JP6450563B2 - 限外ろ過膜の診断方法並びに診断装置及び超純水製造システム - Google Patents

限外ろ過膜の診断方法並びに診断装置及び超純水製造システム Download PDF

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本発明は限外ろ過膜の診断方法並びに診断装置及び超純水製造システムに関する。
従来、超純水製造システムでは、超純水中の微粒子を低減するためにシステムの最後段に限外ろ過膜(以下「UF」ともいう。)モジュールを設置することが多い。このUFモジュールは多数の中空糸で構成されており、それぞれの中空糸に対して供給水をろ過面に対して平行に通水して、その供給水の一部を中空糸のろ過面でろ過して透過水に、ろ過面を通過しないものは濃縮水として排出するクロスフローろ過方式を用いるのが一般的である。また、通水方向は中空糸の外面側から供給水を供給し、中空糸内面から透過水を得る外圧ろ過方式を選択する事が多い。
超純水製造システムにおいて、要求水質が維持されていることを確認するための水質検査が行われている。水質管理項目の一つとして超純水1mL中の微粒子数が挙げられている。微粒子数の管理方法としては、通常、パーティクルカウンターでの測定や直接検鏡法(ろ過法)による計測が用いられている。一般的な管理方法としては、オンラインモニターであるパーティクルカウンターにて日常の微粒子管理を行い、定期的、もしくはトラブル時などに直接検鏡法にて詳細な微粒子数を計測することが多い。
直接検鏡法による計測では、例えば、超純水製造システムの出口水が流れる配管からサンプリング管を分岐させ、超純水の一部を微粒子数測定用のろ過膜でろ過してUF処理水中の微粒子を膜表面で捕捉し計数している。微粒子数は、微粒子を捕捉したろ過膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、計数している。
近年、特に、半導体装置の製造分野では、超純水の水質のさらなる向上が求められており、微粒子数についても、例えば超純水1mL当たりに粒径0.05μm以上の微粒子が0.1〜1個以下、あるいは粒径0.03μm以上の微粒子が0.1〜10個以下という高いレベルが要求されている。
このように、超純水の微粒子数についての管理基準が高くなるにつれ、より高い分析技術の確保が必要となってきている。しかし、0.05μm程度という微細粒径の微粒子をろ過膜で捕捉するためには、孔径がこれより小さいろ過膜を用いる必要があるが、ろ過膜の孔径を小さくするとろ過速度を大きくすることができない。そして、超純水1mL当たりに粒径0.05μm以上の微粒子が0.1〜1個以下という微量の粒子数を計測するためには、ろ過水量を多くする必要があるが、このような微細粒径の粒子を捕捉可能なろ過速度では、ろ過に数カ月を要する等多大な時間がかるという問題がある。
そのため、微粒子の捕捉に要する時間を短縮する方法として、ろ過膜に試料である純水を供給する純水供給手段と、純水供給手段により供給された純水を吸引する吸引機を備えるろ過装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ろ過時間を短縮しつつ測定結果の信頼性を高めた微粒子の測定方法として、超純水中の微粒子を捕捉可能なスキン層を少なくとも内表面に有した中空糸膜により微粒子を捕捉して計測する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
ここで、超純水中の微粒子の増加原因の一つとして、超純水製造システムの最後段に設置されるUFの劣化、破断の可能性がある。UFが劣化しモジュール内の中空糸膜が破断した際には、供給水中に含まれる微粒子がろ過されずに中空糸膜の破断部位から透過水側に混入する事や、中空糸膜の破断部位から発生する微粒子によって、超純水中の微粒子数が増加することが予想される。このUFモジュール内の中空糸膜の破断が進行し、破断本数が増えるにしたがって超純水中の微粒子数の増加し、超純水中の微粒子管理値を超えることが予測されることから、UFモジュールの劣化及び破断を迅速に簡便に診断することが求められている。
このような要望に対し、本発明者らは、超純水製造システムにおけるUFの劣化又は破断の時期を早期に診断するための方法について研究を重ねた結果、UFの劣化又は破断時に特徴的な大きさ、形状の粗大粒子が超純水中に発生することを突き止めた。そして、UFモジュールの透過水又は濃縮水をサンプリングし、このサンプル水中の粗大粒子を捕捉、計測することで、UFの診断を行う方法を見出した。
ここで、一般的な水質管理法であるパーティクルカウンター法では、オンラインで評価できる利点があるが、最先端の超純水製造システムにおける微粒子の水質管理値がパーティクルカウンターの測定下限値に近いところに設定されているため、有意な値として検出された時には管理値を超える可能性が懸念される。このため、UF劣化初期の微小な微粒子数の増加を十分な余裕をもって検知することは困難である。また、パーティクルカウンター法では散乱光から粒子の数を測定することは可能であるが、粒子の形状や構成元素を判別することはできない。したがって、微粒子の増加がUFの劣化によるものか気泡などの別の要因によるものか判別できず、微粒子の増加原因がUFの劣化によるものかを正確に診断することができない。
また、従来の直接検鏡法では、微粒子の測定には、上記した従来の方法である程度測定時間が短縮できるものの、微細粒径の微粒子の計測を対象にしていることから微粒子測定用のろ過膜の孔径が非常に小さく設定されることが多く、微小な微粒子数の増加を検知するにはサンプル水の長期間のろ過が必要となる。このため、UFの劣化を迅速に診断することは難しい。さらに、直接検鏡法でも、0.05μm未満程度の微粒子についてはその形状や構成元素からUFの劣化を判別することは困難である。
UFの劣化を直接診断する方法として、超純水システムから複数本が同時に並列使用されているUFモジュールを1本取り外し、取り外したUFモジュールを破壊して、モジュール内の中空糸膜の引っ張り強度などの物理強度や目視で破断を確認する方法や、取り外したUFモジュールに対してエアーリーク試験を行い、試験後に再設置又は交換する方法があるが、UFモジュールを超純水装置から着脱するための労力の問題や、再取付けしたUFモジュールから発生する微粒子濃度が安定するまでに洗浄が必要であること、稼働状態のUFモジュールの処理水と、試験・検査後又は交換後のUFモジュールの処理水の合流時の水質安定の問題から、超純水製造システムを停止させることなく安定した水質を維持したまま、簡便にUFの劣化診断を行う事は難しい。
特開2010−127693号公報 特開2012−154648号公報
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであって、超純水製造システムに備えられるUFの劣化又は破断を、超純水装置を停止させることなく、安定した水質を維持したまま、かつ、簡便で迅速に診断することのできる限外ろ過膜の診断方法及び診断装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、UFモジュールに備えられるUFの劣化又は破断を、超純水装置を停止させることなく、安定した水質を維持したまま、かつ簡易に診断し、高純度の超純水を安定的に製造することのできる超純水製造システムを提供することを目的とする。
本発明の限外ろ過膜の診断方法は、純水を製造する限外ろ過膜の透過水又は濃縮水中の、最大径が0.4μmを超え10μm以下の粗大粒子を捕捉可能なろ過膜で前記限外ろ過膜の透過水又は濃縮水をろ過する工程と、前記ろ過膜表面の前記粗大粒子数を測定する工程とを備えることを特徴とする。そして、前記粗大粒子数が所定の閾値を超えたときに前記限外ろ過膜が劣化したと判断する。
また、限外ろ過膜の透過水又は濃縮水をろ過するろ過装置は、上下に重なる上部部材及び下部部材と、前記上部部材及び前記下部部材の重なり合う中心部に円錐状の凹部として形成された空洞部と、前記上部部材の上部に前記空洞部に連通するように突設され、前記サンプル水を導入する取水端管と、前記下部部材の下部に前記空洞部に連通するように突設され、前記サンプル水を排出する排水端管と、前記上部部材及び前記下部部材の間に、前記空洞部を上下に2分するように水密的に介挿された孔径が0.01μm以上0.4μm以下の平膜と、前記上部部材及び前記下部部材を互いに締め付け固定するキャップナットとを備えることが好ましい。
本発明の限外ろ過膜の診断方法は、前記ろ過膜表面の前記粗大粒子の形状を観察する工程を備えることが好ましい。また、前記ろ過膜表面の前記粗大粒子の構成元素を分析する工程を備えることが好ましい。
本発明の限外ろ過膜の診断方法において、前記粗大粒子の形状は、略棒状であることが好ましい。また、前記粗大粒子の形状は、アスペクト比(最大径/最小径)で5以上100以下であることが好ましい。
本発明の限外ろ過膜の診断装置は、超純水を製造する限外ろ過膜モジュールの透過水配管又は濃縮水配管に直接又は枝管を介して接続され、前記透過水配管又は濃縮水配管から取水したサンプル水中の粗大粒子数を測定するためのろ過装置であって、上下に重なる上部部材及び下部部材と、前記上部部材及び前記下部部材の重なり合う中心部に円錐状の凹部として形成された空洞部と、前記上部部材の上部に前記空洞部に連通するように突設され、前記サンプル水を導入する取水端管と、前記下部部材の下部に前記空洞部に連通するように突設され、前記サンプル水を排出する排水端管と、前記上部部材及び前記下部部材の間に、前記空洞部を上下に2分するように水密的に介挿された、孔径が0.01μm以上0.4μm以下の平膜と、前記上部部材及び前記下部部材を互いに締め付け固定するキャップナットとを備えることを特徴とする。
本発明の超純水製造システムは、原水に含まれる懸濁物質を除去する前処理装置と、前記前処理装置で処理された前処理水中のイオン及び非イオン性物質を除去する一次純水システムと、前記一次システムで処理された一次純水中の微量残留物を除去する二次純水システムとを備え、前記二次純水システムに限外ろ過膜モジュールを備えて超純水を製造する超純水製造システムであって、前記限外ろ過膜モジュールの透過水配管又は濃縮水配管に直接又は枝管を介して接続され、最大径が0.4μmを超え10μm以下の粗大粒子を捕捉可能なろ過膜を備えるろ過装置を備えることを特徴とする。
本発明の限外ろ過膜の診断方法、診断装置によれば、UFモジュールに備えられるUFの劣化又は破断を、超純水装置を停止させることなく、安定した水質を維持したまま、かつ、簡便で迅速に診断することができる。
また、本発明の超純水製造システムによれば、UFモジュールに備えられるUFの劣化又は破断を、超純水装置を停止させることなく、安定した水質を維持したまま、かつ、簡便で迅速に診断し、高純度の超純水を安定的に製造することができる。
実施形態に係る粗大粒子数測定用ろ過装置を備える超純水製造システムの一例を概略的に示すブロック図である。 平膜を用いて構成される粗大粒子数測定用ろ過装置の構造を概略的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。各図において、同様の機能を奏する構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1は、第1の実施形態に係る粗大粒子数測定用ろ過装置(限外ろ過膜の診断装置)10を備える超純水製造システム1の一例を概略的に示すブロック図である。粗大粒子数測定用ろ過装置10は、超純水を製造するUFモジュールの透過水又は濃縮水を取水したサンプル水中の粗大粒子を捕捉してUFの劣化又は破断あるいは両者を検査する装置である。なお、粗大粒子数測定用ろ過装置10はUFモジュールの透過水及び濃縮水の両者を取水したサンプル水中の粗大粒子を捕捉してもよい。劣化を診断されるUFモジュールの通水方式は外圧式と内圧式の両方を用いることが出来るが、外圧式が好ましい。
超純水製造システム1は、前処理装置11と、一次純水システム12と、二次純水システム13を備えて構成されており、二次純水システム13の最後段に限外ろ過膜装置(UFモジュール)14が設置されている。一次純水システムの後段には、一次純水を一旦貯留するタンク130が接続されている。二次純水システム13は、タンク130の下流側に、例えば、熱交換器(HEX)131、紫外線酸化装置(TOC−UV)132、膜脱気装置(MDG)133、ポリッシャー(Poliser)134を順次備え、ポリッシャー(Poliser)134の後段に限外ろ過膜装置(UF)14が備えられている。二次純水システム13は、透過水配管16によってユースポイント15に接続されている。
粗大粒子数測定用ろ過装置10は、限外ろ過膜装置14の透過水配管16から分岐して設けられたサンプリング管(枝管)17に接続されている。サンプリング管17には、サンプリングコック18が介挿されている。また、粗大粒子数測定用ろ過装置10の排水口19には、ろ過液を計量するためのろ過液計量槽20が設置されている。
粗大粒子数測定用ろ過装置10は、最大径が0.4μmを超え10μm以下の粗大粒子を捕捉可能なろ過膜を備えている。ろ過膜は、捕捉された粗大粒子を後工程で計測するため、その表面でサンプル水中の粗大粒子を捕捉する構造である。なお、ろ過膜に通水されるサンプル水は、液中に粗大粒子を含み、ろ過することによりろ過膜で捕捉された粗大粒子を計数可能なものであれば、限外ろ過膜装置の透過水あるいは濃縮水に限定されるものではない。
粗大粒子は、UFの劣化又は破断が生じた際に生じる特徴的な粒子であり、その最大径(粒子の最長部分の長さ)は、0.4μmを超え10μm以下である。UFモジュールの透過水又は濃縮水中に、この粗大粒子がある所定の閾値を超えた濃度で観測された場合には、UFの劣化が生じていると判断することができる。粗大粒子数測定用ろ過装置10が捕捉する粗大粒子の最大径は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。また、粗大粒子の形状としては、不定形状、略球状、楕円球状等が挙げられる。
ところで、粗大粒子の発生メカニズムは例えば次のように推測される。すなわち、超純水の製造において、UFは中空糸膜状として用いられることが一般的であるが、超純水をろ過する過程で、このUF中空糸膜の表面が、超純水の流れによって近接する領域内で擦れ合う等して表面の構造の一部が剥離し、UFの膜材料からなる、例えば消しゴムのかすのような形状(ゴムを擦り合せた時に発生するような形状)の粗大粒子が生じる。そして、この粗大粒子が、UF透過水又は濃縮水中に流出すると考えられる。
したがって、UF劣化時に生じる粗大粒子の形状としては、不定形状であることが多く、特に、消しゴムのかすのような形状(ゴムを擦り合せた時に発生するような形状)や糸状等の不定形状の棒状粗大粒子が多く観察される。この棒状粗大粒子の詳細な形状としては、その表面に凹凸があるものや、平たい形のもの、S字状、L字状、M字状などに屈曲したもの、太さが均一あるいは不均一なもの等様々な形状のものがあるが、アスペクト比(最大径/最小径)は、5以上100以下程度のものが多い。したがって、粗大粒子数測定用ろ過装置10はこのような棒状粗大粒子を捕捉することが好ましい。なお、粗大粒子の形状は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)によって目視で観測することができる。粗大粒子の最大径及び最小径についても、SEMによって目視で測定することができ、最大径は粗大粒子の最長部分の長さ、最小径は粗大粒子の最短部分の長さをいう。
このように、本実施形態では、UF劣化時に生じるこれらの粗大粒子を粗大粒子数測定用ろ過装置10によって捕捉し、計測することで、UFの劣化をより早期に診断することが可能である。
また、粗大粒子は、上記したようにUFの材料の一部が剥離して生じる粒子であるため、その構成元素は、UFとほぼ同じである。したがって、粗大粒子数測定用ろ過装置10で捕捉した粗大粒子の構成元素を、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)、全反射蛍光X線分析(TXRF)等で分析し、UFの構成元素と同じ、あるいはUFの構成元素に対して付着物が付着した程度の違いであることを確認することで、UFの劣化の診断が可能である。
粗大粒子数測定用ろ過装置10に備えられるろ過膜(以下「粗大粒子数測定用ろ過膜」という。)としては、粗大粒子を捕捉できるものであれば特に限定されず、メンブレン膜(MF)、限外ろ過膜(UF)等を用いることができる。粗大粒子数測定用ろ過膜の孔径は、粗大粒子の最大径以下であればよく、MFの場合、0.4μm以下であることが好ましい。また、ろ過膜の孔径は、ろ過水量を多くして、ろ過時間を短縮するため、MFの場合、0.01μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましい。また、粗大粒子数測定用ろ過膜としてUFを用いる場合、MFと同様の理由により、その分画分子量が6000以上2000000以下であることが好ましい。
粗大粒子数測定用ろ過膜の膜構造は、対称膜であってもよく、ろ過孔径の大きい多孔質の支持層上に、孔径の小さく緻密な分離機能層を有する非対称膜であってもよい。また、支持層と分離機能層が同一材質からなるローブ型非対称膜でも、支持層と分離機能層の材質が異なる複合膜であってもよい。
粗大粒子数測定用ろ過膜の形状は、特に限定されず、中空糸膜、平膜などを用いることができる。また、粗大粒子数測定用ろ過膜の材質についても特に限定されず、ポリカーボネート製、セルロース混合エステル製、セルロースアセテート製、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製、ポリエステル製、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製、ポリエーテルスルホン製、ポリビニリデン製、ナイロン製、金属製、ポリスルホン製、ポリアクリロニトリル製の各種の材質からなる膜を使用可能である。
粗大粒子数測定用ろ過膜の厚みは特に限定されず、強度や耐久性の点から、中空糸膜である場合には0.1mm以上0.3mm以下であることが好ましく、平膜である場合には、5μm以上0.3mm以下であることが好ましい。
このように、本実施形態の限外ろ過膜の診断装置によれば、従来の限外ろ過膜など微細な孔を持つ膜を用いた微粒子測定装置に比べて、粒子径で約10倍程度の大きさの粗大粒子を捕捉するため、粗大粒子数測定用ろ過膜の孔径を大きくすることができる。それによりろ過速度を速くすることが可能になるため、粗大粒子数測定のためのサンプル水のろ過時間を大幅に短縮することができ、限外ろ過膜の劣化をより早期に診断することができる。また、SEM観察に際しても、比較的大きな粗大粒子を観察するため、SEM倍率を下げることで一視野あたりの観察面積を増加させることができ、そのため、微粒子の観察と同等の時間でより広範囲の粗大粒子捕捉面を観察することができる。
また、本実施形態の限外ろ過膜の診断装置によれば、EDXやTXRFの分析下限よりも大きい粒子径の粗大粒子を捕捉、観察するので、その成分分析が容易であり、粗大粒子の構成成分とUFモジュール内の限外ろ過膜の構成成分を比較することができる。
次に、粗大粒子数測定用ろ過装置の一実施形態について説明する。図2は、粗大粒子数測定用ろ過膜として平膜を用いた粗大粒子数測定用ろ過装置2の構成を概略的に示す断面図である。図2に示すように、粗大粒子数測定用ろ過装置2は、サンプル水の流入口41を有するキャップ(上部部材)42と、ろ過液の流出口43を有するベース(下部部材)44とを備えている。これらのキャップ42及びベース44は上下に重なっており、その重なり合う中心部には、キャップ42及びベース44の対向面に対象的に形成された円錐状の凹部からなる空洞部52が設けられている。なお、当該空洞部52の形状は円錐状に限らず、円柱状や椀状等であってもよい。
ベース44の上端部内周には、キャップ42の下端部内周に沿った環状溝が形成され、この環状溝に樹脂製等のO−リング49が嵌合されている。キャップ42の下端部内周がO−リング49を介してこの環状溝に圧接されて、ベース44とキャップ42が液密に封止されている。そして、空洞部52を2分するようにエッチングプレート51、ドレンスクリーン50及び粗大粒子測定用ろ過膜45を順に積み上げてなるろ過部材がO−リング49を介して水密的に介挿されている。
粗大粒子測定用ろ過膜45の材質については特に限定されず、ポリカーボネート製、セルロース混合エステル製、セルロースアセテート製、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製、ポリエステル製、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製、ポリエーテルスルホン製、ポリビニリデン製、ナイロン製、金属製、ポリスルホン製、ポリアクリロニトリル製の各種の材質からなる膜を使用することができる。粗大粒子測定用ろ過膜45の好ましい態様は上述したとおりであり、その孔径は0.01μm以上0.4μm以下であることが好ましく、厚みは5μm以上0.3mm以下、粗大粒子測定用ろ過膜45の大きさは内径が5mm以上350mm未満であることが好ましい。また、上記したようにEDX等によって、粗大粒子の構成元素を分析する場合には、UFモジュールに使用されている中空糸膜と構成元素の異なる膜を使うことが好ましい。
ドレンスクリーン50は、粗大粒子測定用ろ過膜45を支持するとともに、ろ過水圧を粗大粒子測定用ろ過膜45の平面全体に均一に拡散するものであり、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、フッ素樹脂製等のメッシュにより形成された円形状の平膜である。ドレンスクリーンのメッシュ径は特に限定されず、例えば8μm以上20μm以下である。
エッチングプレート51は、ドレンスクリーン50と粗大粒子測定用ろ過膜45を空洞部53に平面的に支持するものであり、例えば、厚みが0.3mm以上1.0mm以下程度の肉厚の金属平板に、30μm以上100μm以下の孔がメッシュ状に設けられて構成されている。
ベース44は、ステンレス等の金属材料、又は樹脂材料で、で有底円筒状に形成されており、その周縁部から立ち上がる筒状側壁46を備えている。筒状側壁46の内方に間隔を設けた中心軸上に、前記空洞部に流出口43を介して連通する排水端管47が突設されている。
また、キャップ42及びベース44は、ベース44及びキャップ42と嵌合されるキャップナット48によって互いにを締め付け固定されている。キャップ42及びキャップナット48はそれぞれステンレス等の金属材料、又は樹脂材料で、構成されている。キャップ42及びキャップナット48の材質は同じであってもよく異なっていてもよい。
キャップ42、ベース44、エッチングプレート51は、ドレンスクリーン50、粗大粒子測定用ろ過膜45、キャップナット48はそれぞれ着脱自在に取付けることが可能である。
粗大粒子数測定用ろ過装置2において、流入口41から粗大粒子数測定用ろ過膜45上に流入したサンプル水が粗大粒子数測定用ろ過膜45を通過してろ過され、ろ過液が流出口43から流出されるようになっている。
次に、限外ろ過膜装置の診断方法について説明する。本実施形態の限外ろ過膜の診断方法では、図1に示す超純水製造システム1の最後段に備えられる限外ろ過膜装置に備えられるUFの劣化や破断を診断する方法である。
図1に示す超純水製造システムにおいて、原水としては、市水、井水、工業用水等が用いられる。前処理装置11は、砂ろ過装置、精密ろ過装置等を適宜選択して構成され、原水中の懸濁物質や有機物の一部を除去して前処理水を製造する。
一次純水システム12は、前処理水を処理して、一次純水を製造する。一次純水システム12は、無機イオン、有機物、微粒子などを除去する逆浸透膜装置と、溶存炭酸ガスを除去する脱気装置(DG)と、不純物イオンの除去を行うイオン交換装置(陽イオン交換装置、陰イオン交換装置、混床式イオン交換装置等)などを備えて構成される。一次純水システム12としては、例えば、陽イオン交換装置塔、脱炭酸装置、陰イオン交換装置を備える2B3Tシステムや、逆浸透膜装置とイオン交換装置を組み合わせたシステムを用いることができる。
次いで、一次純水が二次純水システム13に供給される。二次純水システム13において、熱交換器(HEX)131は、一次純水の温度調節を行い、水温をほぼ一定に保つ。紫外線酸化装置(TOC−UV)132は、一次純水に、波長185nm付近の紫外線の紫外線を照射して、一次純水中に残存する有機物を炭酸や低分子量の有機酸に分解する。膜脱気装置(DG)133は、紫外線酸化装置(TOC−UV)132の処理水中の、酸素、二酸化炭素等の溶存ガスを除去する。ポリッシャー(Poliser)134は、非再生型の混床式イオン交換装置であり、紫外線酸化装置(TOC−UV)132で生じた有機酸などの不純物イオンを除去する。そして、ポリッシャー(Poliser)134の処理水が限外ろ過膜(UF)装置14に通水され、ここで一次純水中の残存微粒子等が除去され、超純水(二次純水)が製造される。
二次純水システム13においては、例えば、市販品として次の装置を用いることができる。
熱交換器(HEX)131:
日阪製作所社製プレート式熱交換器のUXシリーズ、RXシリーズ、LXシリーズ、SXシリーズ等
紫外線酸化装置(TOD−UV)132:
日本フォトサイエンス社製の紫外線酸化分解装置(TOC-UV)JPWシリーズ、SUVシリーズ、AUVシリーズ等
膜脱気装置(MDG)133:
メンブラーナ社製のLiqui−celシリーズ
ポリッシャー(Poliser)134:
DOW Chemical社製の非再生型MBイオン交換樹脂、Duolite MBGPを用いたもの等
限外ろ過膜装置(UFモジュール)14:
旭化成ケミカルズ社製のUF、OLTシリーズ、日東電工社製のUF、NTU―3306−K6R、NTU―3306−K6R-UP等
次に、本実施形態の限外ろ過膜(UF)の診断方法の各操作について説明する。まず、超純水製造システム1を稼働したままで、粗大粒子数測定用ろ過装置10を、UFモジュール14の透過水が流れる透過水配管16のサンプリング口に接続する。粗大粒子数測定用ろ過装置10は、透過水配管16のサンプリング口にサンプリングコック18を介挿したサンプリング管17によって接続する。この際、上記サンプリング口に、サンプリングコック18を設置する前に、サンプリング管17及びサンプリングコック18を純水で充分にブローする。その後、サンプリングコック18を熱水またはエタノールを用いて殺菌してもよい。
このように、サンプリング管17及びサンプリングコック18のブロー、殺菌を充分に行った後、透過水配管16に、サンプリングコック18を接続し、粗大粒子数測定用ろ過装置10を、サンプリング管17を用いてサンプリングコック18に取り付ける。なお、粗大粒子数測定用ろ過装置10は、サンプリング管17を用いずに直接サンプリングコック18に取り付けてもよい。
次に、UFモジュール14の透過水のサンプリングを行う。すなわち、超純水製造システム1を稼働した状態で、UFモジュール14の透過水の一部をサンプル水として、サンプリング管17を経て粗大粒子数測定用ろ過装置10に通水してろ過し、UFモジュール14の透過水中の粗大粒子を粗大粒子数測定用ろ過膜の表面に捕捉する。さらに必要に応じて、サンプリング管17と粗大粒子数測定用ろ過装置10との間にポンプやガスによる加圧手段等を設けて、加圧ろ過を行ってもよい。加圧手段を用いることによって、ろ過速度を増加させ、ろ過時間の短縮を図ることができる。
このとき、ろ過流量は、中空糸膜を用いたろ過装置の場合には、ろ過膜表面におけるろ過ムラを防ぐために、1分あたり0.2mL以上1.5mL以下であることが好ましい。図2に示す粗大粒子数測定用ろ過装置2のように、平膜を用いたろ過装置の場合には、例えば、孔径0.4μm、内径25mmφ、有効ろ過膜径20mmφの円形の平膜メンブレン(MF)を用いた場合、1分あたり0.1mL以上2000mL以下であることが好ましく、500mL以上2000mL以下であることがより好ましい。本実施形態では、超純水製造システム1を稼働した状態で、UFモジュール14の透過水又は濃縮水をろ過するため、ろ過流量の調節は特に行わなくても、上記した好ましい範囲に調節することができる。
サンプリングは、ろ過液であるサンプル水が、粗大粒子の計数に必要な水量に達するまで行う。水量の計測は、例えばろ過液計量槽20に一定量を蓄えることにより行ったり、流量と時間を計測することにより行うことができる。ろ過量は例えば、トータルのろ過量で500L以上であることが好ましい。ろ過時間は短いほうが好ましく、例えば、1日〜3日程度とする。
サンプリングを終了した後、粗大粒子数測定用ろ過装置10を取り外し、粗大粒子数測定用ろ過膜を取り出して、その粗大粒子捕捉面側を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。
この際、粗大粒子捕捉面側をSEMで観察する前に、粗大粒子数測定用ろ過膜の粗大粒子捕捉面にスパッタリング処理を施す。このような前処理を行った後、SEMで、粗大粒子捕捉面を拡大して、視野を移動させて、視野内の捕捉粗大粒子数を計数する。捕捉粗大粒子数の計数に際しては、例えば、トータルのろ過量を500Lとする場合には、有効ろ過面積の1%以上の視野で実観察することが好ましい。また、粗大粒子数が多く観察された場合には有効ろ過面積の1%未満でもよい。計測した捕捉粗大粒子数と有効ろ過膜面積、視野面積、視野数から、下記式(1)により単位体積あたりのUFモジュール透過水中の粗大粒子数を算出する。
超純水中の粗大粒子濃度(個/L)=[(計数粒子数(個)×有効ろ過面積(mm))/(視野面積(mm)×視野数)]×[1/ろ過量(L)]
・・・(1)
上記の好ましい有効ろ過膜面積、視野面積、視野数で計測した場合、上記式(1)で算出されるUFモジュール透過水中の粗大粒子濃度の所定の閾値が存在し、閾値を超えるとUFが劣化又は破断していると判断することができる。
さらに、粗大粒子数測定用ろ過膜に捕捉された粗大粒子の構成元素を、EDX、TXRF等によって元素組成の分析することが好ましい。粗大粒子の構成元素が、UFの構成元素と同等の成分であることを確認すれば、UFの劣化をより確実に診断することが可能である。
なお、上記した実施形態では、粗大粒子数測定用ろ過装置10を透過水配管16に接続し、UFモジュール透過水中の粗大粒子数を測定しているが、粗大粒子数測定用ろ過装置10を、UFモジュール14の濃縮水配管に接続して、UF濃縮水中の粗大粒子数を測定してもよい。
また、粗大粒子数測定用ろ過装置10としては、上述した平膜を用いた実施形態(例えば、図2に示す粗大粒子数測定用ろ過装置2)に限定されず、例えば特許文献2に記載の装置において、中空糸膜の代わりに粗大粒子を捕捉可能なろ過膜を用い、捕捉した粗大粒子を上記実施形態と同様に計測してもよい。
以上、本実施形態の限外ろ過膜の診断方法及び診断装置によれば、サンプル水中の粗大粒子を捕捉、計数することで、UFの劣化の時期をより正確にかつ簡易に診断することができる。また、本発明の超純水製造システムによれば、サンプル水中の粗大粒子を捕捉、計数することで、UFの劣化又は破断を、超純水装置を停止させることなく、UFモジュールを非破壊で容易に、かつ、迅速に診断し、高純度の超純水を安定的に製造することができる。
次に、実施例について説明する。例1、2は実施例であり、例3〜6は比較例である。
(例1〜6)
図1に示す超純水製造システム1と同様の超純水製造システムのサンプリング口に取り付けられたサンプリング管に、サンプリングコックを介して、図2に示す粗大粒子測定用ろ過装置2と同様の粗大粒子数測定用ろ過装置を接続した。また、超純水製造システムの限外ろ過膜装置の透過水配管に取水管を取り付け、パーティクルカウンターを設置した。さらに、サンプリング管に、分岐管を用いてUF中空糸膜を備えたろ過装置を接続した。UF中空糸膜ろ過装置は、比較試験のために、サンプル水中の0.03μm以上の微粒子を捕捉できるように設置したものである。
サンプリング管及びサンプリングコックは純水で充分にブローし、サンプリングコックはさらに熱水またはエタノールを用いて殺菌を行った後、サンプリング口に取り付けた。
粗大粒子数測定用ろ過装置には、粗大粒子測定用ろ過膜として、孔径0.4μm、内径25mmφ、有効ろ過膜径20mmφの円形の平膜メンブレン(MF)(ニュークリポアメンブレン、米国GE社製、材質:ポリカーボネート)を用いた。また、UF中空糸膜ろ過装置にはろ過膜として、分画分子量6000、有効ろ過膜面積18.2mmの中空糸膜状の限外ろ過膜(UF)(OLT−6036、旭化成製)を用いた。このようにして設置した粗大粒子数測定用ろ過装置及びUF中空糸膜ろ過装置に、超純水製造システムの限外ろ過膜装置の処理水(比抵抗率18.0MΩ・cm以上、TOC濃度10μg/L以下)の一部をサンプル水として、室温(25℃)の条件で通水して、それぞれろ過を行った。
パーティクルカウンターは、Ultra DI−50(PARTICLE MEASURING SYSTEM社製)を用い、限外ろ過膜装置の透過水中の0.05μm以上の微粒子濃度を測定した。なお、上記パーティクルカウンターの検出下限値は、50個/Lである。
ろ過を終了した後、粗大粒子数測定用ろ過装置を取り外し、ろ過膜を取り出してその粗大粒子捕捉面にスパッタリング処理を施した。その後、粗大粒子捕捉面を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)を用いて倍率2000倍で観察し、計測視野内で粗大粒子捕捉面に付着している粗大粒子の形状と数を測定した(例1、2)。計測視野の面積は、3.5×10−3mm、ろ過量はそれぞれ表1に示すとおりとした。なお、表1において、ろ過時間は、各例におけるろ過量のサンプル水をろ過するために要した時間(日数)であり、分析時間は、SEMで観察した視野内の全粗大粒子数を計数するために要した時間(日数)である。
また、上記と同様に、ろ過を終了した後にUF中空糸膜ろ過装置を取り外し、ろ過膜の微粒子捕捉面をSEM観察して、計測視野内で微粒子捕捉面に付着している0.03μm以上の微粒子数を計測した(例5、6)。
上記で計測した粗大粒子数と、表1に示す有効ろ過面積、ろ過量、上記の視野面積及び任意の視野数を用い、上記式(1)を用いて、サンプル水中の粗大粒子の濃度を算出した。
また、上記で計測した0.03μm以上の微粒子数を用いて、粗大粒子濃度と同様に、下記式(2)を用いてサンプル水中の0.03μm以上の微粒子濃度を算出した。
0.03μm以上の微粒子濃度(個/L)=[((0.03μm以上の微粒子計測数(個)×有効ろ過面積(mm))/(視野面積(mm)×視野数))]×[1/ろ過量(L)]
・・・(2)
また、粗大粒子濃度及び微粒子濃度の測定後、超純水製造システムの限外ろ過膜装置を解体し、限外ろ過膜(UF)の破断の有無を観察した。以上の結果を表1に示す。
表1において、例1、2は、粗大粒子測定用ろ過装置を用い、棒状粗大粒子濃度を測定した結果、例3、4は、パーティクルカウンター法によって微粒子濃度を測定した結果、例5、6はUF中空糸膜を用いて微粒子濃度を測定した結果を示している。
Figure 0006450563
表1の例1、2より、UFの劣化が生じたときの粗大粒子濃度は、ある所定の閾値が存在し、閾値を超えると劣化又は破断、あるいは両者が生じていると判断することができることが分かった。また、孔径0.4μmのMF平膜を用いた場合(例1、2)と、パーティクルカウンター法を用いた場合(例3、4)を比較すると、MF平膜を用いた場合では3〜4日程度でUFの劣化または破断、あるいはその両者が生じているか否かの判断が可能であるのに対し、パーティクルカウンター法を用いた場合は、微粒子数がパーティクルカウンターの測定下限値より低いため、UFの劣化・破断の有無に有意な関連がなく、UFの劣化又は破断の判別が困難であることが分かる。
(例7〜19)
例7〜19では、実際に計測、観察されたサンプル水の棒状粗大粒子のうち、任意に選択した13個について、SEM観察写真からそれぞれの最大径、最小径を測定し、アスペクト比を算出した。結果を表2に示す。例5〜17で計測された棒状粗大粒子の最大径の、平均は2.5μm、最大値は5.2μm、最小値は1.2μmであった。また、最小径の、平均は0.1μm、最大値は0.3μm、最小値は0.1μmであった。これらのアスペクト比の平均値は20.1であり、最小値は12.0、最大値は26.3であった。以上の結果を表2に示す。
Figure 0006450563
(例20〜23)
例20〜23では、棒状粗大粒子、粗大粒子数測定用ろ過膜、超純水製造システムにおける限外ろ過膜装置に使用されているUFの構成元素について、それぞれEDX(Genesis2000、EDAX製)によって分析した結果を表3に示す。
限外ろ過膜装置に備えられるUFはポリスルホン製であるため、EDX分析により構成元素として、C(炭素)、O(酸素)、S(硫黄)が検出された。また、粗大粒子数測定用ろ過膜は、ポリカーボネート製であるため、EDX分析により構成元素として、C、Oが検出された。粗大粒子数測定用ろ過膜に捕捉された棒状粗大粒子の構成元素としては、C、O、Sが検出された。このように、棒状粗大粒子の構成元素として、粗大粒子数測定用ろ過膜には含まれないが、超純水製造システムにおける限外ろ過膜装置のUFに含まれるSが検出されている。したがって、EDX分析の結果から、棒状粗大粒子は、限外ろ過膜装置のUFから発生したものであると判断することができる。
Figure 0006450563
以上、本発明の限外ろ過膜の診断方法及び診断装置によれば、UFモジュールに備えられるUFの劣化又は破断を、超純水装置を停止させることなく、UFモジュールを非破壊で容易に、かつ、短時間で診断することができる。また、本発明の限外ろ過膜の診断装置を備える超純水製造システムによれば、UFの劣化又は破断を、超純水装置を停止させることなく、UFモジュールを非破壊で容易に、かつ、短時間で早期に診断し、高純度の超純水を安定的に製造することができる。
1…超純水製造システム、2,10…粗大粒子数測定用ろ過装置、11…前処理装置、12…一次純水システム、13…二次純水システム、14…限外ろ過膜装置、15…ユースポイント、16…透過水配管、17…サンプリング管、18…サンプリングコック、19…排水口、20…ろ過液計量槽、41…流入口、42…キャップ、43…流出口、44…ベース、45…粗大粒子数測定用ろ過膜、46…筒状側壁、47…排水端管、48…キャップナット、49…リング、50…ドレンスクリーン、51…エッチングプレート、52…空洞部、130…タンク、131…熱交換器(HEX)、132…紫外線酸化装置(TOC−UV)、133…膜脱気装置(MDG)、134…ポリッシャー(Polisher、非再生式混床式イオン交換装置)。

Claims (7)

  1. 超純水を製造する限外ろ過膜の透過水又は濃縮水中の最大径が0.4μmを超え10μm以下の粗大粒子を捕捉可能なろ過膜で、前記限外ろ過膜の透過水又は濃縮水を全量ろ過する工程と、
    前記ろ過膜表面の前記粗大粒子数を測定し、前記粗大粒子数が所定の閾値を超えたときに前記限外ろ過膜が劣化したことを判断する工程と、を備えることを特徴とする限外ろ過膜の診断方法。
  2. 前記ろ過膜表面の前記粗大粒子の形状を観察する工程を備えることを特徴とする請求項1記載の限外ろ過膜の診断方法。
  3. 前記ろ過膜表面の前記粗大粒子の構成元素を分析する工程を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の限外ろ過膜の診断方法。
  4. 前記粗大粒子の形状は、略棒状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の限外ろ過膜の診断方法。
  5. 前記粗大粒子の形状は、アスペクト比(最大径/最小径)で5以上100以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の限外ろ過膜の診断方法。
  6. 前記限外ろ過膜の透過水又は濃縮水を全量ろ過する工程は、
    上下に重なる上部部材及び下部部材と、
    前記上部部材及び前記下部部材の重なり合う中心部に円錐状の凹部として形成された空洞部と、
    前記上部部材の上部に前記空洞部に連通するように突設され、前記サンプル水を導入する取水端管と、
    前記下部部材の下部に前記空洞部に連通するように突設され、前記サンプル水を排出する排水端管と、
    前記上部部材及び前記下部部材の間に、前記空洞部を上下に2分するように水密的に介挿された孔径が0.01μm以上0.4μm以下の平膜と、
    前記上部部材及び前記下部部材を互いに締め付け固定するキャップナットとを備えるろ過装置によって、ろ過することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の限外ろ過膜の診断方法。
  7. 原水に含まれる懸濁物質を除去する前処理装置と、
    前記前処理装置で処理された前処理水中のイオン及び非イオン性物質を除去する一次純水システムと、
    前記一次システムで処理された一次純水中の微量残留物を除去する二次純水システムとを備え、
    前記二次純水システムに限外ろ過膜モジュールを備えて超純水を製造する超純水製造方法であって、
    前記限外ろ過膜モジュールの透過水配管又は濃縮水配管に、
    直接又は枝管を介して、最大径が0.4μmを超え10μm以下の粗大粒子を捕捉可能なろ過膜を備えるろ過装置を接続し、
    前記ろ過装置によって前記限外ろ過膜の透過水又は濃縮水を全量ろ過して、
    その後、前記ろ過膜表面の前記粗大粒子数を測定し、前記粗大粒子数が所定の閾値を超えたときに前記限外ろ過膜が劣化したことを判断することを特徴とする超純水製造方法。
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