JP6473596B2 - 鋼構造物の補強構造 - Google Patents

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本発明は、鋼構造物の補強構造に関する。
さらに詳しくは、既に構造体として築造された既存鋼構造物である鋼製の柱、梁や小梁、山形鋼ブレース材、トラス材あるいは鉄塔の主材や斜材等の断面不足並びに欠損に伴う剛性不足や耐力の不足を補うために、その鋼材の一部の表面に対して、炭素繊維強化プラスチック帯板(以下、「CFRP帯板」ということがある)を、接着剤を用いて接着接合させて補強する鋼構造物の補強構造に関する。
特に、補強強度レベルの向上とその補強効果の長期持続性の向上をより高度に達成することができる鋼構造物の補強構造に関するものである。
従来、既存の鋼構造物などの剛性構造物に対して、CFRP帯板などの繊維強化プラスチック板材を、積層構造を構成して貼り付けることにより補強をすることが知られている(特許文献1−6)。
このCFRP帯板などの繊維強化プラスチック帯板を鋼構造物へ接着接合することによる補強方式に関して、ある程度柔軟な繊維強化シートを鋼材の柱の周囲に巻き付けるものではないので、そのCFRP帯板などの繊維強化プラスチック板材自身が有する性能(剛性・強度)を最大限に引き出すこと、そして、そのCFRP帯板が本来有する補強性能(剛性・強度)を十分に発揮させて、該CFRP帯板で補強された該鋼構造物全体の強度レベルをより向上させ、かつその向上された強度レベルの長期持続性を実現することが特に重要なものである。
しかし、CFRP帯板を鋼構造物の梁部材等の曲げ引張側の面などに接着剤を用いて貼り付けた構造を持つ鋼構造物の補強構造を実現しても、そのCFRP帯板が本来有する性能(剛性・強度)を十分に発揮させることができない場合があった。
特開2010−31612号公報 特開2002−70327号公報 特開2013−92014号公報 特開2009−119607号公報 特開2006−132245号公報 特開2013−47446号公報
上述したような点に鑑み、本発明の目的は、補強のためのCFRP帯板を鋼構造物の被補強面に対して接着剤を用いて貼り付けた構造を持つ鋼構造物の補強構造において、そのCFRP帯板が本来有する補強性能(剛性・強度)を十分に発揮させて、CFRP帯板で補強された該鋼構造物全体の強度レベルをより向上させ、かつその向上された強度レベルの長期持続性において優れた鋼構造物の補強構造を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の鋼構造物の補強構造は、下記(1)の構成を有する。(1)鋼構造物の一部の表面に対して、少なくとも1枚の炭素繊維強化プラスチック帯板が接着剤層を介して貼り付けられ、一体化されてなる鋼構造物の補強構造であって、該鋼構造物と前記炭素繊維強化プラスチック帯板の間の境界面の該帯板長手方向の両端域において、前記炭素繊維強化プラスチック帯板と前記鋼構造物の表面が直接接合されていない非接合領域をそれぞれ有し、該非接合領域が前記炭素繊維強化プラスチック帯板の切断端面部から該帯板長手方向中央に向け延在していることを特徴とする鋼構造物の補強構造。
また、かかる本発明の鋼構造物の補強構造において、好ましくは、以下の(2)〜(7)のいずれかの構成からなるものである。
(2)前記炭素繊維強化プラスチック帯板が、厚さ1〜5mm、幅20〜300mmであり、前記非接合領域が、該炭素繊維強化プラスチック帯板の全幅にわたり、かつ該炭素繊維強化プラスチック帯板の長手方向に1〜100mmの長さを呈してなることを特徴とする上記(1)記載の鋼構造物の補強構造。
(3)複数枚の炭素繊維強化プラスチック帯板が積層されてなる積層体が前記鋼構造物の表面の平面部に対して貼り付けられ、前記鋼構造物の補強構造が形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)記載の鋼構造物の補強構造。
(4)前記非接合領域が、前記炭素繊維強化プラスチック帯板と前記鋼構造物の表面とが密着しているだけの構造であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
(5)前記非接合領域に、接着剤の付与時に該非接合領域を覆って該非接合領域を形成させるために使用したマスキング材が残置されてなることを特徴とする上記(1)〜(4)
のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
(6)前記炭素繊維強化プラスチック帯板と前記鋼構造物の表面とが直接接合されていない非接合領域にシーリング材が充填されていることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
(7)前記炭素繊維強化プラスチック帯板の積層接合が、鋼構造物の表面に生じた腐食部分を覆ってなされていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
請求項1にかかる本発明によれば、補強のためのCFRP帯板を鋼構造物の被補強面に対して接着剤を用いて貼り付けた構造を持つ鋼構造物の補強構造において、そのCFRP帯板が本来有する補強性能(剛性・強度)を十分に発揮させて、CFRP帯板で補強された該鋼構造物全体の強度レベルをより向上させ、かつその向上された強度レベルの長期持続性において優れた鋼構造物の補強構造が提供される。
請求項2〜請求項7のいずれかにかかる本発明の鋼構造物の補強構造によれば、上述した請求項1にかかる本発明の鋼構造物の補強構造の効果を、より明確にかつ具体的に有する鋼構造物の補強方法が提供される。
(a)、(b)は、いずれも本発明の鋼構造物の補強構造の一実施態様例を説明するものであり、(a)は鋼材に1枚のCFRP帯板を貼り付けた構造を持つ鋼構造物の補強構造をモデル的に示したもの、(b)は、(a)の円で囲った部分の要部拡大側面図である。 (a)、(b)は、いずれも本発明の鋼構造物の補強構造の一実施態様例を説明するものであり、(a)は鋼材に4枚のCFRP帯板を貼り付けた構造を持つ鋼構造物の補強構造をモデル的に示したもの、(b)は、(a)の円で囲った部分の要部拡大側面図である。 実施例で用いた鋼構造物の補強構造の静的曲げ試験方法を説明する側面図である。
以下、更に詳しく本発明の鋼構造物の補強構造について、説明する。
本発明の鋼構造物の補強構造は、図1(a)、(b)に実施態様例を示したように、鋼構造物1の一部の表面に対して、少なくとも1枚の炭素繊維強化プラスチック帯板2が接着剤層3を介して貼り付けられ、一体化されてなる鋼構造物の補強構造であって、該鋼構造物1と炭素繊維強化プラスチック帯板2の間の境界面の該帯板長手方向の両端域において、該炭素繊維強化プラスチック帯板2と該鋼構造物1の表面が直接接合されていない非接合領域4を設けてなることを特徴とする。
図1(a)、(b)は、CFRP帯板2が1枚の例を示したものであるが、図2(a)、(b)は、CFRP帯板2が複数枚積層されて接合された補強構造を例示しており、全部で4枚のCFRP帯板21、22、23、24が積層されて貼り付けられている例を示している。この図2のような積層構造の場合でも、非接合領域4は、該鋼構造物1とCFRP帯板の間の境界面の該帯板長手方向の両端域に設けられるものなので、4枚の該CFRP帯板のうち、最も鋼材1側に位置する(境界面を形成する)CFRP帯板21の該帯板長手方向の両端域において、上述した非接合領域4が設けられるものである。
ここで、「非接合領域」とは、図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に例示したように、鋼構造物1と境界面を形成するCFRP帯板(図1で2、図2で21)の、該帯板の長手方向の両端域において、該CFRP帯板(図1で2、図2で21)が、鋼材1と、直接、構造用接着剤層によって接着あるいは一体化されていない領域4をいう。ここで、「直接」とは、鋼材−CFRP帯板間で、前記構造用接着剤を付着させないように(非接合領域を形成させるように)マスキング材などの他の部材を中間に介して接着・接合されている構造を除外する意味である。したがって、代表的には、該非接合領域において、鋼材とCFRP帯板は、両者が密着しているだけの構造、あるいは、両者がマスキング材を介して間接的に隣接している状態を呈しているものである。
本発明者らは、従来、CFRP帯板を、鋼構造物の梁部材等の曲げ引張側の面などに接着剤を用いて貼り付けた構造を持つ鋼構造物の補強構造を実現しても、そのCFRP帯板が本来有する性能(剛性・強度)を十分に発揮させることができない、その結果、補強された鋼構造物全体としても十分な被補強効果を呈さない場合があるという点について、鋭意検討をしたところ、次の知見を得た。すなわち、従来技術におけるその原因は、CFRP帯板を切断加工する際に、どんなに丁寧に切断加工をしても、該CFRP帯板の切断端面部(いわゆる「小口」)で炭素繊維を結合しているマトリックス樹脂にクラックが生じ、その端面部でのクラック部分が起点となってCFRP帯板の層内破壊を発生し、これが原因となってCFRP帯板の持つ剛性が低下し、強度を発揮できないという知見を得た。
特に、本発明者らの知見によれば、帯板の小口(端面部)まで接合領域があると、大きな剪断応力が小口面に集中し、小口面で炭素繊維を結合しているマトリックス樹脂にクラックが生じ、そのクラックを起点としてCFRP帯板の層内破壊を発生するのである。
これに対して、本発明の鋼構造物の補強構造の構成によれば、図1(b)、図2(b)鋼材との接合域の端部Cが小口面Eと一定の距離をおいて離れていることとなり、(鋼構造物の耐久性に影響を与える)剪断応力が小口面Eに集中することがなくなり、補強構造を形成した後、CFRP帯板の層内破壊を発生することが長期間にわたってないのである。この層内破壊が防止できることにより、CFRP帯板の剛性を低下させることなく、耐荷力を向上でき、また補強構造全体の耐変形性能、耐久性などを向上させることができる。
図2に示したような積層構造で補強をする場合は、最も鋼構造物1側に配置されるCFRP帯板21以外のCFRP帯板22、23、24については、従来のものと同様に、非接合領域を形成することなく端部まで接着接合されていることがよく、そうすることによりCFRP帯板22、23、24はその補強効果を十分に発揮することができる。
CFRP帯板は、厚さ1〜5mm、幅20〜300mmであって、かつ、非接合領域4は、CFRP帯板の全幅にわたり、かつ該CFRP帯板の長手方向(図1、図2中に矢印で示している)に非接合領域長さLGが1〜100mmであることが補強効果を大きく得る上で好ましい。非接合領域長さLGは、さらに好ましくは10〜100mmであり、最も好ましくは10〜30mmである。CFRP帯板の寸法(厚さ、幅)が上述した範囲内であることが好ましいのは、帯板の寸法が大きすぎると、接着作業時に界面に空気泡が入りやすくなり、いったん空気泡が入ると高い接着強度が得られ難くなるからである。非接合領域長さLGを所望するとおりにして該非接合領域を形成させるためには、鋼材−CFRP帯板間を、接着剤を使用して接合させる際に、CFRP帯板の両端付近あるいはそれに対応する鋼材の部分に所望する寸法に対応したマスキング材を使用することなどにより達成することができる。
また、CFRP帯板は、長さ900〜10000mmのものであることが、該CFRP帯板を接着させて補強効果を得るという点で必要なかつ適度な長さであり、また取り扱い性や加工性の良さからも好ましい。特に好ましくは、長さ900〜5000mmのものである。
接着剤層3は、明確な単独の層を形成するように、ある程度の接着剤層厚さを呈することが肝要であり、好ましくは厚さ0.5〜3.5mmの範囲内である。接着剤は、従来からFRP板の接合などのために使用されているエポキシ系、ウレタン系、変性エポキシアクリレート系などのものが使用できる。接着剤層厚さが0.5mmより薄くなると厚みの管理など施工の難易度が増えて好ましくなく、3.5mmよりも厚いと上向き施工の場合、樹脂の重量で施工直後に剥がれやすくなるので好ましくない。
本発明を実施するに際して、CFRP帯板は鋼構造物の表面の平面部に対して接合されて貼り付けられてなることが好ましい。より長く広い被補強面を確保することができるからである。
CFRP帯板は、図1に示したような1枚の使用でも効果が得られるが、図2に示したように複数枚を積層して使用することが、より高い補強効果を得られるので好ましい。複数枚を使用する場合は、本発明者らの知見によれば、3枚〜4枚程度を積層することが最も実際的で好ましい。複数枚を積層して使用する場合、1枚ずつ積層してもよいし、予め3〜4枚程度積層したものを一度に貼り付けるものでもよい。予め複数枚を積層したものを一度に貼り付けて使用する方法の場合、その予め行われる複数枚のCFRP帯板の積層は、該CFRP帯板の出荷工場で行われてもよく、あるいは、施工現場近くの適宜の加工場や作業場で行われてもよい。
複数枚を積層して貼り付け使用する場合、強度や硬度が相違する複数のCFRP帯板を組み合わせて積層して使用することも好ましい。強度面や靱性面などの物理的特性をバランス良く構成して、その被補強鋼構造物の性状・特徴に合わせた最適な補強構造を実現することができる可能性があるからである。また、CFRP帯板は、その接合強度を向上させるためにその接合表面を粗く仕上げる、所謂「目粗し処理」を施したものなどを使用してもよい。
さらに、CFRP帯板は1列状に貼り付ける場合だけでなく、2列、3列、………、と複数列を並列的に呈して貼り付けてもよい。鋼構造物の被補強面がある程度広い面積を呈している場合などに対応できるからである。特に、幅のより広いCFRP帯板を、1列を呈して貼り付け使用するよりも、幅が細めのCFRP帯板を、並列の複数列を呈して貼り付け使用する方が被補強鋼構造物の性状・特徴に合わせた最適な補強構造を実現することができる可能性があるからである。あるいは、被補強鋼構造物の性状・構造に合わせて、直列状に配置された複数列を呈して貼り付けてももちろんよい。
また、非接合領域4には、接着剤の付与時に該非接合領域4を覆って非接合領域を形成させるために使用したマスキング材が残置されてなるものでもよく、そのようにすると、非接合領域4を所望する寸法のもとで確実に形成し維持できる点で好ましい。
また、CFRP帯板と鋼構造物の表面とが直接接合されていない非接合領域4には、該非接合領域4に水などが入り込み腐食することなどを防止するため、シーリング材を充填させることが好ましい。
また、CFRP帯板の接着補強は、鋼構造物の表面に生じた腐食部分を覆ってなされていることが補強効果を顕著に得られる点で好ましい。
実施例1〜7、比較例1〜6
図3にモデルを示したような、以下に詳細を説明する細幅系H形鋼1(高さH=250mm、幅W=125mm、ウェブ厚さt1=6mm、上フランジ厚さt2=9mm、下フランジ厚さt3=9mm)を被補強鋼構造物として使用して、その中央部下フランジ部分にCFRP帯板の積層体を補強部材として貼り付け、本発明にかかる鋼構造物の補強構造を構成した(実施例1〜7)。
図3に示したように全長L(=4400mm)の細幅系H形鋼1(高さH=250mm、上下フランジ幅W=125mm、ウェブ厚さt1=6mm、上フランジ厚さt2=9mm、下フランジ厚さt3=9mm)を使用して、静的曲げ試験に供する。
該細幅系H形鋼は、その中央部下フランジ部分に腐食による減厚を想定して、長さ方向の中心線CLを中心にして、範囲500mmの部分の板厚Stを全幅にわたり6mmとして減厚部分5を設けているものとした(減厚は3mm)。
その下フランジにCFRP帯板2(長さ900mm〜1200mm、幅50mm、厚さ2mmの長方形状の平板)を、1枚1枚積層して貼り付けて補強をして、各試験体とした。積層して貼り付けたCFRP帯板は同一長さのものである。
補強に使用したCFRP帯板は、炭素繊維糸が帯板長さ方向に引き揃え配列されて、樹脂(エポキシ樹脂)が含侵されているもので、ヤング係数が285kN/mm2 、引張強度が1500N/mm2 の中弾性タイプ(以下、MLと呼称する)と一般に呼称されるものである。
CFRP帯板の積層体は、4枚〜5枚のCFRP帯板2(長さ900mm〜1200mm、幅50mm、厚さ2mmの長方形状の平板)を貼り付けて、4層から5層の積層体を作成した。各実施例の詳細は、表1に記載したとおりのものである。
接着剤層はエポキシ樹脂系接着剤を使用して、その厚さはそれぞれ1.0mm程度とした。
貼り付け長さ、積層態様、非接合領域4の長さLGなどの、各実施例、比較例の詳細は、表1に記載した通りである。
ブランク品を除いて、各実施例、比較例では、CFRP帯板は4〜5層の積層体とされて、H形鋼の下フランジ底面に長さ方向に2列並列に貼り付けた。貼り付け位置は、上述した減厚部分5に対して、CFRP帯板の各積層体をその中央が細幅系H形鋼1の中心線CL上に位置するようにして、2つの載荷点6の間の等曲げ区間に貼り付けた。幅方向では、2列のCFRP帯板の長さ方向に延びる端部が、それぞれ該H形鋼の下フランジ底面の長さ方向に延びる両側端部と実質的に一致するようにして貼り付けた。したがって、2列のCFRP帯板積層体の間には25mmの間隔があるものである。
曲げ試験(静的曲げ試験)は、以下に記載する方法で行ったものである。
〔静的曲げ試験〕
曲げ試験は、図3(a)、(b)に示したように、それぞれの試験体について支持点A−A間の距離を4000mmとして、さらに、その中央2点(2点間の距離を2200mmとして、その中央が中心線CL上に位置する2点)の載荷点6で、各々に荷重Pを載荷して静的4点曲げ試験を行った。
各試験は、CFRP帯板で補強した各試験体の減厚部以外の断面が降伏する荷重(120.4kN)まで、もしくは、CFRP帯板が破壊するまで荷重を加え、そのときの荷重(破壊荷重)(kN)と、鋼材の中心線CL位置での変異量δ(最大変位量)(mm)を測定した。
各試験体の詳細を表1に示した。また、得られた結果を表2に示した。
Figure 0006473596
Figure 0006473596
表2からわかるように、比較例2、比較例6は破壊荷重が小さく、破壊状況は層内破壊となっている。一方、端部を非接合領域とし、同様に載荷した試験体は降伏荷重を越えるまで破壊は生じなかった。
なお、非接合領域の長さ(LG長さ)を本実施例で採用した範囲内(10mm〜100mm)で変更してもほとんど同様のレベルで本発明の効果が得られることが確認できた。
これら結果から、本発明の鋼構造物の補強構造は、CFRP帯板で補強された鋼構造物全体の強度レベルがより向上されていて、かつその向上された強度レベルの長期持続性においても優れた補強構造であると判断することができるものであった。
1:鋼構造物
2、21、22、23、24:炭素繊維強化プラスチック帯板(CFRP帯板)
3:接着剤層
4:非接合領域
5:H形鋼の下フランジ底面の減厚部分
C:CFRP帯板と鋼材の接合域の端部
E:小口面

Claims (7)

  1. 鋼構造物の一部の表面に対して、少なくとも1枚の炭素繊維強化プラスチック帯板が接着剤層を介して貼り付けられ、一体化されてなる鋼構造物の補強構造であって、該鋼構造物と前記炭素繊維強化プラスチック帯板の間の境界面の該帯板長手方向の両端域において、前記炭素繊維強化プラスチック帯板と前記鋼構造物の表面が直接接合されていない非接合領域をそれぞれ有し、該非接合領域が前記炭素繊維強化プラスチック帯板の切断端面部から該帯板長手方向中央に向け延在していることを特徴とする鋼構造物の補強構造。
  2. 前記炭素繊維強化プラスチック帯板が、厚さ1〜5mm、幅20〜300mmであり、前記非接合領域が、該炭素繊維強化プラスチック帯板の全幅にわたり、かつ該炭素繊維強化プラスチック帯板の長手方向に1〜100mmの長さを呈してなることを特徴とする請求項1記載の鋼構造物の補強構造。
  3. 複数枚の炭素繊維強化プラスチック帯板が積層されてなる積層体が前記鋼構造物の表面の平面部に対して貼り付けられ、前記鋼構造物の補強構造が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の鋼構造物の補強構造。
  4. 前記非接合領域が、前記炭素繊維強化プラスチック帯板と前記鋼構造物の表面とが密着しているだけの構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
  5. 前記非接合領域に、接着剤の付与時に該非接合領域を覆って該非接合領域を形成させるために使用したマスキング材が残置されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
  6. 前記炭素繊維強化プラスチック帯板と前記鋼構造物の表面とが直接接合されていない非接合領域にシーリング材が充填されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
  7. 前記炭素繊維強化プラスチック帯板の積層接合体が、鋼構造物の表面に生じた腐食部分を覆ってなされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
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