JP6459781B2 - 口腔用組成物 - Google Patents
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一方、アミノ酸型アニオン性界面活性剤の使用によって、口腔バイオフィルム殺菌力を持つイソプロピルメチルフェノールの口腔用製剤内での安定性が経時において低下する課題が発生し、その原因は容器への吸着であることが明らかになった。本発明者らは、かかる容器吸着による安定性の低下は、(A)、(B)、(D)成分と共に(C)ノニオン性界面活性剤を(B)/(C)の質量比が特定割合となるように組み合わせることによって防止できることを見出した。これにより、イソプロピルメチルフェノールが経時においても安定化し、歯周病原性等の口腔バイオフィルム殺菌効果に優れる。従って、本発明では、(A)、(B)、(C)、(D)成分を組み合わせることによって、(B)/(C)の質量比が特定範囲内において、上記の特異的かつ顕著な作用効果を与える。
〔1〕
(A)硝酸カリウム、
(B)アシルアミノ酸、アシルタウリン及びその塩から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤、
(C)ノニオン性界面活性剤、
(D)イソプロピルメチルフェノール
を含有し、(B)、(C)成分の配合比率を示す(B)/(C)が質量比として0.1〜6であり、ラウリル硫酸ナトリウムを含有しないことを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
更に、(E)下記の(E−1)及び(E−2)成分、
(E−1)ヴァイオレット抽出物、
(E−2)スペアミント油、カシア油及びサリチル酸メチルから選ばれる1種又は2種以上
を含む香料を含有する〔1〕記載の口腔用組成物。
〔3〕
(E)成分の香料が、前記(E−1)及び(E−2)成分に加えて下記の(E−3)成分、
(E−3)メントール、シネオール、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド及び3−(L−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールから選ばれる1種又は2種以上
を含む〔2〕記載の口腔用組成物。
具体的に、アシルアミノ酸塩としては、ラウロイルメチルアラニン塩などのメチルアラニン塩、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、ステアロイルグルタミン酸塩などのグルタミン酸塩が挙げられ、アシルタウリン塩としては、ラウロイルメチルタウリン塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩などのメチルタウリン塩が挙げられる。これらのうちでは、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、特にラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウムが好ましく、味の観点からラウロイルメチルタウリンナトリウムが更に好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、C12〜16アルキルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、モノミスチリン酸ヘキサグリセリルが好適であり、より好ましくはポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテルであり、これら2種を組み合わせることが更に好ましい。
(B)、(C)成分の配合比率を示す(B)/(C)は、質量比として0.1〜6であり、好ましくは0.3〜3である。(B)/(C)が上記範囲内であると、硝酸カリウムのカリウムイオン溶出性が向上し、また、十分な泡立ちを付与できると共に、イソプロピルメチルフェノールの経時における安定性が優れ、使用感も良好となる。(B)/(C)が0.1未満であると、泡立ちが劣り、6を超えると、イソプロピルメチルフェノールの経時における安定性が劣る。
(E−1)ヴァイオレット抽出物、
(E−2)スペアミント油、カシア油、サリチル酸メチルから選ばれる1種又は2種以上
を含む香料を、刺激緩和剤として配合することが好ましい。アミノ酸型アニオン性界面活性剤は、歯茎等の口腔粘膜への刺激は低いものの、敏感な舌への弱い刺激がある。しかしながら、香料として(E)成分を用いることによって、(B)成分のアミノ酸型アニオン性界面活性剤に由来する舌への刺激性が発現するのを防止し、刺激をマスキングして使用感をより改善できる。
この場合、(E−1)成分の抽出物とは、植物体の水及び/又は有機溶剤(エタノールなど)で抽出したものをさし、一般にエキストラクト、オレオレジン、レジノイド、コンクリート、アブソリュートが抽出物に相当し、これらを用いることができる。(E−2)成分としては、特にスペアミント油及び/又はカシア油が好ましい。
この場合、(E−3)成分としては、特にメントールと、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド及び/又は3−(L−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールとの組み合わせが好ましい。
(E)成分は、(E−1)、(E−2)成分、更には(E−3)成分の各成分の配合量が上記範囲内で添加し得る。
表1、2に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を常法により調製し、チューブ容器に充填し、下記に示す実験1を行い、カリウムイオンの溶出性、泡立ち、使用感(味)、イソプロピルメチルフェノールの安定性を評価した。結果を表1、2に併記した。なお、チューブ容器は、最内層が低密度ポリエチレンである、口径8mmのラミネートチューブを使用した。
(1)カリウムイオン溶出性の評価方法
調製した歯磨剤組成物を人工唾液で10倍希釈し、10,000rpmで10分間遠心分離した。上清液中に含まれるカリウムイオン濃度をイオンメーター(Orion 1115000 4−Star:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)で測定した。平均値(N=6)を算出し、抽出液中のカリウムイオン量とした。
組成中に含まれるカリウムイオン量を理論値とし、理論値に対する、各歯磨剤組成物の抽出液中のカリウムイオン量の割合を算出し、次の評価基準に従って評価して◎、○、×で示した。この結果が○、◎のものを、硝酸カリウムのカリウムイオンの溶出性が優れると判断した。
カリウムイオン溶出性の評価基準
◎:抽出液中のカリウムイオン量が対理論値で80%以上
○:抽出液中のカリウムイオン量が対理論値で70%以上、80%未満
×:抽出液中のカリウムイオン量が対理論値で70%未満
4名のモニタが、歯磨剤組成物を歯ブラシに載せ、通常の方法で口腔内を洗浄した際の口腔内での泡立ちを下記の評点基準により評価した。4名の評価点の平均を求め、下記評価基準に従って評価した。
泡立ちの評点基準
4点;非常に泡立つ
3点;やや泡立つ
2点;あまり泡立たない
1点;非常に泡立たない
泡立ちの評価基準
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
4名のモニタが、歯磨剤組成物を歯ブラシに載せ、通常の方法で口腔内を洗浄した後の味を下記の評点基準により評価した。4名の評価点の平均を求め、下記評価基準に従って評価した。
味の評点基準
4点;非常に良い(苦味を感じない)
3点;やや良い(苦味をやや感じる)
2点;あまり良くない(苦味を感じる)
1点;非常に良くない(苦味をかなり感じる)
使用感(味)の評価基準
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
40℃で6ヶ月保存後の歯磨剤組成物について、下記試験条件に従いHPLCを用いてイソプロピルメチルフェノール濃度を測定した。各サンプルの製造直後のイソプロピルメチルフェノール濃度を100とした際の残存率を算出し、次の基準に従い、イソプロピルメチルフェノールの安定性(容器への吸着抑制効果)を判定した。
なお、イソプロピルメチルフェノールの定量は、下記方法で行った。
歯磨剤組成物を10g分取し(チューブから押し出した最初の10gを使用)、60%エタノール溶液で抽出した。この液を0.45μmのフィルターでろ過した後、高速液体クロマトグラフィーで測定した。下記の機器を使用し、測定条件は、カラム温度45℃、アセトニトリル/水/酢酸混液(容量比60:40:1)を移動相に用い、1.0ml/分の流量で、紫外吸光光度(波長285nm)での絶対検量線法により測定した。
測定値から、下記式でイソプロピルメチルフェノール(IPMP)の残存率を求め、下記の評価基準に従って安定性を評価し、IPMPの安定性として表に示した。
・使用機器
ポンプ :PU−980(日本分光(株))
試料導入部 :AS−950(日本分光(株))
検出器 :UV−970(日本分光(株))
記録装置 :Chromatocoder21J
(システムインスツルメント(株))
カラム恒温槽 :CO−966(日本分光(株))
カラム :YMC−Pack ODS−A A−303
(4.6mmφ×250mm)((株)ワイエムシィ)
イソプロピルメチルフェノール(IPMP)の残存率(%)
=(評価サンプルのIPMP濃度(%)/初期のIPMP濃度(%))×100
IPMPの安定性の評価基準
◎:90%以上100%以下
○:85%以上90%未満
×:85%未満
なお、(C)アルキル(炭素数12〜16)グルコシドは、PLANTACARE 1200UP(BASF社製)を用いた。
実験2;
上記の実施例1と同じ歯磨組成に、更に、(E)成分として(E−1)、(E−2)、(E−3)成分を添加して歯磨剤組成物A〜Kを同様に調製し、下記方法で舌への刺激性を評価した。結果を表3、4に併記した(表中の配合量の数値は、実施例1の香料中のメントール、シネオールを含み、歯磨剤組成物全体に対する量である。)
4名のモニタが、歯磨剤組成物を歯ブラシに載せ、口腔内を洗浄した際の舌への刺激性を下記の評点基準により判定した。4名の評点の平均を求め、下記評価基準に従って評価した。
舌への刺激性の評点基準
点数 刺激の強さ
4点;刺激がなかった
3点;刺激がほとんどなかった
2点;刺激がややあった
1点;刺激があった
舌への刺激性の評価基準
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
Claims (9)
- (A)硝酸カリウム、
(B)アシルアミノ酸、アシルタウリン及びその塩から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤、
(C)ノニオン性界面活性剤、
(D)イソプロピルメチルフェノール
を含有し、(B)、(C)成分の配合比率を示す(B)/(C)が質量比として0.1〜6であり、ラウリル硫酸ナトリウムを含有しないことを特徴とする口腔用組成物。 - (B)成分のアニオン性界面活性剤が、炭素数8〜18の直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和炭化水素基を有するものである請求項1記載の口腔用組成物。
- (B)成分のアニオン性界面活性剤が、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム及びステアロイルグルタミン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
- (C)成分のノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、脂肪酸ポリグリセリルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1、2又は3記載の口腔用組成物。
- (A)成分を1〜10質量%、(B)成分を0.3〜3質量%、(C)成分を0.5〜3質量%、(D)成分を0.01〜0.5質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
- 更に、(E)下記の(E−1)及び(E−2)成分、
(E−1)ヴァイオレット抽出物、
(E−2)スペアミント油、カシア油及びサリチル酸メチルから選ばれる1種又は2種以上
を含む香料を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の口腔用組成物。 - (E)成分の香料が、前記(E−1)及び(E−2)成分に加えて下記の(E−3)成分、
(E−3)メントール、シネオール、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド及び3−(L−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールから選ばれる1種又は2種以上
を含む請求項6記載の口腔用組成物。 - 少なくとも最内層が合成樹脂で形成された容器に充填された請求項1〜7のいずれか1項記載の口腔用組成物。
- 合成樹脂が低密度ポリエチレンである請求項8記載の口腔用組成物。
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