以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成システム100の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成システム100が備える画像形成装置2の制御系の主要部を示す。画像形成システム100は、図1において太線で示す長尺紙P、または所定の紙サイズにカットされた用紙(「カット紙」とも言う)Sを記録媒体として使用し、長尺紙Pまたは用紙S上に画像を形成するシステムである。ここで、長尺紙Pとは、その搬送方向において例えば、画像形成装置2の本体幅を超える長さを有する用紙である。本実施の形態では、長尺紙Pとして、離型材を塗布した基材の上に、裏面(離型材に対応する面)に接着剤を被覆した剥離シートを付着させたラベルロール紙が使用される。剥離シートは、表面に画像が形成された後、基材から剥がして目的物に貼り付けて使用される。以下の説明では、長尺紙Pをラベルロール紙Pと言う。
図1に示すように、画像形成システム100は、ラベルロール紙Pの搬送方向(以下、「用紙搬送方向」とも言う)に沿って上流側から、給紙装置1(本発明の「給紙部」に対応)、画像形成装置2および排紙装置3(本発明の「排紙部」に対応)が接続されて構成される。給紙装置1および排紙装置3は、ラベルロール紙P上に画像を形成する場合に使用される。
給紙装置1は、画像形成装置2に向けてラベルロール紙Pを給紙する装置である。給紙装置1の筐体内では、図1に示すように、ロール状のラベルロール紙Pが支持軸に巻回されて回転可能に保持されている。給紙装置1は、支持軸に巻回されたラベルロール紙Pを、複数の搬送ローラー対(例えば、繰り出しローラー、給紙ローラー等)を経由して、一定の速度で画像形成装置2へ搬送する。給紙装置1の給紙動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。
なお、給紙装置1において、ラベルロール紙Pは、必ずしもロール状に保持されている必要はなく、所定サイズ(例えば、210[mm]×1200[mm])の複数のラベルロール紙Pが保持されていても良い。
画像形成装置2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置2は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙装置1から給紙されたラベルロール紙P、または、給紙トレイユニット51a〜51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置2には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置2は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置2の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいてラベルロール紙Pまたは用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種の操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種の入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。なお、中間転写ベルト421の構成については、導電性および弾性を有するものであれば、材質、厚さおよび硬度を限定しない。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421からラベルロール紙Pまたは用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、ラベルロール紙Pまたは用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像がラベルロール紙Pまたは用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、ラベルロール紙Pまたは用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像はラベルロール紙Pまたは用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写されたラベルロール紙Pまたは用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
定着部60は、ラベルロール紙Pまたは用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、ラベルロール紙Pまたは用紙Sの裏面(定着面と反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、ラベルロール紙Pまたは用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきたラベルロール紙Pまたは用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、ラベルロール紙Pまたは用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材からラベルロール紙Pまたは用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する(ベルト加熱方式)。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とに所定のベルト張力(例えば、40[N])で張架されている。
定着ベルト61は、例えば、基体として厚さ80[μm]のPI(ポリイミド)を用い、基体の外周面を弾性層として厚さ250[μm]の耐熱性のシリコンゴム(硬度JIS−A30°)で被覆し、さらに、表層(離型層)に厚さ70[μm]の耐熱性樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)のコーティングをしている。定着ベルト61の外径寸法は例えば100[mm]である。定着ベルト61は、トナー像が形成されたラベルロール紙Pまたは用紙Sに接触して、当該トナー像をラベルロール紙Pまたは用紙Sに定着温度(例えば、160〜200[℃])で加熱定着する。ここで、定着温度とは、ラベルロール紙Pまたは用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成されるラベルロール紙Pまたは用紙Sの紙種等によって異なる。
加熱ローラー62は、加熱源(ハロゲンヒーター)を内蔵し、定着ベルト61を加熱する。加熱源によって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。加熱源の温度は、定着ベルト61の温度が設定温度である180[℃]となるように制御部101によって制御される。加熱ローラー62の外径寸法は、例えば50[mm]である。
定着ローラー63は、例えばアルミニウム等からなる円柱状の芯金の外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層(例えば厚さ:10[mm])と、PTFE等のフッ素系樹脂からなる表層(例えば厚さ:70[μm])とが順に積層形成された構成を有する。定着ローラー63の外径寸法は、例えば40[mm]である。定着ローラー63の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)は、制御部101によって行われる。制御部101は、定着ローラー63を時計回り方向に回転させる。定着ローラー63が回転することにより、定着ベルト61および加熱ローラー62は、時計回り方向に従動回転する。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する(ローラー加圧方式)。加圧ローラー64は、例えば鉄等からなる円柱状の芯金の外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層と、PFAチューブからなる表層が順に積層形成された構成を有する。加圧ローラー64の外径寸法は、例えば40[mm]である。加圧ローラー64は、圧接離間部(図示せず)により定着ベルト61を介して定着ローラー63に所定の定着荷重(例えば、1000[N])で圧接される。圧接離間部は、公知の構成を有し、定着ベルト61と加圧ローラー64とを互いに圧接または離間させる。このようにして、定着ベルト61と加圧ローラー64との間には、ラベルロール紙Pまたは用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。加圧ローラー64の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)および圧接離間部の駆動制御は、制御部101によって行われる。制御部101は、加圧ローラー64を反時計回り方向に回転させる。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sまたはラベルロール紙Pの傾きおよび片寄りを補正する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。また、給紙装置1から画像形成装置2へ給紙されたラベルロール紙Pは、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像がラベルロール紙Pの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成されたラベルロール紙Pまたは用紙Sは、搬送ローラー対(排紙ローラー対)52aを備えた排紙部52により排紙装置3に搬送される。
排紙装置3は、画像形成装置2から搬送されてきたラベルロール紙Pを巻き取って収納する装置である。排紙装置3の筐体内では、例えば、図1に示すように、ラベルロール紙Pが支持軸に巻回されてロール状に保持される。そのために、排紙装置3は、画像形成装置2から搬送されてきたラベルロール紙Pを、複数の搬送ローラー対(例えば、繰り出しローラー、排紙ローラー)を経由して、一定の速度で支持軸に巻き取る。排紙装置3の巻き取り動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。
ところで、ラベルロール紙Pが定着ニップを通過する際、当該定着ニップによる加圧力が大きいため、ラベルロール紙Pの端部から接着剤がはみ出してしまう場合があった。この場合、はみ出した接着剤が定着ニップを形成する定着部材(本実施の形態では、定着ベルト61)に付着して当該定着部材を汚してしまうという問題があった。
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における転写部(2次転写ニップ)の上流側に折り曲げ部80が設けられている。また、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における定着部60の下流側に折り戻し部90が設けられている。
折り曲げ部80は、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向に直交する用紙幅方向における両端部側を当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り曲げる。折り戻し部90は、折り曲げ部80により折り曲げられた部分を当該部分の折り曲げ方向と反対側に折り戻す。
図3は、折り曲げ部80の構成を示す図である。図3に示すように、折り曲げ部80は、テンションローラー83と、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向におけるテンションローラー83の下流側に配置される一対の折り曲げローラー84a,84bとを備える。
テンションローラー83は、ラベルロール紙Pの裏面に当接しながら回転することによって、ラベルロール紙Pを用紙搬送方向に搬送する。制御部101は、第1駆動部81(図2参照)を制御し、テンションローラー83を図3中の反時計回り方向に回転させる。本実施の形態では、テンションローラー83は、ラベルロール紙Pのうちトナー像が転写される画像形成領域に対して矢印B方向の荷重をかけるように配置されている。画像形成領域は、図4Aに示すように、ラベルロール紙Pの用紙幅方向においてトナー像が転写されない余白領域の内側に位置する。余白領域は、用紙幅方向において画像形成領域の両端部からラベルロール紙Pの両端部までの領域である。余白領域の用紙幅方向における幅は、例えば1〜2[cm]である。テンションローラー83によって荷重がかけられることによって、ラベルロール紙Pの余白領域は、当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り込まれる。
折り曲げローラー84a,84bは、ラベルロール紙Pを狭持しながら回転することによって、ラベルロール紙Pを用紙搬送方向に搬送する。制御部101は、第2駆動部82(図2参照)を制御し、折り曲げローラー84a,84bを図3中の時計回り方向、反時計回り方向にそれぞれ回転させる。ラベルロール紙Pは、テンションローラー83の荷重によって余白領域が裏面側に折り込まれた後、折り曲げローラー84a,84bにより形成される搬送ニップを通過することにより、画像形成領域と余白領域との境界部分に折り目が付けられる。以上の2段階のプロセスを経て、ラベルロール紙Pの余白領域は、当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り曲げられる。図4Bは、ラベルロール紙Pの余白領域が当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り曲げられた状態を示している。以上のように、定着部60に搬送される前に、ラベルロール紙Pの両端部側(余白領域)は当該ラベルロール紙Pの裏面側(すなわち、定着部材に接触しない側)に折り曲げられる。そのため、ラベルロール紙が定着ニップを通過する際、当該定着ニップにおける加圧によって仮に当該ラベルロール紙Pの両端部から接着剤がはみ出てしまっても当該接着剤が定着部材に付着することはない。よって、ラベルロール紙Pに定着処理を施す際、当該ラベルロール紙Pに含まれる接着剤で定着部材が汚れることを防止することができる。
なお、図4Cに示すように、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向に折り曲げ部80を連続して設ける等して、ラベルロール紙Pの余白領域を、当該ラベルロール紙Pの裏面側に複数回折り曲げるようにしても良い。例えば、ラベルロール紙Pの余白領域を2回折り曲げる、より具体的には余白領域の半分の位置、および、余白領域と画像形成領域との境界部分で折り曲げることによって、接着剤がはみ出した両端部を完全にラベルロール紙Pで包むことができる。
テンションローラー83は、ラベルロール紙Pにおける用紙幅の変化等に起因して画像形成領域の幅が変化した場合に、その変化に対応して、ラベルロール紙Pに対して荷重をかけられる幅を変化できるように構成されている。図5は、テンションローラー83の具体的な構成を示す図である。図5に示すように、テンションローラー83は、メインローラー85と一対のサブローラー86,87とを有する。サブローラー86は、ベアリング86bを介してローラー軸86aに取り付けられている。メインローラー85およびサブローラー87は、サブローラー86と同様の構成を有する。本実施の形態では、サブローラー86,87は、公知の移動機構によって上下方向に移動可能に構成されている。制御部101は、ラベルロール紙Pにおける画像形成領域の幅が変化することに合わせてサブローラー86,87を上下方向に移動させることによって、ラベルロール紙Pに対して荷重をかける幅を変化させる。例えば、ラベルロール紙Pにおける画像形成領域の幅が広い場合、制御部101は、サブローラー86,87を荷重位置まで上方向に移動させることによって、ラベルロール紙Pに対して荷重をかける幅を広くする。一方、ラベルロール紙Pにおける画像形成領域の幅が狭い場合、制御部101は、サブローラー86,87を荷重位置から下方向に移動させる、すなわちラベルロール紙Pに接触させないことによって、ラベルロール紙Pに対して荷重をかける幅を狭くする。なお、テンションローラー83は、複数対のサブローラーを有して構成されても良い。
図6は、テンションローラー83の具体的な構成の変形例を示す図である。図6に示すように、テンションローラー83は、メインローラー85と一対のサブローラー86,87とを有する。メインローラー85およびサブローラー86,87は、ベアリングを介してローラー軸86cに取り付けられている。サブローラー86,87は、公知の移動機構によってローラー軸86cの軸方向に対応する左右方向(矢印方向)に移動可能に構成されている。サブローラー86は、ローラー軸86cを支持する支持部材86dからメインローラー85の左端部までの範囲で移動することができる。サブローラー87も、サブローラー86と同様の範囲で移動することができる。制御部101は、ラベルロール紙Pにおける画像形成領域の幅が変化することに合わせてサブローラー86,87を左右方向に移動させることによって、ラベルロール紙Pに対して荷重をかける幅を変化させる。例えば、ラベルロール紙Pにおける画像形成領域の幅が広い場合、制御部101は、サブローラー86を左方向に移動させるとともにサブローラー87を右方向に移動させることによって、ラベルロール紙Pに対して荷重をかける幅を広くする。一方、ラベルロール紙Pにおける画像形成領域の幅が狭い場合、制御部101は、サブローラー86を右方向に移動させるとともにサブローラー87を左方向に移動させることによって、ラベルロール紙Pに対して荷重をかける幅を狭くする。サブローラー86,87を移動させた後の位置固定方法としては、ローラー軸86cに電磁石を内蔵しておき、その磁力によってサブローラー86,87の位置を固定する方法や、ローラー軸86cとベアリングの内側にネジを切りサブローラー86,87の位置を固定する方法が挙げられる。
図7は、折り戻し部90の構成を示す図である。図7に示すように、折り戻し部80は、折り戻し部材92と、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における折り戻し部材92の下流側に配置される一対の折り戻しローラー93a,93bとを備える。
折り戻し部材92は、折り曲げ部80により折り曲げられた部分(余白領域)の間に差し込まれ、自身の形状に沿って当該部分を再び開く。折り戻し部材92は、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における上流側から下流側に向かって広がるように構成されている。本実施の形態では、図8Aに示すように、折り戻し部材92は、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における上流側から下流側に向かって広がる台形形状を有する。ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における上流側の幅bは、ラベルロール紙Pの用紙幅未満である。また、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における下流側の幅aは、ラベルロール紙Pの用紙幅以上である。すなわち、折り戻し部材92の幅a,bは、ラベルロール紙Pの用紙幅に応じて可変であることが好ましい。
なお、折り戻し部材92は、図8Bに示すように、複数の板状部材92a,92bを、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における上流側から下流側に向かって広がるV字状に配置して構成されても良い。この場合、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における上流側の幅bは、ラベルロール紙Pの用紙幅未満である。また、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における下流側の幅aは、ラベルロール紙Pの用紙幅以上である。
また、折り戻し部材92は、図8Cに示すように、複数の棒状部材92c,92dを、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における上流側から下流側に向かって広がるV字状に配置して構成されても良い。この場合、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における上流側の幅bは、ラベルロール紙Pの用紙幅未満である。また、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における下流側の幅aは、ラベルロール紙Pの用紙幅以上である。
折り戻しローラー93a,93bは、ラベルロール紙Pを狭持しながら回転することによって、ラベルロール紙Pを用紙搬送方向に搬送する。制御部101は、第3駆動部91(図2参照)を制御し、折り戻しローラー93a,93bを図7中の時計回り方向、反時計回り方向にそれぞれ回転させる。ラベルロール紙Pは、折り戻し部材92によって余白領域が開かれた後、折り戻しローラー93a,93bにより形成される搬送ニップを通過することにより、画像形成領域と余白領域との境界部分に付けられていた折り目が矯正される。以上の2段階のプロセスを経て、ラベルロール紙Pのうち折り曲げ部80により折り曲げられた部分(余白領域)は、当該部分の折り曲げ方向と反対側に折り戻される。
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成装置2は、裏面に接着剤を被覆した剥離シートを基材の上に付着させたラベルロール紙Pにトナー像を転写する転写部と、転写部により転写されたトナー像をラベルロール紙Pに定着させる定着部60と、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における転写部の上流側に設けられ、当該用紙搬送方向に直交する用紙幅方向におけるラベルロール紙Pの両端部側を当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り曲げる折り曲げ部80とを備える。
このように構成した本実施の形態によれば、定着部60に搬送される前に、ラベルロール紙Pの両端部側は当該ラベルロール紙Pの裏面側(すなわち、定着部材に接触しない側)に折り曲げられる。そのため、ラベルロール紙Pが定着ニップを通過する際、当該定着ニップにおける加圧によって仮に当該ラベルロール紙Pの両端部から接着剤がはみ出てしまっても当該接着剤が定着部材に付着することはない。よって、ラベルロール紙Pに定着処理を施す際、当該ラベルロール紙に含まれる接着剤で定着部材が汚れることを防止することができる。
なお、上記実施の形態において、折り曲げ部80は、図9に示すように、図示しないテンションローラー83と折り曲げローラー84a,84bとの間に設けられた紙折りガイド88を備えても良い。紙折りガイド板88は、テンションローラー83の荷重によるラベルロール紙Pの折り込み動作を補助するために設けられる。紙折りガイド板88は、複数の板状部材(上面部材、側面部材、下面部材)で構成される。また、紙折りガイド板88は、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向および側面の一方に開口部が設けられている。開口部の高さは、用紙搬送方向の上流側から下流側に向かうにつれて狭くなるように上面部材および下面部材の何れか(図9の例では、下面部材)が傾斜している。紙折りガイド板88は、ラベルロール紙Pの端部側を自身の形状に沿って徐々に裏面側に折り込まれる。その後、ラベルロール紙Pは、折り曲げローラー84a,84bにより形成される搬送ニップを通過することにより、画像形成領域と余白領域との境界部分に折り目が付けられる。紙折りガイド板88の配置位置は、ラベルロール紙Pの用紙幅に応じて可変であることが好ましい。紙折りガイド板88の断面形状は、図10Aに示すようなコの字形状、図10Bに示すように下面部材が傾斜した形状の他に、用紙搬送方向の上流側においては図10Bに示す形状で、下流側に向かうにつれて図10Aに示すコの字形状となるよう下面部材をひねった形状であっても良い。また、紙折りガイド板88の断面形状は、図10C,10Dに示すように側面部材が傾斜した形状であっても良い。また、紙折りガイド板88の断面形状を、用紙搬送方向の下流側に向かうにつれて側面部材がラベルロール紙Pの端部側に狭まる形状とすることにより、テンションローラー83なしに紙折りガイド板88単体でラベルロール紙Pの余白領域を当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り込むことができる。
また、上記実施の形態において、用紙Sがラベル紙である場合にも、定着ニップを通過する際にラベル紙の両端部から接着剤がはみ出してしまう場合があるため、折り曲げ部80による折り曲げ動作を行いつつ、ラベル紙に画像を形成する処理を行って良い。
また、上記実施の形態では、画像形成装置2に折り曲げ部80および折り戻し部90を設ける例について説明したが本発明はこれに限らない。例えば、折り曲げ部80は、画像形成装置2ではなく、給紙装置1に設けられても良い。また、折り戻し部90は、画像形成装置2ではなく、排紙装置3に設けられても良い。また、折り戻し部90は、必ずしも設けられなくても良い。
また、上記実施の形態では、ラベルロール紙Pの用紙幅方向における両端部側を当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り曲げる例について説明したが、定着ニップの加圧力によって接着剤がはみ出してしまうおそれのある一方の端部側のみを当該ラベルロール紙Pの裏面側に折り曲げるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、折り曲げ部80は、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における転写部の上流側に設けられる例について説明したが、折り曲げ部80は、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における転写部の下流側かつ定着部60の上流側に設けられても良い。ただし、ラベルロール紙Pの用紙搬送方向における転写部の上流側に折り曲げ部80が設けられる方が好ましい。二次転写ニップを通過する際に、当該二次転写ニップの加圧によってラベルロール紙Pの両端部から接着剤がはみ出してしまった場合でも、はみ出した接着剤が二次転写ニップを形成する転写部材(例えば、中間転写ベルト)に付着すること、ひいては当該転写部材を汚してしまうことを防止できるからである。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。