JP6463460B2 - キャスタ付移動式架台及び加工機械ライン - Google Patents

Description

本発明は、工作機械とは分離して配置された別置式制御盤を移動可能に搭載するキャスタ付移動式架台に関し、特に、隣に近接配置された他の別置式制御盤側との干渉を避けて移動できるようにしたキャスタ付移動式架台及び、そのキャスタ付移動式架台に別置式制御盤を搭載した加工機械ラインに関する。

複数の工作機械が近接配置される加工機械ラインでは、メンテナンスなどの作業性向上を図るため、後方に位置する制御盤が工作機械と分離し、移動可能な状態で設置されたものがある。そうした加工機械ラインでは、制御盤はキャスタ付きの移動式架台に搭載され、工作機械側と配線で接続されたまま自由に移動が可能な構成が採られている。そして、キャスタ付きの移動式架台であれば、工作機械に対して後部で作業を行う場合に、重量物である制御盤を作業者が容易に移動させることができ、作業スペースを確保することができる。

特開２００４−１１３８１０号公報

しかしながら、複数の工作機械が幅方向に近接配置した加工機械ラインでは、隣り合う制御盤同士も工作機械と同様に近接した配置になってしまう。従って、制御盤を移動させる場合は、工作機械の前後方向に沿って真っすぐ後方へ移動させることになる。その際、加工機械ラインの後方に十分なスペースがあればよいが、設置された場所によっては後方側スペースを十分に確保できない場合もある。そのような設置場所では、折角移動可能な制御盤であっても、工作機械の後方に僅かしか移動させることができず、作業スペースの確保を目的とした別置式制御盤の効果を損なわせてしまう。

そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、小スペースでの移動が可能なキャスタ付移動式架台及び加工機械ラインを提供することを目的とする。

本発明の一態様におけるキャスタ付移動式架台は、並列配置された複数の工作機械に対応し、当該工作機械とは分離して配置された複数の別置式制御盤を各々搭載するものであって、前記別置式制御盤を搭載する天板部と、前記天板部を支持する複数の脚部と、記脚部の下部にキャスタを取付けるために設けられた、床面に対して水平な水平部とを備え、前記水平部は、床面からの高さが高い１つの水平部の高さが、当該１つの水平部と平行であって床面からの高さが低い他の水平部と比較した場合に、上下方向に隙間ができるようにしたものである。

本発明の他の態様における加工機械ラインは、ベースと、前記ベース上に幅方向に隔てて設けられた直線状のレールに沿って前後方向に移動可能に搭載された加工モジュールとで構成された複数の工作機械が並列配置され、キャスタ付移動式架台に搭載された複数の移動可能な別置式制御盤が、前記工作機械とは分離して後方に配置されたものであって、前記キャスタ付移動式架台は、前記別置式制御盤を搭載する天板部と、前記天板部を支持する複数の脚部と、前記脚部の下部にキャスタを取付けるために設けられた、床面に対して水平な水平部とを備え、前記水平部は、床面からの高さが高い１つの水平部の高さが、当該１つの水平部と平行であって床面からの高さが低い他の水平部と比較した場合に、上下方向に隙間ができるようにしたものである。

本発明によれば、加工機械ラインを構成する工作機械と分離した別置式制御盤を移動させることができ、特に、１つの水平部の床面からの高さが、他の水平部の床面からの高さと異なっているため、移動する側のキャスタ付移動式架台における高い位置の水平部が、隣に位置する他のキャスタ付移動式架台における低い位置の水平部との干渉を避けるようにして小回り移動ができる。よって、ある別置式制御盤を移動させようとした場合には、その隣に位置する別置式制御盤のキャスタ付移動式架台から離れるように大回りして移動させなくてよいため、小スペースでの移動が可能になる。

加工機械ラインの一実施形態を示した斜視図である。 工作機械の各構成を分離させた状態を示した斜視図である。 加工機械ラインの後方に並んだ制御盤を示した斜視図である。 制御盤を搭載した状態の移動式架台を示した側面図である。 制御盤を搭載した状態の移動式架台を示した正面図である。 制御盤を搭載した状態の移動式架台を示した平面図である。 移動式架台による制御盤の移動を簡略化して示した平面図である。 移動式架台同士の関係を示した一部斜視図である。

次に、本発明に係るキャスタ付移動式架台及び加工機械ラインの一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図１は、本実施形態の加工機械ラインを示した斜視図である。この加工機械ライン１０は、ベース２上に搭載された工作機械１が６台並んでいる。６台の工作機械１はいずれも同じ型のＮＣ旋盤であり、内部構造及び全体の形状や寸法が同じものである。特にこの工作機械１は、幅寸法が小さく設計されたコンパクトな機体であり、工作機械１同士が近接して配置された加工機械ライン１０も全体がコンパクトにまとまっている。

工作機械１は、全体が外装カバー１１によって覆われており、その内部には工作機械本体を構成する加工モジュールが設けられている。図２は、加工機械ライン１０の各構成を分離させた状態を示した斜視図であり、ベース２、加工モジュール３及び図１では省略した制御盤５が示されている。加工モジュール３は、外装カバー１１が取り外された状態が示されており、更に本来は２台の加工モジュール３が搭載可能なベース２に対して１台のみが示されている。１つのベース２には２台の加工モジュール３が対応しているため、図１に示す加工機械ライン１０では、３つのベース２が並べられ、その上に６台の加工モジュール３が搭載されている。

加工モジュール３は、ベース２の上に幅方向に隔てて設けられた直線状のレール４０１に沿って前後方向に移動できるように、車輪を備えた可動ベッド１６上に構成されている。その可動ベッド１６には、ワークを把持する主軸台や工具を備えたタレット装置、そのタレット装置をＺ軸及びＸ軸方向に移動させる駆動装置及び制御装置１７などが設置されている。よって、工作機械１では、タレット装置の旋回割出しによって工具が選択され、Ｘ軸駆動装置とＺ軸駆動装置の駆動により工具の位置決めが行われ、主軸の駆動によって回転するワークに対し切削加工などが行われる。

また、工作機械１にはワーク搬送装置が設けられている。ワーク搬送装置は、各加工モジュール３との間でワークの受渡しを行うものであり、工作機械１の前方に形成された前カバー１２の中に配置さている。複数の前カバー１２は、幅方向に連通する一つの空間を構成し、その中にロボットアームを備えたワーク搬送装置がベース２に対して走行可能に取り付けられる。図１に示す加工機械ライン１０は、前部に搬送スペースが形成され、その中をワーク搬送装置が移動して、各工作機械との間でワークの受渡しが行われるようになっている。

更に、本実施形態では、工作機械１とは別置きの制御盤５が設けられている。特にこの制御盤５は、移動させることができるようにキャスタ付移動式架台６に搭載されている。そして、制御盤５は、工作機械１の後方に配置され、加工モジュール３側と配線１５によって接続されている。配線１５は、例えば主軸用サーボモータやＸ軸及びＺ軸駆動装置のサーボモータを駆動させるための電源ケーブルや、その駆動制御を行うための信号をやり取りする通信ケーブルなどである。

加工機械ライン１０における制御盤５は、ベース２毎すなわち２台の工作機械１に対応して設けられている。従って、ベース２が３台の加工機械ライン１０では、図３に示すように３台の制御盤５が設けられている。ここで図３は、加工機械ライン１０の後方に並んだ制御盤５を示した斜視図である。工作機械１との関係が分かるように各加工モジュール３の制御装置１７を示している。図示するように、加工モジュール３（制御装置１７）は近接して配置され、それと同様に３台の制御盤５も互いが近接して配置されている。

従って、メンテナンスなどの際、工作機械１から制御盤５を離そうとして移動させる場合には、通常であれば矢印で示すように後方側に移動させることになる。しかし、それでは前記課題でも述べたように、加工機械ライン１０の後方に十分なスペースが必要になる。ところで、キャスタ付移動式架台６と同様な構成を有するものとしては、前記特許文献１に示すキャスタ付きの折り畳みテーブルなどが従来から多数存在する。キャスタを備える目的は収納場所への移動であり、折り畳まれたテーブルはそこでコンパクトに収納される。すなわち、キャスタを備えた構造は、従来、単に移動するためだけのものであった。

この点、本実施形態でも作業性の向上を図るため、制御盤５を移動させることが目的になっている。しかし、単に移動させるだけの構造では、移動範囲が制限された小スペースでその効果を十分に発揮できない。そこで、本実施形態では、キャスタ付移動式架台６同士の互いの干渉を避け、小回りの利いた移動が可能なキャスタ付移動式架台６を提案する。なお、キャスタ付移動式架台６は、以下単に移動式架台６と称して説明する。

ここで、図４乃至図６は、制御盤５を搭載した状態の移動式架台６を示した図であり、図４は側面図、図５は前後方向に見た正面図、図６は平面図である。なお、本実施形態では工作機械１を基準とし、図２及び図３に示すＺ軸方向を前後方向、Ｙ軸方向を幅方向、そしてＸ軸方向を高さ方向として説明する。移動式架台６及び搬送用治具８の説明に関して示す方向は、工作機械１（加工機械ライン１０）に対して配置された図２及び図３に記載した状態での方向を指す。

移動式架台６は、角形鋼管からなる複数の部材同士が接合され所定形状に組み立てられたものである。そこでまず移動式架台６は、前後方向に延びる床面２００に水平な水平部材２１，２２が平行に配置されている。水平部材２１，２２には前後両端部にキャスタ２５が取り付けられ、合計４個のキャスタ２５によって制御盤５を支えた状態で移動が可能になっている。水平部材２１，２２は、制御盤５の幅寸法に合わせた間隔で幅方向に配置され、前後方向の長さは制御盤５の寸法より長く、平面視において前後に突き出た位置にキャスタ２５が位置するように構成されている。よって、制御盤５は高い位置に配置されているが、水平部材２１，２２の両端部にある４箇所のキャスタ２５によって安定した移動が可能になっている。

そして、一方の水平部材２１には、両端部に対して補助部材２６が下方に突き出すように接合され、そこにキャスタ２５が取り付けられている。従って、図４に示すように、水平部材２１が他方の水平部材２２よりも床面２００から高い位置に配置され、両者の上下方向の高低差は、側方から見た場合に僅かな隙間１００が生じるように設定されている。加工機械ライン１０で使用される移動式架台６は全て同一であり、図３に示すように配置された場合、全ての移動式架台６は、水平部２１，２２の左右の位置が揃っている。

次に、水平部材２１，２２には、それぞれ前後の位置に２本の脚部材２７が直交して接合されている。水平部材２１，２２の各々２本の脚部材２７の前後方向間隔は、制御盤５の寸法に対応している。脚部材２７の長さは、移動式架台６に搭載される制御盤５の高さが作業者にとって取り扱い易い位置なるように設定されている。そして、起立した４本の脚部材２７は、上端部が梁部材３１，３２によって４辺が連結され、そこに制御盤５を固定した状態で搭載できるようにした天板部が構成されている。

更に、移動式架台６は、下方部分でも左右両側が補強部材２３によって連結されている。移動式架台６は、搭載した制御盤５によりキャスタ２５の位置すなわち床面２００から高い位置に重心があるため、移動に際して生じ得る脚部材２７のねじりが補強部材２３により抑えられるよう構成されている。その際、補強部材２３は水平に接合される。そのため、水平部材２２側に接合された２本の脚部材２７に対して、水平部材２１と同じ高さに連結部材２８が接合されている。そして、補強部材２３は、一端が水平部材２１に接合され、他端は連結部材２８に接合されている。

続いて、こうした本実施形態の加工機械ライン１０では、図３に示すように、制御盤５が移動式架台６に搭載され、工作機械１（制御装置１７）の後方に配置される。このとき３台の制御盤５及び移動式架台６は、互いが接近しているだけでなく工作機械１とも近い位置に配置されている。従って、前述したように、工作機械１の後方で作業者がメンテナンスなどの作業を行う場合には、作業スペースを確保するため、その制御盤５を移動させる必要がある。ここで、図７は、本実施形態の移動式架台６による制御盤５の移動を簡略化して示した平面図である。特に、左右に挟まれた中央に位置する制御盤５を移動させる場合について、従来例と比較して示している。

制御盤５を移動させる場合、矢印で示すように真っ直ぐ後方（図７では上方）に移動させた後に左右のいずれか一方（図７では右側）に旋回させている。旋回させるのは、対象となる工作機械１の後方側スペースがより広く確保できるからである。また、加工モジュール３からの直線距離を短くして配線１５の長さを抑えることができるからである。更に、配線１５を旋回側に寄せることにより作業に邪魔にならないようにすることができるからである。特に３点目に関しては、本実施形態の制御盤５は、右側から配線１５が出て加工モジュール３へと延びているため、旋回方向が右側に決められている。そして、移動式架台６は、この旋回方向に合わせて水平部材２１，２２の配置が設計されている。すなわち、高い位置の水平部材２１が、旋回の際に内側に位置するように設計される。

そこでまず、一点鎖線で示す従来の移動式架台６００は、図示するように遠い位置まで移動させなければならない。その一方で、本実施形態の移動式架台６は実線で示すように、より近い位置に移動させることが可能になる。その際の移動は、中央の制御盤５が隣の静止している制御盤５と幅方向（Ｙ軸方向）に見て重ならない位置にまで後方に真っ直ぐ移動させた後、次に矢印で示すように左側へと旋回させる。この旋回段階ではまだ、幅方向に見て隣り合う移動式架台６同士は水平部材２１，２２が重なっている。しかし、本実施形態では、旋回内側の水平部材２１が、隣に位置する移動式架台６の水平部材２２よりも隙間１００だけ高い位置にあるため、図８に示すように、水平部材２２の上で水平部材２２を交差させることが可能になる。

この点、従来の移動式架台６００は、前記特許文献１に記載する一般的な構成と同様であり、キャスタを備える左右の水平部材同士の高さが同一である。そのため、移動式架台６００は、隣の移動式架台６００と幅方向に見て重ならない位置まで後退してからでなければ旋回できないので、図７に示す位置まで工作機械１から遠ざかることになる。よって、その分だけ加工機械ライン１０の後方に移動スペースが必要になる。

それに対して本実施形態の移動式架台６によれば、前述したように隣り合う制御盤５同士が幅方向（Ｙ軸方向）に見てずれた位置に後退させて旋回させればよいため、加工機械ライン１０後方のスペースが小さくてもよい。そして、制御盤５は、旋回して移動しているため、工作機械１の近くであっても後方側スペースが解放され、作業者によるメンテナンスなどの作業性向上が維持される。また、工作機械１から制御盤５の移動位置が近いため、従来よりも配線１５の長さを短くすることができる。更に、移動式架台６は、角形鋼管による部材を接合した低コストなものであり、しかも補助部材２６によって水平部材２１を高くした簡素な構成により前記効果が得られる。

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、移動式架台６を構成する部材は、角形鋼管ではなく丸形鋼管や他の部材であってもよい。また、脚部材などは鋼管ではなく板材であってもよい。

１…工作機械 ２…ベース ３…加工モジュール ５…制御盤 ６…キャスタ付移動式架台 １０…加工機械ライン １５…配線 １７…制御装置 ２１，２２…水平部材 ２３…補強部材 ２５…キャスタ ２６…補助部材 ２７…脚部材 ２８…連結部材 ３１，３２…梁部材

Claims (5)

1. 並列配置された複数の工作機械に対応し、当該工作機械とは分離して配置された複数の別置式制御盤を各々搭載するキャスタ付移動式架台において、
   前記別置式制御盤を搭載する天板部と、
   前記天板部を支持する複数の脚部と、
   前記脚部の下部にキャスタを取付けるために設けられた、床面に対して水平な水平部と、を備え、
   前記水平部は、床面からの高さが高い１つの水平部の高さが、当該１つの水平部と平行であって床面からの高さが低い他の水平部と比較した場合に、上下方向に隙間ができるようにしたことを特徴とするキャスタ付移動式架台。
2. 前記水平部は、両端部にキャスタを備えた一対の棒部材により構成され、その棒部材は前記天板部に搭載した前記別置式制御盤の同一方向の寸法より長いものであり、
   前記脚部は、前記一対の水平部の各々に立設された棒部材又は板部材で構成され、その棒部材又は板部材の設置範囲が前記水平部の長手方向寸法より短いものであることを特徴とする請求項１に記載するキャスタ付移動式架台。
3. 床面からの高さが高い前記１つの水平部は、補助部材を介して前記キャスタが取り付けられたものであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載するキャスタ付移動式架台。
4. 前記水平部および脚部は鋼管によって構成されたものであることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載するキャスタ付移動式架台。
5. ベースと、前記ベース上に幅方向に隔てて設けられた直線状のレールに沿って前後方向に移動可能に搭載された加工モジュールとで構成された複数の工作機械が並列配置され、キャスタ付移動式架台に搭載された複数の移動可能な別置式制御盤が、前記工作機械とは分離して後方に配置された加工機械ラインにおいて、
   前記キャスタ付移動式架台は、前記別置式制御盤を搭載する天板部と、前記天板部を支持する複数の脚部と、前記脚部の下部にキャスタを取付けるために設けられた、床面に対して水平な水平部とを備え、前記水平部は、床面からの高さが高い１つの水平部の高さが、当該１つの水平部と平行であって床面からの高さが低い他の水平部と比較した場合に、上下方向に隙間ができるようにしたことを特徴とする加工機械ライン。
   

Images