JP6473550B1 - マスターバッチ、ゴム組成物及びそれらの製造方法 - Google Patents
マスターバッチ、ゴム組成物及びそれらの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6473550B1 JP6473550B1 JP2018541237A JP2018541237A JP6473550B1 JP 6473550 B1 JP6473550 B1 JP 6473550B1 JP 2018541237 A JP2018541237 A JP 2018541237A JP 2018541237 A JP2018541237 A JP 2018541237A JP 6473550 B1 JP6473550 B1 JP 6473550B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pulp
- cellulose
- cellulose nanofiber
- less
- rubber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J3/00—Processes of treating or compounding macromolecular substances
- C08J3/20—Compounding polymers with additives, e.g. colouring
- C08J3/22—Compounding polymers with additives, e.g. colouring using masterbatch techniques
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L1/00—Compositions of cellulose, modified cellulose or cellulose derivatives
- C08L1/02—Cellulose; Modified cellulose
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L21/00—Compositions of unspecified rubbers
Abstract
Description
例えば、特許文献1には、ゴムラテックスとカルボキシル基を有するセルロース繊維の水分散液とを混合した後、少なくとも水の一部を除去してセルロース繊維/ゴム複合体を得ること、及びこの複合体とゴムを混合すること、を含む、硬度及び引張強度に優れたゴム組成物の製造方法が記載されている。
ゴム組成物を得るべくゴムラテックスとセルロース繊維の水分散液とを混合する際に、セルロース繊維中のカルボキシル基がナトリウム塩などの塩を形成し、セルロース繊維は親水性が高い状態となる。そのため、分散液の水を除去する際、親水性のセルロース繊維が互いに強く凝集し、分散性が低下すると推測される。すなわち、セルロース繊維は、系内で均一に分散すると本来の補強性を発揮できるが、凝集すると本来の補強性を十分に発揮できないためと推測される。
そこで、本発明は、セルロースナノファイバーを含み、破断強度等の強度に優れたゴム組成物を製造し得るマスターバッチ、それを用いたゴム組成物、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
〔1〕:(1):活性アルカリ添加量15%、硫化度25%、液比2.5L/kg、H−ファクター830のクラフトパルプ製造条件においてパルプ化した際に、ISO 16065−2に従って測定した1.00mm以上の繊維長成分の割合が20%以下である繊維長分布を有するパルプAが得られる木材を原料としたパルプBを準備する工程、
(2):前記パルプBを解繊して長さ加重平均繊維長が500nm以下、かつ長さ加重平均繊維径が100nm以下のセルロースナノファイバーを得る工程、及び
(3):前記セルロースナノファイバーとゴム成分を混合する工程、
を含むマスターバッチの製造方法。
〔2〕:前記木材が、前記クラフトパルプ製造条件においてパルプ化した際に、前記繊維長分布において、0.20mm以下の繊維長成分の割合が20%以下であるパルプAが得られる木材である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕:前記工程(1)の後、かつ前記工程(2)の前に、前記パルプBをアニオン変性する工程を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕:前記セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーであり、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基等の量が0.1〜3.0mmol/gである、〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕:前記セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーであり、セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50である、〔3〕に記載の製造方法。
〔6〕:〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたマスターバッチ。
〔7〕:〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の製造方法によりマスターバッチを製造する工程と、得られるマスターバッチとゴム成分を混練してゴム組成物を得る工程と、を含むゴム組成物の製造方法。
〔8〕:〔7〕に記載の製造方法により製造されたゴム組成物。
本発明において、セルロースナノファイバーとは、長さ加重平均繊維長が500nm以下であり、かつ長さ加重平均繊維径が100nm以下である繊維をいう。当該繊維径は20nm以下であることが好ましく、2〜10nmであることが更に好ましい。また、当該繊維長は490nm以下であることが好ましく、250〜480nmであることが更に好ましい。なお、セルロースナノファイバーの長さ加重平均繊維長および長さ加重平均繊維径は、セルロースナノファイバーを電子顕微鏡や原子間力顕微鏡等の顕微鏡で観察して測定できる。本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、特定の木材から調製したパルプBを準備する工程(1)、および当該パルプBを解繊する工程(2)を含む。
本工程では、特定の木材から調製したパルプBを準備する。具体的に当該木材は、特定のパルプ化条件(以下「特定パルプ化条件」ともいう)においてパルプ化した際に、ISO 16065−2(2014)に従って測定した1.00mm以上の繊維長成分の割合(以下「長繊維割合」ともいう)が20%以下である繊維長分布を有するパルプAが得られる木材である。パルプの繊維長分布は、Metso Automation社製パルプ分析装置「FiberLab」などを用いて測定することができる。当該繊維長分布において、0.20mm以下の繊維長成分の割合(以下「短繊維割合」ともいう)は20%以下であることが好ましい。また、パルプAの長さ加重平均繊維長は、0.65mm以下であることが好ましい。
なお、パルプAの長繊維割合及び短繊維割合の下限は、通常、3%以上である。また、パルプAの長さ加重平均繊維長の下限は、通常、0.3mm以上である。
上記の繊維長分布が得られる木材であれば樹種に限定は無いが、樹種としては広葉樹材であることが好ましい。広葉樹材の樹種としては特に限定されないが、例えばEucalyptus(ユーカリ類)、Fagus(ブナ類)、Quercus(ナラ、カシ等)、Beluta(カバ類)、Acacia(アカシア類)が挙げられる。これらの中でも、フトモモ科ユーカリ属に属する樹種が好ましい。これらは一般に成長性が良好であり、かつ非常に多くの樹種が属するため、植林地に対して適した樹種を探すことが比較的容易である。フトモモ科ユーカリ属の樹種としては、ユーカリ・グロブラス、ユーカリ・グランディス、ユーカリ・ナイテンス、ユーカリ・ユーロフィラ、ユーカリ・ペリータおよびユーカリ・カマルドレンシスからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、これらの雑種等であってもよい。
木材は、樹齢の低い樹材を用いることが好ましく、樹齢1〜5年の樹材を用いることがより好ましく、樹齢2〜3年の樹材を用いることがさらに好ましい。
広葉樹材のパルプ化法としては、クラフトパルプ法、ソーダパルプ法、サルファイトパルプ法、リファイナーなどによる機械パルプ法が挙げられる。また、これらの方法で得られたパルプ以外に、これらのパルプを高圧ホモジナイザーやカッティングミル等で粉砕したパルプ、あるいは酸加水分解などの化学処理により精製したパルプ等も使用することができる。しかしながら、パルプ原料中にリグニンが多く残留してしまうと次の工程の化学変性を阻害する恐れがあるので、クラフトパルプ法、ソーダパルプ法、サルファイトパルプ法などで製造された化学パルプを用いることが好ましい。
なお、パルプBの長繊維割合及び短繊維割合の下限は、通常、3%以上である。また、パルプBの長さ加重平均繊維長の下限は、通常、0.3mm以上である。
リグニンをさらに除去するために、パルプBには公知の漂白処理を施すことが好ましい。漂白処理方法は特に限定されないが、塩素処理(C)、二酸化塩素漂白(D)、アルカリ抽出(E)、次亜塩素酸塩漂白(H)、酸素処理(O)、過酸化水素漂白(P)、アルカリ性過酸化水素処理段(Ep)、アルカリ性過酸化水素・酸素処理段(Eop)、オゾン処理(Z)、キレート処理(Q)などを組合せて行うことができる。例えば、C/D−E/O−H−D、Z−E/O−D、C/D−E−H−D、Z−E−D−P、Z/D−Ep−D、Z/D−Ep−D−P、D−Ep−D、D−Ep−D−P、D−Ep−P−D、ZEop−D−D、Z/D−Eop−D、Z/D−Eop−D−E−Dなどのシーケンスで漂白処理を実施できる。シーケンス中の「/」は、「/」の前後の処理を洗浄なしで連続して行なうことを意味する。パルプB中のリグニン量は少ないことが好ましく、パルプ化処理および漂白処理を用いて得られたパルプB(漂白済みクラフトパルプB、漂白済みサルファイトパルプB)は、白色度(ISO 2470)が80%以上であることがより好ましい。
次工程での解繊を効率よく行うために、パルプBにはアニオン変性やカチオン変性等の化学変性を施すことが好ましい。
i)カルボキシメチル化
パルプBを出発原料とし、溶媒として、通常、重量換算で、3〜20倍の低級アルコールと水の混合媒体を使用する。低級アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3級ブタノール等が挙げられる。低級アルコールは、単独、または2種以上の混合物であってもよい。2種以上の混合物の場合、低級アルコールの混合割合は、混合媒体中60〜95重量%である。マーセル化剤として、出発原料のグルコース残基当たり、モル換算で、0.5〜20倍のアルカリ金属の水酸化物、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。出発原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、の条件でマーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり、モル換算で、0.05〜10.0倍添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、の条件でエーテル化反応を行う。
パルプBを、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で、酸化剤を用いて水中で酸化することでカルボキシル基をセルロースに導入した酸化セルロースを得ることができる。
なお、セルロースナノファイバーのカルボキシル基等の量と、酸化パルプのカルボキシル基等の量は、通常、同値である。
リン酸化の方法は特に限定されないが、例えば、パルプBに対し化合物Aを反応させる方法が挙げられる。化合物Aについては、以下に説明する。パルプBに対し化合物Aを反応させる方法としては、例えば、パルプBに化合物Aの粉末又は水溶液を混合する方法、パルプBのスラリーに化合物Aの水溶液を添加する方法等が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高まり、且つエステル化効率が高くなることから、パルプB又はそのスラリーに化合物Aの水溶液を混合する方法が好ましい。
上記のパルプBを出発原料にし、上記のパルプBに、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライトまたはそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と、触媒であるアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を水または炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって、カチオン変性されたセルロースを得ることができる。得られるカチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水または炭素数1〜4のアルコールの組成比率をコントロールすることによって、調整することができる。
本工程では、パルプB又は化学変性を行ったパルプBを解繊してセルロースナノファイバーを得る。解繊は、例えば、高速せん断ミキサーや高圧ホモジナイザーなどの、混合または攪拌、乳化または分散装置を、必要に応じて単独もしくは2種類以上組合せて行うことができる。この際、繊維がほぐれると同時にパルプの大きさ(繊維径)が小さくなる。特に、100MPa以上、好ましくは120MPa以上、さらに好ましくは140MPa以上の圧力を可能とする超高圧ホモジナイザーを用いると、セルロースナノファイバーの解繊と分散が効率よく進行し、水分散液としたときに、低い粘度を有するセルロースナノファイバーを効率よく製造することができるので好ましい。
セルロースナノファイバーは、分散液として使用できる。分散液とは、分散媒にセルロースナノファイバーが分散した液である。分散媒とは媒質であり、取扱い性等の観点から水が好ましい。分散液は、セルロースナノファイバーを工業的に利用する観点から有用である。
本発明のマスターバッチの製造方法は、前記工程(2)で得られたセルロースナノファイバーを、下記工程(3)のように混合する工程を含む。混合した後、更に混練工程を含んでもよい。また、混合の後、混練工程の前に、乾燥する工程を設けることも可能である。
本工程では、上記のセルロースナノファイバーとゴム成分を混合する。
ゴム成分とは、ゴムの原料であり、架橋してゴムとなるものをいう。ゴム成分としては、天然ゴム用のゴム成分と合成ゴム用のゴム成分が存在する。天然ゴム用のゴム成分としては、例えば、化学修飾を施さない狭義の天然ゴム(NR);塩素化天然ゴム、クロロスルホン化天然ゴム、エポキシ化天然ゴム等の化学修飾した天然ゴム;水素化天然ゴム;脱タンパク天然ゴムが挙げられる。合成ゴム用のゴム成分としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらの中でも、ジエン系のゴムが好ましく、ジエン系の天然ゴムがより好ましい。
混合は、ホモミキサー、ホモジナイザー、プロペラ攪拌機等の公知の装置を用いて実施できる。混合する温度は限定されないが、室温(20〜30℃)が好ましい。混合時間も適宜調整してよい。
工程(3)の混合物におけるセルロースナノファイバーとゴム成分の各含有量は特に限定されないが、好ましい含有量は以下のとおりである。
混合物は、下記混練工程の前に、必ずしもではないが、乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、加熱法、凝固法、それらの併用のいずれでも良いが、加熱処理によることが好ましい。加熱処理の条件は、特に限定されないが、一例を挙げると以下のとおりである。加熱温度は、40℃以上100℃未満が好ましい。処理時間は、1時間〜24時間が好ましい。上記条件とすることにより、ゴム成分に対するダメージが抑えられ得る。乾燥後の混合物は絶乾状態でも、溶媒が残存していてもよい。また、上記以外の溶媒を除去する方法としては、特に制限されず従来公知の方法で行うことができる。
混練工程を行う場合、混合物の混練は、公知の通りに行ってよく、例えば、2本ロール、3本ロールなどの開放式混練機、噛合式バンバリーミキサー、接線式バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどの密閉式混練機が使用可能である。また、多段階の混練工程を経る工程も可能で、例えば、第一段階で密閉式混練機による混練を行い、その後開放式混練機で再混練することができる。
本発明のマスターバッチは、上記製造方法により得られるものである。本発明の製造方法では、特定の木材を用いることにより、木粉にすることや従来のようなアルカリ処理等をすることなく、極端な短繊維が少なく、比較的狭い繊維長分布を有するパルプを調製できる。そのため、ゴム成分に含有させた際に、破断強度に優れたセルロースナノファイバーを製造できると推察される。そのため、セルロースナノファイバーを含み、破断強度等の強度に優れたゴム組成物を製造し得るマスターバッチとなると推察される。
本発明のゴム組成物の製造方法は、上記のマスターバッチの製造方法によりマスターバッチを製造する工程と、得られるマスターバッチとゴム成分を混練してゴム組成物を得る工程と、を含む。
マスターバッチを製造する工程の詳細は、上記の通りである。ゴム組成物を得る工程で使用されるゴム成分としては、マスターバッチの製造方法の工程(3)で記載したものがあげられる。また、混練方法としては、上記<混練工程>で記載した方法が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、上記のゴム組成物の製造方法により製造されたゴム組成物である。そのため、セルロースナノファイバーを含むものであっても、破断強度等の強度に優れたゴム組成物とし得る。
TV−10型粘度計(東機産業社)を用いてB型粘度(60rpm、20℃)を測定した。
パルプ粘度の測定は、J.TAPPI 44に準じて行った。
マイカ切片上に固定したセルロースナノファイバーの原子間力顕微鏡像(3000nm×3000nm)から、繊維長を測定し、長さ加重平均繊維長を算出した。繊維長測定は、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事)を用い、長さ100nm〜2000nmの範囲で行った。
セルロースナノファイバーの濃度が0.001質量%となるように希釈したセルロースナノファイバー水分散液を調製した。この希釈分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥して観察用試料を作製し、原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した形状像の断面高さを計測し、長さ加重平均繊維径を算出した。
ISO 16065−2(2014)に従って測定した。
以下の木材を準備した。各木材を特定パルプ化条件にてパルプ化したときのISO 16065−2(2014)に従って測定した1.00mm以上の繊維長成分の割合(長繊維割合)は以下のとおりであった。
木材チップを用いて活性アルカリ添加量15%、硫化度25%、液比2.5L/kg、H−ファクター830(最高温度は160℃で、最高温度到達後に90分保持)で実施するクラフトパルプ製造条件
木材A:樹齢2年のユーカリカマルドレンシス、長繊維割合8.8%、短繊維割合5.5%
木材B:樹齢3年のユーカリカマルドレンシス、長繊維割合17.6%、短繊維割合9.6%
木材C:樹齢3年のアカシア、長繊維割合10.1%、短繊維割合8.1%
木材D:樹齢8年の広葉樹混合材、長繊維割合28.6%、短繊維割合7.1%
<工程(1):パルプの準備>
木材A(樹齢2年のユーカリカマルドレンシス)を用いた。木材Aのチップを原料として前記特定パルプ化条件と同一の条件でパルプ化して得た漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)(日本製紙製)を準備した。図1に、このパルプの繊維長分布を示す。長繊維割合は8.8%、短繊維割合は5.5%であった。
濃度1%(w/v)の酸化パルプのスラリー500mLを超高圧ホモジナイザー(20℃、140MPa)で5回処理したところ、長さ加重平均繊維長290nm、長さ加重平均繊維径2.9nmの酸化セルロースナノファイバーが分散した、透明度99.4%、B型粘度940mPa・sの透明かつ低粘度な酸化セルロースナノファイバー分散液が得られた。
工程(2)で得られた酸化セルロースナノファイバーの固形分濃度1%水分散液325gと、天然ゴムラテックス(商品名:HAラテックス、レヂテックス社、固形分濃度65%)100gを混合してゴム成分と変性セルロースナノファイバーとの重量比が100:5となるようにし、TKホモミキサー(8000rpm)で60分間攪拌した。この水性懸濁液を、70℃の加熱オーブン中で10時間乾燥させることにより、マスターバッチを得た。
木材B(樹齢3年のユーカリカマルドレンシス)を用いた。当該木材のチップを前記特定パルプ化条件と同一の条件でパルプ化して得たパルプ(長繊維割合が17.6%、短繊維割合が9.6%、パルプ粘度が8.8mPa・s、カルボキシル基等の量が1.64mmol/g、日本製紙社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー分散液を得た。その結果、長さ加重平均繊維長350nm、長さ加重平均繊維径3.7nmの酸化セルロースナノファイバーが分散した、透明度99.1%、B型粘度1250mPa・sの透明かつ低粘度の酸化セルロースナノファイバー分散液が得られた。この酸化セルロースナノファイバー分散液を用いて、実施例1と同様にマスターバッチを作製した後、加硫ゴム組成物のシートを作製した上で、破断強度を測定した。
木材C(樹齢3年のアカシア)を用いた。当該木材のチップを前記特定パルプ化条件と同一の条件でパルプ化して得たパルプ(長繊維割合が10.1%、短繊維割合が8.1%、パルプ粘度が5.0mPa・s、カルボキシル基等の量が1.55mmol/g、日本製紙社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー分散液を得た。その結果、長さ加重平均繊維長400nm、長さ加重平均繊維径4.0nmの酸化セルロースナノファイバーが分散した、透明度98.7%、B型粘度1300mPa・sの透明かつ低粘度の酸化セルロースナノファイバー分散液が得られた。この酸化セルロースナノファイバー分散液を用いて、実施例1と同様にマスターバッチを作製した後、加硫ゴム組成物のシートを作製した上で、破断強度を測定した。
実施例1と同様に、漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)(長繊維割合が8.8%、短繊維割合が5.5%、パルプ粘度が4.6mPa・s)(日本製紙社製)を準備した。
木材D(樹齢8年の広葉樹混合材)を用いた。当該木材のチップを前記特定パルプ化条件と同一の条件でパルプ化して得たパルプ(長繊維割合が28.6%、短繊維割合が7.1%、パルプ粘度が14.5mPa・s、カルボキシル基等の量が1.30mmol/g、日本製紙社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー分散液を得た。その結果、長さ加重平均繊維長560nm、長さ加重平均繊維径5.5nmの酸化セルロースナノファイバーが分散した、透明度78.2%、B型粘度1500mPa・sの、透明度が低く、高粘度の酸化セルロースナノファイバー分散液が得られた。この酸化セルロースナノファイバー分散液を用いて、実施例1と同様にマスターバッチを作製した後、加硫ゴム組成物のシートを作製した上で、破断強度を測定した。
Claims (8)
- 活性アルカリ添加量15%、硫化度25%、液比2.5L/kg、H−ファクター830のクラフトパルプ製造条件においてパルプ化した際に、ISO 16065−2に従って測定した1.00mm以上の繊維長成分の割合が20%以下である繊維長分布を有するパルプが得られる木材を選定する工程、
(1):当該木材を原料としたパルプを準備する工程、
(2):前記パルプを解繊して長さ加重平均繊維長が500nm以下、かつ長さ加重平均繊維径が100nm以下のセルロースナノファイバーを得る工程、及び
(3):前記セルロースナノファイバーとゴム成分を混合する工程、
を含むマスターバッチの製造方法。 - 前記木材が、前記クラフトパルプ製造条件においてパルプ化した際に、前記繊維長分布において、0.20mm以下の繊維長成分の割合が20%以下であるパルプが得られる木材である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記工程(1)の後、かつ前記工程(2)の前に、前記パルプをアニオン変性する工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーであり、
セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基等の量が0.1〜3.0mmol/gである、請求項3に記載の製造方法。 - 前記セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーであり、
セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50である、請求項3に記載の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたマスターバッチ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によりマスターバッチを製造する工程と、得られるマスターバッチとゴム成分を混練してゴム組成物を得る工程と、を含むゴム組成物の製造方法。
- 請求項7に記載の製造方法により製造されたゴム組成物。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017088344 | 2017-04-27 | ||
JP2017088344 | 2017-04-27 | ||
PCT/JP2018/016875 WO2018199191A1 (ja) | 2017-04-27 | 2018-04-25 | マスターバッチ、ゴム組成物及びそれらの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6473550B1 true JP6473550B1 (ja) | 2019-02-20 |
JPWO2018199191A1 JPWO2018199191A1 (ja) | 2019-06-27 |
Family
ID=63919876
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018541237A Active JP6473550B1 (ja) | 2017-04-27 | 2018-04-25 | マスターバッチ、ゴム組成物及びそれらの製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6473550B1 (ja) |
MY (1) | MY191605A (ja) |
WO (1) | WO2018199191A1 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020100979A1 (ja) * | 2018-11-16 | 2020-05-22 | 日本製紙株式会社 | アニオン変性セルロースナノファイバーを含有するマスターバッチおよびゴム組成物の製造方法 |
JP6607328B1 (ja) * | 2019-02-19 | 2019-11-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 固形状体及び繊維状セルロース含有組成物 |
JP2021138818A (ja) * | 2020-03-04 | 2021-09-16 | 北川工業株式会社 | 複合材料の製造方法、及び複合材料 |
JPWO2022025100A1 (ja) * | 2020-07-28 | 2022-02-03 | ||
WO2024009850A1 (ja) * | 2022-07-07 | 2024-01-11 | 日本製紙株式会社 | ゴム組成物の製造方法 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011118748A1 (ja) * | 2010-03-26 | 2011-09-29 | 日本製紙株式会社 | セルロースナノファイバーの製造方法 |
JP2011236398A (ja) * | 2010-04-14 | 2011-11-24 | Oji Paper Co Ltd | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
JP2012046846A (ja) * | 2010-08-27 | 2012-03-08 | Oji Paper Co Ltd | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
JP2012207133A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-25 | Nippon Paper Industries Co Ltd | セルロースナノファイバーの製造方法 |
JP2013018918A (ja) * | 2011-07-13 | 2013-01-31 | Kao Corp | ゴム組成物及びその製造方法 |
JP2014141637A (ja) * | 2012-12-25 | 2014-08-07 | Mitsubishi Chemicals Corp | セルロースナノファイバー含有ゴムマスターバッチ |
WO2015068818A1 (ja) * | 2013-11-08 | 2015-05-14 | Dic株式会社 | セルロースナノファイバーの製造方法、セルロースナノファイバー製造用パルプ、セルロースナノファイバー、樹脂組成物及び成形体 |
WO2016136453A1 (ja) * | 2015-02-26 | 2016-09-01 | 住友ゴム工業株式会社 | マスターバッチの製造方法、該製造方法により得られるマスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
-
2018
- 2018-04-25 WO PCT/JP2018/016875 patent/WO2018199191A1/ja active Application Filing
- 2018-04-25 MY MYPI2019005858A patent/MY191605A/en unknown
- 2018-04-25 JP JP2018541237A patent/JP6473550B1/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011118748A1 (ja) * | 2010-03-26 | 2011-09-29 | 日本製紙株式会社 | セルロースナノファイバーの製造方法 |
JP2011236398A (ja) * | 2010-04-14 | 2011-11-24 | Oji Paper Co Ltd | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
JP2012046846A (ja) * | 2010-08-27 | 2012-03-08 | Oji Paper Co Ltd | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
JP2012207133A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-25 | Nippon Paper Industries Co Ltd | セルロースナノファイバーの製造方法 |
JP2013018918A (ja) * | 2011-07-13 | 2013-01-31 | Kao Corp | ゴム組成物及びその製造方法 |
JP2014141637A (ja) * | 2012-12-25 | 2014-08-07 | Mitsubishi Chemicals Corp | セルロースナノファイバー含有ゴムマスターバッチ |
WO2015068818A1 (ja) * | 2013-11-08 | 2015-05-14 | Dic株式会社 | セルロースナノファイバーの製造方法、セルロースナノファイバー製造用パルプ、セルロースナノファイバー、樹脂組成物及び成形体 |
WO2016136453A1 (ja) * | 2015-02-26 | 2016-09-01 | 住友ゴム工業株式会社 | マスターバッチの製造方法、該製造方法により得られるマスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
MY191605A (en) | 2022-07-01 |
JPWO2018199191A1 (ja) | 2019-06-27 |
WO2018199191A1 (ja) | 2018-11-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6473550B1 (ja) | マスターバッチ、ゴム組成物及びそれらの製造方法 | |
JP5544053B1 (ja) | セルロースナノファイバー | |
EP2975077B1 (en) | Method for manufacturing rubber composition, rubber composition, vulcanized rubber, and tire | |
JP5676909B2 (ja) | ゴム組成物及びゴム組成物の製造方法 | |
JP6155415B1 (ja) | マスターバッチ、ゴム組成物、及びそれらの製造方法 | |
EP2826792A1 (en) | Method for producing anion-modified cellulose nanofiber dispersion liquid | |
JPWO2011096399A1 (ja) | ゴム組成物 | |
WO2012132903A1 (ja) | セルロースナノファイバーの製造方法 | |
JP6990190B2 (ja) | ゴム組成物の製造方法 | |
JP2013177540A (ja) | ゴム改質材、ゴムラテックス分散液及びゴム組成物 | |
JP6048365B2 (ja) | ゴム改質材、ゴム改質材分散液、及びゴム組成物 | |
JP6784709B2 (ja) | セルロースナノファイバーの製造方法 | |
JP6994345B2 (ja) | ゴム組成物及び成形品 | |
JPWO2020100979A1 (ja) | アニオン変性セルロースナノファイバーを含有するマスターバッチおよびゴム組成物の製造方法 | |
JP2020100755A (ja) | 微細繊維状セルロース分散体の製造方法 | |
CN113677756A (zh) | 胶乳浸渍液、橡胶组合物以及它们的制备方法 | |
JP6915170B2 (ja) | ゴム組成物の製造方法 | |
JP7015970B2 (ja) | ゴム組成物及びその製造方法 | |
JP2021098794A (ja) | ゴム組成物及びその製造方法 | |
WO2023136130A1 (ja) | ゴム組成物及びその製造方法 | |
JP6021877B2 (ja) | ゴム組成物及びゴム組成物の製造方法 | |
JP2021098791A (ja) | ゴム組成物及びその製造方法 | |
JP2024044892A (ja) | ゴム組成物及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180806 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20180806 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20180822 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181030 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181130 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190125 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6473550 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |