JP6452718B2 - 食物アレルギーを検出するためのペプチド、試薬及び方法 - Google Patents

食物アレルギーを検出するためのペプチド、試薬及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、アレルギーを診断し、かつアレルギーの対象がそのアレルギーを克服する可能性があるかどうかを決定するためのペプチドバイオマーカーに関する。本発明はまた、ペプチドバイオマーカーを用いた診断方法及び診断用キットに関する。
配列表の相互参照
2015年3月18日に作成され、「DSC0056−00WO_ST25.txt」(141.1 KB)と特定される配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。
食物アレルギーは大人と子供の間の共通の問題であり、症状は、軽度の経口そう痒症から潜在的に生命を脅かすアナフィラキシーショックに及び得る。食物アレルギーは、現在、皮膚プリック検査又は経口誘発、及び特異的IgEの血清レベル、場合によっては、IgG4などの他の血清抗体の測定により診断されている。これらの検査は、臨床反応の可能性を示すが、食物アレルギーの異なる表現型を区別しないか、又は予後情報を提供しない。それらはまた、患者に対してある程度のレベルのリスクを伴う。現在のIgE検査と患者の実際の臨床的感度との関係は、通常、反応の重症度と反応を引き起こすアレルゲンの量の組み合わせとして定義される弱いものである。現在の検査のもう1つの制限は、小児患者が小児期にアレルギーを克服するかどうかを判断することができないことである。この場合、特異的IgEレベルと臨床アレルギーの期間との間に正の弱い相関がある。
さらに最近では、食物アレルゲンに対する臨床的反応性がエピトープ認識レベルでアレルゲン特異的IgEとより良好に相関し得ることが示唆されている。持続的な又はより重度のアレルギー反応を有する患者は、より多数のIgEエピトープを認識することが報告されており、アレルギーの診断及び予測のための追加のツールとして、エピトープマッピングが示唆されている。エピトープマッピング用のスポット膜ベースのイムノアッセイが使用されている。このシステムでは、ペプチドは、膜上で合成され、患者の血清とインキュベートされる。このプロセスは、多数のペプチドを必要とし、そのため、誤りがちで、時間がかかり、労働集約的で、かつ高価である。このフォーマットのイムノアッセイはまた、多量の患者の血清を必要とする。
マイクロアレイなどの多重アッセイ技術の開発、及びペプチド合成技術の進歩は、食物アレルゲンのエピトープマッピングを向上させた。マイクロアレイフォーマットのイムノアッセイは、少量の希釈した血清を用いて、平行して数千の標的ペプチドをアッセイし、大幅にコストを削減し、分析に対して良好な再現及び統計的なアプローチを可能にすることができる。残念ながら、マイクロアレイに基づく検査は、スループットは高くないが、再現性の制限を克服するために複数回の反復を頻繁に必要とする。
ハイスループットアッセイフォーマットは、自動化された方法で複数の患者の検体を迅速に処理する利点を有し、多重化スクリーニング法への適用のために開発された。LUMINEX/xMAP技術などのビーズベースの多重化には、赤色蛍光体及び赤外蛍光体で染色した5.6μmのポリスチレンビーズが使用される。それぞれ異なる量の2種類の蛍光体を使用して、最大500個の異なる特定のスペクトルシグネチャが生成され得、単一の反応容量で、理論的に500個までの検査が可能である。典型的なタンパク質アッセイでは、抗体は、ビーズの表面にコンジュゲートされ、目的の分析物を捕捉する。その後、目的の分析物に特異的なビオチン化検出抗体が結合し、抗体−抗原サンドイッチを形成する。フィコエリトリンにコンジュゲートされたストレプトアビジン(SA−PE)とビオチンの相互作用を用いて、複合体を標識する。分析物を検出するために、ビーズは、デュアルレーザーフローベースの検出器で読み取られる。1つのレーザーは、取り込まれた色素に応じてビーズを分類し、検出されている分析物を決定する。第2のレーザーは、結合した分析物の量に正比例するPE由来のシグナルの大きさを決定する。このようなアッセイは、ELISAプレートアッセイと比較して、必要な捕捉抗体及び試料の量を減らし、ひいては、コストを削減し、希少な又は取得困難な試料材料を節約する。一般的に、アッセイのダイナミックレンジ及び感度も改善される。
牛乳アレルギー(CMA)は、子供たちの中で最も一般的な食物アレルギーの1つである。牛乳アレルギーは、典型的には、牛乳のいくつかの成分タンパク質に対する感受性を伴う。これらには、カゼイン画分中のタンパク質(αs−1−カゼイン、αs−2−カゼイン、β−カゼイン、及びκ−カゼイン)、α−ラクトアルブミン及びβ−ラクトグロブリンが含まれる。エピトープの構造及び配列の両方が、抗体反応を惹起し得る。子どもたちの大半は最終的にはCMAを克服する(すなわち、彼らは臨床的に耐性になる)が、いく人かは、その後の人生において感受性を維持する。臨床耐性の発生に寄与するメカニズムは十分に理解されていないが、持続的なCMAを有する子どもたちのIgE抗体は、アレルギーを克服する可能性がある患者のIgE抗体によって認識されない牛乳タンパク質の特定のエピトープを認識することができると仮定されている。
エピトープ配列の認識などのエピトープ分析は、CMAの持続性に関する有用な情報を提供することができる。ペプチドマイクロアレイの結果は、牛乳アレルギーの臨床的特徴との相関を示し、すなわち、牛乳アレルギーを有する患者と牛乳耐性の患者は、異なるエピトープ認識パターンを証明した。牛乳ペプチドへのIgE及びIgG4の相対的結合の変化は、アレルギーの存在又は臨床的改善と相関することも実証された。
しかしながら、CMAを診断し、CMAの臨床転帰を予測するのに有用である有益なエピトープを特定する必要がある。マイクロアレイイムノアッセイの欠点を克服し、同様のワークフローで高スループット、柔軟性の向上、試料の量の低減、及び低コストを提供する新たなアッセイプラットフォームも必要である。本発明は、これらの必要性に取り組むものである。
第一の実施形態において、本発明は、CMAの診断、牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生の検出、及びアレルギー反応の強度の増減の監視に有用である牛乳タンパク質のアレルゲンエピトープを含有するペプチドに関する。
第1の実施形態の具体的な態様において、アレルゲンエピトープ含有ペプチドは、αS1−カゼイン、αS2−カゼイン、β−カゼイン、β−ラクトグロブリン及びκ−カゼインのアレルゲンペプチドエピトープからなる群から選択される複数のペプチドである。さらなる特定の実施形態において、アレルゲンエピトープ含有ペプチドは、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドである。






Figure 0006452718
CMAの診断、牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生の検出、及びアレルギー強度の増減の検出のための方法に有用であるペプチドには、牛乳タンパク質の非反応性エピトープを含有するペプチドも含まれ得る。これらのペプチドは、陰性対照として有用である。特定の態様において、陰性対照エピトープを含有するペプチドは、αS2−カゼイン、β−カゼイン、及びβ−ラクトグロブリンの非反応性ペプチドエピトープからなる群から選択される1以上のペプチドである。さらなる特定の実施形態において、非反応性エピトープ含有ペプチドは、以下からなる群から選択される1以上のペプチドである:



Figure 0006452718
第2の実施形態において、本発明は、前述の複数(すなわち、2種以上)のアレルゲンエピトープ含有ペプチドを用いてCMAを診断する方法に関する。特定の態様において、対象中のCMAは、
a)各ペプチドが別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされた、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドを提供すること;
b)各固体支持体上のペプチドへの血清中のアレルギー関連免疫グロブリン(AAI)の結合を可能にするのに十分な条件下で、ペプチド−AAI複合体を形成するために、各固体支持体と対象から得た血清を接触させること;
c)該ペプチド−AAI複合体にAAI−特異的標識試薬を結合させること;及び
d)該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドを特定するために、各ペプチド−AAI複合体への標識試薬の結合を分析すること;
を含み、該対象の血清中のAAIによる少なくとも1つのペプチドの認識は、該対象が牛乳に対してアレルギーであることを示す方法によって診断される。
さらなる実施形態において、本発明は、前述の複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドを用いて、CMAを有する対象における臨床耐性の発生を検出する方法に関する。特定の態様において、CMAを有する対象における牛乳に対する臨床耐性の発生は、
a)配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドへの該対象の血清中のアレルギー関連免疫グロブリン(AAI)の反応性の初期プロファイルであって、該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの初期数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のAAIの初期濃度を規定する初期プロファイルを提供すること;
b)各ペプチドが別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされた、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドを提供すること;
b)各固体支持体上のペプチドへの血清中のAAIの結合を可能にするのに十分な条件下で、ペプチド−AAI複合体を形成するために、初期プロファイルに続く時点で各固体支持体と該対象から得た血清とを接触させること;
c)該ペプチド−AAI複合体にAAI−特異的標識試薬を結合させること;及び
d)該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドのその後の数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のAAIのその後の濃度を特定するために、各ペプチド−AAI複合体への標識試薬の結合を分析すること;
を含み、該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドのその後の数が、該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの初期数よりも少ない場合、又は少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のAAIのその後の濃度が、少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のAAI初期濃度よりも低い場合に、牛乳に対する臨床耐性の発生が示される方法によって検出される。
別の実施形態において、臨床耐性の発生の最初の検出は、患者がアレルギーに対する自然耐性を発生させるか、又は治療に反応するかのいずれかを予測するために使用される。この実施形態において、アレルギーの対象は、初期プロファイルを分析する前に、免疫原(免疫療法)に暴露される。その後の時点で、初期プロファイル中のペプチドとの反応性が高い全てのAAIの血清濃度において少なくとも2倍の低下がある場合、該対象は、牛乳に対する臨床耐性又は自然耐性のいずれかを発生する可能性がある。その後の時点で、初期プロファイル中のペプチドとの反応性が高い全てのAAIより少ないAAIの血清濃度において少なくとも2倍の低下がある場合、該対象は、牛乳に対するわずかな部分的臨床耐性又は自然耐性を発生する可能性がある。
他の実施形態において、本発明の方法を用いて、ある期間にわたって、対象における牛乳に対するアレルギー反応の強度(CMA強度)の増加(又は減少)を検出することができる。特定の態様において、アレルギー反応の強度の増加の検出は、以前に牛乳耐性になった対象におけるCMAの発生に対応し得る。あるいは、アレルギー反応の強度の増加の検出は、以前からCMAを有することが知られている対象におけるアレルギー強度の増加に対応し得る。上記のように、牛乳に対するアレルギー反応の強度の減少の検出は、牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生の一態様である。
具体的な態様において、対象における牛乳アレルギーの強度の経時的な増加は、
a)配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドへの該対象の血清中のアレルギー関連免疫グロブリン(AAI)反応性の初期プロファイルであって、該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの初期数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のAAIの初期濃度を規定する初期プロファイルを提供すること;
b)各ペプチドが別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされた、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドを提供すること;
b)各固体支持体上のペプチドへの血清中のAAIの結合を可能にするのに十分な条件下で、ペプチド−AAI複合体を形成するために、初期プロファイルに続く時点で各固体支持体と該対象から得た血清を接触させること;
c)該ペプチド−AAI複合体にAAI−特異的標識試薬を結合させること;及び
d)該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドのその後の数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のAAIのその後の濃度を特定するために、各ペプチド−AAI複合体への標識試薬の結合を分析すること;
を含み、該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの初期数と比較した場合の該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドのその後の数の増加、又は少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のAAI初期濃度と比較した場合の少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のAAIのその後の濃度の増加は、該対象における牛乳に対するアレルギー反応の強度の増加を示す方法によって検出される。
本発明の方法の前述の実施形態及び態様のいずれも、複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドのそれぞれが、マイクロタイタープレートの別々のウェルに結合し、血清と反応して、AAIと結合するマイクロアレイイムノアッセイの形態であってよい。結合したAAIは、AAI特異的標識試薬、例えば、蛍光標識などのレポーター部分にコンジュゲートされた抗AAI抗体の結合によって検出される。結合標識試薬の蛍光は、ウェルに結合したペプチドに含有されるアレルゲンエピトープに対する抗体の血清中の存在を示す。複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドは、各ペプチドが多孔性又はクロマトグラフィー支持体上の別々の領域内で固定され、AAIを該ペプチドに結合させるために、血清が支持体を通って流れ、該ペプチドと接触する側方流動免疫アッセイ形式で使用されてもよい。このアッセイでは、AAI特異的標識試薬は、抗AAI抗体にコンジュゲートされた発色団又は色素を含んでもよい。標識試薬の複合体への結合のために、標識試薬も、支持体を通って流れ、ペプチド−AAI複合体と接触し、この結合は、支持体のそれぞれ別々の位置で固定されたペプチド中に含有されるアレルゲンエピトープに対する抗体の血清中の有無を示す。
他の態様において、本発明の方法の前述の実施形態及び態様のいずれも、それぞれのアレルゲンエピトープ含有ペプチドが、ビーズなどの、フローサイトメトリーによる分析に適する別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされているフローサイトメトリーアッセイの形態であってよい。典型的には、該ペプチドは、固体支持体上でのペプチド特異的捕捉抗体への結合によって又は固体支持体への化学結合によって固体支持体にコンジュゲートされる。この態様において、コンジュゲートされたアレルゲンエピトープ含有ペプチドを有するビーズは、対象の血清と接触して、ビーズに存在する任意のペプチド特異的AAIと結合し、ビーズ上でペプチド−AAI複合体を形成する。次いで、蛍光レポーター部分を含むAAI−特異的標識試薬は、このペプチド−AAI複合体に結合し、ビーズは、フローサイトメトリーにより定量的又は定性的に分析される。これは、アレルゲンエピトープ含有ペプチドがコンジュゲートする各ビーズに関連する結合標識試薬からの蛍光を検出し、それによって、ペプチド及びそれと反応するAAIの血清中の存在を特定する。配列番号1〜33の中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドの少なくとも1つに反応するAAIの存在は、対象が牛乳アレルギーであることを示し、反応性ペプチドの数の経時変化、又は1以上のペプチドに反応するAAIの濃度の経時変化は、その期間にわたるアレルギー強度の増加、アレルギー強度の減少、又は臨床耐性の発生を示す。
さらなる態様において、フローサイトメトリーアッセイは、ペプチド及びタンパク質の定量並びに検出のためのマイクロスフィアアレイプラットフォームを使用するLUMINEX xMAP技術などの多重アッセイであってよい。複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドのそれぞれは、関連するアレルゲンエピトープ含有ペプチドをフローサイトメトリーによって特定するために使用することができる異なるスペクトル特性を有するビーズのセットに結合される。次いで、このビーズのセットは対象の血清と接触し、ペプチド認識AAIと各ビーズが結合して、ビーズ上でペプチド−AAI複合体を形成し、蛍光レポーター部分を含むAAI特異的標識試薬がこの複合体のAAIに結合する。これらのビーズは、各ビーズのスペクトル特性及び結合標識試薬からの関連する蛍光量を監視することによって分析される。このプロセスは、ビーズ上のペプチド、及びそれに反応する血清AAIの有無の特定を可能にする。このアッセイの結果は、上記のように解釈される。
さらなる実施形態において、本発明は、CMAの検出、CMA強度の増減の検出、又は牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生の検出のためのキットであって、
a)配列番号1〜33の中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチド;
b)第1のレポーター部分にコンジュゲートされた抗アレルギー関連免疫グロブリン(AAI)抗体を含む標識試薬;及び
c)必要に応じて、標識試薬に特異的に結合する第2のレポーター部分、
を含み、共に包装され、使用説明書を含むキットに関する。
標識試薬は、蛍光色素、放射性標識、又は着色色素などの、直接検出可能である第1のレポーター部分にコンジュゲートされてもよい。具体例として、フィコエリトリン(PE)分子は、抗アレルギー関連免疫グロブリンに直接結合して、検出のために使用され得る。あるいは、第1レポーター部分は、間接的に検出可能なレポーター部分(例えば、発色性色素の酵素標識)であり得、該キットは、必要に応じて、直接検出可能な標識にコンジュゲートされた第1のレポーター部分に特異的な結合パートナー(第2のレポーター部分)を含んでもよい。例えば、該キットは、ビオチンコンジュゲート抗AAI抗体及びビオチンコンジュゲート抗AAIを検出するためのストレプトアビジンコンジュゲート蛍光色素を含んでもよい。
CMAのための免疫療法を受けている牛乳耐性個体の、配列番号1〜33のペプチドパネルへの経時的な血清反応性を示す。 CMAのための免疫療法に反応して脱感作になったCMAを有する個体の、配列番号1〜33のペプチドパネルへの経時的な血清反応性を示す。 CMAのための免疫療法に部分的に反応したCMAを有する個体の、配列番号1〜33のペプチドパネルへの経時的な血清反応性を示す。
図面において、「a」で始まる特定されたペプチドは「アルファ」を表し、「b」で始まる特定されたペプチドは「ベータ」を表し、「κ」で始まる特定されたペプチドは「カッパ」を表す。
本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載された構成又はプロセスステップの詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ様々な方法で実施又は実行できる。
本明細書を通して「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1以上の実施形態」又は「1つの実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所での「1以上の実施態様において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、又は「1つの実施形態において」などの語句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
本明細書で使用される用語「アレルギー関連免疫グロブリン」及び「AAI」は、食物アレルゲンに対する過敏症を媒介する血清中の免疫グロブリンを指す。これらは、IgE、IgA、及びIgG(IgG4を含む)のうちの1以上を含む。
本明細書で使用される「反応性の」、「反応性」、及び「認識する」などの用語は、アレルゲンエピトープ含有ペプチドに結合するアレルギー関連免疫グロブリンの能力を指す。反応性のレベルは血清中のAAIの濃度を示し、高い反応性は高いAAI濃度と関連し、低い反応性は低いAAI濃度と関連する。相対AAI濃度(すなわち、相対的血清反応性)は、アッセイで検出されたシグナルの量によって決定される。アレルゲンエピトープ含有ペプチドに対するAAIの反応性のレベルもアレルギー反応の強度を示し、すなわち、より高い反応性は、より強いアレルギー反応と関連する。
本明細書で使用される用語「臨床耐性」は、アレルゲンに対する曝露の結果としてアレルギー対象で発生した食物アレルゲンに対する免疫寛容、すなわち、免疫療法の結果として発生した耐性を指す。
本明細書で使用される用語「自然耐性」は、生存期間中のアレルゲンに対する自然暴露の結果として、又は暴露の非存在下で、生化学的プロセスとして経時的にアレルギー対象で発生した食物アレルゲンに対する免疫寛容を指す。
本明細書で開示されるアレルゲンエピトープ含有ペプチドは、特定のアミノ酸配列を有する特定の実施形態として説明されるが、当業者なら、そのようなペプチドのそれぞれが、なおも関連エピトープを含有するが、関連エピトープが指定されたものとは異なるアミノ酸と隣接している関連ペプチド配列を得るために導き出されるタンパク質のN末端又C末端方向のいずれかにシフトされ得ることを認識すると理解されたい。したがって、全ての実施形態及び態様において、本発明は、8個以上連続するアミノ酸によって、開示されるペプチド配列と重複するアミノ酸配列を有するアレルゲンエピトープ含有ペプチドを含む。
配列番号1〜33によって表されるアレルゲンエピトープ含有ペプチドは、10人を超える高アレルギー個体においてZ−スコアを有するものとして、αS1−カゼイン、αS2−カゼイン、β−カゼイン、β−ラクトグロブリン、及びκ−カゼイン由来のペプチドライブラリー中で特定された。高アレルギー対象において、配列番号1〜33の全33種のペプチドは血清と反応する。逆に、非アレルギー対象において、配列番号1〜33の33種のペプチドはいずれも血清と反応しない。配列番号1〜33の個々のペプチドは、個体におけるCMA強度を決定するのに、かつCMA強度の経時変化を監視するのに有用である反応性の連続も提供する。非反応性と最高の反応性の間に入る牛乳アレルギー強度を有する個体は、配列番号1〜33の中のペプチドの全てではないがいくつかと反応する血清を有する。一般的に、これらの個体の血清と反応する配列番号1〜33の中のペプチドの数は、アレルギー強度と正に相関しており、すなわち、アレルギー強度が高いほど、配列番号1〜33の中のより多くのペプチドが血清と反応する。軽度のアレルギーを有する個体の血清は、より強いアレルギーを有する個体の血清よりも少ないペプチドと反応する。したがって、本発明は、CMAを診断する方法を提供するだけでなく、牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生の検出を含む、アレルギー強度を決定する方法、及びアレルギー強度の経時変化を決定する方法を提供する。
本発明の特定の態様において、CMA対象の血清と反応する配列番号1〜33のグループ内のアレルゲンエピトープ含有ペプチドの数は、アレルギー反応の強度と正の相関を有し、すなわち、より少ないペプチドとの反応性は、牛乳に対してより軽度のアレルギー反応を示し、より多くのペプチドとの反応性は、対象が牛乳に対してより高度にアレルギーであることを示す。本発明の別の態様において、配列番号1〜33によって表されるペプチドへの血清IgEの結合強度(血清中のIgE濃度の測定)は、アレルギー反応の強度と相関し、すなわち、全33種のペプチド又は33種のペプチドのサブセットとのより弱い反応性は、全33種のペプチド又はペプチドのサブセットとのより強い反応性と比較してより中程度のアレルギー反応を示す。本明細書で使用される場合、アレルゲンエピトープ含有ペプチドとの「非反応性」又は「負」の反応性への言及は、約2未満のアッセイにおけるシグナル・ノイズ比(S/N)を意味する。典型的なバックグラウンドシグナル(N)は、非アレルギー性個体からの血清のプールによって生成されたシグナルである。あるいは、本発明は、バックグラウンドシグナルを確立するためのベースとして負のペプチドの使用を企図する。本明細書で使用される場合、アレルゲンエピトープ含有ペプチドとの「弱い」又は「中程度」「中程度」の反応性への言及は、約2〜10のS/Nを意味するが、この値は、ペプチド及びアレルギーに応じて変化し得る。本明細書で使用される場合、アレルゲンエピトープ含有ペプチドとの「高い」又は「強い」反応性への言及は、約10より大きいS/Nを意味する。
牛乳タンパク質中のペプチドエピトープの分析に基づくこれまでに知られているCMAのアッセイは、エピトープへのIgE及びIgG4の結合の相対的親和性の分析に依存する競合イムノアッセイである。抗体結合の親和性は、対象が牛乳に対する臨床耐性を発生するかどうかに関連していると考えられる。対照的に、一態様において、本発明は、CMAの診断、アレルギー反応の強度、及び耐性を発生するか、又は対象の血清中のIgEと結合したエピトープ(すなわち、ペプチド)の数に基づくアレルギー反応の増加を経験する患者の可能性と相関する、重要な牛乳タンパク質エピトープのセット内の各個々のペプチドへのAAI結合の有無の分析に基づく。第2の態様において、本発明は、アレルギー反応の強度とも相関する、アレルゲンエピトープ含有ペプチドのそれぞれと反応する血清中のAAIの濃度分析に基づく。
本発明の一実施形態は、各ペプチドが別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされた、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドを提供すること、、各固体支持体上のペプチドへの血清中のAAIの結合を可能にするのに十分な条件下で、ペプチド−AAI複合体を形成するために、各固体支持体と対象から得た血清を接触させること、、各ペプチド−AAI複合体にAAI特異的標識試薬を結合させること、及び該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドを特定するために、各ペプチド−AAI複合体への標識試薬の結合を分析することを含む、対象におけるCMAを診断する方法に関する。牛乳アレルゲンへの曝露後に、少なくとも1つのペプチドが、中程度又は高度に血清AAI(S/N>2)と反応し、反応性ペプチドの1以上の反応性が、約6カ月以内に少なくとも2倍減少しない場合に、該対象は、CMAを有すると診断される。
CMA免疫療法の投与後の牛乳耐性個体の血清反応性を図1に示す。この実験では、牛乳耐性個体がCMAのための免疫療法で治療され、血清試料を6〜12カ月間隔をあけて採取した。免疫療法に対する初期反応は、約11種のペプチドとの中程度から高い反応性(青いバー、S/N>2)をもたらすことが分かる。6カ月以内(オレンジ色のバー)に、これらのペプチドの全てに対する反応性に少なくとも約2倍の減少があった。kcas−04は、反応性にわずか2倍未満の範囲の減少があったが、最も反応性の高いペプチド(例えば、as 1−09、as 1−44)は、6カ月以内に実質的に2倍より大きく、少なくとも5倍の範囲内で反応性の減少を示した。さらに、反応性ペプチドのいずれも(S/N>2)、6カ月の時点で反応性を減少しなかったものはない。
本方法の別の態様において、各ペプチド−AAI複合体への標識試薬の結合の分析は、血清中の各ペプチド特異的AAIの濃度を示す結合の程度の分析を含み得る。配列番号1〜33のペプチドの全て、又はそのサブセットとの低い血清反応性から中程度の血清反応性は、血清中のペプチド特異的AAIの濃度が低いこと、かつCMAが軽度から中程度であることを示し、ペプチドの全て又はそのサブセットとの高い血清反応性は、血清中のペプチド特異的AAIの濃度が高いこと、かつCMAがより重篤であることを示す。CMAの診断のための結合分析には、血清と反応するペプチドの数、該ペプチドへの血清AAIの結合の程度、又はその両方が使用され得る。
特定の態様において、本発明はさらに、対象が高度にアレルギーの表現型を示す場合であっても、牛乳アレルギーである対象の血清と反応しないエピトープを含有する牛乳タンパク質のペプチドに関する。非アレルギー対象の血清も、これらのペプチドと反応しない。これらのペプチドは、配列番号34、35及び36によって表され、CMAの診断のためのアッセイの具体的な実施形態において負の対照として有用である。この目的のために利用可能な信頼性の高い負の対照を有することは、偽陽性の診断の可能性及び反応性AAI濃度の偽の高い測定値を低下させる。
具体的な実施形態において、配列番号1〜33の中から選択される複数(2以上)のペプチドを使用して対象におけるCMAを診断する方法には、固相アッセイが含まれる。固相アッセイで使用するために選択される複数のペプチドは、配列番号1〜33の全33種のペプチド、5〜10種のペプチドのサブセット、10〜15種のペプチドのサブセット、又は15〜20種のペプチドのサブセットを示し得る。本方法は、ペプチドの2種以上のそのようなサブセットを使用してもよい。配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドのそれぞれは、ビーズ、マイクロタイタープレート、クロマトグラフィー材料(例えば、フィルター)、又は任意の他の適切な固体支持体などの固体支持体にコンジュゲートされて提供される。クロマトグラフィー材料上の各ビーズ、マイクロタイタープレートウェル、又は別々の位置は、配列番号1〜33の中から選択される単一のペプチドによって占められている。次いで、固体支持体は、各固体支持体又は固体支持体上の別々の場所にあるペプチドへの血清中の抗ペプチドAAIE特異的結合(存在する場合)に適する条件下で対象から得た血清と接触して、固体支持体上のペプチド−AAI複合体を形成する。
次いで、固体支持体上に形成された任意のペプチド−AAI複合体は、各固体支持体又は固体支持体上の別々の場所にある複合体と、この複合体に特異的に結合する標識試薬とを接触させることによって、典型的には固定化された血清AAI抗体に結合することによって検出される。一般的に、単一標識試薬が全複合体の一般的検出に使用される。次いで、特異的ペプチド−AAI複合体は、マイクロタイタープレート又はクロマトグラフィー支持体上の位置によって識別することができる。各ペプチドがコンジュゲートされた固体支持体が異なるスペクトル特性を有する場合、複合体の存在が複合体に結合した標識試薬からの検出可能なシグナルを介して特定された時点で、特異的ペプチド−AAI複合体は、ペプチド−AAI複合体に関連する固体支持体のスペクトル特性の分析によって特定することができる。一例として、マイクロタイタープレートの各ウェル中のペプチド−AAI複合体の有無は、蛍光色素、発色性色素、酵素標識又は放射性標識などのレポーター部分にコンジュゲートされた抗ヒトAAI抗体が複合体に結合することにより決定することができる。あるいは、標識試薬への第2の直接検出可能なレポーター部分の特異的結合が結合分析に必要であるので、抗ヒトAAI抗体は、直接検出できないレポーター部分にコンジュゲートされてもよい。
特定の態様において、CMAの診断方法は、定性的な方法、すなわち、選択される各ペプチドに反応するAAIの有無にのみ基づく。任意の選択されるペプチドと中程度又は高度に反応するAAIの存在は、ある程度のCMAを示すと考えることができるが、その反応性は、約6カ月などの短い期間内に実質的に減少しないことを条件とする。本方法は、半定量的であってもよく、すなわち、対象の血清と反応するペプチドの数が多いほど、アレルギーの強度が相対的に高く、逆に、反応性ペプチドの数が少ないほど、アレルギーの強度が相対的に低い。配列番号1〜33のペプチドのうちの5〜15種との血清反応性は、軽度から中程度のCMAを示すことができ、この範囲の下端内の反応性は、一般的に、軽度のCMAとして特徴づけられる。配列番号1〜33の16〜33、16〜30、16〜25、16〜20、16〜18又は全33種のペプチドとの血清反応性は、中程度から重度のCMAを示すことができ、この範囲の下端内の反応性は、一般的に、中程度のCMAとして特徴づけられる。配列番号1〜33のペプチドの10〜20、12〜18又は14〜16種との血清反応性は、一般的に、中程度のCMAを示すと考えられ得る。一般的に、約8〜10種以下は、非アレルギー性個体の血清との反応性が高く(S/N>10)、したがって、診断アッセイの結果において従来のアッセイよりも高い信頼性レベルを提供することは、配列番号1〜33のペプチドの特に有用な特徴である。
他の態様において、CMAの診断方法は、定量的な方法、すなわち、選択される各ペプチドへのAAIの反応性レベルの定量に基づく。この例では、反応性のレベルは、ペプチド−AAI複合体に結合した標識試薬の量と相関し、レポーター部分からのより高いレベルのシグナルは、血清中の特定のペプチド特異的AAIの濃度がより高いことを示す。特定のペプチド−AAI複合体に結合したレポーター部分の量又は濃度を得るために、蛍光色素からの蛍光量、着色色素もしくは発色色素もしくは酵素標識からの色の強度、又は放射性標識からの放射能の量は、複合体中の結合AAIの量、ひいてはその濃度と正に相関する。これらのパラメータを測定する方法は、当技術分野で知られている。該ペプチドのいずれかと反応するAAIの相対量は、CMAの程度又は強度を示すものと考えることができる。すなわち、複数の選択されるペプチド又は選択されるペプチドの中の1種以上のペプチドの反応性のレベルが高いほど、アレルギー強度が高い。逆に、複数の選択されるペプチド又は選択されるペプチドの中の1種以上のペプチドの反応性のレベルが低いほど、アレルギー強度は低い。
本発明の方法のいずれかにおいて使用するのに特に有用な定量アッセイは、ELISAの代替である高スループットのLUMINEX exMAP多重ビーズアッセイなどの、フローサイトメトリー分析用の多重ペプチド−ビーズアッセイである。このアッセイでは、異なる割合の赤色蛍光体及び近赤外蛍光体で染色されたポリスチレンビーズ(マイクロスフェア)が、固体支持体として使用される。該ペプチドは、化学的にビーズに連結されるか、又はビーズ上にコーティングされたペプチド特異的捕捉抗体を介してそれに結合されてもよい。蛍光体の割合は、デジタルシグナル処理を用いてフローサイトメーターによって特定することができる各ビーズ集団について「スペクトルアドレス」を定義する。第三の蛍光色の検出は、ビーズに結合した標識試薬のレポーター部分の蛍光強度の測定に使用される。複数の分析物は、特異的な「スペクトルアドレス」を有するビーズへの、配列番号1〜33の中から選択される各ペプチドの結合によって同時に検出することができる。ビーズとビーズに結合したペプチドに特異的なAAIを含有する血清を接触させた後、レポーター部分にコンジュゲーされた抗ヒトAAI抗体が添加される。一例では、抗ヒトAAIのレポーター部分はビオチンであり、フィコエリトリン(PE)コンジュゲートストレプトアビジンへの結合は、検出のための蛍光シグナルを提供する。標識試薬の結合後、これらのビーズは、LUMINEX 200又はBio−Rad社製BIO−PLEXアナライザなどのデュアルレーザーフローベースの検出器で分析される。1つのレーザーは、ビーズを分類し、ビーズに結合したペプチドを特定する。第2のレーザーは、結合した血清AAIの量に正比例するレポーター由来のシグナルの大きさを決定する。
固体支持体上のペプチド−AAI複合体への各ペプチド特異的AAIの結合の程度を定量化することができるので、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択される複数のペプチドは、CMAと診断された対象における経時的なCMA強度の増加、又は最初はアレルギーではないと診断された対象における経時的なCMAの発生を検出する方法においても有用である。上記のように、反応性ペプチドの初期数又は各ペプチド特異的AAI初期濃度を提供するために、最初のアッセイは、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドで実行される。最初のアッセイに続く時点で、反応性ペプチドのその後の数又はペプチド特異的AAIのその後の濃度を得るために、初期プロファイルと同じ、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドを用いて、分析が繰り返される。本方法は、次のように要約することができる:配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドに対する対象の血清AAIの反応性の初期プロファイルであって、対象の血清中のAAIによって認識される(に結合する)ペプチドの初期数、又は各ペプチドを認識する(に結合する)対象の血清中のAAIの初期濃度を示す初期プロファイルを提供すること;初期プロファイルに続く時点で、各固体支持体上のペプチドへの血清中のAAIの結合を可能にするのに十分な条件下で、別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートさせた同じ複数のペプチドの各ペプチドと対象の血清とを接触させ、ペプチド−AAI複合体を形成すること;該複合体にAAI特異的標識試薬を結合させること;及び、該対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドのその後の数又は選択された各ペプチドと反応する対象の血清中のAAIのその後の濃度を特定するために、各ペプチド−AAI複合体への標識試薬の結合を分析すること。
本発明で有用な代替アッセイ形式は、側方流動アッセイ又は免疫クロマトグラフィーアッセイである。そのようなアッセイにおいて、選択されるアレルゲンエピトープ含有ペプチド(複数可)が多孔性支持体上に固定化され、AAIを含有する血清を流し、該ペプチド(複数可)と接触して、免疫複合体を形成する。多孔性支持体を介して免疫複合体がさらに移行すると、適切な検出試薬を用いて免疫複合体を検出するための特異的捕捉試薬と接触することになる。
アレルギー強度の増加を検出する方法は、上記のものを含む、任意の適切なアッセイ形式を利用することができる。標識試薬の結合を分析するのに利用可能な分析の種類の例も上記のとおりである。初期プロファイルと比較した場合のその後の時点でのAAIと反応するペプチドの数の増加(初期プロファイル内のAAIと反応しないペプチドと比較した増加を含む)、又は初期プロファイルと比較した場合のその後の時点でのペプチドのいずれかへのAAIの結合強度の増加(初期プロファイル内の特定のペプチドへの結合がない状態から、その後の時点での検出可能な結合への増加を含む)は、CMAと以前に診断された対象におけるCMA強度の増加、又は以前はアレルギーではなかった対象におけるCMAの発生を示す。上記のように、対象の初期プロファイルとその後の時点のプロファイルの比較を用いて、対象における特定のアレルギーの重症度の増加又は低い耐性を予測するか、又はアレルゲンに対する臨床耐性もしくは自然耐性の発生の可能性を予測することができる。
配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択される複数のペプチドは、CMAと診断された対象における牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生を検出する方法にも有用である。これらの実施形態において、アレルギー強度の増加を検出するための上記の一般的アッセイは、配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドとの血清AAI反応性の初期プロファイルを確立するために最初の時点で最初に実行される。上記のように、初期プロファイルは、選択されるペプチドとの血清反応性の半定量的又は定量的な分析に基づく。次いで、固体支持体にコンジュゲートされた選択ペプチドは、初期プロファイルに続く時点で得られた対象からの血清と接触し、このアッセイは、その後の時点でCMA強度の半定量又は定量により上記のように実施される。初期プロファイルと比較した場合のその後の時点でAAIと反応するペプチドの数の減少、又は初期プロファイルと比較した場合のその後の時点でのペプチドのいずれかへのAAIの結合強度の低下、特に少なくとも2倍の低下は、牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生を示す。以前にCMAと診断された対象における牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生は、初期プロファイルとその後の時点の間の期間にわたってアレルギー強度の減少も示し、アレルギー強度を検出し、アレルギー強度のそのような経時的な減少を予測することもできることが理解されるであろう。
一例として、CMAアレルギー個体の血清反応性を図2に示す。この実験では、牛乳に対するアレルギーを有する個体をCMAのための免疫療法で治療し、血清試料を、6カ月及び12カ月後に採取した。免疫療法に対する初期反応は、約15〜17種のペプチドとの中程度から高い反応性(すなわち、S/N>2、青いバー)を伴ったことが分かる。6ヵ月の時点で、血清反応性は、最も反応性のあるペプチドの全てについて2倍を超えて減少した(オレンジ色のバー)。特定のペプチドに対する反応の減少は、4倍〜7倍の範囲内であった(例えば、as1−03、as1−09、as1−57、as1−44、bcas−01)。反応性がほとんどなくなるか、又はさらなる低下がないことが、12カ月の時点(灰色のバー)で観察され、最初の最も反応性のあるペプチドのいずれも、非反応レベルに戻らなかった(S/N<2)。この個体は、免疫療法の過程で牛乳に対して脱感作し、これは、本アッセイが、CMAと診断された対象における牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生の検出の成功を示す。
パネル中のいくつかのペプチドは、図2に示す個体の血清と反応性が高かった(S/N>10)。同様に、図3で試験した個体の血清は、少なくとも約15種のペプチドとの反応性が中程度から高度であり、牛乳アレルギーを示す。しかし、対照的に、6カ月の時点(オレンジ色のバー)で、最初に最も反応性のあるペプチドの全てよりも少ない数のペプチドが、少なくとも2倍の反応性の減少を示した。2倍未満の反応性の最小減少の例は、例えば、as1−61、bcas−25、及びbcas−53で見られる。図3に示す個体は、わずかに部分的に免疫療法に反応し、最も反応性の高いペプチドのいくつかとの反応性において2倍を超える減少があったものの、これらの反応性の高いペプチドのいくつかが反応性の同様の減少を示さなかったという知見は、免疫療法が完全な脱感作をもたらす可能性が低いこと、又は完全な脱感作が免疫療法によるより長い治療を必要とする可能性を示し得る。
配列番号1〜33によって表されるペプチドの全33種の分析は、本発明の前述の方法で有用な結果を得るのに必ずしも必要ではないことも認識されるであろう。統計的に信頼性のある結果を提供するために、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択されるペプチドの十分な数を使用することが唯一必要である。例えば、対象のCMAの状態が不明である場合、配列番号1〜33によって表されるペプチドのわずか数種との反応性を伴い得る軽度から中程度のCMAが検出可能であることを保証するために、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択されるアレルゲンエピトープ含有ペプチドの大多数を分析することが一般的に望ましい。逆に、対象が高い強度のCMAを有することが知られている場合には、配列番号1〜33によって表されるペプチドの多数が、最初は反応性を示すので、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択される少数のアレルギーエピトープ含有ペプチドは、アレルギー強度の変化又は臨床耐性の発生を検出するのに十分であり得る。しかし、アレルギー強度の変化及び臨床耐性の発生は、血清と反応するペプチドの数の変化だけでなく、特定のペプチドと反応する血清IgEの濃度の変化によって証明されるので、特定の対象についての診断であるペプチドに対する変化が見逃されないことを保証するために、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択されるペプチドの十分に大きなセットをアッセイに含めることが特に望ましい。したがって、前述の方法のいずれかで使用するための、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドは、配列番号1〜33の全33種のペプチド、20〜25種のペプチドのサブセット、15〜20種のペプチドのサブセット、10〜15種のペプチドのサブセット、5〜10種のペプチドのサブセット又は2〜5種のペプチドのサブセットを代表し得る。例として、多くの場合、ベータlacペプチド(配列番号24〜27)は、アレルギー性個体の血清との反応性が実質的に低いか、又は反応しないことが判明した。したがって、特定の用途のために、配列番号1〜23(alphaS1、alphaS2、及びベータcasペプチド)を単独で又は配列番号28〜33(カッパcasペプチド)と共に使用することが望ましい場合がある。所望であれば、これらのサブグループのそれぞれも本発明で単独で用いてもよい。
ユーザの利便性のために、前述の方法のいずれかにおいて使用するための試薬は、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチド、又は有用なサブグループのいずれか、第1のレポーター部分にコンジュゲートされた抗ヒトIgE抗体を含む標識試薬、及び必要に応じて(間接的な検出のために必要な場合)、その標識試薬に特異的に結合する第2のレポーター部分を含むキットの形態で共に包装されてよい。このキットは、典型的には、上記の本発明の方法の1以上におけるこれらの試薬の使用説明書を含む。
特定のキットの実施形態において、並びに本発明の方法において、抗ヒトAAI抗体は、直接検出することができるレポーター部分にコンジュゲートされて提供されてもよい。直接的に検出可能なレポーター部分は、特異的結合パートナーへの結合を必要とすることなく、特定するか、かつ/又は定量することができるものである。抗ヒトAAI抗体にコンジュゲートされ得る直接検出可能なレポーター部分の例としては、その後の化学反応によって検出することができる蛍光色素、着色色素、発色色素及び酵素標識、並びに放射性標識が挙げられる。他のキットの実施形態において、本発明の方法として、抗ヒトAAI抗体は、間接的に検出可能なレポーター部分、すなわち、それ自体は検出できないが、直接検出可能な標識にコンジュゲートされたレポーター部分に特異的な結合パートナーなどの、直接検出可能なレポーター部分を含む第2のレポーター部分と反応するか、又は相互作用するレポーター部分にコンジュゲートされて提供されてもよい。間接的に検出可能なレポーター部分の例としては、直接検出のために標識される二次抗体(例えば、抗ジゴキシゲニン)、又は他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)とのその後の結合の際に検出可能なビオチン、ジゴキシゲニン、及び他のハプテンが挙げられる。これらの標識試薬及びレポーター部分のいずれも、本発明の前述の方法において、適切なアッセイフォーマットにおいて、かつキットの成分として有用であることが理解されるであろう。上記のフローサイトメトリー多重アッセイを実行するためのキットの具体的な例において、キットの構成要素は、配列番号1〜33によって表されるペプチドの中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチド、ビオチン化抗ヒトAAI抗体(第1レポーター部分を有する標識試薬)、PEにコンジュゲートされたストレプトアビジン(第2レポーター部分)を含み得る。
前述のキットのいずれかに含めるための、配列番号1〜33の中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドは、配列番号1〜33の全33種のペプチド、20〜25種のペプチドのサブセット、15〜20種のペプチドのサブセット、10〜15種のペプチドのサブセット、5〜10種のペプチドのサブセット又は2〜5種のペプチドのサブセットを代表し得る。前述のキットのいずれかに含めるための、配列番号1〜33の中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチドも、関連するペプチドサブグループ(すなわち、alphaS1、alphaS2、ベータcas、ベータlac及びカッパcasのペプチド)のうちの1以上を代表し得る。
さらなる態様において、本発明は、前述の方法、ペプチドパネル及びキットで使用するための、牛乳タンパク質由来の追加のアレルゲンエピトープ含有ペプチドを提供する。これらのペプチド及びそのサブセットは、上記の任意の態様及び/又は実施形態において、配列番号1〜33のいずれか又は全てと置換することができる。さらに、ペプチド及びそのサブセットは、配列番号1〜33に加えて、上記の任意の態様及び/又は実施形態において使用することができる。牛乳タンパク質由来の追加のアレルゲンエピトープ含有ペプチドには、以下のものが含まれる:

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実施例
血清を、CM耐性及びCMAの個体から入手し、LUMINEXアッセイでアッセイして、図1〜3に示す代表的な結果を得た。洗浄緩衝液、血清、ビーズ及び抗体希釈物を、製造業者の指示に従って調製した。フィルタープレートを1分間、緩衝液で予め湿らせ、緩衝液を真空除去した。100μlのビーズカクテルを各ウェルに添加し、緩衝液を真空除去して、ビーズを100μlの緩衝液で2回洗浄した。100μlの血清希釈液を各ウェルに添加し、振盪しながら2時間インキュベートした。液体を除去するために、真空を適用した。再度、ビーズを緩衝液で2回洗浄した。50μlの抗体希釈液を各ウェルに添加し、振盪しながら30分間インキュベートした。真空をした後、ウェルを3回洗浄した。100μlの緩衝液をウェルに添加し、試料を固定プレートに移した。ウェルをLUMINEX装置で読み取った。結果を、上記の図1〜3に示す。
方法の追加の適用
牛乳由来のアレルゲンエピトープ含有ペプチドに関する本発明の概念、並びにCMAの診断のため、牛乳タンパク質に対する臨床耐性の発生を検出するため、及びアレルギー強度の増減を検出するためのそれらの使用は、他のアレルゲンエピトープ含有ペプチドのパネルの開発、並びに診断、耐性の検出、及び他のアレルゲンタンパク質に対する耐性の増加及び発生の検出におけるそれらの使用に適用することもできる。
例えば、アレルギーピーナッツタンパク質、特に、Ara hタンパク質ファミリーに由来するアレルゲンエピトープ含有ペプチドのパネルを、上記の方法と同様の方法で利用してもよい。このようなパネルは、以下のリスト(配列番号69〜277)からの1以上のペプチドを含んでもよい:
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さらなる実施例において、卵アレルゲンタンパク質、特に、オボアルブミン(ova)及び/又はオボムコイド(ovm)に由来するアレルゲンエピトープ含有ペプチドのパネルを、上記の方法と同様の方法で利用してよい。このようなパネルは、以下のリスト(配列番号278〜460)からの1以上のペプチドを含んでもよい:
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さらなる実施例において、エビアレルゲンタンパク質、特に、アルギニンキナーゼ(ak)、ミオシン軽鎖(mlc)、筋形質カルシウム結合タンパク質(scp)、トロポミオシン(tm)及びトロポニンC(tpc)に由来するアレルゲンエピトープ含有ペプチドのパネルを、上記の方法と同様の方法で利用してもよい。このようなパネルは、以下のリスト(配列番号461〜683)からの1以上のペプチドを含んでもよい:
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したがって、本発明は、対象における食物アレルギーを診断する方法であって、
a)各ペプチドが別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされた、食物中に見られる1種以上のアレルゲンタンパク質由来の複数のペプチドを提供すること;
b)各固体支持体上のペプチドへの血清中のIgEの結合を可能にするのに十分な条件下で、ペプチド−IgE複合体を形成するために、各固体支持体と対象から得た血清を接触させること;
c)該ペプチド−IgE複合体にIgE特異的標識試薬を結合させること;及び
d)該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドを特定するために、各ペプチド−IgE複合体への標識試薬の結合を分析すること;
を含み、該対象の血清中のIgEによる少なくとも1つのペプチドの認識は、該対象がその食物にアレルギーであることを示す方法を包含する。
別の態様において、本発明は、最初は食物にアレルギーを示していた対象におけるその食物に対する臨床耐性の発生を検出する方法であって、
a)食物中に見られる1種以上のアレルゲンタンパク質由来の複数のペプチドへの対象の血清IgE反応性の初期プロファイルであって、該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドの初期数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のIgEの初期濃度を規定する初期プロファイルを提供すること;
b)それぞれが別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされた複数のペプチドを提供すること;
c)各固体支持体上のペプチドへの血清中のIgEの結合を可能にするのに十分な条件下で、ペプチド−IgE複合体を形成するために、初期プロファイルに続く時点で各固体支持体と該対象から得た血清を接触させること;
d)該ペプチド−IgE複合体にIgE特異的標識試薬を結合させること;及び
e)該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドのその後の数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のIgEのその後の濃度を特定するために、各ペプチド−IgE複合体への標識試薬の結合を分析すること;
を含み、該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドのその後の数が、該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドの初期数よりも少ない場合、又は少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のIgEのその後の濃度が、少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のIgEの初期濃度よりも低い場合に、その食物に対する臨床耐性の発生が示される方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、対象における牛乳アレルギー強度の経時的な増加を検出する方法であって、
a)食物中に見られる1種以上のアレルゲンタンパク質由来の複数のペプチドへの対象の血清IgE反応性の初期プロファイルであって、該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドの初期数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のIgE初期濃度を規定する初期プロファイルを提供すること;
b)それぞれが別々に識別可能な固体支持体にコンジュゲートされた複数のペプチドを提供すること;
c)各固体支持体上のペプチドへの血清中のIgEの結合を可能にするのに十分な条件下で、ペプチド−IgE複合体を形成するために、初期プロファイルに続く時点で各固体支持体と該対象から得た血清を接触させること;
d)該ペプチド−IgE複合体にIgE特異的標識試薬を結合させること;及び
e)該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドのその後の数又は各ペプチドを認識する該対象の血清中のIgEのその後の濃度を特定するために、各ペプチド−IgE複合体への標識試薬の結合を分析すること;
を含み、該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドの初期数と比較した場合の該対象の血清中のIgEによって認識されるペプチドのその後の数の増加、又は少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のIgEの初期濃度と比較した場合の少なくとも1つのペプチドを認識する該対象の血清中のIgEのその後の濃度の増加は、該対象におけるその食物に対するアレルギー反応の強度の増加を示す方法を提供する。
前述の方法のうちのいずれかにおいて使用される試薬及び材料は、複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチド、第1のレポーター部分にコンジュゲートされた抗ヒトIgE抗体を含む標識試薬、及び必要に応じて、その標識試薬に特異的に結合する第2のレポーター部分が共に包装されるキットの形態で包装されてもよい。
本発明の方法において有用である、本明細書に開示されるペプチドパネル及びそのサブセットのいずれも、本発明の一態様であることも理解されるであろう。
本発明を本明細書で特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。様々な修正及び変形を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置に対して行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図される。

Claims (16)

  1. 対象が牛乳に対してアレルギーであるかどうか判定するための方法であって、
    a)配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドを提供するステップであって、別々に識別可能な固体支持体に各ペプチドがコンジュゲートされる、ステップ
    b)各固体支持体上の前記ペプチドへの血清中のアレルギー関連免疫グロブリン(AAI)の結合を可能にするのに十分な条件下で各固体支持体と前記対象から取得された血清を接触させてペプチド−AAI複合体を形成させるステップ
    c)前記ペプチド−AAI複合体にAAI−特異的標識試薬を結合させるステップ;及び
    d)ペプチド−AAI複合体への前記標識試薬の結合を分析して、前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドを特定するステップ
    を含み、
    前記対象の血清中のAAIによる少なくとも1つのペプチドの認識は、前記対象が牛乳に対してアレルギーであることを示す、
    方法。
  2. 前記AAIがIgG及び/又はIgEである、請求項に記載の方法。
  3. 前記IgGがIgG4である、請求項に記載の方法。
  4. 前記複数のペプチドが、配列番号1〜9、配列番号10〜15、配列番号16〜23、配列番号24〜27、配列番号番28〜33、またはこれらの組み合わせによって表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 牛乳にアレルギーを示す対象において牛乳に対する臨床耐性の発生を検出するための方法であって、
    a)配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドに対する前記対象の血清のアレルギー関連免疫グロブリン(AAI)反応性の初期プロファイルであって、前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの初期数又は各ペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIの初期濃度を規定する初期プロファイルを提供するステップ
    )別々に識別可能な固体支持体に各々がコンジュゲートされた前記複数のペプチドを提供するステップ
    前記初期プロファイルに続く時点において、各固体支持体上の前記ペプチドへの血清中のAAIの結合を可能にするのに十分な条件下で各固体支持体と前記対象から取得された血清を接触させてペプチド−AAI複合体を形成させるステップ
    )前記ペプチド−AAI複合体にAAI−特異的標識試薬を結合させるステップ;及び
    各ペプチド−AAI複合体への前記標識試薬の結合を分析して、前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドのその後の数又は各ペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIのその後の濃度を特定するステップ
    を含み、
    前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの前記その後の数が、前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの前記初期数よりも少ない場合、又は少なくとも1つのペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIの前記その後の濃度が、前記少なくとも1つのペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIの前記初期濃度よりも低い場合に、牛乳に対する臨床耐性の発生が示される、
    方法。
  6. 前記複数のペプチドが、配列番号1〜9、配列番号10〜15、配列番号16〜23、配列番号24〜27、配列番号番28〜33、またはこれらの組み合わせによって表される、請求項に記載の方法。
  7. 選択されるペプチドとのAAI反応性の定量的減少パターンを用いて、前記対象における牛乳に対する臨床耐性の発生を予測する、請求項5または6に記載の方法。
  8. 牛乳にアレルギーを示す対象において経時的な牛乳アレルギー強度の増加を検出するための方法であって、
    a)配列番号1〜33の中から選択される複数のペプチドに対する前記対象の血清のアレルギー関連免疫グロブリン(AAI)反応性の初期プロファイルであって、前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの初期数又は各ペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIの初期濃度を規定する初期プロファイルを提供するステップ
    )別々に識別可能な固体支持体に各々がコンジュゲートされた前記複数のペプチドを提供するステップ
    前記初期プロファイルに続く時点において、各固体支持体上の前記ペプチドへの血清中のAAIの結合を可能にするのに十分な条件下で各固体支持体と前記対象から取得された血清を接触させてペプチド−AAI複合体を形成させるステップ
    )前記ペプチド−AAI複合体にAAI−特異的標識試薬を結合させるステップ;及び
    各ペプチド−AAI複合体への前記標識試薬の結合を分析して、前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドのその後の数又は各ペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIのその後の濃度を特定するステップ
    を含み、
    前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの前記初期数と比較した場合の前記対象の血清中のAAIによって認識されるペプチドの前記その後の数の増加、又は少なくとも1つのペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIの前記初期濃度と比較した場合の少なくとも1つのペプチドを認識する前記対象の血清中のAAIの前記その後の濃度の増加は、前記対象における牛乳に対するアレルギー反応の強度の増加を示す、
    方法。
  9. 前記複数のペプチドが、配列番号1〜9、配列番号10〜15、配列番号16〜23、配列番号24〜27、配列番号番28〜33、またはこれらの組み合わせによって表される、請求項に記載の方法。
  10. 選択されるペプチドとのAAI反応性の定量的増加パターンを用いて、牛乳に対するアレルギーの強度の増加を予測する、請求項8または9に記載の方法。
  11. 配列番号1〜33によって表されるペプチドからなる群から選択される複数のペプチド及び/又は配列番号1〜33の12個以上の連続したアミノ酸によって表されるペプチドからなる群から選択される複数のペプチドを含む、牛乳アレルギーの検出のためのアレルゲンエピトープ含有ペプチドのセット。
  12. 配列番号1〜9、配列番号10〜15、配列番号16〜23、配列番号24〜27、配列番号番28〜33、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載のアレルゲンエピトープ含有ペプチドのセット。
  13. 牛乳アレルギーの検出、牛乳アレルギーの強度の経時的な増減の検出、又は牛乳に対する臨床耐性の発生の検出のためのキットであって、
    )配列番号1〜33の中から選択される複数のアレルゲンエピトープ含有ペプチド
    b)第1のレポーター部分にコンジュゲートされた抗アレルギー関連免疫グロブリン抗体(抗AAI)を含む標識試薬と;
    c)必要に応じて、前記標識試薬に特異的に結合する第2のレポーター部分と;
    d)使用説明書と;
    を含む、キット。
  14. 前記使用説明書が、治療に対する患者の自然耐性、反応性を予測するか、又はアレルギー反応の増加を予測する前記キットの使用のためのものである、請求項13に記載のキット。
  15. 請求項11または12に記載のアレルゲンエピトープ含有ペプチドのセットを含む、請求項14に記載のキット。
  16. フローサイトメトリー分析用の多重ペプチド−ビーズアッセイ、または側方流動アッセイである、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
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