JP2020072572A - 電力変換装置および電力変換システム - Google Patents

電力変換装置および電力変換システム Download PDF

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Abstract

【課題】三相の電力系統のうちどの電力系統に異常が発生しているのかを特定する。【解決手段】制御部(50)は、6つのスイッチング素子(Q1〜Q6)のスイッチングパターン毎に、6つのスイッチング素子(Q1〜Q6)のソースドレイン間電圧のうち判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧が異常であるか否かを判定する電圧判定と、電力変換回路(20)とモータ(100)とに流れる3つの相電流のうち判定対象として予め定められた相電流が異常であるか否かを判定する電流判定とを行う。そして、制御部(50)は、6つのスイッチング素子(Q1〜Q6)のスイッチングパターン毎に得られる電圧判定の結果および電流判定の結果に基づいて、電力変換回路(20)とモータ(100)により構成される三相の電力系統の中から異常が発生している電力系統を検出する。【選択図】図1

Description

ここに開示する技術は、電力変換装置に関する。
電力変換装置は、様々な技術分野で利用されている。例えば、特許文献1には、2系列のモータ制御装置が開示されている。このモータ制御装置の第1系列と第2系列のそれぞれは、モータを駆動するための駆動回路と、モータと駆動回路との間の相ごとの接続線に設けられてオンオフされることによって駆動回路からモータへの電流の導通と遮断を切り換える3個の相開放リレーと、相開放リレーのオンオフを切り換え制御する制御部とを備える。
特開2017−118651号公報
特許文献1のような電力変換装置では、電力変換回路とモータにより構成される三相の電力系統のうちどの電力系統に異常が発生しているのかを特定することができない。
ここに開示する技術は、三相交流式のモータに電力を供給する電力変換装置に関する。この電力変換装置は、三相ブリッジ接続された6つのスイッチング素子を有し、前記6つのスイッチング素子のスイッチング動作により入力電力を三相交流の出力電力に変換する電力変換回路と、前記6つのスイッチング素子のスイッチングパターン毎に、前記6つのスイッチング素子のソースドレイン間電圧のうち該スイッチングパターンにおける判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧が異常であるか否かを判定する電圧判定と、前記電力変換回路および前記モータに流れる3つの相電流のうち該スイッチングパターンにおける判定対象として予め定められた相電流が異常であるか否かを判定する電流判定とを行い、前記6つのスイッチング素子のスイッチングパターン毎に得られる前記電圧判定の結果および前記電流判定の結果に基づいて、前記電力変換回路と前記モータにより構成される三相の電力系統の中から異常が発生している電力系統を検出する制御部とを備える。
ここに開示する技術によれば、電力変換回路とモータにより構成される三相の電力系統のうちどの電力系統に異常が発生しているのかを特定することができる。
図1は、実施形態による電力変換装置の構成を例示するブロック図である。 図2は、ショート異常判定処理におけるスイッチングパターンと検出対象と判定対象の関係を例示する図である。 図3は、ショート異常判定処理におけるスイッチングパターンと検出対象と判定対象の関係を例示する図である。 図4は、ショート異常判定処理の判定結果と異常系統と制御処理との関係を例示する図である。 図5は、オープン異常判定処理におけるスイッチングパターンと検出対象と判定対象の関係を例示する図である。 図6は、オープン異常判定処理におけるスイッチングパターンと検出対象と判定対象の関係を例示する図である。 図7は、オープン異常判定処理の判定結果と異常系統と制御処理との関係を例示する図である。 図8は、電力変換装置を備える電力変換システムの構成を例示するブロック図である。
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(電力変換装置)
図1は、実施形態による電力変換装置10の構成を例示する。この電力変換装置10は、三相交流式のモータ100に電力を供給する。この電力変換装置10は、第1入力線11と、第2入力線12と、平滑コンデンサ13と、電力変換回路20と、3つの接続線21と、3つのスイッチ22と、3つの相電圧検出部31と、3つの相電流検出部32と、駆動回路40と、制御部50とを備える。
〔入力線と平滑コンデンサ〕
第1入力線11および第2入力線12は、入力電力を電力変換回路20に供給する。この例では、第1入力線11は、バッテリ(図示を省略)の正極に接続されて電源電圧VBが印加される。第2入力線12は、バッテリの負極に接続されて接地電圧VGが印加される。平滑コンデンサ13は、第1入力線11と第2入力線12との間に接続される。
〔電力変換回路〕
電力変換回路20は、三相ブリッジ接続された6つのスイッチング素子Q1〜Q6を有し、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作により入力電力を三相交流の出力電力に変換する。スイッチング素子Q1〜Q6の各々は、FETなどのトランジスタにより構成される。なお、6つのスイッチング素子Q1〜Q6は、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4と、第5スイッチング素子Q5と、第6スイッチング素子Q6である。
〔接続線〕
3つの接続線21は、電力変換回路20とモータ100とを接続する。なお、3つの接続線21は、モータ100のU相に対応するU相接続線21uと、モータ100のV相に対応するV相接続線21vと、モータ100のW相に対応するW相接続線21wである。また、電力変換回路20において、第1スイッチング素子Q1は、第1入力線11とU相接続線21uとの間に接続される。第2スイッチング素子Q2は、第1入力線11とV相接続線21vとの間に接続される。第3スイッチング素子Q3は、第1入力線11とW相接続線21wとの間に接続される。第4スイッチング素子Q4は、U相接続線21uと第2入力線12との間に接続される。第5スイッチング素子Q5は、V相接続線21vと第2入力線12との間に接続される。第6スイッチング素子Q6は、W相接続線21wと第2入力線12との間に接続される。
〔スイッチ〕
3つのスイッチ22は、3つの接続線21にそれぞれ設けられる。スイッチ22は、電力を伝達するオン状態と、電力の伝達を遮断するオフ状態とに切り換え可能である。3つのスイッチ22は、U相接続線21uに設けられるU相スイッチ22uと、V相接続線21vに設けられるV相スイッチ22vと、W相接続線21wに設けられるW相スイッチ22wである。
〔相電圧検出部〕
3つの相電圧検出部31は、3つの接続線21に印加される3つの相電圧Vu,Vv,Vwをそれぞれ検出する。相電圧検出部31は、例えば、抵抗素子により構成される。3つの相電圧検出部31は、U相電圧Vuを検出するU相電圧検出部31uと、V相電圧Vvを検出するV相電圧検出部31vと、W相電圧Vwを検出するW相電圧検出部31wである。3つの相電圧検出部31の検出信号は、駆動回路40および制御部50に入力される。
〔相電流検出部〕
3つの相電流検出部32は、電力変換回路20およびモータ100に流れる3つの相電流iu,iv,iwをそれぞれ検出する。相電流検出部32は、例えば、シャント抵抗により構成される。3つの相電流検出部32は、U相電流iuを検出するU相電流検出部32uと、V相電流ivを検出するV相電流検出部32vと、W相電流iwを検出するW相電流検出部32wである。3つの相電流検出部32の検出信号は、制御部50に入力される。
〔駆動回路〕
駆動回路40は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作を制御する。この例では、駆動回路40は、制御部50による制御に応答して6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作を制御する。具体的には、駆動回路40は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6の各々に対してオンオフを制御するための制御信号を供給し、6つのスイッチング素子Q1〜Q6の各々に供給される制御信号のレベルを変化させることで6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作を制御する。この例では、6つのスイッチング素子Q1〜Q6の各々は、制御信号のレベルがハイレベルである場合にオン状態となり、制御信号のレベルがローレベルである場合にオフ状態となる。駆動回路40は、例えば、論理素子の組合せにより構成される。
また、駆動回路40は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6をショート異常から保護するための保護機能を有する。具体的には、駆動回路40は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のソースドレイン間電圧の中から予め定められた保護電圧閾値を下回るソースドレイン間電圧を検出すると、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のうち保護電圧閾値を下回るソースドレイン間電圧に対応するスイッチング素子をオフ状態にする。
〔制御部〕
制御部50は、駆動回路40を制御して電力変換回路20の6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作を制御する。また、制御部50は、3つのスイッチ21のオンオフを制御する。
また、この例では、制御部50は、異常検出処理を行う。異常検出処理では、制御部50は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターン毎に、電圧判定と電流判定とを行う。スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターン毎の電圧判定では、制御部50は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のソースドレイン間電圧のうちそのスイッチングパターンにおける判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧が異常であるか否かを判定する。スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターン毎の電流判定では、制御部50は、電力変換回路20およびモータ100に流れる3つの相電流iu,iv,iwのうちそのスイッチングパターンにおける判定対象として予め定められた相電流が異常であるか否かを判定する。そして、制御部50は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターン毎に得られる電圧判定の結果および電流判定の結果に基づいて、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統の中から異常が発生している電力系統を検出する。
また、この例では、制御部50は、3つのスイッチ22のうち異常が発生している電力系統に対応するスイッチ22をオフ状態にする。具体的には、制御部50は、3つのスイッチ22のうち異常が発生している電力系統に対応するスイッチ22をオン状態からオフ状態にする一方で、3つのスイッチ22のうち異常が発生していない電力系統に対応するスイッチ22をオン状態のまま維持する。
なお、この例では、制御部50は、例えば、スイッチング素子Q1〜Q6の各々に供給される制御信号のレベル,スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作を制御するために制御部50から駆動回路40に出力される指令などに基づいて、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターンを検出する。
〈異常検出処理の詳細〉
この例では、制御部50は、異常検出処理としてショート異常検出処理とオープン異常検出処理とを行う。以下の説明において、モータ100の巻線または電力変換回路20のスイッチング素子のショート故障とは、モータ100の巻線または電力変換回路20のスイッチング素子が短絡している状態のことである。モータ100の巻線または電力変換回路20のスイッチング素子のオープン故障とは、モータ100の巻線または電力変換回路20のスイッチング素子が断線している状態のことである。また、電力系統のショート異常とは、モータ100の巻線または電力変換回路20のスイッチング素子のショート故障により電力系統が異常となっている状態のことである。電力系統のオープン異常とは、モータ100の巻線または電力変換回路20のスイッチング素子のオープン故障により電力系統が異常となっている状態のことである。
《ショート異常検出処理》
ショート異常検出処理では、制御部50は、電圧判定において、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のソースドレイン間電圧のうちのうち判定対象となるソースドレイン間電圧が予め定められた正常電圧閾値を下回る場合に、そのソースドレイン間電圧が異常であると判定する。また、制御部50は、電流判定において、電力変換回路20およびモータ100に流れる3つの相電流iu,iv,iwのうち判定対象となる相電流が予め定められた高電流閾値を上回る場合に、その相電流が高電流異常であると判定する。そして、制御部50は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターン毎に得られる電圧判定の結果と電流判定の結果との組合せのうちソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と相電流の高電流異常を示す電流判定の結果との組合せに基づいて、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統の中からショート異常が発生している電力系統を検出する。
なお、正常電圧閾値は、例えば、ソースドレイン間電圧が正常であるとみなすことができるときのソースドレイン間電圧の最小値に設定される。高電流閾値は、例えば、相電流が正常であるとみなすことができるときの相電流の最大値に設定される。
また、この例では、正常電圧閾値は、保護電圧閾値よりも高い。上述のとおり、保護電圧閾値は、駆動回路40においてスイッチング素子を強制的にオフ状態にすべきか否かを判定する基準となる閾値である。
〈オープン異常検出処理〉
オープン異常検出処理では、制御部50は、電圧判定において、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のソースドレイン間電圧のうちのうち判定対象となるソースドレイン間電圧が予め定められた正常電圧閾値を下回る場合に、そのソースドレイン間電圧が異常であると判定する。また、制御部50は、電流判定において、電力変換回路20およびモータ100に流れる3つの相電流iu,iv,iwのうち判定対象となる相電流が予め定められた低電流閾値を下回る場合に、その相電流が低電流異常であると判定する。そして、制御部50は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターン毎に得られる電圧判定の結果と電流判定の結果との組合せのうちソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と相電流の低電流異常を示す電流判定の結果との組合せに基づいて、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統の中からオープン異常が発生している電力系統を検出する。
なお、低電流閾値は、例えば、相電流が正常であるとみなすことができるときの相電流の最小値に設定される。
〔異常の相関関係〕
ここで、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統の異常と、スイッチング素子Q1〜Q6の特定のスイッチングパターンにおける6つのスイッチング素子Q1〜Q6のソースドレイン間電圧の異常および3つの相電流iu,iv,iwの異常との関係について説明する。
以下では、第1スイッチング素子Q1のソースドレイン間電圧を「第1ソースドレイン間電圧VQ1」と記載し、第2スイッチング素子Q2のソースドレイン間電圧を「第1ソースドレイン間電圧VQ2」と記載し、第3スイッチング素子Q3のソースドレイン間電圧を「第3ソースドレイン間電圧VQ3」と記載し、第4スイッチング素子Q4のソースドレイン間電圧を「第4ソースドレイン間電圧VQ4」と記載し、第5スイッチング素子Q5のソースドレイン間電圧を「第5ソースドレイン間電圧VQ5」と記載し、第6スイッチング素子Q6のソースドレイン間電圧を「第6ソースドレイン間電圧VQ6」と記載する。
なお、第1ソースドレイン間電圧VQ1は、第1入力線11に印加される電源電圧VBとU相接続線21uに印加されるU相電圧Vuとの差に対応する。第2ソースドレイン間電圧VQ2は、第1入力線11に印加される電源電圧VBとV相接続線21vに印加されるV相電圧Vvとの差に対応する。第3ソースドレイン間電圧VQ3は、第1入力線11に印加される電源電圧VBとW相接続線21wに印加されるW相電圧Vwとの差に対応する。
また、第4ソースドレイン間電圧VQ4は、U相接続線21uに印加されるU相電圧Vuと第2入力線12に印加される接地電圧VGとの差に対応する。第5ソースドレイン間電圧VQ5は、V相接続線21vに印加されるV相電圧Vvと第2入力線12に印加される接地電圧VGとの差に対応する。第6ソースドレイン間電圧VQ6は、W相接続線21wに印加されるW相電圧Vwと第2入力線12に印加される接地電圧VGとの差に対応する。
本願発明者は、鋭意研究の結果、以下のことを見出した。すなわち、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統の異常と、スイッチング素子Q1〜Q6の特定のスイッチングパターンにおける6つのソースドレイン間電圧VQ1〜VQ6の異常および3つの相電流iu,iv,iwの異常との間には、相関がある。したがって、スイッチング素子Q1〜Q6の特定のスイッチングパターンにおける6つのソースドレイン間電圧VQ1〜VQ6の異常の有無および3つの相電流iu,iv,iwの異常の有無に基づいて、電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統の中から異常が発生している電力系統を検出することが可能である。
〈巻線のショート故障による電力系統のショート異常〉
例えば、モータ100のU相の巻線がショート故障してU相の電力系統にショート異常が発生している場合、次の4つのスイッチングパターンにおいて特徴が現れる。
(1)第3,第4スイッチング素子Q3,Q4がオン状態であり第1,第2,第5,第6スイッチング素子Q1,Q2,Q5,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第3,第4ソースドレイン間電圧VQ3,VQ4の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、U相電流iuが高電流閾値を上回る。
(2)第2,第4スイッチング素子Q2,Q4がオン状態であり第1,第3,第5、第6スイッチング素子Q1,Q3,Q5,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第2,第4ソースドレイン間電圧VQ2,VQ4の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、U相電流iuが高電流閾値を上回る。
(3)第1,第6スイッチング素子Q1,Q6がオン状態であり第2,第3,第4,第5スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第6ソースドレイン間電圧VQ1,VQ6の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、相電流iuが高電流閾値を上回る。
(4)第1,第5スイッチング素子Q1,Q5がオン状態であり第2,第3,第4,第6スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第5ソースドレイン間電圧VQ1,VQ5の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、相電流iuが高電流閾値を上回る。
したがって、上記の4つのスイッチングパターンの各々におけるソースドレイン間電圧の異常の有無および相電流の異常の有無に基づいて、モータ100のU相の巻線のショート故障によるU相の電力系統のショート異常を検出することが可能である。
〈スイッチング素子のショート故障による電力系統のショート異常〉
また、例えば、電力変換回路20の第4スイッチング素子Q4がショート故障してU相の電力系統にショート異常が発生している場合、次の2つのスイッチングパターンにおいて特徴が現れる。
(1)第1,第6スイッチング素子Q1,Q6がオン状態であり第2,第3,第4,第5スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第6ソースドレイン間電圧VQ1,VQ6の各々が正常電圧閾値を下回る一方で、相電流iuが高電流閾値を上回らない。
(2)第1,第5スイッチング素子Q1,Q5がオン状態であり第2,第3,第4,第6スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第5ソースドレイン間電圧VQ1,VQ5の各々が正常電圧閾値を下回る一方で、相電流iuが高電流閾値を上回らない。
したがって、上記の2つのスイッチングパターンの各々におけるソースドレイン間電圧の異常の有無および相電流の異常の有無に基づいて、電力変換回路20の第4スイッチング素子Q4のショート故障によるU相の電力系統のショート異常を検出することが可能である。
〈巻線のオープン故障による電力系統のオープン異常〉
また、例えば、モータ100のU相の巻線がオープン故障してU相の電力系統にオープン異常が発生している場合、次の4つのスイッチングパターンにおいて特徴が現れる。
(1)第3,第4スイッチング素子Q3,Q4がオン状態であり第1,第2,第5,第6スイッチング素子Q1,Q2,Q5,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第3,第4ソースドレイン間電圧VQ3,VQ4の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、U相電流iuが低電流閾値を下回る。
(2)第2,第4スイッチング素子Q2,Q4がオン状態であり第1,第3,第5、第6スイッチング素子Q1,Q3,Q5,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第2,第4ソースドレイン間電圧VQ2,VQ4の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、U相電流iuが低電流閾値を下回る。
(3)第1,第6スイッチング素子Q1,Q6がオン状態であり第2,第3,第4,第5スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第6ソースドレイン間電圧VQ1,VQ6の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、相電流iuが低電流閾値を下回る。
(4)第1,第5スイッチング素子Q1,Q5がオン状態であり第2,第3,第4,第6スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第5ソースドレイン間電圧VQ1,VQ5の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、相電流iuが低電流閾値を下回る。
したがって、上記の4つのスイッチングパターンの各々におけるソースドレイン間電圧の異常の有無および相電流の異常の有無に基づいて、モータ100のU相の巻線のオープン故障によるU相の電力系統のオープン異常を検出することが可能である。
〈スイッチング素子のオープン故障による電力系統のオープン異常〉
また、例えば、電力変換回路20の第4スイッチング素子Q4がオープン故障してU相の電力系統にオープン異常が発生している場合、次の2つのスイッチングパターンにおいて特徴が現れる。
(1)第1,第6スイッチング素子Q1,Q6がオン状態であり第2,第3,第4,第5スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q5がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第6ソースドレイン間電圧VQ1,VQ6の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、相電流iuが低電流閾値を下回る。
(2)第1,第5スイッチング素子Q1,Q5がオン状態であり第2,第3,第4,第6スイッチング素子Q2,Q3,Q4,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンにおいて、第1,第5ソースドレイン間電圧VQ1,VQ5の各々が正常電圧閾値を下回り、且つ、相電流iuが低電流閾値を下回る。
したがって、上記の2つのスイッチングパターンの各々におけるソースドレイン間電圧の異常の有無および相電流の異常の有無に基づいて、電力変換回路20の第4スイッチング素子Q4のオープン故障によるU相の電力系統のオープン異常を検出することが可能である。
〔ショート異常判定処理およびショート異常決定処理〕
また、本願発明者は、図2および図3に示した第1番目〜第24番目のショート異常判定処理を順に行うとともに図4に示した対応関係に基づいてショート異常決定処理を行うことにより、電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統の中からショート異常が発生している電力系統を検出することを見出した。
この例では、制御部50は、図2および図3に示した第1番目〜第24番目のショート異常判定処理を順に行うとともに、図4に示した対応関係に基づいてショート異常決定処理を行う。なお、このショート異常判定処理とショート異常決定処理は、ショート異常検出処理の一例である。
〈ショート異常判定処理〉
図2および図3には、第1番目〜第24番目のショート異常判定処理の内容が示されている。なお、図2および図3において、「No.」は、ショート異常判定処理の番号を示し、「H」は、スイッチング素子がオン状態であることを示し、「L」は、スイッチング素子がオフ状態であることを示す。丸印は、検出対象に該当することを示し、×印は、検出対象に該当しないことを示す。
図2および図3に示すように、第1番目〜第24番目のショート異常判定処理の各々において、そのショート異常判定処理の対象となるスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターンと、そのスイッチングパターンにおいて検出対象となる相電圧および相電流と、そのスイッチングパターンにおいて判定対象となるソースドレイン間電圧および相電流とが予め定められている。例えば、第1番目のショート異常判定処理では、第3,第4スイッチング素子Q3,Q4がオン状態であり第1,第2,第5,第6スイッチング素子Q1,Q2,Q5,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンが処理の対象となり、そのスイッチングパターンにおけるU相電圧VuとW相電圧VwとU相電流iuが検出対象となり、そのスイッチングパターンにおける第3,第4ソースドレイン間電圧VQ3,VQ4が電圧判定の対象となり、そのスイッチングパターンにおけるU相電流iuが電流比較の対象となる。
また、この例では、図2および図3に示したショート異常判定処理の各々において、駆動回路40による保護機能によりオフ状態にされているか否かの判定の対象となるスイッチング素子が予め定められている。例えば、第1番目のショート異常判定処理では、第3,第4スイッチング素子Q3,Q4が駆動回路40による保護機能によりオフ状態にされているか否かの判定の対象となる。
なお、図2に示された第1番目〜第4番目のショート異常判定処理は、モータ100のU相の巻線のショート故障によるU相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。図2に示された第5番目〜第8番目のショート異常判定処理は、モータ100のV相の巻線のショート故障によるV相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。図2の例の第9段目〜第12段目に示された第9番目〜第12番目のショート異常判定処理は、モータ100のW相の巻線のショート故障によるW相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。
また、図3に示された第13番目および第14番目のショート異常判定処理は、電力変換回路20の第4スイッチング素子Q4のショート故障によるU相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。図3に示された第15番目および第16番目のショート異常判定処理は、電力変換回路20の第5スイッチング素子Q5のショート故障によるV相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。図3に示された第17番目および第18番目のショート異常判定処理は、電力変換回路20の第6スイッチング素子Q6のショート故障によるW相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。
図3に示された第19番目および第20番目のショート異常判定処理は、電力変換回路20の第1スイッチング素子Q1のショート故障によるU相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。図3に示された第21番目および第22番目のショート異常判定処理は、電力変換回路20の第2スイッチング素子Q2のショート故障によるV相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。図3に示された第23番目および第24番目のショート異常判定処理は、電力変換回路20の第3スイッチング素子Q3のショート故障によるW相の電力系統のショート異常を検出するための処理である。
〈制御部によるショート異常判定処理〉
この例では、制御部50は、第1番目〜第24番目のショート異常判定処理の各々において、以下の動作を行う。なお、以下では、第k番目のショート異常判定処理における動作を例に挙げて説明する。kは1以上且つ24以下の整数である。
まず、制御部50は、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターンが第k番目のショート異常判定処理に対して予め定められたスイッチングパターンになると、3つの相電圧Vu,Vv,Vwおよび3つの相電流iu,iv,iwのうち第k番目のショート異常判定処理における検出対象として予め定められた相電圧および相電流を検出する。この検出された相電流は、第k番目のショート異常判定処理において判定対象として予め定められた相電流である。
次に、制御部50は、検出された相電圧と第1入力線11に印加される電源電圧VBと第2入力線12に印加される接地電圧VGとに基づいて、6つのソースドレイン間電圧VQ1〜VQ6のうち第k番目のショート異常判定処理における判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧を導出する。この導出されたソースドレイン間電圧は、第k番目のショート異常判定処理において判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧である。
そして、制御部50は、導出されたソースドレイン間電圧に対して電圧判定を行う。この電圧判定では、制御部50は、導出されたソースドレイン間電圧と正常電圧閾値とを比較し、そのソースドレイン間電圧が正常電圧を下回る場合に、そのソースドレイン間電圧が異常であると判定する。
また、制御部50は、検出された相電流に対して電流判定を行う。この電流判定では、制御部50は、検出された相電流と高電流閾値とを比較し、その相電流が高電流閾値を上回る場合に、その相電流が高電流異常であると判定する。
また、この例では、制御部50は、第k番目のショート異常判定処理において判定対象として予め定められたスイッチング素子に対して保護判定を行う。この保護判定では、制御部50は、判定対象であるスイッチング素子が駆動回路40の保護機能によりオフ状態にされているか否かを判定し、そのスイッチング素子が駆動回路40によりオフ状態にされている場合に、そのスイッチング素子が保護状態であると判定する。
以上のようにして、第1番目〜第24番目のショート異常判定処理が順に行われる。ショート異常判定処理の判定結果には、電圧判定の結果と電流判定の結果と保護判定の結果が含まれる。すなわち、ショート異常判定処理の判定結果は、スイッチング素子Q1〜Q6の特定のスイッチングパターンにおいて得られた電圧判定の結果と電流判定の結果と保護判定の結果の組合せである。
〈ショート異常決定処理〉
また、図4は、ショート異常判定処理の判定結果の組合せと、ショート異常が発生しているとみなせる電力系統である異常系統と、3つのスイッチ22のうちオフ状態にすべきスイッチ22との対応関係を示す。
図4において、鉤括弧に囲われた番号は、ソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と、相電流の高電流異常を示す電流判定の結果と、スイッチング素子の保護状態を示す保護判定の結果とを含む判定結果が得られたショート異常判定処理の番号を示す。すなわち、鉤括弧に囲われた番号に対応するショート異常判定処理の判定結果には、ソースドレイン間電圧が異常であることを示す電圧判定の結果と、相電流が高電流異常であることを示す電流判定の結果と、スイッチング素子が保護状態であることを示す保護判定の結果とを含む判定結果とが含まれる。
なお、以下では、ソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と、相電流の高電流異常を示す電流判定の結果と、スイッチング素子の保護状態を示す保護判定の結果とを含む判定結果を含むショート異常判定処理の判定結果を「電圧異常と高電流異常と保護発動とを示すショート異常判定処理の判定結果」と記載する。
そして、図4の例の第1列目は、それぞれが電圧異常と高電流異常と保護発動とを示すショート異常判定処理の判定結果の組合せを示す。例えば、図4の例の第1列目の第1段目は、第1番目のショート異常判定処理の判定結果が電圧異常と高電流異常と保護発動とを示すショート異常判定処理の判定結果に該当し、且つ、第2番目のショート異常判定処理の判定結果が電圧異常と高電流異常と保護発動とを示すショート異常判定処理の判定結果に該当することを示す。
〈制御部によるショート異常決定処理〉
この例では、制御部50は、第1番目〜第24番目のショート異常判定処理を順に行うとともにショート異常決定処理を行う。ショート異常決定処理では、制御部50は、図4に示したショート異常判定処理の判定結果の組合せと異常系統との対応関係と、それぞれが電圧異常と高電流異常と保護発動とを示すショート異常判定処理の判定結果の組合せとに基づいて、電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統の中から異常系統(すなわちショート異常が発生しているとみなせる電力系統)を決定する。
例えば、制御部50は、第1番目のショート異常判定処理の判定結果が電圧異常と高電流異常と保護発動とを示すショート異常判定処理の判定結果に該当し、且つ、第2番目のショート異常判定処理の判定結果が電圧異常と高電流異常と保護発動とを示すショート異常判定処理の判定結果に該当する場合に、電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統のうちU相の電力系統が異常系統であると決定する。
また、制御部50は、図4に示した異常系統とオフにすべきスイッチ22との対応関係に基づいて、3つのスイッチ22のうちショート異常決定処理において決定された異常系統に対応するスイッチ22をオフ状態にする。
例えば、制御部50は、ショート異常決定処理において電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統のうちU相の電力系統が異常系統であると決定された場合に、3つのスイッチ22のうちU相の電力系統に対応するU相スイッチ22uをオフ状態にする。
〔オープン異常判定処理およびオープン異常決定処理〕
また、本願発明者は、図5および図6に示した第1番目〜第24番目のオープン異常判定処理を順に行うとともに図7に示した対応関係に基づいてオープン異常決定処理を行うことにより、電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統の中からオープン異常が発生している電力系統を検出することを見出した。
この例では、制御部50は、図5および図6に示した第1番目〜第24番目のオープン異常判定処理を順に行うとともに、図7に示した対応関係に基づいてオープン異常決定処理を行う。なお、このオープン異常判定処理とオープン異常決定処理は、オープン異常検出処理の一例である。
〈オープン異常判定処理〉
図5および図6には、第1番目〜第24番目のオープン異常判定処理の内容が示されている。なお、図5および図6において、「No.」は、オープン異常判定処理の番号を示し、「H」は、スイッチング素子がオン状態であることを示し、「L」は、スイッチング素子がオフ状態であることを示す。丸印は、検出対象に該当することを示し、×印は、検出対象に該当しないことを示す。
図5および図6に示すように、第1番目〜第24番目のオープン異常判定処理の各々において、そのオープン異常判定処理の対象となるスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターンと、そのスイッチングパターンにおいて検出対象となる相電圧および相電流と、そのスイッチングパターンにおいて判定対象となるソースドレイン間電圧および相電流とが予め定められている。例えば、第1番目のオープン異常判定処理では、第3,第4スイッチング素子Q3,Q4がオン状態であり第1,第2,第5,第6スイッチング素子Q1,Q2,Q5,Q6がオフ状態であるスイッチングパターンが処理の対象となり、そのスイッチングパターンにおけるU相電圧VuとW相電圧VwとU相電流iuが検出対象となり、そのスイッチングパターンにおける第3,第4ソースドレイン間電圧VQ3,VQ4が電圧判定の対象となり、そのスイッチングパターンにおけるU相電流iuが電流比較の対象となる。
なお、図5に示された第1番目〜第4番目のオープン異常判定処理は、モータ100のU相の巻線のオープン故障によるU相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。図5に示された第5番目〜第8番目のオープン異常判定処理は、モータ100のV相の巻線のオープン故障によるV相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。図5の例の第9段目〜第12段目に示された第9番目〜第12番目のオープン異常判定処理は、モータ100のW相の巻線のオープン故障によるW相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。
また、図6に示された第13番目および第14番目のオープン異常判定処理は、電力変換回路20の第4スイッチング素子Q4のオープン故障によるU相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。図6に示された第15番目および第16番目のオープン異常判定処理は、電力変換回路20の第5スイッチング素子Q5のオープン故障によるV相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。図6に示された第17番目および第18番目のオープン異常判定処理は、電力変換回路20の第6スイッチング素子Q6のオープン故障によるW相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。
図6に示された第19番目および第20番目のオープン異常判定処理は、電力変換回路20の第1スイッチング素子Q1のオープン故障によるU相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。図6に示された第21番目および第22番目のオープン異常判定処理は、電力変換回路20の第2スイッチング素子Q2のオープン故障によるV相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。図6に示された第23番目および第24番目のオープン異常判定処理は、電力変換回路20の第3スイッチング素子Q3のオープン故障によるW相の電力系統のオープン異常を検出するための処理である。
〈制御部によるオープン異常判定処理〉
この例では、制御部50は、第1番目〜第24番目のオープン異常判定処理の各々において、以下の動作を行う。なお、以下では、第k番目のオープン異常判定処理における動作を例に挙げて説明する。
まず、制御部50は、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチングパターンが第k番目のオープン異常判定処理に対して予め定められたスイッチングパターンになると、3つの相電圧Vu,Vv,Vwおよび3つの相電流iu,iv,iwのうち第k番目のオープン異常判定処理における検出対象として予め定められた相電圧および相電流を検出する。この検出された相電流は、第k番目のオープン異常判定処理において判定対象として予め定められた相電流である。
次に、制御部50は、検出された相電圧と第1入力線11に印加される電源電圧VBと第2入力線12に印加される接地電圧VGとに基づいて、6つのソースドレイン間電圧VQ1〜VQ6のうち第k番目のオープン異常判定処理における判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧を導出する。この導出されたソースドレイン間電圧は、第k番目のオープン異常判定処理において判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧である。
そして、制御部50は、導出されたソースドレイン間電圧に対して電圧判定を行う。この電圧判定では、制御部50は、導出されたソースドレイン間電圧と正常電圧閾値とを比較し、そのソースドレイン間電圧が正常電圧を下回る場合に、そのソースドレイン間電圧が異常であると判定する。
また、制御部50は、検出された相電流に対して電流判定を行う。この電流判定では、制御部50は、検出された相電流と低電流閾値とを比較し、その相電流が低電流閾値を下回る場合に、その相電流が低電流異常であると判定する。
以上のようにして、第1番目〜第24番目のオープン異常判定処理が順に行われる。オープン異常判定処理の判定結果には、電圧判定の結果と電流判定の結果とが含まれる。すなわち、オープン異常判定処理の判定結果は、スイッチング素子Q1〜Q6の特定のスイッチングパターンにおいて得られた電圧判定の結果と電流判定の結果との組合せである。
〈オープン異常決定処理〉
また、図7は、オープン異常判定処理の判定結果の組合せと、オープン異常が発生しているとみなせる電力系統である異常系統と、3つのスイッチ22のうちオフ状態にすべきスイッチ22との対応関係を示す。
図7において、鉤括弧に囲われた番号は、ソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と、相電流の低電流異常を示す電流判定の結果とを含む判定結果が得られたオープン異常判定処理の番号を示す。すなわち、鉤括弧に囲われた番号に対応するオープン異常判定処理の判定結果には、ソースドレイン間電圧が異常であることを示す電圧判定の結果と、相電流が低電流異常であることを示す電流判定の結果とが含まれる。
なお、以下では、ソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と、相電流の低電流異常を示す電流判定の結果とを含むオープン異常判定処理の判定結果を「電圧異常と低電流異常とを示すオープン異常判定処理の判定結果」と記載する。
そして、図7の例の第1列目は、それぞれが電圧異常と低電流異常とを示すオープン異常判定処理の判定結果の組合せを示す。例えば、図7の例の第1列目の第1段目は、第1番目のオープン異常判定処理の判定結果が電圧異常と低電流異常とを示すオープン異常判定処理の判定結果に該当し、且つ、第2番目のオープン異常判定処理の判定結果が電圧異常と低電流異常とを示すオープン異常判定処理の判定結果に該当することを示す。
〈制御部によるオープン異常決定処理〉
この例では、制御部50は、第1番目〜第24番目のオープン異常判定処理を順に行うとともにオープン異常決定処理を行う。オープン異常決定処理では、制御部50は、図7に示したオープン異常判定処理の判定結果の組合せと異常系統との対応関係と、それぞれが電圧異常と低電流異常とを示すオープン異常判定処理の判定結果の組合せとに基づいて、電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統の中から異常系統(すなわちオープン異常が発生しているとみなせる電力系統)を決定する。
例えば、制御部50は、第1番目のオープン異常判定処理の判定結果が電圧異常と低電流異常とを示すオープン異常判定処理の判定結果に該当し、且つ、第2番目のオープン異常判定処理の判定結果が電圧異常と低電流異常とを示すオープン異常判定処理の判定結果に該当する場合に、電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統のうちU相の電力系統が異常系統であると決定する。
また、制御部50は、図7に示した異常系統とオフにすべきスイッチ22との対応関係に基づいて、3つのスイッチ22のうちオープン異常決定処理において決定された異常系統に対応するスイッチ22をオフ状態にする。
例えば、制御部50は、オープン異常決定処理において電力変換回路20とモータ100とにより構成される三相の電力系統のうちU相の電力系統が異常系統であると決定された場合に、3つのスイッチ22のうちU相の電力系統に対応するU相スイッチ22uをオフ状態にする。
〔実施形態の効果〕
以上のように、異常検出処理を行うことにより、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統のうちどの電力系統に異常が発生しているのかを特定することができる。
具体的には、ショート異常検出処理を行うことにより、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統のうちどの電力系統にショート異常が発生しているのかを特定することができる。また、オープン異常検出処理を行うことにより、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統のうちどの電力系統にオープン異常が発生しているのかを特定することができる。
また、ショート異常検出処理における正常電圧閾値を駆動回路40における保護電圧閾値よりも高くすることにより、駆動回路40による保護機能によりスイッチング素子Q1〜Q6がオフ状態にされる前に、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統のうちどの電力系統にショート異常が発生しているのかを特定することができる。
また、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統のいずれかに異常が発生している場合に、3つのスイッチ22のうち異常が発生している電力系統に対応するスイッチ22をオフ状態にすることにより、三相の電力系統のうち異常が発生している電力系統における電力の供給を遮断する一方で、三相の電力系統のうち異常が発生していない電力系統における電力の供給を継続させることができる。これにより、三相の電力系統のうち異常が発生していない電力系統を用いて電力変換装置10からモータ100への電力供給を継続させることができるので、電力変換装置10の故障率を低減することができる。
(電力変換システム)
図8に示すように、図1に示した電力変換装置10は、電力変換システム1に設けられてもよい。図8に示した電力変換システム1は、複数の電力変換装置10を備える。複数の電力変換装置10は、それぞれが三相交流式のモータ100に電力を供給する。なお、図8に示した電力変換装置10の構成は、図1に示した電力変換装置10の構成と同様である。
図8の電力変換システム1では、複数の電力変換装置10の各々において異常検出処理を行うことができるので、複数の電力変換装置10の各々においてその電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統のうちどの電力系統に異常が発生しているのかを特定することができる。
また、図8の電力変換システム1では、複数の電力変換装置10の各々において、電力変換回路20とモータ100により構成される三相の電力系統のいずれかに異常が発生している場合に、その電力変換装置10の3つのスイッチ22のうち異常が発生している電力系統に対応するスイッチ22をオフ状態にすることができる。これにより、複数の電力変換装置10の各々において、三相の電力系統のうち異常が発生している電力系統における電力の供給を遮断する一方で、三相の電力系統のうち異常が発生していない電力系統における電力の供給を継続させることができる。そのため、複数の電力変換装置10のうち異常が発生している電力系統を有する電力変換装置10において、異常が発生していない電力系統を用いて電力変換装置10からモータ100への電力供給を継続させることができる。したがって、複数の電力変換装置のうち異常が発生している電力系統を有する電力変換装置において3つのスイッチを全てオフ状態にして三相の電力系統の全てにおける電力の供給を遮断する場合よりも、電力変換装置10における電力系統の異常発生に伴って電力変換システム1からモータ100へ供給される電力が低下することを抑制することができる。
(その他の実施形態)
なお、以上の説明では、ショート異常判定処理においてスイッチング素子が駆動回路40の保護機能によりオフ状態にされているか否かを判定する保護判定が行われる場合を例に挙げたが、ショート異常判定処理において保護判定が行われなくてもよい。
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、ここに開示する技術は、電力変換装置として有用である。
1 電力変換システム
10 電力変換装置
11 第1入力線
12 第2入力線
13 平滑コンデンサ
20 電力変換回路
31 相電圧検出部
31u U相電圧検出部
31v V相電圧検出部
31w W相電圧検出部
32 相電流検出部
32u U相電流検出部
32v V相電流検出部
32w W相電流検出部
40 駆動回路
50 制御部
100 モータ
Q1〜Q6 スイッチング素子

Claims (6)

  1. 三相交流式のモータに電力を供給する電力変換装置であって、
    三相ブリッジ接続された6つのスイッチング素子を有し、前記6つのスイッチング素子のスイッチング動作により入力電力を三相交流の出力電力に変換する電力変換回路と、
    前記6つのスイッチング素子のスイッチングパターン毎に、前記6つのスイッチング素子のソースドレイン間電圧のうち該スイッチングパターンにおける判定対象として予め定められたソースドレイン間電圧が異常であるか否かを判定する電圧判定と、前記電力変換回路および前記モータに流れる3つの相電流のうち該スイッチングパターンにおける判定対象として予め定められた相電流が異常であるか否かを判定する電流判定とを行い、前記6つのスイッチング素子のスイッチングパターン毎に得られる前記電圧判定の結果および前記電流判定の結果に基づいて、前記電力変換回路と前記モータにより構成される三相の電力系統の中から異常が発生している電力系統を検出する制御部とを備える
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1において、
    前記電力変換回路と前記モータとを接続する3つの接続線と、
    前記3つの接続線にそれぞれ設けられる3つのスイッチとを備え、
    前記制御部は、前記3つのスイッチのうち異常が発生している電力系統に対応するスイッチをオフ状態にする
    ことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記制御部は、
    前記電圧判定において、前記6つのスイッチング素子のソースドレイン間電圧のうちのうち判定対象となるソースドレイン間電圧が予め定められた正常電圧閾値を下回る場合に、該ソースドレイン間電圧が異常であると判定し、
    前記電流判定において、前記電力変換回路および前記モータに流れる3つの相電流のうち判定対象となる相電流が予め定められた高電流閾値を上回る場合に、該相電流が高電流異常であると判定し、
    前記6つのスイッチング素子のスイッチングパターン毎に得られる前記電圧判定の結果と前記電流判定の結果との組合せのうち前記ソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と前記相電流の高電流異常を示す電流判定の結果との組合せに基づいて、前記電力変換回路と前記モータにより構成される三相の電力系統の中からショート異常が発生している電力系統を検出する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項3において、
    前記6つのスイッチング素子のスイッチング動作を制御する駆動回路を備え、
    前記駆動回路は、前記6つのスイッチング素子のソースドレイン間電圧の中から予め定められた保護電圧閾値を下回るソースドレイン間電圧を検出すると、前記6つのスイッチング素子のうち前記保護電圧閾値を下回るソースドレイン間電圧に対応するスイッチング素子をオフ状態にし、
    前記正常電圧閾値は、前記保護電圧閾値よりも高い
    ことを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    前記制御部は、
    前記電圧判定において、前記6つのスイッチング素子のソースドレイン間電圧のうちのうち判定対象となるソースドレイン間電圧が予め定められた正常電圧閾値を下回る場合に、該ソースドレイン間電圧が異常であると判定し、
    前記電流判定において、前記電力変換回路および前記モータに流れる3つの相電流のうち判定対象となる相電流が予め定められた低電流閾値を下回る場合に、該相電流が低電流異常であると判定し、
    前記6つのスイッチング素子のスイッチングパターン毎に得られる前記電圧判定の結果と前記電流判定の結果との組合せのうち前記ソースドレイン間電圧の異常を示す電圧判定の結果と前記相電流の低電流異常を示す電流判定の結果との組合せに基づいて、前記電力変換回路と前記モータにより構成される三相の電力系統の中からオープン異常が発生している電力系統を検出する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  6. それぞれが三相交流式のモータに電力を供給する複数の電力変換装置を備え、
    前記複数の電力変換装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置により構成される
    ことを特徴とする電力変換システム。
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