JP5428961B2 - 過電流保護装置 - Google Patents
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Description
直流をスイッチングして交流に変換するインバータ回路(4)を過電流から保護する過電流保護装置であって、
前記インバータ回路(4)に直流を供給する直流電源(2)と該インバータ回路(4)とを接続する直流リンク部(3)における電流パルスの電流値を検出する検出部(11)と、
連続した2つの電流パルスについて前記検出部(11)がそれぞれ検出した2つの電流値が、互いに異符号で且つそれぞれの絶対値(a1,a2)の和が所定のピーク電流閾値よりも大きい場合に、前記インバータ回路(4)を停止させる制御部(12)と、
を備えたことを特徴とする。
第1の発明の過電流保護装置において、
前記制御部(12)は、前記インバータ回路(4)の出力電圧に応じて前記ピーク電流閾値を変更することを特徴とする。
第1又は第2の発明の過電流保護装置において、
前記制御部(12)は、前記2つの電流値が何れも負の場合には、該電流値の絶対値(a1,a2)の大きい方が前記ピーク電流閾値よりも大きい場合に前記インバータ回路(4)を停止させることを特徴とする。
第1から第3の発明のうちの何れか1つの過電流保護装置において、
前記制御部(12)は、前記検出部(11)が検出した電流値が、該検出部(11)において検出可能な負側の限界値以上に設定された下限閾値よりも小さくなった場合に、前記インバータ回路(4)を停止させることを特徴とする。
第1から第4の発明のうちの何れか1つの過電流保護装置において、
前記検出部(11)は、前記直流リンク部(3)に設けた、シャント抵抗(Rsh)、又はホール素子を用いた電流検出トランスにより前記電流値を検出することを特徴とする。
第1から第5の発明のうちの何れか1つの過電流保護装置において、
ハードウエアで構成され、前記直流リンク部(3)における電流パルスの電流値が前記所定の閾値を超えた場合に前記インバータ回路(4)を停止させる信号を出力する過電流保護回路(20,21)を備えたことを特徴とする。
以下では、本発明の実施形態に係るソフトOCP装置(過電流保護装置)を電力変換装置に適用した例を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るソフトOCP装置(10)を適用した電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。この電力変換装置(1)は、コンバータ回路(2)(直流電源)、直流リンク部(3)、インバータ回路(4)、インバータ制御部(5)、及びソフトOCP装置(10)を備えている。電力変換装置(1)には交流電源(6)が接続されており、交流電源(6)が出力した交流(以下、入力交流という)を三相交流(以下、出力交流という)に変換し、負荷であるモータ(7)に供給するようになっている。このモータ(7)は、例えば空気調和機の冷媒回路に設けられた圧縮機を駆動するものである。
以下では、電力変換装置(1)の各構成要素について詳述する。
本実施形態のコンバータ回路(2)は、ブリッジ接続された4つのダイオード(D1,…,D4)を備え、前記入力交流を全波整流する。また、直流リンク部(3)は、リアクトル(3a)と平滑コンデンサ(3b)とを備えている。この直流リンク部(3)は、インバータ回路(4)に設けられた正負1対の直流母線(P,N)(後述)に接続されている。具体的に直流リンク部(3)では、図1に示すように、リアクトル(3a)は、コンバータ回路(2)の正側の出力と、インバータ回路(4)の正側の直流母線(P)とに接続され、平滑コンデンサ(3b)は、インバータ回路(4)の2つの直流母線(P,N)間に接続されている。
インバータ回路(4)は、複数のスイッチング素子のスイッチング状態をそれぞれ変化させて、コンバータ回路(2)が直流リンク部(3)を介して出力した直流を交流に変換して負荷(この例ではモータ(7))に供給するようになっている。具体的には、本実施形態のインバータ回路(4)は、図1に示すように、ドライブ回路(4a)、6つのスイッチング素子(Sup,…,Swn)、6つの還流ダイオード(Dup,…,Dwn)を備えている。ドライブ回路(4a)は、各スイッチング素子(Sup,…,Swn)のオンオフを制御するゲート信号(Gup,…,Gwn)を生成し、各スイッチング素子(Sup,…,Swn)のゲートに印加するようになっている。
インバータ制御部(5)は、ドライブ回路(4a)が出力するゲート信号(Gup,…,Gwn)の出力レベル及び出力タイミングを制御する。これによりインバータ制御部(5)は、いわゆるインバータ制御を行うのである。インバータ制御部(5)が行うインバータ制御はPWM制御(PWM:Pulse Width Modulation)であり、所定周波数のキャリア信号に同期して前記出力交流の電圧を制御する。
ソフトOCP装置(10)は、本発明の過電流保護装置の一例であり、直流リンク部(3)における直流リンク電流(Idc)を所定値以下に抑えてインバータ回路(4)を過電流から保護するようになっている。図2は、ソフトOCP装置(10)の構成例を示すブロック図である。本実施形態のソフトOCP装置(10)は、検出部(11)、及び制御部(12)を備えている。
インバータ回路(4)においてPWM制御が行われると、後述するように直流リンク部(3)においてパルス状の電流(電流パルス)が流れる。検出部(11)は、直流リンク部(3)における電流パルスの電流値を検出するようになっている。検出部(11)は、図2に示すように、シャント抵抗(Rsh)、差動増幅器(11a)、及びA/D変換器(11b)を備えている。この検出部(11)では、前記電流パルスに応じてシャント抵抗(Rsh)に生じたパルス状の電圧(電圧パルス)の電圧値を検出し、その電圧パルスを差動増幅器(11a)で増幅した後、A/D変換器(11b)でA/D変換した値を電流パルスの電流値(すなわち直流リンク電流(Idc))として制御部(12)に出力している。
制御部(12)は、検出部(11)が検出した電流値に基づいてインバータ回路(4)に過電流が流れる可能性の有無を判断し、該可能性がある場合にインバータ回路(4)を停止させるようになっている。インバータ回路(4)の停止は、インバータ制御部(5)を介してドライブ回路(4a)を制御して、全てのスイッチング素子(Sup,…,Swn)をオフ状態にすることで行っている。本実施形態の制御部(12)は、図2に示すように、マイクロコンピュータ(12a)、及びメモリ(12b)を備え、メモリ(12b)に格納されたプログラムでマイクロコンピュータ(12a)が動作するようになっている。そして、制御部(12)は、連続した2つの電流パルスについて検出部(11)がそれぞれ検出した2つの電流値に基づいて、以下の〈1〉〜〈3〉のそれぞれの場合に応じて、インバータ回路(4)を過電流から保護する。
検出した2つの電流値が何れも正の場合には、2つの電流値のうち、何れか一方がピーク電流閾値よりも大きい場合にインバータ回路(4)を停止させる。一方、2つの電流値が何れも負の場合には、2つの電流値の絶対値の大きい方が、所定のピーク電流閾値よりも大きい場合に、インバータ回路(4)を停止させる。なお、ピーク電流閾値の設定については後述する。
この場合は、検出した2つの電流値の絶対値の和がピーク電流閾値よりも大きい場合に、インバータ回路(4)を停止させる。絶対値の和で判定する理由については後述する。
ここで、下限閾値とは、検出部(11)において検出可能な負側の限界値以上に設定された閾値であり、負の値である。制御部(12)は、検出した2つの電流値の少なくとも一方が下限閾値よりも小さくなった場合に、上記〈1〉や〈2〉の処理を行うことなく、インバータ回路(4)を停止させる。
マイクロコンピュータ(12a)が行う上記の処理には所定の時間を要し、当該処理中も相電流(直流リンク電流)は流れる。そのため、前記処理が終了した時点の直流リンク電流(Idc)の値がスイッチング素子(Sup,…,Swn)の許容電流よりも小さくなるように、処理開始のタイミング、すなわちピーク電流閾値を定めてやる必要がある。ここで、インバータ回路(4)の出力電圧をV、モータ(7)の各巻き線の合成インダクタンスをL、制御部(12)における処理時間(以下では遅れ時間ともいう)をtとすると、この遅れ時間(t)に、次の式1で示した直流リンク電流(Idc)が流れる。
例えば制御部(12)における処理時間が一定であるとすれば、式1から分かるように、出力電圧(V)が大きいほど、処理終了時の直流リンク電流(Idc)も大きくなる。したがって、電力変換装置(1)の出力電圧の最大値に合わせてピーク電流閾値を定めておけば、処理終了時の直流リンク電流(Idc)を確実に前記許容電流以下にすることが可能になる。
〈インバータ制御の概要〉
インバータ制御部(5)が行うPWM制御は、従来のインバータ回路で行われるPWM制御と同じである。図3は、キャリア信号の1周期中に、上アーム側の各スイッチング素子(Sup,Svp,Swp)にそれぞれ与えるゲート信号(Gup,Gvp,Gwp)の波形とシャント抵抗(Rsh)における電圧波形を説明する図である。この図では、ゲート信号(Gup,Gvp,Gwp)がハイレベルに表示されている場合には、その信号に対応した上アーム側のスイッチング素子がオン、それと対になる下アーム側のスイッチング素子がオフであることを示している。逆に、ゲート信号(Gup,Gvp,Gwp)がローレベルに表示されている場合には、そのゲート信号に対応した上アーム側のスイッチング素子がオフ、それと対になる下アーム側のスイッチング素子がオンであることを示している。
ソフトOCP装置(10)では、まず、前記出力電圧に応じて、ピーク電流閾値を設定する。具体的には、本実施形態の制御部(12)(より詳しくはマイクロコンピュータ(12a))は、テーブルに定義されている出力電圧のうち、目標の出力電圧よりも大きいものなかから最小のものを選択する。そして、選択した出力電圧に対応したピーク電流閾値を、目標の出力電圧に対するピーク電流閾値として設定する。なお、ピーク電流閾値の設定は、インバータ回路(4)の出力電圧が変更される度に、マイクロコンピュータ(12a)が、メモリ(12b)内のテーブルを検索し、必要がある場合にはその値を変更する。このようにピーク電流閾値の値が設定されると、制御部(12)は、検出部(11)が検出した電流値をモニターし、インバータ回路(4)を過電流から保護する。具体的には、シャント抵抗(Rsh)において検出された連続した2つの電流パルスの電流値に応じ、制御部(12)は以下のように動作する。
図4は、相電流(Iu)及び相電流(Iw)が共に正の値の場合の電流波形の例である。図4の例では、電流ピーク値は相電流(Iw)の電流値である。この場合には、2つの電流値のうち、何れか一方がピーク電流閾値よりも大きい場合に、マイクロコンピュータ(12a)はインバータ回路(4)を停止させる。図4の例では、制御部(12)は、相電流(Iu)又は相電流(Iw)が、ピーク電流閾値よりも大きい場合に、インバータ回路(4)を停止させる。
モータ(7)のロータ位置と各巻線への通電の同期がずれると、例えば図6に示すように、相電流(Iu)が負の値で相電流(Iw)が正の値となる場合がある。この場合には、電流ピーク値は、同図に示すように、電流波形に現れたボトムからトップまでの差分となる。図6の例では、相電流(Iu)が流れているときが前記ボトムであり、相電流(Iw)が流れているときが前記トップである。すなわち、電流ピーク値は、相電流(Iu)の絶対値(a1)と相電流(Iw)絶対値(a2)の和となる。
上記の〈1〉や〈2〉の場合において、電流値として負の値が検出されると、〈1〉や〈2〉で説明した上記処理に先立って、マイクロコンピュータ(12a)は、その負の値と、下限閾値とを比較する。比較の結果、その電流値(負の値)が下限閾値以下の場合には、マイクロコンピュータ(12a)は上記〈1〉ないし〈2〉の処理を行うことなく直ちに、インバータ制御部(5)を介してインバータ回路(4)を停止させる。すなわち、このソフトOCP装置(10)では、上記〈1〉や〈2〉の処理が確実に行えない場合にもインバータ回路(4)の過電流保護が担保されているのである。
以上のように、ソフトOCP装置(10)では、連続した2つの電流パルスの電流値が互いに異符号の場合には、2つの電流値の絶対値(a1,a2)の和を求めて、電流ピーク値を算出している。したがって、本実施形態によれば、前記2つの電流パルス(相電流)のそれぞれの電流絶対値(a1,a2)が互いに異符号の場合にも電流ピーク値を、正確に求めることができ、インバータ回路を確実に過電流から保護することが可能になる。
なお、検出部(11)では、シャント抵抗(Rsh)の代わりに、ホール素子を用いた電流検出トランス(いわゆるホールCT(Current Transformer))を用いてもよい。
3 直流リンク部
4 インバータ回路
10 ソフトOCP装置(過電流保護装置)
11 検出部
12 制御部
20 検出回路
21 比較回路
Rsh シャント抵抗
Claims (6)
- 直流をスイッチングして交流に変換するインバータ回路(4)を過電流から保護する過電流保護装置であって、
前記インバータ回路(4)に直流を供給する直流電源(2)と該インバータ回路(4)とを接続する直流リンク部(3)における電流パルスの電流値を検出する検出部(11)と、
連続した2つの電流パルスについて前記検出部(11)がそれぞれ検出した2つの電流値が、互いに異符号で且つそれぞれの絶対値(a1,a2)の和が所定のピーク電流閾値よりも大きい場合に、前記インバータ回路(4)を停止させる制御部(12)と、
を備えたことを特徴とする過電流保護装置。 - 請求項1の過電流保護装置において、
前記制御部(12)は、前記インバータ回路(4)の出力電圧に応じて前記ピーク電流閾値を変更することを特徴とする過電流保護装置。 - 請求項1又は請求項2の過電流保護装置において、
前記制御部(12)は、前記2つの電流値が何れも負の場合には、該電流値の絶対値(a1,a2)の大きい方が前記ピーク電流閾値よりも大きい場合に前記インバータ回路(4)を停止させることを特徴とする過電流保護装置。 - 請求項1から請求項3のうちの何れか1つの過電流保護装置において、
前記制御部(12)は、前記検出部(11)が検出した電流値が、該検出部(11)において検出可能な負側の限界値以上に設定された下限閾値よりも小さくなった場合に、前記インバータ回路(4)を停止させることを特徴とする過電流保護装置。 - 請求項1から請求項4のうちの何れか1つの過電流保護装置において、
前記検出部(11)は、前記直流リンク部(3)に設けた、シャント抵抗(Rsh)、又はホール素子を用いた電流検出トランスにより前記電流値を検出することを特徴とする過電流保護装置。 - 請求項1から請求項5のうちの何れか1つの過電流保護装置において、
ハードウエアで構成され、前記直流リンク部(3)における電流パルスの電流値が前記所定の閾値を超えた場合に前記インバータ回路(4)を停止させる信号を出力する過電流保護回路(20,21)を備えたことを特徴とする過電流保護装置。
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