JP6471492B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、単結晶の製造方法に関する。
例えば、パワーMOSトランジスタ用のエピタキシャルシリコンウェーハには、そのシリコンウェーハの基板抵抗率が非常に低いことが要求される。シリコンウェーハの基板抵抗率を十分に低くするために、シリコンウェーハの素材である単結晶のインゴット(以下、単結晶という)の引き上げ工程で(すなわち、シリコン結晶の育成時に)、溶融シリコンに抵抗率調整用のn型ドーパントとして砒素(As)やアンチモン(Sb)をドープする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、結晶円錐部、すなわち肩部が40°〜60°の開き角を有するように単結晶を製造することで、有転位化の発生を抑制できることが開示されている。
特許第3555081号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法のように単に肩部の開き角を調節するだけでは、有転位化の発生を抑制できない場合があり得る。
本発明の目的は、抵抗率が低くかつ有転位化の発生が抑制された単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
チョクラルスキー法による単結晶の製造において、坩堝に収容されたドーパント添加融液の中では、坩堝最下部に位置する部分と、融液表面との温度差によって、対流が発生していると考えられる。この対流によって、ドーパント添加融液の下側の熱が、上側に運ばれ、融液表面からの熱放出で温度が下げられた後、下側に戻るため、液温に変動が生じていると考えられる。この液温の変動によって、単結晶に異常成長の発生が増加し、有転位化が発生すると推測した。
また、坩堝内部の最下部から融液表面までの距離が長いほど、ドーパント添加融液の上下での温度差が大きくなるため、対流が強くなると考えられる。
そこで、坩堝にチャージするドーパント添加融液の量を最適化することで、対流に起因する液温の変動が抑制され、有転位化の発生を抑制できる可能性があると推測し、以下の実験を行った。
<実験1:ドーパント添加融液量と有転位化の発生状況との相関調査>
まず、円筒部の外径が22インチ(558.8mm(1インチ=25.4mm))、かつ、内径が21.10インチ(536.0mm)の坩堝を有する単結晶引き上げ装置を準備した。
そして、種子結晶に連続するネック部を形成するネック部形成工程と、肩部を形成する肩部形成工程と、直胴部を形成する直胴部形成工程と、テール部を形成するテール部形成工程と、テール部形成工程終了後、単結晶を冷却する冷却工程とを行うことで、単結晶を製造する実験を行った。ここで、直胴部の上端とは、肩部との境界に位置し、例えば図4に符号63Aで示す部分である。
なお、単結晶の直胴部上端の抵抗率が1.0mΩ・cm以下となるように、ドーパント
としての赤リンをシリコン融液に添加して、ドーパント添加融液のドーパント濃度を調整した。
また、製造条件は、直胴部の長さが860mmの直径200mm単結晶を製造するための条件とした。
また、製造中の単結晶を観察して、有転位化を確認した時点で製造を中止し、それ以降の工程を行わなかった。さらに、異常成長の有無についても確認した。
実験結果に基づく、シリコン融液量と、ドーパント量と、H/Rと、有転位化の発生位置と、異常成長の有無との関係を図1に示す。
なお、Hは、坩堝内部の最下部から融液表面までの距離であり、Rは、融液表面の半径である。本実験1では、全ての実験条件(トライ1〜7)において、融液表面が坩堝円筒部(内径が略均一の部分)に位置し、Rは坩堝の内径の半分の10.72インチであった。
図1に示すように、有転位化については、トライ1〜2では肩部に発生し、トライ3〜5では直胴部に発生し、トライ6〜7では発生しなかった。また、異常成長については、トライ1〜5では発生し、トライ6〜7では発生しなかった。
ここで、トライ2〜6では、直前のトライ(トライ1〜5)の結晶を、単結晶引き上げ装置から取り出してから、単結晶を製造した。また、トライ2,4,5,6を行う前に、ドーパント濃度を調整するために、ドーパントを添加した。
なお、トライ7は、有転位化および異常成長が発生しなかったトライ6の再現性確認テストである。
図1に示す結果から、H/Rの値が小さくなるほど、すなわち坩堝にチャージされたドーパント添加融液の量が少なくなるほど、有転位化が発生する位置がテール部側に移動し、H/Rの値が0.78未満の場合、有転位化および異常成長が発生しないことが分かった。
なお、単結晶が軸方向に成長する過程で、坩堝内シリコン融液が減少することによりH/Rの値は連続して小さくなる。従い、図1には、H/Rの値が0.77よりも小さい場合の記載はないが、トライ6およびトライ7の結果は、0.77よりもH/Rの値が小さくても有転位化および異常成長が発生しないことを示しており、今回のトライ6およびトライ7のシリコン融液の残液量から、少なくともH/Rの値が0.1まで有転位化および異常成長が発生しないことが判明した。実際、H/Rの値が0.6、0.4のトライも実験1の後に行ったが、有転位化および異常成長が発生することはなかった。
<実験2:ドーパント添加融液量とドーパントの蒸発に伴う単結晶の抵抗率変化との相関調査>
単結晶の抵抗率を低くするためのドーパントである、砒素やアンチモンあるいは赤リンは、蒸発しやすいことが分かっている。ドーパント添加融液のドーパント濃度が等しく、かつ、融液の表面積が等しければ、坩堝にチャージされた量が異なっていても、単位時間あたりのドーパントの蒸発量は等しくなると考えられる。このため、ドーパント濃度が等しければ、坩堝にチャージされたドーパント添加融液の量が少ないほど、単位時間あたりのドーパントの蒸発に伴うドーパント濃度の低下が大きいと推測できる。
そこで、実験2として、以下のシミュレーションを行った。
実験1の坩堝と同じ形状の坩堝に、H/Rが、それぞれ0.4、0.51、0.78、1.01となるように、実験1のドーパント濃度と同じ濃度のドーパント添加融液をチャージし、ドーパントとしての赤リンを添加してからの各経過時間において、ドーパントおよびシリコン融液を追加することなく、単結晶製造を開始したと仮定したときの直胴部上端の抵抗率をシミュレートした。なお、ドーパント添加直後に単結晶製造を開始したときの肩部上端の抵抗率を、0.9mΩ・cmに設定した。これは、単結晶の抵抗率は肩部側よりテール部側の方が低くなるため、肩部上端の抵抗率を0.9mΩ・cmに設定しておけば、直胴部全体の抵抗率を0.9mΩ・cm以下にすることができるためである。
シミュレーション結果を図2に示す。
図2に示すように、ドーパントが蒸発するため、時間の経過に伴い抵抗率が上昇することが確認できた。また、H/Rが小さいほど、抵抗率が上昇しやすいことがわかった。これは、ドーパント添加融液の量が少ないほど、ドーパント濃度の低下が大きいという、上記の推測と合致する。
ここで、製造効率の観点から、ドーパントやシリコン融液を追加せずに、複数の単結晶を1本ずつ連続して引き上げるいわゆる抜き取り引き上げ法を考慮に入れると、時間経過に伴う抵抗率の変化が小さいことが好ましい。また、ドーパント添加後に単結晶の製造をすぐに開始できない場合があることや、1本の単結晶の引き上げに約10時間かかること、あるいは、シリコンウェーハに要求される性能を考慮に入れると、経過時間が10時間のときに製造を開始した単結晶の直胴部の抵抗率が1.0mΩ・cmを大きく超えないことが好ましい。
このことから、少なくともH/Rが0.4を超える場合、ドーパント添加から10時間経過後に単結晶製造を開始しても、直胴部全体の抵抗率を1.0mΩ・cmを大きく超えない抵抗率にできる。
本発明は、上述のような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の単結晶の製造方法は、チャンバと、このチャンバ内に配置されシリコン融液にドーパントを添加したドーパント添加融液を収納可能な坩堝と、種子結晶を前記ドーパント添加融液に接触させた後に引き上げる引き上げ部と、を備えた単結晶引き上げ装置を利用し、単結晶の肩部を形成する肩部形成工程と、前記単結晶の直胴部を形成する直胴部形成工程と、を備えチョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、複数本の単結晶を製造可能な量の前記ドーパント添加融液を前記坩堝に収容し、前記坩堝にシリコン原料および前記ドーパントを追加することなく、前記複数本の単結晶を1本ずつ製造する際に、前記坩堝内部の最下部から前記ドーパント添加融液表面までの距離をH(mm)、前記ドーパント添加融液表面の半径をR(mm)とし、以下の式(1)を満たす状態で、各単結晶の前記肩部の形成を開始することを特徴とする。
0.4<H/R<0.78 … (1)
本発明によれば、上記式(1)を満たすように単結晶を製造することで、抵抗率が低くかつ有転位化の発生が抑制された単結晶を製造することができる。また、ドーパント添加融液を固化する(冷却する)ことなく複数本の単結晶を製造することができ、単結晶製造の効率化を図ることができる。
本発明の単結晶の製造方法において、前記ドーパントは、赤リンであり、前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が1.0mΩ・cm以下となるように前記赤リンが添加されていることが好ましい。
本発明の単結晶の製造方法において、前記ドーパントは、砒素であり、前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が2.0mΩ・cm以下となるように前記砒素が添加されていることが好ましい。
本発明の単結晶の製造方法において、前記ドーパントは、アンチモンであり、前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が15mΩ・cm以下となるように前記アンチモンが添加されていることが好ましい。
以上の本発明によれば、所望の低抵抗率のシリコンウェーハを得ることができかつ有転位化の発生が抑制された単結晶を製造することができる。
本発明の単結晶の製造方法において、前記ドーパントは、赤リンとゲルマニウムであり、前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が1.2mΩ・cm以下となるように前記赤リンと前記ゲルマニウムとが添加されていることが好ましい。
本発明によれば、単結晶を用いて製造されたエピタキシャルシリコンウェーハのミスフィット転を抑制することができる。
本発明における単結晶の製造方法を導くための実験1の結果であり、ドーパント添加融液量と有転位化の発生状況との相関を示す図。 前記製造方法を導くための実験2の結果であり、ドーパント添加融液量とドーパントの蒸発に伴う単結晶の抵抗率変化との相関を示すグラフ。 本発明の一実施形態に係る単結晶引き上げ装置の概略構成を示す模式図。 前記一実施形態におけるマルチ引き上げ法による単結晶の製造方法を示す模式図。 本発明の変形例における抜き取り引き上げ法による単結晶の製造方法を示す模式図。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
〔単結晶引き上げ装置の構成〕
まず、単結晶引き上げ装置の構成について説明する。
単結晶引き上げ装置1は、図3に示すように、単結晶引き上げ装置本体3と、図示しないドーピング装置と、図示しない制御部とを備える。
単結晶引き上げ装置本体3は、チャンバ30と、このチャンバ30内に配置された坩堝31と、この坩堝31に熱を放射して加熱する加熱部32と、引き上げ部としての引き上げケーブル33と、断熱筒34と、シールド36と備える。
チャンバ30内には、制御部の制御により、上部に設けられた導入部30Aを介して、上方から下方に向かって不活性ガス、例えば、アルゴンガスが所定のガス流量で導入される。また、チャンバ30内の圧力(炉内圧力)は、制御部により制御可能となっている。
坩堝31は、シリコンウェーハの原料である多結晶のシリコンを融解し、シリコン融液4とするものである。坩堝31は、有底の円筒形状の石英製の石英坩堝311と、この石英坩堝311の外側に配置され、石英坩堝311を収納する黒鉛製の黒鉛坩堝312とを備えている。坩堝31は、所定の速度で回転する支持軸37に支持されている。なお、本実施形態の坩堝31は、円筒部の外径が22インチ、かつ、内径が21.44インチである。
加熱部32は、坩堝31の外側に配置されており、坩堝31を加熱して、坩堝31内のシリコンを融解する。
引き上げケーブル33は、例えば坩堝31上部に配置された図示しない引き上げ駆動部に、一端が接続されている。また、引き上げケーブル33は、他端に、種子結晶を保持するシードホルダ38、または、図示しないドーピング装置が適宜取り付けられる。引き上げケーブル33は、引き上げ駆動部の駆動により回転可能に構成されている。この引き上げケーブル33は、制御部による引き上げ駆動部の制御により、所定の引き上げ速度で上昇する。
断熱筒34は、坩堝31および加熱部32の周囲を取り囲むように配置されている。
シールド36は、加熱部32から上方に向かって放射される輻射熱を遮断する熱遮蔽用シールドである。
ドーピング装置は、固体状態のドーパントとしての赤リンを揮発させて、坩堝31内のシリコン融液4にドープさせて、すなわち添加してドーパント添加融液41を生成するためのものである。なお、ドーピング装置としては、筒状部の下端部をシリコン融液4に浸漬させて、赤リンをシリコン融液4に添加する構成や、筒状部の下端部をシリコン融液4から離間させて、揮発した赤リンをシリコン融液4に吹き付けることで、赤リンをシリコン融液4に添加する構成を適用できる。
制御部は、作業者の設定入力に基づいて、チャンバ30内のガス流量、炉内圧力、引き上げケーブル33の引き上げ速度を適宜制御して、単結晶6製造時の制御をする。
〔単結晶の製造方法〕
次に、単結晶引き上げ装置1を用いて、単結晶6を製造する方法の一例について説明する。なお、本実施形態では、直胴部の長さが860mmの直径200mmの単結晶を製造する方法について説明する。
まず、図4を参照して、同一の石英坩堝311を利用し、かつ、単結晶6を引き上げるごとにポリシリコン素材411をチャージして、複数本の単結晶6を引き上げるいわゆるマルチ引き上げ法により、単結晶6を製造する方法について説明する。なお、図3の石英坩堝311の図示を簡略にしている。
ここで、図3および図4に示すように、初期段階として80kgのポリシリコン素材を入れた石英坩堝311がセットされた単結晶引き上げ装置1は、制御部の制御により、ポリシリコン素材を加熱して融解させた後、チャンバ30内のガス流量および炉内圧力を所定の状態にして、シリコン融液4に揮発性ドーパントとしての赤リンを添加してドーパント添加融液41を生成する。
なお、赤リンの添加量は、単結晶6から切り出したシリコンウェーハの抵抗率が、0.6mΩ・cm以上1.0mΩ・cm以下となるような量である。また、エピタキシャルシリコンウェーハのミスフィット転を抑制するために、赤リンとともにゲルマニウムを添加してもよい。ゲルマニウムを添加する場合、赤リンおよびゲルマニウムの添加量は、シリコンウェーハの抵抗率が、1.2mΩ・cm以下となるような量であってもよい。
この後、単結晶引き上げ装置1の制御部は、作業者の設定入力に基づいて、種子結晶を融液に浸漬した後、所定の引き上げ速度で引き上げて、単結晶6を製造する。
この種子結晶の引き上げの際、制御部は、単結晶6におけるネック部形成工程、肩部形成工程、直胴部形成工程、テール部形成工程、冷却工程のうち、少なくとも直胴部形成工程における引き上げ時間を従来よりも短くして、寸法が従来のものより短い単結晶6を製造する。
具体的に、図3中実線で示すように、ネック部61の形成後、坩堝31内部の最下部からドーパント添加融液41の表面41Aまでの距離をH(mm)、ドーパント添加融液41の表面41Aの半径をR(mm)とし、上記式(1)を満たす状態で、図3中二点鎖線で示すような肩部62の形成を開始する。肩部62の形成後、図3中二点鎖線および図4に示すように、直胴部63、テール部64を形成する。
なお、引き上げ時間以外の条件、例えば加熱部32による加熱条件は、従来と同じであってもよい。また、22インチの坩堝31を用いる本実施形態では、肩部62の形成開始時には、37kg(H/R=0.4)を超え、かつ、95kg(H/R=0.78)未満のドーパント添加融液41が坩堝31に収容されている。
以上の工程により、抵抗率が0.6mΩ・cm以上1.0mΩ・cm以下と低く、かつ、有転位化の発生が抑制された単結晶6を製造することができる。
そして、1本の単結晶6の製造が終了した後、単結晶引き上げ装置1は、図4に示すように、80kgのドーパント添加融液41を生成するための素材411(シリコン、赤リン(、ゲルマニウム))を石英坩堝311に投入し、肩部62の形成開始時に上記式(1)を満たす状態にして、次の単結晶6を製造する。
ここで、単結晶引き上げ装置1の制御部は、最後に製造する単結晶6以外の単結晶6の取り出しを待って冷却している間(冷却工程の間)、炉内圧力を13.3kPa(100torr)以上、60kPa(450torr)以下に調整することが好ましい。炉内圧力が13.3kPa未満の場合、揮発性ドーパントである赤リンが蒸発し、次に製造する単結晶6の抵抗率が上昇してしまう。一方、炉内圧力が60kPaを超える場合、蒸発物がチャンバ30内に付着しやすくなり、単結晶6の単結晶化を阻害してしまう。
このように製造された単結晶6から得られるシリコンウェーハの抵抗率は、0.6mΩ・cm以上1.0mΩ・cm以下となる。
〔他の実施形態〕
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
例えば、図4に示すようなマルチ引き上げ法ではなく、図5に示すように、単結晶引き上げ装置1を用いて、同一の石英坩堝311を利用し、かつ、複数本分のドーパント添加融液41を一度にチャージして、複数本の単結晶6を1本ずつ引き上げるいわゆる抜き取り引き上げ法により、単結晶6を製造してもよい。
ここで、単結晶引き上げ装置1の制御部は、2本の単結晶6を製造する場合、1本目の単結晶を引き上げた後、取り出しを待って冷却している間(冷却工程の間)、炉内圧力を13.3kPa以上、60kPa以下に調整することが好ましい。このように炉内圧力を調整することが好ましい理由は、前記実施形態のマルチ引き上げ法の理由と同じである。
なお、マルチ引上げ法を行う場合でも、最後の単結晶を引上げる際に原料を追加せず、上記抜き取り引上げ法が適用できる。
例えば、初期段階として、肩部62の形成開始時に、H/R=0.68となるようにドーパント添加融液41をチャージして、直胴部の長さが400mmの単結晶6を3回連続で引き上げる方法を適用してもよい。このような方法によっても、抵抗率が0.6mΩ・cm以上1.0mΩ・cm以下と低く、かつ、有転位化の発生が抑制された直径200mmの単結晶を製造することができる。
また、シリコン融液4に添加するドーパントとして、直胴部63の上端63Aの抵抗率が2.0mΩ・cm以下となるような量の砒素を適用してもよいし、直胴部63の上端63Aの抵抗率が15mΩ・cm以下となるような量のアンチモンを適用してもよい。
32インチ、18インチ、16インチの坩堝31を用いる場合、上記式(1)を満たすために、肩部62の形成開始時に、以下の量のドーパント添加融液41が坩堝31に収容されていてもよい。
32インチの坩堝31を用いる場合
118kg(H/R=0.4)を超え、かつ、
300kg(H/R=0.78)未満の量
18インチの坩堝31を用いる場合
19kg(H/R=0.4)を超え、かつ、
52kg(H/R=0.78)未満の量
16インチの坩堝31を用いる場合
14kg(H/R=0.4)を超え、かつ、
36kg(H/R=0.78)未満の量
1…単結晶引き上げ装置
6…単結晶
30…チャンバ
31…坩堝
33…引き上げ部としての引き上げケーブル
41A…表面
41…ドーパント添加融液
62…肩部
63…直胴部

Claims (5)

  1. ャンバと、
    このチャンバ内に配置されシリコン融液にドーパントを添加したドーパント添加融液を収納可能な坩堝と、
    種子結晶を前記ドーパント添加融液に接触させた後に引き上げる引き上げ部と、を備えた単結晶引き上げ装置を利用し
    単結晶の肩部を形成する肩部形成工程と、
    前記単結晶の直胴部を形成する直胴部形成工程と、を備えチョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、
    複数本の単結晶を製造可能な量の前記ドーパント添加融液を前記坩堝に収容し、前記坩堝にシリコン原料および前記ドーパントを追加することなく、前記複数本の単結晶を1本ずつ製造する際に、
    記坩堝内部の最下部から前記ドーパント添加融液表面までの距離をH(mm)、前記ドーパント添加融液表面の半径をR(mm)とし、以下の式(1)を満たす状態で、各単結晶の前記肩部の形成を開始することを特徴とする単結晶の製造方法。
    0.4<H/R<0.78 … (1)
  2. 請求項1に記載の単結晶の製造方法において、
    前記ドーパントは、赤リンであり、
    前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が1.0mΩ・cm以下となるように前記赤リンが添加されていることを特徴とする単結晶の製造方法。
  3. 請求項1に記載の単結晶の製造方法において、
    前記ドーパントは、砒素であり、
    前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が2.0mΩ・cm以下となるように前記砒素が添加されていることを特徴とする単結晶の製造方法。
  4. 請求項1に記載の単結晶の製造方法において、
    前記ドーパントは、アンチモンであり、
    前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が15mΩ・cm以下となるように前記アンチモンが添加されていることを特徴とする単結晶の製造方法。
  5. 請求項1に記載の単結晶の製造方法において、
    前記ドーパントは、赤リンとゲルマニウムであり、
    前記ドーパント添加融液には、各単結晶の前記直胴部の上端の抵抗率が1.2mΩ・cm以下となるように前記赤リンと前記ゲルマニウムとが添加されていることを特徴とする単結晶の製造方法。
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