以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
図1に示すように、遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。なお、本実施例のパチンコ遊技機は、機外に賞球を払出す構成となっているが、所定数の遊技球を機内に封入し、発射した遊技球を遊技機内で回収して循環的に使用することで遊技を行う封入式遊技機としても何ら問題なく本発明の効果を発揮する。
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には図示しない多数の遊技釘4が打ち付けられている。遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり演出図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11と第2始動口12とが配置され、センターケース5の左方には、普通図柄作動ゲート17が配置されている。第2始動口12は開閉可能な羽根部材を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。
遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、第1特別図柄保留数表示装置18と、第2特別図柄保留数表示装置19と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9・第2特別図柄表示装置10とが配置されている。この位置に配置された第1特別図柄表示装置9と、第2特別図柄表示装置10とに表示される図柄を遊技者が確実に確認することは難しく、中央の演出図柄表示装置6の表示内容を注視しながら遊技を進行することになる。
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
上記のように遊技盤1を構成することによって、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ17a(図4参照)が遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置7で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図4参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bを駆動させると、ほぼ同期して第2始動口12を構成する普通電動役物の羽根部材が駆動して、第2始動口12への入球(第2特別図柄始動スイッチ12a(図4参照)での遊技球検出)が可能となるように構成されている。
第1始動口11に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ11a(図4参照)が遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口12(普通電動役物)に遊技球が入球(第2特別図柄始動スイッチ12a(図4参照)が遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄の変動に連動した擬似図柄の演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動表示を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド14b(図4参照)を駆動させる。大入賞口ソレノイド14bを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口14の扉部材が駆動して、大入賞口14への入球(カウントスイッチ14a(図4参照)での検出)が可能となるように構成されている。
続いて、図3に本実施例におけるパチンコ機の裏面図を示し説明する。パチンコ機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子78には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータへ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
続いて、図4に本実施例におけるパチンコ機の電気配線を示すブロック図を示し説明する。図4には煩雑になる電源の供給系統に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には、電源装置(図示せず)から直接的又は間接的に供給される構成となっている。
パチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が遊技盤中継端子板74を介して入力される。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータに送られる。
払出制御装置81は、主制御装置80と双方向通信が可能に構成され、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を駆動させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット24(プリペイドカードユニット)と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。尚、払出制御装置81と発射制御装置84とは払出制御装置81から発射制御装置84への一方向通信回路として構成されている。
サブ制御装置に該当するサブ統合制御装置83は、CPU、ROM、RAM等の電気部品を備え、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力及び演出ボタン67、ジョグダイヤル68の入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
サブ統合制御装置83には、音量調節83a、遊技者が操作可能な演出ボタンの操作を検出する演出ボタンスイッチ67aなどの操作信号が入力される。そしてサブ統合制御装置83は、スピーカ66を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ26の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置82へキャラクタなどを表示する擬似演出や特図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送られてくるコマンドに応じて演出図柄表示装置6のLCDパネルの表示を制御する。
次に、遊技機の作動内容について説明する。本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成され、第1始動口11及び第2始動口12への遊技球入球に基づく当否判定は、通常(低)確率遊技状態と、該通常確率遊技状態に比べて大当りとなる確率が高い高確率遊技状態(確変状態)とのいずれかの遊技状態で実施される。本実施例では通常確率が1/300、高確率が1/30に設定されている。
また、普通電動役物(第2始動口12)の作動契機と作動時間を変化させる開放延長機能を備えており、開放延長機能未作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物は0.2秒の開放動作を1回行い、開放延長機能作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物は1.8秒の開放動作を2回行うよう設定されている。また、開放延長機能が作動する遊技状態での第1及び第2特別図柄の変動パターン(変動時間)は、開放延長機能が未作動時の遊技状態で使用する変動パターン選択テーブルよりも平均変動時間が短くなるように設定された変動パターン選択テーブルを用いて選択される構成となっている。これにより、開放延長機能作動時の単位時間あたりの特別図柄の変動回数が、開放延長機能未作動時よりも増加する構成(時短機能)となっており、この時短機能は、開放延長機能の作動開始と終了の契機を同じくして作動する。
尚、開放延長機能作動時には、普通図柄の変動時間を短縮(単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加)する時短機能も作動する構成となっている。具体的には、開放延長機能未作動時となる通常時の普通図柄の変動時間は6.2秒に設定され、開放延長機能作動時の普通図柄の変動時間は0.7秒に設定されている。これにより、開放延長機能作動時では単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加し、普通電動役物の作動契機を大きく増加させている。これにより、単位時間当たりの普通電動役物への入球率が増加し、第2特別図柄の変動回数が増えるとともに持球の減少が抑えられる。
次に、作動の詳細を主制御装置80で実行されるプログラム処理に基づいて説明する。図5は主制御装置80で実行される「メインルーチン」のフローチャートを示す。「メインルーチン」はマイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、ほとんどが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
S10が否定判定、即ち、正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(初期乱数更新処理(S80))に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数1更新処理(S30)、大当り図柄決定用乱数2更新処理(S35)、小当り図柄判定用乱数更新処理(S40)、当り決定用乱数更新処理(S45)、リーチ判定用乱数更新処理(S50)、変動パターン決定用乱数更新処理(S55)が行われる。
続く入賞確認処理(S60)では、第1始動口11、第2始動口12への入賞、及び普通図柄作動ゲート17への入球、及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。続いて、当否判定処理(S65)、画像出力処理等の各出力処理(S70)、不正監視処理(S75)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S80)をループ処理する。
次に図6に示したフローチャートを用いて、主制御装置80が実行する始動入賞処理を説明する。始動入賞処理は、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得する当否乱数等の種々の乱数を、保留記憶として主制御装置80に格納(記憶)する処理となり、本発明の数値データ抽出手段と保留記憶手段とを含む。また本処理では、記憶した乱数が予め設定された値か否かを、後述する当否判定処理を実施する以前に判定する先読判定処理を行い、これは、本発明の数値データ確認手段に相当する。また、始動入賞処理では、第1始動口11及び第2始動口12への入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置83に送信する処理を行う。以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
本実施形態においては、普通図柄保留数表示装置8、第1特図保留数表示装置18、第2特図保留数表示装置19による各々の点灯数の最大個数は4個(最大保留記憶数が4個)となっているが、これに限るわけではなく、例えばそれぞれの最大記憶個数が8個であってもよい。また、それぞれの保留記憶数が0であっても、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入賞したとき、又は普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球したときに取得される当否乱数等の種々の乱数は、最大値未満の記憶数がある場合と同様に主制御装置80に格納される。
始動入賞処理を開始すると、第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。否定判定なら(S100:no)S130に進み、肯定判定なら(S100:yes)、主制御装置80に格納されている第1保留記憶の数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S105)。否定判定なら(S105:no)S130に進み、肯定判定であれば(S105:yes)、抽出した大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数1、大当り図柄決定用乱数2、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を第1保留記憶として記憶し(本発明の数値データ抽出手段と保留記憶手段とに相当)、第1保留記憶の数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S110)。
S110に続いては、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S115)(本発明の数値データ確認手段に相当)。具体的には、大当り判定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、小当りを生起する値か否かを確認し、ハズレならリーチ決定用乱数がスーパーリーチとなる値か否かを確認する。スーパーリーチでなければ、リーチとなる値か否かを確認し、変動パターン決定用乱数の値から変動時間を確認する。上記判定を行うことによって、記憶した乱数値が、遊技者が大当りの期待が持てる特定の値か否か(はずれでも大当りを期待させる演出が可能な否か)を確認する。
続いて、S115の判定結果に基づいて第1先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S120)(先読判定コマンド送信手段)、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S125)(保留記憶数コマンド送信手段)。
S125の処理、又はS100、S105の否定判定(S100:no、S105:no)に続いては、第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)、S160に進み、肯定判定なら(S130:yes)、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S135)。否定判定なら(S135:no)、S160に進み、肯定判定であれば(S135:yes)、抽出した大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数1、大当り図柄決定用乱数2、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を第2保留記憶として記憶し(本発明の数値データ抽出手段と保留記憶手段とに相当)、第2保留記憶数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し(S140)、S110と同様に記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S145)(本発明の数値データ確認手段に相当)。
続いて、S145の判定結果に基づいて第2先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S150)、S140で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S155)、S160に進む。
S160では、普通図柄作動スイッチ17aが遊技球を検出したか否か判定する(S160)。否定判定なら(S160:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S160:yes)、主制御装置80に格納されている普図保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S165)。否定判定なら(S165:no)リターンに抜け、肯定判定であれば(S165:yes)、抽出した当り判定用乱数と当り図柄決定用乱数とを普図保留記憶として記憶し、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S170)、加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S175)、リターンする。
サブ統合制御装置83は第1及び第2保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置6上で表示する保留図柄(本発明の保留図柄に相当)の数を変化させる指示信号を演出図柄制御装置82に送信する。また、本実施例では、演出図柄表示装置6上では普通図柄の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置に送信する構成も考えられる。これにより、普通電動役物(第2始動口12)の開放を期待させる先読予告演出の実施が可能となる。
次に、図7に示したフローチャートを用いて主制御装置80が実行する当否判定処理を説明する。本処理は、本発明の当否判定手段,大当り遊技内容決定手段,遊技状態決定手段を含む処理となる。本処理を開始すると、特図(第1又は第2特別図柄)の始動条件が成立しているか否か判定する(S200)。S200の判定では、大当り遊技中でないこと、第1特別図柄及び第2特別図柄が変動中又は確定表示中でないことを確認する。否定判定なら(S200:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S200:yes)、第2保留記憶が有るか否か判定し(S205)、肯定判定なら(S205:yes)、S215に進み、否定判定なら(S205:no)第1保留記憶が有るか否か判定する(S210)。S210が否定判定なら(S210:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S210:yes)、S215に進む。S205とS210の判定順により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する構成となっている。尚、本実施例では、特別図柄が複数(第1特別図柄と第2特別図柄)の構成となっているが、特別図柄を1つとした構成であっても本願発明の効果に何ら変わりない。
S215では確変フラグの値が0か否か判定する(S215)。確変フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、値が「0」のときは、大当り確率が通常遊技状態中(通常確率)であることを、値が「1」のときは、確変遊技状態中(高確率)であることを主制御装置80が判断するための値である。肯定判定なら(S215:yes)S220に進み、否定判定なら(S215:no)高確率中の処理に進む。高確率中の処理は、大当り確率のみが異なる処理となるため説明は割愛する。S220では、保留記憶のシフト処理を行い(S220)、これにより最も古い保留記憶を当否判定の対象とするとともに、保留記憶数を示す保留記憶カウンタから1を減算する。
続く、大当り判定用乱数比較処理(S225)では、当否判定の対象とした保留記憶の大当り判定用乱数値と予め設定された当否判定テーブルとを比較して、判定対象の乱数値が当否判定テーブル内の判定値と一致するか比較する。当否判定テーブルは通常確率(低確率1/300)用と高確率(1/30)用の2種類のテーブルが設定してあり、当否判定時の遊技状態が通常遊技(確変フラグ「0」)であれば通常確率用の当否判定テーブルを用いて比較し、高確率の遊技状態(確変フラグ「1」)であれば高確率用の当否判定テーブルを用いて比較する(本発明の当否判定手段に相当)。
続くS230の処理では、大当り判定用乱数の比較処理(S225)の結果が大当り(判定値と同一)であるか否か判定する(本実施例では1/300)。肯定判定なら(S230:yes)、図柄モード設定処理を行う(S235)。図柄モード設定処理では、当否判定の対象とした保留記憶の種類(第1保留記憶又は第2保留記憶)と、判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態を決定する図柄モードを設定する(S235)(本発明の大当り遊技内容決定手段,遊技状態決定手段に相当)。続いて、設定した図柄モードの種類と判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数2に基づいて大当り図柄選択処理を行う(S240)。これは、図柄モードの設定によって決定した大当りの種類(大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態)と大当り図柄との関連付けを行うために、図柄モードの種類毎に設定された図柄郡の中から表示する図柄を決定する処理となる。
なお、本実施例においては、第1特図表示装置9と第2特図表示装置10とに表示する大当り図柄は、後述する図14に示す大当り遊技の内容及び大当り遊技終了後の遊技状態と関連付けされた設定となっているが、演出図柄表示装置6に表示される擬似図柄の大当り図柄の種類とは関連付けされておらず、擬似図柄の大当り図柄から大当り遊技の内容、及び大当り遊技終了後の遊技状態を判断することはできない。また、上述したように、第1特図表示装置9と第2特図表示装置10とは遊技者の確実な視認が困難な位置に配置されているのに加え、表示される大当り図柄自体の表示態様が、他の大当り図柄との判別が困難(見分けるのが困難)な態様となっている。従って遊技者は、大当り図柄が発生しても、引き続き実施される大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態とは、大当り遊技を進行しなければわからない構成となっている。
次にS235で設定した図柄モードに基づいてモードバッファ設定処理を行う(S245)。モードバッファは当否判定時に決定した大当り遊技終了後の遊技状態の内容を、該遊技状態を設定する大当り遊技終了時まで記憶する装置である(大当り遊技中は遊技状態を設定する確変フラグ及び時短フラグをクリアする必要があるため)。モードバッファとしては、具体的な遊技内容(確変機能および開放延長機能(時短機能)の作動とその作動回数)は記憶せず、複数種類の具体的な遊技内容のそれぞれに対応した値を記憶する構成となっている。
次に、S235で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる大入賞口の開放パターン設定処理を行い(S250)、当否判定の対象とした保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10、及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを、変動パターン選択テーブルから選択する(S255)。
次に、選択した大当り図柄および変動パターンの情報を、変動指示信号(変動指示コマンド)としてサブ統合制御装置83へ送信する(S260)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置52は演出図柄表示装置6を制御し、大当り図柄および変動パターンの情報に対応する図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
S230が否定判定、即ちハズレなら(S230:no)、大当り判定用乱数の比較処理(S225)の結果が小当りであるか否か判定し(1/150)(S265)、肯定判定なら(S265:yes)、小当り図柄を選択し(S270)、続いて小当り遊技の開放パターン設定処理を行い(S250)、小当り図柄に対応する変動パターン選択処理を行い(S255)、小当り図柄および変動パターンの情報となる変動指示信号(変動指示コマンド)をサブ統合制御装置83へ送信する(S260)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、小当り図柄および変動パターンの情報に対応する図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
S265が否定判定なら(S265:no)、ハズレ図柄を選択し(S275)、続いてハズレ図柄に対応する変動パターン設定処理を行い(S255)、ハズレに関する図柄及び変動パターンの情報となる変動指示信号(変動指示コマンド)をサブ統合制御装置53へ送信する(S260)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、ハズレ図柄および変動パターンの情報に対応する図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に主制御装置80は、第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
以上が当否判定処理の説明となる。本実施例では、図6に示したように、始動入賞処理時に当否判定結果を報知する図柄の種類と変動パターンを選択する乱数(大当り図柄決定用乱数1、大当り図柄決定用乱数2、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数)を取得したが、これらの乱数を当否判定処理時に取得する構成であってもよい。
次に、図8に示したフローチャートを用いて主制御装置80が実行する特別図柄確定処理を説明する。本処理を開始すると、S255で選択した第1又は第2特別図柄の変動パターンが示す変動時間が経過したか否か判定する(S300)。否定判定なら(S300:no)リターンし、肯定判定なら(S300:yes)、確定コマンドをサブ統合制御装置83へ送信するとともに図7のS240,S270,又はS275で選択された図柄を第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に確定表示し、サブ統合制御装置83からの指示に基づいて演出図柄表示装置6の図柄を確定表示する(S305)。
続いて、第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に確定表示した図柄が大当り図柄か否か判定する(S310)。肯定判定なら(S310:yes)、大当りフラグに「1」をセットし(S315)リターンに抜ける。S310が否定判定なら(S310:no)、確定表示した図柄が小当り図柄か否か判定し(S320)、肯定判定なら(S320:yes)、小当りフラグに「1」をセットする(S325)。S320の否定判定(S320:no)、又はS325に続いては、リターンに抜ける。
次に、図9に示すフローチャートを用いて主制御装置80が行う特別遊技開始処理を説明する。本処理を開始すると、大当りフラグが1か否か判定し(S350)、肯定判定なら(S350:yes)、図7のS250で設定された開放パターンに従って、条件装置および役物連続作動装置を作動して大当り遊技を開始する大当り遊技設定処理を行う(S355)。続くS360〜S375では、当否判定時の遊技状態を示す時短フラグ、時短カウンタ、確変フラグ、確変カウンタをクリアする。S350が否定判定なら(S350:no)、小当りフラグが「1」か否か判定し(S385)、否定判定なら(S385:no)リターンし、肯定判定なら(S385:yes)、図7のS250で設定された開放パターンに従って、小当り遊技の遊技内容を設定し、小当り遊技を開始し(S390)、S375又はS390に続いては、当り開始演出指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する処理を行い(S380)リターンする。
次に、図10から図13を用いて主制御装置80が実行する特別遊技処理を説明する。本処理は、当否判定処理(図7)のS250で設定された開放パターンに基づいて実施される処理であり、本発明の大当り遊技実行手段に相当する。本処理を開始すると、役物連続作動装置が作動中か否か判定する(S400)。否定判定なら(S400:no)リターンし、肯定判定なら(S400:yes)、大入賞口14が開放中か否か判定する(S405)。否定判定なら(S405:no)、インターバル中か否か判定し(S410)、インターバル中でなければ(S410:no)、大当り終了演出中か否か判定し(S415)、大当り終了演出中でなければ(S415:no)、大当り開始演出時間が終了したか否か判定し(S420)、大当り開始演出時間が終了していなければ(S420:no)リターンし、終了していれば(S420:yes)、大入賞口14を開放させる処理を行い(S425)、サブ統合制御装置83に開放開始情報を送信し(S430)リターンする。
S405が肯定判定、即ち、大入賞口14が開放中なら(S405:yes)、図11のS450に進み、カウントスイッチ14aが遊技球を検出したか否か判定する(S450)。肯定判定なら(S450:yes)、大入賞口14に規定入賞数(9個)の入賞があったか否か判定し(S455)、S450又はS455が否定判定なら(S450:no:S455:no)、大入賞口14の開放時間が終了したか否か判定し(S460)、否定判定なら(S460:no)リターンする。S455、又はS460が肯定判定なら(S455:yes、S460:yes)、大入賞口14を閉鎖する処理を行い(S465)、サブ統合制御装置83へ大当りインターバル演出の開始を指示するコマンドを送信する大当りインターバル処理を行って(S470)リターンする。
図10に戻り、S410が肯定判定、即ち、インターバル中なら(S410:yes)、図12のS500に進み、大当りインターバル時間が終了したか否か判定し(S500)、否定判定なら(S500:no)リターンする。肯定判定なら(S500:yes)、S250で設定された大当り遊技の最終ラウンドが終了したか否か判定し(S505)、肯定判定なら(S505:yes)、サブ統合制御装置83に大当り終了演出を指示するコマンドを送信して大当り遊技を終了し(S510)リターンする。否定判定なら(S505:no)、サブ統合制御装置83に開始するラウンドの演出開始指示コマンドを送信するとともに大入賞口14の開放処理を行って(515)リターンする。
図10に戻り、S415が肯定判定、即ち、大当り終了演出中なら(S415:yes)、図13のS550に進み大当り終了演出の時間が終了したか否か判定する(S550)。否定判定なら(S550:no)リターンし、肯定判定なら(S550:yes)、役物連続作動装置の作動を停止する処理を行い(S555)、条件装置の作動を停止する処理を行う(S560)。
続いては、当該処理中の大当りを生起させた当否判定処理のS245(図7)で設定したモードバッファを参照し(S575)、確変フラグ,確変カウンタ,時短ラグ,時短カウンタを設定し(S580,S585,S590,S595)、モードバッファのクリアを行う(S600)。続いて、サブ統合制御装置83へ大当り終了コマンドを送信し(S605)、大当りフラグをクリアして(S610)リターンする。
以上が本実施例において主制御装置80が実行する特別遊技処理となるが、S235(図7)で設定された図柄モードによって大当り図柄の種類に応じて実施される大当り遊技の内容、及び大当り遊技終了後の遊技状態について図14の図表を用いて説明する。
図表に示すように、大当り図柄(特別図柄)の種類に応じて実施される大当りの種類は、大当り1から大当り6の6種類となる。この6種類の大当りは、大当り遊技の内容が3種類に分類でき、最終ラウンドの違いによって獲得可能な賞球数が3種類に分かれる。詳しくは、大当り1と大当り4とでは、大当り遊技を行うラウンド数が4ラウンド(最終ラウンドが4ラウンド)となり、その場合に遊技者が獲得可能な賞球数は約540個となる。なお、大入賞口14の1ラウンドの規定入賞数は9個に設定され、遊技球1個の大入賞口14への入賞に対する賞球数の払い出しは15個となっている。
大当り2と大当り5とでは、大当り遊技を行うラウンド数が10ラウンド(最終ラウンドが10ラウンド)となり、その場合に遊技者が獲得可能な賞球数は約1350個となる。また、大当り3と大当り6とでは、大当り遊技を行うラウンド数が16ラウンド(最終ラウンドが16ラウンド)となり、その場合に遊技者が獲得可能な賞球数は約2160個となる。大当り遊技の内容がこのように設定されていることにより、大当り遊技3,6、大当り遊技2,5、大当り遊技1,4の順に遊技者には有利な大当りとなる。
また、大当り遊技終了後の遊技状態の種類は2種類となる。詳しくは、大当り1から大当り3の大当り遊技終了後は、通常(低)確率状態で特図が100回の変動を行うまで開放延長状態となり、大当り4から大当り6の大当り遊技終了後は、高確率状態で次回の大当りまで開放延長状態となる。従って、大当り4,5,6のいずれかを獲得すれば、次回の大当りがほぼ約束されることになり、大当り出玉の量に拘わらず遊技者に有利な大当りとなる。
次に、図15を用いて、実施例1においてサブ統合制御装置83が実行する変動指示コマンド受信処理を説明する。本処理では、主制御装置80から受信した変動指示コマンド(S260)に応じて、演出図柄表示装置6に表示する演出態様を選択して演出図柄制御装置82に表示指示を行うとともに、演出図柄表示装置6上で疑似図柄の変動表示に合わせて表示するステップアップ演出(表示内容については図を用いて後述)の実施を判断し、実施する場合の表示内容(ステップアップ演出の上昇段階)を、受信した変動指示コマンドの内容(当否判定結果を含む)に応じて決定する。従って本処理は、本発明のステップアップ演出実行手段と、図柄確定前ステップ決定手段と、最終ステップ決定手段とを含む処理となる。
本処理を開始すると、変動指示コマンドを受信したか否か判定し(S700)、否定判定なら(S700:no)リターンし、肯定判定なら(S700:yes)、振り分け乱数を抽出し(S705)、受信した変動指示コマンドの内容と、S705で抽出した振分乱数の値とに基づいて、変動を開始する第1特別図柄(又は第2特別図柄)に対応して演出図柄表示装置6上で演出変動表示を開始する演出表示態様、及び確定表示する擬似図柄をサブ統合制御装置83が記憶する複数種類の演出変動態様、及び擬似図柄の中から選択する(S710)。
S710に続いては、S705で抽出した振分乱数の値が、ステップアップ演出の実効値か否か判定する(S715)。肯定判定なら(S715:yes)、変動指示コマンドの内容を参照し(S720)、変動指示コマンドが大当りを示すか否か判定し(S725)、肯定判定なら(S725:yes)、大当り遊技内容とS710で抽出した乱数値に基づいて大当り遊技中に実施するステップアップ演出の最終段階を選択し(S730)(本発明の最終ステップ決定手段に相当)、選択した最終段階とS710で抽出した乱数値に基づいて、変動する図柄が確定表示を行う前に到達するステップアップ演出の段階を選択する(S735)(本発明の図柄確定前ステップ決定手段に相当)。なお、S725が肯定判定の場合(大当りの場合)は、S730の決定時からS720で参照した大当り遊技の内容(4R、10R、16R)を考慮した決定が行われる。また、S735では大当り図柄が確定する前に、大当り遊技の内容まで示唆するステップアップ演出を実施する場合がある(本発明の「図柄確定ステップ決定手段は、該到達不可段階よりも上位の段階を決定可能とした」に相当)。
S725が否定判定なら(S725:no)、S720で参照した変動指示コマンドの内容と振分乱数に基づいて擬似図柄の演出変動中に実施するステップアップ演出の最終段階を選択する(S740)(本発明の図柄確定前ステップ決定手段及び最終ステップ決定手段に相当)。この選択では、参照した変動指示コマンドの内容が大当りが期待できる演出変動か否かと振り分け乱数値に応じてステップアップ演出の最終段階を選択する。
S735、又はS740に続いては、演出図柄表示装置6上で実施する疑似図柄の演出変動表示に合わせたステップアップ演出の表示を実施する指示信号を演出図柄制御装置82に送信し(S743)、S743、又はS715の否定判定(S715:no)に続いては、S710で選択した演出態様の変動表示を演出図柄表示装置6で開始する指示信号を演出図柄制御装置82に送信し(S745)リターンする。
以上が実施例1においてサブ統合制御装置83が実行する変動指示コマンド受信処理となるが、本実施例では、大当り遊技までステップアップ演出を継続する場合、ステップアップ演出の表示は大当りの確定(特図の確定図柄の表示時)前後においてその表示を一時中断する構成となっている。大当り遊技が開始(大当り遊技開始インターバルが開始)されると中断していたステップアップ演出の表示を再開するが、この再開にあたって、サブ統合制御装置83は、S730で決定した最終段階を大当り遊技中まで記憶している構成とし、大当り遊技を開始すると、記憶している最終段階に基づいてステップアップ演出を再開する構成となっている。
次に、図16を用いて、本実施例においてサブ統合制御装置83が実行する当り開始演出指示コマンド受信処理を説明する。本処理を開始すると、主制御装置80から当り開始演出指示コマンド(図9、S380より送信)を受信したか否か判定し(S750)、否定判定なら(S750:no)リターンし、肯定判定なら(S750:yes)、大当り開始インターバル演出を演出図柄表示装置6に表示する指示信号を演出図柄制御装置82に送信する(S753)。
S753に続いては、当該大当りとなる演出変動の開始時におこなわれた処理(図15、S730)によって、大当り遊技中のステップアップ演出の記憶が有るか否か判定し(S755)、否定判定なら(S755:no)リターンし、肯定判定なら(S755:yes)、当該記憶を参照してステップアップ演出の最終段階を確認し(S760)、該確認内容に基づいてステップアップ演出を演出図柄表示装置6に表示する指示信号を演出図柄制御装置82に送信して(S765)リターンする。なお、ステップアップ演出としては、特別図柄の確定表示が行われる前に、図柄確定前段階として到達した段階をステップアップ演出として表示する。
次に、図17,18を用いて、実施例1におけるステップアップ演出の到達段階の割合を説明する。(1)は、ステップアップ演出が擬似図柄の演出変動開始から擬似図柄の確定前(変動中)に到達する段階の割合を当否判定に応じて示した図表となる。図が示すように、ステップアップ演出が到達する段階は、大当り中に実施する段階を含め最高第10段階までとなり、図柄変動中の到達段階が高いほど大当りの割合が高くなる。具体的には、当否判定がはずれの場合は、図柄確定前に到達する段階が第1段階となる割合が90%。第2段階となる割合が80%。第3段階となる割合が70%。第4段階となる割合が40%。第5段階となる割合が0%。それ以上の段階は0%となり、5段階以上なら当否判定結果は大当りであることを示している。
当否判定が当り(大当り)の場合は、図柄確定前に到達する段階が第1段階となる割合が10%。第2段階となる割合が20%。第3段階となる割合が30%。第4段階となる割合が60%。第5段階以上は100%大当りとなる。従って第1段階でも大当りとなる場合はあるが、擬似図柄の演出変動表示中のステップアップ演出が第5段階まで達した場合は、大当りの確定演出となり、遊技者は大当り図柄の確定表示が行われる以前に大当りとなることがわかる。また、図柄の変動中に第5段階よりも上の段階(具体的には第6段階、又は第7段階)までステップアップした場合は、図柄確定前に大当りの確定を示唆したうえで、さらに大当り遊技の内容(何ラウンド遊技)まで示唆する演出となる。この構成は、本発明の「ステップアップ演出には、前記当否判定手段によってハズレと判定された場合には到達できない到達不可段階を設け、前記図柄確定ステップ決定手段は、該到達不可段階よりも上位の段階を決定可能とした」の構成に相当する。なお、本実施例においては、第8以降の段階は、図柄確定前、即ち図柄の変動中には到達しない構成となっているが、変動中に第8段階以降に達するパターンを設けてもよい。
本実施例においては、図柄の変動中に実施されたステップアップ演出は、当該変動が大当りとなるものであれば、大当り確定前に消えたステップアップ演出が大当り遊技中(詳しくは大当り開始インターバル演出中から)に再開継続する構成となっており、図17(2)の図表は、ステップアップ演出の最終到達段階と、該最終到達段階の表示が図柄変動中かまたは大当り中かの割合を示している。
具体的な内容は、ステップアップ演出の最終到達段階が第1段階であれば、その到達時期は必ず(100%)図柄の変動中となる。最終到達段階が第2段階であれば、その到達時期は90%が図柄変動中、10%が大当り中となる。最終到達段階が第3段階であれば、その到達時期は80%が図柄変動中、20%が大当り中となる。以下、図に示す割合となり、第8段階移行まで到達すれば、その到達時期は必ず(100%)大当り中となる。なお、本実施例では、すべてのステップアップ演出が図柄の変動中から実施され大当り確定をまたいで大当り中に再開する設定となっているが、図柄の変動中には出現せず、大当りが開始されてから出現する演出パターンを備える構成としてもよい。
図18(3)は、大当り遊技の内容の違いに応じた最終到達段階の割合となり、具体的な設定内容は、大当りとなった場合でもステップアップ演出が第1段階までしか到達しなければ(到達していなければ)、実施される大当り遊技は必ず(100%)最終ラウンドが4ラウンドとなる。大当りとなった場合に実施されたステップアップ演出の最終到達段階が第2段階の場合は、実施される大当り遊技の最終ラウンドは、90%が4ラウンド、残りの10%が10ラウンドとなる。同様に、最終到達段階が第3段階の場合は、実施される大当り遊技の最終ラウンドは、80%が4ラウンド、残りの20%が10ラウンドとなる。
大当りとなった場合に実施されたステップアップ演出の最終到達段階が第4段階の場合は、実施される大当り遊技の最終ラウンドは、60%が4ラウンド、30%が10ラウンド、10%が16ラウンドとなる。以下、図のように設定され、最終到達段階が第10段階であった場合は、必ず(100%)最終ラウンドが16ラウンドとなり、到達段階が高いほど遊技者に有利な16ラウンド遊技が行われることを示唆する。なお、この構成は、本発明の「大当り遊技中に行われる前記ステップアップ演出の到達段階により、前記大当り遊技内容決定手段の決定結果を示唆するようにし、複数種類の大当り遊技には、少なくとも獲得可能な遊技球数が所定数である第1大当り遊技と、獲得可能な遊技球数が該所定数よりも少ない第2大当り遊技とを含み、前記ステップアップ演出実行手段は、前記大当り遊技内容決定手段によって前記第1大当り遊技が決定されると、前記第2大当り遊技が決定された場合よりも高い確率で前記所定の段階までステップアップ演出を実行する」の構成に相当する。
次に、図19から図24を用いて、実施例1において演出図柄表示装置6で実施するステップアップ演出の表示例を説明する。図19は、当否判定結果がはずれの場合の擬似図柄変動時のステップアップ演出の流れを示している。演出図柄表示装置6の画面の基本構成は、画面略中央に左中右の擬似図柄が変動表示を行う擬似図柄表示領域が配置され、その上部に戦闘機が飛行する空の情景が背景となり、本実施例におけるステップアップ演出は、画面右上のステップアップ演出表示領域において行われ、擬似図柄変動中に表示するステップアップ演出の数字は、「最終段階決定」(S740)で決定した段階まで順にステップアップしていく。また、画面の下端に保留図柄表示領域が配置され、左には第1保留記憶の数を示す第1保留図柄が、右には第2保留記憶の数を示す第2保留図柄が表示される。なお、それぞれの保留図柄の数がそれぞれの保留記憶の数を示している。保留図柄表示領域以外の表示領域が演出表示部となる。
(1)は、ステップアップ演出の開始を示す図となる。詳しくは、擬似図柄が変動を開始し、左中右の擬似図柄が高速変動を行っている状態でステップアップ表示領域に「1」が表示される。このように、本実施例のステップアップ演出は、ステップアップ演出表示領域に到達段階を示す数字が表示される。
(2)は、(1)の状態からリーチが成立した状態となる。詳しくは、左右の擬似図柄が揃い(図例では7が揃い)中図柄が高速変動を所定の時間行う。この時のステップアップ演出は、リーチの成立に応じて(又はリーチの成立前に)、数字が「2」に上昇している。
(3)は、(2)の状態からスーパーリーチに発展した状態となる。詳しくは、擬似図柄表示領域が縮小して画面の左上部に移動し、画面のほぼ全域で戦闘機のドッグファイトが表示される。この時のステップアップ演出は、スーパーリーチの成立に応じて(又はスーパーリーチの成立前に)、数字が「3」に上昇している。
(4)は、(3)の状態からハズレ図柄が確定表示された状態となる。詳しくは、画面全域で行われていたドッグファイトで敵戦闘機の撃墜に失敗すると、左上の擬似図柄表示領域が拡大して元の位置に戻るとともに、中擬似図柄がリーチ図柄以外で停止する。この時点でステップアップ演出は、すでに画面から消えている。
ステップアップ演出として表示される数字は、あくまでも大当りの期待度を示唆する表示態様となるが、リーチ演出の発展と関連させてもよく、例えば、ステップアップ演出として「3」が表示された場合は、必ずスーパーリーチに発展する構成としてもよい。
図20から図24は、当否判定結果が大当りの場合の変動中から大当り中にかけてのステップアップ演出の流れを示している。この演出例においても、擬似図柄変動中に表示するステップアップ演出の数字は、「確定前段階決定」(S735)で決定した段階まで順にステップアップした後、大当り遊技中に「最終段階決定」(S730)で決定した段階までステップアップしていく。
図20の(1)(2)は図19の(1)に示した擬似図柄高速変動状態にあたり、図20の(1)(2)では、この間にステップアップ演出「1」が出現するとともに1段階上昇し、ステップアップ演出が「2」に変化している。(3)は、(2)の状態からリーチに発展した状態となり、ステップアップ演出は、リーチの成立に応じて(又はリーチの成立前に)1段階上昇し、「3」に変化している。(4)は、(3)の状態からスーパーリーチに発展した状態となり、ステップアップ演出は、スーパーリーチの成立に応じて(又はスーパーリーチの成立前に)1段階上昇し、「4」に変化している。
続く図21の(5)は、図20(4)の状態から大当り図柄が確定表示された状態となる。この時点では、ステップアップ演出は、すでに画面から消えて一時的に終了している(「4」の状態で一時的に終了)。(6)は、サブ統合制御装置83が実行する当り開始演出指示コマンド受信処理(図16)によって開始した、大当り遊技開始インターバル演出の実施中となり、該実施中において、大当り図柄確定時前後に一時終了(中断)していたステップアップ演出が中断時の「4」から再開されている。
(7)は、大当り遊技の1ラウンド中の表示を示し、この1ラウンド中にステップアップ演出は「5」に上昇している。(8)は、大当り遊技の2ラウンド中の表示を示し、この2ラウンド中にはステップアップ演出は「5」から変化しない。図22(9)は、大当り遊技の3ラウンド中の表示を示し、この3ラウンド中もステップアップ演出は「5」から変化しない。
図22の(10)は、大当り遊技の4ラウンド中の表示を示している。本実施例では、大当り遊技の4ラウンド中と10ラウンド中にラウンド決定演出を実施する構成となっている。ラウンド決定演出は、遊技者が遊技中に確認することが困難な最終ラウンド(何ラウンドまで大当り遊技が継続するか)が、実施中の当該ラウンドか又はそれ以上かを報知する演出となり、本実施例では、当該ラウンド数を示す数字4(10)と他の図柄(例えば、「UP」「?」「more」等)が画面中央で変動し停止する。当該ラウンド数が停止すれば当該ラウンドが最終継続ラウンドであることを、「?」が停止すれば、次回の動作が行われる可能性がある(次回の動作が開始することによって継続を報知)ことを、「UP」「more」が停止すれば大当り遊技が継続することを報知する。
図例では、ラウンド決定演出を実施する4ラウンド中に、ステップアップ演出が「6」に上昇している。
(11)は、4ラウンド中に行われるラウンド決定演出の結果として、当該4ラウンドが最終ラウンドとなる場合の表示例となる。この場合、ラウンド決定演出として画面中央に「4」が停止するが、当該ラウンド決定演出の変動図柄が停止する前にステップアップ演出の表示は終了している。この場合のステップアップ演出の最終到達段階は「6」となり、4ラウンドが終了すると、大当り遊技を終了する。
図23(12)は、4ラウンド中に行われたラウンド決定演出の結果として、5ラウンド以降も大当り遊技が継続する場合(10ラウンド、又は16ラウンドまで)の表示例となる。図例では、ラウンド決定演出として画面中央に「UP」が停止し、当該ラウンドが終了しても大当り遊技が継続することを報知している。この場合のステップアップ演出は、ラウンド決定演出中に表示されていた(図22(10)参照)「6」の表示を継続して行っている。
(13)(14)(15)は、それぞれ大当り遊技の5ラウンド中,6ラウンド中,7ラウンド中を示している。具体的には、5ラウンド中においてステップアップ演出の表示が1段階上昇し「7」に変化すると、6ラウンド中と7ラウンド中とは、「7」を維持して表示している。
図24(16)は、大当り遊技の8ラウンド中の表示を示し、この8ラウンド中にステップアップ演出は「8」に上昇している。(17)は、大当り遊技の9ラウンド中の表示を示し、この9ラウンド中にもステップアップ演出は「9」に上昇している。(18)は、大当り遊技の10ラウンド中の表示を示し、この10ラウンド中は、4ラウンドと同様のラウンド決定演出を実施する。ラウンド決定演出の実施中は、ステップアップ演出として前ラウンドから引き続き「9」を表示している。
(19)は、10ラウンド中に行われたラウンド決定演出の結果として、次の11ラウンド以降も、即ち最終16ラウンドまで大当り遊技が継続する場合の表示例となる。図例では、ラウンド決定演出として画面中央に「more」が停止し、大当り遊技が継続することを報知している。この場合のステップアップ演出は、ラウンド決定演出中に実施中に終了している。以降のラウンドにおいては、既に最高回数である16ラウンドまでの継続が報知されたため、最高継続数を示唆するステップアップ演出は行われない。また、ラウンド決定演出において、当該10ラウンドが最終ラウンドであることが報知された場合、(11)と同様に、ラウンド決定演出の変動図柄が停止する前にステップアップ演出の表示は終了している。
次に実施例2について説明する。本実施例に於いて遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通である。従って、重複する部分は実施例1を援用して説明を進める。本実施例では、ステップアップ演出の開始時期と表示箇所が実施例1とは異なる内容となっている。詳しくは、保留記憶が発生した時点から当該保留記憶の大当りの期待度を示唆するステップアップ演出を開始し、尚且つ変動表示中、及び大当り遊技中においても、実施例1とは異なる表示領域においてステップアップ演出を継続する構成となっている(本発明の請求項5及び請求項6の構成に相当)。
実施例1で説明した図1から図14までは、共通内容であるため説明は援用とし、図25から図34を用いて実施例2を説明する。図25が示すフローチャートは、サブ統合制御装置83が実行する保留数指示コマンド受信処理となる。本処理を開始すると、保留数指示コマンドを受信したか否か判定する(S800)。否定判定なら(S800:no)、リターンし、肯定判定なら(S800:yes)、サブ統合制御装置83が備える保留数カウンタに+1し(S805)、演出図柄制御装置82に演出図柄表示装置6の保留図柄表示領域に表示する保留記憶数(詳しくは、保留図柄の数)を指示する保留数表示信号を送信し(S810)、リターンする。
次に、図26を用いてサブ統合制御装置83が実行する先読判定コマンド受信処理を説明する。本処理では、主制御装置80から受信した先読み判定コマンド(S120、S150)に応じて、演出図柄表示装置6の保留図柄表示領域と後述する特別表示領域とに表示される保留図柄の表示態様を変化させるステップアップ演出(表示内容については図を用いて後述)の実施を判断し、実施する場合の表示内容(ステップアップ演出の上昇段階)を、受信した先読判定コマンドの内容(当否判定結果を含む)に応じて決定する。従って本処理は、本発明のステップアップ演出実行手段と、図柄確定前ステップ決定手段と、最終ステップ決定手段と、ステップアップ実行手段とを含む処理となる。
本処理を開始すると、先読判定コマンドを受信したか否か判定する(S850)。否定判定なら(S850:no)、リターンし。肯定判定なら(S850:yes)、振分乱数2を抽出し(S855)、抽出した振分乱数の値がステップアップ演出の実効値か否か判定する(S860)。否定判定なら(S860:no)リターンし、肯定判定なら(S860:yes)、先読み判定コマンドの内容を参照し(S865)、大当りを示すか否か判定し(S870)、肯定判定なら(S870:yes)、大当り遊技終了後の遊技状態とS855で抽出した遊技状態とに基づいて、大当り遊技中に実施するステップアップ演出の最終段階を選択し(S875)(本発明の最終ステップ決定手段に相当)、S875の選択とS855で抽出した乱数値に基づいて、先読み判定を行った保留記憶の当否判定結果となる大当り図柄の確定表示を行う前に到達するステップアップ演出の段階を選択する(S880)(本発明の図柄確定前ステップ決定手段に相当)。なお本実施例においても、S865が肯定判定の場合(大当りの場合)は、S875とS880との決定はS865で参照した大当り遊技終了後の遊技状態を考慮して行われる。詳しくは、大当り図柄が確定する前に、大当り遊技終了後の遊技状態まで示唆するステップアップ演出を実施する場合がある(本発明の「図柄確定ステップ決定手段は、該到達不可段階よりも上位の段階を決定可能とした」に相当)。
S870が否定判定なら(S870:no)、S865で参照した先読み判定コマンドの内容と振分乱数に基づいて、先読み判定を行った保留記憶の当否判定結果が報知されるまでに実施するステップアップ演出の最終段階を選択する(S885)(本発明の図柄確定前ステップ決定手段及び最終ステップ決定手段に相当)。この選択では、参照した先読み判定コマンドの内容が大当りが期待できる内容か否かと振り分け乱数値に応じてステップアップ演出の最終段階を選択する。
S880、又はS885に続いては、先読み判定を行った保留記憶に対応する保留図柄の表示態様を変化させるステップアップ演出図の実施を指示する指示信号を演出図柄制御装置82に送信し(S890)リターンする。
以上が実施例2においてサブ統合制御装置83が実行する先読判定コマンド受信処理となる。本実施例では、大当り遊技までステップアップ演出が継続する場合、当該ステップアップ演出自体が擬似図柄の演出表示を行う表示領域とは異なる保留図柄表示領域で行われるため、保留記憶の発生時から大当り遊技中にかけて、中断することなく長期間ステップアップ演出を継続する構成となっている。従って、本実施例では、保留図柄表示時から該保留図柄に対応した保留記憶に基づく大当り遊技中まで継続して実施される長期間のステップアップ演出の内容は、該保留記憶の先読み判定時に決定する構成となっている。
次に、図27,28を用いて、実施例2におけるステップアップ演出の到達段階の割合を説明する。図27(1)は、ステップアップ演出が保留記憶の発生から該保留記憶の当否判定結果が表示されるまでに到達する段階の割合を当否判定に応じて示した図表となる。図が示すように、ステップアップ演出が到達する段階は、大当り中に実施する段階を含め最高第7段階までとなり、当否判定結果が表示されるまでの到達段階が高いほど大当りの割合が高くなる。具体的には、当否判定がはずれの場合は、当否判定結果表示前に到達する段階が第1段階となる割合が80%。第2段階となる割合が70%。第3段階となる割合が60%。第4段階となる割合が0%。それ以上の段階は0%となり、4段階以上なら当否判定結果は大当りであることを示している。
当否判定が当り(大当り)の場合は、当否判定結果表示前に到達する段階が第1段階となる割合が20%。第2段階となる割合が30%。第3段階となる割合が40%。第4,5段階となる割合が100%大当りとなる。従って、当否判定結果表示前のステップアップ演出が第4段階まで達した場合は、大当りの確定演出となり、遊技者は大当り図柄の確定表示が行われる以前に大当りとなることがわかる。また、図柄の変動中に第5段階までステップアップした場合は、図柄確定前に大当りの確定を示唆したうえで、さらに大当り遊技終了後の遊技状態(確変開放延長か通常開放延長か)まで示唆する演出となる。この構成は、本発明の「ステップアップ演出には、前記当否判定手段によってハズレと判定された場合には到達できない到達不可段階を設け、前記図柄確定ステップ決定手段は、該到達不可段階よりも上位の段階を決定可能とした」の構成に相当する。なお、本実施例においては、第6以降の段階は、図柄確定前、即ち当否判定結果表示前には到達しない構成となっているが、変動中に第8段階以降に達するパターンを設けてもよい。
本実施例においては、当否判定結果表示前までに実施されたステップアップ演出は、当該変動が大当りとなるものであれば、該ステップアップ演出が特別表示領域において大当り遊技中まで継続して実施される構成となっており、図27(2)の図表は、ステップアップ演出の最終到達段階と、該最終到達段階の表示が保留図柄の時点か、該保留図柄に基づく変動中(表示は後述する特別表示領域で行われる)か、または該変動後の大当り中かの割合を示している。
具体的な内容は、ステップアップ演出の最終到達段階が第1段階であれば、その到達時期は必ず(100%)保留図柄中(図では保留中)となる。最終到達段階が第2段階であれば、その到達時期は90%が保留図柄中、10%が変動中となる。最終到達段階が第3段階であれば、その到達時期は60%が保留図柄中、30%が変動中、10%が大当り中となる。以下、図に示す割合となり、第7段階移行まで到達すれば、その到達時期は必ず(100%)大当り中となる。なお、本実施例では、すべてのステップアップ演出が保留図柄の時点から実施され特別表示領域を含む保留図柄表示領域で大当り遊技中まで継続して実施されるが、保留図柄時には出現せず、変動中、又は大当りが開始されてから出現する演出パターンを備える構成としてもよい。
図28(3)は、大当り遊技終了後の遊技状態の違いに応じた最終到達段階の割合となり、具体的な設定内容は、大当りとなった場合でもステップアップ演出が第1段階までしか到達しなければ(到達していなければ)、大当り遊技終了後の遊技状態は必ず(100%)通常確率となる。大当りとなった場合に実施されたステップアップ演出の最終到達段階が第2段階の場合も、大当り遊技終了後の遊技状態は(100%)通常確率となる。同様に、最終到達段階が第3段階の場合は、大当り遊技終了後の遊技状態は、90%が通常確率、残りの10%が高確率(確変)となる。以下、図のように設定され、最終到達段階が第7段階であった場合は、必ず(100%)大当り遊技終了後の遊技状態は高確率(確変)となる。なお、この構成は、本発明の「前記大当り遊技中に行われる前記ステップアップ演出の到達段階により、前記遊技状態決定手段の決定結果を示唆するようにし、遊技状態には、少なくとも遊技者に有利な第1遊技状態と、該第1遊技状態よりも遊技者に不利な第2遊技状態とを含み、 前記ステップアップ演出実行手段は、前記遊技状態決定手段によって前記第1遊技状態が決定されると、前記第2遊技状態が決定された場合よりも高い確率で前記所定の段階までステップアップ演出を実行する」の構成に相当する。
次に、図29から図34を用いて、実施例2において演出図柄表示装置6で実施するステップアップ演出の表示例を説明する。図29は、当否判定結果がはずれの場合のステップアップ演出の流れを示している。演出図柄表示装置6の画面の基本構成は、実施例1と同様となるが、ステップアップ演出の表示位置と、保留図柄表示領域内の保留記憶数に応じた保留図柄の表示順が異なる内容となっている。
詳しくは、保留図柄表示領域の中央が、図に示すように特別表示領域(本発明の特別表示領域に相当)となっており、当否判定を開始した保留記憶に対応する保留図柄が擬似図柄の変動開始に合わせて当該特別表示領域に移動し、移動した保留図柄がその表示態様を変化させることによって大当り期待度を示唆する演出を行う構成となっている。また、保留図柄表示領域は大当り確定時から大当り遊技中にかけてもその表示内容を維持する構成となっている。また、保留図柄表示領域では、保留記憶が発生すると中央の特別表示領域に近い位置から順次外側に保留図柄が増加表示されていく構成となっている。
本実施例のステップアップ演出は、上述した保留図柄表示領域内で実施され、詳しくは、保留図柄にステップアップ演出の段階を示す数字が表示され、該保留図柄に対応した保留記憶の期待度を示唆する。また、ステップアップ演出を実施中の保留図柄が変動表示を開始すると、特別表示領域に移動した当該保留図柄上でステップアップ演出が継続して行われ、大当り遊技中もそのまま特別表示領域の保留図柄がステップアップ演出を継続する。
図29,30は、ステップアップ演出を行った保留図柄の当否判定結果がはずれの場合のステップアップ演出の流れを示している。この場合のステップアップ演出の数字は、「最終段階決定」(S885)で決定した段階まで順にステップアップしていく。(1)の表示例は、2個目の第1保留記憶の発生時に、該第1保留記憶の先読み判定の結果に基づいて保留図柄がステップアップ演出を開始した場合となり、保留図柄にステップアップの段階をしめす「1」の表示が開始される。(2)は、(1)の状態から保留図柄が1個減り(ステップアップ演出を行う保留図柄が左隣にシフト)次の変動表示を開始した状態となる。詳しくは、最も古い第1保留記憶の当否判定が実施されたことにより、該第1保留記憶に対応する保留図柄が特別表示領域に移動したことに応じて、それ以降に記憶された保留図柄が中央側に移動している。この時のステップアップ演出は、保留図柄の表示位置が移動したことを契機に「2」に上昇している。
(3)は、ステップアップ演出の対象となる保留記憶が変動を開始したことに応じて、当該保留図柄が特別表示領域に移動した状態となる。この時のステップアップ演出は「2」を維持している。(4)は、(3)からリーチが成立した状態となり、この時のステップアップ演出も「2」を維持している。
図30(5)は、(4)からスーパーリーチに発展した状態となり、この時のステップアップ演出は「3」に上昇している。(6)は、(5)からはずれが確定した状態となり、はずれが確定する前にステップアップ演出は表示を終了している。
図31から図34は、当否判定結果が大当りの場合の変動中から大当り中にかけてのステップアップ演出の流れを示している。この演出例においては、特別表示領域に表示するステップアップ演出の数字は、「確定前段階決定」(S880)で決定した段階まで順にステップアップした後、大当り遊技中に「最終段階決定」(S875)で決定した段階までステップアップしていく。
図31(7)は、図29(3)からリーチに発展した状態となる。この時、特別表示領域のステップアップ演出は、3に変化している。(8)は、スーパーリーチに発展した状態となり、擬似図柄に係る演出内容は実施例1と同様となる。この時のステップアップ演出は、スーパーリーチの成立に応じて(又はスーパーリーチの成立前に)、数字が「4」に発展している。
(9)は、(8)の状態から大当り図柄が確定表示された状態となる。本実施例のステップアップ演出の表示箇所は、演出図柄表示装置6上の擬似図柄の演出に係る表示領域とは異なる保留図柄表示領域(詳しくは演出図柄表示領域内の特別表示領域)で行われる。表示箇所を演出表示部とは無関係の位置としたため、保留記憶の発生時から表示を開始し、擬似図柄の変動中、大当り確定表示中、大当り遊技中とその表示を継続して表示を維持する構成となっている。図例では、ステップアップ演出は「4」を継続して表示している。(10)は、大当り遊技開始インターバル演出の実施中となり、該実施中においてもステップアップ演出を継続して表示し、図例でのその表示内容は「4」の継続表示となっている。
図32(11)は、大当り遊技の1ラウンド中の表示を示し、この1ラウンド中もステップアップ演出は「4」を表示している。(12)は、大当り遊技の2ラウンド中の表示を示し、この2ラウンド中にはステップアップ演出は「5」に変化している。(13)は、大当り遊技の3ラウンド中の表示を示し、この3ラウンド中もステップアップ演出は「5」から変化しない。
図33の(14)は、大当り遊技の4ラウンド中の表示を示している。本実施例では、大当り遊技の4ラウンド中と10,16ラウンド中に確変決定演出を実施する構成となっている。確変決定演出は、遊技者には確認が困難な大当り遊技終了後の遊技状態(確変状態or通常状態)を報知する演出となり、本実施例では、大当り遊技終了後の遊技状態を示す「確変」と「通常」との文字列が図柄として画面中央で変動し、停止した図柄の文字列によって大当り遊技終了後の遊技状態を報知する。
図例では、ラウンド決定演出を実施する4ラウンド中は、ステップアップ演出は「5」から変化せず継続表示している。
(15)は、4ラウンド中に行われる確変決定演出の結果として、大当り遊技終了後の遊技状態が通常(確率)状態となる場合の表示例となる。この場合、確変決定演出として画面中央に「通常」が停止するが、当該確変決定演出の変動図柄が停止する前にステップアップ演出の表示は終了している。この場合のステップアップ演出の最終到達段階は「5」となる。
(16)は、4ラウンド以降に行われる大当り遊技中のラウンド演出表示の例であり、4ラウンドで行われた確変決定演出の結果(図例では通常状態)に応じて、以降のラウンド(10又は16ラウンドまで)では大当り遊技終了後の遊技状態を常時表示するようになる。また、確変決定演出が実施された以降のラウンドでは、既に結果が報知されているためステップアップ演出の表示は行われない。
図34(17)は、4ラウンド中に行われた確変決定演出で、大当り遊技終了後の遊技状態として確変状態が報知された場合の表示例となる。図例では、確変決定演出として画面中央に「確変」が停止し、大当り遊技終了後の遊技状態が確変(高確率)状態となることを報知している。この場合のステップアップ演出は、当該確変決定演出の変動図柄が停止する前にステップアップ演出の表示は終了している。
(18)は、4ラウンド以降に行われる大当り遊技中のラウンド演出表示の例であり、4ラウンドで行われた確変決定演出の結果(図例では確変状態)に応じて、以降のラウンド(10又は16ラウンドまで)では大当り遊技終了後の遊技状態を常時表示するようになる。また、確変決定演出が実施された以降のラウンドでは、既に結果が報知されているためステップアップ演出の表示は行われない。
以上が実施例の説明となる。実施例1のステップアップ演出は、当否判定結果の報知を行う擬似図柄が表示される演出表示部で実施する構成とした。この構成としたことにより、遊技者の目には止まりやすいが、大当り図柄確表示時などは、それ以降の大当り遊技中から再開するステップアップ演出の中断を余儀なくされた。対して実施例2におけるステップアップ演出は、演出表示部とは独立した表示構成の保留図柄表示領域でステップアップ演出を実施することにより、演出表示部よりに比べやや視線を移動する必要はあるが、保留発生時から大当り遊技中まで中断することなく継続した表示を行う構成としている。
ステップアップ演出は、あくまでも当否判定結果と大当り遊技の内容、又は大当り遊技終了後の遊技状態を示唆する演出であるため、ステップアップ演出が示唆した通りに遊技が進行するわけではない。
実施例1では、変動開始時から実施するステップアップ演出で大当り遊技の内容を示唆し、実施例2では、保留記憶時から実施するステップアップ演出で大当り遊技終了後の遊技状態を示唆したが、この組み合わせに限るわけではなく、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態を同時に示唆する構成としてもよい。
実施例におけるステップアップ演出は、新たな変動の開始時(保留図柄の表示位置移動)や擬似図柄の演出変動表示(高速変動、リーチ成立、スーパーリーチ発展)の進行に応じて期待度がステップアップしていく構成としたが、例えば、リーチが成立する前に、図柄確定前ステップ決定手段によって決定した段階まで表示する構成としてもよく、擬似図柄の高速変動以降の演出表示が開始する前に図柄確定前ステップ決定手段によって決定した段階までのステップアップ演出は終了する構成としてもよい。
実施例では、ステップアップ演出の概念がわかり易いように数字を用いた演出としたが、当然これに限るわけではなく、所定のキャラクタの表示態様の変化、もしくはキャラクタ自体の入れ替えで到達段階を示す構成でもよい。