JP6458697B2 - モータ駆動異常種類判別装置 - Google Patents
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Description
図1から図15は第1実施形態の説明図を示す。図1はモータコントローラ1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。モータコントローラ1は、車載バッテリ(図示せず)から高電位側電源線N1及び低電位側電源線N2を通じて直流電圧+Bの供給を受けて動作し、負荷線2を通じて負荷としてのブラシレスモータ3に交流電圧を出力する。高電位側電源線N1には例えば電源電圧+Bが与えられ、低電位側電源線N2には例えばグランド電圧が与えられる。
Vuu〜Vwu(@オン) ∝ Ron × Ion = 正常値 …(1b)
これらの(1a)式、(1b)式の値は正常値となる。駆動部9が、通電パターンPiによりモータ3を駆動したときには、ステップS7において電流、電圧に基づいて記憶部11に通電状態を記憶させる。ここで通電状態とは、電流値Is、電圧Vuu、Vvu、Vwu、などの信号の値そのものであっても良いが、これらの信号を段階的に評価して示す信号段階を記憶させても良い。この場合、駆動部9は、検出部10により取得される信号(例えば電圧又は/及び電流)を閾値に応じて信号段階「正」、「断」、「天」、「地」に分け、「正」、「断」、「天」、「地」の4段階を記憶させる。
<コネクタ抜けを生じたとき>
まず、異常原因としてコネクタ抜けを生じることが想定される。このコネクタは、例えばモータコントローラ1と負荷線2とを接続する端子、又は、負荷線2とモータ3を接続する端子を示すものであり、これらの何れのコネクタが抜けたとしても異常として判定することが望ましい。なお、負荷線2が何らかの影響で切断されてしまった場合も同様である。
また、電圧Vuu〜Vwuは、上アームがオンしている相では、ノード電圧Vnu〜Vnwが電源電圧+Bとなるため、上アームのドレインソース間電圧Vuu〜Vwuは(2b)式に示すように表わされる。下アームがオンしている相ではノード電圧Vnu〜Vnwがグランド電位となるため、上アームのドレインソース間電圧Vuu〜Vwuは(2c)式に示すように表わされる。
Vuu〜Vwu(@下アームオン) = +B …(2c)
異常原因がモータコントローラ1と負荷線2との間のコネクタ接続不良、または、負荷線2とモータ3との間のコネクタ接続不良であるときには、前述した通電パターンP0〜P5の全てにおいて、前記の(2a)〜(2c)式の関係が成立する。
U,V,W相のモータ3に向かう負荷線2のうち、何れかある所定相N(例えばU相)の負荷線2が断線することもある。このように例えばU相の負荷線2だけが断線した場合、通電パターンP0において、図8に示すようにU相の上アーム5uuをオンしてもセンス抵抗8には電流が流れない。これは、通電パターンP1でも同様である。また、通電パターンP3、P4において、U相の下アーム5udをオンしたとしても、センス抵抗8には電流が流れない。この場合、センス抵抗8に流れる電流値Isは(3a)式で表される。
また、N相の電圧Vuu〜Vwu、ここではU相の電圧Vuuを例示して説明するが、通電パターンP0、P1に示すように、U相の上アーム5uuがオンするときにはノード電圧Vnuが電源電圧+Bに概ね一致する。このとき、上アーム5uuのドレインソース間電圧Vuuは(3b)式に示すように表わされる。
また、N相の他相の電圧Vuu〜Vwu、ここではV相、W相として電圧Vvu、Vwuを例示して説明する。通電パターンP0を用いたときには、V相の下アーム5vdがオンするため、ノード電圧Vnvがグランド電圧0となる。また、通電パターンP1を用いたときには、W相の下アーム5wdがオンするため、ノード電圧Vnwがグランド電圧0となる。これにより、駆動部9が通電パターンP0、P1を用いてモータ3を駆動したとき、上アーム5vu、5wuのドレインソース間電圧Vvu、Vwuは(3c)式、(3d)式に示すように表わされる。
Vwu(@通電パターンP1) = +B …(3d)
駆動部9は、通電パターンP0、P1を適用したときに、これらの(3a)〜(3d)式の関係を満たすと判定すると「断」と記憶させる。
また、駆動部9が通電パターンP3を用いてモータ3を駆動したときには、V相の上アーム5vuがオンするため、ノード電圧Vnvが電源電圧+Bとなる。また、駆動部9が通電パターンP4を用いてモータ3を駆動したときには、W相の上アーム5vwがオンするため、ノード電圧Vnwが電源電圧+Bとなる。これにより、駆動部9が通電パターンP3、P4のそれぞれを用いてモータ3を駆動したとき、U相、W相の上アーム5vu、5wuのドレインソース間電圧Vvu、Vwuは(3f)式、(3g)式に示すように表わされる。
Vwu(@通電パターンP4) = 0 …(3g)
駆動部9は、通電パターンP3、P4を用いたときに、これらの(3a)(3b)(3f)(3g)式の関係を満たすと判定すると「断」と記憶部11に記憶させる。
Vvu(@通電パターンP2) = 正常値 …(3i)
Vwu(@通電パターンP5) = 正常値 …(3j)
駆動部9は通電パターンP2、P5を適用してモータ3を駆動したときに、これらの(3h)〜(3j)式の関係を満たすと判定すると「正」と記憶させる。
U,V,W相のモータ3のコイルに向かう負荷線2のうち何れかある所定相N(例えばU相)の負荷線2が、高電位側電源線N1に短絡、いわゆる天絡した場合を考慮する。駆動部9が通電パターンP3、P4を用いてモータ3を駆動したとき、図10に示すように、駆動部9がU相の下アーム5udをオンしたときには、短絡電流がモータ3を介すことなくセンス抵抗8に流れる。このとき、センス抵抗8に流れる電流値Isは(4a)式で表される。
この電流値Isは(1a)式の正常値よりも大幅に高くなる。駆動部9は、通電パターンP3、P4を適用したときに、ステップS7においてこの電流値に基づいて「天」と記憶部11に記憶させる。そして駆動部9は、ステップS10において異常種類対応表15と照合して電源短絡と断定できる。これらはV相、W相の負荷線2が電源短絡した場合でも同様である。
この(4b)式に示す電流値Isは(1a)式に示す正常値に近接しているが値が異なる。このため、閾値の設定に応じて正常値とみても異常値「天」とみても良い。すなわち、駆動部9は、ステップS7において正常値と判定したときには「正」と記憶部11に記憶させ、異常値と判定したときには「天」と記憶部11に記憶させる。この後、駆動部9は、ステップS10において異常種類対応表15と照合して電源短絡と断定する。すなわち、駆動部9は、この(4b)式に示す値を補助的に利用して電源短絡したことを判別しても良い。
また、U,V,W相のモータ3のコイルに向かう負荷線2のうちある所定相N(例えばU相)がグランド短絡、いわゆる地絡した場合を考慮する。駆動部9が通電パターンP0を用いてモータ3を駆動すると、図12に示すように、U相の上アーム5uuがオンするため、短絡電流がモータ3に通ずることなくU相の上アーム5uuに流れる。しかしセンス抵抗8には電流が流れないため、電流値Isは(5a)式で表される。
また、U相の上アーム5uuに流れる電流IMonは(5b)式で表される。
IMon1 ∝ +B/Ron …(5b)
したがって、電流IMonがU相の上アーム5uuに(5b)式に示すように流れると、U相の上アーム5uuのオン抵抗Ronによる電圧降下が大きくなり、検出部10によるノードの検出電圧Vuuは(5c)式に示されるようになる。
≒ +B …(5c)
このとき、過大電流がU相の上アーム5uuに印加されるが、駆動部9は通電パターンP0を適用したときに、検出部10によってこの(5c)式の電圧が検出されると、ステップS7において「地」と記憶部11に記憶させる。この動作は、駆動部9が通電パターンP1を適用してモータ3を駆動したときでも同様となる。そして駆動部9は、ステップS10において異常種類対応表15と照合して電源短絡と断定できる。これらはV相、W相の負荷線2がグランド短絡した場合でも同様である。
但し、上アーム5wuに流れる電流IMon2は(5e)式で表される。
IMon2 ∝ +B / (Ron+ZL) …(5e)
したがって、電流IMon2がW相の上アーム5wuに(5e)式に示すように流れると、W相の上アーム5wuのオン抵抗Ronによる電圧降下が大きくなり、検出部10による検出電圧Vwuが(5f)式に示されるようになる。
= +B × Ron /(Ron + ZL) …(5f)
この(5f)式に示す電圧値Vwuは、(1b)式に示す正常値に近接するが値は異なる。このため、駆動部9は、閾値の設定に応じて正常値とみても異常値「地」と判定しても良い。すなわち、駆動部9は、ステップS7において正常値と判定したときには「正」と記憶部11に記憶させ、異常値と判定したときには「地」と記憶部11に記憶させる。これらの動作は、駆動部9が通電パターンP2〜P4を用いてモータ3を駆動するときも同様である。この後、駆動部9は、ステップS10において異常種類対応表15と照合して電源短絡と断定する。すなわち、駆動部9は、この(5f)式に示す値を補助的に利用して電源短絡したことを判別しても良い。
また、U,V,W相のモータ3のコイルに向かう負荷線2が、いわゆる相間短絡、つまりU相−V相短絡、V相−W相短絡またはW相−U相短絡したときの処理について考慮する。例えば、N相(例えばU相)とM相(例えばV相)の負荷線2が短絡した場合、駆動部9が通電パターンP0を用いてモータ3を駆動したときには、U相の上アーム5uuがオンすると共にV相の下アーム5vdがオンする。このとき、図14に示すように、短絡電流がモータ3を介すことなく上アーム5uu及び下アーム5vdを介して流れる。このとき、センス抵抗8に流れる電流値Isは(6a)式に示される。
したがって、電流IMonが例えばU相の上アーム5uuに(6a)式のセンス電流Isと等しく流れると、U相の上アームのオン抵抗Ronによる電圧降下に伴い、検出部10による検出電圧Vuuが(6b)式に示されるようになる。
= +B × Ron /(2Ron + Rs) …(6b)
これは、通電パターンP3において、U相の下アーム5udをオンすると共にV相の上アーム5vuをオンするときも同様である。駆動部9は、通電パターンP0、P3を適用してモータ3を駆動したときに、ステップS7において取得される信号及び(6a)式に基づいて検出部10によりセンス電流Isを閾値以上の過電流として素早く検出したときには「天」と記憶部11に記憶させ、(6b)式に基づいて検出部10により上アーム5uuのドレインソース電圧Vuuが所定より小さいと検出したときには「地」と記憶部11に記憶させる。
なお、通電パターンP4を適用したときでも同様に、U相の下アーム5udがオン、W相の上アーム5wuがオンするため(6c)式と同様の電流値Isとなる。また、通電パターンP1を適用したときでも、U相の上アーム5uuがオン、W相の下アーム5wdがオンするため同様の電流値Isとなる。また、通電パターンP2を適用したときでも、V相の上アーム5vuがオン、W相の下アーム5wdがオンするため同様の電流値Isとなる。
図16及び図17は第2実施形態の追加説明図を示す。第1実施形態と異なる部分は通電パターンを変更したところにある。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
通電パターンP10はU相とV相との間の通電であるため、断線時のU相、V相には異常種類識別符号「断」、W相はこの通電に関係せず正常な電流が流れるため異常種類識別符号「正」と異常種類対応表115に記録されている。また、電源短絡、いわゆる天絡時も同様に、U相、V相には異常種類識別符号「天」、W相はこの通電に関係しないため「−」と異常種類対応表115に記録されている。また、グランド短絡時すなわち地絡時には、U相の上アーム5uuがオンするときに短絡電流が流れるため、U相に異常種類識別符号「地」が記録され、V相、W相はこの通電に関係しないため「−」と異常種類対応表115に記録されている。通電パターンP11、P12も同様であるため説明を省略する。
図18及び図19は第3実施形態の追加説明図を示す。第1及び第2実施形態と異なる部分は通電パターンを変更したところにある。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図20及び図21は第4実施形態の追加説明図を示す。第1〜第3実施形態と異なる部分は通電パターンを変更したところにある。以下、第1〜第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図22は第5実施形態の追加説明図を示す。第1〜第4実施形態と異なるところは電圧の検出方法にある。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
また、検出部10が検出するノードは、前述したノードに限られるものでなく、ノードを多くすればそれだけ検出の信頼性を向上できるようになる。
本発明は前述実施形態に係る技術に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。モータ3は、ブラシレスモータでもブラシモータでも良い。センサモータでもセンサレスモータでも良い。
センス抵抗8又は408を用いて1シャント方式で電流を検出する形態を示したが、3シャント方式で各相毎にセンス抵抗8又は408を接続して相毎に電流を検出する形態を適用しても良い。3相のモータ3に適用した形態を示したが、これに限定されるものではなく、3相を超えるモータに適用することもできる。すなわち3相以上の複数相のモータを適用できる。
Claims (9)
- 3相以上のモータ(3)又は前記モータへ接続される負荷線(2)に生じた異常の種類を判別するモータの駆動異常種類判別装置(1、401)であって、
高電位が与えられる高電位側電源線(N1)と前記高電位よりも低い低電位が与えられる低電位側電源線(N2)との間に接続された3相以上の複数相のスイッチ(5uu、5ud、5vu、5vd、5wu、5wd、5、405)により前記モータを駆動制御する駆動部(9)と、
前記駆動部により前記モータが駆動制御されることに応じて生じる信号を取得する取得部(8、10、408)と、
予め定められた複数の通電パターンを記録する通電パターンテーブル(14、114、214、314)と前記通電パターンに対応して異常原因を生じたときの通電状態とを記録する異常種類対応表(15、115、215、315)を記憶する記憶部(11)と、
前記モータの駆動異常種類を判別する判別部(9)と、を備え、
前記判別部が、前記モータの駆動異常種類を判別するときには、
前記駆動部は、予め定められた複数の通電パターンに基づいて前記複数相のスイッチを駆動制御し前記高電位側電源線と前記低電位側電源線との間に与えられる電圧に基づいて前記スイッチを通じて前記モータに通電し、
前記記憶部に記憶された複数の通電パターンとこれらの複数の通電パターンに対応して前記取得部により取得される信号又はその信号を段階的に評価した信号段階とを、前記異常種類対応表に照合することに応じて、前記高電位側電源線への短絡又は前記低電位側電源線への短絡の何れか少なくとも一方の短絡を検出すると共に前記モータの相間の短絡を検出し、これらの前記短絡と前記負荷線の断線とを判別するモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項1記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記判別部が前記モータの相毎に異常の種類を判別するときには、
前記駆動部は、前記モータの相毎に異常の種類を判別可能に予め定められた通電パターンに基づいて前記複数相のスイッチを駆動制御するモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項1または2記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記判別部が異常種類を判別すると外部にダイアグとして通知する通知部(4)を備えるモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項1から3の何れか一項に記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記モータが3相のモータであるとき、前記駆動部は3相のスイッチを備え、
前記駆動部は、予め定められた6つの通電パターンに基づいて3相のスイッチを駆動制御するモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項1から4の何れか一項に記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記取得部により取得される信号は電流を含むモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項1から4の何れか一項に記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記判別部は、前記異常種類の判別処理を複数回繰り返すモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項1から6の何れか一項に記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記負荷線の断線、前記負荷線の前記高電位側電源線への短絡、前記負荷線の前記低電位側電源線への短絡、前記モータ又はその負荷線の相間の短絡、の全ての異常の種類を判別するモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項7記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記異常種類対応表には、前記複数の通電パターンに応じて前記取得部により取得される信号の値に応じて、正常レベル、断線レベル、天絡レベル、又は、地絡レベル、である旨を示す異常種類識別符号が記録されており、
前記取得部により取得される信号を閾値に応じて前記信号段階に分ける段階分割部(4)を備え、
前記判別部は、前記予め定められた複数の通電パターンとこれらの複数の通電パターンに対応した前記段階分割部による信号段階とを予め定められた異常種類対応表の異常種類識別符号と照合することで異常種類を判別するモータの駆動異常種類判別装置。 - 請求項1記載のモータの駆動異常種類判別装置において、
前記複数相のスイッチは、前記高電位側電源線と前記低電位側電源線との間に上アームのトランジスタ及び下アームのトランジスタを接続して構成され、
前記上アームのトランジスタに接続される前記高電位側電源線と前記負荷線との間の電圧を用いて前記低電位側電源線への短絡と前記負荷線の断線とを判別するモータの駆動異常種類判別装置。
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