JP6451868B1 - 半導体装置、表示装置、及びスパッタリングターゲット - Google Patents

半導体装置、表示装置、及びスパッタリングターゲット Download PDF

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Abstract

本発明の半導体装置は、基板と、前記基板の一の面に設けられた導電配線と、前記導電配線に電気的に接続された薄膜トランジスタと、を具備する。前記導電配線は、銅層あるいは銅合金層が第1導電性金属酸化物層と第2導電性金属酸化物層とによって挟持された3層構成を有する。前記第1導電性金属酸化物層及び前記第2導電性金属酸化物層は、酸化インジウムを含む。前記薄膜トランジスタは、酸化物半導体で構成されたチャネル層を有する。前記酸化物半導体は、酸化インジウムと、酸化アンチモンと、前記酸化インジウム及び前記酸化アンチモンの各々の量より少ない量を有する酸化セリウムとを含む複合酸化物である。前記酸化物半導体において、酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の量は40at%以上である。

Description

本発明は、半導体装置、表示装置、及びスパッタリングターゲットに関する。
チャネル層として酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、シリコン半導体と比較してリーク電流が2桁ほど小さく、省電力のデバイスとして注目されている。また、このような薄膜トランジスタは、高電圧に対する耐性を有するため、パワー半導体素子に用いることも注目されている。
また、シリコン半導体を用いた回路構成、或いは、酸化物半導体を用いた回路構成において、上記のようなデバイス内における回路構成素子を電気的に接続する導電配線として、低抵抗の導電配線が望まれている。アルミニウムの電気抵抗率(比抵抗)は、2.7μΩcmであり、銅の電気抵抗率は1.7μΩcmであるため、低抵抗の導電配線として、アルミニウム配線から銅配線に切り替えることが試みられている。近年では、より良好な導電性を有する銅配線が望まれている。
例えば、特許文献1には、インジウム及び亜鉛を含む酸化物層で挟持された銅層を備える金属配線が提供されている。酸化亜鉛の含有量は、10重量%以上35重量%未満とされている。特許文献1の段落[0050]には、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム酸化物(InO)等と表記されている。特許文献1の請求項1では、酸化物に含まれる金属元素であるインジウムに関する具体的な記載がなく、また、金属元素の定義が示されていないため、金属元素の原子比(at%)が明確ではない。仮に、インジウム酸化物(InO)で換算した場合、酸化亜鉛の含有量の下限値10重量%での酸化物層における原子比は、約15at%となる。インジウム元素と亜鉛元素の合計に対して亜鉛元素の量が10at%を超えてくると、耐アルカリ性が大きくなり、オーミックコンタクトが得られ難くなる。亜鉛元素の量が多いほど、このような傾向は顕著となる。また、亜鉛元素の量が10at%を超えてくると、酸化亜鉛及び酸化インジウムを含む複合酸化物の表面抵抗が低下してしまい、このような金属配線を基板等に電気的に実装する工程において障害となる。特許文献1には、このような課題が開示されていない。また、特許文献1には、銅のマイグレーションや拡散の問題については、何ら開示されていない。
一方、ガラス基板やシリコン基板に対する銅の密着性を改善する技術として、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)等を合金元素として銅に添加する方法が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。しかしながら、特許文献2及び特許文献3においては、ガラス基板あるいは薄膜トランジスタを構成する半導体層に銅合金が直接的に接触する構成が採用されているため、銅層(銅合金層)の下地(下地層、ガラス基板や半導体層)に対して銅元素が拡散することを完全に抑制することができない問題がある。更に、特許文献2及び特許文献3には、当然ながら、銅合金層を導電性金属酸化物層で挟持するような3層構成は開示されていない。
また、銅合金を用いて基板に直接的に形成された導電配線に関し、例えば、10μm幅以下の線幅(細線)を有するように導電配線を形成した場合、その製造工程で基板から導電配線が剥がれることがある。例えば、ウエットエッチング工程で形成された導電配線は、ウエットエッチング工程以降に行われる洗浄工程や半導体パターン工程等の現像工程において、静電破壊に起因する部分的な剥がれ(導電配線の欠けや断線)が生じることがある。導電配線の線幅が細くなるほど、導電配線が剥がれる傾向が顕著となる。このような製造工程における課題は、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3には開示されていない。
特許文献4には、酸化物半導体膜として、In、Ga、Zn、Sn、Sb等の元素が開示されている。しかしながら、段落[0030]の開示では、In−Zn系、Sn−In−Zn系を除いて酸化物半導体組成が詳細に記載されておらず、例えば、酸化アンチモンあるいは酸化セリウムを用いた場合の作用や効果の記載はない。
日本国特開2014−78700号公報 日本国特開2011−91364号公報 日本国特許第5099504号公報 日本国特開2007−73704号公報
アルミニウム配線は、低抵抗配線であり、アルミニウムが不動態化することで実用的な信頼性を有する。このため、機能デバイスに用いられる導電配線としてアルミニウム配線は多用されている。しかしながら、純度が高く、導電性に優れたアルミニウム配線を有する機能デバイスの製造過程における熱履歴、或いは、長期的な保存等に起因して、アルミニウム配線の表面にヒロック(半球状等の突起物)が発生しやすく、絶縁不良等の信頼性低下が生じやすい。ヒロックが発生するといった問題を解消するためにNd(ネオジム)やTa(タンタル)等の金属が少量添加されたアルミニウム合金が一般的に用いられている。
高純度アルミニウムは、2.7μΩcmの電気抵抗率を有するが、NdやTaをアルミニウムに添加することによる電気抵抗率の増加は、各々、3.7μΩcm/at%、8.6μΩcm/at%である。換言すれば、Ndをアルミニウムに1at%添加することで、アルミニウム合金(Al−Nd系合金)の電気抵抗率は、計算上、6.4μΩcmとなり、高純度アルミニウムに比較して電気抵抗率が悪化する。なお、一般的に、アルミニウム合金配線における目標の電気抵抗率は、6μΩcm以下とされている。
銅合金配線は、耐アルカリ性の観点で、アルミニウム合金配線より優れている。このような耐薬品性の観点から見ても、機能デバイスに用いられる導電配線として銅合金配線を採用することが要求されている。更に、アルミニウムやアルミニウム合金は、ITO等の透明電極に対するオーミックコンタクトが得られない。このため、オーミックコンタクトの観点から見ても、機能デバイスに用いられる導電配線として銅や銅合金を採用することが期待されている。
アルミニウムと比較し、高純度の銅は1.7μΩcmの電気抵抗率を有しており、アルミニウム合金配線に代わる導電配線として銅配線は期待されている。しかしながら、銅配線は、銅が拡散しやすく信頼性低下をもたらすこと、および、銅の表面は不動態化せずに、銅酸化物が経時的に形成され、銅酸化物の量が増加するといった欠点を有する。銅の表面に形成される銅酸化物の膜厚が増加すると、表面抵抗が高くなり、銅配線を基板等に電気的に実装する工程で問題が生じる。銅配線における銅酸化物の形成は、銅配線の表面抵抗が増加するだけでなく、コンタクト抵抗のバラツキに起因して薄膜トランジスタの閾値電圧(Vth)が変動(バラツキ)するため好ましくない。電極等に対する銅配線や銅合金配線の電気的な実装では、配線表面の銅酸化物を除去するためにキレート洗浄のような前処理を必要としていた。
電子デバイスでは、銅の特性に起因する基本的な課題である銅の拡散を抑制する目的のため、銅をチタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の高融点金属で挟持する3層構成、あるいは2層構成を用いることが多い。しかしながら、これら高融点金属は、銅と一括して(1液のエッチャントを用いて1回で)パターニング(パターン形成)することが困難である。銅をパターン形成する際に用いられるエッチング液とは異なるエッチング液でTiやMo等のパターニングを行うこと、あるいは、ドライエッチングによりパターニングを行うことが多い。例えば、液晶表示装置では、酸化シリコン等の絶縁層上に、チタン/銅の2層構成を有する配線を形成することがある。
さらに、回路を形成する工程や、表示装置を構成する薄膜トランジスタのマトリクスを形成する工程では、回路素子や薄膜トランジスタの接続点(パッド等)と、接続点の上部に位置する配線との間で、スルーホールを介して、電気的なコンタクトを取る必要がある。このとき、上記した高融点金属の表面あるいは銅の表面に銅酸化物層が形成されているため、高いコンタクト抵抗が生じることが多い。換言すれば、従来の銅配線では、電気的実装に必要なオーミックコンタクトを得ることが難しい。加えて、空気に露出された銅薄膜は、熱処理において異常成長し、薄膜の表面において疎化が生じやすくなり、電気抵抗率を悪化させやすい。
加えて、IGZOと呼称される酸化インジウムと酸化ガリウムと酸化亜鉛とを含む複合酸化物で形成されたチャネル層(酸化物半導体層)は、結晶化による信頼性を確保するため、400℃から700℃の温度範囲で熱処理を行うことが多い。液晶表示装置等の製造工程では、この熱処理のときに、チタン及び銅の相互拡散が発生し、銅配線の導電率が大幅に悪化することが多い。熱処理を行わない場合では、IGZOで形成されたチャネル層において経時変化による閾値電圧(Vth)の変動があり、実用的でない。経時変化による閾値電圧(Vth)の変動に関し、酸化物半導体層における酸素欠陥等の不純物準位の変化は、酸化物半導体層に吸蔵されている水素の影響と考えられている。チタンやチタン窒化物は、水素を吸蔵しやすく、金属電極や金属配線に含まれる水素によるトランジスタ特性変化も予想される。さらに、ソース電極やゲート電極がチタンや銅で形成される場合、チャネル層と接触するチタン等の金属が、チャネル層(酸化物半導体層)を形成する酸化物半導体を還元し、トランジスタ特性を低下させることがあった。IGZO等で形成されたチャネル層を備える薄膜トランジスタの製造工程では、銅配線の導電率を悪化させない低温プロセスが要求されている。
また、酸化インジウムや酸化アンチモンは、スパッタリング等の真空成膜において、酸素欠損を生じることがあり、十分な半導体特性を得にくい。さらに、酸化インジウムや酸化アンチモンを含む酸化物半導体で形成されたチャネル層は、ウエットエッチング等の製造プロセスを用いてソース電極等を形成する工程において、エッチングダメージを受けやすい。ウエットエッチングに用いるエッチャントの影響を受けにくい酸化物半導体が要求されている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、銅配線を用いても良好な信頼性を有し、かつ、容易に製造することができる半導体装置、表示装置、及びスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の一の面に設けられた導電配線と、前記導電配線に電気的に接続された薄膜トランジスタと、を具備し、前記導電配線は、銅層あるいは銅合金層が第1導電性金属酸化物層と第2導電性金属酸化物層とによって挟持された3層構成を有し、前記第1導電性金属酸化物層及び前記第2導電性金属酸化物層は、酸化インジウムを含み、前記薄膜トランジスタは、酸化物半導体で構成されたチャネル層を有し、前記酸化物半導体は、酸化インジウムと、酸化アンチモンと、前記酸化インジウム及び前記酸化アンチモンの各々の量より少ない量を有する酸化セリウムとを含む複合酸化物であり、前記酸化物半導体において、酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の量は40at%以上である。
本発明の第1態様に係る半導体装置においては、前記酸化物半導体において、酸素をカウントしない、インジウム、アンチモン、及びセリウムの合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の量は45at%以上49.8at%以下の範囲内にあり、セリウムの量は10at%以下0.4at%以上の範囲内にあってもよい。
本発明の第1態様に係る半導体装置においては、前記薄膜トランジスタは、前記チャネル層が接触するとともに、少なくとも酸化セリウムを含む絶縁膜を有してもよい。
本発明の第1態様に係る半導体装置においては、前記銅合金層は、銅に固溶する第1元素と、銅及び前記第1元素より電気陰性度が小さい第2元素とを含み、前記第1元素及び前記第2元素は、銅に添加する場合の比抵抗上昇率が1μΩcm/at%以下の元素であり、前記銅合金層の比抵抗は、1.9μΩcmから6μΩcmの範囲内にあってもよい。
本発明の第1態様に係る半導体装置においては、前記銅合金層において、前記第1元素は亜鉛であり、前記第2元素はカルシウムであり、銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とすると、前記銅合金層は、0.2at%以上5.0at%以下の範囲内で前記第1元素を含有し、0.2at%以上5.0at%以下の範囲内で前記第2元素を含有し、残部として銅を含有してもよい。
本発明の第1態様に係る半導体装置においては、前記第1導電性金属酸化物層及び前記第2導電性金属酸化物層は、主たる導電性金属酸化物として酸化インジウムを含有するとともに、酸化アンチモン、酸化亜鉛、及び酸化ガリウムから構成される群より選択される1種以上を含有する導電性金属酸化物であってもよい。
本発明の第2態様に係る表示装置は、第1態様に係る半導体装置を備える。
本発明の第2態様に係る表示装置においては、銅層あるいは銅合金層が第1導電性金属酸化物層と第2導電性金属酸化物層とによって挟持された3層構成を有する導電配線で形成されたアンテナを備え、前記第1導電性金属酸化物層及び前記第2導電性金属酸化物層は、酸化インジウムを含んでもよい。
本発明の第3態様に係るスパッタリングターゲットは、第1態様に係る半導体装置の製造に用いられるスパッタリングターゲットであって、主材として酸化インジウム及び酸化アンチモンを含有し、かつ、安定化剤として酸化セリウムを有する複合酸化物を含有し、前記複合酸化物において、酸素をカウントしない、インジウム、アンチモン、及びセリウムの合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の量は45at%以上49.8at%以下の範囲内にあり、セリウムの量は10at%以下0.4at%以上の範囲内にある。
本発明の第4態様に係るスパッタリングターゲットは、第1態様に係る半導体装置を構成する銅合金層の形成に用いられるスパッタリングターゲットであって、銅に固溶する第1元素と、銅及び前記第1元素より電気陰性度が小さい第2元素とを含み、前記第1元素は亜鉛であり、前記第2元素はカルシウムであり、銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とすると、前記第1元素の含有量は0.2at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、前記第2元素の含有量は0.2at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、前記第1元素及び前記第2元素を除く残部は銅を含有する。
上述した本発明の態様によれば、高い導電率を有する導電配線を用い、低温プロセスで形成することが可能であり、特性が安定した薄膜トランジスタを具備する半導体装置、表示装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る半導体装置を備える表示装置を部分的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体装置を備える表示装置を部分的に示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体装置を部分的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体装置を構成する構成要素である導電配線を部分的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造に用いられるスパッタリングターゲットが設置されたスパッタリング装置を示す概略構成図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置を構成する制御部(映像信号制御部、システム制御部、及びタッチセンシング制御部)及び表示部を示すブロック図である。 本発明の第2実施態様に係る半導体装置を備えた表示装置を部分的に示す断面図である。 本発明の第2実施態様に係る表示装置を構成するアレイ基板(第1基板)を部分的に示す断面図であり、アレイ基板に形成された駆動トランジスタ及び有機ELの発光層を説明する図である。 本発明の第2実施態様に係る表示装置を観察者から見た図であって、表示装置基板(第2基板)に形成された、第1導電配線、第2導電配線、第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、制御部等の回路を示す平面図である。 本発明の第2実施態様に係る表示装置を構成するアレイ基板(第1基板)に形成された、第3アンテナユニット、第4アンテナユニット、ソース信号スイッチング回路、ゲート信号スイッチング回路、有機ELを駆動する駆動トランジスタ等の回路を示す平面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置を構成する表示装置基板に形成された第1アンテナユニットを拡大して示す部分平面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置を構成する表示装置基板に形成された第1アンテナユニットを示す図であって、図11に示すA−A’線に沿う断面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置を構成する表示装置基板に形成された第1アンテナユニットと、アレイ基板に形成された第3アンテナユニットの重なりを示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態では、チャネル層として酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを備える半導体装置、電気抵抗(比抵抗)が低くかつコンタクト抵抗の低い3層構成を有する銅合金配線を用いた半導体装置、このような半導体装置が適用された表示装置について説明する。加えて、上記半導体装置の製造に用いられる新規なスパッタリングターゲットについて説明する。
以下の説明において、同一又は実質的に同一の機能及び構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化し、或いは、必要な場合のみ説明を行う。各図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。また、必要に応じて、図示が難しい要素、例えば、表示装置を構成する絶縁層、バッファ層、半導体のチャネル層を形成する複数層の構成、薄膜トランジスタの数、また、導電層を形成する複数層の構成、液晶層に初期配向を付与する配向膜、偏光フィルム、位相差フィルム等の光学フィルム、保護用のカバーガラス、バックライト等の図示が省略されている。
本発明の実施形態に係る半導体装置に適用可能な基板としては、シリコン、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム等の半導体基板、無アルカリガラス等のガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板、ポリイミドやポリアミドのようなプラスチック基板等を適用することができる。半導体装置に適用される基板には、薄膜トランジスタや導電性金属酸化物層を形成する前に、酸化シリコンや酸化窒化シリコンのような絶縁膜を形成してもよい。半導体装置を反射型の表示装置に適用する場合、基板上に、銀合金の薄膜を形成してもよい。以下の記載において、基板を、第1基板、第2基板と呼称することがある。
第1基板や第2基板、また、第1導電配線、第2導電配線、第3導電配線等に用いられる「第1」や「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付しており、数量を限定しない。第1導電配線、第2導電配線、第3導電配線は、以下の記載で、単に導電配線と呼称することがある。
第1導電性金属酸化物層及び第2導電性金属酸化物層は、以下の説明において、単に導電性金属酸化物層と略称することがある。本発明の実施形態に係る表示装置は、静電容量方式によるタッチセンシング機能を有することができる。後述するように、第1導電配線や第3導電配線等の導電配線は、タッチセンシングの検出配線や駆動配線として用いることができる。以下の記載において、タッチセンシングに関わる導電配線、電極、及び信号を、単に、タッチ配線、タッチ駆動配線、タッチ検出配線、タッチ電極、及びタッチ駆動信号と呼称することがある。タッチセンシング配線にタッチセンシングの駆動のために印加される電圧をタッチ駆動電圧と呼び、表示機能層である液晶層の駆動のために共通電極と画素電極間に印加される電圧を液晶駆動電圧と呼称する。有機EL層を駆動する電圧を有機EL駆動電圧と呼称する。共通電極に接続される導電配線はコモン配線と呼称することがある。
以下に記載する「平面視」とは、観察者(後述する符号OB)が表示装置の表示面(表示装置用基板の平面)を観察する方向から見た平面を意味する。本発明の実施形態に係る表示装置の表示部の形状、又は画素を規定する画素開口部の形状、表示装置を構成する画素数は限定されない。ただし、以下に詳述する実施形態では、平面視、画素開口部の短辺の方向をX方向と規定し、長辺の方向(長手方向)をY方向と規定し、更に、基板の厚さ方向をZ方向と規定し、表示装置を説明する。以下の実施形態において、上記のように規定されたX方向とY方向を切り換えて、表示装置を構成してもよい。
(第1実施形態)
(表示装置DSP1の構造)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を備える表示装置DSP1を部分的に示す断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を備える表示装置を部分的に示す平面図である。
表示装置DSP1は、第1基板1と、第2基板2と、第1基板1及び第2基板2によって挟持された液晶層4とを備える液晶表示装置である。
第1基板1上には、第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3絶縁層43が積層されている。後述するように、第1絶縁層41と第2絶縁層42との間には薄膜トランジスタ39(半導体装置3)が設けられている。第3絶縁層43上には画素電極9が形成されており、第3絶縁層43に設けられたコンタクトホール45(図3参照)を通じて、画素電極9は薄膜トランジスタ39に電気的に接続されている。画素電極9は、例えば、ITO等と呼称される透明導電膜である。画素電極9は、有機EL装置や反射型表示装置の場合では、銀合金やアルミニウム等の光反射性の反射電極とすることができる。画素電極9は、後述する画素開口部14に対応する位置に設けられている。画素電極9及び薄膜トランジスタ39は、平面視、マトリクス状に形成されている(例えば、図10参照)。
第1基板1に対向する第2基板2の面には、複数の画素開口部14が規定されている。複数の画素開口部14の各々には、赤画素R、緑画素G、及び青画素Bが設けられている。
互いに隣接する画素の間、即ち、図1に示す例においては、赤画素Rと緑画素Gとの間、青画素Bと赤画素Rとの間に、ブラックマトリクスBMが設けられている。また、図2に示すように、赤画素R、緑画素G、及び青画素Bは、ブラックマトリクスBMによって格子状に区画されており、カラーフィルタを構成している。カラーフィルタ上には透明樹脂であるオーバーコート層OCが積層されている。オーバーコート層OC上には、ITOである透明電極8が形成されている。
第1基板1と第2基板2との間には、液晶層4が挟持されている。薄膜トランジスタ39がスイッチング駆動することで、透明電極8と画素電極9との間に電圧が印加され、この印加電圧によって液晶層4は駆動する。
図1に示す表示装置DSP1は、縦電界(画素電極9と透明電極8との間に印加される電圧)で駆動されるが、IPS、FFSといった横電界方式の液晶表示装置であってもよい。
(半導体装置)
図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置3を部分的に示す断面図である。
半導体装置3は、第1基板1と、第1基板1上(基板の一の面上)に設けられた導電配線と、導電配線に電気的に接続された薄膜トランジスタ39とを具備する。具体的に、半導体装置3においては、第1基板1上に、酸化窒化シリコンで構成される第1絶縁層41が形成され、第1絶縁層41上にはゲート電極38(導電配線)が形成されている。さらに、第1絶縁層41上には、ゲート電極38を覆うように、ゲート絶縁膜である第2絶縁層42が形成されている。第2絶縁層42上には、酸化物半導体であるチャネル層35、ドレイン電極37(導電配線)、及びソース電極36(導電配線)が形成されている。さらに、第2絶縁層42上には、チャネル層35、ドレイン電極37、及びソース電極36を覆うように、第3絶縁層43が形成されている。ゲート電極38、第2絶縁層42、チャネル層35、ドレイン電極37、及びソース電極36は、薄膜トランジスタ39を構成する。
ソース電極36は、図3の紙面に対し垂直方向(Y方向)に延びるソース配線31(導電配線)と電気的に接続されている。ゲート電極38は、図3の紙面において奥側に位置するゲート配線(導電配線)と電気的に接続されている。互いに向かい合うドレイン電極37の端部とソース電極36の端部との距離は、チャネル長Lである。チャネル長Lを短く設定することで、薄膜トランジスタ39によるスイッチング動作の立ち上がりを急峻にすることができる。薄膜トランジスタ39を構成するドレイン電極37は、第3絶縁層43上に形成された画素電極9とコンタクトホール45を介して電気的に接続されている。
図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を構成するゲート電極38を部分的に示す断面図である。
第1絶縁層41上において、ゲート電極38は、第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12とによって銅合金層13が挟持された3層構成を有する。図4においては、ゲート電極38の配線構造を示しているが、このような3層構成を有する導電配線の構造は、ゲート配線、ソース配線31、ドレイン電極37、ソース電極36、にも適用される。
更に、第1導電性金属酸化物層11と銅合金層13と第2導電性金属酸化物層12の3層構成を有する導電配線は、薄膜トランジスタ39を構成する配線や電極以外に、第1基板1上や第2基板2上に形成される配線にも適用される。例えば、導電配線は、基板上に形成される電子回路(駆動回路等)を構成する配線、電子回路から薄膜トランジスタ39に向けて延びる引き回し配線、タッチセンシング配線、アンテナ配線、遮光パターン等にも用いることができる。
導電配線は、実装に不可欠なオーミックコンタクトが容易に得られるため、スルーホールを利用した多層配線に適用することができる。導電性金属酸化物層の膜厚は、例えば、10nmから100nmの範囲から選択できる。銅合金層の膜厚は、例えば、50nmから500nmの範囲から選択できる。これら導電性金属酸化物層や銅合金層13の成膜は、スパッタリング等の真空成膜が好ましい。電気的実装のため、端子部の銅合金層13の部分には、メッキを施してもよい。
(銅合金層)
以下、銅合金層について具体的に説明する。
銅合金層13は、銅に固溶する第1元素と、銅及び第1元素より電気陰性度が小さい第2元素とを含む。第1元素及び前記第2元素は、銅に添加する場合の比抵抗上昇率が1μΩcm/at%以下の元素である。銅合金層13の電気抵抗率は、1.9μΩcmから6μΩcmの範囲内にある。
本発明の実施形態に係る銅と固溶する元素とは、例えば、車載向け含む電子機器の使用範囲である−(マイナス)40℃から+(プラス)80℃の温度領域で、安定して銅との置換型固溶をとる元素であると言い換えることができる。
上記温度範囲(電子機器の使用範囲)かつ銅合金に添加される元素量の範囲において、銅の結晶構造の中で銅原子の位置に置換できる元素を、「置換型固溶をとる元素」と判断する。また、元素(複数種でもよい)の銅への添加量は、銅合金の電気抵抗率(比抵抗と同義)が6μΩcmを超えない範囲であればよい。マトリクス母材を銅とする場合に、銅に対し、広い固溶域を有する金属は、金(Au)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)が例示できる。アルミニウム(Al)は広くはないが、銅に対する固溶域を有する。
銅合金に添加される元素として電気抵抗率の小さい添加元素(銅の合金元素)は、パラジウム(Pd)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、金(Au)、カルシウム(Ca)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)が挙げられる。これら元素は、純銅に対し1at%添加したときの電気抵抗率の増加が、ほぼ1μΩcm以下となる。カルシウム(Ca)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)の電気抵抗率の増加は、0.4μΩcm/at%以下であるので、合金元素として好ましい。経済性及び環境負荷を考慮すると、亜鉛及びカルシウムを合金元素として用いることが好ましい。亜鉛及びカルシウムは、各々、5at%まで、銅への合金元素として添加することができる。
上記添加量の範囲に基づき、カルシウムの添加量を増やしたり、亜鉛の添加量を減らしたり、亜鉛及びカルシウムの添加量を増減してもよい。銅に対する亜鉛及びカルシウムの添加による効果に関し、各々、0.2at%以上の添加量において顕著な効果が得られる。
純粋な銅に対して亜鉛及びカルシウムを合計0.4at%添加した銅合金の電気抵抗率は、約1.9μΩcmとなる。従って、本発明の実施形態に係る銅合金層13の電気抵抗率の下限は、1.9μΩcmとなる。なお、カルシウム(Ca)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)を合金元素として用いた場合において、銅及び合金元素の合計元素数に対し、添加量が5at%を超えてくると銅合金の電気抵抗率が顕著に増加する。このため、添加量は少なくとも5at%未満であることが好ましい。
カルシウムは、銅に固溶しにくい性質を有する。本発明における電気抵抗率は、導電性金属酸化物で銅合金層13を挟持する構成における値を意味する。後述するように、導電性金属酸化物で挟持されない銅合金層13は、熱処理等を行うことで、電気抵抗率が悪化しやすい。例えば、ガラス等の基板上にチタン及び純銅が積層された2層構成(最表面は純銅)の場合、初期の銅配線の電気抵抗率が約2μΩcmであるが、その後、400℃から500℃の熱処理を施すと、電気抵抗率が4μΩcm〜5μΩcm程度に悪化することがある。このように電気抵抗率が悪化する理由は、高温の熱処理を行うことによって、銅とチタンとが相互に拡散し、かつ、銅が酸化するためと思われる。
電気陰性度は、原子(元素)が電子を引き寄せる強さの相対尺度である。この値の小さい元素ほど、陽イオンになりやすい。銅の電気陰性度は、1.9である。酸素の電気陰性度は、3.5である。電気陰性度の小さい元素には、アルカリ土類元素、チタン族元素、クロム族元素等が挙げられる。アルカリ元素の電気陰性度も小さいが、銅の近くにアルカリ元素や水分が存在すると、銅の拡散が増長される。このため、ナトリウムやカリウム等のアルカリ元素は、銅の合金元素としては使えない。
カルシウムの電気陰性度は、1.0と小さい。カルシウムを銅の合金元素として用いた場合、熱処理時などにおいてカルシウムが銅よりも先に酸化され、酸化カルシウムとなり、銅の拡散を抑えることが可能となる。本発明の実施形態に係る導電配線では、導電性金属酸化物層で覆われない銅合金層の露出面や、銅合金層と導電性金属酸化物層との界面に、選択的にカルシウム酸化物を形成させることが可能である。特に、導電性金属酸化物層で覆われない銅合金層の露出面にカルシウム酸化物を形成することが、銅の拡散の抑制、及び信頼性の向上に寄与する。本発明の実施形態に係る導電配線や銅合金層の導電率は、熱処理等アニーリングによって向上する。上述した電気陰性度は、ポーリングの電気陰性度の値で示した。本発明の実施形態に係る導電配線においては、導電配線の熱処理工程等によって、第2元素は、銅及び第1元素よりも先に酸化されて酸化物を形成することが好ましい。また、銅や銅合金に対する水素・酸素の混入を防ぐことが好ましい。
なお、本発明の実施形態において、「第1元素」は、銅より電気陰性度が小さくてもよい。「第2元素」は、銅に固溶域を持っていてもよい。銅よりも電気陰性度が小さく、かつ、銅に固溶域を持っているという2つの性質を持つ2種以上の元素を用いる場合、2種以上の元素のうち電気陰性度の小さい元素を「第2元素」とする。
例えば、第1元素は亜鉛であり、第2元素はカルシウムである。
具体的に、銅合金層13の組成に関し、銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とすると、銅合金層13は、0.2at%以上5.0at%以下の範囲内で第1元素を含有し、0.2at%以上5.0at%以下の範囲内で第2元素を含有し、残部として銅を含有する。
本実施形態において、例えば、銅合金層13は、カルシウム2at%、亜鉛0.5at%、残部が銅と不可避不純物である銅合金を用いる。このような組成条件を有する銅合金層13の電気抵抗率は、2.7μΩcmを例示できる。
銅合金層13の電気抵抗率は、銅合金層13の成膜方法やアニール条件によって、±30%前後の変化があり得る。例えば、ガラス基板等に銅合金層13が直接形成された構成では、成膜時の熱処理で、さらには、成膜後の熱処理で、銅合金層が酸化され(CuO、酸化銅を形成する)、抵抗値が悪化することがある。また、銅合金層を構成する合金元素が低い濃度で添加されている銅合金、即ち、希薄合金においては、酸化銅の形成と共に、銅合金のグレインが大きくなり過ぎてしまう。このため、隙間を有する粗大なグレインバウンダリー(結晶粒界)が形成されてしまい、銅合金層の表面が粗くなり、抵抗値を悪化させることがある。
本発明の実施形態においては、銅合金層13が第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12によって挟持された構成が採用されている。この構成では、熱処理(アニール)により電気抵抗率が改善されることが多い。換言すれば、本発明の実施形態において、銅合金層13が導電性金属酸化物層で覆われることにより、銅合金層13の表面酸化が抑制される。また、銅合金層13の表面及び裏面に形成された導電性金属酸化物層による規制(アンカリング)によって、銅合金層のグレインが極端に粗大化することがなく、銅合金層13の表面が粗くならない。銅合金層13を構成する合金元素が低い濃度(例えば、0.2at%前後)で添加されている銅合金層13であっても、結晶粒(グレイン)が大きくなり難く、グレインバウンダリーによるキャリア散乱(電気抵抗率の悪化)を抑制することができる。第1元素と第2元素とを合せて0.4at%以上を銅合金に添加することで、緻密な銅合金層13を得ることができる。
電気抵抗率の悪化を抑制する効果に関し、特に、銅に添加される合金元素の比抵抗上昇率が1μΩcm/at%以下の元素の場合であって、かつ、銅合金層13が第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12によって挟持された構成の場合に、顕著な効果が得られやすい。
熱処理を行うことで、銅合金層13と第1導電性金属酸化物層11との界面に、及び、銅合金層13と第2導電性金属酸化物層12との界面に、また、導電性金属酸化物層で覆われない銅合金層13の露出面(側面)に、カルシウム酸化物が形成される。カルシウム酸化物が銅合金層13の表面や酸化物層との界面に形成されるので、銅の拡散が抑制され、信頼性の向上に寄与する。
また、本発明の実施形態に係る銅合金層13においては、意図的に酸素(O)を含ませる必要はない。酸素を多く含む銅合金層は、例えば、水やアルカリの存在で、銅合金層にボイドを発生させ、銅合金層の信頼性を低下する懸念がある。
そこで、第1導電性金属酸化物層11と銅合金層13と第2導電性金属酸化物層12の3層を、例えば、180℃以下の基板温度で連続成膜を行う。基板温度は、室温(25℃)、さらには室温以下の温度に設定してもよい。また、チャネル層のパターンを形成した後における後工程で、例えば、180℃から340℃の低温アニーリングを施す。この低温アニールは、ソース配線やドレイン電極等の導電配線を形成する工程の前に行ってもよい。低温アニールにより、電気抵抗率を含む電気特性を改善することが可能である。
本発明の実施形態に係る半導体装置は、上記のように340℃以下の低温プロセスで形成することが可能である。また、基板材料として、樹脂基板、あるいは、0.4mm厚み以下のガラス等を用いた有機EL(エレクトロルミネセンス)表示装置や液晶表示装置に、本実施形態に係る半導体装置を適用することは、特に有効である。
銅合金層13に用いる銅合金としては、上述した材料を用いることができる。第1実施形態における銅合金では、亜鉛の含有量を0.5at%とし、カルシウムの含有量を2.0at%とし、残部を銅及び不可避不純物とした。銅合金の膜厚は、規定されない。第1実施形態では、銅合金層13の膜厚を280nmとした。銅合金層13の電気抵抗率は、後述するアニール(熱処理)後に2.7μΩcmであった。
また、本実施形態において、第1導電性金属酸化物層11及び第2導電性金属酸化物層12で挟持される銅合金層13は、約1.9μΩcmから6μΩcm範囲内の極めて小さな電気抵抗率に抑えることができる。
(導電性金属酸化物層)
導電性金属酸化物層は、主たる導電性金属酸化物として酸化インジウムを含有するとともに、酸化アンチモン、酸化亜鉛、及び酸化ガリウムから構成される群より選択される1種以上を含有する導電性金属酸化物である。
導電性金属酸化物層に含まれるインジウム(In)の量は、80at%より多く含有させる必要がある。インジウム(In)の量は、80at%より多いことが好ましい。インジウム(In)の量は、90at%より多いことがさらに好ましい。インジウム(In)の量が80at%より少ない場合、形成される導電性金属酸化物層の比抵抗が大きくなり、好ましくない。亜鉛(Zn)の量が20at%を超えると、導電性金属酸化物(混合酸化物)の耐アルカリ性が低下するので好ましくない。上記の導電性金属酸化物層においては、いずれも、混合酸化物中の元素でのアトミックパーセント(酸素元素をカウントしない元素のみのカウント)である。酸化アンチモンは、金属アンチモンが銅との固溶域を形成し難く、積層構成での銅の拡散を抑制するため、上記導電性金属酸化物層に加えることができる。混合酸化物中には、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、ゲルマニウム等の他の元素を少量、添加することもできる。
一般的に、銅層或いは銅合金層は、透明樹脂やガラス基板(第1基板、第2基板に適用)に対する密着性が低い。このため、銅層或いは銅合金層をこのまま表示装置や半導体装置に適用した場合、実用的な表示装置や半導体装置を実現することは難しい。しかし、上述した複合酸化物は、ブラックマトリクス、透明樹脂及びガラス基板等に対する密着性を十分に有しており、かつ、銅層や銅合金層に対する密着性も十分である。このため、上記複合酸化物を用いた銅層或いは銅合金層を表示装置や半導体装置に適用した場合、実用的な表示装置や半導体装置を実現することが可能となる。
銅、銅合金、銀、銀合金、或いはこれらの酸化物、窒化物は、ガラスや樹脂等の透明基板やブラックマトリクス等に対する十分な密着性を一般的に有していない。そのため、導電性金属酸化物層を設けない場合、導電配線とガラス等の透明基板との界面、或いは、導電配線とブラックマトリクスあるいはSiO等で形成される絶縁層との界面で剥がれが生じる可能性がある。細い配線パターンを有する導電配線として銅或いは銅合金を用いる場合、導電配線の下地層として導電性金属酸化物層が形成されていない表示装置基板においては、剥がれによる不良以外にも、表示装置基板の製造工程の途中で導電配線に静電破壊による不良が生じる場合があり、実用的ではない。このような静電破壊は、カラーフィルタを基板上に積層するといった後工程や、表示装置基板(例えば、第2基板2に相当)とアレイ基板(例えば、第1基板1に相当)とを貼り合わせる工程や、洗浄工程等によって配線パターンに静電気が蓄積され、静電破壊によりパターン欠け、断線等を生じる現象である。
加えて、銅層や銅合金層の表面には、導電性を有しない銅酸化物が経時的に形成され、電気的なコンタクトが困難となることがある。その一方、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ガリウム、酸化錫等の複合酸化物層は、安定したオーミックコンタクトを実現することができ、このような複合酸化物を用いる場合では、導通転移(トランスファ)やコンタクトホールを介しての電気的実装を容易に行うことができる。本実施形態における説明では、「コンタクトホール」と「スルーホール」は同義とする。
本実施形態において、銅配線を用いた薄膜トランジスタでは、上記のように銅層や銅合金層の表面に導電性を有しない銅酸化物が経時的に形成され、コンタクトホール内において接続抵抗にバラツキを生じやすい。接続抵抗のバラツキは、直接的に、薄膜トランジスタ39の特性における閾値電圧(Vth)のバラツキとなり、有機EL層や液晶層の駆動に支障が生じる。本発明の実施形態では、導電配線と、導電配線に電気的に接続する面との間に、導電性金属酸化物層を形成している。これにより、オーミックコンタクトが可能となる。この構造により、閾値電圧(Vth)のバラツキの少ない薄膜トランジスタを提供することができる。
第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12に用いる導電性金属酸化物を構成する材料としては、上述した材料を用いることができる。第1実施形態では、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫を、酸素をカウントしない元素の割合で(酸素をカウントしない元素の合計を100at%とする場合)で、インジウム(In)量を90at%とし、亜鉛(Zn)を8at%とし、錫(Sn)を2at%とした。第1導電性金属酸化物層11及び第2導電性金属酸化物層12の膜厚は規定されない。第1実施形態では、第1導電性金属酸化物層11の膜厚を30nmとし、第2導電性金属酸化物層12の膜厚を50nmとした。
(スパッタリング装置)
図5は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造に用いられるスパッタリングターゲットが設置されたスパッタリング装置を示す概略構成図である。
図5に示すように、スパッタリング装置200は、真空チャンバ201と、ホルダ202と、真空ポンプ203と、スパッタリングガス供給部204と、電源205と、バッキングプレート206と、スパッタリングターゲット207とを備える。ホルダ202には、成膜対象である基板208(第1基板1、第2基板2)が載置される。バッキングプレート206にはスパッタリングターゲット207が接合されており、真空チャンバ201内においてスパッタリングターゲット207は、ホルダ202(基板208)に対向するように配置されている。
真空チャンバ201、ホルダ202、真空ポンプ203、スパッタリングガス供給部204、及び電源205としては、公知の構成や材料が採用される。
スパッタリング装置200においては、基板208がホルダ202上に載置された状態で、スパッタリングが行われる。具体的に、真空ポンプ203を駆動することで、スパッタリングに必要な真空状態となるように、真空チャンバ201内が減圧され、真空チャンバ201の圧力が所定に維持される。この状態で、スパッタリングガス供給部204は、アルゴン等のスパッタリングガスを真空チャンバ201内に供給し、電源205がスパッタリングターゲット207に電圧を供給することで、スパッタリングターゲット207がスパッタされ、スパッタリングターゲット207を構成する金属がスパッタリングターゲット207から飛散し、基板208上に堆積する。
次に、スパッタリングターゲット207として、銅合金スパッタリングターゲットを用いる場合を説明する。
銅合金スパッタリングターゲットは、銅合金層13の形成に用いられ、銅に固溶する第1元素と、銅及び第1元素より電気陰性度が小さい第2元素とを含み、第1元素は亜鉛であり、第2元素はカルシウムである。ここで、銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とすると、第1元素の含有量は0.2at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、第2元素の含有量は0.2at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、第1元素及び前記第2元素を除く残部は銅を含有する。
(銅合金スパッタリングターゲット)
銅合金スパッタリングターゲットの製造方法は、特に限定されない。
なお、以下の説明では、「銅合金」はスパッタリングターゲットの銅合金を指し、「銅合金膜」あるいは「銅合金層」は、上記スパッタリング装置200を用いて基板208上に真空成膜された銅合金薄膜を指す。「銅」は、純度99.99%以上、不可避不純物0.01%未満の銅を指す。
銅合金スパッタリングターゲットの製造方法において、例えば、スパッタリングターゲット207の原料として、無酸素銅(純度99.99質量%)、亜鉛(純度99.99質量%)、カルシウム(純度99.9質量%)を用いる。無酸素銅、亜鉛、及びカルシウムの量は、上述した含有量となるように調整される。このように量が調整された原料を、高純度グラファイトルツボ内にて高周波で溶解し、次に、冷却されたカーボン鋳型に鋳造する。このような鋳造によって得られた鋳塊を必要に応じて熱間圧延し、例えば、5mm程度の厚みに加工、研磨する。
次に、金属インジウム等の低融点金属を接着金属として用い、銅製バッキングプレート206に、鋳塊を貼り合わせてスパッタリングターゲット207を得ることができる。
このスパッタリングターゲット207の表面に観察される銅合金のグレイン(結晶粒)の平均粒径は、10μmから80μmであることが好ましい。グレインの平均粒径が80μmを超えたスパッタリングターゲットを用いると、真空成膜におけるスパッタリング時に異常放電を生じやすく、製品の不良を招きやすい。グレインの平均粒径を10μm以下とすることも可能であるが、この場合、スパッタリングターゲット207の製造において溶融している鋳塊を急速冷却するか、あるいは、亜鉛の添加量を増やす必要がある。亜鉛の添加量を増やすことは、銅合金膜の電気抵抗率を増加させるため、好ましいことではない。急速冷却は、スパッタリングターゲットにひずみを生じやすい。
このため、スパッタリングターゲット207の原料(無酸素銅、亜鉛、及びカルシウム)を溶解する雰囲気、及び、溶融した原料をカーボン鋳型に鋳造する雰囲気は、極力、酸素を排除することが好ましい。
銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とする場合、カルシウムが5at%を超えると、スパッタリングターゲット207の鋳造性が悪化するので、カルシウムの含有量は5at%以下であることが好ましい。その一方、カルシウムが0.2at%未満では、第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12との間、かつ、その端部に露出する銅合金層13の表面における保護作用が低下する。この場合、第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12とによって銅合金層13が挟持された3層構成で形成された導電配線における信頼性の確保が不十分となる。
銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とする場合、亜鉛が5at%を超えると、銅合金層13の導電率を低下させるため、5at%以下が好ましい。その一方、亜鉛が0.2at%未満では、銅合金層13を第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12とで挟持する構成において、銅の拡散を抑制することができず、信頼性の確保が不十分となる。
図5に示すスパッタリング装置200では、一つの真空チャンバ201内に、一つのスパッタリングターゲット207が配置されている。その一方、一つの真空チャンバ201内に種類の異なる複数のスパッタリングターゲットが配置された構成が採用されてもよい。また、複数の真空チャンバがゲートバルブを介して接続され、複数の真空チャンバ内の各々において基板上に形成される膜の種類を異ならせてもよい。即ち、この場合、真空状態を維持したまま、基板上に、種類の異なる複数の膜を連続的に成膜することができる。
このような装置構成を有するスパッタリング装置を用いることで、真空状態を維持したまま、第1導電性金属酸化物層、銅合金層、第2導電性金属酸化物層を連続的に、基板上に成膜することができる。このようなスパッタリング成膜では、上述した組成を有する銅合金スパッタリングターゲット、及び、上述した組成を有す導電性金属酸化物ターゲットを用いる。このように成膜された第1導電性金属酸化物層、銅合金層、及び第2導電性金属酸化物層の3層膜は、酸性エッチャントを用いた公知のフォトリソグラフィの手法で一括してパターニングされ、導電配線を形成することができる。
(チャネル層)
次に、図3に戻り、半導体装置の薄膜トランジスタ39を構成するチャネル層について説明する。
第1実施形態において、チャネル層35を構成する酸化物半導体は、酸化インジウムと、酸化アンチモンと、酸化インジウム及び酸化アンチモンの各々の量より少ない量を有する酸化セリウムとを含む複合酸化物である。酸化物半導体において、酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の量は40at%以上である。
具体的に、本実施形態では、酸化物半導体において酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の量を約48at%とし、セリウムの量を約4at%としている。
なお、酸化アンチモンや酸化セリウムは、酸化ガリウムや酸化インジウムとは異なり、廉価に入手できるので産業価値が高い。
酸化物半導体の電気的特性や移動度を調整するために、チャネル層35の厚み方向に、例えば、酸化インジウム濃度や酸化セリウムの濃度を変えてもよい。あるいは酸化セリウムの濃度が異なる複数層を用いてチャネル層35を形成してもよい。あるいは、ソース電極等のウエットエッチング加工性を拡げるため、チャネル層35の表面層における組成を酸化セリウムリッチとすることで、チャネル層35の耐酸性を高めることができる。チャネル層35上にエッチングストッパ層を積層してもよいが、酸化セリウムを含む複合酸化物薄膜は、180℃以上のアニーリングで耐酸性の高い膜となるため、エッチングストッパ層の積極的な挿入は不必要である。この耐酸性は、複合酸化物膜中の酸化セリウムの濃度を上げることでも得られる。
図3に示す半導体装置では、260℃、1時間の熱処理で、酸化物半導体であるチャネル層の安定化と、第1導電性金属酸化物層11と銅合金層13と第2導電性金属酸化物層12との3層構成を有する導電配線の低抵抗化を行っている。
なお、図3に示すコンタクトホール45では、ITOである画素電極9と、第2導電性金属酸化物層12を上層とするドレイン電極37(導電配線)とが接触するように構成されている。画素電極9を形成するITO及び第2導電性金属酸化物層とは、類似の導電性金属酸化物で構成されており、オーミックコンタクトが可能である。仮に、図3に示す構成において、コンタクトホール45内で画素電極9と接触する面が、酸化された銅表面であったり、或いは、アルミニウムであったりする場合では、オーミックコンタクトが難しい。ITOとアルミニウムは物理的な密着性も不十分である。本発明の実施形態に係る半導体装置で採用されている新規な構成は、このようにオーミックコンタクトが可能な配線構造を提供することができる。
図3に示す薄膜トランジスタ39の構成においては、チャネル層35とソース電極36とが接触する半導体界面30、及び、チャネル層35とドレイン電極37とが接触する半導体界面30が形成されている。特に、このような半導体界面30においては、チャネル層35における電極側(ソース電極側、ドレイン電極側)に、コンタクト抵抗が低く、かつ、高移動度の導電性金属酸化物が実質的に形成されている。この結果、トランジスタ特性を向上させることができる。図3では、第1導電性金属酸化物層11が、低抵抗、かつ、高移動度の半導体層の役割を果たす。後述する第2実施形態では、第2導電性金属酸化物層12が低抵抗、かつ、高移動度の半導体層の役割を果たす。
(酸化物半導体)
酸化物半導体は、主材として酸化インジウム及び酸化アンチモンを含有する複合酸化物である。酸化インジウム及び酸化アンチモンのみの組成で酸化物半導体が形成されてもよいが、このような組成を有する酸化物半導体では酸素欠損が生じやすい。酸化物半導体の酸素欠損を減らすため、酸化状態の安定剤として、さらに、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ガリウムを酸化物半導体に添加することが好ましい。後述する理由により、特に、酸化セリウムが好ましい。
本発明の実施形態に係る酸化物半導体の一例として、酸化安定化剤として酸化セリウムを用いる場合について説明する。
本発明の実施形態に係る酸化物半導体は、主材として酸化インジウムと酸化アンチモンとを含有し、酸化安定剤として酸化セリウムを含有する。酸化物半導体において酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、例えば、インジウム及びアンチモンの各々の含有量は45at%以上49.8at%以下の範囲内にあり、セリウムの含有量は10at%以下0.4at%以上の範囲内にある。
本発明の実施形態において、「主材」とは、酸化インジウム及び酸化アンチモンを意味し、酸化物半導体において酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの含有量が各々40at%以上である複合酸化物を意味する。
その一方、例えば、酸化安定剤としてガリウムを用いる場合、ガリウムの含有量が0.4at%未満では、酸化物半導体の酸素欠損を十分に補うことができない。また、その含有量が10at%を超えると、出発材料である複合酸化物ターゲットの導電性が低くなり、DC(直流)スパッタリングによる成膜が難しくなる。
本発明の実施形態に係る酸化物半導体は、上述した銅合金層の電気抵抗率を改善する、180℃から340℃の低温アニーリングで結晶化させることができる。換言すれば、本発明の実施形態では、結晶化温度の低い複合酸化物を提供することができる。酸化物半導体の結晶化の有無を確認するには、低温アニーリングを行った後、TEM等の観察方法により少なくとも3nmより大きい結晶粒を観察できればよい。ただし、薄膜トランジスタに用いるチャネル層の厚みは、3nmから80nmと極めて薄い範囲から選択されるので、明確な結晶化を確認し難い。酸化インジウムと酸化アンチモンを主材とする本発明の実施形態に係る酸化物半導体において、上記低温アニーリング後に明確な結晶化を確認できない場合も、低温アニーリングにより実用的かつ半導体特性が安定した薄膜トランジスタを提供することができる。図3に示すチャネル長Lに相当するチャネル層の表面には、エッチングストッパ層を形成してもよい。低温アニーリングは、大気、あるいは酸素を含む雰囲気下で実施することが望ましい。
一般に、IGZOと呼称される、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛での酸化物半導体はその結晶化のため、400℃から700℃の高温アニーリングが必要である。
しかし、350℃を超えるアニーリングは、銅の拡散を増長し、場合により酸化物半導体の特性を劣化する可能性がある。銅配線がMo/Cu、Ti/Cuである従来構成では、400℃を超える熱処理では銅とチタン等との相互拡散が生じ、銅配線の電気抵抗率を悪化させることがある。酸化インジウムの融点は、1910℃とされ、酸化ガリウムの融点は1740℃とされ、酸化亜鉛の融点は1980℃とされており、いずれの場合も、融点が1700℃以上の高温域にある。このため、複合酸化物の結晶化温度も高いと推定される。このような高融点の酸化物と比較し、酸化アンチモンの融点は、656℃とされる。無機酸化物の結晶化温度は、経験的にその酸化物の融点の1/2あるいは2/3とされている。しかし、酸化錫を10Wt%程度含むITO膜(酸化インジウムと酸化錫の複合酸化物による透明導電膜)や酸化インジウム膜の結晶化温度は、200℃付近にある。従って、融点の低い酸化アンチモンを酸化インジウムと合わせ含む複合酸化物(酸化物半導体)とすることで、その複合酸化物の結晶化温度を下げることができる。なお、上述した酸化物の融点については、岩波理化学辞典第4版(岩波書店)の記載を用いた。
本発明の実施形態に係る酸化物半導体の組成は、酸化インジウムと酸化アンチモンを、約1:1の比率とすることができる。酸化インジウムと酸化アンチモンの比率は、20%の差異があってもよいが、酸化物半導体として1:1の比率に近いことが望ましい。酸化アンチモンは、酸化アンチモンを含有する複合酸化物ターゲットを用いた真空成膜(スパッタリング)で昇華しやすい。このため、出発材料である複合酸化物ターゲットの組成においては、酸化アンチモンリッチとすることで、真空成膜された複合酸化物の膜として、酸化インジウムと酸化アンチモンの比率を1:1に近づけることができる。
酸化インジウム及び酸化アンチモンのみの組成で酸化物半導体が形成されてもよいが、このような組成を有する酸化物半導体では酸素欠損が生じやすい。酸化物半導体の酸素欠損を減らすため、酸化状態の安定剤として酸化セリウムを添加することが好ましい。本発明の実施形態に係る酸化物半導体は、主材として酸化インジウムと酸化アンチモンとを含有し、酸化安定剤として酸化セリウムを含有する。酸化物半導体において酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の含有量は各々45at%以上49.8at%以下の範囲内にあり、セリウムの含有量は10at%以下0.4at%以上の範囲内にある。セリウムの含有量が0.4at%未満である場合では、酸素欠損を十分に補うことができない。セリウムの含有量が10at%を超える場合では、340℃以下のアニール温度で結晶化し難くなる。あるいは、セリウムの含有量が10at%を超えた複合酸化物ターゲットの導電性は大きく低下し、直流スパッタリングが難しくなる。
上記酸化物半導体で構成されるチャネル層の形成に用いられる複合酸化物ターゲットとして、酸化インジウム及び酸化アンチモンとは価数が異なる酸化錫をキャリアドーパントとして更に添加して、導電性の高いスパッタリングターゲットを用いてもよい。
セリウム(Ce)に関し、4f1-Ce(III)酸化状態と4f0-Ce(IV)酸化状態の相互変換が容易である特徴を活かして、酸化セリウム(CeO)は自動車排ガスの処理用途等の触媒として用いられている。言い換えれば、CeOはCe4+とCe3+との酸化還元電位差が小さく、その酸化還元反応が可逆的に起こりやすい。例えば、酸化雰囲気下では酸素を取り込みやすく、還元雰囲気下では酸素を放出しやすい。この相互変換は、模式的に例えば、

CeO <=> CeO2−x + “Ox”

と表現できる。“Ox”は、酸化力の強いスーパーオキシドと呼称してもよい。
また、複合酸化物中での挙動として、CeOは過剰な電子(キャリア)を取り込むことができると想定される。従って、酸化物半導体膜の電子濃度が過剰になることを防止しやすい。後述する実施形態では、9×1017cm−3以下の電子濃度のn型半導体が得られている。
本発明の実施形態に係る酸化物半導体は酸化インジウムと酸化アンチモンと酸化セリウムの複合酸化物である。例えば、このような複合酸化物で構成されたターゲットを用いるスパッタリング真空成膜時に、アルゴンベースガス中に若干量の酸素ガスを導入することで、酸素欠損の少ない酸化物半導体膜を得ることができる。例えば、大気中において180℃から340℃範囲のアニーリングを行うことで、さらに酸素欠損を減らし、かつ、耐酸性の高い酸化物半導体膜を得ることができる。真空成膜では、基板温度を室温(例えば、25℃)とし、チャネル層となる酸化物半導体膜のパターンを形成した後、アニールを施すことができる。
上記酸化物半導体は、上述したように薄膜トランジスタのチャネル層35として形成することができる。このチャネル層35が接触するゲート絶縁膜(第2絶縁層42)として機能する絶縁層材料としては、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化サマリウム、あるいはこれら材料を混合して得られた絶縁層等が採用される。
酸化セリウムは、誘電率が高く、かつ、セリウムと酸素原子の結びつきが強固である。このため、ゲート絶縁層として、酸化セリウムを含む複合酸化物を採用することは好ましい。複合酸化物を構成する酸化物の1つとして酸化セリウムを採用した場合にも、非晶質状態であっても高い誘電率を保持し易い。酸化セリウムは、酸化力を備えている。酸化セリウムは、酸素の貯蔵と放出を行うことが可能である。このため、酸化物半導体(チャネル層)と酸化セリウム(ゲート絶縁膜)とが接触する構造を採用することで、酸化セリウムから酸化物半導体へ酸素を供給し、酸化物半導体の酸素欠損を避けることができ、安定した酸化物半導体(チャネル層)を実現することができる。SiN等の窒化物をゲート絶縁層に用いる構成では、上記のような作用が発現しにくい。また、ゲート絶縁層(第2絶縁層42)の材料は、セリウムシリケート(CeSiOx)に代表されるランタノイド金属シリケートを含んでもよい。あるいは、ランタンセリウム複合酸化物、ランタンセリウムシリケート、さらにはセリウム酸化窒化物、セリウム酸化物を含んでもよい。
ゲート絶縁層の構造として、単層膜、混合膜、或いは多層膜が採用されてもよい。混合膜や多層膜を採用する場合、上述した絶縁層材料から選択された材料によって混合膜や多層膜を形成することができる。ゲート絶縁層の膜厚は、例えば、2nm以上300nm以下の範囲内から選択可能な膜厚である。酸化物半導体でチャネル層を形成する場合、酸素が多く含まれる状態(成膜雰囲気)で、チャネル層35と接触するゲート絶縁膜の界面を形成することができ、酸化物半導体層(チャネル層35)の酸素欠損を減らすことができる。
薄膜トランジスタ39を覆う絶縁層(第3絶縁層43)の上面を平坦化する効果を得るため、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を一部の絶縁層として用いてもよい。低誘電率材料(low−k材料)を用いることもできる。
(複合酸化物スパッタリングターゲット)
複合酸化物スパッタリングターゲットは、例えば、図5に示すスパッタリング装置200の装置構成においてバッキングプレート206に接合して用いられる。図5に示すスパッタリングターゲット207として、酸化物半導体の成膜に用いる複合酸化物スパッタリングターゲットを採用することで、複合酸化物を基板208(第1基板1、第2基板2)上に形成することができる。
以下に、複合酸化物スパッタリングターゲットについて説明する。
なお、以下のスパッタリングターゲットの製造方法に係る記載は、第1導電性金属酸化物層11及び第2導電性金属酸化物層12に用いる複合酸化物スパッタリングターゲットにも適用することができる。
本発明の実施形態に係る複合酸化物スパッタリングターゲットは、主材として酸化インジウム(In)と酸化アンチモン(Sb)を含有し、複合酸化物における酸素欠損を生じ難くする酸化安定剤として酸化セリウム(CeO)を含有する。ここで、「主材」とは、酸化インジウム及び酸化アンチモンの各々の含有割合が酸化セリウムより多いことを意味する。
本発明の酸化物半導体の形成に用いられる複合酸化物スパッタリングターゲットは、酸化物半導体において酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、例えば、インジウム及びアンチモンの各々の含有量は45at%以上49.8at%以下の範囲内にあり、セリウムの含有量は10at%以下0.4at%以上の範囲内にある。
この複合酸化物スパッタリングターゲットは、主材としてインジウムとアンチモンを含有し、酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の含有量は少なくとも40at%以上である。キャリアドーパントとして、酸化錫(SnO)や酸化チタン(TiO)等の酸化物が複合酸化物スパッタリングターゲットに添加されてもよい。酸化錫や酸化チタンを、例えば、0.2at%以上5at%以下加えることで、スパッタリングターゲットの導電性を調整することができる。
本発明の実施形態に係る複合酸化物スパッタリングターゲットの製造方法としては、酸化インジウムの粉末(純度99.99%)と、酸化アンチモンの粉末(純度99.9%)と、酸化セリウムの粉末(純度99.9%)を混合して成型し、焼結することにより製造することができる。本発明は、このような製造方法を限定されない。焼結は、例えば、常圧、酸素含有雰囲気中において、800℃から1600℃の温度範囲にて行うことができる。1600℃を超える高温では、酸化アンチモンが蒸散することがあるので1600℃以下が好ましい。800℃未満では、ターゲットとして十分な密度が得られないことがある。
上述した粉末(酸化インジウムの粉末、酸化アンチモンの粉末、及び酸化セリウムの粉末)は、純水とともに湿式法によってスラリーに分散させ、造粒し、成型し、急速乾燥させる。この後、プレス(例えば、冷間静圧プレス)を行う。更に、その後、上述した焼結温度で数十時間焼結させ、焼結体を得る。
この焼結体は、平面研削盤で研削され、さらに、ダイヤモンド砥石等で研磨される。研磨仕上げが終了した焼結体を、銅製バッキングプレートに、金属インジウム等の低融点金属を接着金属として、貼り合わせる。これによって、複合酸化物スパッタリングターゲットを得ることができる。
このような複合酸化物スパッタリングターゲットをスパッタリング装置200に設置して、スパッタリング成膜を行うことで、上述した組成を有する酸化物半導体を形成することができる。このような複合酸化物スパッタリングターゲットを用いた成膜方法は、後述する第2実施形態でも適用することができる。
(薄膜トランジスタを用いた回路の形成)
上述した導電性金属酸化物層あるいは酸化物半導体の膜を、所望パターンを有するようにパターニングすることで、抵抗素子を形成することができる。また、例えば、第2基板2上に半導体装置(薄膜トランジスタ)を形成する場合(例えば、後述する第2実施形態の場合等)、チャネル層としてポリシリコン半導体を用いる複数の薄膜トランジスタ(アクティブ素子)をマトリクス状に形成した後、絶縁層に形成されたスルーホールを介して、チャネル層として酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ(アクティブ素子)のマトリクスを積層することができる。
抵抗素子やn型薄膜トランジスタを用いた周知の技術で、インバータ回路やSRAMを構成することができる。同様に、ROM回路、NAND回路、NOR回路、フリップフロップ、シフトレジスタ等の論理回路を構成することができる。酸化物半導体は、漏れ電流が極めて少ないため、低消費電力の回路を形成することができる。酸化物半導体は、電気的な耐圧が高いため、パワー半導体として用いることができる。また、シリコン半導体にはないメモリー性(電圧保持性)を有するため、良好なメモリー素子を提供することができる。あるいは、異なる基板に、ポリシリコン半導体をチャネル層とするアクティブ素子のマトリクスを1層目に形成し、チャネル層として酸化物半導体を用いたアクティブ素子のマトリクスを2層目に形成する積層構成を採用することにより、上記メモリー素子や論理回路を形成することもできる。異なる基板に形成した回路と、本発明の実施形態に係る半導体装置を貼り合わせる、あるいはこれらの基板を複数層、重ねてもよい。
後述する第2実施形態で示すように、本発明の実施形態に係る表示装置には、タッチセンシング機能を持たせることができる。あるいは、液晶層や有機エレクトロルミネセンス発光層を駆動する薄膜トランジスタを具備する第1基板1(アレイ基板)と対向する、第2基板2にタッチセンシング機能を持たせることができる。換言すれば、第2基板2をタッチパネルとして用い、更に、上述した抵抗素子やn型薄膜トランジスタを用いてタッチセンシングを制御するタッチセンシング制御回路を第2基板2に形成してもよい。
本発明の実施形態に係る半導体装置は、例えば、液晶(Liquid Crystal)、発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)、有機EL(OLED: Organic Light Emitting Diode)を駆動するアクティブ素子として用いることができる。さらには、本発明の実施形態に係る半導体装置は、EMS(Electro Mechanical System)素子、MEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、IMOD(Interferometric Modulation )素子、RFID(Radio Frequency Identification)素子を駆動するアクティブ素子に適用することができる。また、本発明の実施形態に係る半導体装置は、タッチセンシングを制御するタッチセンシング制御回路にも適用することができる。
上述したアクティブ素子は、本発明の実施形態に係る電気抵抗率の低い導電配線で電気的に連携することで、電気信号のなまりが少なく、低消費電力の回路を形成することができる。電気信号のなまりとは、入力される信号の波形の崩れや遅延を意味する。
本発明の実施形態に係る半導体装置は、例えば、有機EL層や液晶層を駆動する薄膜トランジスタとして形成する場合、導電性金属酸化物層の表面が露出するコンタクトホール内において、画素電極(あるいは駆動電極)のITOとほぼ完全なオーミックコンタクトをとることができる。このオーミックコンタクトは、半導体特性の向上及び消費電力の低減に寄与する。一般的な薄膜トランジスタにおいては、モリブデンやチタンといった高融点金属層と画素電極のITOとが接触する構成が採用されることが多い。これら高融点金属は、表面に金属酸化物を形成するため、電気的なコンタクトでは難点を有する。なお、ITOは、アルミニウムとはオーミックコンタクトがとれず、アルミニウムとITOとの密着性も不十分である。
また、導電配線の構成として、従来技術であるCu/Tiの2層積層構成、あるいはTi/Cu/Tiの3層積層構成を採用する場合、Ti層に含まれやすい水素が酸化物半導体に悪影響を与えやすい。具体的には、Ti層から放出される水素が薄膜トランジスタのチャネル長に変化を与え、トランジスタ特性を変化させることがある。本発明の実施形態に係る導電配線は、Ti層を用いずに、銅合金層を導電性金属酸化物層で挟持する構成を有するため、水素に起因する悪影響は極めて少ない。
さらに、TiやMoが表層に位置する金属配線は、その表面に酸化チタンや酸化モリブデンが形成されやすい。コンタクトホール内における電気的接合においてショットキーバリアを形成した場合に、トランジスタの閾値電圧(Vth)に悪影響を与えることがある。
これに対し、本実施形態に係る導電配線によれば、このような悪影響が生じることがない。
(第2実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第2実施形態について説明する。
以下、本発明の第2実施形態に係る表示装置DSP2を、図6から図13を参照しながら説明する。
第2実施形態においては、特徴的な部分について説明し、例えば、通常の表示装置に用いられている構成要素と本実施形態に係る表示装置との差異がない部分については説明を省略する。
表示装置DSP2は、上述した薄膜トランジスタ39と同様の構成を有するスイッチングトランジスタ89と、スイッチングトランジスタ89によって制御される駆動トランジスタ139(薄膜トランジスタ)と、駆動トランジスタ139によって駆動される有機EL層を備える。表示装置DSP2は、インセル方式を用いたタッチセンシング機能を有する。ここで、「インセル方式」とは、タッチセンシング機能が表示装置に内蔵された表示装置、或いは、タッチセンシング機能を表示装置と一体化した表示装置を意味する。本発明に用いる技術用語として、形容詞としての「タッチセンシング」を単に「タッチ」と略称することがある。
(表示装置DSP2の機能構成)
図6は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置DSP2を構成する制御部(映像信号制御部、システム制御部、及びタッチセンシング制御部)及び表示部を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係る表示装置DSP2は、表示部110と、表示部110及びタッチセンシング機能を制御するための制御部120とを備えている。
制御部120は、公知の構成を有し、映像信号制御部121(第一制御部)と、タッチセンシング制御部122(第二制御部)と、システム制御部123(第三制御部)とを備えている。タッチセンシング制御部122とシステム制御部123との間には、アンテナユニット81〜84が設けられている。
後述するように、表示部110を構成する複数の画素の各々には、スイッチングトランジスタ89(図10参照)、駆動トランジスタ139(図8及び図10参照)、及び有機EL層が設けられている。
映像信号制御部121は、アレイ基板300(第1基板1)に設けられた上部電極(共通電極)を定電位とするとともに、アレイ基板300に設けられたゲート配線(後述、走査線)及びソース配線(後述、信号線)に信号を送り、電源線140(図8及び図10参照)に有機EL層を駆動する駆動電圧(電力)を供給する。映像信号制御部121がスイッチングトランジスタ89を選択することにより、駆動トランジスタ139が駆動する。駆動トランジスタ139から駆動電圧が有機EL層に印加され、アレイ基板300上で有機EL層が発光し、これにより、アレイ基板300上に画像が表示される。
タッチセンシング制御部122は、タッチセンシング駆動配線にタッチセンシング駆動電圧を印加し、タッチセンシング駆動配線とタッチセンシング検出配線との間に生じる静電容量の変化を検出し、タッチセンシングを行う。タッチセンシング制御部122は、後述する電力受電部15、電源制御部16、タッチ駆動制御部17、タッチ駆動スイッチング回路18、タッチ検知スイッチング回路19、タッチ信号送受信制御部20、及び検波・AD変換部130を含む。
システム制御部123は、映像信号制御部121及びタッチセンシング制御部122を制御し、有機EL層の発光と静電容量の変化の検出とを交互に、即ち、時分割で行うことが可能である。また、システム制御部123は、有機EL層の発光の周波数とタッチセンシング駆動周波数とを異なる周波数で、或いは、異なる電圧で、有機EL層を発光する機能を有してもよい。
このような機能を有するシステム制御部123においては、例えば、表示装置DSP2が拾ってしまう外部環境からのノイズの周波数を検知し、ノイズ周波数とは異なるタッチセンシング駆動周波数を選択してもよい。これによって、ノイズの影響を軽減することができる。また、このようなシステム制御部123においては、指やペン等のポインタの走査速度に合わせたタッチセンシング駆動周波数を選定することもできる。
図6に示す構成を有する表示装置DSP2において、制御部120は、下部電極88に表示用の駆動電圧を印加して有機EL層を発光させる機能と、タッチセンシング駆動配線とタッチセンシング検出配線との間に生じる静電容量の変化を検出するタッチセンシング機能とを併せ持つ。本発明の実施形態に係るタッチセンシング配線は、導電率の良い導電配線で形成することができるため、タッチセンシング配線の抵抗値を下げてタッチ感度を向上させることができる。
制御部120は、映像表示の安定期間、及び、映像表示後の黒表示安定期間の少なくとも一方の安定期間で、タッチセンシング駆動を行う機能を有することが好ましい。
図7は、本発明の第2実施態様に係る半導体装置を備えた表示装置DSP2を部分的に示す断面図である。
図8は、本発明の第2実施態様に係る表示装置DSP2を構成するアレイ基板(第1基板)を部分的に示す断面図であり、アレイ基板に形成されたアクティブ素子及び有機ELの発光層を説明する図である。
図7及び図8に示すように、表示装置DSP2は、接着層である透明樹脂層97を介してアレイ基板300(第1基板1)と表示装置基板100(第2基板2)とを貼り合わせた有機エレクトロルミネセンス(以下、有機EL)表示装置である。
本発明の実施形態に係る表示装置DSP2において、表示機能層は発光層92(有機EL層)及びホール注入層91である。第1基板1には、スイッチングトランジスタ89及び駆動トランジスタ139が設けられている(図8及び図10参照)。映像信号制御部121によって選択されたスイッチングトランジスタ89は、スイッチ信号を駆動トランジスタ139に供給し、これにより駆動トランジスタ139は、発光層92を駆動する。
平面視における表示装置DSP2の構造は、第1実施形態の表示装置DSP1と同様であり、画素開口部14の形状等は、第1実施形態と略同様である。第1実施形態と同様に、画素開口部14に赤画素R、緑画素G、及び青画素B等のカラーフィルタを配設してもよい。
第1実施形態と同様に、表示装置DSP2は、チャネル層として酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ、即ち、スイッチングトランジスタ89及び駆動トランジスタ139を具備し、さらに、銅合金層13を導電性金属酸化物層で挟持する導電配線を具備する。図7に示す表示装置DSP2は、タッチセンシング配線を備える表示装置基板100を有しており、タッチセンシング機能を有する。
(表示装置基板の断面構造)
図7に示すように、表示装置基板100の第2基板2上には、後述するように、矩形状の有効表示領域71と、有効表示領域71を囲む額縁領域72とを有するブラックマトリクスBMが設けられている。
ブラックマトリクスBM上には、下部絶縁層141が設けられ、下部絶縁層141上には、第1導電配線21(第5導電配線55)が設けられている。下部絶縁層141上には、第1導電配線21を覆うように、中間絶縁層142(ゲート絶縁層)が設けられている。中間絶縁層142上には、第2導電配線22(第6導電配線56)が設けられている。中間絶縁層142上には、第2導電配線22を覆うように、上部絶縁層143が設けられている。上部絶縁層143上には、透明樹脂層97が設けられており、透明樹脂層97は、表示装置基板100とアレイ基板300とを接合する。
なお、額縁領域72の一部には、ブラックマトリクスBMが形成されておらず、薄膜トランジスタ等を用いて、下部絶縁層141上にタッチ駆動スイッチング回路18等の回路が形成されている。このような回路の形成は、第1実施形態と同様である。第2基板2上に形成される絶縁層は、樹脂で形成されてもよく、必要に応じて、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等で形成してもよい。
(アレイ基板の断面構造)
図7及び図8に示すように、第1基板1上には、第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3絶縁層43が積層されている。第1絶縁層41上には、駆動トランジスタ139が設けられている。駆動トランジスタ139は、チャネル層135、ソース電極136、ドレイン電極137、及びゲート電極138を備え、いわゆるトップゲート構造を有する。チャネル層135は、第1実施形態に係るチャネル層35と同様の構成を有しており、酸化物半導体で形成されている。また、ソース電極136、ドレイン電極137、及びゲート電極138は、第1実施形態に係るソース電極36、ドレイン電極37、及びゲート電極38と同様の配線構造を有する導電配線で形成されている。また、第1実施形態と同様に、チャネル層135とソース電極136との間の界面、及び、チャネル層135とドレイン電極137との間の界面には、半導体界面30が形成されている。
図7及び図8には示されていないが、第1基板1上には、駆動トランジスタ139にスイッチ信号を供給するスイッチングトランジスタ89(図10参照)が設けられている。このスイッチングトランジスタ89は、上述した第1実施形態にかかる薄膜トランジスタ39と同様の構成を有している。スイッチングトランジスタ89のドレイン電極は、画素電極に接続されておらず、駆動トランジスタ139のゲート電極138に接続されている。
駆動トランジスタ139のソース電極136は、電源線140に接続されている。電源線140は、第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12とによって銅合金層13が挟持された3層構成を有する。電源線140とソース電極136とは、同じ導電配線の構造であり同一レイヤとして形成される。
駆動トランジスタ139のゲート電極138は、スイッチングトランジスタ89のドレイン電極と接続されている。このため、スイッチングトランジスタ89のドレイン電極から出力されるスイッチ信号によって駆動トランジスタ139の駆動が制御される。
また、ゲート電極138には、ゲート電極138の電位を維持するための保持容量(不図示)が設けられている。この保持容量は、ゲート電極138と電源線140との間に形成されている。
スイッチングトランジスタ89のドレイン電極とゲート電極138との間の接続構造、及び、上記の保持容量を構成する電極や配線においても、第1実施形態で説明した3層構成を有する導電配線が適用されている。
第1絶縁層41上にはスイッチングトランジスタ89を構成するソース電極36に接続されるソース配線67(第3導電配線23)、及び、駆動トランジスタ139を構成するソース電極136に接続される電源線140が設けられている。第1絶縁層41上には、第1絶縁層41、ソース配線67、ソース電極136、電源線140、及びドレイン電極137を覆うように第2絶縁層42が形成されている。第2絶縁層42上には、スイッチングトランジスタ89を構成するゲート電極38に接続されるゲート配線69(第4導電配線24)、及び、駆動トランジスタ139を構成するゲート電極138が設けられている。なお、アレイ基板300においては、ゲート電極138とチャネル層135とが対向するように配置されている。第2絶縁層42上には、第2絶縁層42、ゲート配線69、及びゲート電極138を覆うように第3絶縁層43が形成されている。第3絶縁層43上には平坦化層96が形成されている。チャネル層135は、酸化物半導体で形成されている。なお、ソース配線67と第3導電配線23とは、同じ導電配線の構造であり同一レイヤとして形成される。ゲート配線69と第4導電配線24とは同じ導電配線の構造であり同一レイヤとして形成される。
平坦化層96においては、駆動トランジスタ139を構成するドレイン電極137に対応する位置にコンタクトホール93が形成されている。また、平坦化層96上には、チャネル層135に対応する位置にバンク94が形成されている。断面視において互いに隣り合うバンク94の間の領域においては、即ち、平面視においてバンク94に囲まれた領域においては、平坦化層96の上面、コンタクトホール93の内部、及びドレイン電極137を覆うように下部電極88(画素電極)が形成されている。なお、下部電極88は、バンクの上面に形成されなくてもよい。
更に、下部電極88、バンク94、及び平坦化層96を覆うようにホール注入層91が形成されている。ホール注入層91上には、順に、発光層92、上部電極87、及び封止層109が積層されている。下部電極88は、銀あるいは銀合金層が導電性金属酸化物層によって挟持された構成を有する。
バンク94の材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラックフェノール樹脂等の有機樹脂を用いることができる。バンク94には、更に、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機材料を積層してもよい。
平坦化層96の材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド樹脂等を用いてもよい。低誘電率材料(low−k材料)を用いることもできる。
なお、視認性向上のため、平坦化層96や封止層109、あるいは、基板のいずれかが、光散乱の機能を有してもよい。あるいは、観察者OBの視認側、アレイ基板300の上方に光散乱層を形成してもよい。
(表示装置基板の平面構造)
図9は、本発明の第2実施態様に係る表示装置を観察者OBから見た図であって、表示装置基板(第2基板)に形成された、第1導電配線、第2導電配線、第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、制御部等の回路を示す平面図である。なお、図9は、観察者OBから表示装置基板100を見た平面図であるが、遮光性を有するブラックマトリクスBMを透視するように表示装置基板100の構成要素が示されている。
図9に示すように、表示装置基板100における第2基板2上(アレイ基板300に対向する面上)には、第1導電配線21、第2導電配線22、第1アンテナユニット81、第2アンテナユニット82、電力受電部15、電源制御部16、タッチ駆動制御部17、タッチ駆動スイッチング回路18、タッチ検知スイッチング回路19、タッチ信号送受信制御部20、及び検波・AD変換部130が設けられている。第1アンテナユニット81、第2アンテナユニット82、タッチ駆動スイッチング回路18、タッチ検知スイッチング回路19等の回路を電気的に接続する引き回し配線は、第1導電配線21の一部及び第2導電配線22の一部が用いられている。
ブラックマトリクスBMは、矩形状の有効表示領域71と、有効表示領域71を囲む額縁領域72とを具備する。図9に示される電力受電部15、電源制御部16、タッチ駆動制御部17、タッチ駆動スイッチング回路18、タッチ検知スイッチング回路19、タッチ信号送受信制御部20、検波・AD変換部130等は、本発明の「タッチセンシングを制御する回路」を意味する。また、第1導電配線21の一部と、第2導電配線22の一部と、第1アクティブ素子は、タッチセンシングを制御する回路を構成する。電力受電部15は、受信電圧を平滑化、定電圧化し、タッチ駆動電圧として電源制御部16に出力する。
なお、第1導電配線21、第2導電配線22、第1アンテナユニット81、第2アンテナユニット82、タッチ信号送受信制御部20、タッチ駆動スイッチング回路18、タッチ検知スイッチング回路19等は、必ずしもブラックマトリクスBM上に配設されなくてもよい。この場合、例えば、第1導電配線21及び第2導電配線22を、タッチセンシング配線として有効表示領域内のブラックマトリクスBM上に形成し、額縁の外側のブラックマトリクスBMが形成されていないガラス面上にタッチ信号送受信制御部20、タッチ駆動スイッチング回路18、タッチ検知スイッチング回路19等を形成することができる。なお、第1導電配線21と第2導電配線22の一部は、下部絶縁層141を介して、第1アンテナユニット81や第2アンテナユニット82の、2層の導電配線構造に適用することができる。第1アンテナユニット81及び第2アンテナユニット82は、巻き方向が互いに逆であり、かつ、巻き数が2以上のループアンテナ対を含む。
第1基板1と対向する第2基板2の面には、X方向(第1方向)に延在する複数の第1タッチセンシング配線(第1導電配線21)と、Y方向(第2方向)に延在する複数の第2タッチセンシング配線(第2導電配線22)が設けられている。第1導電配線21及び第2導電配線22は、上述した3層構成を有する。
第1タッチセンシング配線と第2タッチセンシング配線間には、透明樹脂である中間絶縁層142が配設されている。本発明の実施形態に係るタッチセンシング配線は、銅合金層を導電性金属酸化物層で挟持する導電配線である。
これらタッチセンシング配線は、タッチセンシングを制御する回路の構成要素として、チャネル層として酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタと第5導電配線55と第6導電配線56とを含む。なお、第5導電配線55と第1タッチセンシング配線(第1導電配線21)とは、同じ導電配線の構造であり同一レイヤとして形成される。第6導電配線56と第2タッチセンシング配線(第2導電配線22)とは、同じ導電配線の構造であり同一レイヤとして形成される。
(アレイ基板の平面構造)
図10は、本発明の第2実施態様に係る表示装置を構成するアレイ基板(第1基板)に形成された、第3アンテナユニット、第4アンテナユニット、ソース信号スイッチング回路、ゲート信号スイッチング回路、有機ELを駆動する駆動トランジスタ139、駆動トランジスタ139を駆動するスイッチングトランジスタ89等の回路を示す平面図である。
図10に示すように、アレイ基板300における第1基板1上(表示装置基板100に対向する面上)には、第3アンテナユニット83、第4アンテナユニット84、ソース信号スイッチング回路26、ゲート信号スイッチング回路27、電力送電部28、信号送受信部29等の回路、及びFPCが設けられている。アレイ基板300において画素開口部14に相当する位置には、薄膜トランジスタとして機能するスイッチングトランジスタ89及び駆動トランジスタ139が設けられている。第3アンテナユニット83及び第4アンテナユニット84は、巻き方向が互いに逆であり、かつ、巻き数が2以上であるループアンテナ対を含む。
ソース信号スイッチング回路26、ゲート信号スイッチング回路27、電力送電部28、信号送受信部29等の回路は、第1基板1の有効表示領域外に形成されている。これら回路を駆動する電源は、FPCを経由して、図示されていないバッテリー、あるいはアダプターを介して100V等の外部電源と接続されている。
表示装置基板100とアレイ基板300とを貼り合わせる際には、第1アンテナユニット81と第3アンテナユニット83は、平面視において、重なるように配置される(第1重畳部51)。また、第2アンテナユニット82と第4アンテナユニット84は、平面視において、重なるように配置される(第2重畳部52)。第1重畳部51は、タッチセンシング信号の送受信機能を有し、第2重畳部52は、電力信号の受給機能を有する。第1重畳部51を形成する第1アンテナユニット81と第3アンテナユニット83、及び、第2重畳部52を形成する第2アンテナユニット82と第4アンテナユニット84は、額縁領域72内に配置されている。
図10に示す例では、FPCから表示部110の周囲領域に向けて延在する電源線140が設けられており、電源線140は、表示部110のY方向における端部の外側領域(図10における上側)において、X方向に延在している。さらに、X方向に延在する電源線140は、Y方向に延在する複数の配線に分岐されている。Y方向に延在する電源線140は、同じく、Y方向に向けて並ぶ複数の画素に設けられた駆動トランジスタ139のソース電極136に接続されている。
なお、図10においては、各画素に1つの薄膜トランジスタが示されているが、薄膜トランジスタの個数を示しておらず、上述したように、スイッチングトランジスタ89と、スイッチングトランジスタ89によって制御される駆動トランジスタ139とが1つの画素内に設けられている。
映像信号制御部121がスイッチングトランジスタ89を選択すると、選択されたスイッチングトランジスタ89は、駆動トランジスタ139のゲート電極138にスイッチ信号を送り、駆動トランジスタ139が駆動する。駆動トランジスタ139の駆動により、ソース電極136及びドレイン電極137を介して、電源線140(駆動トランジスタ139のソース配線)から供給された駆動電圧が下部電極88(画素電極)に印加される。即ち、駆動電圧が有機EL層に印加され、アレイ基板300上で有機EL層が発光し、これにより、アレイ基板300上に画像が表示される。
(アンテナユニット)
次に、図11〜図13を参照し、上述したアンテナユニットの具体的な構造について説明する。ここで、アンテナユニットとは、図11に示すように、1以上(図11では、逆巻きのループアンテナの対)のアンテナを意味する。また、アンテナは、ループアンテナに限られない。
図11は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置DSP2を構成する表示装置基板100に形成された第1アンテナユニットを拡大して示す部分平面図である。
図12は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置DSP2を構成する表示装置基板100に形成された第1アンテナユニットを示す図であって、図11のA−A’線に沿う断面図である。
図13は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を備える表示装置DSP2を構成する表示装置基板100に形成された第1アンテナユニットと、アレイ基板300に形成された第3アンテナユニットの重なりを示す斜視図である。
以下の説明では、第1アンテナユニット81、第2アンテナユニット82、第3アンテナユニット83、及び第4アンテナユニット84のうち、代表として、第1アンテナユニット81の構造について説明するが、他のアンテナユニットにおいても、同様の構造を採用することができる。また、以下の説明では、単に「アンテナユニット」と称する場合がある。
本発明における「アンテナユニット」とは、タッチセンシング信号の送受信や電力の受電及び給電等の目的で、1以上のアンテナが基板上に配置された構成を意味する。アンテナユニットの構成として、アンテナがループ(同一平面に形成されたコイル、螺旋状のパターン)形状のアンテナである場合、互いに逆向き方向に巻かれた2つのアンテナを隣接させた構成が、通信の安定性確保の観点で好ましい。逆向き方向に巻かれたアンテナを交互に2以上隣接させて、そのうち1組のアンテナを選択して用いることも可能である。
なお、第2実施形態において、ループアンテナは、表示装置DSP2の外部のアンテナ、例えば、ICカードに具備されるアンテナと通信する機能を有してもよい。
図13に示すように、表示装置基板100の第1アンテナユニット81とアレイ基板300の第3アンテナユニット83は、平面視、同じループアンテナ形状であり、位置が整合され、重なっている(第1重畳部51)。同様に、表示装置基板100の第2アンテナユニット82とアレイ基板300の第4アンテナユニット84は、平面視、同じループアンテナ形状であり、位置が整合され、重なっている(第2重畳部52)。
第1重畳部51及び第2重畳部52において、アンテナを形成する導電配線の線幅が例えば1μmから20μmといった細い線幅であること、及び、狭い額縁領域72内にアンテナユニットを収める必要があることから、アンテナの位置精度は、±3μm以内の精度が好ましい。位置整合の精度が高くなると、信号の送信や受信を効率の良く行うことが可能となる。2以上のループアンテナを並列に接続することで、アンテナの小型化と、非接触データ転送の高速化が可能となる。なお、図11〜図13においては、第1アンテナユニット81と第2アンテナユニット82の各々と、第3アンテナユニット83と第4アンテナユニット84の各々のとの共振回路を形成するためのコンデンサや他の部品の図示は省略されている。
アンテナを形成する導電配線の構造としては、上述した銅合金層を導電性金属酸化物層で挟持する3層構成の導電配線を用いることができる。例えば、第1アンテナユニット81と第2アンテナユニット82は、第1導電配線21(あるいは第5導電配線55)と同じレイヤで同じ工程で形成することができる。第3アンテナユニット83と第4アンテナユニット84は、第3導電配線23(あるいは第4導電配線24)と同じレイヤで同じ工程で形成することができる。
図11に示すように、第1アンテナユニット81、第2アンテナユニット82、第3アンテナユニット83、及び第4アンテナユニット84の各々は、逆巻きのループアンテナの対で構成されている。逆巻きのループアンテナの磁界の発生方向が逆方向となることで、ノイズ発生の少ない、安定した送受信が可能となる。換言すれば、逆巻きのループアンテナには、それぞれ方向の異なる磁界形成により外部磁界の遮蔽効果が得られ、外部ノイズの影響を低減できる。なお、逆巻きとは、例えば、図11に示す対のループアンテナ164、165の巻き方向が、平面視、中心線116で線対称となることを意味する。
ループアンテナの巻き数は、2以上、あるいは3以上が好ましい。アンテナの外形が5mm以下と小さいサイズの場合、巻き線数を3以上20以下とすることができる。第2実施形態においては、第1アンテナユニット81、第2アンテナユニット82、第3アンテナユニット83、及び第4アンテナユニット84の巻き数は、いずれも、3巻とした。ここで、巻き数が2以上のループアンテナの平面視形状は、同一平面上で旋回するに従い中心に近づく曲線となる。線間がほぼ等間隔となるアルキメデスの螺旋を典型的に例示できる。
外部(駆動回路、商用電源、一般的な100V等の外部電源)から受けるノイズの影響を減らすため、本実施形態では図11や図13に示す略U字形状の導体パターン25A、25Bでアンテナユニット81、82、83、84を平面的に囲っている。アンテナを形成する導電配線の線幅は、6μmであり、位置精度(アライメント精度)は、±2μm以内とした。これら導電配線の構造は、第1実施形態と同様、銅合金層を導電性金属酸化物層で挟持する3層構成である。
第1アンテナユニット81と第3アンテナユニット83とが重なる第1重畳部51では、例えば、CPUからのタッチ駆動信号の受信、あるいは、タッチ検知スイッチング回路19からタッチ信号送受信制御部20を経て出力されるタッチ検出信号の送信が行われる。タッチ駆動信号は、タッチ駆動制御部17を経てタッチ駆動スイッチング回路18を駆動する。
第2アンテナユニット82と第4アンテナユニット84との重なり部(第2重畳部52)では、例えば、第4アンテナユニット84から共振周波数の電磁波の発生により生じた電力を第2アンテナユニット82が受電する。電力受電部15は、受信電圧を平滑化、定電圧化し、タッチ駆動電圧として電源制御部16に出力する。
図12に示すように、第2基板2上にブラックマトリクスBMが形成され、ブラックマトリクスBM上に下部絶縁層141が形成され、下部絶縁層141上に第1アンテナユニット81及び第2アンテナユニット82が形成されている。また、図7及び図9にも示されているように、下部絶縁層141上に、第1導電配線21、第5導電配線55、第1アンテナユニット81、及び第2アンテナユニット82が形成されている。即ち、第1導電配線21、第5導電配線55、第1アンテナユニット81、及び第2アンテナユニット82は、同一のレイヤに位置する。また、導体パターン25Aも、下部絶縁層141上に形成されている。
より具体的に説明すると、下部絶縁層141上に、第1導電性金属酸化物層11、銅合金層13(あるいは銅層)、及び第2導電性金属酸化物層12(3層構成の導電層)が成膜された後、周知のフォトリソグラフィの手法で、3層構成の導電層をパターニングすることで、第1導電配線21、第5導電配線55、第1アンテナユニット81、第2アンテナユニット82、及び導体パターン25Aの各々のパターンが形成される。即ち、本発明における「同一のレイヤに位置する」とは、3層構成の導電層を基板上に形成した後に、パターニングによって、各々の配線層(導電配線、アンテナユニット等)を同一層として配設することを意味しており、配線やアンテナ等が、同じ層構成、同じ材料で、同一のレイヤに設けられていることを意味する。
上記のように、同じ層構成の導電配線(第1導電配線21)で形成された第1アンテナユニット81及び第2アンテナユニット82の各々は、アンテナの内側に位置する第1接続用パッド60、61上に設けられたスルーホール50を介して、異なる導電配線(第2導電配線22)に電気的に接続されている。第1導電配線21と第2導電配線22との間には、中間絶縁層142が介在されている。
同様に、同じ層構成の導電配線(第3導電配線23)で形成された第3アンテナユニット83及び第4アンテナユニット84の各々は、アンテナの内側に位置する第2接続用パッド62、63上に設けられたスルーホールを介して、異なる導電配線(第4導電配線24)に電気的に接続されている。第3導電配線23と第4導電配線24との間には、第2絶縁層42が介在されている。
第1導電配線21(第5導電配線55)、第2導電配線22(第6導電配線56)、第3導電配線23、及び第4導電配線24は、いずれも銅合金層を第1導電性金属酸化物層と第2導電性金属酸化物層で挟持する3層構成を有する。
第2実施形態において、チャネル層35に用いる酸化物半導体は、In:Sb:Ce=1:1:0.06の元素比の複合酸化物を用い、280℃の低温アニールを行い、チャネル層とした。第2実施形態における銅合金層には、Cu:Ca:Zn=97:2.5:0.8の元素比の銅合金を用いた。上記低温アニール後、第2実施形態の銅合金層の電気抵抗率は、3.1μΩcmであった。
第2実施形態に係る表示装置DSP2では、発光層として有機EL層が用いられている。本発明は、第2実施形態に示された構造に限定されない。有機EL層に代えて、LEDチップを備えたLED表示装置を構成してもよい。例えば、LEDチップとしては、n型GaNで形成された電極とLED反射電極とが同じ面側に並ぶ水平型と呼称されるLEDチップが挙げられる。また、図8に示すバンク94の間に、ホール注入層91や発光層92等の有機ELに係るレイヤを形成せず、反射電極である下部電極88にLEDチップを直接的に載置してもよい。LEDチップの裏面や側面に導体を形成し、上部電極87にLEDチップを電気的に接続することができる。この場合、導体は、n型GaNからの電極と導通する。基板に対してLEDチップを載置する方法としては、サファイアやGaN等の基板上に、例えば、n型GaN/発光層/p型GaN/LED反射電極(Ag合金等の薄膜)をこの順で積層した構成のLEDチップをフェースダウンによって載置すればよい。この場合、LED反射電極及び下部電極88は、電気的に接合される。これらLEDチップは、赤色発光、緑色発光、青色発光等の3種類を、各々、バンク94の間に位置する画素開口部に配列させることができる。あるいは、各々、バンク94の間に位置する画素開口部に青色発光のLEDチップを載置し、画素開口部上に直接的あるいは間接的に量子ドット等を含む波長変換層を、各々配置してもよい。波長変換層は、例えば、青色発光光を緑色発光光に変換する、或いは、青色発光光を赤色発光光に変換する。また、青色発光LEDの他に赤色発光LEDや赤外発光LEDを別途載置してもよい。
上述した実施形態によれば、銅合金層13が第1導電性金属酸化物層11と第2導電性金属酸化物層12とによって挟持された3層構成を有するとともに高い導電性を備えた導電配線を形成することができる。また、この導電配線と電気的に接続された薄膜トランジスタを備えた半導体装置を実現することができる。さらに、微小なループアンテナやタッチセンシング配線等を具備する半導体装置、及び、このような半導体装置を備えた表示装置を提供することができる。
例えば、上述の実施形態に係る半導体装置、あるいは表示装置は、種々の応用が可能である。上述の実施形態に係る表示装置が適用可能な電子機器としては、携帯電話、携帯型ゲーム機器、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、電子書籍、イメージセンサ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤ等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、自動販売機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、個人認証機器、光通信機器等が挙げられる。上記の各実施形態は、自由に組み合わせて用いることができる。
本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
なお、第1実施形態の表示装置DSP1において、第2実施形態で示すアンテナユニット(ループアンテナ)およびタッチセンシング配線を、第2基板2に形成することができる。これら、アンテナユニットやタッチセンシング配線は、銅合金層を第1導電性金属酸化物層と第2導電性金属酸化物層で挟持する3層構成で形成することができる。
1 第1基板
2 第2基板
3 半導体装置
4 液晶層
8 透明電極
9 画素電極
11 第1導電性金属酸化物層
12 第2導電性金属酸化物層
13 銅合金層
14 画素開口部
15 電力受電部
16 電源制御部
17 タッチ駆動制御部
18 タッチ駆動スイッチング回路
19 タッチ検知スイッチング回路
20 タッチ信号送受信制御部
21 第1導電配線
22 第2導電配線
23 第3導電配線
24 第4導電配線
25A、25B 導体パターン
26 ソース信号スイッチング回路
27 ゲート信号スイッチング回路
28 電力送電部
29 信号送受信部
30 半導体界面
31 ソース配線
35、135 チャネル層
36、136 ソース電極
37、137 ドレイン電極
38、138 ゲート電極
39 薄膜トランジスタ
41 第1絶縁層
42 第2絶縁層
43 第3絶縁層
45、93 コンタクトホール
50 スルーホール
51 第1重畳部
52 第2重畳部
55 第5導電配線
56 第6導電配線
60、61 第1接続用パッド
62、63 第2接続用パッド
67 ソース配線
69 ゲート配線
71 有効表示領域
72 額縁領域
81 第1アンテナユニット(アンテナユニット)
82 第2アンテナユニット(アンテナユニット)
83 第3アンテナユニット(アンテナユニット)
84 第4アンテナユニット(アンテナユニット)
87 上部電極
88 下部電極
89 スイッチングトランジスタ(薄膜トランジスタ)
91 ホール注入層(有機EL層)
92 発光層(有機EL層)
94 バンク
96 平坦化層
97 透明樹脂層
100 表示装置基板
109 封止層
110 表示部
116 中心線
120 制御部
121 映像信号制御部
122 タッチセンシング制御部
123 システム制御部
130 検波・AD変換部
139 駆動トランジスタ(薄膜トランジスタ)
140 電源線
141 下部絶縁層
142 中間絶縁層
143 上部絶縁層
164、165 ループアンテナ
200 スパッタリング装置
201 真空チャンバ
202 ホルダ
203 真空ポンプ
204 スパッタリングガス供給部
205 電源
206 バッキングプレート
207 スパッタリングターゲット
208 基板
300 アレイ基板
R 赤画素
G 緑画素
B 青画素
BM ブラックマトリクス
OB 観察者
OC オーバーコート層
DSP1、DSP2 表示装置

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板の一の面に設けられた導電配線と、
    前記導電配線に電気的に接続された薄膜トランジスタと、
    を具備し、
    前記導電配線は、銅層あるいは銅合金層が第1導電性金属酸化物層と第2導電性金属酸化物層とによって挟持された3層構成を有し、
    前記第1導電性金属酸化物層及び前記第2導電性金属酸化物層は、酸化インジウムを含み、
    前記薄膜トランジスタは、酸化物半導体で構成されたチャネル層を有し、
    前記酸化物半導体は、酸化インジウムと、酸化アンチモンと、前記酸化インジウム及び前記酸化アンチモンの各々の量より少ない量を有する酸化セリウムとを含む複合酸化物であり、
    前記酸化物半導体において、酸素をカウントしない元素の合計を100at%とすると、インジウム及びアンチモンの各々の量は40at%以上である半導体装置。
  2. 前記酸化物半導体において、
    酸素をカウントしない、インジウム、アンチモン、及びセリウムの合計を100at%とすると、
    インジウム及びアンチモンの各々の量は45at%以上49.8at%以下の範囲内にあり、セリウムの量は10at%以下0.4at%以上の範囲内にある、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記薄膜トランジスタは、
    前記チャネル層が接触するとともに、少なくとも酸化セリウムを含む絶縁膜を有する、請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記銅合金層は、銅に固溶する第1元素と、銅及び前記第1元素より電気陰性度が小さい第2元素とを含み、
    前記第1元素及び前記第2元素は、銅に添加する場合の比抵抗上昇率が1μΩcm/at%以下の元素であり、
    前記銅合金層の比抵抗は、1.9μΩcmから6μΩcmの範囲内にある、請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記銅合金層において、前記第1元素は亜鉛であり、前記第2元素はカルシウムであり、
    銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とすると、
    前記銅合金層は、
    0.2at%以上5.0at%以下の範囲内で前記第1元素を含有し、
    0.2at%以上5.0at%以下の範囲内で前記第2元素を含有し、
    残部として銅を含有する、請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記第1導電性金属酸化物層及び前記第2導電性金属酸化物層は、
    主たる導電性金属酸化物として酸化インジウムを含有するとともに、酸化アンチモン、酸化亜鉛、及び酸化ガリウムから構成される群より選択される1種以上を含有する導電性金属酸化物である、請求項1に記載の半導体装置。
  7. 請求項1に記載の半導体装置を備える表示装置。
  8. 銅層あるいは銅合金層が第1導電性金属酸化物層と第2導電性金属酸化物層とによって挟持された3層構成を有する導電配線で形成されたアンテナを備え、
    前記第1導電性金属酸化物層及び前記第2導電性金属酸化物層は、酸化インジウムを含む、請求項7に記載の表示装置。
  9. 請求項1に記載の半導体装置の製造に用いられるスパッタリングターゲットであって、
    主材として酸化インジウム及び酸化アンチモンを含有し、かつ、安定化剤として酸化セリウムを有する複合酸化物を含有し、
    前記複合酸化物において、酸素をカウントしない、インジウム、アンチモン、及びセリウムの合計を100at%とすると、
    インジウム及びアンチモンの各々の量は45at%以上49.8at%以下の範囲内にあり、セリウムの量は10at%以下0.4at%以上の範囲内にある、スパッタリングターゲット。
  10. 請求項1に記載の半導体装置を構成する銅合金層の形成に用いられるスパッタリングターゲットであって、
    銅に固溶する第1元素と、銅及び前記第1元素より電気陰性度が小さい第2元素とを含み、
    前記第1元素は亜鉛であり、前記第2元素はカルシウムであり、
    銅、亜鉛、及びカルシウムの合計を100at%とすると、
    前記第1元素の含有量は0.2at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、
    前記第2元素の含有量は0.2at%以上5.0at%以下の範囲内にあり、
    前記第1元素及び前記第2元素を除く残部は銅を含有する、スパッタリングターゲット。
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