JPWO2019117280A1 - 積層体 - Google Patents

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Abstract

メタリックベース層と、前記メタリックベース層の上に形成される透明着色層とを備えた積層体であって、X=[(C*45)2+(C*75)2)]1/2とし、Y=[(L*15)2+(C*15)2)]1/2+[(L*25)2+(C*25)2)]1/2としたときに、Xが64以上であり、かつYが191以上であり、粒子感の測定値(HG値)が45以下である積層体。(ただし、C*15、C*25、C*45及びC*75は積層体に入射角度45度から照射した光を正反射光に対して15度、25度、45度、及び75度の各角度で受光した分光反射率から計算された彩度を表し、L*15及びL*25は積層体に入射角度45度から照射した光を正反射光に対して15度及び25度の各角度で受光した分光反射率から計算された明度を表す。)

Description

本発明は、メタリックベース層と、前記メタリックベース層の上に形成される透明着色層とを備えた積層体に関する。
近年、自動車などの物品に高い意匠性が求められている。
例えば特許文献1には、緻密な粒子感及び金属感を有し、さらに高彩度で高深み感を有するメタリック塗色を有する複層塗膜を形成できる塗装方法として、被塗面上に、光輝性顔料を含有するメタリックベース塗料(A)を塗装し、次いでカラークリヤ塗料(B)を塗装する方法であって、該メタリックベース塗料(A)が、IV値が230以上で、粒子感の測定値(HG値)が60以下となる塗膜を形成するものであることを特徴とする塗装方法が開示されている。
日本国特開2005−169385
特許文献1では、光輝性をメタリック塗料の塗膜のIV値で全体的に測定するにとどまっていた。また、塗膜の彩度を、X−Rite(エックス−ライト)社製、多角度変角分光光度計「MA68−2」を使用して塗膜に45度の入射角度で光照射したときの鏡面反射軸と受光軸とがなす受光角度25度の条件で測定したC値及び目視観察により評価し、塗膜の深み感を、ハイライトからシェードにかけての明度変化の目視観察により評価していた。
ハイライトからシェードにかけての明度変化が大きく塗膜に深みがあると、より立体的に見えるものの、色が暗く感じられるという問題がある。特許文献1では、ハイライトからシェードまでの広範囲で塗膜の彩度を高く維持することについては着目されていなかった。
本発明の目的は、ハイライトにおける明度が高く、かつハイライトからシェードにかけての広範囲で彩度が高い積層体を提供することにある。
本発明は以下の項を包含する。
項1.メタリックベース層と、前記メタリックベース層の上に形成される透明着色層とを備えた積層体であって、
X=[(C*45)2+(C*75)2)]1/2とし、
Y=[(L*15)2+(C*15)2)]1/2+[(L*25)2+(C*25)2)]1/2としたときに、
Xが64以上であり、かつYが191以上であり、
粒子感の測定値(HG値)が45以下である積層体。
(ただし、C*15、C*25、C*45及びC*75は積層体に入射角度45度から照射した光を15度、25度、45度、及び75度の各角度で受光した分光反射率から計算された彩度を表し、
L*15及びL*25は積層体に入射角度45度から照射した光を15度及び25度の各角度で受光した分光反射率から計算された明度を表す。)
項2.Xが65以上80以下であり、かつYが200以上240以下である項1に記載の積層体。
項3.メタリックベース層が、メタリックベース層100質量部を基準として固形分で15〜70質量部のアルミニウム顔料を含有する項1又は2に記載の積層体。
項4.透明着色層の上にクリヤコート層をさらに備える項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
項5.項1〜4のいずれか一項に記載の積層体を備えた対象物。
本発明の積層体によれば、ハイライトにおける明度が高く、かつハイライトからシェードにかけての広範囲で彩度が高い積層体が提供される。このような積層体は、積層体が施された対象物に、鮮やかで明るい誘目性に優れた外観を与えることができる。
塗膜構造と変角による光沢分布を示す図。 実施例1〜20及び比較例1〜6のX値、Y値を示すグラフ。図中、「E」は実施例、「C」は比較例を示す。
本発明の積層体は、メタリックベース層と、メタリックベース層の上に形成される透明着色層とを備え、
X=[(C*45)2+(C*75)2)]1/2 (式1)とし、
Y=[(L*15)2+(C*15)2)]1/2+[(L*25)2+(C*25)2)]1/2(式2)としたときに、
Xが64以上であり、かつYが191以上であり、
粒子感の測定値(HG値)が45以下である積層体である。
L*及びC*は、1976年に国際照明委員会で規定され、JIS Z 8729にも採用されている表色系であるL*a*b*表色系における明度及び彩度をそれぞれ示す。
C*15、C*25、C*45及びC*75は、多角度分光光度計(x−rite社製、商品名、MA−68II)を使用して、得られた塗膜に45度の角度から照射した光を、正反射光に対して15度、25度、45度、及び75度で受光した分光反射率から計算された彩度の数値としてそれぞれ定義する。
L*15及びL*25は、多角度分光光度計(x−rite社製、商品名、MA−68II)を使用して、得られた塗膜に45度の角度から照射した光を、正反射光に対して15度及び25度で受光した分光反射率から計算された明度の数値としてそれぞれ定義する。
C*15が100以上、C*25が75以上、C*45が50以上、かつC*75が35以上であると、ハイライトからシェードまでの広範囲にわたり、積層体の色を全体的に鮮やかに明るく維持することができるため好ましい。
なお、ハイライトとは積層体を正反射光近傍で観察することを意味し、シェードとは積層体を正反射光の影響を受けない角度で観察することを意味し、フェース(bottomとも言う)とは、積層体をハイライトとシェードの中間の角度から観察することを意味する。
図1に示すように、本願では、正反射(1)に対して10度の角度位置であるハイライトから正反射に対して110度の角度位置であるシェードまでの角度範囲の積層体1の光学的性質を、より少ない実測反射率から精度よく決定するために、多角度分光光度計(x−rite社製、商品名、MA−68II)を使用して正反射に対して受光角度15度(X1)、25度(X2)、45度(X3)、75度(X4)、及び110度(X5)の分光反射率を測定した。このうち、110°では75°と彩度の値がさほど変わらないため、彩度についてはハイライトからフェースまでの15度(X1)、25度(X2)、45度(X3)及び75度(X4)の4つの角度における分光反射率の測定値を採用した。明度についてはハイライトの15度(X1)及び25度(X2)の2つの角度における分光反射率の測定値を採用した。この図では、メタリックベース層2と、メタリックベース層2の上に形成される透明着色層3とを備えた積層体1が示されている。
(式1)のXは、フェース(45度)の彩度C*45とシェード(75度)の彩度C*75を変数として表わした彩度の指標である。Xが大きいことは、フェース及びシェードの角度変化にかかわらず彩度が高いことを示す。Xは、積層体を見た観察者が感じるフェース及びシェードにおける積層体の彩度の尺度とすることができる。
Xが64未満であると、フェースからシェードの範囲における彩度の低下が大きいため、積層体の色が暗く観察される。
(式2)のYは、15度における彩度C*15、25度における彩度C*25、15度における明度L*15、及び25度における明度L*25を変数として表わした、彩度及び明度の指標である。15度及び25度はハイライトのうちでも反射率が急激に変化する角度である。Yは、積層体を見た観察者が感じるハイライトにおける積層体の彩度及び明度を合わせた尺度とすることができる。
Yが191未満であると、ハイライトにおける積層体の彩度及び明度が劣る。
Xが64以上であり、かつYが191以上であると、ハイライトにおける明度が高く、かつハイライトからシェードまでの広範囲で彩度が高い積層体とすることができる。
Xが65以上80以下であり、かつYが200以上240以下であると、ハイライトにおける明度が高く、かつハイライトからシェードまでの広範囲でより彩度が高い積層体とすることができる。
粒子感は、Hi−light Graininess値(以下、「HG値」と略記する)によって表される。HG値は、微視的に観察した場合における質感であるミクロ光輝感の尺度の一つで、ハイライト(積層体を入射光に対して正反射近傍から観察)における粒子感を表わすパラメータである。HG値は、積層体を入射角15度/受光角0度にてCCDカメラで塗膜を撮像し、得られたデジタル画像データ、すなわち2次元の輝度分布データを2次元フーリエ変換処理し、得られたパワースペクトル画像から、粒子感に対応する空間周波数領域のみを抽出し、算出した計測パラメータを、さらに0から100の数値を取り且つ粒子感との間に直線的な関係が保たれるように変換して得られる測定値である。粒子感のないものは0とし、最も粒子感のあるものはほぼ100となる。
本発明の積層体はHG値が45以下である。このため、粒子感が少なく、緻密な印象の塗色を呈する積層体を得ることができる。HG値が45を超えると、緻密な印象の塗色を呈する積層体を得ることができないため好ましくない。
本発明の積層体は、複数の塗膜が積層された積層塗膜、複数のフィルムが積層された積層フィルム、又は塗膜とフィルムの両方を備えた積層体とすることができる。
<積層体の各層の構成>
次に、本発明の積層体の各層の構成について説明する。以下では、積層体を複層塗膜に具現化した場合の各塗膜の構成について説明しているが、各層はフィルムの形で構成してもよい。
メタリックベース層
メタリックベース層は、アルミニウム顔料、光散乱成分、表面調整剤、及び粘性調整剤を含有する。
好ましくは、メタリックベース層100質量部を基準として、固形分で15〜70質量部のアルミニウム顔料、固形分で5〜55質量部の光散乱成分、表面調整剤、及び粘性調整剤を含有する。
かかる構成により、ハイライトにおける明度が高く、かつハイライトからシェードまでの広範囲でより彩度が高い積層体とすることができる。
メタリックベース層としてのメタリックベース塗膜は、メタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、好ましくは乾燥して形成される。メタリックベース塗膜の乾燥膜厚は、好ましくは0.02〜5μm程度、より好ましくは0.02〜4μm、さらに好ましくは0.02〜3.5μm程度である。乾燥膜厚が0.02μm以上であると、下地の隠蔽に十分であり、5.0μm以下であると、ワキ、タレなどの塗装作業上の不具合が起こり難く有利である。
メタリックベース塗料組成物(A)は、水を主たる溶媒として含み、アルミニウム顔料、光散乱成分、表面調整剤、及び粘性調整剤を含有する。
アルミニウム顔料は、アルミニウムを含有するフレーク状の顔料であり、メタリックベース塗膜の下の下地層を隠蔽し、金属調光沢に優れた塗膜を得るために使用される。アルミニウム顔料としては、アルミニウムフレーク顔料及び蒸着アルミニウムフレーク顔料が挙げられる。
アルミニウムフレーク顔料は、アルミニウムを基材とするフレーク状の顔料である。アルミニウムフレーク顔料は、水との反応を抑制する処理をされていることが望ましく、特に表面がシリカ処理されていることが、塗料中における貯蔵安定性、ハイライト近傍での高い明度、及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度を有する複層塗膜を得る観点から好ましい。
上記アルミニウムフレーク顔料の平均厚みは、好ましくは0.03〜2μm、より好ましくは、0.05〜1μmである。
上記アルミニウムフレーク顔料の平均粒子径(D50)は、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜20μm程度のものである。このことが、塗料中における貯蔵安定性、及び金属調光沢に優れた塗膜を得るなどの観点から好ましい。上記平均粒子径は、長径を意味する。
蒸着アルミニウムフレーク顔料は、ベース基材上にアルミニウムの膜を蒸着させ、ベース基材を剥離した後、蒸着アルミニウム膜を粉砕することにより得られる。上記基材としては、例えばフィルムなどを挙げることができる。
上記蒸着アルミニウムフレーク顔料として使用できる市販品としては例えば、「METALURE」シリーズ(商品名、エカルト社製)、「Hydroshine WS」シリーズ(商品名、エカルト社製)、「Decomet」シリーズ(商品名、シュレンク社製)、「Metasheen」シリーズ(商品名、BASF社製)などを挙げることができる。
上記蒸着アルミニウムフレーク顔料の平均厚みは、好ましくは0.005〜1μm、より好ましくは、0.01〜0.1μmである。
上記蒸着アルミニウムフレーク顔料の平均粒子径(D50)は、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜20μmである。このことが、貯蔵安定性、ハイライト近傍での高い明度、及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度を有する複層塗膜を得る観点から好ましい。上記平均粒子径は、長径を意味する。
蒸着アルミニウムフレーク顔料は、表面がシリカ処理されていることが、貯蔵安定性を有する複層塗膜を得る観点から好ましい。
アルミニウム顔料としては、アルミニウムフレーク顔料及び蒸着アルミニウムフレーク顔料のいずれか一方を用いることもできるし、両方を用いることもできる。
メタリックベース塗料組成物(A)におけるアルミニウム顔料の合計含有量は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、メタリックベース塗料組成物100質量部を基準として、固形分で好ましくは0.2〜6質量部、より好ましくは0.3〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜4.5質量部である。
本明細書において、固形分とは不揮発分を意味するものであり、試料から、水、有機溶剤等の揮発する成分を除いた残渣を意味する。固形分は、試料の質量に固形分濃度を乗じて算出することができる。固形分濃度は、試料3グラムを105℃、3時間乾燥させた残さの質量を、乾燥前の質量で除することにより測定することができる。
光散乱成分は、複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度のために使用される。
メタリックベース塗料組成物(A)における光散乱成分の含有量は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、メタリックベース層を構成するメタリックベース塗料組成物100質量部を基準として、固形分で好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部である。また、メタリックベース塗料組成物(A)における光散乱成分の含有量は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、メタリックベース塗料組成物(A)中の合計固形分100質量部に対し固形分で30〜90質量部であり、好ましくは33〜85質量部、さらに好ましくは35〜80質量部である。
光散乱成分としては、白色顔料、光干渉性顔料、それらの組み合わせなどが挙げられる。白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華などが挙げられる。白色顔料は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光散乱成分として白色顔料を用いる場合、メタリックベース塗料組成物(A)における白色顔料の含有量は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、メタリックベース塗料組成物(A)100質量部を基準として、固形分で好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
光干渉性顔料とは、白色顔料を除く、天然マイカ、人工マイカ、ガラス、酸化鉄、酸化アルミニウム、及び各種金属酸化物などの透明乃至半透明な鱗片状基材の表面に、該基材とは屈折率が異なる金属酸化物が被覆された光輝性顔料である。光干渉性顔料は単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材である。人工マイカとは、SiO2、MgO、Al23、K2SiF6、Na2SiF6などの工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさ及び厚さが均一なものである。人工マイカの基材としては具体的には、フッ素金雲母(KMg3AlSi3102)、カリウム四ケイ素雲母(KMg2.5AlSi4102)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg2.5AlSi4102)、Naテニオライト(NaMg2LiSi4102)、LiNaテニオライト(LiMg2LiSi4102)などが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化チタン及び酸化鉄などを挙げることができ、該金属酸化物の厚さの違いによって、光干渉性顔料は種々の異なる干渉色を発現することができる。
光干渉性顔料としては具体的には、下記に示す金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料などを挙げることができる。
金属酸化物被覆マイカ顔料は、天然マイカ又は人工マイカを基材とし、該基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。
金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、アルミナフレークを基材とし、基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。アルミナフレークとは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。該アルミナフレークは酸化アルミニウム単一成分である必要はなく、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。
金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料とは、鱗片状のガラスを基材とし、基材表面を金属酸化物が被覆した顔料である。該金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料は、基材表面が平滑なため、強い光の反射が生じる。
金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、表面が平滑で且つ厚さが均一な基材である鱗片状シリカを金属酸化物が被覆した顔料である。
光干渉性顔料の中でも、塗膜のフェースからシェードにかけての明度を増大させると共に、ハイライトの明度も増大させる点で、天然マイカ、合成マイカ、二酸化ケイ素、又は酸化アルミニウムなどの基材の表面に酸化チタン又は酸化鉄などの金属酸化物が被覆されたものが好ましい。このような顔料はパール調の質感と透明性を有するため、パール顔料と称される。パール顔料としては、天然又は人工マイカの基材の表面に酸化チタンが被覆され、多重反射光の反射により白色を呈するホワイトパール顔料、天然又は人工マイカの基材の表面に酸化チタンが被覆され、多重反射光の干渉により発色して有色を呈する干渉パール顔料、天然又は人工マイカの基材の表面に酸化鉄が被覆された着色パール顔料などが挙げられる。
上記光干渉性顔料は、分散性、耐水性、耐薬品性、耐候性などを向上させるための表面処理が施されたものであってもよい。
上記光干渉性顔料は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、平均粒子径が5〜30μm、特に7〜20μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
また、上記光干渉性顔料は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、厚さが0.05〜1μm、特に0.1〜0.8μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう厚さは、光干渉性顔料を含む塗膜断面を光学顕微鏡にて観察した際の光干渉性顔料粒子の短径を画像処理ソフトを使用して測定し、100個以上の測定値の平均値として定義するものとする。
光散乱成分として光干渉性顔料を用いる場合、メタリックベース塗料組成物(A)における光干渉性顔料の含有量は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、メタリックベース塗料組成物(A)100質量部を基準として、固形分で好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部である。
光散乱成分は、ハイライト近傍での高い明度、及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度を有する複層塗膜を得る観点から、アルミニウムフレーク顔料及び蒸着アルミニウムフレーク顔料の少なくとも一方と組み合わされることが好ましく、アルミニウムフレーク顔料と組み合わされることがより好ましい。光散乱成分がアルミニウムフレーク顔料及び蒸着アルミニウムフレーク顔料の少なくとも一方と組み合わされる場合、アルミニウム顔料の固形分100質量部に対する光散乱成分の量は固形分で5〜250質量部、好ましくは10〜150質量部であることが好ましい。
アルミニウムフレーク顔料及び蒸着アルミニウムフレーク顔料の少なくとも一方と組み合わされる場合、アルミニウムフレーク顔料及び蒸着アルミニウムフレーク顔料の少なくとも一方は、メタリックベース塗料組成物100質量部を基準として、固形分で0.2〜6質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることが好ましく、かつ光散乱成分は、メタリックベース塗料組成物100質量部を基準として、固形分で0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部であることがより好ましい。
一つの好ましい実施形態では、アルミニウム顔料が蒸着アルミニウムフレーク顔料であり、かつ光散乱成分が白色顔料である。メタリックベース塗料組成物100質量部を基準として、固形分で、蒸着アルミニウムフレーク顔料は0.2〜6質量部、白色顔料は0.1〜10質量部であることが好ましく、蒸着アルミニウムフレーク顔料は0.5〜3質量部、白色顔料は0.2〜5質量部であることがより好ましい。このような構成により、ハイライト近傍でより明度が高く、かつハイライトからシェードまでの広範囲で彩度が高い複層塗膜を得ることができる。
別の好ましい実施形態では、アルミニウム顔料が表面がシリカ処理されたアルミニウムフレーク顔料であり、かつ光散乱成分が酸化チタン被覆マイカ顔料、白色顔料、酸化チタン被覆アルミナフレーク顔料、又はそれらの組み合わせである。メタリックベース塗料組成物100質量部を基準として、固形分で、アルミニウムフレーク顔料は0.2〜6質量部、光散乱成分は0.1〜10質量部であることが好ましく、アルミニウムフレーク顔料は0.5〜5質量部、光散乱成分は0.2〜10質量部であることがより好ましい。このような構成により、ハイライト近傍でより明度が高く、かつハイライトからシェードまでの広範囲で彩度が高い複層塗膜を得ることができる。
表面調整剤は、メタリックベース塗料組成物(A)の塗装時に、水に分散された上記のアルミニウム顔料を対象物上に一様に配向するのを支援するために使用される。
表面調整剤としては、既知のものを使用できる。
表面調整剤としては、例えばシリコーン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、ビニル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アセチレンジオール系表面調整剤などの表面調整剤が挙げられる。上記表面調整剤はそれぞれ単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
表面調整剤の市販品は例えば、ビックケミー社製のBYKシリーズ、エヴォニック社製のTegoシリーズ、共栄社化学社製のグラノールシリーズ、ポリフローシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ、エボニックインダストリーズ社製のサーフィノール(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
シリコーン系表面調整剤としては、ポリジメチルシロキサン及びこれを変性した変性シリコーンが使用される。変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンなどが挙げられる。
メタリックベース塗料組成物(A)における表面調整剤の含有量は、ハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲の高い彩度の複層塗膜を得る観点から、メタリックベース塗料組成物(A)100質量部を基準として固形分で好ましくは0.01〜4質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。
粘性調整剤としては、既知のものを使用でき、例えば、シリカ系微粉末、鉱物系粘性調整剤、硫酸バリウム微粒化粉末、ポリアミド系粘性調整剤、有機樹脂微粒子粘性調整剤、ジウレア系粘性調整剤、ウレタン会合型粘性調整剤、アクリル膨潤型であるポリアクリル酸系粘性調整剤、セルロース系粘性調整剤などを挙げることができる。なかでも金属調光沢に優れた塗膜を得る観点から特に、鉱物系粘性調整剤、ポリアクリル酸系粘性調整剤、セルロース系粘性調整剤を使用することが好ましく、特にセルロース系粘性調整剤を使用することが好ましい。これらの粘性調整剤はそれぞれ単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
鉱物系粘性調整剤としては、その結晶構造が2:1型構造を有する膨潤性層状ケイ酸塩が挙げられる。具体的には、天然又は合成のモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト、バイデライト、ノントロナイト、ベントナイト、ラポナイトなどのスメクタイト族粘土鉱物Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na塩型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性雲母族粘土鉱物;バーミキュライト;これらの置換体又は誘導体;並びにこれらの混合物が挙げられる。
ポリアクリル酸系粘性調整剤としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。
ポリアクリル酸系粘性調整剤の市販品として、例えば、ダウケミカル社製の「プライマルASE−60」、「プライマルTT615」、「プライマルRM5」(以上、商品名)、サンノプコ社製の「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」(以上、商品名)などが挙げられる。ポリアクリル酸系粘性調整剤の固形分酸価としては、30〜300mgKOH/g、好ましくは80〜280mgKOH/gの範囲内のものを使用することができる。
セルロース系粘性調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びメチルセルロース、セルロースナノファイバーなどを挙げることができ、なかでも、金属調光沢に優れた塗膜を得る観点から、セルロースナノファイバーを使用することが好ましい。
上記セルロースナノファイバーは、セルロースナノフィブリル、フィブリレーティドセルロース、ナノセルロースクリスタルと称されることもある。
上記セルロースナノファイバーは、金属調光沢に優れた塗膜を得る観点から、数平均繊維径が、好ましくは2〜500nm、より好ましくは2〜250nm、さらに好ましくは2〜150nmの範囲内であり、数平均繊維長が、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.1〜10μmの範囲内である。また、数平均繊維長を数平均繊維径で除した数値であるアスペクト比は、好ましくは50〜10000、より好ましくは50〜5000、さらに好ましくは50〜1000の範囲内である。
上記数平均繊維径及び数平均繊維長は、例えば、セルロースナノファイバーを水で希釈した試料を分散処理し、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した画像から測定算出される。
上記セルロースナノファイバーは、セルロース原料を解繊し、水中で安定化させたものを使用することができる。ここでセルロース原料は、セルロースを主体とした様々な形態の材料を意味し、具体的には例えば、パルプ(木材パルプ、ジュート、マニラ麻、ケナフなどの草本由来のパルプなど);微生物によって生産されるセルロースなどの天然セルロース;セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体などの何らかの溶媒に溶解した後に紡糸された再生セルロース;及び上記セルロース原料に加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミルなどの機械的処理などをすることによってセルロースを解重合した微細セルロース;などが挙げられる。
また、上記セルロースナノファイバーとしては、アニオン変性セルロースナノファイバーを使用することもできる。アニオン変性セルロースナノファイバーとしては、例えば、カルボキシル化セルロースナノファイバー、カルボキシルメチル化セルロースナノファイバー、リン酸基含有セルロースナノファイバーなどが挙げられる。上記アニオン変性セルロースナノファイバーは、例えば、セルロース原料に、カルボキシル基、カルボキシルメチル基、リン酸基などの官能基を公知の方法により導入し、得られた変性セルロースを洗浄して変性セルロースの分散液を調製し、この分散液を解繊して得ることができる。上記カルボキシル化セルロースは酸化セルロースとも呼ばれる。
上記酸化セルロースは、例えば、前記セルロース原料を、N−オキシル化合物、臭化物、及びヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することによって得ることができる。
前記セルロースナノファイバーの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のレオクリスタ(登録商標)などが挙げられる。
メタリックベース塗料組成物(A)における粘性調整剤の含有量は、得られる複層塗膜がハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の塗膜を得る観点から、メタリックベース塗料組成物(A)100質量部を基準として、固形分で好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜2質量部、さらに好ましくは0.1〜1.5質量部である。
また、メタリックベース塗料組成物(A)におけるセルロース系粘性調整剤の含有量は、ハイライト近傍での高い明度及び広範囲での高い彩度の塗膜を得る点から、アルミニウム顔料の含有量100質量部に基づいて、2〜150質量部の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは3〜120質量部の範囲内である。
メタリックベース塗料組成物(A)は、特に、メタリックベース塗料組成物(A)がアルミニウム顔料を含有する場合、得られる塗膜の金属調光沢及び耐水性の観点から、リン酸基含有樹脂を含有することが好ましい。
リン酸基含有樹脂は、例えば、リン酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを、溶液重合法などの既知の方法で共重合することによって製造することができる。上記リン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアルキルリン酸の反応生成物などが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
メタリックベース塗料組成物(A)は、さらに必要に応じて、有機溶剤、アルミニウム顔料以外の顔料、顔料分散剤、沈降防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤などを適宜含有しても良い。アルミニウム顔料以外の顔料としては着色顔料が挙げられ、着色顔料としては限定されないが、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、及び青色顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、赤色顔料、橙色顔料、及び黄色顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、赤色顔料が最も好ましい。
赤色顔料としては、例えば、酸化鉄系顔料、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ系顔料等のアゾ系顔料、アンサンスロン系顔料、アンスラキノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などを挙げることができ、ペリレン系顔料が好ましい。
メタリックベース塗料組成物(A)は、得られる塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から基体樹脂及び/又は分散樹脂を含むことができるが、これらを実質的に含まなくても本発明の効果を発揮することができる。
上記基体樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
上記分散樹脂としては、アクリル樹脂系分散樹脂、エポキシ樹脂系分散樹脂、ポリカルボン酸樹脂系分散樹脂、ポリエステル系分散樹脂などの、既存の分散樹脂の使用が可能である。
メタリックベース塗料組成物(A)を塗装して得られるメタリックベース塗膜は、メタリックベース塗膜の全固形分100質量部に対して、固形分で15〜70質量部、好ましくは20〜60質量部の上記アルミニウム顔料、固形分で5〜55質量部、好ましくは8〜50質量部の上記光散乱成分、上記表面調整剤、及び上記粘性調整剤を含有することが好ましい。
メタリックベース塗料組成物(A)の塗料固形分は、好ましくは1〜20%、より好ましくは2〜15%である。
透明着色層
透明着色層は樹脂及び着色顔料を含有する。好ましくは、着色顔料の含有量は、透明着色層の樹脂固形分100質量部を基準として0.5〜10質量部である。
透明着色層としての透明着色塗膜は、透明着色塗料組成物(B)を塗装し、好ましくは乾燥して形成される。透明着色塗膜の乾燥膜厚は、好ましくは10〜60μm程度、より好ましくは15〜50μm程度である。乾燥膜厚が10μm以上であると、塗膜の発色性が良好であり、60μm以下であると、ワキ、タレなどの塗装作業上の不具合が起こり難く有利である。
透明着色塗料組成物(B)は、樹脂及び着色顔料を含有する。樹脂には基体樹脂、硬化剤等が含まれる。
一つの実施形態では、透明着色塗料組成物(B)は透明着色ベース塗料組成物(B1)である。
透明着色ベース塗料組成物(B1)に含まれる基体樹脂としては、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂が挙げられる。
透明着色ベース塗料組成物(B1)に含まれる硬化剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物などの架橋剤が挙げられる。なかでも、基体樹脂として水酸基含有ポリエステル樹脂及び水酸基含有アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを使用し、硬化剤としてメラミン樹脂を使用した熱硬化型水性塗料組成物を透明着色ベース塗料組成物(B1)として好適に用いることができる。
基体樹脂と硬化剤の使用割合は、固形分質量で前者が好ましくは50〜90質量%、より好ましくは65〜80質量%、後者が好ましくは50〜10質量%、より好ましくは35〜20質量%である。
透明着色ベース塗料組成物(B1)に含まれる着色顔料は単独で又は2種以上を併用することができる。透明着色ベース塗料組成物(B1)に含まれる着色顔料は、限定されないが、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、及び青色顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、赤色顔料、橙色顔料、及び黄色顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、赤色顔料が最も好ましい。赤色顔料は赤系の塗色に有効である。
本明細書において、赤系の塗色とは、具体的には、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して45度で受光したときの分光反射率に基づいて計算されたL*C*h表色系色度図における、色相角度hがa*赤方向を0°とした場合に−45°以上、45°未満の範囲内である塗色として定義するものとする。L*C*h表色系とは、1976年に国際照明委員会で規定され、JIS Z 8729にも採用されているL*a*b*表色系をベースに考案された表色系である。
赤色顔料としては、例えば、酸化鉄系顔料、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ系顔料等のアゾ系顔料、アンサンスロン系顔料、アンスラキノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などを挙げることができ、ペリレン系顔料が好ましい。
着色顔料は単独で又は2種以上を併用することができる。透明着色ベース塗料組成物(B1)中の着色顔料の含有量は特に限定されないが、透明着色ベース塗料組成物(B1)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準として0.5〜10質量部、好ましくは0.7〜8質量部であることが好ましい。
透明着色ベース塗料組成物(B1)の固形分含有量は60質量%以下とすることができ、また、塗布時における固形分含有量は10〜50質量%とすることができる。
透明着色ベース塗料組成物(B1)はさらに、任意選択で、体質顔料、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤、ワックスなどの一般的な塗料用添加剤を含むことができる。
別の実施形態では、透明着色塗料組成物(B)は透明着色クリヤ塗料組成物(B2)である。
透明着色クリヤ塗料組成物(B2)に含まれる基体樹脂としては、カルボキシル基、水酸基、シラノール基、アルコキシシリル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂が挙げられる。
透明着色クリヤ塗料組成物(B2)に含まれる硬化剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物、アルコキシシリル基含有化合物などの架橋剤が挙げられる。
基体樹脂と硬化剤の使用割合は、固形分質量で前者が好ましくは50〜90質量%、より好ましくは65〜80質量%、後者が好ましくは50〜10質量%、より好ましくは35〜20質量%である。
透明着色クリヤ塗料組成物(B2)に含まれる着色顔料は単独で又は2種以上を併用することができる。透明着色クリヤ塗料組成物(B2)中の着色顔料の含有量は特に限定されないが、透明着色クリヤ塗料組成物(B2)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準として0.5〜3質量部、好ましくは0.8〜2.5質量部、さらに好ましくは1.0〜1.5質量部であることが好ましい。
透明着色クリヤ塗料組成物(B2)の固形分含有量は70質量%以下とすることができ、また、塗布時における固形分含有量は10〜60質量%とすることができる。
透明着色クリヤ塗料組成物(B2)はさらに、任意選択で、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤、ワックスなどの一般的な塗料用添加剤を含むことができる。
透明着色塗料組成物(B)を塗装して得られる透明着色塗膜は、透明着色塗膜の固形分100質量部を基準として、97〜99.5質量部の樹脂、及び0.5〜3質量部の着色顔料を含有することが好ましい。このような構成によれば、本発明の積層体をより容易に構成することができる。
本発明の積層体の(式1)のXの値及び(式2)のYの値は、メタリックベース塗料組成物(A)及び透明着色塗料組成物(B)中の成分及びその含有量を選択することにより、当業者には適宜設定することができる。これによって、ハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の複層塗膜をより容易に構成することができる。
<積層体の形成方法及び積層体のその他の層の構成>
本発明の積層体の構成としては、例えば下記の構成を挙げることができる。対象物上に積層される層を左から右へ順番に列挙したものである。
1.中塗り層、ベース層、メタリックベース層、クリヤコート層、透明着色層、クリヤコート層
2.中塗り層、ベース層、メタリックベース層、透明着色層
3.中塗り層、ベース層、メタリックベース層、透明着色層、クリヤコート層
4.中塗り層、メタリックベース層、透明着色層、クリヤコート層
5.中塗り層、メタリックベース層、透明着色層
6.中塗り層、メタリックベース層、透明着色層、クリヤコート塗膜に対応するクリヤコート層
本発明の積層体が積層フィルムである場合、本発明の積層体はメタリックベース層、透明着色層、及び他の層(中塗り塗膜に対応する中塗り層、ベース塗膜に対応するベース層、クリヤコート塗膜に対応するクリヤコート層)を構成する各フィルムを積層及び接着することにより、積層体を形成することができる。
積層フィルムであるメタリックベース層及び透明着色層は、メタリックベース塗料組成物及び透明着色塗料組成物に対応するメタリックベース組成物及び透明着色塗料組成物からそれぞれ形成される。
塗膜の代わりに使用可能なフィルムの製造方法は公知であり、当業者には(式1)及び(式2)を満たすハイライト近傍での高い明度かつハイライトからシェードにかけて広範囲に高彩度な積層フィルムを当該技術分野の通常の技能を用いて製造することができる。積層フィルムの製造方法については特表2016−523742号、特開2008−110513号、特開2008−265029号等を参照されたい。
本発明の積層体が複層塗膜の場合、複層塗膜の形成方法の工程としては、例えば公知の下記の工程を挙げることができる。( )内は対象物上に形成される塗膜を左から右へ順番に列挙したものである。
工程I:6コート3ベーク方式 (中塗り塗料(C)/焼き付け/ベース塗料(D)/メタリックベース塗料組成物(A)/クリヤコート塗料組成物(E)/焼き付け/透明着色塗料組成物(B)/クリヤコート塗料組成物(E)/焼き付け)。
工程II:4コート2ベーク方式(中塗り塗料(C)/焼き付け/ベース塗料(D)/メタリックベース塗料組成物(A)/透明着色塗料組成物(B)/焼き付け)
工程III:5コート3ベーク方式(中塗り塗料(C)/焼き付け/ベース塗料(D)/メタリックベース塗料組成物(A)/透明着色塗料組成物(B)/焼き付け/クリヤコート塗料組成物(E)/焼き付け)。
工程IV:5コート2ベーク方式(中塗り塗料(C)/メタリックベース塗料組成物(A)/クリヤコート塗料組成物(E)/焼き付け/透明着色塗料組成物(B)/クリヤコート塗料組成物(E)/焼き付け)。
工程V:3コート1ベーク方式(中塗り塗料(C)/メタリックベース塗料組成物(A)/透明着色塗料組成物(B)/焼き付け)。
工程VI:4コート2ベーク方式(中塗り塗料(C)/メタリックベース塗料組成物(A)/透明着色塗料組成物(B)/焼き付け/クリヤコート塗料組成物(E)/焼き付け)。
工程Iは、対象物上に中塗り塗料(C)を塗装し、中塗り塗膜を形成する工程と、該中塗り塗膜を加熱により硬化させる工程と、該硬化した中塗り塗膜の上にベース塗料(D)を塗装し、ベース塗膜を形成する工程と、該ベース塗膜の上にメタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、メタリックベース塗膜を形成する工程と、該メタリックベース塗膜の上にクリヤコート塗料組成物と塗装し、クリヤコート塗膜を形成する工程と、未硬化のベース塗膜、未硬化のメタリックベース塗膜、及び未硬化のクリヤコート塗膜を加熱することにより、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程と、硬化したクリヤコート塗膜の上に透明着色塗料組成物(B)を塗装し、透明着色塗膜を形成する工程と、透明着色塗膜の上にクリヤコート塗料組成物(E)を塗装し、クリヤコート塗膜を形成する工程と、未硬化の透明着色塗膜及び未硬化のクリヤコート塗膜を加熱することにより、これら2つの塗膜を同時に硬化させる工程とを含む。
工程IIは、対象物上に中塗り塗料(C)を塗装し、中塗り塗膜を形成する工程と、該中塗り塗膜を加熱により硬化させる工程と、該硬化した中塗り塗膜の上にベース塗料(D)を塗装し、ベース塗膜を形成する工程と、該ベース塗膜の上にメタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、メタリックベース塗膜を形成する工程と、該メタリックベース塗膜の上に透明着色塗料組成物(B)を塗装し、透明着色塗膜を形成する工程と、未硬化のベース塗膜、未硬化のメタリックベース塗膜、及び未硬化の透明着色塗膜を加熱することにより、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程とを含む。
工程IIIは、対象物上に中塗り塗料(C)を塗装し、中塗り塗膜を形成する工程と、該中塗り塗膜を加熱により硬化させる工程と、該硬化した中塗り塗膜の上にベース塗料(D)を塗装し、ベース塗膜を形成する工程と、該ベース塗膜の上にメタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、メタリックベース塗膜を形成する工程と、該メタリックベース塗膜の上に透明着色塗料組成物(B)を塗装し、透明着色塗膜を形成する工程と、未硬化のベース塗膜、未硬化のメタリックベース塗膜、及び未硬化の透明着色塗膜を加熱することにより、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程と、硬化した透明着色塗膜の上にクリヤコート塗料組成物(E)を塗装し、クリヤコート塗膜を形成する工程と、未硬化のクリヤコート塗膜を加熱により硬化させる工程とを含む。
工程IVは、対象物上に中塗り塗料(C)を塗装し、中塗り塗膜を形成する工程と、中塗り塗膜の上にメタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、メタリックベース塗膜を形成する工程と、メタリックベース塗膜の上にクリヤコート塗料組成物と塗装し、クリヤコート塗膜を形成する工程と、未硬化の中塗り塗膜、未硬化のメタリックベース塗膜、及び未硬化のクリヤコート塗膜を加熱することにより、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程と、硬化したクリヤコート塗膜の上に透明着色塗料組成物(B)を塗装し、透明着色塗膜を形成する工程と、透明着色塗膜の上にクリヤコート塗料組成物(E)を塗装し、クリヤコート塗膜を形成する工程と、未硬化の透明着色塗膜及び未硬化のクリヤコート塗膜を加熱することにより、これら2つの塗膜を同時に硬化させる工程とを含む。
工程Vは、対象物上に中塗り塗料(C)を塗装し、中塗り塗膜を形成する工程と、中塗り塗膜の上にメタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、メタリックベース塗膜を形成する工程と、メタリックベース塗膜の上に透明着色塗料組成物(B)を塗装し、透明着色塗膜を形成する工程と、未硬化の中塗り塗膜、未硬化のメタリックベース塗膜、及び未硬化の透明着色塗膜を加熱することにより、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程とを含む。
工程VIは、対象物上に中塗り塗料(C)を塗装し、中塗り塗膜を形成する工程と、中塗り塗膜の上にメタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、メタリックベース塗膜を形成する工程と、メタリックベース塗膜の上に透明着色塗料組成物(B)を塗装し、透明着色塗膜を形成する工程と、未硬化の中塗り塗膜、未硬化のメタリックベース塗膜、及び未硬化の透明着色塗膜を加熱することにより、これら3つの塗膜を同時に硬化させる工程と、硬化した透明着色塗膜の上にクリヤコート塗料組成物(E)を塗装し、クリヤコート塗膜を形成する工程と、未硬化のクリヤコート塗膜を加熱することにより硬化させる工程とを含む。
本発明の積層体のフィルム又は塗膜が適用される対象物としては、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器などの家庭電気製品の外板部などを挙げることができる。これらの内、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
これらの対象物の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Feなど)メッキ鋼などの金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂類、各種のFRPなどのプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリートなどの無機材料;木材;紙、布などの繊維材料などを挙げることができる。これらの内、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
また、対象物の積層体が適用される面としては、自動車車体外板部、自動車部品、家庭電気製品、これらを構成する鋼板などの金属基材などの金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理などの表面処理が施されたものであってもよい。
表面処理が施されていても施されていなくてもよい対象物の上には、さらに塗膜を形成してもよい。例えば、基材である対象物に必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜を形成したり、下塗り塗膜の上に中塗り塗膜を形成してもよい。上記下塗り塗膜及び中塗り塗膜は、例えば対象物が自動車車体である場合には、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知の下塗り及び中塗り用の塗料組成物を使用して形成することができる。
下塗り塗膜を形成するための下塗り塗料組成物としては、例えば、電着塗料、好ましくはカチオン電着塗料を使用することができる。また、上記中塗り塗膜を形成するための中塗り塗料組成物としては、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物などの架橋剤とを、顔料、増粘剤、及び任意選択のその他の成分と共に塗料化したものを使用することができる。
本明細書において、「対象物に、メタリックベース塗料組成物(A)を塗装する」という場合、対象物の上に直接メタリックベース塗料組成物(A)を塗装する場合に限定されず、対象物の上に表面処理、下塗り塗膜、及び/又は中塗り塗膜などの追加層を施して、その上にメタリックベース塗料組成物(A)を塗装する場合も含まれる。
本発明の実施形態の複層塗膜の形成方法は、例えば上記工程I〜VIに示されるように、対象物上に、中塗り塗料(C)を塗装し、中塗り塗膜を形成する工程を含む。工程I〜IIIの中塗り塗料(C)は親水性有機溶剤を媒体として含有する中塗り塗料(C)であり、工程IV〜VIの中塗り塗料(C)は水を媒体として含有する中塗り塗料(C)である。
中塗り塗料(C)は、当該分野で慣用されている熱硬化性の塗料であって、基体樹脂及び架橋剤と、水及び/又は親水性有機溶剤からなる媒体とを含有する塗料であることが好ましい。
上記の基体樹脂及び架橋剤としては、当該分野で慣用されている公知の化合物を使用することができる。基体樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。架橋剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物などを挙げることができる。親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどを使用することができる。
中塗り塗料(C)は、上記の成分に加えて、所望により、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤、顔料などを適宜含有してもよい。
上記顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料などを挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、アゾ系顔料、スレン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料などが挙げられ、なかでもペリレンを好適に使用することができる。
上記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトなどが挙げられ、なかでも、硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましい。なかでも、平滑性に優れた外観を有する複層塗膜を得るため、上記体質顔料として、平均一次粒子径が1μm以下の硫酸バリウム、特に平均一次粒子径が0.01〜0.8μmの範囲内である硫酸バリウムを含有することが好適である。
なお、本明細書における硫酸バリウムの平均一次粒子径は、硫酸バリウムを走査型電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある硫酸バリウム粒子20個の最大径を平均した値である。
また、前記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタン又は酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタン又は酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料などを挙げることができ、これらの光輝性顔料は、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。アルミニウム顔料には、ノンリーフィング型アルミニウムとリーフィング型アルミニウムとがあるが、いずれも使用できる。
中塗り塗料(C)が、顔料を含有する場合、該顔料の含有量は、中塗り塗料(C)中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、一般に1〜500質量部、好ましくは3〜400質量部、さらに好ましくは5〜300質量部の範囲内であることができる。なかでも、中塗り塗料(C)が着色顔料及び/又は体質顔料を含有し、該着色顔料及び体質顔料の合計含有量が、中塗り塗料(C)中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、一般に1〜500質量部、特に3〜400質量部、さらに特に5〜300質量部の範囲内であることが好適である。
中塗り塗料(C)が上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の含有量は、中塗り塗料(C)中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、通常1〜300質量部、好ましくは3〜250質量部、さらに好ましくは5〜200質量部の範囲内であることができる。
中塗り塗料(C)が上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の含有量は、中塗り塗料(C)中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、通常1〜300質量部、好ましくは5〜250質量部、さらに好ましくは10〜200質量部の範囲内であることができる。
中塗り塗料(C)が上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の含有量は、中塗り塗料(C)中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、通常0.1〜50質量部、好ましくは0.2〜30質量部、さらに好ましくは0.3〜20質量部の範囲内であることができる。
上記のごとき構成からなる中塗り塗料(C)を塗装することにより、塗装物の表面平滑性、耐衝撃性及び耐チッピング性を向上させることができる。
中塗り塗料(C)の塗装方法としては、当該分野で慣用されている通常の塗装方法を採用することができる。かかる塗装方法としては、例えば、刷毛又は塗装機を用いる塗装方法を挙げることができる。中でも塗装機を用いる塗装方法が好ましい。該塗装機としては、例えば、エアレススプレー塗装機、エアスプレー塗装機、塗料カセット式のような回転霧化式静電塗装機が好ましく、回転霧化式静電塗装機が特に好ましい。
中塗り塗膜は、ベース塗膜との混層の発生を防止する観点から、中塗り塗料(C)を塗装した後、加熱して硬化させた乾燥状態の塗膜であることが好ましい。かかる場合、加熱温度は好ましくは110〜180℃、特に好ましくは120〜160℃の範囲内である。また、加熱処理の時間は好ましくは10〜60分間、特に好ましくは15〜40分間の範囲内である。
上記の条件で加熱処理した後の中塗り(C)の硬化膜厚は、塗膜の得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、好ましくは10〜50μm、特に好ましくは15〜40μmの範囲内である。
中塗り塗料(C)は、得られる複層塗膜の色安定性などの観点から、白黒隠蔽膜厚が好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。本明細書において、「白黒隠蔽膜厚」とは、JIS K5600−4−1の4.1.2に規定される白黒の市松模様の隠蔽率試験紙を、鋼板に貼り付けた後、膜厚が連続的に変わるように塗料を傾斜塗りし、乾燥又は硬化させた後、拡散昼光の下で塗面を目視で観察し、隠蔽率試験紙の市松模様の白黒の境界が見えなくなる最小の膜厚を電磁式膜厚計で測定した値である。
本発明の実施形態の複層塗膜の形成方法は、上記工程I〜IIIに示されるように、中塗り塗膜上にベース塗料(D)を塗装して、ベース塗膜を形成する工程を含むことができる。
ベース塗料(D)には、それ自体既知の塗料組成物を使用することができる。特にベース塗料(D)として、自動車車体などを塗装する場合に通常用いられる塗料組成物を使用することが好適である。
ベース塗料(D)は、基体樹脂及び架橋剤と、水及び/又は有機溶剤からなる媒体とを含有する塗料であることが好ましい。
該基体樹脂及び架橋剤としては、当該分野で慣用されている公知の化合物を使用することができる。
基体樹脂は、耐候性及び透明性などが良好である樹脂が好適であり、具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
ベース塗料(D)は、水性塗料及び溶剤系塗料のいずれであってもよいが、塗料の低VOC化の観点から、水性塗料であることが望ましい。ベース塗料(D)が水性塗料である場合、上記基体樹脂として、樹脂を水溶性化もしくは水分散するのに十分な量の親水性基、例えばカルボキシル基、水酸基、メチロール基、アミノ基、スルホン酸基、ポリオキシエチレン基など、最も好ましくはカルボキシル基を含有する樹脂を使用し、該親水性基を中和してアルカリ塩とすることにより、基体樹脂を水溶性化もしくは水分散化することができる。その際の親水性基、例えばカルボキシル基の量は特に制限されず、水溶性化もしくは水分散化の程度に応じて任意に選択することができるが、一般には、酸価に基づいて約10mgKOH/g以上、好ましくは30〜200mgKOH/gの範囲内とすることができる。また中和に用いるアルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、アミン化合物などを挙げることができる。
また、上記樹脂の水分散化は、モノマー成分を界面活性剤、及び任意選択で水溶性樹脂の存在下で乳化重合せしめることによっても行うことができる。さらに、上記樹脂を例えば乳化剤などの存在下で水中に分散することによっても得られる。この水分散化においては、基体樹脂中には前記親水性基を全く含んでいなくてもよく、あるいは親水性基を上記水溶性樹脂よりも少なく含有することができる。
前記架橋剤は、上記基体樹脂を加熱により架橋硬化させるためのものであり、例えばアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック化していないポリイソシアネート化合物及びブロック化ポリイソシアネート化合物を含む)、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、ヒドラジド基含有化合物、セミカルバジド基含有化合物などが挙げられる。これらのうち、水酸基と反応し得るアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、及びカルボキシル基と反応し得るカルボジイミド基含有化合物が好ましい。上記架橋剤は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素などとホルムアルデヒドとの縮合もしくは共縮合又は、さらに低級1価アルコールでエーテル化するなどによって得られるアミノ樹脂が好適に用いられる。また、ポリイソシアネート化合物も好適に使用できる。
ベース塗料(D)における上記各成分の比率は、必要に応じて任意に選択することができるが、耐水性、仕上がり性などの観点から、基体樹脂及び架橋剤は、一般には、該両成分の合計質量に基づいて、前者が50〜90質量%、特に60〜85質量%、後者が10〜50質量%、特に15〜40質量%の範囲内とすることが好ましい。
ベース塗料(D)には、必要に応じて有機溶剤を使用することもできる。具体的には、通常塗料に用いられているものを使用することができる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテートなどのエステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル;ブタノール、プロパノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ジエチレングリコールなどのアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン;等の有機溶剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ベース塗料(D)は、上記の成分に加えて、所望により、着色顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、消泡剤、粘性調整剤、防錆剤、表面調整剤などを適宜含有してもよい。
ベース塗料(D)は、透明塗料もしくは着色塗料であることが好ましい。
ベース塗料(D)が透明塗料である場合には、着色顔料を含まず、必要に応じて体質顔料を含有することができる。体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、炭酸マグネシウム、タルク、アルミナホワイトなどを挙げることができる。
上記体質顔料を配合する場合、その配合量は、ベース塗料(D)中の樹脂固形分100質量部に対し0.1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部の範囲内である。
ベース塗料(D)が着色塗料である場合には、着色顔料を含有する。ベース塗料(D)は、光線透過制御の観点からは酸化チタン及びカーボンブラック等の着色顔料を含有することができ、さらに必要に応じて酸化チタン及びカーボンブラック以外の従来公知の着色顔料を含有することができる。かかる着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、酸化鉄顔料、チタンイエローなどの複合酸化金属顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料、光輝性顔料などの中から任意のものを1種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。光輝性顔料としては、着色塗料(W)の欄で例示したものを挙げることができる。
上記着色顔料を配合する場合、その配合量は、ベース塗料(D)中の樹脂固形分100質量部に対し0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.2〜40質量部の範囲内である。
ベース塗料(D)により得られるベース塗膜の硬化膜厚は、得られる複層塗膜のハイライト近傍での高い明度及びハイライトからシェードまでの広範囲での高い彩度の観点から、好ましくは3μm以上であり、より好ましくは3〜20μm、さらにより好ましくは5〜15μmである。
ベース塗料(D)の塗装は、通常の方法に従って行なうことができ、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装などの方法が挙げられる。ベース塗料(D)の塗装の際は、必要に応じて、静電印加されていてもよく、中でも、回転霧化方式の静電塗装及びエアスプレー方式の静電塗装が好ましく、回転霧化方式の静電塗装が特に好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装又は回転霧化塗装する場合には、ベース塗料(D)は、適宜、水及び/又は有機溶剤ならびに必要に応じて粘性調整剤、消泡剤などの添加剤を含有して塗装に適した固形分含有率及び粘度に調整されることが好ましい。
ベース塗料(D)の固形分含有率は10〜60質量%、好ましくは15〜55質量%、さらに好ましくは20〜50質量%の範囲であることが好ましい。ベース塗料(D)の20℃、6rpmにおけるB型粘度計による粘度が好ましくは200〜7000cps、より好ましくは300〜6000cps、さらに好ましくは500〜5000cpsの範囲である。
本発明の実施形態の複層塗膜の形成方法は、例えば上記工程I〜VIに示されるように、ベース塗膜上又は中塗り塗膜上に、メタリックベース塗料組成物(A)を塗装し、メタリックベース塗膜を形成する工程を含む。メタリックベース塗料組成物(A)については上記に説明した。
メタリックベース塗料組成物(A)は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの方法で塗装することができる。本発明の複層塗膜形成方法においては、特に回転霧化式の静電塗装が好ましい。
メタリックベース塗料組成物(A)を塗装して得られたメタリックベース塗膜は乾燥していることが好ましい。上記メタリックベース塗膜を乾燥させる方法に特に制限はないが、例えば、常温で15〜30分間放置する方法、50〜100℃の温度で30秒〜10分間プレヒートを行なう方法などが挙げられる。
本発明の実施形態の複層塗膜の形成方法は、上記工程I〜VIに示されるように、メタリックベース塗膜上に、クリヤコート塗料組成物(E)又は透明着色塗料組成物(B)を塗装して、クリヤコート塗膜又は透明着色塗膜をそれぞれ形成する工程を含むことができる。
透明着色塗料組成物(B)については上記に説明した。
クリヤコート塗料組成物(E)は、基体樹脂と硬化剤とを含有する1液型クリヤ塗料であることもできるし、又は水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を有する2液型クリヤ塗料であることもできる。
クリヤコート塗料組成物(E)は、基体樹脂並びに架橋剤などの樹脂成分、及び有機溶剤や水などの溶媒を含有し、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤などを配合してなる有機溶剤系或いは水系の熱硬化性塗料であり、この塗料から得られるクリヤコート塗膜を透して下層のメタリックベース塗膜のメタリック感を視認できる程度の透明性を有するものである。クリヤコート塗料組成物(E)は、上述の透明着色塗料組成物(B)に関して説明した構成成分から適宜選択して配合組成を構成することができる。
クリヤコート塗料組成物(E)及び透明着色塗料組成物(B)の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度となる量とするのが好ましい。
クリヤコート塗料組成物(E)又は透明着色塗料組成物(B)の塗装は、特に限定されずメタリックベース塗料組成物(A)と同様の方法で行うことができ、例えば、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法により行なうことができる。
クリヤコート塗料組成物(E)又は透明着色塗料組成物(B)を塗装し、クリヤコート塗膜又は透明着色塗膜をそれぞれ形成した後、揮発成分の揮散を促進するために、例えば、50〜80℃程度の温度で3〜10分間程度のプレヒートを行なうこともできる。
本発明の実施形態の複層塗膜の形成方法は、上記工程I〜VIに示されるように、透明着色塗膜上に、クリヤコート塗料組成物(E)を形成する工程を含むことができる。透明着色塗膜上に形成されるクリヤコート塗料組成物(E)は、メタリックベース塗膜上に形成されるクリヤコート塗料組成物(E)と同一組成であることもできるし異なる組成であることもできるが、同一組成であることが簡便さのため好ましい。クリヤコート塗料組成物(E)の塗装は上述した通りである。
焼き付けのための加熱は公知の手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉などの乾燥炉を適用できる。
加熱温度は好ましくは70〜180℃、より好ましくは80〜170℃の範囲内にある。
加熱時間は、特に制限されないが、好ましくは10〜40分間、より好ましくは20〜30分間の範囲内である。硬化(焼付け)時間は、硬化温度などに依存して変えることができ、好ましくは100〜170℃で10〜40分間程度の範囲内である。
積層体のC*15、C*25、C*45、C*75、L*15及びL*25の測定及び粒子感HG値の測定は本発明の積層体のフィルム又は塗膜に対して行うことができる。本発明は以下の構成を採用することもできる。
(1)メタリックベース層と、前記メタリックベース層の上に形成される透明着色層とを備えた積層体であって、
X=[(C*45)2+(C*75)2)]1/2とし、
Y=[(L*15)2+(C*15)2)]1/2+[(L*25)2+(C*25)2)]1/2としたときに、
Xが64以上であり、かつYが191以上であり、
粒子感の測定値(HG値)が45以下である積層体。
(ただし、C*15、C*25、C*45及びC*75は積層体に入射角度45度から照射した光を正反射光に対して15度、25度、45度、及び75度の各角度で受光した分光反射率から計算された彩度を表し、
L*15及びL*25は積層体に入射角度45度から照射した光を正反射光に対して15度及び25度の各角度で受光した分光反射率から計算された明度を表す。)
(2)Xが65以上80以下であり、かつYが200以上240以下である(1)に記載の積層体。
(3)メタリックベース層が、メタリックベース層100質量部を基準として、固形分で15〜70質量部のアルミニウム顔料を含有する(1)又は(2)に記載の積層体。
(4)透明着色層の上にクリヤコート層をさらに備える(1)〜(3)のいずれか一項に記載の積層体。
(5)メタリックベース層は、アルミニウム顔料、光散乱成分、表面調整剤、及び粘性調整剤を含有する(1)、(2)、又は(4)に記載の積層体。
(6)メタリックベース層は、メタリックベース層100質量部を基準として、固形分で15〜70質量部のアルミニウム顔料及び固形分で5〜55質量部の光散乱成分を含有する(1)、(2)、(4)、又は(5)に記載の積層体。
(7)アルミニウム顔料が、蒸着アルミニウムフレークを含む(3)〜(6)のいずれか一項に記載の積層体。
(8)アルミニウム顔料が、表面がシリカ処理されたアルミニウムフレーク顔料を含む(3)〜(6)のいずれか一項に記載の積層体。
(9)光散乱成分が白色顔料を含む(5)〜(8)のいずれか一項に記載の積層体。
(10)光散乱成分が酸化チタン被覆マイカ顔料、白色顔料、酸化チタン被覆アルミナフレーク顔料、又はそれらの組み合わせを含む(5)〜(8)のいずれか一項に記載の積層体。
(11)表面調整剤がシリコーン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、ビニル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、及びアセチレンジオール系表面調整剤から成る群から選択される1つ又は2種以上である(5)、(6)、(9)又は(10)のいずれか一項に記載の積層体。
(12)粘性調整剤がセルロース系粘性調整剤を含む(5)、(6)、(9)、(10)又は(11)のいずれか一項に記載の積層体。
(13)透明着色層は樹脂及び着色顔料を含有する(1)〜(12)のいずれか一項に記載の積層体。
(14)着色顔料の含有量は、透明着色層の樹脂固形分100質量部を基準として0.5〜10質量部である(13)に記載の積層体。
(15)着色顔料が、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、及び青色顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含む(14)に記載の積層体。
(16)メタリックベース層の膜厚が0.02〜5μmである(1)〜(15)のいずれか一項に記載の積層体。
(17)透明着色層の膜厚が10〜60μmである(1)〜(16)のいずれか一項に記載の積層体。
(18)クリヤコート層は樹脂及び着色顔料を含有する(4)〜(17)のいずれか一項に記載の積層体。
(19)着色顔料が、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、及び青色顔料から成る群から選択される少なくとも1種を含む(18)に記載の積層体。
(20)色相角度hがa*赤方向を0°とした場合に−45〜45°の範囲内である(1)〜(19)のいずれか一項に記載の積層体。
(21)(1)〜(20)のいずれか一項に記載の積層体を備えた対象物。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、これら製造例、実施例及び比較例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するためのものではない。製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
1.メタリックベース塗料組成物(A)の製造
リン酸基含有アクリル樹脂(R−1)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部及びイソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱した後、110℃に保持しつつ、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、分岐高級アルキルアクリレート(商品名「イソステアリルアクリレート」、大阪有機化学工業社製)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、下記リン酸基含有重合性モノマー15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部及びtert−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に滴下し、さらにtert−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部とからなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分50%のリン酸基含有アクリル樹脂溶液(R−1)を得た。リン酸基含有アクリル樹脂は、酸価が83mgKOH/g、水酸基価が29mgKOH/g、重量平均分子量が10000であった。
リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部及びイソブタノール41部を入れ、90℃に昇温させた。その後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。次いで、イソプロパノ−ル59部を加えて、固形分50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーの酸価は285mgKOH/gであった。
水酸基含有アクリル樹脂(R−2)の製造
製造例2
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート32部、n−ブチルアクリレート27.7部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート10部、ヒドロキシプロピルアクリレート3部、アクリル酸6.3部、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート1部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部を加え、固形分55%の水酸基含有アクリル樹脂(R−2)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂(R−2)は酸価が51mgKOH/g、水酸基価が52mgKOH/gであった。
アクリル樹脂(R−3)の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル37部を仕込み、加熱撹拌して110℃に保持した。この中に、スチレン10部、メチルメタクリレート35部、2−エチルヘキシルメタクリレート20部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(分子量約2080)20部、アゾビスイソブチロニトリル1部及びイソブチルアルコール5部からなる混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で30分間熟成し、次にエチレングリコールモノブチルエーテル20部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる追加触媒混合液を1時間かけて滴下した。ついで110℃で1時間熟成したのち冷却し、固形分50%のアクリル樹脂(R−3)溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は20000であった。
ポリエステル樹脂(R−4)の製造
製造例4
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃から230℃迄3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物に、カルボキシル基を導入するために、無水トリメリット酸38.3部を加えて、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、固形分70%のポリエステル樹脂(R−4)溶液を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、数平均分子量が1400であった。
アクリル樹脂水分散体(R−5)の製造
製造例5
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水128部、及び「アデカリアソープSR−1025」(商品名、ADEKA製、乳化剤、有効成分25%)2部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温させた。
次いで下記コア部用モノマー乳化物の全量のうちの1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、コア部用モノマー乳化物の残部を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。次に、下記シェル部用モノマー乳化物を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5% 2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm、固形分30%のアクリル樹脂水分散体(R−5)を得た。得られたアクリル樹脂水分散体は、酸価33mgKOH/g、水酸基価25mgKOH/gであった。
コア部用モノマー乳化物:脱イオン水40部、「アデカリアソープSR−1025」2.8部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌することにより、コア部用モノマー乳化物を得た。
シェル部用モノマー乳化物:脱イオン水17部、「アデカリアソープSR−1025」1.2部、過硫酸アンモニウム0.03部、スチレン3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、メタクリル酸5.1部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌することにより、シェル部用モノマー乳化物を得た。
顔料分散体の製造
製造例6
撹拌混合容器に、水酸基含有アクリル樹脂(R−2)6部(固形分3.3部)、JR−903(商品名、ルチル型酸化チタン顔料 テイカ社製)35部及び脱イオン水18部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH7.5に調整した。得られた混合物を225ml容の樹脂性のビンに入れ、1.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して120分間分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、固形分66%の白色顔料分散体(P−1)を得た。
製造例7
撹拌混合容器に、水酸基含有アクリル樹脂(R−2)6部(固形分3.3部)、PARIOGEN MAROON L3920(商品名、ペリレン系赤色顔料 BASF社製)35部及び脱イオン水60部を入れ、均一に混合し、更に、2−(ジメチルアミノ)エタノールを添加して、pH7.5に調整した。得られた混合物を225ml容の樹脂性のビンに入れ、1.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して120分間分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、固形分66%の赤色顔料分散体(P−2)を得た。
製造例8
水酸基含有アクリル樹脂溶液(R−2)を327部(固形分で180部)、脱イオン水360部、サーフィノール(登録商標)104A(商品名、エボニックインダストリーズ社製消泡剤、固形分50%)6部、及びバリファインBF−20(商品名、堺化学工業社製、硫酸バリウム粉末、平均粒子径0.03μm)250部を、ペイントコンディショナー中に入れ、ガラスビーズ媒体を加えて、室温で1時間混合分散し、固形分44%の体質顔料分散液(P−3)を得た。
メタリックベース塗料組成物(A)の製造
製造例9
以下の成分を配合して攪拌混合し、メタリックベース塗料(A−1)を調製した。
「アルペースト EMR−B6360」(商品名、東洋アルミ社製、ノンリーフィングアルミニウムフレーク、平均粒子径D50:10.3μm、厚さ:0.19μm、表面がシリカ処理されている) 8.66部(固形分で4.07部)
「Iriodin 111 Rutile Fine Satin」(商品名、メルク社製、酸化チタン被覆マイカ顔料、一次平均粒子径:5.8μm、厚さ:0.34μm) 4.12部(固形分で4.12部)
「レオクリスタ」(商品名、セルロース系粘性調整剤=セルロースナノファイバーゲル、第一工業製薬社製、固形分2%)18.75部(固形分で0.38部)
表面調整剤「BYK348」(商品名、BYK社製、シリコーン系表面調整剤、固形分100%) 1部(固形分で1部)
リン酸基含有アクリル樹脂(R−1)2.51部(固形分で1.26部)
アクリル樹脂(R−3)3.09部(固形分で1.55部)
ジメチルエタノールアミン 0.26部
蒸留水 73.98部
製造例10〜23
表1に記載の配合とする以外は全て製造例9と同様にしてメタリックベース塗料(A−2)〜(A−15)を得た。
表中の原材料の詳細は以下の通りである。
「Hydroshine WS−3004」(商品名、水性用蒸着アルミニウムフレーク顔料、Eckart社製、固形分:10%、内部溶剤:イソプロパノール、平均粒子径D50:13μm、厚さ:0.05μm、表面がシリカ処理されている)
「アルペースト EMR−B5690」(商品名:ノンリーフィングアルミニウムフレーク、東洋アルミニウム社製、平均粒子径D50:8.8μm、厚さ:0.1μm、表面がシリカ処理されている)
「Xirallic T60−10 Crystal Silver」(商品名、酸化チタン被覆アルミナフレーク顔料、メルク社製、一次平均粒子径=約19μm、厚さ:約0.4μm)
「Xirallic T61−10 Micro Silver」(商品名、酸化チタン被覆アルミナフレーク顔料、メルク社製、一次平均粒子径:約12μm、平均厚さ:約0.3μm)
製造例24
攪拌混合容器に、体質顔料分散液(P−3)を固形分で14部、アクリル樹脂水分散体(R−5)を固形分で40部、ポリエステル樹脂溶液(R−4)を固形分で23部、「ユーコートUX−310」(商品名、三洋化成社製、ウレタン樹脂水分散体、固形分含有率40%)を固形分で10部、及び「サイメル251」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分含有率80%)を固形分で27部、「GX−180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、アルミニウム顔料ペースト、アルミニウム含有量74%)12部となるように添加して攪拌混合し、固形分25%のシルバー色ベース塗料(A−16)を調製した。
製造例25
下記の市販の水性ベースコート塗料(A−17−1)及び水性ベースコート塗料(A−17−2)をメタリックベース塗料組成物(A−17)として使用した。水性ベースコート塗料(A−17−1)及び水性ベースコート塗料(A−17−2)は光散乱成分を含まない。
(A−17−1)
「WBC−716T No.7321」(商品名、関西ペイント社製、水性ベースコート塗料、赤メタリック色、固形分 30 %)
(A−17−2)
「WBC−716T No.7322」(商品名、関西ペイント社製、水性ベースコート塗料、赤色、固形分 30 %)
Figure 2019117280
2.透明着色塗料組成物(B)の製造
(B−1)
「KINO6510」(商品名:関西ペイント株式会社、水酸基/イソシアネート基硬化型アクリル樹脂・ウレタン樹脂系2液型有機溶剤型塗料)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準として「PARIOGEN MAROON L3920」(商品名、BASF社製、有機ペリレン顔料)を1.21部添加したもの
(B−2)
「KINO6510」(商品名:関西ペイント株式会社、水酸基/イソシアネート基硬化型アクリル樹脂・ウレタン樹脂系2液型有機溶剤型塗料)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準とて「PARIOGEN MAROON L3920」(商品名、BASF社製、有機ペリレン顔料)を1.01部添加したもの
(B−3)
「KINO6510」(商品名:関西ペイント株式会社、水酸基/イソシアネート基硬化型アクリル樹脂・ウレタン樹脂系2液型有機溶剤型塗料)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準とて「PARIOGEN MAROON L3920」(商品名、BASF社製、有機ペリレン顔料)を0.81部添加したもの
(B−4)
「KINO6510」(商品名:関西ペイント株式会社、水酸基/イソシアネート基硬化型アクリル樹脂・ウレタン樹脂系2液型有機溶剤型塗料)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準とて「PARIOGEN MAROON L3920」(商品名、BASF社製、有機ペリレン顔料)を0.60部添加したもの
(B−5)
「WBC−716T エナメルクリヤ」(商品名、関西ペイント社製、水性ベースコート塗料、透明色)に含まれる樹脂固形分100質量部に対して「PARIOGEN MAROON L3920」(商品名、BASF社製、有機ペリレン顔料)を1.21部添加したもの
3.中塗り塗料組成物の製造
(C−1)
「TP−65 No.8110」(商品名、関西ペイント社製、溶剤型赤色中塗り塗料、得られる塗膜のL*値:20)
(C−2)
「WP−522H N−2.0」(商品名、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂系水性中塗り塗料、得られる塗膜のL*値:20)
4.ベース塗料組成物の製造
(D−1)
製造例26
攪拌混合容器に、体質顔料分散液(P−3)を固形分で14部、アクリル樹脂水分散体(R−5)を固形分で40部、ポリエステル樹脂溶液(R−4)を固形分で23部、「ユーコートUX−310」(商品名、三洋化成社製、ウレタン樹脂水分散体、固形分含有率40%)を固形分で10部、及び「サイメル251」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分含有率80%)を固形分で27部となるように添加して攪拌混合し、無色透明のベース塗料(D−1)を調製した。
5.クリヤコート塗料組成物の製造
(E−1)
「KINO6510」(商品名:関西ペイント株式会社、水酸基/イソシアネート基硬化型アクリル樹脂・ウレタン樹脂系2液型有機溶剤型塗料)
6.対象物の調製
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400mm×300mm×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロンGT−10」(商品名:関西ペイント社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に架橋剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させ、電着塗膜を形成せしめ、対象物としての被塗物1とした。
7.試験板の作製
実施例1
工程(1):被塗物1上に、中塗り塗料(C−1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚35μmになるように静電塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させた。
工程(2):次いで、硬化された塗膜の上に、透明ベース塗料(D−1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚10μmになるように静電塗装し、2分間放置した。工程(3):さらに、塗膜の上に、メタリックベース塗料(A−1)を、表1に記載の塗料粘度に調整し、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として、2.3μmとなるように塗装した。その後、80℃にて3分間放置した。
工程(4):次いで、乾燥塗膜の塗面に、透明着色塗料(B−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥せしめて試験板とした。
ここで、表2に記載したメタリックベースの乾燥塗膜の膜厚は、下記式(2)から算出した。以下の実施例についても同様である。
x=(sc*10000)/(S*sg) ・・・(2)
x:膜厚[μm]
sc:塗着固形分[g]
S:塗着固形分の評価面積[cm2
sg:塗膜比重[g/cm3
実施例2〜15、比較例1〜3
表2に記載の塗料及び膜厚とする以外は全て実施例1と同様にして試験板を得た。
実施例16
工程(1):被塗物1に、中塗り塗料(C−1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚30μmになるように静電塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させ、中塗り塗膜を形成せしめた。
工程(2):該中塗り塗膜上に透明ベース塗料(D−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化塗膜に基づいて膜厚が10μmになるように塗装し、3分間静置後、80℃で3分間プレヒートして、未硬化のベース塗膜を形成せしめた。
工程(3):ついで得られた未硬化のベース塗膜上に、前述のように作成したメタリックベース塗料(A−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として、1.0μmとなるように塗装した。3分間放置し、その後、80℃にて3分間放置し、未硬化のメタリック塗膜を形成した。
工程(4):さらに、得られた未硬化のメタリック塗膜上に、クリヤコート塗料(E−1)をABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装して未硬化のクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、3層の塗膜を同時に乾燥せしめて複層塗膜を形成した。
工程(5):ついで、この複層塗膜上に、透明着色塗料(B−5)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化塗膜に基づいて膜厚が20μmになるように塗装し、3分間静置後、80℃で3分間プレヒートして、未硬化の透明着色塗膜を形成せしめた。
工程(6):さらに、得られた未硬化の透明着色塗膜上に、クリヤコート塗料(E−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、3層の塗膜を同時に乾燥せしめて複層塗膜を形成して試験板とした。
実施例17
実施例1の工程(5)の後に、クリヤコート塗料(E−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を形成して試験板とした。
実施例18
工程(1):被塗物1上に、中塗り塗料(C−2)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚30μmになるように静電塗装し、3分間放置後、80℃で3分間プレヒートし、未硬化の中塗り塗膜を形成した。
工程(2):さらに、得られた未硬化の中塗り塗膜上に、前述のように作成したメタリックベース塗料(A−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として、1.0μmとなるように塗装した。3分間放置し、その後、80℃にて3分間放置し、未硬化のメタリックベース塗膜を形成した。
工程(3):ついで、この未硬化のメタリック塗膜上に、クリヤコート塗料(E−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、3層の塗膜を同時に乾燥せしめて複層塗膜を形成した。
工程(4):ついで、この複層塗膜上に、透明着色塗料(B−5)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化塗膜に基づいて膜厚が20μmになるように塗装し、3分間静置後、80℃で3分間プレヒートして、未硬化の着色透明塗膜を形成せしめた。
工程(5):さらに、得られた未硬化の着色透明塗膜上に、クリヤコート塗料(E−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、2層の塗膜を同時に乾燥せしめて複層塗膜を形成して試験板とした。
実施例19
工程(1):被塗物1上に、中塗り塗料(C−2)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚30μmになるように静電塗装し、3分間放置後、80℃で3分間プレヒートし、未硬化の中塗り塗膜を形成した。
工程(2):ついで、得られた未硬化の中塗り塗膜上に、前述のように作成したメタリックベース塗料(A−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として、1.0μmとなるように塗装した。3分間放置し、その後、80℃にて3分間放置し、未硬化の光輝性顔料含有塗膜を形成した。
工程(3):さらに、この未硬化の光輝性顔料含有塗膜上に、透明着色塗料(B−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装し着色透明塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、3層の塗膜を同時に乾燥せしめて複層塗膜を形成して試験板とした。
実施例20
実施例19の工程の後に、クリヤコート塗料(E−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を形成して試験板とした。
比較例4
工程(1):被塗物1上に、中塗り塗料(C−1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚30μmになるように静電塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させ、中塗り塗膜を形成せしめた。
工程(2):該中塗り塗膜上にメタリックベース塗料(A−16)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化塗膜に基づいて膜厚が15μmになるように塗装し、3分間静置後、80℃で3分間プレヒートして、未硬化のメタリックベース塗膜を形成せしめた。
工程(3):さらに、この未硬化のメタリックベース塗膜上に、透明着色塗料(B−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装し着色透明塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、2層の塗膜を同時に乾燥せしめて複層塗膜を形成して試験板とした。
比較例5
工程(1):被塗物1上に、中塗り塗料(C−1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚30μmになるように静電塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させ、中塗り塗膜を形成せしめた。
工程(2):該中塗り塗膜上にメタリックベース塗料(A−17−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化塗膜に基づいて膜厚が15μmになるように塗装し、3分間静置後、ベース塗料(A−17−2)回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化塗膜に基づいて膜厚が15μmになるように塗装し、3分間静置後、80℃で3分間プレヒートして、未硬化のメタリックベース塗膜を形成せしめた。
工程(3):さらに、この未硬化のメタリックベース塗膜上に、クリヤコート塗料(E−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、2層の塗膜を同時に乾燥せしめて複層塗膜を形成して試験板とした。
比較例6
工程(1):被塗物1上に、中塗り塗料(C−1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚35μmになるように静電塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させた。
工程(2):次いで、硬化された塗膜の上に、透明ベース塗料(D−1)を回転霧化型のベル型塗装機を用いて、硬化膜厚10μmになるように静電塗装し、2分間放置した。工程(3):さらに、塗膜の上に、メタリックベース塗料(A−17−1)を、表1に記載の塗料粘度に調整し、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として、15μmとなるように塗装し、3分間静置後、ベース塗料(A−17−2)回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化塗膜に基づいて膜厚が15μmになるように塗装し、3分間静置後、80℃で3分間プレヒートして、未硬化のメタリックベース塗膜を形成せしめた。
工程(4):次いで、乾燥塗膜の塗面に、透明着色塗料(B−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥した。
工程(5):その後、クリヤコート塗料(E−1)を、ABB社製ロボットベルを用いて、ブース温度23℃、湿度68%の条件で、乾燥塗膜として35μmとなるように塗装しクリヤ塗膜を形成した。塗装後、室温にて7分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を形成して試験板とした。試験板とした。
8.塗膜評価
上記のようにして得られた各試験板について塗膜の外観及び性能を評価し、表2にその結果を示した。
彩度C*の測定
塗膜に対して45度の角度から照射した光を、正反射光に対してそれぞれ15度、25度、45度、75度及び110度で受光した分光反射率から計算されたL*C*h*表色系における彩度C*15、C*25、C*45、C*75及びC*110を表2に示した。測定には、多角度分光光度計(x−rite社製、商品名、MA−68II)を使用した。
明度L*の測定
塗膜に対して45度の角度から照射した光を、正反射光に対してそれぞれ15度、25度、45度、75度及び110度で受光した分光反射率から計算されたL*a*b*表色系における明度L*15、L*25、L*45、L*75及びL*110を表2に示した。測定には、多角度分光光度計(x−rite社製、商品名、MA−68II)を使用した。
X、Yの計算
X,Yを以下の式に従って求めた。実施例1〜20及び比較例1〜6のX,Yの値をプロットしたグラフを図2に示す。
X=[(C*45)2+(C*75)2)]1/2
Y=[(L*15)2+(C*15)2)]1/2+[(L*25)2+(C*25)2)]1/2
粒子感HG値の測定
HG値は、Hi−light Graininess値の略称である。HG値は、塗膜面を微視的に観察した場合におけるミクロ光輝感の尺度の一つであり、ハイライトにおける粒子感を表す指標である。HG値は、次のようにして、算出される。先ず、塗膜面を、光の入射角15度/受光角0度にてCCDカメラで撮影し、得られたデジタル画像データ(2次元の輝度分布データ)を2次元フーリエ変換処理して、パワースペクトル画像を得る。次に、このパワースペクトル画像から、粒子感に対応する空間周波数領域のみを抽出して得られた計測パラメータを、更に0〜100の数値を取り、且つ粒子感との間に直線的な関係が保たれるように変換した値が、HG値である。HG値は、光輝性顔料の粒子感が全くないものを0とし、光輝性顔料の粒子感が最も大きいものを100とした値である。
色相角度hの測定
塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して15度で受光したときの分光反射率に基づいて計算されたL*C*h表色系色度図における、色相角度hを表2に示した。測定には、多角度分光光度計(x−rite社製、商品名、MA−68II)を使用した。
Figure 2019117280

Claims (5)

  1. メタリックベース層と、前記メタリックベース層の上に形成される透明着色層とを備えた積層体であって、
    X=[(C*45)2+(C*75)2)]1/2とし、
    Y=[(L*15)2+(C*15)2)]1/2+[(L*25)2+(C*25)2)]1/2としたときに、
    Xが64以上であり、かつYが191以上であり、
    粒子感の測定値(HG値)が45以下である積層体。
    (ただし、C*15、C*25、C*45及びC*75は積層体に入射角度45度から照射した光を正反射光に対して15度、25度、45度、及び75度の各角度で受光した分光反射率から計算された彩度を表し、
    L*15及びL*25は積層体に入射角度45度から照射した光を正反射光に対して15度及び25度の各角度で受光した分光反射率から計算された明度を表す。)
  2. Xが65以上80以下であり、かつYが200以上240以下である請求項1に記載の積層体。
  3. メタリックベース層が、メタリックベース層100質量部を基準として、固形分で15〜70質量部のアルミニウム顔料を含有する請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 透明着色層の上にクリヤコート層をさらに備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体を備えた対象物。
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