JP6456477B2 - 表面変形層を有する有機発光ダイオード - Google Patents

表面変形層を有する有機発光ダイオード Download PDF

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Description

本発明は、広く言えば有機発光ダイオードのような発光デバイスに関するものであり、より詳細には、光散乱表面を有する発光デバイスおよびこの発光デバイスを作製する方法に係るものである。
有機発光ダイオード(OLED)は、発光デバイスの一例である。OLEDは、有機薄膜、例えば、有機半導体材料のエレクトロルミネセント発光層を有する活性な積層体を組み込んだ多層構造を有する。活性な積層体は、2つの電極(アノードおよびカソード)の間に位置する。アノードとカソードとの間に電流が通されると、発光層は、電流の印加に応答して光、通常は可視光を放出する。OLEDは、テレビ画面、コンピュータモニタ、携帯電話、PDA、腕時計、照明、および様々な他の電子デバイスのような多数の用途に使用されている。
OLEDは、液晶および白熱灯またはコンパクト蛍光灯ランプ(CLF)のような従来の無機発光デバイスに対して、多数の利点を有する。例えば、OLEDは、バックライトを必要とせずに機能する。暗室のように周辺光に乏しい中で、OLEDスクリーンは、従来の液晶ディスプレイよりも高いコントラスト比を達成できる。また、OLEDは液晶ディスプレイよりも薄く、軽量で、より柔軟でもある。OLEDは、白熱灯またはコンパクト蛍光灯ランプと比較して、作動に必要なエネルギーが少なく、費用の節約が可能になる。
しかしながら、OLEDの1つの欠点は、OLEDの様々な層の間の屈折率の差によってもたらされる光導波路効果に起因して、活性な積層体によって生成される相当量の光が失われることである。発光層によって放出される光の一部は、様々な層境界で反射し戻され、層内に閉じ込められる。従来のOLED照明デバイスにおいては、有機発光層から放出される可視光の約80%が、この光導波路効果に起因してOLED内部に閉じ込められる。
そのため、従来のOLEDよりも多くの電磁放射、例えば、可視光を抽出するためのデバイスおよび/または方法を提供することができると有利であろう。
現在、光の抽出を増大させる方法には、複雑なコーティング被着方法と表面パターニング方法との組み合わせがある。例えば、基板表面の表面粗さを増大させるために、OLED基板の外面を化学エッチング(酸エッチングなど)または物理エッチング(工具による等)することができる。表面粗さを増大させることによってヘイズが増大し、これによって一般的に、OLEDから抽出される光量が増大する。しかしながら、これらの現行のコーティングおよびパターニングプロセスは、OLEDを作製するのに必要とされる製造時間および費用を増大させ、エッチングおよび/またはコーティング材料の貯蔵および廃棄により環境問題をもたらす虞がある。さらに、これらの方法は、OLEDの様々な内部層の間の導波路効果には何の影響も与えない。
そのため、従来のデバイスまたは方法に優る以下の利点、すなわち、
導波路効果の低減、
大きい光放出、
簡単な製造プロセス、
廉価な製造費用、
製造ステップの少なさ、および/または、
製造ステップが簡単
のうちの1つまたは複数を有するOLEDのような発光デバイスおよび/または発光デバイスを作製する方法を提供することができると有利であろう。
本発明の概要を、以下の番号を付した項目に示す。
第1項:有機発光ダイオードは、第1の表面および第2の表面を有する基板と、第1の電極と、第2の電極とを備える。第1の電極と第2の電極との間に発光層が配置される。有機発光ダイオードは、平坦でない表面を備える表面変形層をさらに含む。
第2項:表面変形層が第1の電極と基板との間に配置されている、第1項の有機発光ダイオード。
第3項:表面変形層が、有機発光ダイオードの少なくとも1つの他の層に平坦でない表面、特に、平坦でない内面を与える、第1項または第2項の有機発光ダイオード。
第4項:表面変形層が多層構造を有する、第1項〜第3項のいずれかの有機発光ダイオード。
第5項:表面変形層が、基板の少なくとも一部分の上に位置する第1のフィルムと、第1のフィルムの少なくとも一部分の上に位置する第2のフィルムとを備える、第1項〜第4項のいずれかの有機発光ダイオード。第2のフィルムは第1のフィルムと直接に接していることが好ましい。
第6項:第1のフィルムが第1の膨張係数を有し、第2のフィルムが第2の膨張係数を有する、第5項の有機発光ダイオード。第1の膨張係数は第2の膨張係数よりも大きいことが好ましい。
第7項:第1の膨張係数(20℃、10−6m/mK)が少なくとも25、とりわけ少なくとも40である、第6項の有機発光ダイオード。
第8項:第1の膨張係数が220以下、とりわけ200以下である、第6項または第7項の有機発光ダイオード。第1の膨張係数は、例えば80以下である。
第9項:第1の膨張係数(20℃、10−m/mK)が25〜220の範囲、とりわけ40〜200の範囲である、第6項〜第8項のいずれかの有機発光ダイオード。
第10項:第2の膨張係数(20℃、10−6m/mK)が少なくとも1、とりわけ少なくとも4である、第6項〜第9項のいずれかの有機発光ダイオード。
第11項:第2の膨張係数が100以下、とりわけ80以下である、第6項〜第10項のいずれかの有機発光ダイオード。
第12項:第2の膨張係数(20℃、10−6m/mK)が1〜100、とりわけ4〜80の範囲である、第6項〜第11項のいずれかの有機発光ダイオード。
第13項:第1の膨張係数が第2の膨張係数よりも大きい、第6項〜第12項のいずれかの有機発光ダイオード。
第14項:第1のフィルムが、弾性材料、高分子材料、高分子有機材料、およびそれらの混合物から成る群から選択される材料を含む、第5項〜第13項のいずれかの有機発光ダイオード。例えば、第1のフィルムは、ポリアルキルシロキサン、とりわけポリジメチルシロキサンを含むことができる。
第15項:第1のフィルムが少なくとも1nm、とりわけ少なくとも10nmの厚さを有する、第5項〜第14項のいずれかの有機発光ダイオード。
第16項:第1のフィルムが、500nm以下の厚さ、例えば100nm以下の厚さを有する、第5項〜第15項のいずれかの有機発光ダイオード。
第17項:第1のフィルムが1nm〜500nm、とりわけ10nm〜100nmの範囲の厚さを有する、第5項〜第16項のいずれかの有機発光ダイオード。
第18項:第2のフィルムが第1のフィルムよりも高いデュロメータを有する、第5項〜第17項のいずれかの有機発光ダイオード。
第19項:第2のフィルムが、酸化物、金属酸化物、窒化物および/または酸窒化物のフィルム、とりわけ、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、SiおよびInのうちの1つまたは複数の酸化物、窒化物および/または酸窒化物を含む、第5項〜第18項のいずれかの有機発光ダイオード。例えば、第2のフィルムは、無機材料を含むことができる。
第20項:第2のフィルムが少なくとも1nm、とりわけ少なくとも4nmの厚さを有する、第5項〜第19項のいずれかの有機発光ダイオード。
第21項:第2のフィルムが300nm以下、とりわけ50nm以下の厚さを有する、第5項〜第20項のいずれかの有機発光ダイオード。
第22項:第2のフィルムが1nm〜300nm、とりわけ1nm〜50nmの範囲の厚さを有する、第5項〜第21項のいずれかの有機発光ダイオード。
第23項:第1のフィルムが湿式成膜法、とりわけ、スピンコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スロットダイコーティング、カーテンコーティングから成る群から選択される湿式成膜法によって形成される、第5項〜第22項のいずれかの有機発光ダイオード。
第24項:第2のフィルムがMSVDによって形成される、第5項〜第23項のいずれかの有機発光ダイオード。
第25項:第2のフィルムが、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、ジルコニア、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、とりわけアルミナとシリカとの混合物である、第5項〜第24項のいずれかの有機発光ダイオード。
第26項:表面変形層が単一層を含む、第1項の有機発光ダイオード。
第27項:表面変形層が、アルミナ、または、アルミナとシリカとの混合物を含む、第26項の有機発光ダイオード。
第28項:表面変形層が少なくとも1nm、とりわけ少なくとも10nmの厚さを有する、第26項または第27項の有機発光ダイオード。
第29項.表面変形層が500nm以下、とりわけ100nm以下の厚さを有する、第26項〜第28項のいずれか一項の有機発光ダイオード。例えば、表面変形層は、1nm〜500nm、とりわけ10nm〜500nmの範囲の厚さを有することができる。
第30項:表面変形層が、内部に組み込まれたナノ粒子を含む、第1項〜第29項のいずれかの有機発光ダイオード。
第31項:ナノ粒子が、金属酸化物ナノ粒子、とりわけ、アルミナ、チタニア、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、シリカ、ヒュームドシリカ、およびジルコニアから成る群から選択されるナノ粒子を含む、第30項の有機発光ダイオード。
第32項:ナノ粒子が、0.1重量パーセント〜50重量パーセント、とりわけ0.1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲で表面変形層内に組み込まれる、第30項または第31項の有機発光ダイオード。
第33項:表面変形層が、発光層の屈折率と基板の屈折率との間の屈折率を有する、第1項〜第28項のいずれかの有機発光ダイオード。
第34項:表面変形層が、5nm〜5000nm、とりわけ5nm〜500nmの範囲の平均表面粗さ(Ra)を有する内面を有する、第1項〜第33項のいずれかの有機発光ダイオード。
第35項:表面変形層と基板との間に位置する少なくとも1つの下層を含む、第1項〜第34項のいずれかの有機発光ダイオード。
第36項:下層が単一層または多層構造を含む、第35項の有機発光ダイオード。
第37項:下層が、1つまたは複数の金属酸化物材料、とりわけ、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、およびそれらの合金ならびに混合物の酸化物から成る群から選択される金属酸化物材料を含む、第35項または第36項の有機発光ダイオード。
第38項:下層が、均質層、傾斜層、および複数の層から成る群から選択される、第35項〜第37項のいずれかの有機発光ダイオード。
第39項:下層が、少なくともシリカおよびチタニアの混合物、とりわけ、シリカ、チタニアおよび酸化リンの混合物を含む、第35項〜第38項のいずれかの有機発光ダイオード。
第40項:下層が10nm〜120nm、とりわけ30nm〜70nmの範囲の厚さを有する、第35項〜第39項のいずれかの有機発光ダイオード。
第41項:第1の電極がアノードである、第1項〜第40項のいずれかの有機発光ダイオード。
第42項:第2の電極が、バリウム、カルシウム、およびマグネシウムから成る群から選択される、第1項〜第41項のいずれかの有機発光ダイオード。
第43項:第2の電極が不透明である、第1項〜第42項のいずれかの有機発光ダイオード。
第44項:第2の電極が透明である、第1項〜第42項のいずれかの有機発光ダイオード。
第45項:第1の電極が多層構造を備える、第1項〜第44項のいずれかの有機発光ダイオード。
第46項:第1の電極が、第2の電極よりも基板に近い、第1項〜第45項のいずれかの有機発光ダイオード。
第47項:表面変形層が、ランダムに配向した隆起部を備える、第1項〜第46項のいずれかの有機発光ダイオード。
第48項:基板の少なくとも一部分の上に表面変形層を設けるステップと、表面変形層に平坦でない表面を与えるために、表面変形層が膨張および/または収縮させるステップとを含む、有機発光ダイオードを作製する方法。
第49項:追加の層のうちの少なくとも1つの平坦でない表面、好ましくは平坦でない内面を備えるように、表面変形層の上に追加の層を設けるステップを含む、第48項の方法。
第50項:膨張および/または収縮させるステップを、表面変形層を加熱および/または冷却することによって行なう、第48項または第49項の方法。
第51項:表面変形層が、基板の少なくとも一部分上の第1のフィルムと、第1のフィルムの少なくとも一部分上の第2のフィルムとを備える、第48項〜第50項のいずれかの方法。
第52項:被覆された基板を形成するために、基板の少なくとも一部分の上に表面変形層の第1のフィルムを形成するステップであって、第1のフィルムは第1の表面積を有する第1のフィルムを形成するステップと、第1のフィルムを第2の表面積まで膨張させるのに十分な温度まで被覆された基板を加熱するステップと、第1のフィルムの表面積が第1の表面積よりも大きい間に、第1のフィルムの上に表面変形層の第2のフィルムを形成するステップと、第2のフィルムが平坦でない表面を備えるように、第1のフィルムおよび第2のフィルムの少なくとも一方を収縮させるために、第1のフィルムおよび第2のフィルムを有する被覆された基板を冷却するステップとを含む、第48項〜第51項のいずれかの方法。
第53項:第1のフィルムが第1の膨張係数を有し、第2のフィルムが第2の膨張係数を有する、第51項または第52項の方法。
第54項:第1の膨張係数が第2の膨張係数よりも大きい、第53項の方法。
第55項:第1のフィルムが、エラストマー材料、高分子材料、高分子有機材料、およびそれらの混合物から成る群から選択される材料を含む、第51項〜第54項のいずれかの方法。例えば、ポリアルキルシロキサン、とりわけポリジメチルシロキサン。
第56項:第1のフィルムが1nm〜500nm、とりわけ1nm〜300nmの範囲の厚さを有する、第51項〜第55項のいずれかの方法。
第57項:第2のフィルムが第1のフィルムよりも高いデュロメータを有する、第51項〜第56項のいずれかの方法。
第58項:第2のフィルムが、酸化物、金属酸化物、窒化物および/または酸窒化物フィルム、とりわけ、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、SiおよびInのうちの1つまたは複数の酸化物、窒化物および/または酸窒化物を含む、第51項〜第57項のいずれかの方法。
第59項:第2のフィルムが1nm〜300nm、とりわけ1nm〜50nmの範囲の厚さを有する、第51項〜第58項のいずれかの方法。
第60項:第1のフィルムを湿式成膜法、とりわけ、スピンコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スロットダイコーティング、およびカーテンコーティングから成る群から選択される湿式成膜法によって形成する、第51項〜第59項のいずれかの方法。
第61項:第2のフィルムをMSVDによって形成する、第51項〜第60項のいずれかの方法。
第62項:第2のフィルムが、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、ジルコニア、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、第51項〜第61項のいずれかの方法。
第63項:表面変形層が10nm〜1000nm、とりわけ10nm〜500nmの範囲の厚さを有する、第51項〜第62項のいずれかの方法。
第64項:表面変形層が、発光層の屈折率と基板の屈折率との間の屈折率を有する、第51項〜第63項のいずれかの方法。
第65項:第1のフィルムを、スピンコーティングおよびスプレーコーティングから成る群から選択される方法、特にスピンコーティングによって堆積させる、第51項〜第64項のいずれかの方法。
第66項:第2のフィルムの被着前に第1のフィルムを膨張させるために、基板および第1のフィルムを、一定の温度まで加熱するか、または一定期間にわたって高温に曝す、第51項〜第65項のいずれかの方法。
第67項:上記高温が、100°F〜1,500°F(38℃〜815℃)、とりわけ300°F〜500°F(149℃〜260℃)の範囲である、第66項の方法。
第68項:上記期間が、1分〜10分、とりわけ1分〜5分の範囲である、第66項または第67項の方法。
第69項:第1のフィルムが膨張状態にある間に、第2のフィルムを第1のフィルム上に形成する、第51項〜第68項のいずれかの方法。
第70項:第1のフィルムが高温の間に、第2のフィルムを第1のフィルム上に形成する、第51項〜第69項のいずれかの方法。
第71項:第2のフィルムをMSVDによって被着させる、第51項〜第70項のいずれかの方法。
第72項:表面変形層と基板との間に少なくとも1つの下層を配置するステップを含む、第48項〜第71項のいずれかの方法。
第73項:下層が、1つまたは複数の金属酸化物材料、とりわけ、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、およびそれらの合金ならびに混合物の酸化物を含む、第72項の方法。
第74項:第1の膨張係数(20℃、10−6m/mK)が少なくとも25、とりわけ少なくとも40である、第53項の方法。
第75項:第1の膨張係数(20℃、10−6m/mK)が220以下、とりわけ200以下である、第74項の方法。
第76項:第2の膨張係数(20℃、10−6m/mK)が少なくとも4、とりわけ少なくとも10である、第74項または第75項の方法。
第77項:第2の膨張係数(20℃、10−6m/mK)が100以下、とりわけ80以下である、第74項〜第76項のいずれかの方法。
第78項:第1の膨張係数が第2の膨張係数よりも大きい、第74項〜第77項のいずれかの方法。
第79項:表面変形層が単一層、とりわけ、アルミナ、またはアルミナとシリカとの混合物を含む単一層である、第48項〜第50項のいずれかの方法。
第80項:表面変形層が1nm〜1500nm、とりわけ1nm〜1000nmの範囲の厚さを有する、第48項〜第79項のいずれかの方法。
第81項:発光デバイスまたは太陽電池における、第1項〜第81項のいずれかに記載の表面変形層の使用。
第82項:電子デバイス、とりわけ、コンピュータモニタ、コンピュータ画面、携帯電話、テレビ画面、個人情報端末、時計、および照明デバイスから成る群から選択される電子デバイスにおける、第1項〜第81項のいずれかに記載の表面変形層を有する有機発光ダイオードの使用。
本発明の構成を有するOLEDの形態の発光デバイスの側断面図(原寸に比例しない)。 図1のOLEDの変形形態の側断面図(原寸に比例しない)。 任意選択のナノ粒子を組み込んだ図1のOLEDの側断面図(原寸に比例しない)。 実施例1に記載されているOLED基板の走査電子顕微鏡図(SEM)。
本明細書において使用される場合、「左」、「右」、「内側」、「外側」などの空間または方向を示す用語は、図面に示された本発明に関して用いられる。本発明は、様々な代替的な向きをとることができるので、そのような用語は限定として考えられるべきではないことを理解されたい。
本明細書および特許請求の範囲において使用されているすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されたい。本明細書において開示されているすべての範囲は、始まりおよび終わりの範囲値ならびにその内に含まれるあらゆる部分範囲を包含することを理解されたい。本明細書において記載されている範囲は、指定されている範囲にわたる平均値を表す。
「上に(over)」という用語は、「基板からより離れている」ことを意味する。例えば、第2の層が第1の層の「上に」位置するということは、第2の層が、第1の層よりも基板から離れて位置していることを意味する。第2の層は、第1の層と直接に接していてもよく、または、1つもしくは複数の他の層が、第2の層と第1の層との間に位置してもよい。
「ポリマー」または「高分子」という用語は、オリゴマー、ホモポリマー、共重合体、およびターポリマーを含む。
本明細書において引用されているすべての文献は、その全体が「参照により援用される」と解釈されたい。
量に対する任意の言及は、別途指定されない限り「重量パーセント」である。
「フィルム」という用語は、所望のまたは選択される組成を有する領域を意味する。「層」は、1つまたは複数の「フィルム」を含む。「コーティング」は、1つまたは複数の「層」から構成される。「有機材料」という用語は、有機高電子デバイスを作製するのに使用することができるポリマーおよび小分子有機材料を含む。
「可視光」という用語は、380nm〜780nmの範囲の波長を有する電磁放射を意味する。「赤外線放射」という用語は、780nm超〜100,000nmの範囲の波長を有する電磁放射を意味する。「紫外線放射」という用語は、100nm〜380nm未満の範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。
ケイ素は従来では金属とは考えられないものであるが、「金属」および「金属酸化物」という用語は、従来認識されている金属および金属酸化物を含むだけでなく、ケイ素およびシリカをそれぞれ含む。「硬化可能」という用語は、重合または架橋することが可能な組成を意味する。「硬化された」ということは、材料が少なくとも部分的に重合または架橋されていること、好ましくは完全に重合または架橋されていることを意味する。「少なくとも」とは、「〜よりも大きいか又は等しい」を意味する。「以下」とは、「〜よりも小さいか又は等しい」を意味する。
特に指示されていない限り、本明細書に記載されているすべての膨張係数は、20℃の材料に対して、10−6m/mKで示されるものである。
本明細書におけるすべてのヘイズおよび透過率の値は、Haze−Gard Plus hazemeter(BYK−Gardner USAから市販されている)を使用し、ASTM D1003−07に準拠して求められたものである。
本明細書における記載において、特定の構成を、一定の限定内で「とりわけ」または「好ましくは」により特定して説明する場合がある(例えば、一定の限定内で「好ましくは」、「より好ましくは」または「さらにより好ましくは」)。本発明はこれらの特定の好ましい限定に限定されず、本開示の全範囲を包含することは理解されたい。
本発明は、以下の観点、それらのすべての組み合わせを含み、又はそれらからなり、又はそれらから本質的になる。本発明の様々な観点が別個の図面に示されている。しかし、これは単純に図示および説明を容易にするためのものであると理解されたい。本発明の実施において、1つの図面に示されている本発明の1つまたは複数の観点は、他の図面の1つまたは複数に示されている本発明の1つまたは複数の態様と組み合わせることができる。
以下の説明の目的のために、本明細書では、OLEDについて説明される。しかしながら、本発明は、OLEDまたは他の発光デバイスへの使用に限定されず、限定ではないが、太陽電池、例えば、光起電性薄膜太陽電池のような、他の分野において実施できることを理解されたい。
本発明の構成を有するOLED10を図1に示す。OLED10は、第1の表面(外面)14および第2の表面(内面)16を有する基板12を含む。「外面」とは、OLED10の外部に面している表面を意味する。「内面」とは、OLED10の内部に面している表面を意味する。
OLED10は、表面変形層18をさらに含む。表面変形層18は、単一層であってもよく、または、多層であってもよい。図1に示されている例示的な表面変形層18は、第1の表面(外面)22および第2の表面(内面)24を有する第1のフィルム20と、第1の表面(外面)28および第2の表面(内面)30を有する第2のフィルム26とを含む。
OLED10は、表面変形層18の上に位置する第1の導電性電極32と、有機材料のエレクトロルミネセント発光層36を組み込んだ活性積層体34と、第2の導電性電極38とをさらに含む。従来のOLED(本発明の表面変形層18を有しない)の一般的な構造および動作は当業者にはよく理解されており、そのため、詳細には説明しない。
表面変形層18は、その上にOLED10の他の層(例えば、第1の電極32、活性積層体34、および/または第2の電極38)を形成できる平坦でない表面(内面30)を有する。「平坦でない表面」とは、歪んだ又はひだ状の構造を有する表面を意味する。例えば、平坦でない表面は、隆起部および谷部を交互に有する領域でもよく、またはそのような領域を含むこともできる。隆起部間の距離は、平坦でない表面にわたって均一または不均一でよい。谷部の深さは、平坦でない表面にわたって均一または不均一でよい。隆起部は、ランダムに配向できる。表面変形層18の平坦でない表面30上に他のOLED層を形成することによって、これらの他の層の少なくとも1つ、好ましくはこれらの他の層の2つ以上も、1つまたは複数の平坦でない表面を有する。これらの層の平坦でない表面は、光導波路効果を低減させ、より多くの光がOLED10から放出されることを可能にする。
基板12は、透明基板であることが好ましい。「透明」とは、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満のような、25%未満のヘイズを有することを意味する。ヘイズは25%未満であることが好ましい。より好ましいヘイズは15%未満である。さらにより好ましいヘイズは10%未満である。
基板12にとって好適な材料の例は、従来のソーダ石灰ケイ酸塩ガラスおよびフロートガラスのようなガラス、および高分子材料を含む。基板12は、550ナノメートル(nm)の対照波長および3.2mmの対照厚さにおいて高い可視光透過率を有することが好ましい。「高い可視光透過率」とは、3.2mmの対照厚さにおいて、550nmにおける平均可視光透過率が少なくとも85%を意味し、例えば少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも95%である。基板12は、550nmおよび3.2mmの対照厚さにおいて、少なくとも85%の可視光透過率を有することが好ましい。より好ましくは、基板12は、550nmおよび3.2mmの対照厚さにおいて、少なくとも90%の可視光透過率を有することである。さらにより好ましくは、基板12は、550nmおよび3.2mmの対照厚さにおいて、可視光透過率が少なくとも93%である。例えば、可視光透過率は、3.2mmの対照厚さ550nmの波長において、85%〜100%の範囲とでき、例えば、87%〜100%、90%〜100%、91%〜100%、92%〜100%、93%〜100%、94%〜100%、95%〜100%、96%〜100%とできる。本発明の実施に使用できるガラスの非限定例は、Starphire(登録商標)、Solarphire(登録商標)、Solarphire(登録商標)PVおよびCLEAR(商標)ガラスを含み、これらはすべて、ペンシルヴァニア州ピッツバーグのPPG Industries,Inc.から市販されている。代替的に、基板12は、アクリル基板のような高分子基板であってもよい。
基板12は、任意所望の厚さを有することができる。例えば、基板12は、少なくとも0.5mmの厚さを有することができる。例えば、少なくとも1mmの厚さ。例えば、少なくとも1.5mm厚さ。例えば、少なくとも2.5mm、少なくとも3mm、少なくとも3.5mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、少なくとも10mmなどの少なくとも2mmの厚さを有することができる。
例えば、基板12は、10mm以下の厚さを有することができる。例えば少なくとも8mm、少なくとも7mm、少なくとも6mm、少なくとも5mm、少なくとも4mm、少なくとも3.5mmなどの少なくとも9mmの厚さ。例えば、基板12は、5mm以下の厚さを有することができる。
例えば、基板12は、0.5mm〜10mmの範囲の厚さを有することができる。例えば、1mm〜10mmの範囲。例えば、1.5mm〜5mmの範囲。
第1の電極32および第2の電極38の両方が透明であってもよく、または、一方の電極が透明で、他方の電極が不透明(例えば反射性)であってもよい。本発明を記述する目的のために、図面に示されているOLED10は、透明な第1の(下部)電極32および反射性の第2の(上部)電極38を有する「ボトムエミッション」OLEDとして説明される。第1の電極32はアノードとして指定され、第2の電極38はカソードとして指定される。しかしながら、これは本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明はボトムエミッションOLED、または、第1の電極32がアノードであることには限定されないことは理解されたい。
第1の電極(例えば、アノード)32は、単一の導電層であってもよく、又は導電層を組み込んだ多層構造であってもよい。第1の電極32は、導電性金属または金属酸化物層のような透明な導電層であってもよく、あるいは導電性金属または金属酸化物層を組み込んだ多層構造であってもよい。
例えば、第1の電極32は1つまたは複数の導電性酸化物材料を含むことができる。例えば、限定ではないが、1つまたは複数の亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、セシウム(Ce)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ケイ素(Si)、インジウム(In)の1つまたは複数の酸化物、または、スズ酸亜鉛のような上記材料の2つ以上の合金。また、導電性材料は、限定ではないが、フッ素(F)、In、Al、リン(P)、Zn、および/またはSbのような、1つまたは複数のドーパント材料も含むことができる。好適な材料の特定の例は、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ、亜鉛ドープ酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム、バナジウムドープ酸化インジウム、ならびに亜鉛およびスズの酸化物(スズ酸亜鉛、または、酸化亜鉛と酸化スズとの混合物など)を含む。例えば、導電性酸化物は、酸化スズ、とりわけ、フッ素ドープ酸化スズを含むことができる。
例えば、第1の電極32は、導電性金属層であってもよく、またはそれを含んでもよい。導電性金属層の例は、金属の白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、アルミニウム、金、銅、銀、またはそれらの混合物、合金、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、第1の電極32は、2つの金属酸化物層の間に位置する導電性金属層を含んでもよい。
第2の電極(カソード)38は、任意の従来のOLEDカソードであってもよい。好適なカソードの例は、限定ではないが、バリウム、カルシウム、およびマグネシウムのような金属を含む。第2の電極38は通常、低い仕事関数を有する。発光が基板12を通じてデバイスの下部からのみであるOLEDについて、第2の電極38は、相対的に厚くすることができ、及び/又は、導電性の高い反射性金属層とすることができる。第2の電極38は不透明にできる。「不透明」とは、550nmの対照波長において、5%未満、例えば1%未満、例えば0%の透過率を有することを意味する。例えば、第2の電極38は、活性積層体34によって生成される光の少なくとも一部分を反射することができる。代替的に、光がOLED10の上部から放出されることが所望される場合、第2の電極38は、第1の電極32について上述したもののような透明材料から成ることができる。
活性積層体34は、当該技術分野において既知の任意の従来の発光層36を含むことができる。発光層36にとって好適な材料の例としては、限定ではないが、有機金属キレート(例えば、Alq)、蛍光およびリン光染料、および共役デンドリマーのような小分子を含む。好適な材料の他の例は、トリフェニルアミン、ペリレン、ルブレン、およびキナクリドンを含む。代替的に、エレクトロルミネセント高分子材料を使用してもよい。導電性ポリマーの例は、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびポリフルオレンを含む。リン光性材料も使用できる。そのような材料の例は、イリジウム錯体のような有機金属錯体がドーパントとして添加されたポリ(n−ビニルカルバゾール)のようなポリマーを含む。
OLED10は、表面変形層18を含む。図1において、表面変形層18は多層構造として示されており、第1のフィルム20が基板12の第2の表面16の上に位置しており(例えばこの表面に直接に接触している)、第2のフィルム26が第1のフィルム20の第2の表面24の上に位置している(例えばこの表面に直接に接触する)。第1のフィルム20は第1の膨張係数(例えば第1の熱膨張係数)を有し、第2のフィルム26は第2の膨張係数(例えば第2の熱膨張係数)を有する。「膨張係数」とは、一定の圧力における単位温度変化あたり(例えば、度あたり)の材料の長さまたは面積または体積の変化率を意味する。第1の膨張係数および第2の膨張係数は同じまたは同程度にできるであってもよいが、第1の膨張係数は第2の膨張係数よりも大きいことが好ましい。
第1のフィルム20は、温度が上昇(または液体吸収のような他の要因)により膨張し(例えば、表面積を増大させ)、冷却されると収縮する(例えば、元の表面積のような元の寸法に戻るか、または実質的に元の寸法に戻る)ことが可能な材料を含む。好適な材料の例は、エラストマー材料、高分子材料、高分子有機材料、およびそれらの混合物、熱硬化性材料、熱可塑性材料、およびそれらの組み合わせを含む。特定の例は、スチレンブロック共重合体、ポリオレフィンブレンド、エラストマーアロイ、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、および熱可塑性ポリアミドのような、熱可塑性エラストマーを含む。好適な材料は、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル、ポリシロキサン、有機ケイ素含有コーティング材料のようなケイ素含有コーティング材料;シラン、シロキサンおよび/またはそれらの加水分解物;有機シラン;シリル置換材料;並びに、ポリシラン、ポリオルガノシラン、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシラザン、及びポリオルガノシラゾキサンのような任意のそのような先行する材料から導出されるポリマーを含む。特定の例は、ポリメチルメタクリレート、ポリベンゾイミダゾール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアルキルシロキサン(ポリジメチルシロキサンなど)、およびトリス[3(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアネートを含む。例えば、第1のフィルム20は、高分子材料を含んでもよい。例えば、第1のフィルム20は、ポリアルキルシロキサンを含んでもよい。例えば、第1のフィルム20は、ポリジメチルシロキサンを含んでもよい。第1のフィルム20にとって好適な材料の例は、PPG Industries,Inc.から市販されているHi−Gard(登録商標)ファミリーのコーティングである。
第1のフィルム20は、後述する所望の平坦でない表面を与えるための任意の所望の厚さを有することができる。第1のフィルム20の厚さは、第1のフィルム20によって吸収、反射または透過される光の量に影響を与えることができる。一般的に、第1のフィルム20が薄くなるほど、第1のフィルム20が与えるOLED10の発光に対する影響は小さくなる。
例えば、第1のフィルム20は、少なくとも1nmの厚さを有することができる。例えば少なくとも5nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも75nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nmである。例えば、第1のフィルム20は、少なくとも1nmの厚さを有することができる。例えば、第1のフィルム20は、少なくとも15nmの厚さを有することができる。例えば、第1のフィルム20は、少なくとも25nmの厚さを有することができる。
例えば、第1のフィルム20は、500nm以下の厚さを有することができ、例えば400nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下である。例えば、第1のフィルム20は、500nm以下の厚さを有することができる。例えば、第1のフィルム20は、300nm以下の厚さを有することができる。例えば、第1のフィルム20は、100nm以下の厚さを有することができる。
例えば、第1のフィルム20は、1nm〜500nmの範囲の厚さを有することができる。例えば、厚さは、10nm〜100nmの範囲であってもよい。
例えば、第1のフィルム20は、膨張係数(20℃、10−6m/mK)を少なくとも25にできる。例えば少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも80、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも220である。例えば、第1のフィルム20は、膨張係数を少なくとも25にできる。例えば、第1のフィルム20は、少なくとも30の膨張係数を有することができる。例えば、第1のフィルム20は、少なくとも50の膨張係数を有することができる。
例えば、第1のフィルム20は、膨張係数(20℃、10−6m/mK)を220以下にできる。例えば200以下、180以下、160以下、150以下、140以下、120以下、100以下、80以下、60以下、50以下、40以下である。例えば、第1のフィルム20は、膨張係数220以下を有することができる。例えば、第1のフィルム20は、180以下の膨張係数を有することができる。例えば、第1のフィルム20は、100以下の膨張係数を有することができる。
例えば、第1のフィルム20は、25〜220の範囲の膨張係数(20℃、10−6m/mK)を有することができる。例えば、40〜200の範囲。
第2のフィルム26は、第1のフィルム20よりも硬質なフィルムとすることができる。すなわち、第2のフィルム26は、第1のフィルム20よりも高いデュロメータを有することができる。
例えば、第2のフィルム26は、酸化物、金属酸化物、窒化物、または酸窒化物フィルムとすることができる。例えば、第2のフィルム26は、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、Si、In、およびそれらの組み合わせの1つ以上の酸化物、窒化物、または酸窒化物を含むことができる。例えば、第2のフィルム26は、無機材料とすることができる。例えば、第2のフィルム26は、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、ジルコニア、およびそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、第2のフィルム26は、アルミナおよび/またはシリカを含むことができる。
例えば、第2のフィルム26は、アルミナとシリカとの混合物を含むことができる。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも10重量%のアルミナを有する、アルミナとシリカとの混合物を含むことができる。例えば少なくとも15重量%のアルミナ、少なくとも20重量%のアルミナ、少なくとも40重量%のアルミナ、少なくとも50重量%のアルミナ、少なくとも60重量%のアルミナ、少なくとも70重量%のアルミナ、少なくとも80重量%のアルミナである。例えば、第2のフィルム26は、50重量%〜70重量のアルミナと、50重量%〜30重量%のシリカとの混合物を含むことができる。例えば、第2のフィルム26は、55重量%〜65重量のアルミナと、45重量%〜35重量%のシリカとの混合物を含むことができる。例えば、第2のフィルム26は、60重量%のアルミナと、40重量%のシリカとの混合物を含むことができる。
第2のフィルム26は、任意の所望の厚さを有することができる。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも1nmの厚さを有することができる。例えば少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも75nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nmである。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも1nmの厚さを有することができる。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも5nmの厚さを有することができる。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも25nmの厚さを有することができる。
例えば、第2のフィルム26は、500nm以下の厚さを有することができる。例えば400nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下である。例えば、第2のフィルム26は、500nm以下の厚さを有することができる。例えば、第2のフィルム26は、100nm以下の厚さを有することができる。例えば、第2のフィルム26は、80nm以下の厚さを有することができる。第2のフィルム26の厚さは、第2のフィルム26によって吸収、反射、または透過される光の量に影響を与えることができる。一般的に、第2のフィルム26が薄くなるほど、第2のフィルム26が与えるOLED10の光放出に対する影響は小さくなる。第2のフィルム26は、第1のフィルム20よりも薄くすることができる。
例えば、第2のフィルム26は、1nm〜300nmの範囲の厚さを有することができる。例えば、1nm〜50nmの範囲。
第2のフィルム26は、膨張係数(20℃、10−6m/mK)が少なくとも4とできる。例えば少なくとも6であり、例えば少なくとも7、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60、少なくとも80、少なくとも100である。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも4の膨張係数を有することができる。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも10の膨張係数を有することができる。例えば、第2のフィルム26は、少なくとも20の膨張係数を有することができる。
例えば、第2のフィルム26は、100以下の膨張係数(20℃、10−6m/mK)を有することができる。例えば80以下、60以下、50以下、40以下、20以下、15以下、10以下、8以下、6以下である。例えば、第2のフィルム26は、100以下の膨張係数を有することができる。例えば、第2のフィルム26は、80以下の膨張係数を有することができる。例えば、第2のフィルム26は、40以下の膨張係数を有することができる。
例えば、第2のフィルム26は、1〜100の範囲の膨張係数(20℃、10−6m/mK)を有することができる。例えば、4〜80の範囲。
OLED10の層は、任意の従来の方法によって形成できる。例えば、噴霧熱分解、化学気相成長(CVD)、マグネトロンスパッタ真空蒸着(MSVD)、スピンコーティング、フローコーティング、スロットダイコーティング、およびカーテンコーティングを含む。層は、同じ方法によって形成されてもよく、あるいは異なる層が異なる方法によって形成されてもよい。例えば、第1のフィルム20は、スピンコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スロットダイコーティング、またはカーテンコーティングのような湿式成膜法によって基板12上に形成されてもよい。第2のフィルム26は、別の方法、例えば、MSVDによって形成されてもよい。
ここで、図1に示す例に関する本発明を実施する方法を説明する。表面変形層18が、基板12の上に、例えば、その直上に形成される。第1のフィルム20が、基板12の第2の表面16の上に、例えば、その上に直接に被着される。これは、上述した従来の方法のいずれかによって実施できる。好ましい方法は、第1のフィルム20をスピンコーティングまたはスプレーコーティングのような湿式コーティングプロセスによって堆積させることである。第1のフィルム20は硬化可能にできる。
コーティング基板(基板12および第1のフィルム20)は、第1のフィルム20が膨張する温度まで加熱される(または、選択された期間にわたって上昇した温度に曝される)。例えば、これは、第1のフィルム20の上面24の表面積が第1の表面積(加熱前)から、第1の表面積よりも大きい第2の表面積(加熱後)まで増大させるためであるは。温度は、第1のフィルム20が膨張するようにするために十分であるべきであるが、第1のフィルム20を損傷する(例えば、溶融またはガラス質にする)ほど高くするべきではない。
例えば、コーティング基板は、少なくとも100°F(38℃)の温度まで加熱することができる。例えば、少なくとも200°F(93℃)、少なくとも300°F(149℃)、少なくとも500°F(260℃)、少なくとも750°F(399℃)、少なくとも1000°F(538℃)、少なくとも1300°F(704℃)、少なくとも1500°F(815℃)、少なくとも1800°F(982℃)、少なくとも2000°F(1093℃)である。例えば、コーティング基板は、少なくとも300°F(149℃)の温度まで加熱することができる。例えば、コーティング基板は、少なくとも1000°F(538℃)の温度まで加熱することができる。例えば、コーティング基板は、少なくとも1500°F(815℃)の温度まで加熱することができる。
例えば、コーティング基板は、2000°F(1093℃)以下の温度まで加熱することができる。例えば1800°F(982℃)以下、1500°F(815℃)以下、1300°F(704℃)以下、1000°F(538℃)以下、750°F(399℃)以下、500°F(260℃)以下、300°F(149℃)以下、200°F(93℃)以下である。例えば、コーティング基板は、2000°F(1093℃)以下の温度まで加熱することができる。例えば、コーティング基板は、1300°F(704℃)以下の温度まで加熱することができる。例えば、コーティング基板は、1000°F(538℃)以下の温度まで加熱することができる。
例えば、コーティング基板は、100°F(38℃)〜1500°F(815℃)の範囲の温度まで加熱することができる。例えば、300°F(149℃)〜500°F(260℃)の範囲。
コーティング基板の実際の温度を測定することが不都合な場合、コーティング基板は、第1のフィルム20が膨張するようにするために、選択された期間にわたって既知の温度に曝すことができる。
例えば、コーティング基板は、100°F〜2000°F(38℃〜1093℃)の範囲の温度に曝すことができる。例えば200°F〜2000°F(93℃〜1093℃)、300°F〜2000°F(149℃〜1093℃)、500°F〜2000°F(260℃〜1093℃)、500°F〜1800°F(260℃〜982℃)、500°F〜1500°F(260℃〜815℃)、750°F〜1500°F(399℃〜815℃)、1000°F〜1300°F(538℃〜704℃)である。
例えば、コーティング基板は、100°F〜1500°F(38℃〜815℃)の範囲の温度(炉内など)に曝すことができる。例えば、300°F〜500°F(149℃〜260℃)、の範囲。
例えば、コーティング基板は、1分〜30分にわたって加熱することができる。例えば1分〜20分、1分〜10分、1分〜8分、1分〜6分、1分〜5分、1分〜4分、2分〜4分、3分である。
例えば、コーティング基板は、1分〜30分にわたって加熱することができる。例えば、1分〜5分の範囲。
第2のフィルム26は、第1のフィルム20が膨張状態にある間、例えば、上昇温度および/または第2の表面積にある間に、第1のフィルム20の上に形成される。すなわち、第1のフィルム20の表面積が第1の表面積よりも大きい間に形成される。第2のフィルム26は、任意の従来の方法によって形成できる。例えば、第2のフィルム26は、MSVDによって形成できる。
第2のフィルム26の堆積後(または堆積中)、第1のフィルム20(例えば、コーティング基板)は、例えば、冷却によって収縮される。「収縮する」とは、第1のフィルム20の表面積が、第1の表面積に向けて、または、第1の表面積まで低減することを意味する。第1のフィルム20が収縮することによって、第2のフィルム26が歪むか又はひだ状になる。これによって、第2のフィルム26の上面30も歪むかまたはひだ状になり、平坦でない上面30が形成される。例えば、上面30は、第2のフィルム26の歪みによってつくられる谷部によって分離された頂部または隆起部を有することができる。これらの隆起部は、表面30上でランダムな配向を有することができる。歪みの量は、第1のフィルム20および/または第2のフィルム26の材料の選択によって影響される。例えば、第1のフィルム20及び/若しくは第2のフィルム26の膨張係数、厚さの相対差、ならびに/または、コーティング基板が加熱される温度によって影響を受ける。通常、第1のフィルム20の膨張係数が大きくなるほど、および/または、第2のフィルム26の形成前にコーティング基板を加熱する温度が高くなるほど、第2のフィルム26に大きい歪みが発生するはずである。
コーティング基板(基板12、第1のフィルム20、および第2のフィルム26)を冷却すると、OLED10の残りの層を、表面変形層18の上に形成できる。これらの追加の層は第2のフィルム26の平坦でない上面30の上に形成されるため、すべてではないにせよ、これらの層の少なくともいくつかも、平坦でない表面(例えば、平坦でない内面)を有することになる。表面変形層18の上により多くの層が形成されるほど、後続して被着される層の表面の歪みの量(すなわち、粗さ)は、より多くの層が追加されることによって徐々に低減すると予測される。すなわち、これら複数の追加の層が、表面変形層18によって引き起こされる下層の表面パターンの粗さに対して及ぼし得る平滑化効果によって、後続して被着される層の表面(例えば、内面)は、ますます多くの層が形成されるほど、ますます粗さが小さくなることが予測される。しかしながら、このように後続の層において平滑化効果が起こる場合においてさえ、先行して被着された層の粗い表面は、それらの層内で光導波路効果が低減することによって、依然としてOLEDの光抽出を増大させる。
図2に示す例示的なOLEDは、表面変形層18が平坦でない内面52を有する単一層50として示されている点を除いて、図1のものと同様である。表面変形層18は、基板12の表面16の上に(例えば、その上に直接に)堆積させることができる。例えば、表面変形層18は、MSVDによって堆積させることができる。
表面変形層18は、酸化物、金属酸化物、窒化物、および/または酸窒化物をフィルムを含むことができる。例えば、表面変形層18は、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、Si、In、およびそれらの組み合わせの1つまたは複数の酸化物、窒化物、および/または酸窒化物を含むことができる。例えば、表面変形層18は、無機材料を含むことができる。例えば、表面変形層18は、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、ジルコニア、およびそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、表面変形層18(単一層50)は、アルミナおよび/またはシリカを含むことができる。例えば、アルミナとシリカとの混合物。
例えば、表面変形層18(単一層50)は、少なくとも15重量%のアルミナ、少なくとも20重量%のアルミナ、少なくとも40重量%のアルミナ、少なくとも50重量%のアルミナ、少なくとも60重量%のアルミナ、少なくとも70重量%のアルミナ、少なくとも80重量%のアルミナのような、少なくとも10重量%のアルミナを有するアルミナとシリカとの混合物を含むことができる。例えば、表面変形層18は、50重量%〜70重量のアルミナと、50重量%〜30重量%のシリカとの混合物を含むことができる。例えば、表面変形層18は、55重量%〜65重量のアルミナと、45重量%〜35重量%のシリカとの混合物を含むことができる。例えば、表面変形層18は、60重量のアルミナと、40重量%のシリカとの混合物を含むことができる。
表面変形層18は、任意の所望の厚さを有することができる。例えば、表面変形層18は、少なくとも1nmの厚さを有することができ、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも75nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nmである。例えば、表面変形層18は、少なくとも5nmの厚さを有することができる。例えば、表面変形層18は、少なくとも10nmの厚さを有することができる。例えば、表面変形層18は、少なくとも25nmの厚さを有することができる。
例えば、表面変形層18は、500nm以下の厚さを有することができる。例えば400nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下である。例えば、表面変形層18は、500nm以下の厚さを有することができる。例えば、表面変形層18は、150nm以下の厚さを有することができる。例えば、表面変形層18は、50nm以下の厚さを有することができる。
例えば、表面変形層18は、1nm〜500nmの範囲の厚さを有することができる。例えば、10nm〜50nmの範囲である。
コーティング基板(基板12および表面変形層18は、加熱でき、冷却されることができる。酸化物フィルム、とりわけ金属酸化物フィルムから成る単一層50の表面変形層18が上述したような温度まで加熱され、その後冷却されると、表面変形層18の上面52は、平坦でない表面をもたらす歪みまたはひだを発現することが見出されている。コーティング基板は、図1の例に関して上述したような温度まで、及び/又は、期間にわたって加熱することができる。
図3は、光散乱粒子42のような光散乱材料が、表面変形層18内に(例えば、第1のフィルム20内に)組み込まれている本発明の一例を示す。これは、光散乱粒子42をコーティングの組成物に添加し、その後、このコーティング組成物を基板12上に被着させることにより、光散乱粒子42を組み込んだコーティング層(例えば、第1のフィルム20)を形成することができる。光散乱粒子42は、コーティング層全体を通じてランダムに分散させることができる。光散乱粒子42の例は、無機ナノ粒子のようなナノ粒子、および、Celocor(登録商標)不透明ポリマー(Arkema Coating Resinsから市販されている)のような不透明ポリマーを含む。好適なナノ粒子の例は、限定ではないが、アルミナ、チタニア、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、シリカ、ヒュームドシリカ、およびジルコニアのような酸化物ナノ粒子を含む。
コーティング組成物は、ナノ粒子のような光散乱材料を内部に組み込まれることが可能であり、フィルムを形成することが可能な任意の材料であってもよい。例えば、ナノ粒子は、コーティング材料中に溶解、分散、または懸濁させることができる。第1のフィルム20は、ナノ粒子含有コーティング材料を基板12上に被着させることによって形成することができる。好適なコーティング組成物の例は、高分子材料、高分子有機材料、およびそれらの混合物;熱硬化性材料、熱可塑性材料、およびそれらの混合物;有機ケイ素含有コーティング材料のようなケイ素含有コーティング材料;シラン、シロキサン、および/またはそれらの加水分解物;有機シラン;シリル置換材料;ならびに、任意のそのような先行する材料から導出されるポリマーを含む。そのようなポリマーの例は、ポリシラン、ポリオルガノシラン、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシラザン、及びポリオルガノシラゾキサン、例えば、トリス[3(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアネートを含む。例えば、コーティング組成物は、ポリアルキルシロキサンを含むことができる。例えば、コーティング組成物は、ポリジメチルシロキサンを含むことができる。好適なコーティング組成物の例は、PPG Industries,Inc.から市販されているHi−Gard(登録商標)ファミリーのコーティングを含む。
ナノ粒子のような光散乱材料は、任意の所望の量でコーティング組成物中に組み込むことができる。例えば、ナノ粒子は、コーティング組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量パーセントとすることができる。例えば少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント、少なくとも0.3重量パーセント、少なくとも0.4重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも0.6重量パーセント、少なくとも0.8重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも50重量パーセントである。
例えば、光散乱材料は、コーティング組成物の総重量に基づいて、50重量パーセント以下とすることができる。例えば30重量パーセント以下、20重量パーセント以下10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.8重量パーセント以下、0.6重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.4重量パーセント以下、0.3重量パーセント以下、0.2重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、0.05重量パーセント以下、0.01重量パーセント以下である。
例えば、ナノ粒子は、コーティング組成物の総重量に対して、0.01重量パーセント〜50重量パーセントの範囲で存在することができる。例えば、0.01重量パーセント〜10重量パーセントの範囲。例えば、0.01重量パーセント〜5重量パーセントの範囲。
表面変形層18(例えば、第1のフィルム20および/または第2のフィルム26)のコーティング材料は、発光層34の屈折率と基板12の屈折率との間の屈折率を有することができる。これによって、隣接する層間の境界によって引き起こされる導波路効果および/または干渉効果を低減させることができる。例えば、ガラス基板は、通常、1.54〜1.56の範囲の屈折率を有する。従来の有機発光層は、通常、1.55〜1.8の範囲の屈折率を有する。例えば、1.6〜1.8、例えば約1.7である。1.5と1.7との間の屈折率を有する表面変形層18(例えば、第1のフィルム20)は、これら2つの値の間にある。Hi−Gard(登録商標)1600(PPG Industries,Inc.から市販されている)が、約1.6の屈折率を有する。
表面変形層18の内面30、52は、平坦でない表面である。内面30、52は、5nm〜5000nmの範囲の平均表面粗さ(R)を有することができる。例えば、5nm〜3000nm、5nm〜2000nm、5nm〜1000nm、5nm〜500nm、5nm〜300nm、5nm〜200nm、5nm〜100nm、5nm〜50nmのような、5nm〜4000nm。例えば、5nm〜40nm。例えば、5nm〜30nm。例えば、5nm〜20nm。
OLED10は、表面変形層18と基板12との間に位置する1つまたは複数の任意選択の下層を含んでもよい。下層は、単一層または多層構造であってもよい。下層は、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ならびにそれらの合金および混合物の酸化物のような、1つまたは複数の金属酸化物材料を含んでもよい。下層は、均質層、傾斜層であってもよく、または、複数の層もしくはフィルムを含んでもよい。「均質層」とは、材料がコーティング全体を通じてランダムに分散されている層を意味する。「傾斜層」とは、2つ以上の成分を有し、成分の濃度が、基板からの距離が変化するにつれて連続的に変化する(または段階的に変化する)層を意味する。例えば、下層は、少なくともシリカとチタニアとの混合物であってもよい。例えば、シリカ、チタニア、および酸化リンの混合物。
下層は、10nm〜120nmの範囲の厚さを有することができる。例えば、30nm〜80nmである。例えば、40nm〜80nmである。例えば、30nm〜70nmである。
ここで、OLED10の動作を、図3を特に参照して説明する。
動作中、アノード32およびカソード38に電圧が印加される。電子流が、カソード38から発光層36を通じてアノード32へ流れる。この電流によって、発光層36が、発光層36の組成に応じて、光(すなわち、選択された波長または波長範囲の電磁放射)を放出する。発光層36から放出された光波はアノード32、表面変形層18、基板12を通じて進行し、光波の少なくとも一部分が、基板12の外面14に出射する。表面変形層18によって引き起こされる1つまたは複数のOLEDの表面の歪みまたはひだ(平坦でないこと)のために、導波路効果によってOLED10内に閉じ込められる光は少なくなり、OLED10を出射する光は多くなる。第1のフィルム20内のナノ粒子42(存在する場合)も、光を散乱させ、OLED10の全体的な光抽出を増大させる。
本発明の他の観点によれば、表面変形層18は、選択的に除去することができる2つ以上の成分から成る混合物を含む複合コーティングから形成できる。例えば、表面変形層18は、(i)第1の溶媒に可溶であるが、第2の溶媒には可溶でないかまたは可溶性がより低い第1の成分と、(ii)第2の溶媒に可溶であるが、第1の溶媒には可溶でないかまたは可溶性がより低い第2の成分との混合物から形成できる。第1の成分は、例えば、酸化ケイ素のような酸化物、例えば、シロキサンであってもよい。第1の溶媒は、例えば、フッ化水素酸(HF)または硝酸のような酸であってもよい。第2の成分は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドン(PVP)のようなポリマーであってもよい。シロキサンおよびPVAを含む複合表面変形層18が水で洗浄された場合、PVAが除去され(少なくとも表面領域においてまたはその付近で)、シロキサンは残る。PVAの除去によってもたらされる空隙が、結果として得られる表面変形層18に平坦でない表面を残す。代替的に、上記複合コーティングはHFで洗浄されてもよく、少なくとも表面領域からシロキサンが除去され、平坦でない表面を有するPVAが残される。
本発明の別の観点によれば、被着されたコーティングの表面が表面改質処理によって処理でき、コーティングの表面領域を、コーティングの残りの部分に対して変換または改質できる。例えば、コーティングは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。PDMSコーティングを加熱し、PDMSコーティング表面をプラズマ処理に曝すことができ、それによって、PDMSコーティングの表面が硬質シリカ領域に変換される。コーティングを冷却すると、硬質シリカ領域は歪み、平坦でない表面が形成される。
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明はこれらの特定の実施例には限定されないことを理解されたい。
この実施例は、歪んだ表面を有するコーティングをガラス基板上に形成することを示す。
ガラス基板は、2ミリメートル(mm)の厚さを有するSTARPHIRE(登録商標)ガラス(PPG Industries Ohio,Inc.から市販されている)とした。
60重量%のアルミニウムおよび40重量%のケイ素を有するカソードを酸素雰囲気中でスパッタリングして、ガラス基板上に25nmの厚さを有するアルミナ/シリカの表面変形層を形成した。コーティング品(シリカおよびアルミナの表面変形層を有する基板)を1300°F(704℃)の炉内に3分にわたって配置し、その後取り出した。コーティング基板が冷却されたとき、表面変形層の表面は、歪んだ(平坦でない)表面を示した(図4)。図4のSEM画像に見られるように、コーティング基板の加熱および冷却によって形成される隆起部は、ランダムな配向を有するように見える。
上記の説明において開示されている概念から逸脱することなく本発明に改変を行うことができることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書において詳細に説明されている特定の実施形態は例示に過ぎず本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそのあらゆる均等物の全範囲が与えられるべきである。

Claims (12)

  1. 第1の表面(14)および第2の表面(16)を有する基板(12)と、
    第1の電極(32)と、
    第2の電極(38)と、
    前記第1の電極(32)と前記第2の電極(38)との間に位置する発光層(36)と、
    前記第1の電極(32)と前記基板(12)との間に配置されている、平坦でない表面(30、52)を有する表面変形層(18)と
    を備える有機発光ダイオード(10)において、
    前記表面変形層(18)が、前記基板(12)の少なくとも一部分の上にある第1のフィルム(20)と、前記第1のフィルム(20)の少なくとも一部分の上にある第2のフィルム(26)とを備える多層構造を有し、
    前記第1のフィルム(20)が第1の膨張係数を有し、前記第2のフィルム(26)が第2の膨張係数を有し、前記第1の膨張係数は前記第2の膨張係数よりも大きく、前記第2のフィルム(26)がアルミナとシリカの混合物であることを特徴とする、有機発光ダイオード(10)。
  2. 前記第1のフィルム(20)が高分子材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載された有機発光ダイオード(10)。
  3. 前記第1のフィルム(20)がポリアルキルシロキサンを含むことを特徴とする、請求項1に記載された有機発光ダイオード(10)。
  4. 前記第1のフィルム(20)がポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載された有機発光ダイオード(10)。
  5. 前記第2のフィルム(26)が前記第1のフィルム(20)よりも薄いことを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された有機発光ダイオード(10)。
  6. 前記第2のフィルム(26)がMSVDにより形成されることを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された有機発光ダイオード(10)。
  7. 前記第1のフィルム(20)が湿式成膜法により形成されることを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された有機発光ダイオード(10)。
  8. 前記表面変形層(18)が、内部に組み込まれたナノ粒子(42)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された有機発光ダイオード(10)。
  9. 有機発光ダイオード(10)を作製する方法であって、
    基板(12)の少なくとも一部分の上に第1のフィルム(20)を形成するステップと、
    前記第1のフィルム(20)の表面積を、第1の表面積から第2の表面積に増大させるステップと、
    前記第1のフィルム(20)が前記第1の表面積よりも大きい表面積を有している間に、前記第1のフィルム(20)の上に、アルミナとシリカの混合物である第2のフィルム(26)を形成するステップと、
    前記第2のフィルム(26)が平坦でない表面(30)を有するように、前記第1のフィルム(20)を収縮させるステップと、
    前記表面変形層(18)に平坦でない表面(30)を形成するために、前記表面変形層(18)を膨張および収縮させるステップと、
    第1の電極(32)、発光層(36)、および第2の電極(38)を含む追加の層を、前記追加の層のうちの少なくとも1つの層が平坦でない表面を含むように、前記表面変形層(18)の上に形成するステップと
    を特徴とする、方法。
  10. 前記第1のフィルム(20)を湿式成膜プロセスによって形成し、
    前記第2のフィルム(26)をMSVDによって形成し、
    前記増大させるステップを、前記第1のフィルム(20)を加熱することによって行い、
    前記収縮させるステップを、前記第1のフィルム(20)を冷却することによって行なうことを特徴とする、請求項に記載された方法。
  11. 電子デバイスにおける、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された有機発光ダイオード(10)の使用。
  12. 前記電子デバイスが、コンピュータモニタ、コンピュータ画面、携帯電話、テレビ画面、個人情報端末、時計、および照明デバイスから成る群から選択される請求項11に記載された有機発光ダイオード(10)の使用。
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