JP6468782B2 - 構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物に関する。
構造物の外周部に設置される外装材としては、例えば、パンチングメタルや金属薄板が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2008−063883号公報 特開平8−177221号公報 特開平9−328921号公報
ところで、構造物の地上階の外周部には、例えば、避難上または消火活動上有効な開口部(以下、「消防用開口部」という)が求められる。このような消防用開口部を確保することができない場合は、排煙設備等を設置する必要がある。
しかしながら、構造物の外装材として、上記のようなパンチングメタルやコンクリートパネル等を用いると、消防用開口部を確保することが難しく、排煙設備等の設置にコストがかかる可能性がある。
本発明は、上記の事実を考慮し、外装材を取り付けつつ、消防用開口部を確保することを目的とする。
第1態様に係る構造物は、地上階と、前記地上階の外周部に横幅方向及び面外方向にずれて設置され、外部から破壊侵入可能な複数の外装面材と、を備える。
第1態様に係る構造物によれば、地上階の外周部には、複数の外装面材が設置される。これにより、地上階の外観デザインの自由度を向上させることができる。
また、複数の外装面材は、外部から破壊侵入可能とされる。そのため、外装面材の設置領域を消防用開口部として見なし易くなる。
なお、ここでいう外部から破壊侵入可能な外装面材とは、外部より容易に破壊し侵入することができる外装面材を意味し、例えば、外部よりカッター等で容易に破断して侵入口を確保可能な膜材や、外部より容易に破壊して侵入口を確保可能なガラスパネル等が挙げられる。
さらに、複数の外装面材は、横幅方向及び面外方向にずれて配置される。これにより、面外方向に隣接する外装面材の間に段差部が形成される。この段差部も消防用開口部と見なすことができる。したがって、本発明では、複数の外装面材を面外方向にずらさずに直線上に並べる場合と比較して、消防用開口部を確保し易くなる。
第2態様に係る構造物は、地上階と、前記地上階の外壁から外側へ張り出す張出し部と、前記張出し部に前記外壁と対向して設置され、外部から破壊侵入可能な外装面材と、を備える。
第2態様に係る構造物によれば、地上階の外壁から外側へ張り出す張出し部には、外壁と対向する外装面材が設置される。これにより、地上階の外観デザインの自由度を向上させることができる。
また、外装面材は、外部から破壊侵入可能とされる。そのため、外装面材の設置領域を消防用開口部として見なし易くなる。したがって、例えば、外壁の開口面積が小さく、消防用開口部を確保することができない場合であっても、外装面材の設置領域において消防用開口部を確保することができる。
第3態様に係る構造物は、第1態様または第2態様に係る構造物において、前記外装面材は、前記地上階に取り付けられる支持フレームと、前記支持フレームに張り渡される膜材と、を有する。
第3態様に係る構造物によれば、外装面材は、地上階に取り付けられる支持フレームと、支持フレームに張り渡される膜材とを有している。このように膜材を用いることにより、外装面材の軽量化を図ることができる。
第4態様に係る構造物は、第3態様に係る構造物において、前記膜材は、透光性を有し、前記膜材の背面側には、該膜材を照らす照明器具が設置される。
第4態様に係る構造物によれば、膜材は透光性を有している。また、膜材の背面側には照明器具が設置される。この照明器具によって膜材を背面側から照らすことより、昼と夜の外観デザインを容易に変更することができる。
以上説明したように、本発明に係る構造物によれば、外装材を取り付けつつ、消防用開口部を確保することができる。
本発明の一実施形態に係る構造物における所定の地上階を示す平面図である。 図1に示される地上階を示す縦断面図である。 図2に示される外装面材を背面側から見た斜視図である。 図1の一部拡大平面図である。 本発明の一実施形態に係る構造物の変形例を示す図4に対応する一部拡大平面図である。 本発明の一実施形態に係る構造物の変形例を示す図2に対応する断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る構造物について説明する。
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る構造物10は、例えば、複数の地上階12を有する立体駐車場とされている。なお、図1及び図2には、複数の地上階12のうち、所定の地上階12の外周部12Aが示されている。
地上階12の内部は、駐車場とされている。具体的には、地上階12の内部の床スラブ14上には、複数の駐車スペース16が設けられている。各駐車スペース16には、一対の車留め18が設置されており、車両20(図2参照)が駐車可能になっている。
図2に示されるように、地上階12の外周部12Aには、外周架構30が設けられている。外周架構30は、地上階12の外周部12Aに沿って配置されている。この外周架構30は、鉄骨造とされており、一対の柱32と、一対の柱32に架設され、床スラブ14を支持する梁34とを有している。
本実施形態では、一例として、一対の柱32は角形鋼管で形成され、梁34はH形鋼で形成されている。また、一対の柱32及び梁34の周囲には、仕上げボードや耐火ボード等のボード部材33,35がそれぞれ設置されている。なお、外周架構30は、鉄骨造に限らず、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等であっても良い。
また、外周架構30には、外壁36が設けられている。外壁36は、例えば、建築基準法上の外壁に該当するものとされている。この外壁36は、鉄筋コンクリート造とされており、所定の耐火性能を有している。また、外壁36は、垂れ壁36A及び腰壁36Bを有している。腰壁36Bは、床スラブ14から立ち上げられている。この腰壁36Bは、車両20の落下防止用とされており、所定強度及び所定高さを有している。
また、垂れ壁36Aと腰壁36Bとの間には、開口部38が形成されている。開口部38には、例えば、フェンス40等が取り付けられる。なお、フェンス40等は適宜省略可能である。
地上階12は、張出し部としてのバルコニー42を有している。バルコニー42は、外壁36から外側へ張り出している。このバルコニー42によって、外部スペースが形成されている。
なお、本実施形態では、バルコニー42が床スラブ14と連続するように形成されているが、床スラブ14との間には段差があっても良い。また、張出し部としては、バルコニー42に限らず、ベランダやテラスであっても良い。
バルコニー42の先端側には、外壁36と対向する複数の外装面材50が設置されている。これらの外装面材50は、外部に面している。図3に示されるように、各外装面材50は、支持フレーム52と、膜材58とを有している。
支持フレーム52は、円筒状のパイプ材によって矩形枠状に形成されている。この支持フレーム52は、上下方向に延びる左右一対の縦フレーム52Aと、横方向(横幅方向)に延びる上下一対の横フレーム52Bとを有している。
下側の横フレーム52Bには、ブラケット54が溶接等によって取り付けられており、このブラケット54を介して横フレーム52Bがバルコニー42の上面に固定されている。これと同様に、上側の横フレーム52Bは、ブラケット54を介して上階のバルコニー42の下面(図1参照)に固定されている。なお、ブラケット54は、アンカー等によってバルコニー42に固定されている。
膜材58は、支持フレーム52を覆い隠すように、支持フレーム52の表面側(外面側)に張り渡されている。また、膜材58の外周部は、支持フレーム52の表面側から背面側へ折り返されており、支持フレーム52に適宜固定されている。
なお、本実施形態では、一例として、膜材58の下端部は、下側の横フレーム52Bに沿って設けられた取付バー56にロープやクリップ等によって固定されている。膜材58の他の端部もこれと同様である。また、左右一対の縦フレーム52A及び上側の横フレーム52Bは、膜材58とは別の膜カバー60によって背面側から覆われている。この膜カバー60によって、縦フレーム52A及び上側の横フレーム52Bに設けられた取付バー等が隠されている。
ここで、外装面材50の膜材58は、消防法上の無窓階における消防用開口部としての基準を満たすように、カッター等により外部から容易に破断することができる材料で形成されている。この膜材58は、例えば、建材として用いられる膜材のA種、B種、C種等で形成される。これにより、外装面材50の設置領域、より詳細には支持フレーム52の枠内を消防用開口部と見なすことができるようになっている。なお、支持フレーム52の枠内には、消防用開口部の基準を満たすように、直径が所定値以上の円が内接可能になっている。
また、膜材58は、透光性を有している。そして、図2に示されるように、外装面材50の膜材58の背面側(外壁36側)には、照明器具62が設置されている。照明器具62は、バルコニー42の上面に設置されている。この照明器具62が作動されることにより、膜材58が下側から照らされるようになっている。
さらに、膜材58の表面(外面)には、例えば、酸化チタン等による光触媒が塗布されている。この光触媒の作用によって、膜材58の表面が自浄されるようになっている。
以上のように構成された複数の外装面材50は、図4に示されるように、横幅方向(矢印W方向)及び面外方向(矢印T方向)にずれて設置されている。これにより、面外方向(地上階12の内外方向)に隣接する外装面材50の間に段差部64が形成されている。段差部64には隙間66が形成されており、この隙間66から通風及び採光が可能になっている。
なお、図1に示されるように、要所において隣接する外装面材50には、非常用侵入口68が形成されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る構造物10は、地上階12を有している。地上階12の外周部には、例えば、避難上または消火活動上有効な消防用開口部が求められる。そして、消防用開口部を確保することができない場合は、消防法上の無窓階として取り扱われ、排煙設備等の設置が義務付けられる。この場合、排煙設備等の設置にコストがかかる。
ここで、本実施形態では、外周架構30に腰壁36B及び垂れ壁36Aが設けられる。そのため、外壁36において、消防法上の有窓階に必要となる消防用開口部(開口部38)の開口面積を確保することが難しい。
特に、本実施形態の地上階12は、内部が駐車場とされており、腰壁36Bが車両20の落下防止部材として機能する。そのため、腰壁36Bを省略したり、腰壁36Bの高さを低くしたりして開口部38を広げることは難しい。
また、一般に、立体駐車場等の外周部には、外観デザインの観点から、外装材が取り付けられる。しかしながら、外装材として、従来のようなパンチングメタルや金属薄板を用いると、外壁の開口部が塞がれるため、外壁において消防用開口部を確保することがさらに困難となる。
この対策として本実施形態では、バルコニー42の上に、外壁36と対向する外装面材50が設置されている。この外装面材50は、色やレイアウトを容易に変更可能であるため、地上階12の外観デザインの自由度を向上させることができる。
また、図4に示されるように、複数の外装面材50は、横幅方向及び面外方向にずれて配列されている。これにより、面外方向に隣接する外装面材50の間には、段差部64及び隙間66が形成されている。この段差部64によって陰影や立体感(奥行き感)が生まれるため、地上階12の外観のデザイン性が向上する。また、段差部64の隙間66から通風及び採光等が可能になるため、地上階12の環境性能が向上する。
さらに、外装面材50は、支持フレーム52と、支持フレーム52に張り渡される膜材58とを有している。このように膜材58を用いることにより、外装面材50の軽量化を図ることができる。
また、支持フレーム52は、膜材58によって表面側から覆い隠されるため、地上階12の外部からの見栄えが良くなる。さらに、左右一対の縦フレーム52A及び上側の横フレーム52Bは、膜カバー60によって背面側から覆い隠されるため、地上階12の内部からの見栄えも良くなる。しかも、膜材58の表面には、光触媒が塗布されている。この光触媒には自浄作用があるため、膜材58のメンテナンス性が向上する。さらに、バルコニー42に超速硬化ウレタン塗膜防水等を用いることにより、バルコニー42の見栄えも良くすることができる。
さらにまた、膜材58は、透光性している。したがって、バルコニー42に設置された照明器具62によって、外装面材50を背面側から照らすことより、昼と夜の外観デザインを容易に変更することができる。
ここで、複数の外装面材50は、外壁36の外側に、外部に面して設置されている。そのため、消防法上の無窓階における消防用開口部の算定位置が、外壁36の設置位置から外装面材50の設置位置へ移動する。
また、外装面材50の膜材58は、外部から破壊侵入可能とされている。より具体的には、膜材58は、外部からカッター等によって容易に破断可能とされている。これにより、例えば、図2に示されるように、火災に、はしご車70のバスケット72に乗った消防隊員74等が外部から膜材58を破断して外装面材50に侵入口を形成することができる。このような場合、外部に面する外装面材50(膜材58)の設置領域を消防用開口部と見なすことができる。
したがって、例えば、外壁36の開口部38の開口面積が小さく、消防用開口部を確保することができない場合であっても、複数の外装面材50の設置位置において有窓階に必要な開口面積を確保することができる。よって、地上階12を有窓階とすることができるため、排煙設備等の設置コストを削減することができる。
このように本実施形態では、地上階12の外周部12Aに外装面材50を取り付けつつ、消防用開口部を確保することができる。
また、前述したように、複数の外装面材50は、横幅方向及び面外方向にずれて配置される。これにより、面外方向に隣接する外装面材50の間に段差部64が形成されるため、外部に面する表面積が増加する。つまり、段差部64部分も消防用開口部と見なすことができる。したがって、本実施形態では、複数の外装面材50を面外方向にずらさずに、直線上に並べる場合と比較して、消防用開口部を確保し易くなる。
さらに、外装面材50は、外壁36から外側へ張り出すバルコニー42に設置される。このバルコニー42によって、外壁36と外装面材50との間に消防活動用の活動スペースが確保される。なお、バルコニー42の幅(外壁36と外装面材50との間隔)は、例えば、600mm以上であることが望ましい。
また、バルコニー42によって、外装面材50よりも外側に外装面材50の破壊作業の作業スペースを確保することにより、外装面材50を破壊し易くなる。したがって、外装面材50の設置領域を消防用開口部と見なしつつ、外装面材50の強度を高めることができる。換言すると、外装面材50の選択自由度を向上させることができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
例えば、図5に示されるように、面外方向に隣接する外装面材50の隙間66には、外部から破壊侵入可能な膜材80を張り渡しても良い。また、隙間66には、膜材80に限らず、一般的な外装材等を設置することも可能である。
また、上記実施形態では、隣接する外装面材50を面外方向にずらした例を示したが、隣接する外装面材50は、面外方向にずれていなくても良い。また、外装面材50は、地上階12の外周部に、少なくとも1つ設置することができる。
また、上記実施形態では、枠状の支持フレーム52の略全面に亘って膜材58を張り渡した例を示したが、支持フレーム52には部分的に膜材を張り渡しても良い。また、上記実施形態では、左右一対の縦フレーム52Aと上下一対の横フレーム52Bに膜材58を張り渡した例を示したが、左右一対の縦フレーム52Aにのみ膜材58を張り渡しても良いし、上下一対の横フレーム52Bにのみ膜材58を張り渡しても良い。さらに、上下のバルコニー42にポール状に取り付けられる一対の縦フレーム(支持フレーム)間に膜材58を張り渡しても良い。
また、外装面材50の支持フレーム52には、例えば、一対の縦フレーム52Aを連結する補強フレームや、ブレース状の補強フレーム等を適宜設けても良い。この場合、支持フレーム52の枠内が補強フレームによって複数の領域に区画されることになるが、これらの領域のうち、直径が所定値以上の円が内接可能な領域を消防用開口部として見なすことができる。
また、上記実施形態では、上下のバルコニー42に外装面材50を取り付けた例を示したが、これに限らない。外装面材50は、上下のバルコニー42の少なくとも一方に取り付けることができる。また、外装面材50の取付先は、バルコニー42に限らず、例えば、アウトフレームの梁等であっても良い。
また、上記実施形態は、駐車場に限らず、種々の構造物の地上階に適用可能である。さらに、上記実施形態では、外壁36の外側に外装面材50を設置した例を示したが、これに限らない。例えば、図6に示されるように、外周架構30に外装面材50を設置しても良い。この場合も、外装面材50の設置領域を消防用開口部と見なすことができる。
また、外装面材は、膜材58に限らず、例えば、外部より容易に破壊して侵入口を確保可能なガラスパネル等であっても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 構造物
12 地上階
12A 外周部
36 外壁
42 バルコニー(張出し部)
50 外装面材
52A 縦フレーム
58 膜材
62 照明器具
80 膜材
矢印W 横幅方向
矢印T 面外方向

Claims (4)

  1. 地上階と、
    膜材又はガラスパネルを有し、前記地上階の外周部に横幅方向及び面外方向にずれて設置され、外部から破壊侵入可能な複数の外装面材と、
    を備え、
    前記横幅方向に隣り合う前記外装面材の間、及び前記面外方向に隣り合う前記外装面材の間の少なくとも一方に、外部から侵入可能な開口部が形成される、
    構造物。
  2. 地上階と、
    前記地上階の外壁から外側へ張り出す張出し部と、
    膜材又はガラスパネルを有し、前記張出し部に前記外壁と対向して設置され、外部から破壊侵入可能な外装面材と、
    を備え、
    前記張出し部は、バルコニー、ベランダ、又はテラスとされる、
    構造物。
  3. 前記外装面材は、前記地上階に取り付けられ、前記膜材が張り渡される支持フレームを有する、
    請求項1または請求項2に記載の構造物。
  4. 前記膜材は、透光性を有し、
    前記膜材の背面側には、該膜材を照らす照明器具が設置される、
    請求項3に記載の構造物。
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