JP3983002B2 - 既設建設構造物の鋼製構造材の補修・補強方法及び構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、既設の建設構造物において、桁や柱等を構成する鋼製構造材のウエブあるいはフランジに生じた亀裂、腐蝕、変形等の損傷を補修もしくは補強する方法、及び補修もしくは補強した構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建設構造物、例えば橋梁においては、I型形状の桁(鋼製構造材)のウエブあるいはフランジに、変形、亀裂や腐蝕等の損傷が生じた場合、補修を加えた後、桁を設計強度に維持するため、この損傷箇所を覆うようにして、四角形状の鋼製の補強板を損傷したウエブあるいはフランジに当てがい、この補強板を隅肉溶接や高力ボルトでウエブあるいはフランジに固定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の補強板法は、あくまでも補修法であり、当然ではあるが補強効果は期待できない。したがって、補修後も、応力を十分に担うことができず亀裂が成長したり、補強板とウエブあるいはフランジとの間に雨水が侵入して腐蝕が進行したりすることがあるという問題があった。
なお、補強するためには、構造全体もしくはディテールの改良が必要であり、供用下の建設構造物では実施することが困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の第1の特徴は、既設建設構造物の鋼製構造材におけるウエブあるいはフランジに生じた損傷を補修・補強する方法に係る。上記損傷箇所の周辺には、第1鉄筋を上記ウエブの高さ方向に向けて配するとともに、その両端を上記鋼製構造材の一対のフランジにそれぞれ連結する。また、この第1鉄筋と直交するようにして、第2鉄筋を上記ウエブの長手方向に向けて配する。そして、これら第1、第2鉄筋を埋めるようにして、ひいては上記損傷箇所周辺を覆うようにして、コンクリートを打設する。これによって、鉄筋コンクリート製の補強部材が形成される。
【0005】
本発明の第2の特徴は、既設建設構造物の鋼製構造材における、ウエブあるいはフランジに生じた損傷を補修・補強した構造に係る。上記損傷箇所の周辺には、第1、第2鉄筋を含む鉄筋コンクリート製の補強部材が、上記ウエブあるいはフランジに添うようにして設けられている。上記第1鉄筋は、上記ウエブの高さ方向に延びるとともに、その両端が上記鋼製構造材の一対のフランジにそれぞれ連結されている。上記第2鉄筋は、この第1鉄筋と直交して上記ウエブの長手方向に延びている。
【0006】
ここで、上記ウエブには、上記長手方向に間隔を置いて、上記高さ方向に延びる補剛材が設けられ、隣り合う補剛材と一対のフランジとウエブとによって四角形状の凹部が画成されており、上記損傷箇所周辺に位置する凹部に、上記補強部材が収容されているのが望ましい(本発明の第3の特徴)。また、上記第1鉄筋が、上記フランジに突き当てられ、溶接されているのが望ましい(本発明の第4の特徴)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、既設の橋梁(建設構造物)における鋼製I型の主桁10(鋼製構造材)を示したものである。主桁10は、ウエブ11と上下一対のフランジ12,13とを有するI型形状に構成され、橋軸方向である水平方向に延びている。ウエブ11の両側面には、垂直をなす補剛材15が長手方向にある間隔ごとに設けられている。隣り合う垂直補剛材15と上下のフランジ12,13とウエブ11とによって四角形状の凹部10aが画成されている。なお、符号16は、水平補剛材である。
【0008】
損傷の一例として、ウエブ11には亀裂11aが生じている。
図2及び図3は、この亀裂11aを補修した後の主桁10を示したものである。主桁10には、亀裂11aの周辺に補修領域Rが設定されている。この補修領域R内の凹部10a(損傷箇所周辺に位置する凹部)には、補強部材20が収容されている。
【0009】
補強部材20は、鉄筋コンクリートで構成されている。すなわち、コンクリート21の内部に、垂直鉄筋22(第1鉄筋)と水平鉄筋23(第2鉄筋)が複数本ずつ埋設されることによって構成されている。垂直鉄筋22は、垂直に延び、その上下端が、上下のフランジ12,13にそれぞれ突き当てられ、例えばスポット溶接やアーク溶接にて連結されている。水平鉄筋23は、ウエブ11の長手方向に沿って水平に延び、垂直鉄筋22に、ウエブ11側から当てがわれ、番線(図示せず)にて結束されている。コンクリート21の厚さは、設計上の強度によって決められるが、フランジ12,13もしくは垂直補剛材15の縁と面一にすると、コンクリート打設が容易である。
【0010】
上記亀裂11aの補修施工の手順(補強部材20の形成方法)を説明する。
先ず、領域Rの凹部10aの上下フランジに垂直鉄筋22を取り付ける。この垂直鉄筋22に、ウエブ側から水平鉄筋23を結束する。そして、上下フランジと垂直補剛材とウエブで形成される凹部10aを覆うように型枠(図示せず)を設置し、コンクリート21を打設充填する。尚、橋軸方向の境界が垂直補剛材でない場合は、垂直補剛材に平行に型枠板を設置する。これによって、補強部材20が形成される。補強部材20は、ストップホール等の亀裂の進展止め処理を行わなくても施工できる。
【0011】
この補強部材20は、コンクリート21の圧縮強度と鉄筋22,23の引張強度とによって、補修領域Rに加わる応力を十分に担うことができる。これによって、亀裂11aが成長するのを確実に防止することができ、さらには、領域Rの強度を高めることもできる。
【0012】
上記補強部材20は、亀裂11a以外の損傷にも有効に機能する。すなわち、図示は省略するが、ウエブ11が変形(座屈を含む)をきたしている場合には、その変形箇所周辺を補修領域Rとして、領域R内の凹部10aに補強部材20を設ける。この補強部材20によって、主桁10を確実に拘束でき、更なる変形を確実に防止できるだけでなく、変形によって失われた主桁10の強度を十分に補うことができる。補強部材20は、変形を予め矯正しておかなくても施工することができる。
【0013】
また、ウエブ11が腐蝕している場合には、その腐蝕箇所周辺を補修領域Rとして、この領域Rに錆などの腐蝕を除去する処理を施したうえで、領域R内の凹部10aに補強部材20を設ける。これによって、腐蝕箇所がコンクリート21で覆われるため、雨水等が腐蝕箇所に侵入するのを防止できる。また、コンクリートのアルカリ性により、腐蝕の進行を一層確実に防止することができる。さらに、腐蝕によって失われた主桁10の強度を十分に補うことができる。雨水等の侵入を完全には防げない場合は、腐食の進行を防ぐ処理(錆止め塗料の塗布等)を施したり、鉄筋コンクリートとウエブ11やフランジ12,13などとの間をシーラント処理すればよい。
【0014】
補強部材20は、凹部10aに収容されるだけの肉厚しかないので、領域Rにおける自重による断面力の増加を極力抑えることができる。
フランジ12,13が損傷している場合の補修・補強も、ウエブ損傷の補修・補修と同様な方法で可能である。
【0015】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の改変が可能である。
例えば、上フランジ12の下面又は下フランジ13の上面にスタッドを溶植しておき、このスタッドにカプラー(連結継手)を介して垂直鉄筋22の上端又は下端を連結してもよい。
本発明は、ウエブと一対のフランジとを有する鋼製構造材であれば適用でき、橋梁では主桁だけでなく横桁にも、さらには、トラス弦材、箱桁、ラーメン構造の橋脚、アーチリブ、ブレースドリブ、または塔柱等にも適用できる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1、第2の特徴によれば、亀裂や変形や腐蝕等の損傷がさらに進行するのを確実に防止できるだけでなく、損傷箇所周辺の強度を従来工法以上に高めることができる。即ち、補修のみでなく補強をもはかることができる。
本発明の第3の特徴によれば、フランジと補剛材を型枠にしてコンクリートを容易に打設することができる。また、ウエブあるいはフランジの強度をより一層高めることができる。
本発明の第4の特徴によれば、第1鉄筋のフランジへの連結を、溶接によって簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る橋梁の主桁を、補修・補強前の状態で示す斜視図である。
【図2】上記主桁を、補修・補強後の状態で示す斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【符号の説明】
10 主桁(鋼製構造材)
10a 凹部
11 ウエブ
11a 亀裂(損傷)
12,13 フランジ
15 垂直補剛材
20 補強部材
21 コンクリート
22 垂直鉄筋(第1鉄筋)
23 水平鉄筋(第2鉄筋)
Claims (4)
- 既設建設構造物の鋼製構造材におけるウエブあるいはフランジに生じた損傷を補修・補強する方法であって、上記損傷箇所の周辺に、第1鉄筋を上記ウエブの高さ方向に向けて配するとともに、その両端を上記鋼製構造材の一対のフランジにそれぞれ連結し、この第1鉄筋と直交するようにして、第2鉄筋を上記ウエブの長手方向に向けて配し、次に、これら第1、第2鉄筋を埋めるようにして、ひいては上記損傷箇所周辺を覆うようにして、コンクリートを打設することを特徴とする既設建設構造物の鋼製構造材の補修・補強方法。
- 既設建設構造物の鋼製構造材におけるウエブあるいはフランジに生じた損傷を補修・補強した構造であって、上記損傷箇所の周辺には、第1、第2鉄筋を含む鉄筋コンクリート製の補強部材が、上記ウエブに添うようにして設けられ、上記第1鉄筋が、上記ウエブの高さ方向に延びるとともに、その両端が上記鋼製構造材の一対のフランジにそれぞれ連結され、上記第2鉄筋が、この第1鉄筋と直交して上記ウエブの長手方向に延びていることを特徴とする既設建設構造物の鋼製構造材の補修・補強構造。
- 上記ウエブには、上記長手方向に間隔を置いて、上記高さ方向に延びる補剛材が設けられ、隣り合う補剛材と一対のフランジとウエブとによって四角形状の凹部が画成されており、
上記損傷箇所周辺に位置する凹部に、上記補強部材が収容されていることを特徴とする請求項2に記載の既設建設構造物の鋼製構造材の補修・補強構造。 - 上記第1鉄筋が、上記フランジに突き当てられ、溶接されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の既設建設構造物の鋼製構造材の補修・補強構造。
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