号公報
本発明は、粘度の発現性が高く、かつ、せん断速度の増加と共に粘度が低下する粘度特性を有する水性塗料組成物を提供すること、特に、該水性塗料組成物を水性ベース塗料組成物として、3コート1ベーク方式又は2コート1ベーク方式で塗り重ね、各層を同時に加熱硬化して複層塗膜を形成せしめる場合に、平滑性、鮮映性、フリップフロップ性、付着性及び耐水性に優れた複層塗膜を形成することができる水性塗料組成物を提供すること、また、該水性塗料組成物を使用した複層塗膜形成方法及び該水性塗料組成物が塗装された物品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、今回、アクリル樹脂粒子、水酸基含有樹脂、架橋剤、粘性調整剤及び顔料を含有する水性塗料組成物において、該アクリル樹脂粒子がコア部を架橋せしめたコア・シェル構造を有し、かつ該アクリル樹脂粒子(A)が炭素数4以上の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーからなり、該水酸基含有樹脂の重量平均分子量が1,000以上100,000未満であり、該粘性調整剤がポリオキシアルキレン基を有する重合性不飽和モノマー、ポリオキシアルキレン基を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーからなり、かつ該粘性調整剤の重量平均分子量が100,000以上であることを特徴とする水性塗料組成物を水性ベース塗料組成物として3層又は2層塗り重ね、各層を同時に加熱硬化して複層塗膜を形成せしめる場合に、平滑性、鮮映性、フリップフロップ性、付着性及び耐水性に優れた複層塗膜を形成せしめることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のアクリル樹脂粒子、水酸基含有樹脂、架橋剤、粘性調整剤及び顔料を含有する水性塗料組成物、該水性塗料組成物を使用した塗膜形成方法、並びに該水性塗料組成物が塗装された物品を提供するものである。

項1.アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)、架橋剤(C)、粘性調整剤(D)及び顔料(E)を含有する水性塗料組成物において、
該アクリル樹脂粒子(A)は、質量比10/90〜90/10のコア・シェル構造を有し、コア部は架橋されており、かつ該アクリル樹脂粒子(A)を構成する重合性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)量が3〜70質量部であり、
該水酸基含有樹脂(B)は、1,000以上で、かつ100,000未満の重量平均分子量を有し、
該粘性調整剤(D)は、100,000以上の重量平均分子量を有し、かつ構成するモノマー総量100質量部に対して、ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー(d1)5〜50質量部、N−ビニル−2−ピロリドン、N−置換(メタ)アクリルアミド、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び酸基含有重合性不飽和モノマーから選ばれる少なくとも一種のポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)5〜90質量部、その他の重合性不飽和モノマー(d3)5〜90質量部、
であることを特徴とする水性塗料組成物。
項2.上記架橋剤(C)が、ブロックポリイソシアネート化合物であることを特徴とする前記項1に記載の水性塗料組成物。
項3.上記ブロックポリイソシアネート化合物が、少なくともその一種として、下記一般式(I)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(I)中、R、R、R及びRは、互いに独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。〕、
下記一般式(II)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(II)中、R、R、R及びRは前記と同じ。〕、
及び下記一般式(III)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(III)中、R、R、R及びRは前記と同じであり、Rは、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
から選ばれる少なくとも一種のブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)を含有することを特徴とする前記項2に記載の水性塗料組成物。
項4.前記一般式(I)において、Rがイソプロピル基である前記項3に記載の水性塗料組成物。
項5.前記一般式(III)において、Rがイソプロピル基である前記項3又は4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
項6.前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)が、下記一般式(IV)
Figure 0005892698
〔式(IV)中、Rは前記と同じであり、互いに同一でも、異なっていてもよい。〕
で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)と下記一般式(VI)で示される2級アルコール(cb4)
Figure 0005892698
〔式(VI)中、R、R、R及びRは前記と同じである。〕
とを反応させて得られるものである前記項3又は4に記載の水性塗料組成物。
項7.前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)が、下記一般式(V)
Figure 0005892698
〔式(V)中、Rは前記と同じであり、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)と前記一般式(VI)で示される2級アルコール(cb4)とを反応させて得られる前記項3又は5のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
項8.前記ブロックポリイソシアネート化合物が、親水基を有するブロックポリイソシアネート化合物であることを特徴とする前記項2〜7のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
項9.前記粘性調整剤(D)を構成するポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)が、少なくともその一種として(メタ)アクリル酸を含有し、該粘性調整剤(D)の酸価が50〜600mgKOH/gであることを特徴とする前記項1〜8のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
項10.前記粘性調整剤(D)を構成するその他の重合性不飽和モノマー(d3)が、少なくともその一種として、炭素数3以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーを含有することを特徴とする前記項1〜9のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
項11.工程1−1:被塗物上に、プライマー塗料組成物(X)を塗装してプライマー塗膜を形成せしめる工程、
工程1−2:工程1−1で形成された未硬化のプライマー塗膜上に、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装してベース塗膜を形成せしめる工程、
工程1−3:工程1−2で形成された未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成せしめる工程、及び
工程1−4:工程1−1〜1−3で形成される未硬化のプライマー塗膜、未硬化のベース塗膜、及び未硬化のクリヤー塗膜を同時に加熱硬化せしめる工程
を含み、上記水性ベース塗料組成物(Y)が前記項1〜10のいずれか1項に記載の水性塗料組成物である複層塗膜形成方法。
項12.工程2−1:被塗物上に、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装してベース塗膜を形成せしめる工程、
工程2−2:工程2−1で形成された未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成せしめる工程、及び
工程2−3:工程2−1〜2−2で形成される未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を同時に加熱硬化せしめる工程
を含み、上記水性ベース塗料組成物(Y)が前記項1〜10のいずれか1項に記載の水性塗料組成物である複層塗膜形成方法。
項13.上記クリヤー塗料組成物(Z)が、水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする前記項11又は12のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
項14.前記加熱硬化温度が70〜140℃であることを特徴とする前記項11〜13のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
項15.前記項11〜14のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法により形成された複層塗膜を有する物品。
本発明の水性塗料組成物は、粘度の発現性が高く、かつ、せん断速度の増加と共に粘度が低下する粘度特性を有する。特に、該水性塗料組成物を水性ベース塗料組成物として3層又は2層塗り重ね、各層を同時に加熱硬化して複層塗膜を形成せしめる場合に、平滑性、鮮映性、フリップフロップ性、付着性及び耐水性に優れた複層塗膜を形成することができる。
以下、本発明の水性塗料組成物について詳細に説明する。
水性塗料組成物
本発明の水性塗料組成物は、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)、架橋剤(C)、粘性調整剤(D)及び顔料(E)を含有する。
アクリル樹脂粒子(A)
本発明の水性塗料組成物に用いられるアクリル樹脂粒子(A)は、水性媒体中での2段重合によって製造されるコア・シェル構造を有し、コア部を構成する共重合体(I)とシェル部を構成する共重合体(II)の割合が、固形分質量比で10/90〜90/10程度の範囲内であるコア・シェル型のアクリル樹脂粒子(A)である。
アクリル樹脂粒子(A)を構成する重合性不飽和モノマー(a)
上記アクリル樹脂粒子(A)を構成する重合性不飽和モノマー(a)としては、該アクリル樹脂粒子(A)を構成する重合性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)が3〜70質量部含有する以外は特に制限されるものではなく、例えば、以下に記載する(a1)〜(a5)の重合性不飽和基を有する化合物を好適に使用することができる。
尚、本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
また、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル又はメタクリロイル」、「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミド又はメタクリルアミド」をそれぞれ意味する。
炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)
炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーは、水酸基含有重合性不飽和モノマー等の親水性基を有するモノマーは除外される。該モノマーの具体例としては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレートなどのイソボルニル基を有する重合性不飽和化合物;アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンチル基を有する重合性不飽和化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー等が挙げられる。
重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)
重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーの具体例としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)
水酸基含有重合性不飽和モノマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a4)
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられる。
(a1)〜(a4)以外の重合性不飽和モノマー(a5)
(a1)〜(a4)以外の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等の炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等のウレタン結合を含まない含窒素重合性不飽和モノマー;イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと水酸基含有化合物との反応生成物又は水酸基含有重合性不飽和モノマーとイソシアネート基含有化合物との反応生成物等のウレタン結合を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等、これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは特に限定されることはなく、アクリル樹脂粒子(A)を構成する重合性不飽和モノマーとして他の重合性不飽和モノマーと共重合できるものであれば好適に使用できる。
コア部共重合体(I)
本発明のアクリル樹脂粒子(A)を構成するコア部共重合体(I)は、架橋構造であることを特徴とする共重合体である。上記コア部共重合体(I)を架橋構造にせしめる手法としては、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)を含むモノマーを共重合することで架橋せしめても良く、また、イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと水酸基含有重合性不飽和モノマー、又はグリシジル基含有重合性不飽和モノマーとカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーなど、互いに反応する重合性不飽和モノマーを含むモノマー成分を共重合することで架橋せしめても良いが、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)を用いて架橋せしめることがより好ましい。
上記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)は、コア部共重合体(I)に架橋構造を付与する機能を有し、前記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)として例示した重合性不飽和モノマーの中から、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて好適に使用できるが、得られる塗料の粘性及び塗膜性能から、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。
上記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)の使用割合は、コア部共重合体(I)の架橋の程度に応じて適宜決定し得るが、通常、コア部共重合体(I)を構成するモノマーの合計質量を基準として、0.3〜10質量部程度であるのが好ましく、0.5〜5質量部程度であるのがより好ましく、0.8〜3質量部程度であるのが更に好ましい。
上記コア部共重合体(I)の共重合成分としては、上記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)以外に、上記炭素数4以上の炭化水素基を有する共重合性不飽和モノマー(a1)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a4)及び(a1)〜(a4)以外の重合性不飽和モノマー(a5)で例示した重合性不飽和モノマーの中から、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて好適に使用することができる。
シェル部共重合体(II)
本発明のアクリル樹脂粒子(A)を構成するシェル部共重合体(II)は、該共重合体の構成成分として、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)及びカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a4)を含有することが好ましい。
また、得られる塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a2)は使用せず、該共重合体(II)を未架橋とすることが好ましい。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)は、得られるアクリル樹脂粒子(A)に、架橋剤(C)と架橋反応する水酸基を導入せしめることによって塗膜の耐水性等を向上させると共に、該アクリル樹脂粒子の水性媒体中における安定性を向上せしめる機能を有する。前期水酸基含有重合性不飽和モノマー(a3)に例示した重合性不飽和モノマーの中から、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて好適に使用できるが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを用いるのが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いるのがより好ましい。
また、上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a4)は、得られるアクリル樹脂粒子の水性媒体中における安定性を向上せしめる機能を有する。前記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a4)に例示した重合性不飽和モノマーの中から、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて好適に使用できるが、(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
シェル部共重合体(II)用モノマーとして用いる重合性不飽和モノマーは、特に制限されるものではなく、シェル部共重合体(II)を構成する重合性不飽和モノマーとして他の重合性不飽和モノマーと共重合できるものであれば好適に用いることができる。例えば、前記(a1)〜(a4)以外の重合性不飽和モノマー(a5)で例示した重合性不飽和モノマーの中から必要に応じて好適に用いることができる。これらのモノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アクリル樹脂粒子(A)の水酸基価は、アクリル樹脂粒子の水性媒体中における安定性及び得られる塗膜の耐水性に優れる観点から、5〜200mgKOH/g程度であるのが好ましく、10〜150mgKOH/g程度であるのがより好ましく、20〜100mgKOH/g程度であるのが更に好ましい。
アクリル樹脂粒子(A)の酸価は、アクリル樹脂の水性媒体中における安定性及び得られる塗膜の耐水性に優れる観点から、5〜100mgKOH/g程度であるのが好ましく、10〜80mgKOH/g程度であるのがより好ましく、15〜50mgKOH/g程度であるのが更に好ましい。
本発明のアクリル樹脂粒子(A)は、コア部及び/又はシェル部共重合体の構成成分として、前記炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)を含有することを特徴とする。前記炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)として例示した重合性不飽和モノマーの中から、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて好適に使用できるが、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレンを用いるのが好ましい。
上記炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)を共重合したアクリル樹脂粒子を本発明の水性塗料組成物に配合することで、より低極性のベース塗膜が得られ、下層が未硬化の水性プライマー塗料組成物である場合、プライマー塗膜との混層が抑えられる。また、粘性調整剤(D)との疎水性相互作用を発現することにより、チクソトロピック性に優れた水性塗料組成物になり、平滑性、鮮映性及びフリップフロップ性の良好な複層塗膜が得られる。
上記炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)の使用割合は、得られる複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、アクリル樹脂粒子(A)を構成するモノマーの合計質量を基準として、3〜70質量部程度であるのが好ましく、15〜65質量部程度であるのがより好ましく、30〜60質量部程度であるのが更に好ましい。
コア・シェル型アクリル樹脂粒子(A)におけるコア部共重合体(I)/シェル部共重合体(II)の割合は、塗膜の光輝性向上の観点から、固形分質量比で10/90〜90/10程度であるのが好ましく、50/50〜85/15程度であるのがより好ましく、65/35〜80/20程度であるのが更に好ましい。
コア部共重合体(I)のエマルションを調製する乳化重合は、従来公知の方法により行うことができる。例えば、乳化剤の存在下で、重合開始剤を使用してモノマー混合物を乳化重合することにより、行うことができる。
上記乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤が好適である。該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられる。また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基とを有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤;1分子中にアニオン性基とラジカル重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用することもできる。これらの内、反応性アニオン性乳化剤を使用することが好ましい。
上記反応性アニオン性乳化剤としては、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、ブテニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のナトリウム塩、該スルホン酸化合物のアンモニウム塩等を挙げることができる。これらの内、ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩が、得られる塗膜の耐水性に優れるため、好ましい。該スルホン酸化合物のアンモニウム塩の市販品としては、例えば、「ラテムルS−180A」(商品名、花王(株)製)等を挙げることができる。
また、上記ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩の中でも、ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩がより好ましい。上記ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩の市販品としては、例えば、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬(株)製)、「SR−1025A」(商品名、ADEKA(株)製)等を挙げることができる。
上記乳化剤の使用量は、使用される全モノマーの合計量を基準にして、0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜10質量%程度がより好ましく、1〜5質量%程度が更に好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらの重合開始剤は、一種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用して、レドックス開始剤としてもよい。
上記重合開始剤の使用量は、一般に、使用される全モノマーの合計質量を基準にして、0.1〜5質量%程度が好ましく、0.2〜3質量%程度がより好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類及び量などに応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
コア・シェル型アクリル樹脂粒子(A)は、上記で得られるコア部共重合体(I)のエマルションに、シェル部の重合性不飽和モノマー混合物を添加し、さらに重合させてシェル部共重合体(II)を形成することによって、得ることができる。
上記シェル部共重合体(II)を形成するモノマー混合物は、必要に応じて、前記重合開始剤、連鎖移動剤、還元剤、乳化剤等の成分を適宜含有することができる。また、当該モノマー混合物は、そのまま滴下することもできるが、該モノマー混合物を水性媒体に分散して得られるモノマー乳化物として滴下することが望ましい。この場合におけるモノマー乳化物の粒子径は特に制限されるものではない。
シェル部共重合体(II)を形成するモノマー混合物の重合方法としては、例えば、該モノマー混合物又はその乳化物を、一括で又は徐々に滴下して、上記コア部共重合体(I)のエマルションに、添加し、攪拌しながら適当な温度に加熱する方法が挙げられる。
かくして得られるアクリル樹脂粒子(A)は、コア・シェル型の複層構造の水分散性で、一般に10〜1,000nm程度、特に20〜500nm程度の範囲内の平均粒子径を有することができる。
本明細書において、アクリル樹脂粒子(A)の平均粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置を用いて、常法により脱イオン水で希釈してから20℃で測定した値である。サブミクロン粒度分布測定装置としては、例えば、「COULTER N4型」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いることができる。
アクリル樹脂粒子(A)の機械的安定性を向上させるために、該アクリル樹脂粒子が有するカルボキシル基等の酸基を中和剤により中和することが望ましい。該中和剤としては、酸基を中和できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水などが挙げられる。これらの中和剤は、中和後の該アクリル樹脂粒子(A)の水分散液のpHが6.5〜9.0程度となるような量で用いることが望ましい。
本発明のアクリル樹脂粒子(A)は、コア部を架橋せしめたコア・シェル構造を有し、かつ疎水性の強い炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)を含有することを特徴とする。
該アクリル樹脂粒子(A)を含有する本発明の水性塗料組成物をベース塗料組成物としてウェットオンウェットで塗り重ねたとしても、疎水性の強い架橋粒子を含有することによって、上層及び/又は下層との混層が抑制される。
また、該アクリル樹脂粒子(A)は、疎水性が強いため、会合型粘性調整剤(前記粘性調整剤(D)も含む)との疎水性相互作用により、粘度の発現性が高く、かつ、せん断速度の増加と共に粘度が低下する粘度特性を有する。したがって、塗装時の微粒化が良好で、かつ塗着時の粘度が高くなるため、混層が抑制され、光輝性顔料の配向及び塗膜の外観が良好となる。
これらの効果により、平滑性、鮮映性、フリップフロップ性及び耐水性に優れた複層塗膜を形成することができる。
水酸基含有樹脂(B)
本発明の水性塗料組成物に用いられる水酸基含有樹脂(B)は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有し、重量平均分子量が1,000以上100,000未満であり、場合によりさらにカルボキシル基等の親水性官能基を含有する樹脂である。具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。なかでも、水酸基含有ポリエステル樹脂(B1)、水酸基含有水溶性アクリル樹脂(B2)、及び水酸基含有ウレタン樹脂(B3)が好ましく、水酸基含有ポリエステル樹脂(B1)及び水酸基含有水溶性アクリル樹脂(B2)が特に好ましい。
なお、本明細書における数平均分子量または重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(東ソー社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量または重量平均分子量を、ポリスチレンの数平均分子量または重量平均分子量を基準にして換算した値である。この測定において、カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも商品名、東ソー社製)の4本を用い、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min、検出器RIという測定条件を使用した。
水酸基含有ポリエステル樹脂(B1)
前記水酸基含有ポリエステル樹脂(B1)は、例えば、多塩基酸成分と多価アルコ−ル成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。具体的には、例えば、多塩基酸成分中のカルボキシル基と多価アルコール成分中の水酸基の当量比(COOH/OH)を1未満とし、カルボキシル基に比べ水酸基が多い状態でエステル化反応を行うことによって製造することができる。
また、上記水酸基含有ポリエステル樹脂の酸価は、例えば、酸価を追跡しながら、上記エステル化反応を行い、目的の酸価になった時点で該エステル化反応を終了することによって調整することができる。
上記多塩基酸成分は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多塩基酸;これらの多塩基酸の無水物;これらの多塩基酸の低級アルキルエステル化物などが挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上混合して使用することができる。
また、上記多価アルコ−ル成分は、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,2−ブチレングリコ−ル、2,3−ブチレングリコ−ル、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、3−エトキシプロパン−1,2−ジオール、3−フェノキシプロパン−1,2−ジオールなどのα−グリコ−ル;ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−フェノキシプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−フェニルプロパン−1,3−ジオール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2−エチル−1,3―オクタンジオール、1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ブタンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ジメチロ−ルシクロヘキサン、トリシクロデカンジメタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート(これは、ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールとのエステル化物である)、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(4−ヒドロキシヘキシル)メタン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニット、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
前記多塩基酸成分と多価アルコール成分のエステル化又はエステル交換反応は既知の方法により行なうことができ、例えば、前記多塩基酸成分と多価アルコール成分とを180〜250℃程度の温度で重縮合させることによって得ることができる。
また、上記水酸基含有ポリエステル樹脂は、該ポリエステル樹脂の調製中又はエステル化反応後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物等で変性することができる。上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸などが挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10P」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、合成高分岐脂肪酸のグリシジルエステル)などが挙げられる。
前記水酸基含有ポリエステル樹脂は、得られる塗膜の平滑性の観点から、酸価が50mgKOH/g以下、好ましくは10〜40mgKOH/g、さらに好ましくは15〜35mgKOH/gであり、数平均分子量が500〜10,000、好ましくは700〜5,000、さらに好ましくは1,000〜2,000の範囲内であることが好適である。また、硬化性の観点から、水酸基価が10〜200mgKOH/g、好ましくは30〜180mgKOH/g、さらに好ましくは50〜165mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
水酸基含有水溶性アクリル樹脂(B2)
水酸基含有水溶性アクリル樹脂(B2)は、水酸基含有重合性不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマー成分を溶液重合など通常の条件で(共)重合せしめることによって製造することができる。
得られる塗膜の平滑性の観点から、酸価が60mgKOH/g以下、好ましくは1〜50mgKOH/g、更に好ましくは5〜40mgKOH/gであり、重量平均分子量が1,000以上100,000未満、好ましくは3,000以上80,000未満、更に好ましくは5,000以上60,000未満の範囲内であることが好適である。また、硬化性の観点から、水酸基価が20〜200mgKOH/g、好ましくは30〜180mgKOH/gであり、さらに好ましくは50〜165mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
上記水酸基含有水溶性アクリル樹脂(B2)は、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び親水性官能基含有重合性不飽和モノマーを構成成分とし、水性媒体中で溶解状態(透明)であるため、水性媒体中で分散状態である前記コア・シェル型アクリル樹脂粒子(A)とは明確に区別される。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記親水性官能基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に親水性官能基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えば、N−置換(メタ)アクリルアミド、ポリオキシアルキレン鎖含有(メタ)アクリレート及び/又は酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、酸基含有重合性不飽和モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、リン酸基含有重合性不飽和モノマー及びスルホン酸含有重合性不飽和モノマーがより好ましい。
また、必要に応じて上記酸基を中和剤により中和することができる。該中和剤としては、酸基を中和できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水などが挙げられる。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー及び親水性官能基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2' −ヒドロキシ−5' −メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定化性能を有する重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
水酸基含有ポリウレタン樹脂(B3)
水酸基含有ポリウレタン樹脂(B3)としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシアネート化合物及び芳香族ジイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート化合物と、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選ばれる少なくとも1種のポリオール化合物とを反応させてなるものを挙げることができる。
具体的には、例えば、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール、低分子量ポリヒドロキシ化合物ならびにジメチロールアルカン酸を反応させてウレタンプレポリマーを作製し、これを3級アミンで中和し、水中に乳化分散させた後、必要に応じてポリアミン等の鎖伸長剤、架橋剤、停止剤等を含む水性媒体と混合して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応させてなるものを挙げることができる。上記方法により、通常、平均粒径が0.001〜3μmの自己乳化型のポリウレタン樹脂を得ることができる。
架橋剤(C)
架橋剤(C)は、前記アクリル樹脂粒子(A)及び/又は水酸基含有樹脂(B)中の水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基と反応して、本発明の水性塗料組成物を硬化し得る化合物である。該架橋剤(C)としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物などが挙げられる。なかでも、得られる塗膜の耐水性及び貯蔵性の観点から、水酸基と反応し得るブロックポリイソシアネート化合物及びアミノ樹脂が好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ブロックポリイソシアネート化合物
上記ブロックポリイソシアネート化合物は、特に限定されず、通常のポリイソシアネート化合物及びブロック剤を用いて合成することができる。
上記ポリイソシアネート化合物は、下記のようなジイソシアネートを主原料として得られる。
ジイソシアネートは、脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートである。脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることが出来る。なかでも、耐候性及び/又は工業的入手の容易さから、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートが好ましく、これらは単独で使用しても、併用しても良い。
上記ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2〜20個程度有し、例えば、ビウレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレタン結合、アロファネート結合、オキサジアジントリオン結合等を形成することにより製造されたジイソシアネートの2〜20量体のオリゴマーである。
上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロックするために使用されるブロック剤は公知のものを使用することができ、例えば、活性メチレン系、フェノール系、アルコール系、メルカプタン系、酸アミド系、イミド系、アミン系、イミダゾール系、尿素系、カルバミン酸塩系、イミン系、オキシム系、亜硫酸塩系の化合物などを好適に使用することができる。
また、上記ブロックポリイソシアネート化合物は、水性塗料組成物の貯蔵安定性及び硬化性ならびに形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、親水基を有するブロックポリイソシアネート化合物であることが好ましい。
上記親水基を有するブロックポリイソシアネート化合物は、例えば、ノニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物、アニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物、カチオン性の親水基を有する活性水素含有化合物等の親水基を有する活性水素含有化合物を使用することで得ることができる。
上記親水基を有する活性水素含有化合物としては、ノニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物が好ましく、なかでも、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル及びポリエチレングリコールがより好ましく、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。
また、ブロックポリイソシアネート化合物としては、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)を好適に使用する事ができる。
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)
上記ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、下記一般式(I)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(I)中、R、R、R及びRは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。〕、
下記一般式(II)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(II)中、R、R、R及びRは前記と同じ。〕
及び下記一般式(III)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(III)中、R、R、R及びRは前記と同じであり、Rは、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
から選ばれる少なくとも1種のブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物である。
上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の合成方法として、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基に、活性メチレン化合物(cb2)を反応させて活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)を得た後、得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)と2級アルコール(cb4)とを反応させることによって得る方法、活性メチレン化合物(cb2)及び2級アルコール(cb4)の反応物とポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基とを反応させることによって得る方法等があるが、前者の方法が特に好ましい。
ポリイソシアネート化合物(cb1)
ポリイソシアネート化合物(cb1)は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、該ポリイソシアネートの誘導体等を挙げることができる。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(慣用名:リジンジイソシアネート)等の脂肪族ジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトヘキサン酸2−イソシアナトエチル、1,6−ジイソシアナト−3−イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート(慣用名:水添TDI)、2−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−もしくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、メチレンビス(4,1−シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート(慣用名:水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート(慣用名:MDI)、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω'−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(慣用名:2,4−TDI)もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(慣用名:2,6−TDI)もしくはその混合物、4,4'−トルイジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4',4''−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート;4,4'−ジフェニルメタン−2,2',5,5'−テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
また、前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等を挙げることができる。
上記ポリイソシアネート及びその誘導体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。また、これらポリイソシアネートのうち、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)としては、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の加熱時の黄変が発生しにくいことから、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体が好ましい。なかでも形成される塗膜の柔軟性向上の観点から、脂肪族ジイソシアネート及びその誘導体がさらに好ましい。
また、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)としては、上記ポリイソシアネート及びその誘導体と、該ポリイソシアネートと反応し得る化合物とを、イソシアネート基過剰の条件で反応させてなるプレポリマーを使用してもよい。該ポリイソシアネートと反応し得る化合物としては、例えば、水酸基、アミノ基等の活性水素基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、アミン、水等を使用することができる。
また、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)としては、イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーの重合体、又は該イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと該イソシアネート基含有重合性不飽和モノマー以外の重合性不飽和モノマーとの共重合体を使用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物(cb1)は、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の反応性及び該活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)と他の塗料成分との相溶性の観点から、数平均分子量が300〜20,000の範囲内であることが好ましく、400〜8,000の範囲内であることがより好ましく、500〜2,000の範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記ポリイソシアネート化合物(cb1)は、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の反応性及び該活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)と他の塗料成分との相溶性の観点から、1分子中の平均イソシアネート官能基数が2〜100の範囲内であることが好ましい。下限としては、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の反応性を高める観点から3がより好ましい。上限としては、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の製造時にゲル化を防ぐ観点から20がより好ましい。
活性メチレン化合物(cb2)
上記ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基をブロック化する活性メチレン化合物(cb2)としては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジイソブチル、マロン酸ジsec−ブチル、マロン酸ジt−ブチル、マロン酸ジn−ペンチル、マロン酸ジn−ヘキシル、マロン酸ジ(2−エチルヘキシル)、マロン酸メチルイソプロピル、マロン酸エチルイソプロピル、マロン酸メチルn−ブチル、マロン酸エチルn−ブチル、マロン酸メチルイソブチル、マロン酸エチルイソブチル、マロン酸メチルsec−ブチル、マロン酸エチルsec−ブチル、マロン酸ジフェニル及びマロン酸ジベンジル等のマロン酸ジエステル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸n−ペンチル、アセト酢酸n−ヘキシル、アセト酢酸2−エチルヘキシル、アセト酢酸フェニル及びアセト酢酸ベンジル等のアセト酢酸エステル、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸n−プロピル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸n−ブチル、イソブチリル酢酸イソブチル、イソブチリル酢酸sec−ブチル、イソブチリル酢酸t−ブチル、イソブチリル酢酸n−ペンチル、イソブチリル酢酸n−ヘキシル、イソブチリル酢酸2−エチルヘキシル、イソブチリル酢酸フェニル及びイソブチリル酢酸ベンジル等のイソブチリル酢酸エステル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上併用して使用することができる。
なかでも、形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、活性メチレン化合物(cb2)が、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、イソブチリル酢酸メチル及びイソブチリル酢酸エチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、マロン酸ジイソプロピル、イソブチリル酢酸メチル及びイソブチリル酢酸エチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。なかでも、形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性ならびに得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の反応性及び水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、マロン酸ジイソプロピルであることがさらに好ましい。
活性メチレン化合物(cb2)によるイソシアネート基のブロック化反応は、必要に応じて反応触媒を用いることができる。該反応触媒としては、例えば金属ヒドロキシド、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセチネート、オニウム塩の水酸化物、オニウムカルボキシレート、活性メチレン化合物の金属塩、活性メチレン化合物のオニウム塩、アミノシラン類、アミン類、ホスフィン類等の塩基性化合物が良い。これらのうち、オニウム塩としてはアンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩が好適である。該反応触媒の使用量は、通常、ポリイソシアネート化合物(cb1)及び活性メチレン化合物(cb2)の合計固形分質量を基準として、10〜10,000ppmの範囲内であることが好ましく、20〜5,000ppmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記活性メチレン化合物(cb2)によるイソシアネート基のブロック化反応は、0〜150℃で行うことができ、溶媒を用いても良い。この場合、溶媒としては非プロトン性溶剤が好ましく、特に、エステル、エーテル、N−アルキルアミド、ケトン等が好ましい。反応が目的どおり進行したならば酸成分を添加することで、触媒である塩基性化合物を中和し、反応を停止させてもよい。
活性メチレン化合物(cb2)によるイソシアネート基のブロック化反応において、活性メチレン化合物(cb2)の使用量は、特には限定されないが、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基1モルに対して0.1〜3モル、好ましくは0.2〜2モル用いることが好適である。また、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基と反応しなかった活性メチレン化合物は、ブロック化反応終了後に除去することができる。
また、上記活性メチレン化合物(cb2)以外に、例えば、アルコール系、フェノール系、オキシム系、アミン系、酸アミド系、イミダゾール系、ピリジン系、メルカプタン系等のブロック剤を併用してもよい。
また、上記ポリイソシアネート化合物(cb1)中の一部のイソシアネート基は、活性水素含有化合物と反応させても良い。該ポリイソシアネート化合物(cb1)中の一部のイソシアネート基と活性水素含有化合物とを反応させることにより、例えば、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の貯蔵安定性の向上、該活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)と他の塗料成分との相溶性の調整及び形成される塗膜の柔軟性向上等を図ることができる。
ポリイソシアネート化合物(cb1)中の一部のイソシアネート基と、上記活性水素含有化合物とを反応させる場合、該ポリイソシアネート化合物(cb1)、前記活性メチレン化合物(cb2)及び該活性水素含有化合物の反応の順序は、特に限定されない。具体的には、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基の一部を活性メチレン化合物(cb2)でブロックした後、残りのイソシアネート基に活性水素含有化合物を反応させる方法、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基の一部に活性水素含有化合物を反応させた後、残りのイソシアネート基を活性メチレン化合物(cb2)でブロックする方法ならびにポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基に活性メチレン化合物(cb2)及び活性水素含有化合物を同時に反応させる方法等が挙げられる。
上記活性水素含有化合物としては、例えば、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物等が挙げられる。
上記水酸基含有化合物としては、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、トリデカノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノアルキルエーテル、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合せて使用することができる。なお、本明細書において、「ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)」は、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体を意味し、ブロック共重合体とランダム共重合体のいずれも含むものとする。
なかでも、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の高粘度化を抑制する観点から、上記水酸基含有化合物は、1価のアルコールであることが好ましい。該1価のアルコールとしては、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、トリデカノール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノアルキルエーテル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合せて使用することができる。
また、前記アミノ基含有化合物としては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ステアリルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジラウリルアミン、α−(アミノアルキル)−ω−アルコキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ポリオキシプロピレン−α,ω−ジアミン(市販品としては、例えば、ハンツマン社製の「ジェファーミンD−400」等が挙げられる)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合せて使用することができる。
なかでも、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の高粘度化を抑制する観点から、上記アミノ基含有化合物は、1価のアミンであることが好ましい。該1価のアミンとしては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ステアリルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジラウリルアミン、α−(アミノアルキル)−ω−アルコキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリイソシアネート化合物(cb1)中の一部のイソシアネート基と、上記活性水素含有化合物を反応させる場合、水性塗料組成物の貯蔵安定性及び硬化性、ならびに形成される複層塗膜の平滑性、鮮映性、及び耐水性の観点から、ポリイソシアネート化合物(cb1)と活性水素含有化合物との反応割合は、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基1モルを基準として、活性水素含有化合物中の活性水素のモル数が、0.03〜0.6モルの範囲内であることが好ましい。上限としては、水性塗料組成物の硬化性及び形成される複層塗膜の耐水性の観点から、0.4がより好ましく、0.3がさらに好ましい。下限としては、水性塗料組成物の貯蔵安定性ならびに形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、0.04がより好ましく、0.05がさらに好ましい。
また、上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、水性塗料組成物の貯蔵安定性及び硬化性ならびに形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、親水基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB’)であることが好ましい。
上記親水基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB’)は、例えば、前記活性水素含有化合物として、親水基を有する活性水素含有化合物を使用することによって、得ることができる。
上記親水基を有する活性水素含有化合物としては、ノニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物、アニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物、カチオン性の親水基を有する活性水素含有化合物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基を前記活性メチレン化合物(cb2)によってブロック化する反応が阻害されにくいため、ノニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物を使用することが好ましい。
上記ノニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物としては、例えば、ポリオキシアルキレン基を有する活性水素含有化合物を好適に使用することができる。上記ポリオキシアルキレン基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン(オキシプロピレン)基等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、ポリオキシエチレン基を有する活性水素含有化合物が好ましい。
上記ポリオキシエチレン基を有する活性水素含有化合物は、水性塗料組成物の貯蔵安定性及び形成される複層塗膜の耐水性等の観点から、3個以上、好ましくは5〜100個、より好ましくは8〜45個の連続したオキシエチレン基を有することが好適である。
また、上記ポリオキシエチレン基を有する活性水素含有化合物は、連続したオキシエチレン基以外に、オキシエチレン基以外のオキシアルキレン基を含有してもよい。該オキシエチレン基以外のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基等が挙げられる。上記ポリオキシエチレン基を有する活性水素含有化合物における、オキシアルキレン基中のオキシエチレン基のモル比率は、水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、20〜100モル%の範囲内であることが好ましく、50〜100モル%の範囲内であることが好ましい。オキシアルキレン基中のオキシエチレン基のモル比率が20モル%未満になると、親水性の付与が十分でなくなり、水性塗料組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。
また、前記ノニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物は、水性塗料組成物の貯蔵安定性及び形成される複層塗膜の耐水性の観点から、数平均分子量が200〜2,000の範囲内であることが好ましい。数平均分子量の下限としては、水性塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、300がより好ましく、400がさらに好ましい。上限としては、形成される複層塗膜の耐水性の観点から、1,500がより好ましく、1,200がさらに好ましい。
前記ノニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル及びポリエチレングリコールモノエチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(別名:ω−アルコキシポリオキシエチレン)、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びポリプロピレングリコールモノエチルエーテル等のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(別名:ω−アルコキシポリオキシプロピレン)、ω−メトキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)、ω−エトキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)などのω−アルコキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)、ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノエチルエーテル等のポリエチレングリコール(プロピレングリコール)モノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(プロピレングリコール)、α−(アミノアルキル)−ω−アルコキシポリオキシエチレン、α−(アミノアルキル)−ω−アルコキシポリオキシプロピレン、α−(アミノアルキル)−ω−アルコキシポリオキシエチレン(オキシプロピレン)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル及びポリエチレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。
また、上記ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの市販品としては、例えば、日油株式会社製の「ユニオックスM−400」、「ユニオックスM−550」、「ユニオックスM−1000」、「ユニオックスM−2000」等が挙げられる。また、前記ポリエチレングリコールの市販品としては、例えば、日油株式会社製の「PEG#200」、「PEG#300」、「PEG#400」、「PEG#600」、「PEG#1000」、「PEG#1500」、「PEG#1540」、「PEG#2000」等が挙げられる。
前記アニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物としては、例えば、カルボキシル基を有する活性水素含有化合物、スルホン酸基を有する活性水素含有化合物、リン酸基を有する活性水素含有化合物及びこれらの中和塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)と他の塗料成分との相溶性の観点から、カルボキシル基を有する活性水素含有化合物を好適に使用することができる。
上記アニオン性の親水基を有する活性水素含有化合物中の酸基の一部または全部は、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基を前記活性メチレン化合物(cb2)によってブロック化する反応が阻害されにくくなるため、塩基性化合物で中和されていることが好ましい。
上記アニオン性基を有する活性水素含有化合物中の酸基の中和は、該アニオン性基を有する活性水素含有化合物と上記ポリイソシアネート化合物(cb1)との反応前に行ってもよく、反応後に行ってもよい。
前記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;金属アルコキシド;アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、2,2−ジメチル−3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノプロパノール等の第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジ−イソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等の第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のポリアミン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。塩基性化合物の使用量としては、アニオン性基を有する活性水素含有化合物中のアニオン性基に対して通常0.1〜1.5当量、好ましくは0.2〜1.2当量の範囲内とすることができる。
前記カルボキシル基を有する活性水素含有化合物としては、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシピバリン酸、リンゴ酸及びクエン酸等のモノヒドロキシカルボン酸、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、2,2−ジメチロール酪酸及び2,2−ジメチロール吉草酸等のジヒドロキシカルボン酸、これらジヒドロキシカルボン酸のラクトン開環付加物、グリシン、1−カルボキシ−1,5−ペンチレンジアミン、ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、リジン、アルギニン等を挙げることができる。
前記スルホン酸基を有する活性水素含有化合物としては、例えば、2−アミノ−1−エタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,4−ジアミノ−5−トルエンスルホン酸、2−(シクロヘキシルアミノ)−エタンスルホン酸、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸等が挙げられる。
前記リン酸基を有する活性水素含有化合物としては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルフェニルホスフェート、ヒドロキシアルキルホスホン酸、アミノアルキルホスホン酸等を挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物(cb1)中の一部のイソシアネート基と、上記親水基を有する活性水素含有化合物を反応させる場合、水性塗料組成物の貯蔵安定性及び硬化性、ならびに形成される複層塗膜の平滑性、鮮映性及び耐水性の観点から、ポリイソシアネート化合物(cb1)と親水基を有する活性水素含有化合物との反応割合は、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基1モルを基準として、活性水素含有化合物中の活性水素のモル数が0.03〜0.6モルの範囲内であることが好ましい。上限としては、水性塗料組成物の硬化性及び形成される複層塗膜の耐水性の観点から、0.4がより好ましく、0.3がさらに好ましい。下限としては、水性塗料組成物の貯蔵安定性ならびに形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、0.04がより好ましく、0.05がさらに好ましい。
また、前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、界面活性剤と予め混合することにより水分散性を付与することもできる。この場合、塗料の安定性の観点から、該界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤であることが好ましい。
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)は、前記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(cb1)及び活性メチレン化合物(cb2)を反応させることにより、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基の一部又は全部が、活性メチレン化合物(cb2)でブロック化された化合物である。
なかでも、上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)が、下記一般式(IV)
Figure 0005892698
〔式(IV)中、Rは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。〕
で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)及び下記一般式(V)
Figure 0005892698
〔式(V)中、R及びRは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)の少なくとも一方であることが好ましい。
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)は、前記一般式(IV)で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物である。
なかでも、該活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物の原料の一つである前記活性メチレン化合物(cb2)として、比較的容易に製造できる活性メチレン化合物を使用できる点から、Rが、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。なかでも、得られるブロックポリイソシアネート化合物(CB)と他の塗料成分との相溶性向上の観点から、炭素数2又は3のアルキル基であることが好ましく、水性塗料組成物の貯蔵安定性、形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点からイソプロピル基であることがさらに好ましい。
上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)は、例えば、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)と、炭素数1〜12の炭化水素基を有するマロン酸ジアルキルとを反応させることによって得ることができる。
上記マロン酸ジアルキルとしては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジイソブチル、マロン酸ジsec−ブチル、マロン酸ジt−ブチル、マロン酸ジn−ペンチル、マロン酸ジn−ヘキシル、マロン酸ジ(2−エチルヘキシル)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジイソブチル、マロン酸ジsec−ブチル、マロン酸ジt−ブチルが好ましく、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−プロピル、マロン酸ジイソプロピルがより好ましく、マロン酸ジイソプロピルがさらに好ましい。
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)は、前記一般式(V)で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物である。
なかでも、該活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物の原料の一つである前記活性メチレン化合物(cb2)として、比較的容易に製造できる活性メチレン化合物を使用できる点から、R及びRが、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。なかでも、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)と他の塗料成分との相溶性向上の観点から、炭素数2又は3のアルキル基であることが好ましく、水生塗料組成物の貯蔵安定性、複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点からイソプロピル基であることがさらに好ましい。
上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)は、例えば、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)と炭素数1〜12の炭化水素基を有するアセト酢酸エステルとを反応させたり、ポリイソシアネート化合物(cb1)と炭素数1〜12の炭化水素基を有するイソブチリル酢酸エステルとを反応させたりすることによって得ることができる。なかでも、前記ポリイソシアネート化合物(cb1)と、炭素数1〜12の炭化水素基を有するイソブチリル酢酸エステルとを反応させて得ることが好ましい。
上記イソブチリル酢酸エステルとしては、例えば、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸n−プロピル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸n−ブチル、イソブチリル酢酸イソブチル、イソブチリル酢酸sec−ブチル、イソブチリル酢酸t−ブチル、イソブチリル酢酸n−ペンチル、イソブチリル酢酸n−ヘキシル、イソブチリル酢酸2−エチルヘキシル、イソブチリル酢酸フェニル、イソブチリル酢酸ベンジル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル及びイソブチリル酢酸イソプロピルが好ましい。
また、前記アセト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸n−ペンチル、アセト酢酸n−ヘキシル、アセト酢酸2−エチルヘキシル、アセト酢酸フェニル、アセト酢酸ベンジル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及びアセト酢酸イソプロピルが好ましい。
また、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(cb1)、活性メチレン化合物(cb2)及び前記活性水素含有化合物を反応させることによって得られる化合物であってもよい。具体的には、例えば、上記活性水素含有化合物として、前記ポリオキシアルキレン基を有する活性水素含有化合物を使用することにより、ポリイソシアネート化合物(cb1)中のイソシアネート基の一部が活性メチレン化合物(cb2)によってブロックされ、他のイソシアネート基の一部又は全部がポリオキシアルキレン基を有する活性水素含有化合物と反応した活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物とすることができる。
2級アルコール(cb4)
本発明において、前記ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、例えば、上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)と、下記一般式(VI)で示される2級アルコール(cb4)
Figure 0005892698
〔式(VI)中、R、R及びRは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。〕
とを反応させることによって、得ることができる。
2級アルコール(cb4)は、上記一般式(VI)で示される化合物である。なかでも、前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)と上記2級アルコール(cb4)との反応性を高める観点から、Rはメチル基であることが好ましい。また、R、R及びRは、それぞれ炭素数が多いと、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の極性が低下し、他の塗料成分との相溶性が低下する場合があるため、Rは炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、R及びRはメチル基であることが好ましい。
上記2級アルコール(cb4)としては、例えば、4−メチル−2−ペンタノール、5−メチル−2−ヘキサノール、6−メチル−2−ヘプタノール、7−メチル−2−オクタノール等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、前記ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)及び上記2級アルコール(cb4)の反応後に、未反応の2級アルコール(cb4)の一部又は全部を蒸留除去する際に、該2級アルコール(cb4)の除去が比較的容易であることから、比較的低い沸点を有する4−メチル−2−ペンタノールがより好ましい。
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、具体的には、例えば、前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)の説明において記載した下記一般式(IV)
Figure 0005892698
〔式(IV)中、Rは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一でも、異なっていてもよい。〕
で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)及び上記2級アルコール(cb4)を反応させることによって得ることができる。
この場合、上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)中のブロックイソシアネート基におけるRの少なくとも一方が、下記一般式(VII)
Figure 0005892698
〔式(VII)中、R、R及びRは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。〕
で示される基に置換される。
また、この場合、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、下記一般式(I)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(I)中、R、R、R及びRは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。〕
ここで、式(I)中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の炭化水素基がさらに好ましく、炭素数2〜3の炭化水素基がさらに特に好ましい。
又は下記一般式(II)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(II)中、R、R、R及びRは前記と同じ。〕
を有する。
上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)及び2級アルコール(cb4)の反応は、例えば、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)中のブロックイソシアネート基におけるRの少なくとも一方を、前記一般式(VII)で示される基に置換できる手法であれば特に限定されない。なかでも、加熱及び減圧等により、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)中のRの少なくとも一方に由来するアルコールの一部あるいは全部を系外に蒸留除去し、反応を促進させて、前記一般式(I)又は(II)で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)を得る方法が好ましい。
上記製造方法としては、具体的には、20〜150℃、好ましくは75〜95℃の温度で、必要に応じて減圧し、5分間〜20時間、好ましくは10分間〜10時間をかけて上記アルコールの一部あるいは全部を除去するのが適当である。上記温度が低すぎると活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)中のアルコキシ基の交換反応が遅くなって製造効率が低下し、一方、高すぎると得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の分解劣化が激しくなり、硬化性が低下する場合があるので望ましくない。
また、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)の説明において記載した下記一般式(V)
Figure 0005892698
〔式(V)中、R及びRは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)と、前記2級アルコール(cb4)とを反応させることによって得ることができる。
この場合、上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)中のブロックイソシアネート基におけるRは、下記一般式(VII)
Figure 0005892698
〔式(VII)中、R、R及びRは、独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。〕
で示される基に置換される。
この場合、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)は、下記一般式(III)で示されるブロックイソシアネート基
Figure 0005892698
〔式(III)中、R、R、R及びRは前記と同じであり、Rは、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
を有する。
前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)及び2級アルコール(cb4)の反応は、例えば、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)中のブロックイソシアネート基におけるRを、前記一般式(VII)で示される基に置換できる手法であれば特に限定されない。なかでも、加熱及び減圧等により、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)中のRに由来するアルコールの一部あるいは全部を系外に蒸留除去し、反応を促進させて、前記一般式(III)で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)を得る方法が好ましい。
上記製造方法としては、具体的には、20〜150℃、好ましくは75〜95℃の温度で、必要に応じて減圧し、5分間〜20時間、好ましくは10分間〜10時間をかけて上記アルコールの一部あるいは全部を除去するのが適当である。上記温度が低すぎると活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)中のアルコキシ基の交換反応が遅くなって製造効率が低下し、一方、高すぎると得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の分解劣化が激しくなり硬化性が低下する場合があるので望ましくない。
また、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の製造における、前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)及び2級アルコール(cb4)の配合割合は、得られる活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の反応性および製造効率の観点から、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)の固形分100質量部を基準として、2級アルコール(cb4)が5〜500質量部の範囲内であることが好ましく、10〜200質量部の範囲内であることがさらに好ましい。5質量部未満では、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)及び2級アルコール(cb4)の反応速度が遅すぎる場合がある。また、500質量部を超えると生成する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の濃度が低くなりすぎ製造効率が低下する場合がある。
また、上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)及び2級アルコール(cb4)の反応においては、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の分子量を調整するために、該活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3)及び2級アルコール(cb4)に、前記多官能水酸基含有化合物を加えてから前記除去操作を行ってもよい。
上記ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の数平均分子量は、他の塗料成分との相溶性、形成される複層塗膜の平滑性、鮮映性、耐水性及び耐チッピング性等の観点から、600〜30,000の範囲内であることが好ましい。上記数平均分子量の上限は、他の塗料成分との相溶性ならびに形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、10,000がより好ましく、5,000がさらに好ましい。また、下限は、形成される複層塗膜の耐水性及び耐チッピング性の観点から、900がより好ましく、1,000がさらに好ましい。
上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)を含有する水性塗料組成物を用いて形成した複層塗膜は、平滑性、鮮映性及び耐水性が良好であり、低温(70℃以上120℃未満)での硬化性にも優れる。平滑性及び鮮映性が良好な理由としては、上記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)が、特定の分岐構造の炭化水素基を有するため、水性プライマー塗料組成物を塗装した未硬化のプライマー塗膜上に該水性塗料組成物(水性ベース塗料組成物)を塗装した場合、両塗膜間の混層が抑制されるためだと推察される。また、親水基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB’)が場合によっては特に貯蔵安定性が高いため、長期貯蔵後でも硬化性及び耐水性が良好となる。
アミノ樹脂
アミノ樹脂としては、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を使用することができる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
また、上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂が好ましい。特に、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましい。
また、上記メラミン樹脂は、得られる塗膜の耐水性に優れる観点から、重量平均分子量が400〜6,000であるのが好ましく、500〜4,000であるのがより好ましく、600〜3,000であるのがさらに好ましい。
メラミン樹脂としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学社製)等が挙げられる。
粘性調整剤(D)
本発明の水性塗料組成物に用いられる粘性調整剤(D)は、ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー(d1)5〜50重量部、N−ビニル−2−ピロリドン、N−置換(メタ)アクリルアミド、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び酸基含有重合性不飽和モノマーの中から選ばれる少なくとも一種のポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)5〜90重量部、及びその他の重合性不飽和モノマー(d3)5〜90重量部を通常の条件で(共)重合せしめることによって製造することができる。
上記粘性調整剤の重量平均分子量は、得られる水性塗料の粘性の観点から、100,000以上、好ましくは100,000〜1,000,000、更に好ましくは200,000〜850,000、更に特に好ましくは300,000〜750,000の範囲内であることが好適である。
上記粘性調整剤(D)は、上記ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー(d1)及びポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)を含有し、水性媒体中で溶解状態(透明)であるため、水性媒体中で分散状態である前記アクリル樹脂粒子(A)とは明確に区別される。また、重量平均分子量の範囲から水酸基含有水溶性アクリル樹脂(B2)とは明確に区別される。
上記ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー(d1)は、1分子中にポリオキシアルキレン鎖と重合性不飽和基を含有するモノマーである。
上記ポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシエチレンブロックとポリオキシプロピレンブロックとからなる鎖、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとがランダムに結合してなる鎖等を挙げることができ、これらのポリオキシアルキレン鎖は一般に100〜5,000程度、好ましくは200〜4,000程度、さらに好ましくは300〜3,000程度の範囲内の分子量を有することが好適である。
上記ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマーの代表例としては、例えば、下記一般式(VIII)
CH2=C(−R)−C(=O)−O−(CH(−R)−CH(−R10)−O)n−R11
(式中、R〜R10はHまたはCH3であり、R11はHまたは炭素数1〜18の炭化水素基であり、nは1〜100の整数である)で示される重合性不飽和モノマーを挙げることができる。
上記ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー(d1)の具体例としては、例えば、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラピロプレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレン(プロピレン)グリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(プロピレン)グリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレン(プロピレン)グリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、本明細書において、「ポリエチレン(プロピレン)グリコール」は、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体を意味し、ブロック共重合体とランダム共重合体のいずれも含むものとする。
なかでも、形成される塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレン(プロピレン)グリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(プロピレン)グリコール(メタ)アクリレートが好ましく、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
上記ポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−置換(メタ)アクリルアミド、水酸基含有重合性不飽和モノマー、酸基含有重合性不飽和モノマーの中から単独で又は2種以上組み合わせて好適に使用することができるが、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び/又は酸基含有重合性不飽和モノマーが好ましく、酸基含有重合性不飽和モノマーとしては(メタ)アクリル酸が好ましい。
上記粘性調整剤(D)が構成成分として酸基含有重合性不飽和モノマーを含有する場合、該粘性調整剤(D)の酸価は、水性塗料組成物の粘性の観点から、通常50〜600mgKOH/g、より好ましくは100〜500mgKOH/g、さらに好ましくは150〜450mgKOH/g、さらに特に好ましくは200〜400mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
上記N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドブチルエーテル、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル,N−エチルアクリルアミド、N−メチル,N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドエチルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドエチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドプロピルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドプロピルエーテル、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、形成される塗膜の平滑性及び鮮映性の観点から、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドが好ましく、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドがさらに好ましい。
前記水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体等のポリオキシアルキレン鎖を有さない水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、必要に応じて上記酸基を中和剤により中和することができる。該中和剤としては、酸基を中和できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水などが挙げられる。
その他の重合性不飽和モノマー(d3)としては、上記ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー(d1)及びポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)と共重合できる重合性不飽和モノマーであれば特に制限はないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2' −ヒドロキシ−5' −メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定化性能を有する重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等が挙げられる。
これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができるが、得られる水性塗料組成物の粘性の観点から、その他の重合性不飽和モノマー(d3)の少なくとも一種として、炭素数3以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーを含有することが好ましく、その含有量は、その他の重合性不飽和モノマー(d3)の総量100質量部を基準として34質量部以上含有することがより好ましい。
また、上記炭素数3以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーとしては、スチレン、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートの中から選ばれる少なくとも一種以上であることが好ましく、スチレン、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの中から選ばれる少なくとも一種以上であることがさらに好ましい。
顔料(E)
本発明の水性塗料組成物に用いられる顔料(E)としては、例えば、着色顔料、光輝性顔料、体質顔料等を挙げることができるが、着色顔料及び光輝性顔料の少なくとも一種を含有することが好ましい。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができるが、少なくとも一種の光揮性顔料を含有することが特に好ましい。
上記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等を挙げることができる。なかでも、アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を用いることが好ましく、アルミニウムを用いることが特に好ましい。アルミニウム顔料には、ノンリーフィング型アルミニウムとリーフィング型アルミニウムがあるが、いずれも使用できる。上記光輝性顔料はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
水性塗料組成物が上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の含有量は、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)及び架橋剤(C)を合計した樹脂固形分100質量部を基準として、通常1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部の範囲内であることが好適である。
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
水性塗料組成物が上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の含有量は、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)及び架橋剤(C)を合計した樹脂固形分100質量部を基準として、通常1〜150質量部、好ましくは3〜130質量部、さらに好ましくは5〜110質量部の範囲内であることが好適である。
上記体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられる。
本発明の水性塗料組成物が、上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の含有量は、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)及び架橋剤(C)を合計した樹脂固形分100質量部を基準として、通常1〜200質量部、好ましくは2〜100質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲内であることが好適である。
水性塗料組成物の組成及び調製方法
本発明の水性塗料組成物において、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)、架橋剤(C)及び粘性調整剤(D)の含有量は、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)及び架橋剤(C)を合計した樹脂固形分100質量部を基準として、以下に述べる範囲内の量で含有することができる。
アクリル樹脂粒子(A):1〜90質量部、好ましくは5〜80質量部、さらに好ましくは10〜70質量部、
水酸基含有樹脂(B):1〜90質量部、好ましくは5〜80質量部、さらに好ましくは10〜70質量部、
架橋剤(C):5〜60質量部、好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは20〜40質量部、
粘性調整剤(D):0.1〜4.9質量部、好ましくは0.4〜3.5質量部、さらに好ましくは0.7〜2.5質量部。
なお、水性塗料組成物とは、有機溶剤型塗料組成物と対比される用語であって、一般に、水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)に、被膜形成性樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料組成物を意味する。本発明の水性塗料組成物中における水の含有量は、10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%の範囲内であることが好適である。
本発明の水性塗料組成物の固形物濃度としては、一般に10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%の範囲内であることが好適である。
本明細書において、塗料、樹脂等の「固形分」は110℃で1時間乾燥させた後に残存する不揮発性成分を意味する。例えば、塗料の固形分は、110℃で1時間乾燥させた後に残存する、塗料に含有される基体樹脂、架橋剤、顔料等の不揮発性成分を意味する。このため、塗料の固形分濃度は、アルミ箔カップ等の耐熱容器に塗料を量り取り、容器底面に該塗料を塗り広げた後、110℃で1時間乾燥させ、乾燥後に残存する塗料成分の質量を秤量して、乾燥前の塗料の全質量に対する乾燥後に残存する塗料成分の質量の割合を求めることにより、算出することができる。
本発明の水性塗料組成物は、形成塗膜の平滑性、鮮映性及び耐ワキ性向上等の観点から、さらに、疎水性有機溶媒を含有することが好ましい。
上記疎水性有機溶媒としては、20℃において、100gの水に溶解する質量が10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下の有機溶媒であるのが望ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶媒;1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルアミル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエステル系溶媒;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルn−アミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒を挙げることができる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の水性塗料組成物が、上記疎水性溶媒を含有する場合、その含有量は、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)及び架橋剤(C)を合計した樹脂固形分100質量部を基準として、一般に2〜100質量部、特に5〜80質量部、さらに特に8〜60質量部の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の水性塗料組成物は、必要に応じて親水性有機溶媒を含有することができる。該親水性有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等を挙げることができる。
本発明の水性塗料組成物は、アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)、架橋剤(C)、粘性調整剤(D)及び顔料(E)、並びに、必要に応じて、疎水性有機溶媒、親水性有機溶媒及びその他の塗料用添加剤を、それ自体既知の方法により、水性媒体中で、混合、分散することによって調製することができる。該塗料用添加剤としては、例えば、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等が挙げられる。
本発明の水性塗料組成物では、必要に応じて、前記粘性調整剤(D)にさらに他の粘性調整剤を組み合わせて使用することができる。
粘性調整剤(D)以外の粘性調整剤としては、例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系粘性調整剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系粘性調整剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系粘性調整剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系粘性調整剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系粘性調整剤;プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系粘性調整剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系粘性調整剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系粘性調整剤等が挙げられる。これらの粘性調整剤は、必要に応じて前記粘性調整剤(D)と組み合わせて使用することができる。
本発明の水性塗料組成物の粘度発現性が高く、特に該水性塗料組成物が界面活性剤及び/又は親水性溶媒を含有する場合においても粘度を発現し、その結果、複層塗膜の仕上がり性及びフリップフロップ性が向上する理由としては、以下の事が考えられる。
1.本発明の水性塗料組成物中に含有する粘性調整剤(D)の親水性官能基によって、他の樹脂と水素結合による網状構造が形成されて高い粘度が発現する。
2.本発明のアクリル樹脂粒子(A)が疎水性の強いモノマーを有するため、粘性調整剤(D)の疎水部と疎水会合が生じ、網状構造が形成されて高い粘度が発現する。
3.上記粘性調整剤(D)の重量平均分子量が100,000以上であり、比較的大きな体積を有するため、上記網状構造が界面活性剤及び/又は親水性溶媒等によって影響されず、安定的に高い粘度が発現する。
本発明の複層塗膜形成方法
本発明の水性塗料組成物を用いた複層塗膜形成方法は、3コート1ベーク方式で複層塗膜を形成せしめる方法I、または2コート1ベーク方式で複層塗膜を形成せしめる方法IIのいずれかを好適に用いることができる。
方法I
本発明の第一の複層塗膜形成方法(方法I)は、具体的には、自動車車体、自動車部品等の被塗物に、プライマー塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる複層塗膜を、3コート1ベーク方式で形成せしめる場合に、好適に用いることができる。
この場合の複層塗膜の形成は、下記工程1−1〜1−4に従って行うことができる。
下記の工程1−1〜1−4:
工程1−1:被塗物に、プライマー塗料組成物(X)を塗装してプライマー塗膜を形成せしめる工程、
工程1−2:上記の未硬化のプライマー塗膜上に、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装してベース塗膜を形成せしめる工程、
工程1−3:上記の未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成せしめる工程、ならびに
工程1−4:上記の未硬化のプライマー塗膜、未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う工程において、上記水性ベース塗料組成物(Y)が本発明の水性塗料組成物である複層塗膜形成方法。
工程1−1
本発明の第一の複層塗膜形成方法(方法I)においては、まず、被塗物上に、プライマー塗料組成物(X)が塗装される。
被塗物
本発明の複層塗膜形成方法において、上記プライマー塗料組成物(X)を塗装できる被塗物は、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;バンパー等の自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができる。これらのうち、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類、各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;紙、布等の繊維材料等を挙げることができる。これらのうち、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよく、さらに、その上に塗膜が形成されているものであってもよい。
塗膜が形成された被塗物としては、基材に必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜が形成されたもの、例えば、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体であってもよい。
被塗物は、上記プラスチック材料やそれから成形された自動車部品等のプラスチック表面に、必要に応じて、表面処理を行ったものであってもよい。また、プラスチック材料と金属材料とが組み合わさったものであってもよい。
プライマー塗料組成物(X)
本発明の複層塗膜形成方法において使用されるプライマー塗料組成物(X)は、公知中塗り塗料又はプラスティック用プライマー塗料を使用することができる。具体的には、例えば、被膜形成性樹脂、架橋剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、導電性顔料及び溶媒を含有する塗料組成物を好適に使用でき、さらに、該プライマー塗料組成物(X)は必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒、可塑剤、付着付与剤、相溶化剤、消泡剤、粘性調整剤、防錆剤、表面調整剤等の塗料添加剤を適宜含有せしめることができる。
被膜形成性樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられ、水酸基を含有していることが望ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記プライマー塗料組成物(X)は、架橋剤を配合することによって架橋せしめてもよく、架橋剤を配合せず実質的に未架橋でもよい。また、上層の塗膜に含有される架橋剤の染み込みにより架橋せしめてもよい。架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物等を好適に使用することができる。
上記プライマー塗料組成物としては、有機溶剤型塗料組成物、水性塗料組成物のいずれを用いてもよいが、水性塗料組成物を用いるのが好ましい。
上記プライマー塗料組成物(X)の塗装は、公知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装等の方法によって塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。プライマー塗料組成物(X)の塗装膜厚は、通常、硬化膜厚で3〜40μm程度が好ましく、5〜30μm程度がより好ましく、7〜20μm程度が更に好ましい。
工程1−2
以上に述べた工程1−1で形成されるプライマー塗料組成物(X)の塗膜(以下、「プライマー塗膜」という場合がある)上には、次いで、本発明の水性塗料組成物である水性ベース塗料組成物(Y)が塗装される。
上記プライマー塗膜は、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート(予備乾燥)、エアブロー等を行うことができる。なお、本発明において、硬化塗膜とは、JIS K 5600−1−1に規定された硬化乾燥状態、すなわち、塗面の中央を親指と人差指とで強く挟んで、塗面に指紋によるへこみが付かず、塗膜の動きが感じられず、また、塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすって、塗面にすり跡が付かない状態の塗膜である。一方、未硬化塗膜とは、塗膜が上記硬化乾燥状態に至っていない状態であって、JIS K 5600−1−1に規定された指触乾燥状態及び半硬化乾燥状態をも含むものである。
上記プレヒートの温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、60℃以上80℃未満が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間が好ましく、1〜10分間がより好ましく、2〜5分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25〜80℃の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
プライマー塗膜は、形成される複層塗膜の平滑性及び鮮映性の向上ならびにワキの抑制の観点から、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装する前に、必要に応じて、上記プレヒート、エアブロー等を行なうことにより、塗膜の固形分含有率が通常60〜100質量%、特に80〜100質量%、さらに特に90〜100質量%の範囲内となるように調整することが好ましい。
ここで、塗膜の固形分含有率は以下の方法により測定することができる:
まず、被塗物上にプライマー塗料組成物(X)を塗装すると同時に、予め質量(W1)を測定しておいたアルミホイル上にもプライマー塗料組成物(X)を塗装する。続いて、塗装後、プレヒート等がされた該アルミホイルを水性ベース塗料組成物(Y)が塗装される直前に回収し、その質量(W2)を測定する。次に、回収したアルミホイルを110℃で60分間乾燥し、デシケーター内で室温まで放冷した後、該アルミホイルの質量(W3)を測定し、以下の式に従って固形分含有率を求める。
固形分含有率(質量%)={(W3−W1)/(W2−W1)}×100
水性ベース塗料組成物(Y)は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等により被塗物上に塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。これらのうち、エアスプレー塗装、回転霧化塗装等の方法が好ましい。
水性ベース塗料組成物(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、通常3〜50μm、好ましくは5〜35μm、さらに好ましくは10〜20μmの範囲内とすることができる。
工程1−3
本発明の第一の複層塗膜形成方法(方法I)においては、上記工程1−2で形成される水性ベース塗料組成物(Y)の塗膜(以下、「ベース塗膜」という場合がある)上に、クリヤー塗料組成物(Z)が塗装される。
ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、ベース塗膜は、クリヤー塗料組成物(Z)を塗装する前に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート(予備乾燥)、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、60℃以上〜80℃未満が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒〜15分間が好ましく、1〜10分間がより好ましく、2〜5分間が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25〜80℃の温度に加熱された空気を、30秒〜15分間吹き付けることにより行うことができる。
ベース塗膜は、クリヤー塗料組成物(Z)を塗装する前に、必要に応じて、上記プレヒート、エアブロー等を行うことにより、塗膜の固形分含有率が通常60〜100質量%、特に80〜100質量%、さらに特に90〜100質量%の範囲内となるように調整することが好ましい。
クリヤー塗料組成物(Z)としては、自動車車体、自動車部品又は家庭電気製品等の塗装用としてそれ自体既知の熱硬化性クリヤー塗料組成物をいずれも使用することができる。例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂及び架橋剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料、水性熱硬化性塗料、熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体スラリー塗料等を挙げることができるが、有機溶剤型熱硬化性塗料がより好ましい。
上記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシリル基、反応性不飽和基等を挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物等を挙げることができる。
クリヤー塗料組成物(Z)における基体樹脂/架橋剤の組み合わせとしては、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等が好ましい。
また、上記クリヤー塗料組成物(Z)は、一液型塗料であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等の多液型塗料であってもよいが、比較的低温(70℃以上120℃未満)の温度で加熱硬化させる場合は、ブロック化ポリイソシアネート化合物を架橋剤として用いた一液型ウレタン樹脂塗料又はポリイソシアネート化合物を架橋剤として用いた二液型ウレタン樹脂塗料が好適である。
上記クリヤー塗料組成物(Z)には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに、体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、粘性調整剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有せしめることができる。
クリヤー塗料組成物(Z)は、水性ベース塗料組成物(Y)の塗膜面に、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装等の方法によって塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。クリヤー塗料組成物(Z)は、硬化膜厚で、通常10〜80μm、好ましくは15〜60μm、より好ましくは20〜50μmの範囲内になるように塗装することができる。
また、クリヤー塗料組成物(Z)の塗装後は、必要に応じて、室温で1〜60分間程度のインターバルをおいたり、40〜80℃の温度で1〜60分間プレヒートしたりすることができる。
工程1−4
本発明の第一の複層塗膜形成方法(方法I)においては、以上に述べた工程1−1〜1−3で形成される未硬化のプライマー塗膜、未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜が同時に加熱硬化せしめられる。
上記プライマー塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜の硬化は、通常の塗膜の焼付け手段、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等により、行うことができる。
加熱温度は、省エネルギー及び/又は基材の耐熱性の観点から、70℃〜140℃が好ましく、70〜120℃がより好ましく、80〜100℃がさらに好ましい。
また、加熱時間は、10〜60分間が好ましく、15〜40分間がより好ましい。この加熱により、プライマー塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜の3層からなる複層塗膜を同時に硬化させることできる。
方法Iにおいて、プライマー塗料組成物(X)の塗装膜厚は、硬化膜厚で、通常3〜40μm、特に5〜30μm、さらに特に7〜20μmの範囲内が好ましい。また、水性ベース塗料組成物(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、通常3〜50μm、特に5〜35μm、さらに特に10〜20μmの範囲内が好ましい。また、クリヤー塗料組成物(Z)の塗装膜厚は、硬化膜厚で、通常10〜80μm、特に15〜60μm、さらに特に20〜50μmの範囲内が好ましい。
方法II
本発明の第二の複層塗膜形成方法(方法II)は、具体的には、上記第一の複層塗膜形成方法(方法I)で記した自動車車体、自動車部品等の被塗物に、ベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる複層塗膜を2コート1ベーク方式で形成せしめる場合に、好適に用いることができる。
この場合の複層塗膜の形成は、下記工程2−1〜2−3に従って行うことができる。
下記の工程2−1〜2−3:
工程2−1:被塗物に、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装してベース塗膜を形成せしめる工程、
工程2−2:上記の未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成せしめる工程、ならびに
工程2−3:上記の未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う工程において、上記水性ベース塗料組成物(Y)が本発明の水性塗料組成物である複層塗膜形成方法。
工程2−1
本発明の第二の複層塗膜形成方法(方法II)においては、まず、前記工程1−1で記した被塗物上に、前記工程1−2で記した本発明の水性塗料組成物である水性ベース塗料組成物(Y)が塗装される。
工程2−2
上記工程2−1で形成される水性ベース塗料組成物(Y)のベース塗膜上には、次いで、前記工程1−3で記したクリヤー塗料組成物(Z)が塗装される。
工程2−3
以上に述べた工程2−1〜2−2で形成される未硬化のベース塗膜、未硬化のクリヤー塗膜が同時に加熱硬化せしめられる。
上記ベース塗膜及びクリヤー塗膜の加熱硬化は、前記工程1−4で記した方法により、行うことができる。
また、上記工程2−1及び/又は工程2−2で、塗料を塗装後に、必要に応じて、室温で1〜60分間程度のインターバルをおいたり、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件(例えば、40〜80℃の温度で1〜60分間)でプレヒート(予備加熱)又はエアブロー等を行うことができる。
方法IIにおいて、水性ベース塗料組成物(Y)の塗装膜厚は、硬化膜厚として、通常3〜50μm、特に5〜35μm、さらに特に10〜20μmの範囲内が好ましい。また、クリヤー塗料組成物(Z)の塗装膜厚は、硬化膜厚で、通常10〜80μm、特に15〜60μm、さらに特に20〜50μmの範囲内が好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
プライマー塗料組成物用水酸基含有アクリル樹脂(AC)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル60部及びイソブチルアルコール15部を加え、窒素気流中で110℃に加温した。110℃に達したらスチレン10部、メチルメタクリレート48部、n−ブチルアクリレート26部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、アクリル酸6部及びアゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を3時間かけて滴下した。添加終了後110℃で30分間熟成し、アゾビスイソブチロニトリル1部とエチレングリコールモノブチルエーテル15部の混合物を1時間を要して滴下した。さらに110℃で1時間熟成を行った後に冷却し、ジメチルアミノエタノールで当量中和し、脱イオン水を加えて水酸基含有アクリル樹脂(AC)を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂の固形分は50%であった。
プライマー塗料組成物用水酸基含有ポリエステル樹脂(PE)の製造
製造例2
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで希釈し、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂(PE)を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、数平均分子量が1,400であった。
活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」(商品名、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート由来のイソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート、固形分約100%、イソシアネート基含有率21.8%)480部、酢酸エチル150部及びマロン酸ジイソプロピル365部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.07モル/Kgであった。これに4−メチルー2−ペンタノール870部を加え、系の温度を90〜95℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、さらに、4−メチルー2−ペンタノール120部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−1)1400部を得た。除去溶媒簡易トラップには、イソプロパノールが183部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−1)の固形分濃度は約60%であった。
製造例4
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」480部、酢酸エチル150部、マロン酸ジイソプロピル330部及びアセト酢酸イソプロピル27部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.08モル/Kgであった。これに4−メチルー2−ペンタノール870部を加え、系の温度を90〜95℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、さらに、4−メチルー2−ペンタノール120部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−2)1390部を得た。除去溶媒簡易トラップには、イソプロパノールが173部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−2)の固形分濃度は約60%であった。
製造例5
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」480部、酢酸エチル150部、マロン酸ジエチル280部及びイソブチリル酢酸エチル30部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.08モル/Kgであった。これに4−メチルー2−ペンタノール870部を加え、系の温度を90〜95℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、さらに、4−メチルー2−ペンタノール120部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−3)1350部を得た。除去溶媒簡易トラップには、エタノールが133部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−3)の固形分濃度は約60%であった。
製造例6
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」480部、酢酸エチル150部及びマロン酸ジイソプロピル360部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.07モル/Kgであった。これに5−メチル−2−ヘキサノール990部を加え、系の温度を90〜95℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、さらに、5−メチル−2−ヘキサノール120部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−4)1400部を得た。除去溶媒簡易トラップには、イソプロパノールが180部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−4)の固形分濃度は約60%であった。
製造例7
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「デュラネートTPA−100」450部、酢酸エチル150部及びマロン酸ジイソプロピル360部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.07モル/Kgであった。これに6−メチルー2−ヘプタノール1110部を加え、系の温度を80〜85℃に保ちながら減圧条件下で6時間かけて溶剤を留去し、さらに、6−メチル−2−ヘプタノール120部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−5)1430部を得た。除去溶媒簡易トラップには、イソプロパノールが170部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−5)の固形分濃度は約60%であった。
製造例8
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」360部、「ユニオックスM−550」(日油社製、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、平均分子量 約550)60部及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.2部を仕込み、よく混合して、窒素気流下で130℃で3時間加熱した。次いで、酢酸エチル110部及びマロン酸ジイソプロピル252部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液3部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.12モル/Kgであった。これに4−メチルー2−ペンタノール683部を加え、系の温度を80〜85℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−6)1010部を得た。除去溶媒簡易トラップには、イソプロパノールが95部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−6)の固形分濃度は約60%であった。
製造例9
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」480部、酢酸エチル150部及びマロン酸ジエチル310部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.06モル/Kgであった。これにn−ブタノールを630部を加え、系の温度を90〜95℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、さらに、n−ブタノールを90部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−7)1270部を得た。除去溶媒簡易トラップには、エタノールが100部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−7)の固形分濃度は約60%であった。
製造例10
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」480部、酢酸エチル150部及びマロン酸ジエチル310部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.06モル/Kgであった。これに2−ブタノールを630部を加え、系の温度を90〜95℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、さらに、2−ブタノールを90部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−8)1250部を得た。除去溶媒簡易トラップには、エタノールが70部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−8)の固形分濃度は約60%であった。
製造例11
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」480部、酢酸エチル150部及びマロン酸ジエチル310部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.06モル/Kgであった。これに2−エチル−1−ヘキサノールを1110部を加え、系の温度を80〜85℃に保ちながら減圧条件下で6時間かけて溶剤を留去し、さらに、2−エチル−1−ヘキサノールを120部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−9)1410部を得た。除去溶媒簡易トラップには、エタノールが130部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−9)の固形分濃度は約60%であった。
製造例12
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下装置及び除去溶媒簡易トラップを備えた反応容器に、「スミジュールN−3300」480部、酢酸エチル150部及びマロン酸ジエチル310部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4部を加え、65℃で8時間攪拌した。得られた樹脂溶液中のイソシアネート量は0.06モル/Kgであった。これにプロピレングリコールモノプロピルエーテルを1000部を加え、系の温度を90〜95℃に保ちながら減圧条件下で3時間かけて溶剤を留去し、さらに、プロピレングリコールモノプロピルエーテルを120部を加えて、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−10)1380部を得た。除去溶媒簡易トラップには、エタノールが125部含まれていた。得られた活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−10)の固形分濃度は約60%であった。
顔料分散液の製造
製造例13
撹拌混合容器に、製造例2で得たプライマー塗料組成物用水酸基含有ポリエステル樹脂(PE)42.9部(固形分30部)、「JR−806」(商品名、テイカ社製、ルチル型二酸化チタン)110部、「ケッチェンブラックEC600J」(商品名 、ライオン社製、導電性カーボン)10部及び脱イオン水137.1部を入れ、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH8.0に調整した。次いで、得られた混合液を広口ガラスビン中に入れ、分散メジアとして直径約1.3mmφのガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェイカーにて4時間分散して、顔料分散液(P−1)を得た。
プライマー塗料組成物(X)の製造
製造例14
製造例1で得たプライマー塗料組成物用水酸基含有アクリル樹脂(AC)30部(固形分15部)、「タケラックWS5000」50部(固形分15部)(商品名、三井武田ケミカル社製、ポリウレタンディスパージョン、シラノール基含有の自己架橋型、固形分30%)、「スーパークロンE−403」133.3部(固形分40部)(商品名、日本製紙社製、塩素化ポリプロピレンの水分散品、樹脂の塩素含有率15%、固形分30%)及び製造例13で得た顔料分散液(P−1)300部を均一に混合し、更に、「ACRYSOL ASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系粘性調整剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、固形分濃度45%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒のプライマー塗料組成物(X−1)を得た。
製造例15
製造例1で得たプライマー塗料組成物用水酸基含有アクリル樹脂(AC)10部(固形分5部)、「デュラネートMFK60X」16.7部(固形分10部)(商品名、旭化成(株)製、活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物、固形分60%)、「タケラックWS5000」50部(固形分15部)(商品名、三井武田ケミカル社製、ポリウレタンディスパージョン、シラノール基含有の自己架橋型、固形分30%)、「スーパークロンE−403」133.3部(固形分40部)(商品名、日本製紙社製、塩素化ポリプロピレンの水分散品、樹脂の塩素含有率15%、固形分30%)及び製造例13で得た顔料分散液(P−1)300部を均一に混合し、更に、「ACRYSOL ASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系粘性調整剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、固形分濃度45%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒のプライマー塗料組成物(X−2)を得た。
アクリル樹脂粒子(A)の製造
製造例16
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水120部及び「アデカリアソープSR−1025」(商品名、ADEKA社製、乳化剤、有効成分25%)0.8部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温させた。
次いで下記コア部用モノマー乳化物の全量のうちの5%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液2.5部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、コア部用モノマー乳化物の残部を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行った。次に、下記シェル部用モノマー乳化物を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液3.8部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm、固形分30%のアクリル樹脂粒子水分散液(A−1)を得た。得られたアクリル樹脂粒子は、酸価17.2mgKOH/g、水酸基価27.2mgKOH/gであった。
コア部用モノマー乳化物:脱イオン水54部、「アデカリアソープSR−1025」3.1部、アリルメタクリレート1部、スチレン10部、n−ブチルアクリレート35部、メチルメタクリレート10部、エチルアクリレート20部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート1部を混合攪拌することにより、コア部用モノマー乳化物を得た。
シェル部用モノマー乳化物:脱イオン水50部、「アデカリアソープSR−1025」1.8部、6%過硫酸アンモニウム水溶液0.04部、スチレン3部、n−ブチルアクリレート6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5.3部、メタクリル酸2.6部、エチルアクリレート3部及びメチルメタクリレート3.1部を混合攪拌することにより、シェル部用モノマー乳化物を得た。
製造例17〜20
下記表1に示す配合とする以外、製造例16と同様にして合成し、アクリル樹脂粒子水分散液(A−2)〜(A−5)を得た。
表1に、アクリル樹脂粒子水分散液(A−2)〜(A−5)の原料組成(部)、固形分(%)、酸価(mgKOH/g)及び水酸基価(mgKOH/g)を示す。
Figure 0005892698
尚、表1中の略号は、それぞれ下記の意味を有する。
St:スチレン、
AMA:アリルメタクリレート、
nBA:n−ブチルメタクリレート、
MMA:メチルメタクリレート、
EA:エチルアクリレート、
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
MAAc:メタクリル酸
水酸基含有ポリエステル樹脂(B1−1)の製造
製造例21
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸146部及びアジピン酸139部を仕込み、160℃〜230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸28.8部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が45mgKOH/g、水酸基価が100mgKOH/g、固形分濃度70%、数平均分子量が2,500であった。
光輝性顔料分散液(AL)の製造
製造例22
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール34.8部、リン酸基含有樹脂溶液(B2−1)(注1)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(AL)を得た。
(注1)水酸基含有アクリル樹脂(B2−1):温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部、イソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性不飽和モノマー(注2)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分濃度50%の水酸基含有アクリル樹脂(B2−1)を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注2)リン酸基含有重合性不飽和モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部、イソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性不飽和モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
粘性調整剤(D)の製造
製造例23
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器、窒素ガス導入管及び2つの滴下装置を備えた反応容器に、「MPEG1000MA」(商品名、エボニックデグサジャパン社製、前記一般式(VIII)におけるRがメチル基、Rが水素原子、R10が水素原子、R11がメチル基、nが21であり、分子量が約1,000であるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート)10部、エチレングリコールモノブチルエーテル35部、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート30部を仕込み、液中に窒素ガスを吹き込みながら85℃に昇温した。次いで、同温度に保持した反応容器内に、スチレン5部、メチルメタクリレート10部、n−ブチルアクリレート35部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部及びメタクリル酸35部からなる混合液と、「パーブチル O」(商品名、日本油脂社製、重合開始剤、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)0.13部及びエチレングリコールモノブチルエーテル20部からなる混合液とをそれぞれ5時間かけて、同時に反応容器内に滴下し、滴下終了後、同温度で2時間攪拌して熟成を行なった。次いで、同温度に保持した反応容器内に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部及びエチレングリコールモノブチルエーテル15部からなる混合液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度で2時間攪拌して熟成を行なった。次いで、2−(ジメチルアミノ)エタノール5部及びエチレングリコールモノブチルエーテルを添加して、30℃まで冷却し、固形分20%の粘性調整剤溶液(D−1)を得た。得られた粘性調整剤の重量平均分子量は33万、酸価は228mgKOH/gであった。
製造例24〜33
下記第2表に示す配合とする以外は、製造例23と同様にして合成し、固形分20%の粘性調整剤溶液(D−2)〜(D−11)を得た。
下記第2表に、粘性調整剤溶液(D−1)〜(D−11)の原料組成(部)、酸価及び重量平均分子量を示す。尚、表中のモノマー配合量は全てモノマー成分量の値である。
Figure 0005892698
尚、表2中の略号は、それぞれ下記の意味を有する。
MPEG2000MA:商品名、エボニックデグサジャパン社製、前記一般式(VIII)におけるRがメチル基、Rが水素原子、R10が水素原子、R11がメチル基、nが45であり、分子量が約2,000であるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
水性ベース塗料組成物(Y)の製造
実施例1
製造例16で得たアクリル樹脂粒子水分散液(A−1)133.3部(固形分40部)、製造例21で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)42.9部(固形分30部)、水酸基含有ポリウレタン樹脂溶液 「ユーコート UX−5210」(商品名、ポリカーボネ−ト系水性ポリウレタン樹脂、三洋化成工業社製、固形分32%)12.5部(固形分4部)、製造例3で得た活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物溶液(CB−1)36.7部(固形分22部)、製造例22で得た光輝性顔料分散液(AL)62部及び2−エチル−1−ヘキサノール10部を均一に混合し、更に、製造例23で得た粘性調整剤溶液(D−1)5部(固形分1部)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、固形分濃度25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性ベース塗料組成物(Y−1)を得た。
実施例2〜20、比較例1〜7
下記表3に示す配合とする以外は、実施例1と同様にして、水性ベース塗料組成物(Y−2)〜(Y−27)を得た。尚、表中の配合量は全て固形分である。
Figure 0005892698
試験板の作製
実施例21
脱脂処理をしたポリプロピレン板(PP板)に、製造例14で得たプライマー塗料組成物(X−1)を、硬化膜厚15μmとなるようにスプレー塗装し、プライマー塗膜を形成した。3分間放置後、60℃で3分間プレヒートを行なった後、該未硬化のプライマー塗膜上に実施例1で得た水性ベース塗料組成物(Y−1)を、硬化膜厚15μmとなるようにスプレー塗装し、ベース塗膜を形成した。5分間放置後、60℃で5分間プレヒートを行なった後、該未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物として、「ソフレックス#520クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、ポリイソシアネート化合物含有2液アクリルウレタン系有機溶剤型クリヤー塗料、以下「クリヤー塗料組成物(Z−1)」ということがある)を硬化膜厚が35μmとなるようにスプレー塗装し、クリヤー塗膜を形成した。7分間放置した後、80℃で30分間加熱して、上記プライマー塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させ、試験板を作製した。
実施例22〜40、比較例8〜14
実施例21において、実施例1で得た水性ベース塗料組成物(Y−1)を、下記表4に示す水性ベース塗料組成物(Y−2)〜(Y−20)のいずれかに変更する以外は、実施例21と同様にして試験板を作製した。
実施例41〜44
実施例21において、プライマー塗料組成物(X−1)、クリヤー塗料組成物(Z−1)及び/又は焼付温度80℃を、下記表4に示すプライマー塗料組成物(X−2)、クリヤー塗料組成物(Z−2)(「マジクロンTC−71」(商品名、関西ペイント社製、水酸基含有アクリル樹脂とメラミン樹脂を含有する熱硬化型クリヤー塗料組成物、以下、「Z−2」ということがある))及び/又は焼付温度70℃〜115℃のいずれかに変更する以外は、実施例21と同様にして試験板を作製した。
実施例45
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。次いで、この電着塗膜上にプライマー塗料(商品名「TP−65−5」、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を膜厚20μmになるように静電式回転霧化塗装機を用いて塗装し、5分間放置した後、80℃で5分間プレヒートを行った。次いで7分間セッティングした後、該未硬化のプライマー塗膜上に実施例1で得た水性ベース塗料組成物(Y−1)を、硬化膜厚15μmとなるようにスプレー塗装し、ベース塗膜を形成した。5分間放置後、60℃で5分間プレヒートを行なった後、該未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物(Z−1)を硬化膜厚が35μmとなるようにスプレー塗装し、クリヤー塗膜を形成した。7分間放置した後、115℃で30分間加熱して、上記プライマー塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させ、試験板を作製した。
比較例15
実施例45において、実施例1で得た水性塗料組成物(Y−1)を、下記表4に示した水性塗料組成物(Y−21)とする以外は、実施例45と同様にして試験板を作製した。
実施例46
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。次いで、この電着塗膜上に実施例1で得た水性ベース塗料組成物(Y−1)を、硬化膜厚15μmとなるようにスプレー塗装し、ベース塗膜を形成した。5分間放置後、60℃で5分間プレヒートを行なった後、該未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物(Z−1)を硬化膜厚が35μmとなるようにスプレー塗装し、クリヤー塗膜を形成した。7分間放置した後、80℃で30分間加熱して、上記プライマー塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させ、試験板を作製した。
比較例16
実施例46において、実施例1で得た水性ベース塗料組成物(Y−1)を、下記表4に示した水性ベース塗料組成物(Y−21)とする以外は、実施例46と同様にして試験板を作製した。
評価試験
上記実施例21〜46及び比較例8〜16で得られた各試験板を用いて、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表4に示す。
Figure 0005892698
(試験方法)
平滑性:試験板について、「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWc値を用いて評価した。Wc値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示す。
鮮映性:試験板について、「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWa値を用いて評価した。Wa値が小さいほど塗面の鮮映性が高いことを示す。
耐水付着性:試験板を40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げ、20℃で12時間乾燥した後、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べた。
◎:ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じていない。
○:ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さなフチカケが生じている。
△:ゴバン目塗膜が90〜99個残存する。
×:ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
フリップフロップ性:各試験板について、多角度分光測色計MA−68(商品名、X−Rite社製)を用いて、受光角15度及び受光角110度のL値(明度)を測定し、下記の式によってFF値を求めた。
FF値=受光角15度のL値/受光角110度のL値。
FF値が大きいほど、観察角度(受光角)によるL値(明度)の変化が大きく、フリップフロップ性に優れていることを示す。

Claims (13)

  1. アクリル樹脂粒子(A)、水酸基含有樹脂(B)、架橋剤(C)、粘性調整剤(D)及び顔料(E)を含有する水性塗料組成物において、
    該アクリル樹脂粒子(A)は、質量比10/90〜90/10のコア・シェル構造を有し、コア部は架橋されており、かつ該アクリル樹脂粒子(A)を構成する重合性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、炭素数4以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー(a1)量が3〜70質量部であり、
    該水酸基含有樹脂(B)は、1,000以上で、かつ100,000未満の重量平均分子量を有し、
    該架橋剤(C)は、ブロックポリイソシアネート化合物であり、
    該粘性調整剤(D)は、100,000以上の重量平均分子量を有し、かつ構成するモノマー総量100質量部に対して、ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー(d1)5〜50質量部、N−ビニル−2−ピロリドン、N−置換(メタ)アクリルアミド、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び酸基含有重合性不飽和モノマーから選ばれる少なくとも一種のポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)5〜90質量部、その他の重合性不飽和モノマー(d3)5〜90質量部、
    であることを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 上記ブロックポリイソシアネート化合物が、少なくともその一種として、下記一般式(I)で示されるブロックイソシアネート基
    Figure 0005892698
    〔式(I)中、R、R、R及びRは、互いに独立して、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。〕、
    下記一般式(II)で示されるブロックイソシアネート基
    Figure 0005892698
    〔式(II)中、R、R、R及びRは前記と同じ。〕、
    及び下記一般式(III)で示されるブロックイソシアネート基
    Figure 0005892698
    〔式(III)中、R、R、R及びRは前記と同じであり、Rは、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
    から選ばれる少なくとも一種のブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)を含有することを特徴とする請求項に記載の水性塗料組成物。
  3. 前記一般式(I)において、Rがイソプロピル基である請求項に記載の水性塗料組成物。
  4. 前記一般式(III)において、Rがイソプロピル基である請求項又はのいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  5. 前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)が、下記一般式(IV)
    Figure 0005892698
    〔式(IV)中、Rは前記と同じであり、互いに同一でも、異なっていてもよい。〕
    で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−1)と下記一般式(VI)で示される2級アルコール(cb4)
    Figure 0005892698
    〔式(VI)中、R、R、R及びRは前記と同じである。〕
    とを反応させて得られるものである請求項又はに記載の水性塗料組成物。
  6. 前記活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(CB)が、下記一般式(V)
    Figure 0005892698
    〔式(V)中、Rは前記と同じであり、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕
    で示されるブロックイソシアネート基を有する活性メチレン型ブロックポリイソシアネート化合物(cb3−2)と前記一般式(VI)で示される2級アルコール(cb4)とを反応させて得られる請求項又はのいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  7. 前記ブロックポリイソシアネート化合物が、親水基を有するブロックポリイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  8. 前記粘性調整剤(D)を構成するポリオキシアルキレン鎖を有さない親水性官能基含有重合性不飽和モノマー(d2)が、少なくともその一種として(メタ)アクリル酸を含有し、該粘性調整剤(D)の酸価が50〜600mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  9. 前記粘性調整剤(D)を構成するその他の重合性不飽和モノマー(d3)が、少なくともその一種として、炭素数3以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  10. 工程1−1:被塗物上に、プライマー塗料組成物(X)を塗装してプライマー塗膜を形成せしめる工程、
    工程1−2:工程1−1で形成された未硬化のプライマー塗膜上に、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装してベース塗膜を形成せしめる工程、
    工程1−3:工程1−2で形成された未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成せしめる工程、及び
    工程1−4:工程1−1〜1−3で形成される未硬化のプライマー塗膜、未硬化のベース塗膜、及び未硬化のクリヤー塗膜を同時に加熱硬化せしめる工程
    を含み、上記水性ベース塗料組成物(Y)が請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物である複層塗膜形成方法。
  11. 工程2−1:被塗物上に、水性ベース塗料組成物(Y)を塗装してベース塗膜を形成せしめる工程、
    工程2−2:工程2−1で形成された未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成せしめる工程、及び
    工程2−3:工程2−1〜2−2で形成される未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜を同時に加熱硬化せしめる工程
    を含み、上記水性ベース塗料組成物(Y)が請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物である複層塗膜形成方法。
  12. 上記クリヤー塗料組成物(Z)が、水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする請求項10又は11のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  13. 前記加熱硬化温度が70〜140℃であることを特徴とする請求項1012のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
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