《1》実施の形態1
《1−1》構成
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置100の構成を概略的に示す図である。画像形成装置100は、例えば、電子写真法を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するプリンタである。画像形成装置100は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)及びシアン(C)の画像を形成する画像形成ユニット(画像形成部)1K,1Y,1M,1Cを有している。画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cは、媒体搬送路42に沿って上流側(図1における右側)から下流側(図1における左側)に向かう方向に順に配列(タンデム配列)されている。また、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cは、画像形成装置100の装置本体101に対して着脱可能に取り付けられている。なお、図1には、4台の画像形成ユニットが示されているが、画像形成ユニットの数は、1台から3台、及び、5台以上のいずれかであってもよい。また、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cの配列順は、図示の例に限定されない。
画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cは、印刷データに基づく露光によって形成された静電潜像を担持する感光体ドラム(像担持体)4K,4Y,4M,4Cをそれぞれ有している。感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの各々は、導電性支持体の表面に感光層を設けたドラム状の部材である。感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの各々は、図1において、時計回りに回転する。
感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの周囲には、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面を一様に帯電させる帯電ローラ(帯電部材)5K,5Y,5M,5Cと、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に光を照射して静電潜像を形成する光ヘッド(露光装置)3K,3Y,3M,3Cと、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cに形成された静電潜像にトナー(現像剤)を付着させてトナー像(現像剤像)を形成する現像ローラ(現像剤担持体)6K,6Y,6M,6Cと、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に残留するトナーを掻き取るクリーニングブレード(除去部)11K,11Y,11M,11Cとが備えられている。
また、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cには、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cにトナーを供給する供給ローラ(供給部材)9K,9Y,9M,9Cと、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cの表面に形成されるトナー層の厚さを規制する現像ブレード(現像剤規制部材)8K,8Y,8M,8Cとが設けられている。これら現像ローラ6K,6Y,6M,6C、供給ローラ9K,9Y,9M,9C、及び現像ブレード8K,8Y,8M,8Cは、現像部(現像ユニット)2K,2Y,2M,2Cを構成している。現像部2K,2Y,2M,2Cには、各色のトナーを補給するためのトナーカートリッジ(現像剤収容体)7K,7Y,7M,7Cが着脱可能に取り付けられている。
画像形成装置100は、記録媒体(印刷用紙)41を収納する給紙カセット(媒体収容部)43と、給紙カセット43内の記録媒体41を送り出すホッピングローラ(給紙手段)40とを備えている。給紙カセット43は、積載された複数の記録媒体41を収容するものであり、画像形成装置100の装置本体101に着脱可能に取り付けられている。ホッピングローラ40は、給紙カセット43内の一番上の記録媒体41の表面に接触するように配置され、回転することにより記録媒体41を1枚ずつ媒体搬送路42に送り出す。
媒体搬送路42に沿ってホッピングローラ40の下流側には、レジストローラ対(レジストローラ44,45)と、搬送ローラ対(搬送ローラ46,47)とが配置されている。レジストローラ44,45は、記録媒体41がレジストローラ44,45のニップ部に到達してから一定の待機時間を経て回転を開始することにより、記録媒体41のスキューを矯正しつつ、搬送ローラ46,47に向けて記録媒体41を搬送する。搬送ローラ46,47は、レジストローラ44,45から搬送されてきた記録媒体41を、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cに向けて搬送する。
また、画像形成装置100は、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cのそれぞれと搬送ベルト18を挟んで対向するように、転写ローラ(転写部材)10K,10Y,10M,10Cを備えている。転写ローラ10K,10Y,10M,10Cには、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cに形成されたトナー像をクーロン力により記録媒体41に転写するための転写電圧が印加される。
媒体搬送路42に沿って転写ローラ10K,10Y,10M,10Cの下流側及び上流側には、ベルト駆動ローラ17及びベルト従動ローラ16がそれぞれ配置されている。ベルト駆動ローラ17及びベルト従動ローラ16には、無端状ベルトである搬送ベルト18が張架されている。
搬送ベルト18は、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cと転写ローラ10K,10Y,10M,10Cとの間を通過するように設けられている。搬送ベルト18は、また、表面に記録媒体41を吸着保持することができるような構成(材料)を有している。ベルト駆動ローラ17は、搬送ベルト18を走行させるローラであり、ベルト従動ローラ16は、搬送ベルト18に一定の張力を付与するローラである。ベルト駆動ローラ17が回転することにより、搬送ベルト18が走行し、搬送ベルト18は、記録媒体41を保持して搬送する。
また、搬送ベルト18の下側には、センサ22が対向配置されている。センサ22は、搬送ベルト18の表面に印刷された印刷パターンの濃度を読み取るための光学センサである。
媒体搬送路42に沿って配列された画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cの下流側には、定着器50が設けられている。定着器50は、記録媒体41を加熱するためのヒータ(例えば、ハロゲンランプ)を内蔵した加熱ローラ19と、加熱ローラ19との間で記録媒体41を加圧するバックアップローラ(加圧ローラ)20とを備えている。定着器50は、トナー像が転写された記録媒体41に熱及び圧力を加えることで、トナー像を記録媒体41に定着させる。
媒体搬送路42に沿って定着器50の下流側には、トナー像が定着した記録媒体41を排出するための排出ローラ群48,49が配置されている。また、画像形成装置100の上部カバーには、排出ローラ群48,49によって排出された記録媒体41を載置するためのスタッカ部103が設けられている。
図2は、図1に示される画像形成ユニット1(1K,1Y,1M,1C)の構成を概略的に示す図である。なお、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cは、使用されるトナー以外の点において、互いに同じ構成を有している。このため、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cの各々は、画像形成ユニット1とも称される。また、現像部2K,2Y,2M,2Cの各々は、現像部2とも称される。また、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの各々は、感光体ドラム4とも称される。帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cの各々は、帯電ローラ5とも称される。光ヘッド3K,3Y,3M,3Cの各々は、光ヘッド3とも称される。現像ローラ6K,6Y,6M,6Cの各々は、現像ローラ6とも称される。供給ローラ9K,9Y,9M,9Cの各々は、供給ローラ9とも称される。現像ブレード8K,8Y,8M,8Cの各々は、現像ブレード8とも称される。クリーニングブレード11K,11Y,11M,11Cの各々は、クリーニングブレード11とも称される。
感光体ドラム4は、円筒形状の導電性支持体と、導電性支持体の表面(外面)上に形成された感光層とを有している。導電性支持体は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料、又は、導電性粉体(例えば、金属、カーボン、又は酸化錫)を添加した樹脂材料等によって構成されることができる。実施の形態1では、導電性支持体が、金属材料としてのアルミニウムで形成されている場合を説明する。ただし、導電性支持体の材料は、アルミニウム以外の材料であってもよい。
感光層は、例えば、光導電性材料をバインダ樹脂に溶解又は分散させた単層の感光層(単層型感光層)、又は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光層によって構成することができる。単層型感光層は、正帯電性であり、積層型感光層は、負帯電性である。実施の形態1では、感光層が積層型感光層である場合を説明する。ただし、感光体層は、積層型感光体層以外の感光体層であってもよい。
積層型感光層を用いる場合には、導電性支持体の表面と感光層との間に、下引き層が形成される。下引き層は、金属酸化物(例えば、酸化チタン)等の粒子をバインダ樹脂内に分散させた層である。下引き層は、接着性及びブロッキング性を向上するために設けられる。
感光体ドラム(像担持体)4は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、又はブレードコーティング法等により、導電性支持体の表面に、下引き層、感光層の一部としての電荷発生層、及び感光層の一部としての電荷輸送層を順に形成することによって形成される。実施の形態1では、感光体ドラムが、浸漬コーティング法を用いて製造されたものである場合を説明する。
浸漬コーティング法では、バインダ樹脂(例えば、エポキシ樹脂、又は、ポリエチレン樹脂等)を溶解した溶液中に金属酸化物粒子を分散した塗布液に導電性支持体を浸漬(ディッピング)し、その後、導電性支持体を塗布液から引き上げて乾燥することにより、導電性支持体の表面に下引き層を形成する。次に、バインダ樹脂(例えば、ポリビニルブチラール樹脂、又はポリビニルホルマール樹脂等)を溶解した溶液中に電荷発生物質を分散した塗布液に下引き層を形成した導電性支持体を浸漬し、その後、導電性支持体を塗布液から引き上げて乾燥することにより、下引き層の表面に電荷発生層を形成する。さらに、バインダ樹脂(例えば、ポリビニルブチラール樹脂、又はポリビニルホルマール樹脂等)を溶解した溶液中に電荷輸送物質を分散した塗布液に電荷発生層を形成した導電性支持体を浸漬し、その後、導電性支持体を塗布液から引き上げて乾燥することにより、電荷発生層の表面に電荷輸送層を形成する。感光体ドラム4の外径は、例えば、30[mm]であり、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の膜厚は、例えば、28[μm]である。
帯電ローラ(帯電部材)5は、感光体ドラム4の表面に接するように設けられ、感光体ドラム4の回転に追従して回転する。帯電ローラ5は、例えば、金属製のシャフトの表面に半導電性エピクロロヒドリンゴムを形成することによって構成されたものである。また、帯電ローラ5には、感光体ドラム4の表面を一様に帯電するため、後述する帯電電圧制御部により帯電電圧が印加される。
光ヘッド(露光装置)3は、複数のLED(発光ダイオード)を一方向に配列した発光素子アレイと、複数のレンズを一方向に配列したレンズアレイとを備えている。光ヘッド3は、各LEDから出射された光をレンズによって感光体ドラム4の表面に集光させるように構成されている。
現像ローラ(現像剤担持体)6は、感光体ドラム4の表面に接するように設けられ、感光体ドラム4の回転方向と反対方向に(すなわち、現像ローラ6と感光体ドラム4との対向部での表面の移動方向が順方向となるように)回転する。現像ローラ6は、例えば、金属製のシャフトの表面に半導電性ウレタンゴムを形成することによって構成されたものである。また、現像ローラ6には、感光体ドラム4の表面の静電潜像を現像するため、後述する現像電圧制御部(図3における76K,76Y,76M,76C)により現像電圧が印加される。
供給ローラ(供給部材)9は、現像ローラ6の表面に接するように設けられ、現像ローラ6の回転方向と同方向に(すなわち、供給ローラ9と現像ローラ6との対向部での表面の移動方向が逆方向となるように)回転する。供給ローラ9は、例えば、金属製のシャフトの表面に半導電性ウレタンゴムを形成したものである。また、供給ローラ9には、現像ローラ6にトナーを供給するため、後述する供給電圧制御部(図3における78K,78Y,78M,78C)により供給電圧が印加される。
現像ブレード(現像剤規制部材)8は、例えば、ステンレスで形成された長尺の板状部材を、長手方向に直交する断面が略L字状となるように屈曲したものである。現像ブレード8は、屈曲部分の外側の面が現像ローラ6の表面に当接するように配置されている。また、現像ブレード8には、現像ローラ6上のトナー層の帯電量を制御するため、後述するブレード電圧制御部(図3における77K,77Y,77M,77C)によりブレード電圧が印加される。
転写ローラ(転写部材)10は、感光体ドラム4との間で搬送ベルト18を挟むように設けられ、感光体ドラム4の回転に追従して回転する。転写ローラ10は、例えば、金属製のシャフトの表面に、例えば、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)等の発泡ゴムを形成したものである。転写ローラ10には、感光体ドラム4の表面のトナー像を記録媒体41に転写するため、後述する転写電圧制御部(図3における79K,79Y,79M,79C)により転写電圧が印可される。
クリーニングブレード(除去部)11は、感光体ドラム4の回転方向において、転写ローラ10と感光体ドラム4のニップ部と帯電ローラ5と感光体ドラム4のニップ部の間に配置されている。クリーニングブレード11は、先端部が感光体ドラム4の表面に押し当てられることで、転写されずに感光体ドラム4の表面に残った残トナーを掻き取るものである。クリーニングブレード11は、感光体ドラム4の軸方向に長い長尺状の部材であり、ゴム(例えば、ウレタンゴム)等の弾性部材で形成されている。クリーニングブレード11は、ブレードホルダ12によって、画像形成ユニット1の本体部に対して固定されている。なお、図2に示した例では、ブレードホルダ12は、水平に延在する水平部と、斜め下方に(感光体ドラム4の外周に向かって)傾斜する傾斜部とを有しているが、このような形状に限定されるものではなく、例えば、平板状の部材であってもよい。
実施の形態1においては、画像形成装置100は、トナーとして非磁性1成分現像剤を用いる。トナーは、例えば、粉砕トナーであり、平均粒径は、例えば、6[μm]である。トナーは、少なくとも樹脂及び着色剤を含有する母粒子と、母粒子の表面に添加(外添)される外添剤とを有する。母粒子は、例えば、乳化重合法によって製造される。外添剤の平均粒径は、例えば、5[nm]〜400[nm]である。また、母粒子100[重量部]に対する外添剤の添加量は、好ましくは、0.5[重量部]〜8.0[重量部]である。しかし、母粒子100[重量部]に対する外添剤の添加量は、より好ましくは、1.0[重量部]〜6.0[重量部]であり、さらに好ましくは、3.0[重量部]〜5.0[重量部]である。
実施の形態1におけるトナーは、外添剤として、例えば、メラミン、中サイズシリカ、有機微粒子、及びシリカスペーサを有する。メラミンの平均粒径は、例えば、100[nm]〜300[nm]である。中サイズシリカの平均粒径は、例えば、5[nm]〜40[nm]である。有機微粒子の平均粒径は、例えば、100[nm]〜400[nm]である。シリカスペーサの平均粒径は、例えば、100[nm]である。上述した外添剤の含有量(重量部)は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)又はフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)などを用いてトナーの組成を分析して得られるスペクトル強度と、外添剤を既知の重量部だけ添加した場合のスペクトル強度との比率から求めることができる。スペクトル強度の比率と含有量(重量部)とは、比例関係にある。
次に、画像形成装置100の制御系について説明する。図3は、画像形成装置100の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。画像形成装置100は、装置全体の動作を制御する制御部70と、I/F(インタフェース)制御部71と、受信メモリ72と、画像データ編集メモリ73と、パネル部90と、操作キー部(操作入力部)91と、センサ群92(温湿度センサ(温度検出部)93を含む)と、時間計測部94と、記憶部95とを備えている。時間計測部94及び記憶部95は、制御部70の一部であってもよい。時間計測部94は、例えば、後述の経過時間Etimeを計測する。記憶部95は、例えば、後述の図5に示されるテーブルを記憶する。
制御部70は、例えば、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート、タイマ等を有している。制御部70は、例えば、パーソナルコンピュータ等の上位装置からI/F制御部71を介して印刷データ及び制御コマンドを受信し、画像形成装置100の印刷動作(画像形成)のための制御を行う。
I/F制御部71は、画像形成装置100の情報(プリンタ情報)を上位装置に送信すると共に、上位装置から受信したコマンドを解析し、また、上位装置から受信したデータを処理する。
受信メモリ72は、I/F制御部71を介して上位装置から入力された印刷データを、色毎に一時的に格納する。画像データ編集メモリ73は、受信メモリ72に一時的に格納された印刷データをイメージデータとして編集し、格納する。パネル部90は、画像形成装置100の状態を表示するための表示部(例えば、LEDパネル)を有している。操作キー部91は、操作者が画像形成装置100に対する指示を入力する部分である。なお、パネル部90と操作キー部91とは、表示機能付きタッチパネルとして一体に構成されてもよい。
センサ群92は、画像形成装置100の動作状態を監視するための各種センサ、例えば、記録媒体41の搬送位置を検出する複数の媒体位置センサ(走行センサ)、温湿度センサ93、及び、濃度測定用の濃度センサ(例えば、センサ22)等を含む。センサ群92の出力は、制御部70に入力される。なお、温湿度センサ93は、一体として構成されるセンサに限られず、温度センサと湿度センサであってもよい。
画像形成装置100は、また、帯電電圧制御部74K,74Y,74M,74Cと、ヘッド制御部75K,75Y,75M,75Cと、現像電圧制御部76K,76Y,76M,76Cと、ブレード電圧制御部77K,77Y,77M,77Cと、供給電圧制御部78K,78Y,78M,78Cと、転写電圧制御部79K,79Y,79M,79Cと、画像形成駆動制御部80K,80Y,80M,80Cと、搬送制御部81と、ベルト駆動制御部82と、定着制御部83とを有している。
帯電電圧制御部74K,74Y,74M,74Cは、制御部70の指示にしたがって、帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cに、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面を一様に帯電させるための帯電電圧を印加する。
ヘッド制御部75K,75Y,75M,75Cは、制御部70の指示にしたがって、画像データ編集メモリ73に記録された各色のイメージデータに基づき、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面を露光するために光ヘッド3K,3Y,3M,3Cを発光させる。
現像電圧制御部76K,76Y,76M,76Cは、制御部70の指示にしたがって、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cに、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面の静電潜像を現像するための現像電圧を印加する。
ブレード電圧制御部77K,77Y,77M,77Cは、制御部70の指示にしたがって、現像ブレード8K,8Y,8M,8Cに、現像ローラ6K,6Y,6M,6C上のトナーの帯電量を制御するためのブレード電圧を印加する。
供給電圧制御部78K,78Y,78M,78Cは、制御部70の指示にしたがって、供給ローラ9K,9Y,9M,9Cに、トナーを現像ローラ6K,6Y,6M,6Cに供給するための供給電圧を印加する。
転写電圧制御部79K,79Y,79M,79Cは、制御部70の指示にしたがって、転写ローラ10K,10Y,10M,10Cに、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cのトナー像を記録媒体41に転写するための転写電圧を印加する。
画像形成駆動制御部80K,80Y,80M,80Cは、制御部70の指示にしたがって、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cの駆動源である駆動モータ84K,84Y,84M,84Cを回転駆動させる。駆動モータ84K,84Y,84M,84Cの回転駆動力は、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cと、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cと、供給ローラ9K,9Y,9M,9Cとに伝達される。また、帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cは、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの回転に追従して回転する。
搬送制御部81は、制御部70の指示にしたがって、記録媒体41を給紙及び搬送するための各ローラ(ホッピングローラ40、レジストローラ44,45、及び搬送ローラ46,47)を回転駆動する搬送モータ85及び図示しないクラッチを駆動制御する。
ベルト駆動制御部82は、制御部70の指示にしたがって、搬送ベルト18を走行させるためのベルト駆動ローラ17を回転駆動するベルトモータ86の駆動制御を行う。
定着制御部83は、定着器50に設けられたサーミスタ88の検出温度に基づく制御部70からの指示にしたがって、加熱ローラ19に内蔵されたヒータ87をオンオフ制御し、加熱ローラ19の表面温度を一定温度に保つ。定着制御部83は、また、(定着器50が所定温度まで上昇した状態で)加熱ローラ19を回転駆動する定着モータ89を駆動制御する。なお、定着モータ89の回転は、排出ローラ群48,49にも伝達される。また、バックアップローラ20は、加熱ローラ19の回転に追従して回転する。
《1−2》動作
次に、画像形成装置100の基本動作について、図1及び図3を参照して説明する。画像形成装置100の制御部70は、上位装置からI/F制御部71を介して印刷コマンドと印刷データを受信すると、印刷動作(画像形成)を開始する。制御部70は、受信メモリ72に印刷データを一時的に格納し、格納した印刷データを編集処理してイメージデータを生成し、画像データ編集メモリ73に記録する。
制御部70は、また、搬送制御部81により搬送モータ85を駆動する。これにより、ホッピングローラ40が回転し、給紙カセット43に収納されている記録媒体41を、1枚ずつ媒体搬送路42に送り出す。さらに、レジストローラ対(レジストローラ44,45)が所定のタイミングで回転を開始し、記録媒体41のスキューを矯正しながら搬送ローラ対(搬送ローラ46,47)に搬送する。さらに、搬送ローラ46,47が、記録媒体41を媒体搬送路42に沿って搬送ベルト18まで搬送する。
搬送ベルト18は、ベルト駆動ローラ17の回転によって走行し、記録媒体41を吸着保持して、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cの順に搬送する。
制御部70は、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cにおいて、各色のトナー像の形成を行う。すなわち、帯電電圧制御部74K,74Y,74M,74Cと、現像電圧制御部76K,76Y,76M,76Cと、ブレード電圧制御部77K,77Y,77M,77Cと、供給電圧制御部78K,78Y,78M,78Cとにより、帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cと、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cと、現像ブレード8K,8Y,8M,8Cと、供給ローラ9K,9Y,9M,9Cとに、帯電電圧と現像電圧とブレード電圧と供給電圧をそれぞれ印加する。
制御部70は、また、画像形成駆動制御部80K,80Y,80M,80Cにより駆動モータ84K,84Y,84M,84Cを駆動し、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cを回転させる。感光体ドラム4K,4Y,4M,4cの回転に伴って、帯電ローラ5K,5Y,5M,5C、現像ローラ6K,6Y,6M,6C及び供給ローラ9K,9Y,9M,9Cも回転する。帯電ローラ5K,5Y,5M,5Cは、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面を一様に帯電させる。
制御部70は、さらに、画像データ編集メモリ73に記録されているイメージデータに基づき、ヘッド制御部75K,75Y,75M,75Cを発光制御する。ヘッド制御部75K,75Y,75M,75Cは、光ヘッド3K,3Y,3M,3Cから感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に光を照射し、静電潜像を形成する。
感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に形成された静電潜像は、現像ローラ6K,6Y,6M,6Cに付着したトナーによって現像され、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面にトナー像が形成される。感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの回転により、トナー像が搬送ベルト18の表面に接近すると、転写電圧制御部79K,79Y,79M,79Cが転写ローラ10K,10Y,10M,10Cに転写電圧を印加する。これにより、感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面に形成されたトナー像が、搬送ベルト18上の記録媒体41に転写される。
感光体ドラム4K,4Y,4M,4Cの表面のトナーのうち、記録媒体41に転写されなかったトナーは、クリーニングブレード11K,11Y,11M,11Cによって掻き取られる。
このように、画像形成ユニット1K,1Y,1M,1Cで形成された各色のトナー像が記録媒体41に順次転写され、互いに重ね合される。各色のトナー像が転写された記録媒体41は、搬送ベルト18によってさらに搬送され、定着器50に到達する。定着器50では、記録媒体41は、加熱ローラ19とバックアップローラ20との間のニップ部に導入される。記録媒体41は、加熱ローラ19とバックアップローラ20との間のニップ部で加圧及び加熱され、トナー像が記録媒体41に定着される。トナー像が定着した記録媒体41は、排出ローラ群48,49より、画像形成装置100の外部に排出され、スタッカ部103上に積載される。これにより、記録媒体41へのカラー画像の形成が完了する。
近年の画像形成装置では、高画質化及び印刷動作の高速化のために、トナーが小粒径化及び低融点化されている。このため、画像形成ユニット1内のトナーは、凝集しやすい状態である。例えば、連続印刷を頻繁に行った後では、現像部内のトナーは、供給ローラ9と現像ローラ6間で繰り返し摺擦されるので、トナーが劣化してトナーが凝集しやすい状態となる。そのような状態のトナーは、印刷が終了してから再び開始されるまでの放置時間が長いと、より一層凝集しやすくなる。そのような現像ローラ6近傍の凝集したトナーでは、現像ブレード8によるトナー規制が十分に行われず、現像ローラ6上のトナー付着量が増加し過ぎ、非印字領域(非画像部分)であるにもかかわらず、トナーが付着される(画像に汚れが発生する)可能性がある。このような画像の汚れを、実施の形態1では、「長期間放置汚れ」とも言う。このような長期間放置汚れの発生を抑制するための制御を行うことで、印刷動作が終了したときから、次の印刷動作が開始するときまでの時間におけるトナーの状態の変化に起因する汚れの発生を防止することが可能となる。
長期間放置汚れ制御は、高温での印刷を大量に連続して行った後の放置後において、非印字領域に汚れを発生させる可能性の高いトナーを、次の印刷動作の実行前に廃棄することで、現像部2内に存在する、凝集しやすいダメージトナーを吐き出させることで汚れを防止する。
図4は、実施の形態1に係る画像形成装置の動作(実施の形態1に係る画像形成方法)を示すフローチャートである。図4のフローチャートを用いて、実施の形態1の動作を説明する。
ステップS1では、制御部70は、上位装置からI/F制御部71を介して印刷ジョブ(JOB)を受信する。
ステップS2では、制御部70は、長期間放置汚れの発生を抑制するための制御を実施する設定(制御起動)がされているか否かを確認する。設定されている場合には(ステップS2においてYES)、処理はステップS3に進み、設定されていない場合には(ステップS2においてNO)、長期間放置汚れの発生を抑制するための制御は実施されない。
ステップS3では、制御部70は、現像部2内のトナーの損傷(劣化)の度合いを示す指標であるダメージ値D(「D値」とも言う)がダメージ閾値Dsbより小さいか否かを判断する。ダメージ値Dがダメージ閾値Dsbより小さい場合には(ステップS3においてYES)、処理はステップS5に進み、ダメージ値Dがダメージ閾値Dsb以上である場合には(ステップS3においてNO)、処理はステップS4に進む。ここで、ダメージ値Dは、トナーのダメージを表す指標であり、値が大きいほど、損傷(劣化)の程度が大きい。ダメージ値Dは、後述するステップS11及びS17で更新される。実施の形態1では、ダメージ閾値Dsbは、700である。ただし、ダメージ閾値Dsbは700に限定されず、画像形成ユニット1の特性に応じて任意に設定してもよい。
ステップS4では、制御部70は、供給電圧制御部78を制御して、供給ローラ9に印加する供給電圧の補正を行う。ステップS4では、供給ローラ9に印加される供給電圧を+60[V]増加させる。しかし、この値は、一例にすぎず、他の電圧値を用いて供給電圧の補正を行ってもよい。ダメージ値Dが一定値(ダメージ閾値Dsb)以上である場合は、現像部2内のトナーにダメージが蓄積しているために、トナーは凝集しやすい状態になっており、非印字領域に汚れが発生する恐れがある。このため、実施の形態1に係る画像形成装置100は、供給バイアスを通常よりも低くすることにより(ステップS4)、現像ローラ6へのトナー供給量を減少させている。ここでは、ステップS4で供給電圧の補正を行う場合を説明した。しかし、ステップS4において、例えば、供給電圧の補正に代えて、帯電電圧の補正、現像ブレード電圧の補正、現像電圧の補正、現像電圧と供給電圧との電圧の差の補正、又は、これらの内の補正の内の幾つかを組み合わせて行う補正によって、トナー供給量の切り替えを行ってもよい。
ステップS5では、制御部70は、トナー廃棄動作用フラグF(「F値」とも言う)が1であるか否かを判断する。トナー廃棄動作用フラグFが1であるときは(F=1)、長期間放置汚れの発生を抑制するための制御を行う場合を示している。トナー廃棄動作用フラグFが1でないときは(F≠1)(実施の形態1ではF=0)、長期間放置汚れの発生を抑制するための制御を行わない場合を示している。F=1である場合は(ステップS5においてYES)、処理はステップS6に進み、F≠1である場合は(ステップS5においてNO)、処理はステップS9に進む。
ステップS6では、制御部70は、経過時間Etimeが、予め決められた基準時間(時間閾値)Erより大きいか否かを判断する。時間閾値Erは、例えば、22時間である。経過時間Etimeが時間閾値Er以上である場合は(ステップS6においてYES)、処理はステップS7に進み、経過時間Etimeが時間閾値Er未満である場合は(ステップS6においてNO)、処理はステップS15に進む。経過時間Etimeは、前回の印刷動作が終了してから今回の印刷動作が開始するまでの経過時間を示す。ここでは、時間閾値Erが22時間である場合を説明したが、時間閾値は、画像形成ユニット1の特性などに応じた適切な値が設定される。
ステップS7では、制御部70は、画像形成ユニット1を制御してトナーの廃棄を実施する。制御部70は、現像部2内のトナーの一部を感光体ドラム4に付着させるように、供給電圧制御部78を制御する。感光体ドラム4を経由して移動したトナーの一部は、クリーニングブレード11によって感光体ドラム4から除去されて、廃棄される。廃棄されるトナーは、例えば、A4サイズの100%Duty印刷で、用紙2枚分に相当する。なお、トナーを廃棄する方法は、これに限定されない。また、ここで示された廃棄されるトナーの量は、一例に過ぎない。画像形成ユニット1の特性により任意に変更してもよい。
ステップS8では、制御部70は、トナー廃棄動作用フラグF、経過時間Etime、及びダメージ値Dをリセットして、F=0、Etime=0、及びD=0とする。
次のステップS9では、制御部70は、印刷動作を実行するための指示を出力する。
次のステップS10では、制御部70は、温湿度センサ93から画像形成ユニット1の温度T1を読み取り、印刷カウントPxを読み取る。印刷カウントPxは、1印刷ジョブ中に印刷した印刷カウントである。印刷カウントは、例えば、感光体ドラム4の回転数であるドラムカウント(D.C.)である。ここで、温湿度センサ93を用いて画像形成ユニット1の温度を測定したが、これは一例にすぎず、代用の温度を測定することで画像形成ユニット1の温度を推測してもよい。例えば、画像形成ユニット1に接している転写ローラ10の温度測定結果から、画像形成ユニット1の温度を算出した値を用いてもよい。
ステップS11では、制御部70からの指示にしたがって、ダメージ値Dを、例えば、式(1)から算出する。
D(更新後)=D(更新前)+aD×Px (1)
aDは、ダメージ値Dの温度補正係数であり、Pxは、1印刷ジョブ中にカウント(ドラムカウント)した印刷カウント(印刷カウントの増加分)である。このように、ダメージ値D(更新後)は、1印刷ジョブを実行する毎に更新される。温度補正係数aDは、後述の図5に示されるように、40℃以下においては、負の値を持ち、41℃以上では、正の値を持つ。したがって、ダメージ値D(更新後)は、温湿度センサ93で検出された温度が境界温度(例えば、41℃)よりも高い場合に増加し、低い場合には減少する。ダメージ値Dは、印刷ジョブに基づく印刷動作に応じて増加又は減少する。ただし、温度補正係数aDは、図5の例に限定されない。また、ダメージ値Dの計算式は、式(1)に限定されない。また、aDをテーブルとして記憶する代わりに、aDと温度T1との関係式(例えば、一次関数式など)から算出してもよい。
図5は、ダメージ値Dの温度補正係数テーブルの一例を示す図である。温度補正係数は、温度が高い方がダメージ値Dの変化率(aD)が大きくなる。これは、温度が高いほど、トナーの凝集が進むためである。一方、温度が低い場合は、その状態で一定期間以上駆動させることで凝集が解除されるため、ダメージ値Dを減らすように(変化率aDを負の値に)しているが、これは、一例にすぎない。画像形成ユニット1の特性によって任意の温度補正を用いてよい。
ステップS12では、制御部70は、ダメージ値Dがダメージ閾値DFより大きいか否かを判断する。条件を満たす場合は(ステップS12においてYES)、処理はステップS13に進み、満たさない場合は(ステップS12においてNO)、処理はステップS14に進む。ここで、ダメージ閾値DFは、1200とするが、この値は一例に過ぎない。ダメージ閾値DFは、画像形成ユニット1の特性に応じて、任意に設定してもよい。ステップS13では、制御部70の指示にしたがい、F=1とEtime=0を書き込み、経過時間Etimeの計測を開始する。トナー廃棄動作用フラグFは、条件を満たしたときにトナー廃棄動作を実施するかを判断するフラグであり、経過時間Etimeは、次の印刷までの経過時間(放置時間)である。すなわち、ステップS13では、トナー廃棄動作を実行可能にするトナー廃棄動作用フラグFを立て(F=1)、次の印刷ジョブを受け取るまでの経過時間Etimeを計測する。
ステップS14では、制御部70は、Px=0を書き込む。これは、次の1印刷ジョブで進む印刷カウント(ドラムカウント)を測定するための処理である。ここでは、変数Pxを導入したが、一例にすぎない。1印刷ジョブで進む印刷カウントがわかるように、計算によりPxを算出してもよい。
ステップS15では、制御部70は、印刷動作を実行し、処理はステップS16に進む。
ステップS16では、制御部70は、温湿度センサ93から画像形成ユニット1近傍の温度T1を読み取り、印刷カウントPxを読み取る。印刷カウントPxは、1印刷ジョブ中に印刷した印刷枚数である。
ステップS17では、制御部70は、ダメージ値Dを式(1)から算出し、処理はステップS18に進む。
ステップS18では、制御部70は、ダメージ値Dの温度補正係数aDが負かどうか判断する。
条件を満たす場合は(ステップS18においてYES)、処理はステップS19に進み、満たさない場合は(ステップS18においてNO)、処理はステップS13に進む。
ステップS19では、制御部70は、ダメージ値Dが予め決められたダメージ閾値Dd1より小さいか否かを判断する。条件を満たす場合は(ステップS19においてYES)、処理はステップS20に進み、条件を満たさない場合は(ステップS19においてNO)、処理はステップS14に進む。
ステップS20では、制御部70は、F=0とEtime=0を書き込み、Etimeのカウントを停止する。すなわち、ステップS20では、トナー廃棄動作用フラグFを解除する。これは、1度、トナー廃棄動作用フラグFが立ってから(F=1)、ダメージが蓄積し凝集したトナーが、低温領域にて一定期間以上使用されることにより、凝集が解除され、汚れが発生し難くなくなるためである。
以上が実施の形態1の長期間放置汚れの発生を抑制するための制御モードにおける動作である。実施の形態1の制御では、経過時間Etimeにより、トナーの廃棄動作(ステップS7)を行うのか、ダメージ値Dのカウントを行うかの動作に分岐することで、無駄なトナー廃棄を避けることが可能となる。
図6は、実施の形態1の長期間放置汚れの発生を抑制するための制御モードを実施したときと実施しなかったときの印刷実験結果を示す図である。印刷実験では、画像形成装置100を高温及び高湿環境(29[℃]、60[%RH])に12時間放置した後、同じ環境で、A4サイズの印刷用紙の両面に、デューティ比が0.3%の印刷パターンを連続して1日で6000面(3000枚)印刷し、合計34000面(17000枚)まで印刷した。画像形成装置100としては、株式会社沖データ製のカラープリンタ「C841」を用いた。
1日で3000枚の印刷を行った後に、60時間放置し、放置直後に白紙印刷を実行し非印字領域に汚れが発生するか否かを確認した。図6は、8000枚の印刷を行った後に60時間放置した時点、さらに3000枚の印刷を行った後に60時間放置した時点(すなわち、延べ11000枚の印刷を行った後)、さらに3000枚の印刷を行った後に60時間放置した時点(すなわち、延べ14000枚の印刷を行った後)、さらに3000枚の印刷を行った後に60時間放置した時点(すなわち、延べ17000枚の印刷を行った後)において、汚れの発生を確認した結果を示す。図6において、制御モードを実施した画像形成装置100は、「長期間放置汚れ制御実施No.1」及び「長期間放置汚れ制御実施No.2」の2サンプルであり、制御モードを実施しなかった画像形成装置100は、「長期間放置汚れ制御実施なしNo.1」及び「長期間放置汚れ制御実施なしNo.2」の2サンプルである。「○」は、非印字領域に汚れが無いことを示し、「×」は、非印字領域に汚れが発生したことを示している。長期間放置汚れ制御を実施しないサンプルでは、延べ8000枚の印刷を行った時点で非印字領域に汚れが発生する場合がある。しかし、長期間放置汚れ制御を実施したサンプルでは、延べ17000枚の印刷を行った後でも、非印字領域に汚れが発生しない。図6に示される実験結果から、実施の形態1に係る画像形成装置100によれば、長期間放置汚れの発生を抑制するための制御モードを実行することで、汚れを防止することができることがわかる。
《1−3》効果
以上説明したように、実施の形態1では、印刷動作が終了したときから次の印刷動作が開始されるときまでの経過時間Etimeが長時間であっても(ステップS6)、ダメージトナーを必要最低限廃棄することで(ステップS7)、次の印刷動作における非印字領域の汚れの発生を生じ難くすることができる。この結果、印刷品質を向上させることができる。
また、実施の形態1では、温湿度センサ93が検出する温度が高いほど、ダメージ値Dが大きく増加し、温湿度センサ93が検出する温度が低いほど、ダメージ値Dが大きく減少する演算式(式(1)及び図5のテーブル)によって、更新後のダメージ値Dを算出している。このため、トナーにダメージが生じ難い温度環境(低い温度)では、供給電圧補正(ステップS4)を行わず、トナーにダメージが生じやすい温度環境(高い温度)では、供給電圧補正(ステップS4)を行うことができる。例えば、ダメージ値Dがダメージ閾値Dsbより大きいときに(ステップS3においてNO)、供給ローラのバイアスを小さくして(ステップS4)現像ローラに供給されるトナー量を減らしているので、次の印刷動作における非印字領域の汚れの発生を生じ難くすることができる。この結果、印刷品質を向上させることができる。
また、実施の形態1では、トナーの損傷の度合いを判断する場合に、異なるダメージ閾値を用いる(ステップS3におけるトナー閾値Dsb、ステップS12におけるトナー閾値DF、ステップS19におけるトナー閾値Dd1)。画像形成装置100の状態に応じてトナーの損傷の度合いが適切に判断されるため、トナーの廃棄量を必要最小限に抑えつつ、印刷品質を向上させることができる。
《1−4》変形例
上記実施の形態1においては、経過時間Etimeが基準閾値Er以上である場合に、トナー廃棄動作を実行して(ステップS6,S7)、所定の廃棄量のトナーを廃棄したが、経過時間Etimeを複数の基準閾値Er1,Er2(Er1<Er2)と比較することによって、廃棄量を切り替えてもよい。例えば、経過時間Etimeが基準閾値Er2以上である場合には廃棄量を増やし、経過時間Etimeが基準閾値Er1以上基準閾値Er2未満である場合には廃棄量を減らし、経過時間Etimeが基準閾値Er1未満である場合には、廃棄動作を行わないという制御を行うことが可能である。この場合には、トナーの必要以上の廃棄を防ぐことができる。
《2》実施の形態2
上記実施の形態1では、前回の(先行する)印刷動作が終了したときから次の(後続の)印刷動作が開始されるときまでの経過時間Etimeが時間閾値Er(例えば、22時間)以上のときに(図4のステップS6)、ダメージトナーを必要最低限廃棄する廃棄動作を実行することで、次の印刷動作における非印字領域の汚れの発生を生じ難くしている。これに対し、実施の形態2では、前回の(先行する)印刷動作時に温度検出部によって検出された温度が、温度閾値以上であり、且つ、前回の(先行する)印刷動作が終了したときから次の(後続の)印刷動作が開始されるときまでの経過時間Gtimeが時間閾値Gr(例えば、15時間)以上である場合に(後述する図7におけるステップS23でYES)、ダメージトナーを廃棄するダメージトナー廃棄動作を実行する。
実施の形態2に係る画像形成装置は、制御部70による制御内容の点を除いて、実施の形態1に係る画像形成装置100とほぼ同一である。したがって、実施の形態2に係る画像形成装置の説明に際しては、図1、図2及び図3をも参照する。
実施の形態2に係る画像形成装置は、印刷データに基づく静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム4と、感光体ドラム4上に現像剤としてのトナーを供給する現像ローラ6を有する現像部2と、感光体ドラム4上から現像剤を除去する除去部としてのクリーニングブレード11と、時間を計測する時間計測部(図3における94)と、温度を検出する温度検出部(図3における93)と、装置全体の動作を制御する制御部70とを備えている。
温度検出部93は、装置内部の温度(例えば、搬送ベルト18の温度T2)を検出する第1の温度センサと、装置外部の温度(例えば、画像形成装置の周辺の環境温度T3)を検出する第2の温度センサとの少なくとも一方を有する。制御部(図3における70)は、温度検出部によって検出された温度が予め定められた温度閾値(例えば、装置内部の温度の温度閾値Ti又は装置外部の温度の温度閾値Te)以上であり、且つ、時間計測部(図3における94)により計測された、印刷動作が終了したときから次の印刷動作が開始されるときまでの経過時間Gtimeが予め定められた時間閾値Gr以上であると判断したときには、現像部2内の現像剤の一部を感光体ドラム4を経由して移動させクリーニングブレード11に除去させるダメージトナー廃棄動作を実行させた後に、次の印刷動作を開始させる。
制御部70は、温度検出部(図3における93)によって検出された温度T2,T3が温度閾値未満であると判断したときには(例えば、T2<Tiのとき、又は、T3<Teのとき)、前記ダメージトナー廃棄動作を行わずに、次の印刷動作を開始させる。また、制御部70は、時間計測部94により計測された経過時間Gtimeが時間閾値Gr未満であると判断したときには、前記ダメージトナー廃棄動作を行わずに、次の印刷動作を開始させる。
図7は、実施の形態2に係る画像形成装置の動作(実施の形態2に係る画像形成方法)を示すフローチャートである。ステップS21で、制御部70は、上位装置からI/F制御部71を介して印刷ジョブを受信する。
ステップS22では、制御部70は、前回の印刷動作時の搬送ベルト18の温度T2が温度閾値Ti(例えば、45℃)以上であるかどうかを判断する。ステップS22における判断がNOの場合には、印刷動作が実行され(ステップS26)、判断がYESの場合には、処理はステップS23に進む。
ステップS23では、制御部70は、前回の印刷動作時の環境温度T3が温度閾値Te(例えば、20℃)以上であるかどうかを判断する。ステップS23における判断がNOの場合には、印刷動作が実行され(ステップS26)、判断がYESの場合には、処理はステップS24に進む。
ステップS24では、制御部70は、前回の印刷動作が終了したときから次の印刷動作が開始されるときまでの経過時間Gtimeが予め定められた時間閾値Gr以上であると判断したときには、ステップS24での判断はYESとなり、ステップS25のトナー廃棄動作が実行される。
ステップS24での判断がNOの場合には、印刷動作が実行される(ステップS26)。ステップS26の印刷動作終了時に、搬送ベルト18の温度T2と環境温度T3が記憶部95に記憶される。
以上説明したように、実施の形態2では、搬送ベルト18の温度T2が温度閾値Ti以上であり、且つ、環境温度T3が温度閾値Te以上であり、且つ、印刷動作が終了したときから次の印刷動作が開始されるときまでの経過時間Gtimeが時間閾値Gr以上である場合に、ダメージトナー廃棄動作が実行される。このため、次の印刷動作における非印字領域の汚れの発生を生じ難くすることができ、印刷品質を向上させることができる。
また、搬送ベルト18の温度T2が温度閾値Ti未満の場合、又は、環境温度T3が温度閾値Te未満の場合には、ダメージトナーの発生量は少ないと予想できる。このため、実施の形態2に係る画像形成装置においては、ステップS22の判断がNOの場合、又は、ステップS23の判断がNOの場合には、ダメージトナー廃棄動作が実行されない。この結果、必要以上のトナーの使用を回避することができる。
《3》利用分野
上記実施の形態1及び2では、画像形成装置の例としてカラープリンタについて説明したが、本発明は、カラープリンタに限定されるものではない。本発明は、ファクシミリ装置、複写装置、MFP(Multifunction Peripheral)等、電子写真方式を用いて媒体に画像を形成する画像形成装置に適用することができる。