JP6459135B2 - エミッタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エミッタ、それを用いた電子銃、それを用いた電子機器、および、その製造方法に関する。
本願は、2015年3月2日に、日本に出願された特願2015−039959号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
高分解能かつ高輝度な観察画像を得るために、電子顕微鏡における電子銃は、種々の改良がされてきた。このような電子銃を用いた電子源として、電界放出型、ショットキー型等の電子源がある。これらは、電子銃に用いるエミッタの先端を先鋭にすることにより、先端に電界集中効果を発生させ、先端からより多くの電子を放出させることを特徴としている。
近年、炭化ハフニウムナノワイヤから電子が放出され、エミッタとして機能することが報告された(例えば、非特許文献1を参照。)。しかしながら、非特許文献1における炭化ハフニウムナノワイヤからの電子放出特性は、安定性に乏しいことが分かり、安定性の改善が望まれている。
J.Yuanら,Applied Physics Letters 100,113111,2012
したがって、本発明の課題は、電子を高効率に安定して放出するエミッタ、それを用いた電子銃、それを用いた電子機器、および、その製造方法を提供することである。
本発明のエミッタはナノワイヤを備え、前記ナノワイヤは、炭化ハフニウム(HfC)単結晶からなり、少なくとも前記炭化ハフニウム単結晶の電子を放出すべき端部は、酸化ハフニウム(HfO)で被覆されており、前記ナノワイヤの短手方向の長さは10nm以上60nm以下であり、前記ナノワイヤの長手方向の長さは5μm以上30μm以下であり、前記酸化ハフニウムの厚さは、1nm以上5nm以下であり、前記電子を放出すべき端部の形状は、電界蒸発処理により半球状であり、これにより上記課題を解決する。
前記ナノワイヤの長手方向は、前記炭化ハフニウム単結晶の<100>、<110>または<111>の結晶方向に一致してもよい。
前記ナノワイヤの長手方向は、前記炭化ハフニウム単結晶の<100>の結晶方向に一致し、前記端部は、少なくとも{111}および{110}面を有してもよい。
本発明の電子銃は少なくともエミッタを備え、前記エミッタが、上述のナノワイヤを備えたエミッタであり、これにより上記課題を解決する。
前記エミッタは、ニードルおよびフィラメントをさらに備えており、前記ナノワイヤは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、レニウム(Re)およびカーボン(C)からなる群から選択された元素からなるニードルを介してフィラメントに取り付けられていてもよい。
前記電子銃は、冷陰極電界放出電子銃またはショットキー電子銃であってもよい。
本発明の電子機器は電子銃を備え、前記電子銃が上述の電子銃であり、前記電子機器は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、および、エネルギー分散型電子分光器からなる群から選択され、これにより上記課題を解決する。
本発明のエミッタの製造方法は、炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤを酸素を含有する雰囲気中で加熱するステップを包含し、前記加熱するステップにおいて、酸素分圧は5×10 −9 Pa以上5×10 −8 Pa以下の範囲であり、加熱温度は500℃以上700℃以下の範囲であり、加熱時間は3分以上7分以下の範囲であり、これにより上記課題を解決する。
前記炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤは、化学的気相蒸着法(CVD)、気相−液相−固相(VLS)法、スパッタ法、レーザアブレーション法、および、テンプレート法からなる群から選択される方法で製造されてもよい。
前記加熱するステップに先立って、前記炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤの一端の表面を電界蒸発するステップをさらに包含してもよい。
前記電界蒸発するステップに続いて、前記表面をフラッシングするステップをさらに包含してもよい。
本発明のエミッタはナノワイヤを備え、ナノワイヤが炭化ハフニウム(HfC)単結晶からなり、少なくとも炭化ハフニウム単結晶の電子を放出すべき端部は、酸化ハフニウム(HfO)で被覆されている。少なくとも電子を放出すべき端部が酸化ハフニウムで被覆されているので、被覆した酸化ハフニウムによりナノワイヤ(すなわち、炭化ハフニウム単結晶)の電子を放出すべき端部の仕事関数が低下し、電子が容易に放出される。その結果、本発明のエミッタは電子放出特性に優れる。また、被覆した酸化ハフニウムにより、炭化ハフニウム単結晶の電子を放出すべき表面のダングリングボンドが消失するので、本発明のエミッタは長時間にわたって安定的に電子を放出できる。
本発明の一実施形態に係るエミッタの模式図である。 本発明の別の実施形態に係るエミッタの模式図である。 本発明の一実施形態に係るエミッタの製造方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るエミッタを備えた電子銃を示す模式図である。 炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤを製造する装置を示す模式図である。 参考例1によるグラファイト基板上に合成された針状物質の様子を示すSEM像である。 参考例1による<100>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの低倍率TEM像(A)およびHRTEM像(B)である。 参考例1による<110>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの低倍率TEM像(A)およびHRTEM像(B)である。 参考例1による<111>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの低倍率TEM像(A)およびHRTEM像(B)である。 比較例2のエミッタのSEM像である。 比較例2および3のエミッタにおけるナノワイヤの端部のFIM像およびシミュレーション結果を示す図である。 比較例2および3のエミッタにおけるナノワイヤの端部の電界放出パターンである。 比較例2および実施例5のエミッタにおける電界放出電流の時間依存性を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の符号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の一実施形態に係るエミッタおよびその製造方法について詳述する。
図1は、本実施形態に係るエミッタの模式図である。
本実施形態のエミッタは、ナノワイヤ100を備えており、ナノワイヤ100は、炭化ハフニウム(以下、「HfC」ともいう)単結晶110からなる。少なくともHfC単結晶110の電子を放出すべき端部(図1でナノワイヤ100の上端)は、酸化ハフニウム(以下、「HfO」ともいう)120で被覆されている。少なくとも電子を放出すべき端部がHfO120で被覆されているので、ナノワイヤ100の電子を放出すべき端部の仕事関数が低下する。これにより、本実施形態のエミッタは、電子を容易に放出することができ、電子放出特性に優れる。また、HfO120により、HfC単結晶110の電子を放出すべき端部の表面のダングリングボンドが消失するので、本実施形態のエミッタは、長時間にわたって安定的に電子を放出できる。
なお、図1では、端部のみがHfOで被覆されている図を示すが、端部を含むHfC単結晶110の一部または全部がHfOで被覆されていても同様の効果を奏する。
好ましくは、ナノワイヤ100の長手方向(図1の矢印で示す方向)は、HfC単結晶110の<100>、<110>または<111>の結晶方向に一致する。これにより、ナノワイヤ100におけるHfC単結晶110は、クラックやキンク等の少ない良好な単結晶となる。
例えば、ナノワイヤ100の長手方向が、HfC単結晶110の<100>の結晶方向に一致する場合、クラックやキンク等の少ない良好なHfC単結晶110が得られるだけでなく、電子を放出すべき端部の結晶面が、{111}、{110}等の仕事関数の低い面を含むので、電子を効率的に放出できる。
例えば、ナノワイヤ100の長手方向が、HfC単結晶110の<110>の結晶方向に一致する場合、電子を放出すべき端部の結晶面が、少なくとも{111}等の仕事関数の低い面を含むので、電子を効率的に放出できる。
例えば、ナノワイヤ100の長手方向が、HfC単結晶110の<111>の結晶方向に一致する場合、電子を放出すべき端部の結晶面が、{111}等の仕事関数の低い面を含むので、電子を効率的に放出できる。
製造や加工の容易さ、結晶の質等の観点から、ナノワイヤ100の長手方向が、HfC単結晶110の<100>の結晶方向に一致することがもっとも好ましい。
なお、HfC単結晶は立方晶であるため、本明細書では、HfC単結晶の結晶方向として<100>、<110>、および、<111>と記載する場合、それぞれに等価なすべての結晶方向を含むことに留意されたい。同様に、HfC単結晶の結晶面として{111}、{110}等と記載する場合、それぞれに等価な対称性を有する面を含むことに留意されたい。
図2(A)は、本発明の別の実施形態に係るエミッタの模式図である。
図2(A)に示されるように、別の実施形態に係るエミッタは、図1のエミッタと、電子を放出すべき端部の形状以外は同様である。詳細には、図2のエミッタは、電子を放出すべき端部の形状が半球状であり、その表面が半球状面210となっている。端部をこのような半球状とするための加工・処理は、例えば、電界蒸発処理によって行われ得る。
電界蒸発により、HfC単結晶110の電子を放出すべき端部から、原子が蒸発する。蒸発した原子に付着している汚染物質や不純物も除去されるので、端部が清浄となる。さらに、このような原子の蒸発により、端部の結晶面が露わとなり、その結果、半球状面210が形成される。このような観点から、HfC単結晶110の電子を放出すべき端部は、電界蒸発により半球状であることが好ましい。
図2(B)は、ナノワイヤ100の長手方向がHfC単結晶110の<100>の結晶方向に一致する場合の、半球状面210上の結晶面を表す模式図である。図2(B)に示されるように、電界蒸発により、電子が放出すべき半球状面210は、{111}、{110}等の仕事関数の低い面を確実に含むので、電子をより効率的に放出できる。
同様に、図2(C)は、ナノワイヤ100の長手方向がHfC単結晶110の<110>の結晶方向に一致する場合の、半球状面210上の結晶面を表す模式図である。図2(C)に示されるように、電界蒸発により、電子が放出すべき半球状面210は、少なくとも{111}の仕事関数の低い面を確実に含むので、電子をより効率的に放出できる。
再度、図1および図2(A)に戻って、ナノワイヤ100について説明する。
ナノワイヤとは、ナノオーダのワイヤ形状を有するものを意図している。ナノワイヤ100の断面は円形であることが好ましい。また、好ましくは、ナノワイヤ100の短手方向の長さ(すなわち、直径)は、1nm以上100nm以下の範囲であり、長手方向の長さは、500nm以上30μm以下の範囲である。このようなサイズにより、電子を放出すべき端部への電界集中を効果的に発生させ、端部からより多くの電子を放出させることができる。
より好ましくは、ナノワイヤ100の短手方向の長さは、10nm以上60nm以下の範囲であり、長手方向の長さは、5μm以上30μm以下の範囲である。例えば、後述する化学的気相蒸着法(CVD)を用いてナノワイヤ100を製造する場合には、上述の範囲を有し、クラックやキンク等のない良質なHfC単結晶からなるナノワイヤ100が容易に提供され得る。
好ましくは、HfO120の厚さは、1nm以上20nm以下である。HfO120の厚さが1nm未満である場合、電子を放出すべき端部の仕事関数が低下せず、電子放出特性を損ない得る。HfO120の厚さが20nmを超える場合、HfC単結晶110からの電子が、HfO120の厚さにより物理的に放出され得ず(電子の放出がHfO120により妨げられ)、電子放出特性が低下する虞がある。
より好ましくは、HfO120の厚さは、1nm以上10nm以下である。HfO120の厚さがこの範囲であれば、電子を放出すべき端部の仕事関数を低下させ、良好な電子放出特性が得られる。さらに好ましくは、HfO120の厚さは、1nm以上5nm以下である。HfO120の厚さがこの範囲であれば、電子を放出すべき端部の仕事関数を低下させ、良好な電子放出特性が確実に得られる。
図1および図2では、ナノワイヤ100がエミッタそのものとして示されるが、これに限らない。例えば、エミッタは、ナノワイヤ100そのものであってもよいし、ナノワイヤ100がニードルに取り付けられ、一体化されていてもよいし、さらにフィラメントに取り付けられていてもよい。
次に、本実施形態のエミッタの製造方法について説明する。
図3は、本実施形態のエミッタの製造方法を示すフローチャートである。
ステップS310において、炭化ハフニウム(HfC)単結晶110からなるナノワイヤ100を、酸素を含有する雰囲気中で加熱する。これにより、少なくとも、HfC単結晶の端部が酸化され、HfO120(図1、図2)で被覆される。
ここで、HfC単結晶110からなるナノワイヤ100の製造方法は、特に制限はないが、金属触媒を利用した化学的気相蒸着法(CVD)、気相−液相−固相(VLS)法、スパッタ法、レーザアブレーション法等の物理的気相成長法、および、テンプレート法からなる群から選択された方法によって製造されてよい。
ステップS310において、好ましくは、酸素分圧は、1×10−9Pa以上1×10 −7Pa以下の範囲である。酸素分圧が1×10−9Pa未満である場合、HfC単結晶の端部が酸化されず、HfO120が形成されない場合がある。酸素分圧が1×10 Paを超えると、HfO120の膜厚が20nmを超えて、電子放出特性が低下する虞がある。より好ましくは、酸素分圧は、5×10−9Pa以上5×10−8Pa以下の範囲である。この範囲であれば、HfC単結晶110の端部の酸化が促進され得る。
ステップS310において、好ましくは、加熱温度は、400℃以上800℃以下の範囲である。加熱温度が400℃未満である場合、HfC単結晶110の端部が酸化されず、HfO120が形成されない場合がある。加熱温度が800℃を超えると、良質なHfO120が形成されず、電子放出特性が低下する虞がある。より好ましくは、加熱温度は、500℃以上700℃以下の範囲である。この範囲であれば、HfC単結晶の端部の酸化が促進され、良質なHfOが得られる。
ステップS310において、好ましくは、加熱時間は、1分以上10分以下の範囲である。加熱温度が1分未満である場合、HfC単結晶の端部が酸化されず、HfO120が形成されない場合がある。加熱時間が10分を超えると、良質なHfO120が形成されず、HfO120の膜厚が20nmを超えて、電子放出特性が低下する虞がある。好ましくは、加熱時間は、3分以上7分以下の範囲である。この範囲であれば、1nm以上20nm以下の範囲のHfOを得られやすい。
ステップS310において、上述の酸素分圧、加熱温度、および、加熱時間を満たせば、1nm以上20nm以下の厚さを有するHfO120が形成されるので、好ましい。
ステップS310は、HfC単結晶110からなるナノワイヤ100の製造直後に行ってもよいし、ナノワイヤ100をニードル、フィラメント等に取り付け後に行ってもよいし、あるいは、エミッタを備えた電子銃の製造過程で行ってもよい。
好ましくは、ステップS310に先立って、HfC単結晶110からなるナノワイヤ100の一端(すなわち、電子を放出すべき端部)の表面を電界蒸発するステップを行ってもよい。この場合、ナノワイヤの一端に1V/nm以上10V/nm以下の高電界を印加すればよい。これにより、ナノワイヤ100の一端が清浄され、結晶面が露わとなった半球状面210(図2)が得られる。電界蒸発するステップに続いて、酸素を導入し、ステップS310を行うことができる。
さらに、上述の電界蒸発するステップに続いて、フラッシングするステップを行ってもよい。フラッシングにより、HfC単結晶110の表面にあるカーボン(C)(通常、表面は安定なCで終端されている)を飛ばし、ハフニウム(Hf)で終端させることができる。この後に、上述のステップS310を行えば、終端したHfは不安定であるため、確実に、HfC単結晶110の端部を酸化し、HfO120で被覆することができる。なお、フラッシングするステップは、通常のフラッシング処理と同様であるが、例えば、HfC単結晶をフラッシング用の電源に接続し、通電加熱を行えばよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明の一実施形態に係るエミッタを備えた電子銃について詳述する。
図4は、本実施形態のエミッタを備えた電子銃を示す模式図である。
本実施形態の電子銃400は、少なくとも、実施の形態1で説明したナノワイヤ100を備えたエミッタ410を備える。図4では、エミッタ410は、ナノワイヤ100に加えて、フィラメント420とニードル430とをさらに備える。
ナノワイヤ100は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、レニウム(Re)およびカーボン(C)からなる群から選択された元素からなるニードル430を介して、フィラメント420に取り付けられている。これにより、ナノワイヤ100の取り扱いが簡便となるため好ましい。また、ナノワイヤ100は、カーボンパッドなどの導電性を有する接着シート等によってニードル430に取り付けられる。なお、図4では、フィラメント420は、ヘアピン型の形状を有している(U字状である)が、これに限らず、フィラメント420の形状はV字型など任意である。
電子銃400では、引出電源450が電極440と引出電極460との間に接続されており、引出電源450は、エミッタ410と引出電極460との間に電圧を印加する。さらに、電子銃400では、加速電源470が電極440と加速電極480との間に接続されており、加速電源470は、エミッタ410と加速電極480との間に電圧を印加する。
電極440は、さらに、電子銃400が冷陰極電界放出電子銃の場合にはフラッシュ電源に接続されてもよく、電子銃400がショットキー電子銃の場合には加熱電源に接続されてもよい。
なお、電子銃400は、10−8Pa〜10−7Paの真空下に配置されてもよく、この場合、エミッタ410の電子が放出されるべき端部を、清浄に保つことができる。
本実施形態の電子銃400が冷陰極電界放出電子銃である場合の動作を簡単に説明する。
引出電源450がエミッタ410と引出電極460との間に電圧を印加する。これにより、エミッタ410のナノワイヤ100の電子を放出すべき端部に電界集中を発生させ、電子を引き出す。さらに、加速電源470がエミッタ410と加速電極480との間に電圧を印加する。これにより、エミッタ410のナノワイヤ100の電子を放出すべき端部において引き出された電子は、加速され、試料に向けて出射される。なお、電極440に接続されたフラッシュ電源により、適宜、フラッシングを行い、ナノワイヤ100の表面を清浄化してもよい。これらの動作は上述の真空下で行われる。
本実施形態の電子銃400がショットキー電子銃である場合の動作を簡単に説明する。
電極440に接続された加熱電源がエミッタ410を加熱し、引出電源450がエミッタ410と引出電極460との間に電圧を印加する。これにより、エミッタ410のナノワイヤ100の電子を放出すべき端部にショットキー放出を生じさせ、電子を引き出す。さらに、加速電源470がエミッタ410と加速電極480との間に電圧を印加する。これにより、エミッタ410のナノワイヤ100の電子を放出すべき端部において引き出された電子は、加速され、試料に向けて出射される。これらの動作は上述の真空下で行われる。なお、加熱電源によりエミッタ410のナノワイヤ100から熱電子が放出され得るので、電子銃400は、熱電子を遮蔽するためのサプレッサ(図示せず)をさらに備えてもよい。
本実施形態の電子銃400は、実施の形態1で詳述したナノワイヤ100を備えたエミッタ410を備えるので、電子が容易に放出され、長時間にわたって安定的に電子を放出できる。このような電子銃400は、電子集束能力を持つ任意の電子機器に採用される。例えば、このような電子機器は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、および、エネルギー分散型電子分光器からなる群から選択される。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[参考例1]
参考例1では、炭化ハフニウム(HfC)単結晶からなるナノワイヤをCVD法により製造した。
図5は、炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤを製造する装置を示す模式図である。
図5の製造装置500は、ガス原料供給源510と、ガス原料供給源510からの原料がライン520を介して供給される加熱可能な反応チャンバ530と、未反応の原料、副生成物等を吸引し、乾燥するドライヤ540と、反応チャンバ530内を排気し、真空にするポンプ550とを備える。
HfC単結晶の合成は、以下の反応式に基づく。
HfCl(気)+CH(気)→HfC(固)+4HCl(気)
ガス原料供給源510は、メタンガスラインおよびHガスラインに接続された。反応チャンバ530として石英管炉(内径:64mm)を用い、内部に、原料としてHfCl 粉末560(純度:99.55%、シグマ−アルドリッチジャパン製)、および、合成用基板としてグラファイト基板570が配置された。HfCl粉末560は、反応チャンバ530の低温領域に配置された。グラファイト基板570は、反応チャンバ530の中央部に配置された。グラファイト基板570の上には、触媒としてニッケル(Ni)ナノ粒子(粒径:数十ナノメール)が分散された。
ポンプ550により、反応チャンバ530内を10−1Pa以下まで排気した。グラファイト基板570が配置された中央部の温度が1280℃となるまで昇温した。一方、HfCl粉末560が配置された低温領域の温度は、200℃に保持した。
次いで、ガス原料供給源510から水素(H)ガスおよびメタンガスを流した。Hガスにより、反応チャンバ530に配置され、気化したHfClガスをグラファイト基板570上まで導入した。また、メタンガスもグラファイト基板570上まで導入した。この際、Hガスおよびメタンガスの流量は、それぞれ、1L/分および20mL/分であった。
この結果、グラファイト基板570上に針状物質が生成された。この針状物質を、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6500F、JEOL製)により観察した。結果を図6に示す。
図6は、参考例1によるグラファイト基板上に合成された針状物質の様子を示すSEM像である。
図6によれば、針状物質は、数百nm〜数十μmの長さを有するまっすぐなナノワイヤの集合体であった。図示しないが、針状物質についてEDS測定を行った結果、HfおよびCのみが検出され、その原子比は1:1であった。このことから、合成されたナノワイヤは、炭化ハフニウム(HfC)であることを確認した。
次に、HfC単結晶からなるナノワイヤの集合体から、成長方向(長手方向)において、<100>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤ(以降では単に<100>ナノワイヤと称する)、<110>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤ(以降では単に<110>ナノワイヤと称する)、および、<111>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤ(以降では単に<111>ナノワイヤと称する)を抽出し、透過型電子顕微鏡(TEM、JEOL−2100F、JEOL製)で観察した。観察結果を図7、図8および図9に示す。
図7は、参考例1による<100>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの低倍率TEM像(A)およびHRTEM(高分解能透過型電子顕微鏡)像(B)である。
図8は、参考例1による<110>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの低倍率TEM像(A)およびHRTEM像(B)である。
図9は、参考例1による<111>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの低倍率TEM像(A)およびHRTEM像(B)である。
図7(A)によれば、図7(A)のナノワイヤが短手方向の長さ30nm〜40nm、および、長手方向の長さ500nm〜15μmを有することが分かった。図示しないが、制限視野電子回折図形(SAED)によれば、ナノワイヤは単結晶であった。図7(B)によれば、ナノワイヤの成長方向は<100>に一致することが分かった。
図8(A)によれば、図8(A)のナノワイヤが短手方向の長さ25nm〜35nm、および、長手方向の長さ500nm〜15μmを有することが分かった。図8(B)によれば、ナノワイヤの成長方向は<110>に一致することが分かった。
図9(A)によれば、図9(A)のナノワイヤが短手方向の長さ45nm〜55nm、および、長手方向の長さ500nm〜1μmを有することが分かった。図9(B)によれば、ナノワイヤの成長方向は<111>に一致することが分かった。
また、いずれのTEM像も、合成後のナノワイヤの表面が原子的に清浄であることを示した。上述のCVD法を採用すれば、HfC単結晶からなるナノワイヤが得られることを確認した。
[比較例2]
比較例2では、参考例1で得た<100>ナノワイヤを用いて、エミッタを製造した。
エミッタの製造手順は次のとおりであった。タンタル製のワイヤをエッチングし、一端が先細りになったTaニードルに加工した。次いで、Taニードルを溶接によりヘアピン型のタングステンフィラメントに接続した。<100>ナノワイヤを、先細りのTaニードルにカーボンパッドを用いて固定した。これらの作業は、集束イオンビーム(FIB)システムを用いて行った。このようにして得たエミッタをSEMにより観察した。次いで、電界イオン顕微鏡装置(FIM)を用いて、ナノワイヤの先端を電界蒸発し、清浄化および平滑化を行った。電界蒸発後のナノワイヤの様子をSEMにより観察した。これらの結果を図10に示す。
次に、電界蒸発後のナノワイヤの先端のFIM像を観察し、観察結果から先端のファセットモデルをシミュレーションした。結果を図11(A)および(B)に示す。
電界蒸発後のナノワイヤの先端の引出電圧極性を反転させ、電界放出を発生させ、電界放出パターンを観察した。結果を図12(A)に示す。さらに、ナノワイヤの先端をフラッシングした後、室温、引出電圧700Vにおける、電界放出電流の時間依存性を測定した。結果を図13(A)に示す。
[比較例3]
比較例3では、参考例1で得た<110>ナノワイヤを用いて、エミッタを製造した。<100>ナノワイヤに代えて、<110>ナノワイヤを用いた以外は、比較例2と同様の手順でエミッタを製造した。
比較例2と同様に、得られたエミッタのFIM像を観察し、そのファセットモデルのシミュレーションを行い、電界放出パターンを観察した。これらの結果を図11(C)、(D)および図12(B)に示す。また、電界放出電流の時間依存性を測定した。
[比較例4]
比較例4では、参考例1で得た<111>ナノワイヤを用いて、エミッタを製造した。<100>ナノワイヤに代えて、<111>ナノワイヤを用いた以外は、比較例2と同様の手順でエミッタを製造した。
比較例2と同様に、得られたエミッタのFIM像を観察し、そのファセットモデルのシミュレーションを行い、電界放出パターンを観察した。また、電界放出電流の時間依存性を測定した。
[実施例5]
比較例2で製造したエミッタにおいて、<100>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの電子を放出すべき端部を酸化ハフニウム(HfO)で被覆した。
HfOで被覆したエミッタの製造手順は次のとおりであった。比較例2において、電界蒸発とフラッシングとを行い、チャンバ内に酸素を導入し、酸素を含有する雰囲気中で加熱した(図3のステップS310)。詳細には、チャンバ内の酸素圧力を1.1×10 −8Paに設定し、600℃で5分間加熱した。この条件におけるHfOの成長速度からHfOの膜厚は、2nmと見積もられた。
このようにして得られたエミッタについて、比較例2と同様に、電界放出電流の時間依存性を測定した。結果を図13(B)に示す。
[実施例6]
比較例3で製造したエミッタにおいて、実施例5と同様に、<110>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの電子を放出すべき端部を酸化ハフニウム(HfO)で被覆した。得られたエミッタの電界放出電流の時間依存性を測定した。
[実施例7]
比較例4で製造したエミッタにおいて、実施例5と同様に、<111>結晶方向を有するHfC単結晶からなるナノワイヤの電子を放出すべき端部を酸化ハフニウム(HfO)で被覆した。得られたエミッタの電界放出電流の時間依存性を測定した。
以上の比較例2〜4、実施例5〜7の結果を詳述する。
図10は、比較例2のエミッタのSEM像である。
図10(A)は、比較例2のエミッタ1000の全体の様子である。図10(B)は、先細りのTaニードル1010に<100>ナノワイヤ1020がカーボンパッド1030により固定されている様子を示す。図10(C)は、電界蒸発後の<100>ナノワイヤ1020の電子を放出すべき端部の様子を示しており、端部の形状は半球状であった。図示しないが、比較例3〜4、および、実施例5〜7のエミッタの全体、ならびに、電子を放出すべき端部の様子も同様であった。
図11は、比較例2および3のエミッタにおけるナノワイヤの端部のFIM像およびシミュレーション結果を示す図である。
図11(A)および(B)は、それぞれ、比較例2のエミッタにおけるナノワイヤの端部のFIM像およびシミュレーション結果を示す。図11(C)および(D)は、それぞれ、比較例3のエミッタにおけるナノワイヤの端部のFIM像およびシミュレーション結果を示す。
図11(A)および(B)によれば、比較例2のエミッタにおける<100>ナノワイヤの半球状の先端は、ミラー指数{100}、{110}、{111}、{311}および{210}を有するファセットで構成されていることが分かった。ここでは、HfC単結晶は立方晶であるため、上述のミラー指数は、図11(B)に示すミラー指数に等価な対称性を有する面で表していることに留意されたい。
同様に、図11(C)および(D)によれば、比較例3のエミッタにおける<110>ナノワイヤの半球状の先端は、ミラー指数{100}、{110}、{111}、{311}、{211}および{310}を有するファセットで構成されていることが分かった。
図示しないが、比較例4のエミッタにおける<111>ナノワイヤの半球状の先端もまた、少なくとも{111}を有するファセットで構成されていることが分かった。
図12は、比較例2および3のエミッタにおけるナノワイヤの端部の電界放出パターンである。
図12(A)および(B)は、それぞれ、比較例2および3のエミッタにおけるナノワイヤの端部の電界放出パターンを示す。図12(A)および(B)のいずれも、グレースケールにおいて明るく示される領域(電界放出する領域)を有しており、比較例2および3のエミッタが電界放出することが分かった。
図12(A)によれば、{111}面に相当する領域がもっとも明るく示され、次いで、{110}に相当する領域が明るく示され、これらの面から電界放出することが分かった。すなわち、<100>ナノワイヤは、電子を放出すべき端部の結晶面が、少なくとも{111}および{110}を含むので、電子を効率的に放出できることが分かった。
同様に、図12(B)によれば、{111}面に相当する領域がもっとも明るく示され、この面から電界放出することが分かった。すなわち、<110>ナノワイヤは、電子を放出すべき端部の結晶面が、少なくとも{111}を含むので、電子を効率的に放出できることが分かった。
図示しないが、比較例4のエミッタもまた、{111}面に相当する領域がもっとも明るく示され、電界放出することを確認した。
図13は、比較例2および実施例5のエミッタにおける電界放出電流の時間依存性を示す図である。
図13(A)および(B)は、それぞれ、比較例2および実施例5のエミッタにおける電界放出電流の時間依存性を示す。図13(A)によれば、比較例2のエミッタの電界放出電流は、電界印加後、急激に低下し、わずか1分足らずでほぼ0となった。これは、フラッシングによりナノワイヤの先端が、仕事関数の低いHfで終端されるため、一時的に多くの電流が流れるが、Hfで終端した表面には多くのダングリングボンドが存在するため、安定性が悪く、急激に電流が流れなくなるためである。図示しないが、比較例3および4のエミッタの電界放出電流の時間依存性も同様の傾向を示した。
一方、図13(B)によれば、実施例5のエミッタの電界放出電流は、電界印加後、長時間にわたって安定していた。その電流値も約120nAであり、高い値であった。図示しないが、実施例6および7のエミッタの電界放出電流の時間依存性も同様の傾向を示した。
実施例5〜7のエミッタの高い電流値は、電子を放出すべき端部および表面がHfOで被覆されることにより、電子を放出すべき端部の仕事関数が低下し、電子の放出が促進されたためである。
また、実施例5〜7のエミッタの長時間にわたる安定した電界放出電流特性は、電子を放出すべき端部および表面がHfOで被覆されることにより、ダングリングボンドが消失しているためである。
以上の結果から、本発明による炭化ハフニウムに単結晶の電子を放出すべき端部が酸化ハフニウムで被覆されたナノワイヤを備えたエミッタは、被覆した酸化ハフニウムにより電子を放出すべき端部の仕事関数が低下し、電子の放出が促進され、電子放出特性に優れることが分かった。また、被覆した酸化ハフニウムにより、炭化ハフニウム単結晶の電子を放出すべき表面のダングリングボンドが消失するので、長時間にわたって安定的に電子を放出できることが示された。
本発明のエミッタを用いれば、効率的かつ安定して電子を放出できるので、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、エネルギー分散型電子分光器等の電子集束能力をもつ任意の機器に採用される。
100、1020 ナノワイヤ
110 炭化ハフニウム(HfC)単結晶
120 酸化ハフニウム(HfO
210 半球状面
400 電子銃
410、1000 エミッタ
420 フィラメント
430、1010 ニードル
440 電極
450 引出電源
460 引出電極
470 加速電源
480 加速電極
500 製造装置
510 ガス原料供給源
520 ライン
530 反応チャンバ
540 ドライヤ
550 ポンプ
560 HfCl粉末
570 グラファイト基板
1030 カーボンパッド

Claims (6)

  1. ナノワイヤを備えたエミッタの製造方法であって、
    前記ナノワイヤは、炭化ハフニウム(HfC)単結晶からなり、
    少なくとも前記炭化ハフニウム単結晶の電子を放出すべき端部は、酸化ハフニウム(HfO )で被覆されており、
    前記ナノワイヤの短手方向の長さは10nm以上60nm以下であり、
    前記ナノワイヤの長手方向の長さは5μm以上30μm以下であり、
    前記酸化ハフニウムの厚さは、1nm以上5nm以下であり、
    前記電子を放出すべき端部の形状は、電界蒸発処理により半球状であり、
    前記炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤを、酸素を含有する雰囲気中で加熱するステップを包含し、
    前記加熱するステップにおいて、酸素分圧は5×10−9Pa以上5×10−8Pa以下の範囲であり、加熱温度は500℃以上700℃以下の範囲であり、加熱時間は3分以上7分以下の範囲である、方法。
  2. 前記炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤは、化学的気相蒸着法(CVD)、気相−液相−固相(VLS)法、スパッタ法、レーザアブレーション法、および、テンプレート法からなる群から選択される方法で製造される、請求項に記載の方法。
  3. 前記加熱するステップに先立って、前記炭化ハフニウム単結晶からなるナノワイヤの一端の表面を電界蒸発するステップをさらに包含する、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 前記電界蒸発するステップに続いて、前記表面をフラッシングするステップをさらに包含する、請求項に記載の方法。
  5. 前記ナノワイヤの長手方向は、前記炭化ハフニウム単結晶の<100>、<110>または<111>の結晶方向に一致する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ナノワイヤの長手方向は、前記炭化ハフニウム単結晶の<100>の結晶方向に一致し、
    前記端部は、少なくとも{111}および{110}面を有する、請求項5に記載の方法。
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