JP6457846B2 - 透明板の形状測定方法および形状測定装置 - Google Patents

透明板の形状測定方法および形状測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、透明板である被測定試料の外面凹凸形状や厚さを測定する形状測定方法および形状測定装置に係り、特に、波長走査光源とフィゾー干渉計を用いて非接触で被測定試料の表面高さ、板厚の少なくともいずれかを測定する方法およびこれを用いた装置に関する。
従来、ガラス板のような透明板の外面凹凸形状や厚さを測定する方法として、波長走査干渉法が知られている(特許文献1、非特許文献1)。非特許文献1の方法では、波長可変レーザーを光源とし、トワイマングリーン干渉計を用いて、参照面、対象試料の表面と裏面の3個の界面からの反射光による干渉縞をCCDカメラ等の撮像装置で撮像し、得られた干渉縞画像を解析して、試料の外面凹凸形状や厚さを測定している。
また、特許文献1には、参照光路と測定光路が同一光路となるため振動に強く、コンパクトに構成でき、大型試料にも適用可能なフィゾー干渉計を用いた干渉縞解析法が開示されている。
これら波長走査干渉法による透明板測定においては、参照面、対象試料の表面と裏面の3個の界面からの反射光による干渉縞が重畳して観測されるため、表面高さや板厚を測定するためには、それら重畳した信号を分離する必要がある。
非特許文献1では、干渉縞画像から得られる輝度波形をモデル関数と最小二乗適合することにより、表面高さ、裏面高さ、厚さの位相値を含む7個の未知変数を推定している。
特許文献1では、前記参照面と前記被測定平板表面との光軸上での距離Lと前記被測定平板の光学的厚さnTの比が、およそL=nT/3を満たすように距離Lを設定し、該被測定平板表面および裏面からの光束の光干渉により得られた干渉縞情報を撮像し、そのとき前記出力光の波長λを変化させて、該被測定平板表面および参照面からの反射光束の位相差がおよそπ/6ずつ変化する毎に、連続的に19画像撮像する撮像手段とを備えた干渉計装置において、該撮像して得られた19枚の干渉縞画像情報から、被測定平板の光学的厚さの不均一や表面高さ、裏面高さに関する位相情報を得ている。
特開2003−139511号公報
しかしながら、従来の方法では、次のような問題がある。すなわち、非特許文献1の方法では、波長を走査しながら撮像された60枚の干渉縞画像から得られる輝度波形をモデル関数と最小二乗適合することにより、表面高さの変動成分、裏面高さの変動成分を含む7個の未知変数を推定している。しかし、該方法では、相対的な表面凹凸形状と厚さ分布が得られるだけで、絶対値を得ることはできない。また、未知変数が多いために、ノイズに弱い性質がある。このため、得られる測定精度も、波長の1/50以下の平均二乗偏差 (RMS)であり、現在の産業界の要求を満足するものではない。
一方、特許文献1の方法では、試料位置の制約がある。すなわち、重畳する正弦波の周波数が整数比となるように、参照面と試料面との距離を厳密に調整する必要がある。また、本方法でも、位相を求めているため、相対的な外面凹凸形状と厚さ分布が得られるだけで、絶対値を得ることはできない。
したがって、従来の方法では、被測定試料の表面高さ、裏面高さ、板厚の絶対値を高精度で、かつ、簡単な操作で得ることができないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、透明板である被測定試料の特定箇所の表面高さ、裏面高さ、板厚の少なくともいずれかの絶対値を精度よく、かつ、簡単な操作で求めることのできる透明板の形状測定方法および形状測定装置を提供することを主たる目的とする。
本発明は、このような目的を達成するため、次のような構成をとる。
すなわち、本発明の形状測定方法は、
出力光の波長を時間的に変化させ得る照明光源と、
前記照明光源からの光束を平行光束とした後、該平行光束を参照面上および透明板である被測定試料に導く光学系ユニットと、
前記参照面と、前記被測定試料の表面と、前記被測定試料の裏面とからの反射光の干渉により得られた干渉像を連続的に撮像する撮像手段と、
を備えた形状測定装置を用いた透明板の形状測定方法であって、
前記照明光源からの照明光の波長を時間的に走査して、前記干渉像を変化させながら、該干渉像を前記撮像手段により連続的に撮像し、
撮像して得られた干渉輝度信号に対して、下記式(1)に基づくモデル関数を適合することによって、前記被測定試料の各位置での表面高さ、裏面高さ、板厚分布のうち少なくともいずれかを測定することを特徴とする。
前記式(1)において、
I(t):観測輝度モデル関数値
t:時間(s)
0:参照面入射光量
S:参照面と被測定試料表面間の物理的距離(表面高さ)
B:参照面と被測定試料裏面間の光学的距離
B−LS:光学的板厚
c:波長走査の速度(nm/s)
λ0:初期波長(nm)
a:I0=1の時の干渉輝度信号の直流成分
S:参照面と被測定試料表面による干渉輝度信号の振幅
B:参照面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
T:被測定試料表面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
である。
また、本発明の形状測定装置は、
出力光の波長を時間的に変化させ得る照明光源と、
前記照明光源からの光束を平行光束とした後、該平行光束を参照面上および透明板である被測定試料に導く光学系ユニットと、
前記参照面と、前記被測定試料の表面と、前記被測定試料の裏面とからの反射光の干渉により得られた干渉像を連続的に撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された干渉画像を解析する解析手段と、
を備えた透明板の形状測定装置であって、
前記照明光源からの照明光の波長を時間的に走査して、前記干渉像を変化させながら、該干渉像を前記撮像手段により連続的に撮像し、
前記解析手段において、撮像して得られた前記干渉画像の干渉輝度信号に対して、下記式(1)に基づくモデル関数を適合することによって、前記被測定試料の各位置での表面高さ、裏面高さ、板厚分布のうち少なくともいずれかを測定することを特徴とする形状測定方法。
前記式(1)において、
I(t):観測輝度モデル関数値
t:時間(s)
0:参照面入射光量
S:参照面と被測定試料表面間の物理的距離(表面高さ)
B:参照面と被測定試料裏面間の光学的距離
B−LS:光学的板厚
c:波長走査の速度(nm/s)
λ0:初期波長(nm)
a:I0=1の時の干渉輝度信号の直流成分
S:参照面と被測定試料表面による干渉輝度信号の振幅
B:参照面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
T:被測定試料表面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
である。
このような形状測定方法および形状測定装置とすることにより、被測定試料の干渉縞の物理モデルに基づいて、被測定試料である透明板の表面高さ、裏面高さ、板厚が同時に、かつ独立して求めることができる。
また本発明では、下記式(20)、(21)に基づいて、前記被測定試料の板厚T’、裏面高さLB’を求めることを特徴とする。
前記式(20)、(21)において、
n:被測定試料屈折率
である。
また本発明では、前記適合の手法として、下記式(2)で表される実測値(Ii)と観測輝度モデル関数値(I(ti))の二乗誤差和を最小にする最小二乗法を用いて、前記式(1)の未知変数を求めることを特徴とする。
前記式(2)において、
i:観測データ番号
n:観測データ数
i:実測値
i(ti):観測輝度モデル関数値
である。
このようにすることにより、観測される輝度値に含まれる各種のノイズ成分の影響を極小とすることができ、安定して形状測定を行うことができる。
また本発明では、前記式(1)における未知変数が、参照面入射光量(I0)と、被測定試料の表面高さ(LS)、被測定試料の光学的裏面距離(LB)、および被測定試料の光学的板厚(LB−LS)からなる群から限定選択されたものであることを特徴とする。
このようにすることにより、適合により求める未知変数が、通常、参照面入射光量、被測定試料の表面高さ、被測定試料の裏面高さの3個に限定されることにより、安定かつノイズに強い形状測定を行うことができる。
また本発明では、前記式(1)の中のパラメータであるa、bS、bB、bTが、参照板屈折率nR、被測定試料屈折率nを既知として、それぞれ下記式(3)〜(6)により求められることを特徴とする。
前記式(3)〜(6)において、RRは参照面の界面反射率、RSは被測定試料表面の界面反射率であり、下記式(7)、(8)により求められる。
このようにすることにより、光学ユニットとして、光学的に単純なフィゾー干渉計を採用し、また、参照板屈折率nRと被測定試料屈折率nが既知であることを利用して、未知変数の数を削減することができる。
また本発明では、前記被測定試料の表面高さ(LS)、前記被測定試料の光学的裏面距離(LB)、前記被測定試料の光学的板厚(LB−LS)のうち少なくともいずれかの初期値を変えて、式(1)のモデル関数への適合を複数回行い、前記適合の最適値を探索することを特徴とする。
このようにすることにより、被測定試料の表面高さ、裏面高さ、板厚について、相対値ではなく絶対値を求めたい場合にも、波長の1/2刻みで存在する局所解の中から、正しい結果を探索することができる。
本発明では、フィゾー干渉計と波長走査光源を用いて得られた輝度データ(インターフェログラム)に対して、モデル関数を、好ましくは最小二乗適合することで、被測定試料の表面高さ、裏面高さ、板厚を同時に求めることができる。
特に、モデル関数に概略の初期値を与えることで、被測定試料の表面高さ、裏面高さ、板厚をnmオーダーの高精度で絶対値測定することができる。
さらに、本発明の形状測定装置としては、フィゾー干渉計、波長走査光源、CCDカメラなどの撮像手段、パソコンなどの解析手段を備えていればよく、産業用測定装置として、容易に構成することができる。
また、従来の方法では必要であった被測定試料と参照面との距離調整が不要で、操作性を著しく向上させることができる。
図1は、本発明の形状測定装置の第1の実施例を説明するための概略構成図である。 図2は、3光束干渉画像の一例である。 図3は、第1の実施例におけるフィゾー干渉計の入射光および反射光を示す模式図である。 図4は、表面高さ変更時の二乗誤差を示す図である。 図5は、図4の縦軸を拡大した拡大図である。 図6は、第1の実施例の波長走査条件を示す図である。 図7は、第1の実施例の輝度信号を示す図である。 図8は、第2の実施例による測定結果を示す図である。 図9は、第3の実施例の3光束干渉画像の一例を示す図である。 図10は、第3の実施例の輝度信号を示す図である。 図11は、第3の実施例による測定結果を示す図である。 図12は、第3の実施例による測定結果を示す図である。 図13は、第3の実施例による測定結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例について具体的に説明をする。
図1は、本発明の形状測定装置の第1の実施例を説明するための概略構成図である。
この形状測定装置1は、光学系ユニット20と、光学系ユニット20からの干渉信号を解析する解析手段22とを備えて構成されている。
光学系ユニット20は、フィゾー干渉計であり、照明光源10から射出されたレーザー光の光束は、コリメートレンズ11を経て平行光束となり、参照板13と被測定試料14に照射される。そして、参照板13の参照面R、および被測定試料14の表面S、裏面Bからの反射光は、互いに干渉して照射光の光路を逆行し、ビームスプリッタ12を経て、結像レンズ15により干渉像が結像され、結像された干渉像はCCDカメラなどの撮像手段16により撮像される。撮像された干渉像(干渉画像)は、後述するように、解析手段22で解析され、被測定試料14の表面高さ、裏面高さ、板厚が測定される。
なお、本明細書において、「表面高さ」とは、参照板13の参照面Rから被測定試料14の表面Sまでの物理的距離(後述するR−S面間距離LS)を意味し、「裏面高さ」とは、参照板13の参照面Rから被測定試料14の裏面Bまでの物理的距離(後述する式(21)で定義される物理的裏面距離LB’)を意味している。
照明光源10は、波長可変レーザーであり、この実施例では、市販のNew Focus社製Velocity6700 ワイドレンジ波長可変レーザー(波長範囲630〜640nm)が使用され、波長が時間とともに直線的に走査される。
撮像手段16は、照明光の波長の変化に応じて変化する干渉縞の画像を撮像するもので、本実施例では、市販のモノクロCCDカメラが使用される。その画像データが解析手段22によって収集される。なお、撮像手段16としては、特に限定されるものではなく、例えば、カラーCCDカメラやCMOSカメラなどを用いることもできる。
解析手段22は、所定の演算処理を行うCPU、データを記憶するメモリ、設定情報を入力するマウスやキーボードなどの入力部、画像などを表示するモニタなどを備えるコンピュータシステムで構成することができる。
このように構成される形状測定装置1では、照明光源10に波長可変レーザーを使用し、任意の速度で走査可能としている。被測定試料が透明な場合、図2に示すように、撮像手段16により撮像される干渉画像は、(1)参照面と被測定試料表面、(2)参照面と被測定試料裏面、(3)被測定試料表面と被測定試料裏面、による3個の干渉画像が重畳した3光束干渉画像となり、本発明では、これら3個の干渉画像を分離することにより、被測定試料の表面高さ、裏面高さ、板厚の測定を行っている。
上記表面形状測定装置を用いて得られた干渉縞の輝度信号に対して、式(1)に基づくモデル関数を適合して、被測定試料の表面の各位置での表面高さ、裏面高さ、板厚のうち少なくともいずれかを求める。
以下、式(1)について説明する。
フィゾー干渉計において、参照面R、被測定試料表面S、被測定試料裏面Bが図3のように配置されている場合、各界面からの反射光量をIS、IB、IRとし、R−S面間距離をLS、 R−B面間光学的距離(OPD)をLBとすると、観測輝度Iは、RS干渉(参照面からの反射光と被測定試料表面からの反射光の干渉)、SB干渉(被測定試料表面からの反射光と被測定試料裏面からの反射光)が位相反転することに注目して、式(9)のように表される。
ここで、フィゾー干渉計の各界面の反射光量について検討する。
参照板屈折率をnR、被測定試料屈折率をnとすると、参照面の界面反射率RR、被測定試料の界面反射率RSは、フレネルの公式より、それぞれ、
で表される。
また、参照面入射光量をI0とすると、
参照面反射光量IR=I0R (25)
被測定試料表面反射光量IS=I0(1−RR2S (26)
被測定試料裏面反射光量IB=I0(1−RR2(1−RS2 (27)
である。
次に、波長走査を考える。初期波長をλ0、波長走査速度をc、時間をtとすると、波長は式(10)で表すことができる。
この時、距離Lの位相値φは、通常、λ0>>ctであるため、各波形の周波数をfとして、
ただし、
と近似できる。
式(9)を書き換え、光学的板厚をT=LB−LSと置くと、
ここで、fS、fB、fTはそれぞれ、式(13)において、L=LS、L=LB、L=Tとした場合の干渉輝度信号I(t)に含まれる各信号成分の周波数を意味している。
式(14)に式(25)、(26)、(27)を代入すると
ただし、
が得られる。
aは、I0=1の時の干渉輝度信号のDC成分であり、bSは参照面Rと被測定試料表面Sによる干渉信号の振幅であり、bBは参照面Rと被測定試料裏面Bによる干渉信号の振幅である。これらの値は、既知の値である参照板屈折率nR、被測定試料屈折率nの値から式(16)〜(19)により求められる。
そして、式(15)に式(12)、(13)を代入して、
が得られる。
このモデル式は、周波数が異なる3個のcos波の和であり、未知変数はI0、LS、LBの3個である。これらは、観測値Ii(i=1,2,・・・,n)との最小二乗適合(次式で示す二乗誤差和SSEであるFを最小にする)することにより求められる。
本発明の形状測定方法で、各測定値を求めるためには、cos波の周波数が互いに相違していなければならない。そのためには、LS、LB、LB−LSが互いに相違すればよく、通常、特別な操作を必要としない。これは、特許文献1による従来の方法が位置調整を必要とするのに対し、大きな長所である。
得られたLS、LBと被測定試料屈折率nとから、式(20)、(21)により、板厚T’と物理的裏面距離LB’が求められる。
以上に述べた方法で、各測定値の絶対値を求めることができるが、そのためには正しい初期値を与える必要がある。すなわち、上記の最小二乗適合は、波長の約1/2の間隔で局所解を持つため、正しい絶対値測定のためには、波長の1/2以下の精度で初期値を与える必要がある。しかしながら、この精度での予備推定は、実用上、容易ではない。
波長走査で得られる輝度データから絶対値を推定する手法として、フーリエ変換法が知られている。これは、周波数スペクトルのピークを求め、式(13)により光学的距離(OPD)に換算する。
しかし、離散的フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)により得られる周波数分解能をOPDに換算した距離分解能ΔLは、波長走査の初期波長λ0と走査幅Δλに依存し、式(22)で表される。
初期波長λ0=600nmの場合、Δλ=10nmでΔL=18μm、Δλ=100nmでΔL=1.8μmであり、波長の1/2である300nmの精度を得ることは困難である。そこで、以下のような方法を用いることにより、高精度の測定を可能とする。
まず、次数飛び現象を解析する。モデル式はcos関数の和であり、周期関数である。
ctは波長走査量で、ct<<λ0であるから、
よって、式(1)の右辺のLSに関するcos関数は、次式のように表される。
これは、LSに関して、周期がλ0/2の周期関数である。すなわち、式(2)の最小二乗適合問題がλ0/2間隔で、局所解をもつ。このことは、二乗誤差和SSEとSの誤差との関係をプロットした図8からも明らかである。
上記(24)式で無視したcos関数内の第1項に注目する。これが無視できない状態では、SSEが完全な周期関数ではなくなるので、局所解のSSEに差が生じ、大域的最適解が求められる可能性がある。
図4は、表面高さ変更時の二乗誤差を示す図である。図5は、図4の縦軸を拡大したもので、真値から離れるに従って、SSEが大きくなっている。すなわち、局所解のSSEを比較して、それが最も小さくなる解が大域的最適解であり、真値である。
一方、実データにはノイズがあるので、SSEにノイズ成分が加算される。ノイズによるSSEの変動よりも局所解のSSEの差を有意に大きくするためには、波長走査幅Δλ=cτ(τは走査時間)をできるだけ大きくすればよい。このような条件を選択すれば、初期値を変えた複数の適合を実施する「マルチスタート法」により大域的最適解を得ることができる。
なお、本発明の方法においては、被測定試料14の表面高さ、被測定試料14の裏面高さ、あるいは被測定試料14の板厚Tの初期値を変えて、式(1)のモデル関数への複数回の適合をおこない、適合の最適値を探索することが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
上記による算出方法を用いて求めた実験事例を実施例1として示す。
(1)実験方法
以下の条件で、理論インターフェログラムを作成した。
波長走査速度c:0.01nm/s(図6)
初期波長λ0:600nm
観測データ数:256
カメラ撮像速度:30fps
表面距離(参照面基準)LS:10mm
物理的板厚T’:10mm
参照板、被測定試料屈折率:1.46
よって、裏面距離(参照面基準;OPD)LB:24.6mmである。得られた波形を図7(a)に示す。
最小二乗法適合は、MS Excel(登録商標)の最適化ツールであるSolverを使用した。初期値は、I0=95、LS=10000050nm、LB=24600025nmとした。
(2)実験結果
結果を表1に示す。表面・裏面の距離の推定誤差は1nm以下であった。また、適合抽出された表面、裏面、板厚の信号波形を図7(b)(c)(d)に示す。式(13)に示すように、各波形の周波数(表面が0.56Hz、裏面が1.37Hz、板厚が0.81Hz)が界面間距離(それぞれ、10mm、24.6mm、14.6mm)に比例している。
[実施例2]
上記、マルチスタート法による算出方法を用いて、被測定試料のライン形状の絶対値測定を行った実験事例を実施例2として示す。
(1)実験方法
実施例1の条件に、表面が1000nm傾斜し、板厚が中央で100nm球面突起している条件を追加して理論インターフェログラムを作成した。横方向(x座標)の画素数は164とし、測定条件を、波長走査速度0.1nm/s、観測データ数256とした。マルチスタート条件は、LS、LBの初期値を、x=82点における推定値であるLS=10000500nm、LB=24600500nmを中心に、変更レンジを±500nm、刻みを250nmとした。すなわち、5×5=25個の初期値の組み合わせで適合を行い、二乗誤差和SSEが最小の解を大域的最適解とした。なお、刻みは、波長の1/2である300nm以下の必要があり、ここでは250nmとした。
(2)実験結果
得られた結果を図8に示す。表面形状LS、裏面形状LBとも正しく絶対値測定ができている。
[実施例3]
本発明による方法を用いて、実際の試料を測定した例を実施例3として示す。
(1)実験方法
以下の条件で、インターフェログラムを取得した。
被測定試料:透明ガラス(屈折率:1.51)
波長走査速度c:0.1nm/s
初期波長λ0:630nm
観測データ数:256
カメラ撮像速度:25fps
表面距離(参照面基準)LS:約11.35mm
物理的板厚T’:約2.85mm
参照板屈折率:1.46
カメラで撮像された干渉縞画像の一部(75×75画素)を被測定試料とした。その画像の一例を図9に示す。
最小二乗法適合は、MS Excel(登録商標)の最適化ツールであるSolverを使用した。初期値は、LS=11.35mm、T’=2.85mmとし、探索範囲±1000nm、刻み250nmのマルチスタート法を採用した。
(2)実験結果
画面中央画素における輝度波形と、それに対して適合したモデル波形を図10に示す。また、表面形状、裏面形状、板厚分布の測定結果を図11〜図13に示す。表面が水平方向に傾斜していて、また、板厚分布が垂直方向に存在することが測定されている。
1 形状測定装置
10 照明光源
11 コリメートレンズ
12 ビームスプリッタ
13 参照板
14 被測定試料
15 結像レンズ
16 撮像手段
20 光学系ユニット
22 解析手段

Claims (12)

  1. 出力光の波長を時間的に変化させ得る照明光源と、
    前記照明光源からの光束を平行光束とした後、該平行光束を参照面上および透明板である被測定試料に導く光学系ユニットと、
    前記参照面と、前記被測定試料の表面と、前記被測定試料の裏面とからの反射光の干渉により得られた干渉像を連続的に撮像する撮像手段と、
    を備えた形状測定装置を用いた透明板の形状測定方法であって、
    前記照明光源からの照明光の波長を時間的に走査して、前記干渉像を変化させながら、該干渉像を前記撮像手段により連続的に撮像し、
    撮像して得られた干渉輝度信号に対して、下記式(1)に基づくモデル関数を適合することによって、前記被測定試料の各位置での表面高さ、裏面高さ、板厚分布のうち少なくともいずれかを測定することを特徴とする形状測定方法。
    前記式(1)において、
    I(t):観測輝度モデル関数値
    t:時間(s)
    0:参照面入射光量
    S:参照面と被測定試料表面間の物理的距離(表面高さ)
    B:参照面と被測定試料裏面間の光学的距離
    B−LS:光学的板厚
    c:波長走査の速度(nm/s)
    λ0:初期波長(nm)
    a:I0=1の時の干渉輝度信号の直流成分
    S:参照面と被測定試料表面による干渉輝度信号の振幅
    B:参照面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
    T:被測定試料表面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
    である。
  2. 下記式(20)、(21)に基づいて、前記被測定試料の板厚T’、裏面高さLB’を求めることを特徴とする請求項1に記載の形状測定方法。
    前記式(20)、(21)において、
    n:被測定試料屈折率
    である。
  3. 前記適合の手法として、下記式(2)で表される実測値(Ii)と観測輝度モデル関数値(I(ti))の二乗誤差和を最小にする最小二乗法を用いて、前記式(1)の未知変数を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の形状測定方法。
    前記式(2)において、
    i:観測データ番号
    n:観測データ数
    i:実測値
    i(ti):観測輝度モデル関数値
    である。
  4. 前記式(1)における未知変数が、参照面入射光量(I0)と、被測定試料の表面高さ(LS)、被測定試料の光学的裏面距離(LB’)、および被測定試料の光学的板厚(LB−LS)からなる群から限定選択されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の形状測定方法。
  5. 前記式(1)の中のパラメータであるa、bS、bB、bTが、参照板屈折率nR、被測定試料屈折率nを既知として、それぞれ下記式(3)〜(6)により求められることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の形状測定方法。
    前記式(3)〜(6)において、RRは参照面の界面反射率、RSは被測定試料表面の界面反射率であり、下記式(7)、(8)により求められる。
  6. 前記被測定試料の表面高さ(LS)、前記被測定試料の光学的裏面距離(LB)、前記被測定試料の光学的板厚(LB−LS)のうち少なくともいずれかの初期値を変えて、式(1)のモデル関数への適合を複数回行い、前記適合の最適値を探索することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の形状測定方法。
  7. 出力光の波長を時間的に変化させ得る照明光源と、
    前記照明光源からの光束を平行光束とした後、該平行光束を参照面上および透明板である被測定試料に導く光学系ユニットと、
    前記参照面と、前記被測定試料の表面と、前記被測定試料の裏面とからの反射光の干渉により得られた干渉像を連続的に撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された干渉画像を解析する解析手段と、
    を備えた透明板の形状測定装置であって、
    前記照明光源からの照明光の波長を時間的に走査して、前記干渉像を変化させながら、該干渉像を前記撮像手段により連続的に撮像し、
    前記解析手段において、撮像して得られた前記干渉画像の干渉輝度信号に対して、下記式(1)に基づくモデル関数を適合することによって、前記被測定試料の各位置での表面高さ、裏面高さ、板厚分布のうち少なくともいずれかを測定することを特徴とする形状測定装置。
    前記式(1)において、
    I(t):観測輝度モデル関数値
    t:時間(s)
    0:参照面入射光量
    S:参照面と被測定試料表面間の物理的距離(表面高さ)
    B:参照面と被測定試料裏面間の光学的距離
    B−LS:光学的板厚
    c:波長走査の速度(nm/s)
    λ0:初期波長(nm)
    a:I0=1の時の干渉輝度信号の直流成分
    S:参照面と被測定試料表面による干渉輝度信号の振幅
    B:参照面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
    T:被測定試料表面と被測定試料裏面による干渉輝度信号の振幅
    である。
  8. 下記式(20)、(21)に基づいて、前記被測定試料の板厚T’、裏面高さLB’を求めることを特徴とする請求項7に記載の形状測定装置。
    前記式(20)、(21)において、
    n:被測定試料屈折率
    である。
  9. 前記適合の手法として、下記式(2)で表される実測値(Ii)と観測輝度モデル関数値(I(ti))の二乗誤差和を最小にする最小二乗法を用いて、前記式(1)の未知変数を求めることを特徴とする請求項7または8に記載の形状測定装置。
    前記式(2)において、
    i:観測データ番号
    n:観測データ数
    i:実測値
    i(ti):観測輝度モデル関数値
    である。
  10. 前記式(1)における未知変数が、参照面入射光量(I0)と、被測定試料の表面高さ(LS)、被測定試料の光学的裏面距離(LB)、および被測定試料の光学的板厚(LB−LS)からなる群から限定選択されたものであることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の形状測定装置。
  11. 前記式(1)の中のパラメータであるa、bS、bB、bTが、参照板屈折率nR、被測定試料屈折率nを既知として、それぞれ下記式(3)〜(6)により求められることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の形状測定方法。
    前記式(3)〜(6)において、RRは参照面の界面反射率、RSは被測定試料表面の界面反射率であり、下記式(7)、(8)により求められる。
  12. 前記被測定試料の表面高さ(LS)、前記被測定試料の光学的裏面距離(LB)、前記被測定試料の光学的板厚(LB−LS)のうち少なくともいずれかの初期値を変えて、式(1)のモデル関数への適合を複数回行い、前記適合の最適値を探索することを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の形状測定装置。
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