JP6457821B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、氷雪路走行用のタイヤに関する。
氷雪路の走行用に、そのトレッドに、周方向に延在する主溝及び軸方向に延在する横溝が設けられたタイヤが提案されている。このタイヤでは、横溝が雪を剪断する力により、雪上でのグリップ性能が確保されている。さらに、主溝及び横溝で区切られたトレッドの領域(ブロックと称される)の表面に、多数のサイプが設けられることがある。サイプは、氷面上の水膜を吸収することで、タイヤが氷上で滑ることを抑制する。サイプは、そのエッジが氷面を引っ掻くことで、氷面とタイヤとの摩擦係数を大きくする。サイプは、氷上でのグリップ力の向上に寄与する。
氷上でのグリップ力をより向上させるために、サイプの量を多くする方法がある。しかし、サイプの量を増やすと、ブロックの剛性が低下する。また、サイプの量を多くすることは、ブロックの偏摩耗の要因となりうる。ブロックの剛性低下の防止及び偏摩耗の防止のために、横溝の容積を小さくする方法がある。しかしこれは、横溝が雪を剪断する力を低下させる。これは、雪上でのグリップ力の低下を招来する。
ブロックとサイプとを備えた氷雪路の走行用タイヤについての検討が、特開2009−269500公報に開示されている。このタイヤでは、複数の主溝の位置を適切に調整することで、トレッドの偏摩耗を抑制しつつ、雪上性能及び氷上性能の向上が図られている。
特開2009−269500公報
偏摩耗を抑制しつつ、氷雪路におけるグリップ力をさらに向上させることが求められている。これまでは、特開2009−269500公報に開示されているように、トレッドパターンの最適化により、耐摩耗性及び氷雪路での走行性能の向上が図られていた。サイド部も含めたタイヤ全体で、これらを最適化する検討はされていなかった。
本発明の目的は、トレッドの偏摩耗を抑制しつつ氷雪路でのグリップ性能が向上された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド、一対のサイドウォール、一対のクリンチ、一対のフィラー、一対のビード及びカーカスを備えている。それぞれのサイドウォールは、上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びている。それぞれのクリンチは、上記サイドウォールよりも半径方向内側に位置している。それぞれのフィラーは、上記クリンチよりも軸方向内側に位置している。それぞれのビードは、上記フィラーよりも半径方向内側に位置している。上記カーカスは、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されている。上記フィラーは、上記カーカスの軸方向外側において、上記クリンチと積層されている。上記ビードは、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えている。上記カーカスはカーカスプライを備えている。上記カーカスプライは上記コアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されており、この折り返しによりこのカーカスプライには主部と折返し部とが形成されている。上記折返し部は、上記フィラーと上記エイペックスとの間に位置している。上記エイペックスの複素弾性率Eaに対する上記フィラーの複素弾性率Efの百分比は70%以上125%以下である。上記トレッドは、周方向に延在する主溝と、この主溝によって区切られた領域であるリブとを備えている。上記リブは複数のサイプを備えている。このタイヤが接地したときの接地面積をミリ平方メートルの単位で表した数がSgとされ、この接地面積内に含まれるサイプの軸方向長さの平均値をミリメートルの単位で表した数がLsとされたとき、数Lsを数Sgで割った数(Ls/Sg)は、0.06以上0.10以下である。
好ましくは、上記クリンチは、このクリンチの軸方向内面の法線に沿って計測される、最大の厚さTcxを有している。上記厚さTcxのための法線を第一基準線としたとき、この第一基準線に沿って計測される上記フィラーの厚さTf1の、この厚さTf1及びこの厚さTcxの和に対する比は、0.1以上0.6以下である。
好ましくは、上記フィラーは、上記クリンチの軸方向内面の法線に沿って計測される、最大の厚さTfxを有している。この厚さTfxのための法線を第二基準線としたとき、このフィラーの内端から、この第二基準線と上記クリンチの軸方向内面との交点までの半径方向長さの、このフィラーの内端から、上記第一基準線とこのクリンチの軸方向内面との交点までの半径方向長さに対する比は、0.6以上1.2以下である。
好ましくは、上記フィラーの複素弾性率Efに対する上記クリンチの複素弾性率Ecの百分比は、70%以上125%以下である。
好ましくは、上記第一基準線に沿って計測されるこのタイヤの厚みは、10mm以上20mm以下である。
発明者らは、耐摩耗性能と氷雪上でのグリップ性能とを向上させるためのタイヤの構造について検討を行った。その結果、ビードの部分の構造を適正にし、タイヤ全体を均等に撓ませることで、氷雪上でのグリップ性能が向上できることを見出した。さらには、このビードの部分の構造のもとで、サイプの構造を最適化することにより、偏摩耗を抑制したうえで、氷雪上でのグリップ性能をさらに向上できることを見出した。
本発明に係る空気入りタイヤでは、カーカスとクリンチとの間にフィラーが設けられている。このタイヤでは、カーカスの折返し部は、タイヤの内面に近い位置に配置される。このタイヤのカーカスには、十分なテンションが掛けられる。このカーカスは剛性に寄与する。さらに、このタイヤでは、エイペックスの複素弾性率Eaに対するフィラーの複素弾性率Efの比率(Ef/Ea)が適切に整えられている。この構造により、ビードの部分の歪みは適切に抑えられている。この構造により、このタイヤは、全体的に均等に撓みうる。これは、タイヤから氷雪面への力の伝達効率を向上させる。これは、氷雪上でのグリップ力の向上に寄与する。
このタイヤでは、上記のビードの部分の構造のもとで、サイプの量が適切に調整されている。具体的には、このタイヤでは、このタイヤが接地したときの接地面積をミリ平方メートルの単位で表した数がSgとされ、この接地面積内に含まれるサイプの軸方向長さの平均値をミリメートルの単位で表した数がLsとされたとき、数Lsを数Sgで割った数(Ls/Sg)は0.06以上0.10以下である。これにより、タイヤの偏摩耗を抑えたうえで、氷雪上でのグリップ性能の向上が実現されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図1のタイヤのトレッド面の一部が示された展開図である。 図4は、図3のトレッド面の接地領域の一部が示された模式図である。 図5は、サイプの量と、グリップ力及び耐摩耗性との関係が示された概念図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、リムRに組み込まれている。このリムRは、正規リムである。このタイヤ2には、空気が充填されている。このタイヤ2の内圧は、正規内圧である。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。本明細書において正規荷重とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
図1において、符号PBは、タイヤ2の外面上にある、特定の位置を表している。この位置PBは、このタイヤ2とこのリムRとの接触面の半径方向外側縁に対応している。この接触面は、タイヤ2をリムRに組み込み、正規内圧となるようにこのタイヤ2に空気を充填して得られる。本願においては、この位置PBは、別離点と称される。
図1において、実線BBLはビードベースラインである。ビードベースラインBBLは、リムRのリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインBBLは、軸方向に延びる。両矢印Hsは、このビードベースラインBBLからこのタイヤ2の赤道までの半径方向高さを表している。この高さHsは、このタイヤ2の断面高さである。
図1において、符号PWはこのタイヤ2の外面上にある、特定の位置を表している。このタイヤ2では、この位置PWにおいて、この外面のプロファイルで表される軸方向幅が最大を示す。このタイヤ2では、この位置PWにおける左右の側面間の軸方向長さが、タイヤ2の最大幅(断面幅とも称される。)として表される。本願においては、この位置PWはタイヤ2の最大幅位置である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のフィラー10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、インナーライナー18及び一対のチェーファー20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面22を形成する。図1において、符号TEはトレッド面22の端を表している。トレッド4は、ベース層24とキャップ層26とを有している。ベース層24は、キャップ層26の半径方向内側に位置している。ベース層24は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層24の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層26は、ベース層24に積層されている。キャップ層26は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ8と接合されている。サイドウォール6は、カーカス14よりも軸方向外側に位置している。サイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、カーカス14の損傷を防止する。
それぞれのクリンチ8は、サイドウォール6よりも半径方向内側に位置している。クリンチ8は、ビード12、カーカス14及びフィラー10の軸方向外側に位置している。クリンチ8は、半径方向外向きに先細りである。クリンチ8は、半径方向内向きに先細りである。クリンチ8は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ8は、リムRのフランジFと当接する。
このタイヤ2では、半径方向において、クリンチ8の外端28は、サイドウォール6の内端30よりも外側に位置している。図示されているように、クリンチ8の外端28はサイドウォール6で覆われている。サイドウォール6の内端30は、このタイヤ2の側面上にある。
それぞれのフィラー10は、クリンチ8よりも軸方向内側に位置している。フィラー10は、カーカス14の軸方向外側において、クリンチ8と積層されている。フィラー10は、半径方向外向きに先細りである。フィラー10は、半径方向内向きに先細りである。
このタイヤ2では、半径方向において、フィラー10の内端32は、クリンチ8の内端よりも外側に位置している。このフィラー10の内端32は、クリンチ8で覆われている。半径方向において、フィラー10の外端34は、クリンチ8の外端28よりも内側に位置している。このフィラー10の外端34は、クリンチ8で覆われている。なお、このフィラー10の外端34が、クリンチ8の外端28よりも外側に位置してもよい。この場合、フィラー10の外端34はサイドウォール6で覆われる。
フィラー10は、ゴム組成物を架橋することによって成形されている。言い換えれば、フィラー10は架橋ゴムからなる。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。2種以上のゴムが併用されてもよい。
フィラー10のゴム組成物は、補強剤を含む。典型的な補強剤は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。変形に伴う発熱が抑えられるとの観点から、カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。この場合、乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。フィラー10の強度の観点から、補強剤の量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。フィラー10の軟質の観点から、補強剤の量は50質量部以下が好ましい。
フィラー10のゴム組成物には、架橋剤、軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
それぞれのビード12は、フィラー10よりも半径方向内側に位置している。ビード12は、フィラー10及びクリンチ8よりも軸方向内側に位置している。ビード12は、コア36と、エイペックス38とを備えている。コア36は、リング状である。コア36は、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス38は、コア36から半径方向外向きに延びている。エイペックス38は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス38の先端40は、半径方向において、フィラー10の内端32よりも外側に位置している。エイペックス38の先端40は、半径方向において、フィラー10の外端34よりも内側に位置している。
エイペックス38は、ゴム組成物を架橋することによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。2種以上のゴムが併用されてもよい。
エイペックス38のゴム組成物は、補強剤を含む。典型的な補強剤は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。変形に伴う発熱が抑えられるとの観点から、カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。この場合、乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。エイペックス38の強度の観点から、補強剤の量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。エイペックス38の軟質の観点から、補強剤の量は50質量部以下が好ましい。
エイペックス38のゴム組成物には、架橋剤、軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
前述したように、このタイヤ2では、フィラー10はゴム組成物を架橋することにより形成されている。タイヤ2に用いられるゴム組成物の種類を減らすことは、タイヤ2のコストに寄与する。この観点から、フィラー10が、エイペックス38のゴム組成物と同等のゴム組成物を架橋することにより形成されてもよい。言い換えれば、フィラー10の材質がエイペックス38の材質と同じとされてもよい。
このタイヤ2では、エイペックス38の複素弾性率Eaとフィラー10の複素弾性率Efとの比率が適切に整えられている。詳細には、エイペックス38の複素弾性率Eaに対するフィラー10の複素弾性率Efの比率(Ef/Ea)は、百分率で70%以上125%以下である。
本発明では、エイペックス38の複素弾性率Ea、フィラー10の複素弾性率Ef及び後述するクリンチ8の複素弾性率Ecは、「JIS K 6394」の規定に準拠して、下記の測定条件により、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製の商品名「VESF−3」)を用いて計測される。この計測では、エイペックス38、フィラー10及びクリンチ8のゴム組成物から板状の試験片(長さ=45mm、幅=4mm、厚み=2mm)が形成される。この試験片が、計測に用いられる。
初期歪み:10%
振幅:±2.0%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
カーカス14は、トレッド4、サイドウォール6及びクリンチ8の内側に位置している。カーカス14は、カーカスプライ42を備えている。カーカスプライ42は、両側のビード12の間に架け渡されている。カーカスプライ42は、コア36の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、このカーカスプライ42には、主部44と折返し部46とが形成されている。
図1から明らかなように、返し部の端48は最大幅位置PWの近くに位置している。このタイヤ2のカーカス14は、「ハイターンアップ(HTU)」構造を有している。このタイヤ2では、この折返し部46の端48がビード12の近くに位置するように、このカーカス14が構成されてもよい。この場合、このカーカス14の構造は「ローターンアップ(LTU)」構造と称される。このタイヤ2では、カーカス14は1枚のカーカスプライ42から形成されている。このカーカス14が、2枚以上のカーカスプライ42から形成されてもよい。なお、カーカス14において、2枚のカーカスプライ42が折り返されており、それぞれが折返し部46を有する場合には、半径方向において、最も外側に端が位置する折返し部46に基づいて、「HTU」構造と「LTU」構造とが区別される。
図示されていないが、カーカスプライ42は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
図1において、両矢印HtはビードベースラインBBLから折返し部46の端48までの半径方向高さを表している。
このタイヤ2では、高さHtの断面高さHsに対する比は0.45以上0.55以下が好ましい。この比が0.45以上に設定されることにより、折返し部46の端48に、圧縮方向の力が作用することが防止される。このタイヤ2では、折返し部46の端48に歪みは集中しにくい。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この比が0.55以下に設定された場合においても、折返し部46の端48に圧縮方向の力が作用することが防止される。このタイヤ2では、折返し部46の端48に歪みは集中しにくい。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2のカーカス14が「LTU」構造を有する場合、この高さHtは28mm以下が好ましい。これにより、折返し部46の端48に圧縮方向の力が作用することが防止される。このタイヤ2では、折返し部46の端48に歪みは集中しにくい。このタイヤ2は、耐久性に優れる。折返し部46が引き抜かれることが防止され、カーカス14に十分なテンションが掛けられるとの観点から、この高さHtは5mm以上が好ましい。
図2には、図1のタイヤ2のビード12の部分が示されている。図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。この図に示されるとおり、折返し部46は、フィラー10とエイペックス38との間に位置している。このエイペックス38の大きさは、従来のフィラー10を有しないタイヤ2のエイペックス38の大きさに比べて小さい。折返し部46はフィラー10の軸方向内側において、内側に向けて湾曲している。このタイヤ2では、従来のフィラー10を有さないタイヤ2と比べて、折返し部46は、タイヤ2の内面に近い位置に配置される。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、カーカス14を補強する。ベルト16は、内側層16a及び外側層16bからなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層16aの幅は外側層16bの幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層16a及び外側層16bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層16aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層16bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト16の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト16が、3以上の層を備えてもよい。
インナーライナー18は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー18は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー18は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー18の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー20は、ビード12の近傍に位置している。チェーファー20は、リムRと当接する。この当接により、ビード12の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー20は布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー20が、クリンチ8と一体とされてもよい。この場合、チェーファー20の材質はクリンチ8の材質と同じとされる。
図3には、トレッド面22の展開図の一部が示されている。図3において、上下方向がタイヤ2の周方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の半径方向である。この図3において、矢印Aで示された方向は前進時におけるタイヤ2の移動方向を表している。紙面の上側は先着側であり、その下側は後着側である。
このタイヤ2では、トレッド4は複数の主溝50を有している。これらの主溝50はそれぞれ、周方向に延在している。主溝50は、3.0mm〜10.0mmの幅を有している。これらの主溝50は、トレッド4に刻まれている。トレッド4において、主溝50で区切られた領域はリブ52と称される。このトレッド4には、複数のリブ52が形成されている。これらのリブ52は、周方向に延在している。これらのリブ52は、軸方向に並んでいる。図1の実施形態のタイヤ2では、赤道面から一方のトレッド端TEまでの領域において、2本の主溝50が存在する。この領域には、3つのリブ52が存在する。
赤道面から一方のトレッド端TEまでの領域における主溝50の数は、2本に限られない。この領域における主溝50の数が1本でもよい。この領域が3本以上の主溝50を備えていてもよい。
全てのリブ52又は一部のリブ52は、多数の横溝54を有している。図3の実施形態のタイヤ2では、赤道面上に位置するリブ52を除き、リブ52は横溝54を有している。これらの横溝54はそれぞれ、軸方向に延在している。リブ52において横溝54で区切られた領域はブロック56と称される。赤道面上に位置するリブ52を除き、リブ52には多数のブロック56が形成されている。ブロック56は、周方向に並んでいる。
それぞれのリブ52には、複数の円弧状の筋58及び複数のジグザグ状のサイプ60が設けられている。それぞれのブロック56には、複数の円弧状の筋58及び複数のジグザグ状のサイプ60が設けられている。円弧状の筋58及びサイプ60は、リブ52の全面に渡って設けられている。円弧状の筋58及びサイプ60は、ブロック56の全面に渡って設けられている。
図4は、図3のトレッド面22の一部が示されている。この図では、円弧状の筋58は省略されている。図4において、領域Gは接地面である。接地面Gとは、正規リムに組み込まれ、正規内圧となるように空気が充填され、キャンバー角が0°とされ、正規荷重が負荷された状態のタイヤ2が、路面と接触する部分を指す。図4において、両矢印Lsiは、一つのサイプ60の軸方向長さを表す。接地面Gの中に位置する全てのサイプ60について、その長さLsiの平均値をミリメートルの単位で表した数(平均サイプ長と称される)がLsとされ、接地面Gの面積を平方ミリメートルの単位で表した数(接地面積と称される)がSgとされたとき、平均サイプ長Lsを接地面積Sgで割った数(Ls/Sg)は0.06以上0.10以下である。
図4において、直線Tiは、一つのサイプ60の先着側の頂点を結ぶ仮想線である。直線T(i+1)は、同じリブ52又はブロック56内において、このサイプ60と隣接するサイプ60の先着側の頂点を結ぶ仮想線である。直線Tiと直線T(i+1)とは互いに平行である。両矢印Ssiは、仮想線Tiと仮想線T(i+1)との間隔である。間隔Ssiは、同じリブ52又はブロック56内において隣接するサイプ60間の間隔である。接地面Gの中に位置する全てのサイプ60について、その間隔Ssiの平均値が平均間隔Ssとされたとき、平均間隔Ssは3.5mm以上7.0mm以下である。
以下本発明の作用効果が説明される。
本発明に係る空気入りタイヤ2では、カーカス14とクリンチ8との間にフィラー10が設けられている。このタイヤ2では、カーカス14の折返し部46は、タイヤ2の内面に近い位置に配置される。このタイヤ2のカーカス14には、十分なテンションが掛けられる。このカーカス14は剛性に寄与する。さらに、このタイヤ2では、エイペックス38の複素弾性率Eaに対するフィラー10の複素弾性率Efの比率(Ef/Ea)が適切に整えられている。具体的には、エイペックス38の複素弾性率Eaに対するフィラー10の複素弾性率Efの比率(Ef/Ea)は、百分率で70%以上125%以下である。この構造により、ビード12の部分の歪みは適切に抑えられている。この構造により、このタイヤ2は、全体的に均等に撓む。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。これは、氷雪上でのグリップ力の向上に寄与する。このタイヤ2では、良好な耐摩耗性を維持した上で、氷雪上でのグリップ力が向上されている。
前述のとおり、従来のタイヤでは、サイプの量を増やすと、グリップ力は増すが耐摩耗性は劣化する。図5の直線A1は、このサイプの量と耐摩耗性との関係を概念的に表し、図5の破線A2は、このサイプの量とグリップ力との関係を概念的に表している。図5のA3の一点鎖線は、この発明におけるサイプの量とグリップ力との関係を概念的に表している。上記のビード12構造により、一点鎖線A3は破線A2に対して上側にシフトされる。すなわち、上記のビード12の構造により、氷雪上でのグリップ力は向上する。このとき、耐摩耗性は影響を受けない。本発明におけるサイプの量と耐摩耗性との関係は、図5のA1の直線のままである。図から明らかなように、このビード12の構造によれば、サイプ60の量を維持することで、良好な耐摩耗性を維持した上で、氷雪上でのグリップ力を向上させることができる。サイプ60の量を少なくすることで、良好なグリップ力を維持したままで、タイヤ2の耐摩耗性を向上させることができる。
このタイヤ2では、上記のビード12の部分の構造のもとで、サイプ60の量が適切に調整されている。具体的には、このタイヤ2では、平均サイプ長Lsを接地面積Sgで割った数(Ls/Sg)は0.06以上0.10以下である。数(Ls/Sg)を0.06以上とすることで、このサイプ60は、氷上でのグリップ力の向上に効果的に寄与する。このタイヤ2は、氷上でのグリップ力に優れる。数(Ls/Sg)を0.10以下とすることで、このタイヤ2のブロック56では十分な剛性が維持されている。このタイヤ2では横溝54の容量を小さくする必要がない。このタイヤ2は雪上での良好なグリップ力が維持されうる。さらに数(Ls/Sg)を0.10以下とすることで、タイヤ2の偏摩耗が抑制されている。このタイヤ2では、偏摩耗を抑えたうえで、氷雪上でのグリップ性能の向上が実現されている。
氷上でのグリップ力をさらに向上させるとの観点から、数(Ls/Sg)は0.07以上がより好ましい。良好なブロック56の剛性の維持及び偏摩耗の抑制の観点から、数(Ls/Sg)は0.09以下がより好ましい。
氷上でのグリップ力をさらに向上させるとの観点から、平均サイプ長Lsは10mm以上が好ましい。良好なブロック56の剛性の維持及び偏摩耗の抑制の観点から、平均サイプ長Lsは25mm以下が好ましい。
ビード12の部分の歪みを抑制するとの観点から、エイペックス38の複素弾性率Eaに対するフィラー10の複素弾性率Efの比率(Ef/Ea)は、90%以上がより好ましく、100%以上がさらに好ましい。ビード12の部分の過大な剛性を抑えて、タイヤ2の均等な撓みに寄与するとの観点から、この比率は110%以下がより好ましい。
複素弾性率Eaは20MPa以上60MPa以下が好ましい。複素弾性率Eaが20MPa以上に設定されることにより、エイペックス38の変形が抑制される。ビード12の部分の歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。複素弾性率Eaが60MPa以下に設定されることにより、ビード12の部分の過大な剛性が抑えられる。このタイヤ2は均等に撓みうる。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。
複素弾性率Efは15MPa以上75MPa以下が好ましい。複素弾性率Efが15MPa以上に設定されることにより、フィラー10が剛性に寄与する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。複素弾性率Efが75MPa以下に設定されることにより、ビード12の部分の過大な剛性が抑えられる。このタイヤ2は均等に撓みうる。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。
このタイヤ2では、クリンチ8の厚さ及びフィラー10の厚さはこのクリンチ8の軸方向内面の法線に沿って計測される。図2において、両矢印Tcxはクリンチ8の最大の厚さを表している。つまりクリンチ8は、最大の厚さTcxを有している。図2においては、この厚さTcxのための法線が直線L1で表されている。本発明では、この法線L1は第一基準線と称される。両矢印Tf1は、この第一基準線L1に沿って計測されるフィラー10の厚さである。さらに図2において、両矢印Tfxはフィラー10の最大の厚さを表している。つまりフィラー10は、最大の厚さTfxを有している。図2においては、この厚さTfxのための法線が直線L2で表されている。本発明では、この法線L2は第二基準線と称される。
このタイヤ2では、厚さTf1の、厚さTf1及び厚さTcxの和(Tf1+Tcx)に対する比は、0.1以上0.6以下が好ましい。この比が0.1以上に設定されることにより、フィラー10が剛性に寄与する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。この観点から、この比は0.14以上がより好ましく、0.20以上がさらに好ましい。この比が0.6以下に設定されることにより、ビード12の部分の過大な剛性が抑えられる。このタイヤ2は均等に撓みうる。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2で、氷雪上でのグリップ力が向上されている。この観点から、この比は0.50以下がより好ましい。
図2において、符号P1は第一基準線L1とクリンチ8の軸方向内面との交点を表している。両矢印H1は、フィラー10の内端32からこの交点P1までの半径方向高さを表している。符号P2は、第二基準線L2とクリンチ8の軸方向内面との交点を表している。両矢印H2は、フィラー10の内端32からこの交点P2までの半径方向高さを表している。両矢印Hfは、フィラー10の内端32からその外端34までの半径方向高さを表している。この高さHfは、フィラー10の半径方向高さである。
このタイヤ2では、高さH2の高さH1に対する比は0.6以上1.2以下が好ましい。この比が0.6以上に設定されることにより、第二基準線L2とコア36との間にある、折返し部46の湾曲の程度が適正に維持される。このタイヤ2では、カーカス14に十分なテンションが掛けられる。このカーカス14は剛性に寄与する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。この観点から、この比は0.70以上がより好ましい。この比が1.2以下に設定されることにより、最大幅位置PWからエイペックス38の先端40までのゾーンにおけるカーカス14の輪郭(カーカスラインとも称される)が適正な曲率半径を有する円弧で表される。このタイヤ2では、サイドウォール6の部分においても、カーカス14に歪みは集中しにくい。このタイヤ2のカーカス14には、損傷は生じにくい。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2では、高さH2の高さHfに対する比は0.25以上0.5以下が好ましい。この比が0.25以上に設定されることにより、第二基準線L2とコア36との間にある、折返し部46の湾曲の程度が適正に維持される。このタイヤ2では、カーカス14に十分なテンションが掛けられる。このカーカス14は剛性に寄与する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。この比が0.5以下に設定されることにより、最大幅位置PWからエイペックス38の先端40までのゾーンにおけるカーカスラインが適正な曲率半径を有する円弧で表される。このタイヤ2では、サイドウォール6の部分においても、カーカス14に歪みは集中しにくい。このタイヤ2のカーカス14には、損傷は生じにくい。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2では、クリンチ8が最大の厚さTcxを有する位置(以下、厚さTcxの位置)において、厚さTf1を有するフィラー10が、ビード12の部分のしなやかな撓みに寄与する。そして、この厚さTcxの位置の近くにおいて、フィラー10が最大の厚さTfxを有することにより、カーカス14に十分なテンションが掛けられるとともに、このカーカス14の輪郭が、ビード12の部分のみならず、タイヤ2全体の均等な撓みに寄与する。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。
図2において、両矢印TAはタイヤ2の厚さを表している。この厚さTAは、第一基準線L1に沿って計測される。この厚さTAは、厚さTcxの位置における、タイヤ2の厚さである。
このタイヤ2では、厚さTAは10mm以上20mm以下が好ましい。この厚さTAが10mm以上に設定されることにより、ビード12の部分は十分な剛性を有する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。この観点から、この厚さTAは12mm以上がより好ましい。この厚さTAが20mm以下に設定されることにより、ビード12の部分の過大な剛性が抑えられる。このタイヤ2は均等に撓みうる。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。この観点から、この厚さTAは18mm以下がより好ましい。
前述の通り、このタイヤ2では、半径方向において、フィラー10の外端34は、クリンチ8の外端28よりも内側に位置するか、又はクリンチ8の外端28よりも外側に位置するのが好ましい。言い換えれば、フィラー10の外端34は、半径方向において、クリンチ8の外端28と一致していないのが好ましい。これにより、撓みに伴う歪みが、異なる位置にあるフィラー10の外端34及びクリンチ8の外端28に分散される。歪みの分散は、このタイヤ2の耐久性の向上に寄与する。図2において、両矢印Dsはクリンチ8の外端28からフィラー10の外端34までの半径方向距離を表している。耐久性の観点から、フィラー10の外端34がクリンチ8の外端28よりも半径方向内側に位置している場合においても、このフィラー10の外端34がクリンチ8の外端28よりも半径方向外側に位置している場合においても、この距離Dsは5mm以上が好ましい。歪みの分散の観点から、フィラー10の外端34はクリンチ8の外端28から離れた位置に設けられるのが好ましいので、この距離Dsの上限は設定されない。
このタイヤ2では、半径方向において、フィラー10の内端32は、別離点PBよりも内側に位置するのが好ましい。言い換えれば、フィラー10の一部が別離点PBよりも半径方向内側に位置するのが好ましい。これにより、フィラー10の一部がビード12とフランジFとの間に挟まれるので、フィラー10がビード12の部分の変形に抗するように作用する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。
図1において、両矢印Laは、エイペックス38の長さである。この長さLaは、エイペックス38の底面の軸方向中心(図1の符号PC)からその先端40までの長さで表される。両矢印Lfは、フィラー10の長さである。この長さLfは、フィラー10の内端32とその外端34とを結ぶ線分の長さで表される。両矢印HcはビードベースラインBBLからクリンチ8の外端28までの半径方向高さを表している。この高さHcは、クリンチ8の高さである。
このタイヤ2では、エイペックス38の長さLaは10mm以下が好ましい。この長さが10mm以下に設定されることにより、エイペックス38の先端40への歪みの集中が防止される。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この長さLaは、5mm以上が好ましい。これにより、第二基準線L2とコア36との間にある、折返し部46の湾曲の程度が適正に維持され、耐久性への影響が抑えられる。
このタイヤ2では、フィラー10の長さLfは10mm以上50mm以下が好ましい。この長さLfが10mm以上に設定されることにより、フィラー10は剛性に寄与する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。この長さLfが50mm以下に設定されることにより、最大幅位置PWよりも内側の部分の剛性が適切に維持される。このタイヤ2では、その全体が均等に撓みうる。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。
このタイヤ2では、クリンチ8の高さHcは30mm以上60mm以下が好ましい。この高さHcが30mm以上に設定されることにより、クリンチ8よりも柔軟なサイドウォール6がフランジFと接触することが防止される。このタイヤ2では、フランジFと擦れて、ビード12の部分のボリュームが低減するという損傷(リムチェーフィングとも称される。)が防止される。この高さHcが60mm以下に設定されることにより、最大幅位置PWよりも内側の部分の剛性が適切に維持される。このタイヤ2では、その全体が均等に撓みうる。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。
前述したように、クリンチ8はリムRのフランジFと当接する。このクリンチ8には、フランジFとの擦れによるボリュームの低減を防止するために、耐摩耗性が要求される。このクリンチ8にはフィラー10が積層されるので、歪みの集中の観点から、クリンチ8の剛性とフィラー10の剛性とのバランスも重要である。耐摩耗性及び剛性のバランスの観点から、フィラー10の複素弾性率Efに対するクリンチ8の複素弾性率Ecの比率(Ec/Ef)は、百分率で70%以上が好ましく、125%以下が好ましい。
このタイヤ2では、クリンチ8の複素弾性率Ecは10MPa以上90MPa以下が好ましい。この複素弾性率Ecが10MPa以上に設定されることにより、クリンチ8が剛性に寄与する。このビード12の部分では、歪みが適正に抑制されている。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。この複素弾性率Ecが90MPa以下に設定されることにより、クリンチ8による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、その全体が均等に撓みうる。これは、タイヤ2から氷雪面への力の伝達効率を向上させる。このタイヤ2では、氷雪上でのグリップ力が向上されている。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1−3に示されたタイヤを製作した。このタイヤの諸元が表1に示されている。このタイヤのサイズは、225/65R17 102Qである。「HTU」構造のカーカスが採用された。断面高さHsは143mmであり、断面高さHsに対する折返し部の高さHtの比(Ht/Hs)は0.50であった。エイペックスの複素弾性率Eaは、40MPaとされた。フィラーの長さLaは、40mmとされた。クリンチの高さHcは、50mmとされた。サイプの平均間隔Ssは、4.2mmとされた。
[比較例1]
フィラーを有さない従来のビードの部分の構造を備えている他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。
[比較例2−3]
フィラーを有さない従来のビードの部分の構造を備え数(Ls/Sg)を表1に示される値とした他は実施例1と同様にして、比較例2−3のタイヤを得た。
[実施例2−3及び比較例4−5]
数(Ls/Sg)を表2に示される値とした他は実施例1と同様にして、実施例2−3及び比較例4−5のタイヤを得た。
[実施例4−5及び比較例6−7]
フィラーの複素弾性率を調整して比(Ef/Ea)を表3に示される値として他は実施例1と同様にして、実施例4−5及び比較例6−7のタイヤを得た。
[実施例6−9]
厚さTcx及び厚さTf1を調整して比(Tf1/(Tf1+Tcx))を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6−9のタイヤを得た。
[氷上グリップ力]
試作タイヤを標準リム(サイズ=7J)に組み込み、排気量2400ccの四輪駆動の乗用車に装着した。このタイヤの内圧は220kPaとされた。氷上制動のテストコースにおいて、この車両が20km/hの速度で走行している状態でブレーキをかけ、ブレーキをかけてから停止するまでの走行距離(制動距離)を測定した。この結果の逆数が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1−4に示されている。この値が大きいほど、制動距離が短いことを示す。この値が大きいほど。グリップ力が高いことを示す。値が大きいほど好ましい。
[耐摩耗性]
試作タイヤを標準リム(サイズ=7J)に組み込み、排気量2400ccの四輪駆動の乗用車に装着した。このタイヤの内圧は220kPaとされた。ドライアスファルトのテストコースにおいて、この車両を走行距離が8000kmとなるまで走行させた。このタイヤの摩耗量を測定した。この値の逆数が、実施例1を100とした指数値で、下記表1−4に示されている。この値が大きいほど、摩耗に対するタイヤの寿命が長いことを示す。値が大きいほど好ましい。
Figure 0006457821
Figure 0006457821
Figure 0006457821
Figure 0006457821
表1から4に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤは、種々の車輌にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・クリンチ
10・・・フィラー
12・・・ビード
14・・・カーカス
16・・・ベルト
16a・・・内側層
16b・・・外側層
18・・・インナーライナー
20・・・チェーファー
22・・・トレッド面
24・・・ベース層
26・・・キャップ層
28・・・クリンチの外端
30・・・サイドウォールの内端
32・・・フィラーの内端
34・・・フィラーの外端
36・・・コア
38・・・エイペックス
40・・・エイペックスの先端
42・・・カーカスプライ
44・・・主部
46・・・折返し部
48・・・折返し部の端
50・・・主溝
52・・・リブ
54・・・横溝
56・・・ブロック
58・・・筋
60・・・サイプ

Claims (4)

  1. トレッド、一対のサイドウォール、一対のクリンチ、一対のフィラー、一対のビード及びカーカスを備えており、
    それぞれのサイドウォールが、上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びており、
    それぞれのクリンチが、上記サイドウォールよりも半径方向内側に位置しており、
    それぞれのフィラーが、上記クリンチよりも軸方向内側に位置しており、
    それぞれのビードが、上記フィラーよりも半径方向内側に位置しており、
    上記カーカスが、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されており、
    上記フィラーが、上記カーカスの軸方向外側において、上記クリンチと積層されており、
    上記ビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えており、
    上記カーカスがカーカスプライを備えており、
    上記カーカスプライが上記コアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されており、この折り返しによりこのカーカスプライには主部と折返し部とが形成されており、
    上記折返し部が、上記フィラーと上記エイペックスとの間に位置しており、
    上記エイペックスの複素弾性率Eaに対する上記フィラーの複素弾性率Efの百分比が70%以上125%以下であり、
    上記トレッドが、周方向に延在する主溝と、この主溝によって区切られた領域であるリブとを備えており、
    上記リブが複数のサイプを備えており、
    このタイヤが接地したときの接地面積をミリ平方メートルの単位で表した数がSgとされ、この接地面積内に含まれる上記サイプの軸方向長さの平均値をミリメートルの単位で表した数がLsとされたとき、数Lsを数Sgで割った数(Ls/Sg)が、0.06以上0.10以下であり、
    上記クリンチが、このクリンチの軸方向内面の法線に沿って計測される、最大の厚さTcxを有しており、
    上記厚さTcxのための法線を第一基準線としたとき、
    この第一基準線に沿って計測される上記フィラーの厚さTf1の、この厚さTf1及びこの厚さTcxの和に対する比が、0.2以上0.6以下である空気入りタイヤ。
  2. 上記フィラーが、上記クリンチの軸方向内面の法線に沿って計測される、最大の厚さTfxを有しており、
    この厚さTfxのための法線を第二基準線としたとき、
    このフィラーの内端から、この第二基準線と上記クリンチの軸方向内面との交点までの半径方向長さの、このフィラーの内端から、上記第一基準線とこのクリンチの軸方向内面との交点までの半径方向長さに対する比が、0.6以上1.2以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記フィラーの複素弾性率Efに対する上記クリンチの複素弾性率Ecの百分比が、70%以上125%以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記第一基準線に沿って計測されるこのタイヤの厚みが10mm以上20mm以下である、請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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