JP6465544B2 - 接合分離型半導体集積回路 - Google Patents

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Description

この発明は、ノイズ伝播を抑制した接合分離型半導体集積回路に関するものであり、特に、内燃機関の点火装置に好適なものである。
プレーナ構造のバイポーラ型集積回路では、例えば、シリコン等の4価元素からなる真性半導体に、微量のボロン、アルミニウム等の3価元素からなの添加物(アクセプタ)をドーピングしたp形半導体基板の所定の範囲に、リン、ヒ素等の5価元素からなる添加物(ドナー)をイオン化して打ち込んで熱拡散させることによってn形領域を形成し、pn接合の境界面に形成された空乏層を隣り合うn形領域の電気的な分離に用いている。
n形領域は、回路素子を埋め込むための素子埋込部3として用いられ、図7に示すように、npnトランジスタ20z、ダイオード21z、抵抗22z、コンデンサ23zの各素子を適宜組み合わせて任意の入力処理回路200zを形成し、集積回路とすることができる。
一方、特許文献1には、集積回路内部の入出力部にRCフィルタを構成して、センサ装置のケースに貫通コンデンサを設けることなく高周波ノイズ対策を施し、装置の小型化を図ったセンサ措置が開示されている。
また、特許文献2には、集積回路内の絶縁膜上に薄膜抵抗を配することによりノイズ電流を基板に流さないようにした電磁ノイズ対策用フィルタが開示されている。
特開平8−184462号公報 特開平9−45512号公報
ところが、プレーナ構造のバイポーラ型集積回路300zにおいては、n形領域からなる素子埋込部3とp形半導体基板1との境界に、比較的大きな容量の接合容量Cjsが寄生することになる。
このために、比較例として図7に示すように、RCフィルタ回路100zを集積回路300z内に形成しても、外部から高周波ノイズや電磁波ノイズが侵入した場合に、接合容量Cjsを通過して入力処理部200zのp形半導体基板1z内に伝播され、基板電位が変動するおそれがある。
さらに、基板電位に変動が発生すると入力処理部200z内に設けたトランジスタ20zに寄生する接合容量Cjsを介して、変位電流が素子埋込部3内に逆流し、トランジスタ20zの誤動作を起こしたり、信号の遅延を起こしたりするおそれがある。
一方、内燃機関の点火に用いられる点火装置において、点火コイルの開閉駆動を行う制御回路に、特許文献2にあるような絶縁基板上に薄膜工程により形成した薄膜抵抗を用いて入力フィルタ回路100zを構成した場合には、火花放電時に発生する大きなサージ電圧によって薄膜抵抗の絶縁破壊を招くおそれもある。
製造コスト低減のために薄膜抵抗を用いてフィルタ回路を形成しても、耐圧性の低い薄膜抵抗をサージ電圧から保護するために、耐圧性の高いディスクリート部品を用いてサージ保護回路を設ける必要を生じ、却って製造コストの増大を招くおそれもある。
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、低コストで、回路の小型化を図りつつ、耐電磁波、耐高周波ノイズ性の高い信頼性の高い接合分離集積回路の提供を目的とするものである。
本発明では、内燃機関の点火を制御する点火装置に用いられ、
正孔をキャリアとするp形半導体、若しくは、電子をキャリアとするn形半導体からなる半導体基板(1)に、該半導体基板(1)と反対のキャリアを有するn形領域、若しくは、p形領域からなる素子埋込部(3)を複数形成して、pn接合を素子間分離に用いて、前記素子埋込部(3)に抵抗(R22)、コンデンサ(C23)、トランジスタ(Tr20)、ダイオード(Di21)のいずれかから選択した素子を形成すると共に、前記素子埋め込み部(3)の表面を覆う絶縁層(2)と、各素子の所定位置において該絶縁層(2)の一部を除去したコンタクトホール(7)と、該コンタクトホール(7)に埋設した金属を介して各素子の所定位置に接続する金属配線(8)とを設けて回路を構成した入力処理回路(200)と、
前記素子埋込部(3)に形成され、該素子埋込部(3)とは反対のキャリアを有するp形領域、若しくは、n形領域からなる拡散抵抗領域(4R)と、その表面側を覆う絶縁層(2)と、前記拡散抵抗領域(4R)の両端に接続する金属配線(8)とからなる抵抗(10)、及び、前記抵抗(10)が形成されるのとは別の前記素子埋込部(3)に形成され、前記抵抗(10)と共にローパスフィルタを形成するコンデンサ(11)からなる入力フィルタ回路(100)と、を具備し、
前記コンデンサ(11)は、前記素子埋込部(3)に、該素子埋込部(3)と同じキャリアの濃度を高めたn+形領域、若しくは、p+形領域からなる容量形成領域(5+C)を設けて、所定の静電容量(C)を形成する接合分離型半導体集積回路(300)であって、
前記入力処理回路(200)においては、前記入力処理回路(200)を形成する複数の前記素子埋込部(3)の全体の外側を囲うように、前記入力フィルタ回路(100)においては、前記抵抗(10)が形成された前記素子埋込部(3)の外側と前記コンデンサ(11)が形成された前記素子埋込部(3)の外側をそれぞれ囲うように、前記半導体基板(1)と同じキャリアを含み、その濃度を前記半導体基板(1)よりも高くしたp+領域、若しくは、n+領域からなる素子外キャリアリッチ領域(4+)を設けると共に、該素子外キャリアリッチ領域(4+)を接地配線(GND)に接続せしめ、前記コンデンサ(11)を設けた前記素子埋込部(3)からのノイズ電流は、前記素子外キャリアリッチ領域(4+)から前記接地配線(GND)に排出されることを特徴とする。
本発明によれば、pn接合により素子間分離を行った場合に、前記半導体基板(1)と前記素子埋込部(3)との境界部分に不可避的に接合容量(Cjs)が形成され、その接合容量(Cjs)を介して、外部から前記半導体基板(1)内にノイズ電流が侵入したとしても、前記素子外キャリアリッチ領域(4+)の抵抗が前記半導体基板(1)の抵抗よりも小さいため、他の素子埋込部(3)に侵入することなく、前記素子外キャリアリッチ領域(4+)に吸い込まれ、さらに、前記素子外キャリアリッチ領域(4+)が接地されているため、前記半導体基板(1)の基板電位の変動を招くことがなく、前記トランジスタ(20)の誤作動や、信号の遅延を招くことがない。
しかも、前記素子外キャリアリッチ領域(4+)は、前記素子埋込部(3)内にキャリア領域(4)を形成すると同時に作り込むことができるため、製造コストの増加を招くことなく、耐ノイズ特性にすぐれた接合分離型半導体集積回路(300)を実現できる。
また、本発明によれば、素子埋込部内に設けた拡散抵抗層を利用して、ダサージ保護回路を集積回路内に作り込むことができるので、外付けのサージ保護回路を設ける場合に比べて容易に小型化できる。
本発明の実施形態における接合分離集積回路全体の概要を示す断面図。 入力フィルタ回路100を構成する抵抗素子10を示し、図1中A−Aに沿った断面図 入力フィルタ回路100を構成する容量素子11を示し、図1中B−Bに沿った断面図 図3Aの変形例11bを示し、図1と同方向の断面図 入力処理回路200を構成するトランジスタ20を示し、図1中C−Cに沿った断面図 レイアウトの一例を示し、図4A中B方向から見た平面図 (a)から(l)の順を追って、本発明の接合分離集積回路の製造方法の概要を示す断面図 本発明の接合分離集積回路を内燃機関の点火装置に適用した実施例を示すブロック図 従来の接合分離集積回路の概要と問題点を示す断面図
図1を参照して、本発明の接合分離型半導体集積回路300の概要について説明する。本発明は、正孔をキャリアとするp形半導体、若しくは、電子をキャリアとするn形半導体からなる半導体基板1に、半導体基板1と反対のキャリアを有するn形領域、若しくは、p形領域からなる素子埋込部3を複数形成して、pn接合を素子間分離に用いた接合分離型半導体集積回路に関するものであり、複数の素子埋込部3の間、若しくは、外側に、半導体基板1と同じキャリアを含み、その濃度を半導体基板1よりも高くしたp+領域、若しくは、n+領域からなる素子外キャリアリッチ領域4+を設けると共に、素子外キャリアリッチ領域4+を接地配線8G(GND)に接続せしめたことを特徴とするものである。
本発明の特徴の理解を容易にするため、以下の説明においては、p形半導体基板1に、n形領域からなる素子埋込部3を設けた例として説明するが、本発明は、半導体基板1をp形に限定するものではなく、n形半導体を基板として用いて、p形領域からなる素子埋込部を形成して、pn接合によって素子間分離を行い、素子外キャリア領域として、n+領域を形成し、素子埋込部に各回路素子を形成するようにしても良い。
本発明の第1の実施形態における接合分離型半導体集積回路300は、入力フィルタ回路100と入力処理回路200とによって構成されている。
なお、本実施形態においては、入力処理回路200について、特定の回路に限定しておらず、トランジスタ20、ダイオード21、抵抗22、コンデンサ23、グランド配線24のいずれかを適宜選択して任意の回路に構成することができる。
本実施形態においては、半導体基板(p−Sub)1には、高純度のシリコン単結晶からなる真性半導体に、ボロンなどの3価元素を微量添加して、正孔をキャリアとする公知のp形半導体が用いられており、素子外キャリア領域4+はp+形領域となり、正孔の濃度が半導体基板1よりも高くなっている。
入力フィルタ部100は、抵抗10とコンデンサ11とによって構成されている。抵抗10は、n形領域からなる素子埋込部3に、p形領域からなる拡散抵抗領域4Rを設けて、その表面側を覆うように設けた絶縁層2によって絶縁分離して、絶縁層2の一部を除去して金属材料を埋設したコンタクトホール7を介してp形領域4の両端に接続するように金属配線8を形成することによって、p形領域4Rの拡散抵抗を利用して、所定の抵抗値Rを出している。
絶縁層2は、半導体基板1及び各素子の表面を酸化することによって形成した酸化膜で構成されている。
コンタクトホール7に埋設する金属材料、及び、金属配線8は、アルミニウム、アルミ合金、W、Ti/TiN等の金属材料が用いられ、スパッタリング、CVD、メッキ等の公知の方法によって形成されている。
抵抗10に接続する金属配線8の内、入力側(入力配線8I)は、外部に接続され、下流側は、コンデンサ11と入力処理回路200とに接続されている。
コンデンサ11は、n形領域からなる素子埋込部3に、n+形領域からなる容量形成領域5+Cを設け、その表面を覆うように、薄膜の誘電体6を設けて、さらに、その表面側を覆うように設けた絶縁層2によって絶縁分離して、絶縁層2の一部を除去して金属材料を埋設したコンタクトホール7を介して容量形成領域5+Cの両端に接続するように金属配線8を形成することによって、所定の静電容量Cを形成している。
コンデンサ11に接続する金属配線8の一方の端は、抵抗10に接続され、他方の端は、グランドGNDに接続している。
なお、以下の説明において、金属配線8の内、グランドに接続されるものを接地配線8Gとする。
コンデンサ11を構成する誘電体6は、絶縁層2をエッチング除去し、薄い酸化膜を形成した後、窒化ケイ素膜をCVDによって形成する等の公知の方法によって得られる。
抵抗10とコンデンサ11とで、ローパスフィルタを構成しており、小さなノイズはこのフィルタ回路100によって吸収される。
抵抗10及びコンデンサ11を形成した素子埋込部3の素子間には、本発明の要部である素子外キャリアリッチ領域4+として、p+領域が形成されている。
また、抵抗10に接続する金属配線8とコンデンサ11の上流側に接続する金属配線8とその下層に形成された素子外キャリアリッチ領域4+とは、絶縁層2を介して絶縁分離され、接地配線8G以外の金属配線8とは導通しないようになっている。
各素子埋込部3の周囲に設けた素子外キャリアリッチ領域4+は、コンタクトホール7を介して直接的に接地配線8Gに接続されるか、半導体基板1の内部側で他の素子外キャリアリッチ領域4+に接続され、その素子外キャリアリッチ領域4+を介して接地配線8Gに接続されている。
入力処理回路200について説明する。
入力処理回路200には、トランジスタ20、ダイオード21、抵抗22、コンデンサ23、接地配線24から選択された任意の回路素子が形成され、これらの組み合わせによって任意の回路を構成することができる。
また、フィルタ回路部100においては、素子外キャリア領域4+を抵抗10とコンデンサ11との間にも設けて、入力処理回路200への流出を防ぐように構成したが、入力処理回路200においては、素子間の全てにキャリア領域4+を設けると、それが却って入力処理回路200内にノイズを引き込むことになるおそれがある。
そこで、入力処理回路200においては、入力処理回路200の周囲を取り囲むように素子外キャリア領域4+を配置し、キャリア領域4+は接地配線8Gに接続する。
トランジスタ20は、素子埋込部3にp領域4とn+領域5+とが形成され、p領域4内にp+領域4+が形成され、表面が絶縁層2によって覆われ、各領域の所定の位置に設けたコンタクトホール7を介して、それぞれ、エミッタ配線8E、ベース配線8B、コレクタ配線8Cが引き出されており、pnpトランジスタを構成している。
ダイオード21は、素子埋込部3に、p領域4が形成され、p領域4内にn領域5が形成され、p領域4とn領域3との境界にn+領域5+が形成され、表面が絶縁層2によって覆われ、各領域の所定の位置に設けたコンタクトホール7を介して、それぞれ、アノード配線8A、カソード配線8Kが引き出されており、ダイオードを構成している。
抵抗22、コンデンサ23は、抵抗10、コンデンサ11と同様の構成によって作ることができる。
接地配線8Gの一方の端は、コンタクトホール7を介して素子外キャリアリッチ領域4+に接続され、他方の端はGNDに接続されている。
なお、素子埋込部3の表面に設けた絶縁層2の上に、コイル状にパターン形成した金属配線を設けることによりにコイルを形成することも可能であるが、大きなインダクタンスを得ることが困難であるため、大きなインダクタンスが必要な場合には、実装品を用いた方が実用的である。
図2を参照して、本発明の効果について説明する。
外部で発生した高周波ノイズや電磁波ノイズが入力フィルタ回路100によって除去されず、入力配線8Iから侵入し、接合容量Cjsを介して、素子埋込部3から半導体基板1内に漏れ出るような範囲の周波数を有するものであったとしても、半導体基板1のキャリア濃度よりも素子外キャリアリッチ領域4+のキャリア濃度が高いので、素子外キャリアリッチ領域4+の方に電流が流れやすくなっており、ノイズ電流は直ちに素子外キャリアリッチ領域4+に吸収され、グランド配線8Gを介して接地GNDに放出されるため、半導体基板1の基板電位を変化させたり、他の素子埋込部3に再侵入したりし難くなっている。
また、図3Aに示すように、コンデンサ11を設けた素子埋込部3から、ノイズ電流が漏れ出た場合も、同様に、ノイズ電流は素子外キャリアリッチ領域4+から、直ちにグランドに排出させることができる。
コンデンサ11の変形例として図3Bに示すコンデンサ11bのように、素子埋込部3内にp形領域を形成せず、絶縁層2の表面の一部を覆うように金属配線8を形成し、その表面に重ねて薄膜状の誘電体6bを形成し、さらに、その表面に金属配線8bを形成して、平板コンデンサCを形成することによって作り込むこともできる。
このように形成したコンデンサ11bは、素子埋込部3が形成されていないので、接合容量Cjsが寄生しておらず、コンデンサ11bから基板1内へのノイズ電流の侵入を阻止することもできる。
さらに、入力フィルタ回路100から侵入したノイズ電流が完全に吸収されず、入力処理回路200に侵入しようとした場合であっても、図4Aに示すように、入力処理回路200の周囲に設けた素子外キャリアリッチ領域4+から、接地配線8Gに排出されるので、入力処理回路200の誤作動を抑制することができる。
また、図4Bに示すように、平面方向のレイアウトにおいて、素子外キャリアリッチ領域4+は、必ずしも、入力処理回路200の全周を囲むように設ける必要はなく、一部に素子外キャリアリッチ領域4+が形成されていない箇所があっても良い。
なお、図4Bでは、入力処理回路200として、差動増幅回路を構成した例を示しているが、作り込む素子の数、種類等を限定するものではない。
また、半導体基板1の内部で、素子外キャリアリッチ領域4+が他の素子外キャリアリッチ領域4+と接続され、その内のいずれかの領域で接地配線8Gに接続されていれば、半導体基板1の表面側に接地配線8Gが形成されていない部分があっても、ノイズ電流の排出を行うことが可能である。
さらに、素子外キャリアリッチ領域4+が、他の素子外キャリアリッチ領域4+と接続されていない場合であっても、コンタクトホール7を介して半導体基板1の表面側に設けた接地配線8Gに接続されていれば、ノイズ電流の排出を行うことが可能である。
図5を参照して、本発明の接合分離型半導体集積回路300の製造方法について説明する。
なお、以下の説明においては、素子としてトランジスタ20を形成する場合を例に説明するが、一般的な半導体集積回路と同様、回路パターンを適宜変更することで、フィルタ回路部100、及び、他の素子21〜25も同時に形成することができる。
また、以下の説明において、同じような公知の工程が繰り返されるので、適宜説明を省略してある。
本発明の接合分離形集積回路300の製造においては、n形半導体からなる素子埋込部3内にp領域4を作り込むのと同時に、本発明の要部であり、キャリアとして正孔を多く含む素子外キャリアリッチ領域4+を成形することを特徴としている。
したがって、従来の接合分離形集積回路の製造方法に比べて作業工程を増やすことなく、ノイズ特性の向上を図ることができる。
以下、工程の順にしたがって説明する。
本図(a)に示すように、高純度のシリコン単結晶に、微量のリン、ヒ素等の5価の不純物(ドナー)を添加して半導体化したp形半導体からなる基板1の表面に絶縁層2を形成する。
絶縁層2は、例えば、基板2を高温下(900〜1200℃)で酸化処理して表面に絶縁酸化膜を形成することによって形成することができる。
次いで、本図(b)に示すように、絶縁層2の表面をレジストで覆い、公知のホトリソグラフィ工程により、各素子埋込部3に相当する領域以外を覆うようにパターン成形したマスクによって遮蔽して、露光、現像を行い、絶縁層2の所定の範囲を覆うようにレジストを形成する。
次いで、本図(c)に示すように、絶縁層2のレジストで覆われていない部分をドライエッチング、ケミカルエッチング等の公知の方法によって除去する。
次いで、本図(d)に示すように、基板1の絶縁層2で覆われていない部分に、n形領域からなる素子埋込部3を形成するために、リン、ヒ素等の5価の不純物(ドナー)をイオン化して加速注入する。
本図では、レジストを除去した状態でイオン注入するように記載してあるが、イオン注入後にレジストを除去するようにしても良い。以下の工程でも同様である。
次いで、再度高温酸化処理することで、ドナーの拡散による素子埋込部3の区画とその表面の再酸化による絶縁層2の形成を同時に行う。
このとき、基板1と素子埋込部3の境界には、pn接合によって空乏層が形成され、他の素子埋込部3との絶縁分離が行われる。ただし、上述の如く、当該空乏層は、接合容量Cjsとしても作用し得る。
さらに、本図(e)に示すように、絶縁層2の表面に再度レジストを形成し、本発明の要部である素子外キャリアリッチ領域4+と、素子埋込部3内にp領域4とを形成するために、ホトリソグラフィ工程により、所定のパターン露光、現像を行う。
次いで、エッチングにより、素子外キャリアリッチ領域4+、p領域4を形成する部分の絶縁層2を除去した後、本図(f)に示すように、ボロンなどの3価の不純物(アクセプタ)をイオン化し加速注入する。
次いで、再度高温処理することで、素子埋込部3の所定の部分へのアクセプタの拡散と素子間の所定領域へのアクセプタの拡散と、素子埋込部3及び素子外キャリアリッチ領域4+の表面の再酸化によって絶縁層2の形成を同時に行う。
さらに、本図(g)に示すように、絶縁層2の表面に再度レジストを形成し、素子埋込部3、及び、p領域4の所定位置に、それぞれ、n+領域(5+)、及び、n領域(5)を形成するために、ホトリソグラフィ工程により、所定のパターン露光、現像を行う。
次いで、エッチングにより、n+領域(5+)、n領域(5)を形成する部分の絶縁層2を除去した後、本図(h)に示すように、リンなどの5価の不純物(ドナー)をイオン化し加速注入する。
次いで、再度高温酸化処理することで、素子埋込部3、及び、p領域4内の所定の部分へのドナーの拡散によるn+領域(5+)、及び、n領域(5)の区画と、素子埋込部3の表面の再酸化によって絶縁層2の形成を同時に行う。
本図(i)に示すように、絶縁層2の表面に再度レジストを形成し、コンタクトホール7を形成するために、ホトリソグラフィ工程により、所定のパターン露光、現像を行う。次いで、エッチングにより、コンタクトホール7を形成する部分の絶縁層2を除去した後、所定の配線パターンとなるよう、レジストを設けて、アルミニウム、W、Ti/TiN等の金属材料をスパッタリング、CVD、メッキ等の公知の方法によって堆積させ、コンタクトホール7内に埋設した金属材料(ビア)を介して、所定のパターンに配線した配線部8と、各素子埋込部3に形成したp領域(4)、n+領域(5+)、n領域(5)及び素子外キャリアリッチ領域(4+)との接続を図る。
以上により、p基板1中にpn接合により分離された素子埋込部3内にnpnトランジスタ20が形成され、素子埋込部3と他の素子埋込部3との間にグランドに接続する素子外キャリアリッチ領域4+が形成される。
ダイオード21、抵抗22、コンデンサ23、接地配線24等の他の素子もp領域、p+領域、n領域、n+領域の各領域を適宜選択してパターン化したマスクを用いて、上述の工程を経ることにより、各素子に必要な領域を複数の素子に亘って同時に成形することができる。
また、本発明の要部である素子外キャリアリッチ領域4+は、基板1の表面に形成した金属配線8を介してGNDに接続されるか、基板1の内部で他の素子外キャリアリッチ領域4+と接続され、他の素子外キャリアリッチ領域4+及びこれに接続された金属配線8を介してGNDに接続されている。
このため、接合容量Cjsの存在によって、外部からノイズ電流が基板1内に侵入しても、素子外キャリアリッチ領域4+を介して、グランドGNDに排出されるので、ノイズ電流による入力処理回路200の誤作動が抑制された信頼性の高い接合分離形集積回路300の実現が可能となる。
なお、必要な場合には、絶縁層2の表面を研磨等の公知の方法により平滑化しながら各工程を実施しても良い。
このようにして、本発明の接合分離型半導体集積回路300が形成され、各素子に設けた配線部8の端部とリードフレーム等の入出力端子とがワイヤボンディング等により接続され、エポキシ樹脂等を用いた公知のモールド方法によりパッケージ化されて使用される。
図6を参照して、本発明の接合分離型半導体集積回路300を、内燃機関の点火装置90に用いた実施例について説明する。
点火装置90は、電源40と、電源40を昇圧して、点火プラグ70に高電圧を印加する点火コイル50と、電源40から点火コイル50への通電を制御する点火スイッチ60と、点火スイッチ60の開閉制御する制御回路として用いられる接合分離型半導体集積回路300と、図略の内燃機関に設けられ、内燃機関の点火を行う点火プラグ70と、内燃機関の運転状況に応じて点火信号IGtを発信するエンジン制御装置(ECU)80とによって構成されている。
本実施例における接合分離型半導体集積回路300は、ECU80から発信された点火信号IGt及び電源電圧+Bを入力とし、点火スイッチ60を開閉駆動するための駆動電圧Vを出力とする。
接合分離型半導体集積回路300は、入力フィルタ部100と入力処理部200と駆動制御回路201とによって構成されている。
接合分離型半導体集積回路300は、上述の工程にしたがって、各素子の作り込みと同時に形成され、接地配線8Gを介してGNDに接続された素子外キャリアリッチ領域4+を含んでいる。
このため、点火ノイズのような大きなノイズがフィルタ回路部100で除去されずに侵入することがあっても、素子外キャリアリッチ領域4+を介して接地側に排出されるので、入力処理部200での誤作動を防止することができる。
なお、本発明の要部である素子外キャリアリッチ領域4+は、電気的にはGNDと等価であるので図6の回路上には示されていない。
入力フィルタ100は、抵抗10とコンデンサ11とによって、ローパスフィルタを構成し、入力されたIGtのノイズ成分を除去する。
また、入力フィルタ部100には、外部から侵入するサージ電圧からの保護を図るため、ツェナダイオード12等のサージ保護回路が設けられている。
本実施形態において、ツェナダイオード12は、素子埋込部3内において、pn接合境界に多量の不純物ドナーを注入して、n+領域を形成して構成することができる。
入力処理部200は、点火信号IGtを増幅して点火スイッチ60を開閉駆動するのに必要な所定の駆動電圧Vを生成、出力する駆動制御回路(ゲートドライバ)201へ信号を送出する。
本発明においてゲートドライバ301の構成を特に限定するものではなく公知の構成を用いることができる。
点火スイッチ60は、IGBT等のパワー半導体素子が用いられており、ゲートドライバ201から出力されたゲート電圧VGによって開閉駆動される。
点火コイル50は、一次コイルL1と、二次コイルL2と、整流素子Diとを含む公知の点火コイルを適宜用いることができる。
ECU80からの点火信号IGtにしたがって、点火スイッチ60が閉じられ、直流電源40から点火コイル50の一次コイルL1に直流電圧+Bが印加され、一次コイルL1の一次電流が流れ、点火スイッチ60が開かれると、一次電流が遮断され、相互誘導により、二次コイルL2側に20kV〜50kVの高い二次電圧V2が発生し、点火プラグ70に印加され、点火プラグ70に火花放電が発生し、内燃機関50の点火が行われる。
1 半導体基板(p形/n形)
2 絶縁層
3 素子埋込部(n形領域/p形領域)
4 素子埋込部内キャリア領域(p形領域/n形領域)
4+ キャリアリッチ領域(p形+領域/n形+領域)
5 素子内キャリア領域(n形領域/p領域)
5+ 素子内キャリアリッチ領域(n形+領域/p形+領域)
6 誘電体
7 コンタクトホール(金属埋設部)
8 配線部
8G 接地配線部
100 入力フィルタ部
200 入力処理回路

Claims (3)

  1. 内燃機関の点火を制御する点火装置に用いられ、
    正孔をキャリアとするp形半導体、若しくは、電子をキャリアとするn形半導体からなる半導体基板(1)に、該半導体基板(1)と反対のキャリアを有するn形領域、若しくは、p形領域からなる素子埋込部(3)を複数形成して、pn接合を素子間分離に用いて、前記素子埋込部(3)に抵抗(R22)、コンデンサ(C23)、トランジスタ(Tr20)、ダイオード(Di21)のいずれかから選択した素子を形成すると共に、前記素子埋め込み部(3)の表面を覆う絶縁層(2)と、各素子の所定位置において該絶縁層(2)の一部を除去したコンタクトホール(7)と、該コンタクトホール(7)に埋設した金属を介して各素子の所定位置に接続する金属配線(8)とを設けて回路を構成した入力処理回路(200)と、
    前記素子埋込部(3)に形成され、該素子埋込部(3)とは反対のキャリアを有するp形領域、若しくは、n形領域からなる拡散抵抗領域(4R)と、その表面側を覆う絶縁層(2)と、前記拡散抵抗領域(4R)の両端に接続する金属配線(8)とからなる抵抗(10)、及び、前記抵抗(10)が形成されるのとは別の前記素子埋込部(3)に形成され、前記抵抗(10)と共にローパスフィルタを形成するコンデンサ(11)からなる入力フィルタ回路(100)と、を具備し、
    前記コンデンサ(11)は、前記素子埋込部(3)に、該素子埋込部(3)と同じキャリアの濃度を高めたn+形領域、若しくは、p+形領域からなる容量形成領域(5+C)を設けて、所定の静電容量(C)を形成する接合分離型半導体集積回路(300)であって、
    前記入力処理回路(200)においては、前記入力処理回路(200)を形成する複数の前記素子埋込部(3)の全体の外側を囲うように、前記入力フィルタ回路(100)においては、前記抵抗(10)が形成された前記素子埋込部(3)の外側と前記コンデンサ(11)が形成された前記素子埋込部(3)の外側をそれぞれ囲うように、前記半導体基板(1)と同じキャリアを含み、その濃度を前記半導体基板(1)よりも高くしたp+領域、若しくは、n+領域からなる素子外キャリアリッチ領域(4+)を設けると共に、該素子外キャリアリッチ領域(4+)を接地配線(GND)に接続せしめ、前記コンデンサ(11)を設けた前記素子埋込部(3)からのノイズ電流は、前記素子外キャリアリッチ領域(4+)から前記接地配線(GND)に排出されることを特徴とする接合分離型半導体集積回路
  2. 前記入力フィルタ回路(100)において、前記コンデンサ(11)は、前記容量形成領域(5+C)と、その表面を覆う薄膜の誘電体(6)と、絶縁層(2)によって絶縁分離され、前記容量形成領域(5+C)の両端に接続する金属配線(8)とからなる請求項1に記載の接合分離型半導体集積回路
  3. 内燃機関に設けられ、内燃機関の点火を行う点火プラグ(70)と、該点火プラグ(70)に高電圧を印加する点火コイル(50)と、該点火コイル(50)を開閉駆動する点火スイッチ(60)と、該点火スイッチ(60)の開閉制御を行う点火装置に用いられる接合分離型半導体集積回路であって、
    前記内燃機関の運転状況に応じて外部に設けたエンジン制御装置(ECU80)から発信された点火信号(IGt)を増幅する入力処理回路(200)と、
    その増幅された信号に基づいて前記点火スイッチ(60)を開閉駆動するための駆動電圧(VG)を発生する駆動制御回路(201)とを具備する請求項1又は2に記載の接合分離型半導体集積回路
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