JP2020171892A - 中空糸膜損傷検出装置及び超純水製造装置並びに中空糸膜損傷検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中空糸膜の損傷を検出する精度を高める。【解決手段】本発明の中空糸膜損傷検出装置は、計測器、透過水供給機構及び判定部を備えている。計測器は、水中に含まれる微粒子の濃度を計測する。透過水供給機構は、中空糸膜を内蔵する限外ろ過膜モジュールの一端部側及び他端部側からそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、計測器へ個別に供給する。判定部は、前記個別に供給された第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、前記第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、の前記計測器による計測結果に基づいて、中空糸膜が損傷しているか否かを判定する。【選択図】図3
Description
本発明は、中空糸膜の損傷を検出するための中空糸膜損傷検出装置及び超純水製造装置並びに中空糸膜損傷検出方法に関する。
従来、超純水製造装置は、被処理水中に含まれる微粒子を低減させるために、水処理系の最後段に限外ろ過膜装置が設置されることが多い(例えば特許文献1参照)。限外ろ過膜装置は、複数の中空糸膜を有する限外ろ過膜モジュールを内蔵しており、各中空糸膜(ろ過面)に対して被処理水を供給し、その被処理水の一部を中空糸膜で限外ろ過して透過水として吐出し、残りの微粒子など、中空糸膜(ろ過面)を透過しないものを濃縮して濃縮水として排出させるクロスフローろ過方式が一般に適用されている。
超純水製造装置では、要求水質が維持されていることを確認するために水質検査が行われている。水質管理項目の一つとして、例えば被処理水1L中に含まれる粒子径0.05μm以上の粒子(微粒子)の数が200個/L以下である微粒子濃度の計測などが挙げられる。微粒子濃度の計測には、オンラインモニタであるパーティクルカウンタなどが主に用いられている。パーティクルカウンタでは、微粒子を含む試料(被処理水)に対して発光素子側から光を照射し、受光素子側での受光の結果に基づき微粒子濃度を計測する光散乱方式や光遮蔽方式などが採用されている。
さらに、また近年の純水製造装置(超純水製造装置)の場合、より小さい微粒子を極めて低濃度まで安定して低減することが求められる場合がある。例えば、従来では0.05μm以上の微粒子を高度に除去すればよかったが、近年は、0.02μm以上の微粒子を500個/L以下と高度に除去する必要が生じており、今後、0.01μm等さらに細かい微粒子まで除去する必要がある。
ここで、オンラインモニタである上記したパーティクルカウンタは、時間経過に応じて逐次変動する微粒子濃度の計測値がモニタされることになる。これに加えて、パーティクルカウンタは、受光素子(光電変換素子)の温度特性の影響などにより、微粒子濃度の計測値の変動を増大させる要因を、仕様上の既存の課題として抱えている。特に、近年において必要となってきた、例えば0.02μm以上の微粒子を測定可能とするパーティクルカウンタの場合、その傾向が大きくなっている。
したがって、このようなパーティクルカウンタは、微粒子濃度の計測結果のばらつき(ゼロカウント値がシフトする変動幅)が比較的大きいことから、例えば限外ろ過膜モジュール内の中空糸膜に破断などの物理的な損傷が生じていたとしても、上記したばらつきの大きい微粒子濃度の計測結果からでは、中空糸膜の損傷などを検出することが難しく、この点において改善が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、中空糸膜の損傷を検出する精度を高めることができる中空糸膜損傷検出装置及び超純水製造装置並びに中空糸膜損傷検出方法の提供を目的とする。
本発明の中空糸膜損傷検出装置は、計測器、透過水供給機構及び判定部を備えている。計測器は、水中に含まれる微粒子の濃度を計測する。透過水供給機構は、中空糸膜を内蔵する限外ろ過膜モジュールの一端部側及び他端部側からそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、計測器へ個別に供給する。判定部は、前記個別に供給された第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、前記第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、の前記計測器による計測結果に基づいて、中空糸膜が損傷しているか否かを判定する。
前述した透過水供給機構は、第1及び第2の導水流路並びにバルブを有する。第1の導水流路は、前記第1の透過水を限外ろ過膜モジュールの一端部側から前記計測器側へ導く流路である。一方、第2の導水流路は、前記第2の透過水を限外ろ過膜モジュールの他端部側から前記計測器側へ導く流路である。バルブは、第1及び第2の導水流路上に1つ以上設けられている。
また、上記した判定部は、前記計測器によりそれぞれ計測された第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、の差分がしきい値以上である場合に、中空糸膜が損傷していると判定する。
さらに、本発明の超純水製造装置は、上述した中空糸膜損傷検出装置、一次純水製造部、及び二次純水製造部を備えている。一次純水製造部は、被処理水に水処理を施して一次純水を製造する。二次純水製造部は、一次純水製造部の下流側に設けられ、前記製造された一次純水にさらなる水処理を施して二次純水を製造する。この二次純水製造部は、限外ろ過膜モジュールを備えた限外ろ過膜装置を有する。
また、本発明の中空糸膜損傷検出方法は、供給する工程及び判定する工程を有する。供給する工程では、中空糸膜を内蔵する限外ろ過膜モジュールの一端部側及び他端部側からそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、水中に含まれる微粒子の濃度を計測する計測器へ、個別に供給する。一方、判定する工程では、前記個別に供給された第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、の前記計測器による計測結果に基づいて、前記中空糸膜が損傷しているか否かを判定する。
本発明によれば、中空糸膜の損傷を検出する精度を高めることができる中空糸膜損傷検出装置及び超純水製造装置並びに中空糸膜損傷検出方法を提供することが可能である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る超純水製造装置10は、被処理水を水処理して超純水を得る装置であって、前処理部12、一次純水製造部14、被処理水の流路17、タンク16、及び二次純水製造部18、を含む水処理系15、並びに中空糸膜損傷検出装置19を備えている。前処理部12は、原水として、市水、井水、工業用水などを導入する。この前処理部12は、原水の水質などに応じて適宜の構成を有し、原水の懸濁物質を除去して前処理水を生成する。前処理部12は、例えば砂ろ過装置や精密ろ過装置などを備え、さらに、必要に応じて被処理水の温度を調節するための熱交換器などを有している。
図1に示すように、本実施形態に係る超純水製造装置10は、被処理水を水処理して超純水を得る装置であって、前処理部12、一次純水製造部14、被処理水の流路17、タンク16、及び二次純水製造部18、を含む水処理系15、並びに中空糸膜損傷検出装置19を備えている。前処理部12は、原水として、市水、井水、工業用水などを導入する。この前処理部12は、原水の水質などに応じて適宜の構成を有し、原水の懸濁物質を除去して前処理水を生成する。前処理部12は、例えば砂ろ過装置や精密ろ過装置などを備え、さらに、必要に応じて被処理水の温度を調節するための熱交換器などを有している。
一次純水製造部14は、被処理水(前処理水)に水処理を施して一次純水を製造する。この一次純水製造部14は、前処理水中の有機成分、イオン成分、溶存ガスなどを除去して一次純水を製造し、この一次純水をタンク16に供給する。また、一次純水製造部14は、例えば、逆浸透膜装置、イオン交換装置(陽イオン交換装置、陰イオン交換装置、混床式イオン交換装置など)、紫外線酸化装置、及び脱気装置(真空脱気装置、脱気膜装置など)のうちの1つ以上を適宜組み合わせて構成される。一次純水は、例えば全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)濃度が5μgC/L以下、抵抗率が17MΩ・cm以上である。タンク16は、一次純水を貯留し、その必要量を二次純水製造部18に供給する。
一方、二次純水製造部18は、一次純水製造部14の下流側に設けられ、一次純水製造部14により製造された一次純水にさらなる水処理を施して二次純水を製造する。この二次純水製造部18は、一次純水中の不純物を除去して超純水(二次純水)を製造し、この超純水を使用場所であるユースポイント(POU:Point Of Use)20に供給する。タンク16は、一次純水製造部14と二次純水製造部18との間に介在されている。
ユースポイント20は、二次純水製造部18及び中空糸膜損傷検出装置19の下流側に設けられている。流路17は、水処理系15を構成する前処理部12、一次純水製造部14及び二次純水製造部18によって水処理された被処理水をユースポイント20へ向けて送る。また、流路17は、ユースポイント20を通過した被処理水をタンク16に帰還させる帰還流路(第3の帰還流路)17aを有している。つまり、ユースポイント20を通過した余剰分の超純水は、流路17の帰還流路17aを通ってタンク16にて回収される。二次純水製造部18を含む二次純水製造のための水処理系は、タンク16、二次純水製造部18、ユースポイント20、帰還流路17aで形成される循環系を用いて、常に一定量の超純水を製造して、連続で運転される。
より具体的には、図2に示すように、二次純水製造部18は、サークルポンプ22、熱交換器(HEX:Heat Exchanger)23、紫外線酸化装置(TOC−UV)24、膜脱気装置(MDG:membrane degasifier)25、ポリッシャ26、及び限外ろ過膜(UF:Ultrafiltration Membrane)装置27を備えている。
サークルポンプ22は、タンク16内に収容された被処理水(一次純水)を熱交換器23に供給する被処理水供給ポンプである。熱交換器23は、サークルポンプ22から供給された被処理水の温度を調節する。この際、被処理水は、熱交換器23によって例えば25±3℃に温度調節される。
紫外線酸化装置24は、熱交換器23で温度調節された被処理水(一次純水)に紫外線を照射して、被処理水中の微量有機物を分解除去する。紫外線酸化装置24は、例えば紫外線ランプを有し、波長185nm付近の紫外線を発生させる。紫外線酸化装置24は、波長254nm付近の紫外線を発生させるものであってもよい。このような紫外線酸化装置24内で被処理水に紫外線が照射されると、紫外線が被処理水を分解してOHラジカルを生成し、主にこのOHラジカルが、被処理水中の有機物を酸化分解する。
膜脱気装置25は、気体透過性の膜の二次側を減圧して、一次側を通流する被処理水中の溶存ガスのみを二次側に透過させて除去する装置である。ポリッシャ26は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された混床式のイオン交換樹脂を有し、被処理水の中の微量の陽イオン成分及び陰イオン成分を吸着除去する非再生型の混床式イオン交換装置である。
図2に示すように、限外ろ過膜装置27は、流路17上における最下流のユースポイント20との間で中空糸損傷検出装置19を挟む位置に設けられている。限外ろ過膜装置27は、図3、図4に示す中空糸型の1つ以上の限外ろ過膜モジュール28、並びに配管及びバルブによって構成されている。限外ろ過膜モジュール28は、図4に示すように、複数の中空糸膜28eを有している。この限外ろ過膜モジュール28の1つあたりの通水流量は、例えば10m3/hである。このような限外ろ過膜モジュール28を内蔵する限外ろ過膜装置27は、ポリッシャ26による被処理水をさらに水処理することにより、例えば粒子径0.05μm以上の微粒子を除去して超純水(二次純水)を得る。本発明における限外ろ過膜モジュール28は、中空糸の両端を固定した両端支持型のモジュールを好適に使用できる。また、内圧式、外圧式のいずれのモジュールも好適に使用できる。例えば、旭化成社製のOLT−6036等が例示される。
ここで、本実施形態の超純水製造装置10における製造スペック内の超純水(所期の水質条件を満足する超純水)は、粒子径0.05μm以上の微粒子の数が200個/L以下であり、また、全有機炭素濃度が1μgC/L以下であり、さらには抵抗率が18MΩ・cm以上である。
また、上記した限外ろ過膜モジュール28は、クロスフローろ過方式が適用されている。図3、図4には、外圧式限外ろ過モジュールを用いた場合の装置構成を示す。限外ろ過膜モジュール28は、第1の透過水吐出口28a、第2の透過水吐出口28b、濃縮水排出口28c、供給水導入口28dを備えている。第1の透過水吐出口28aは、限外ろ過膜モジュール28の一端部(上端部)側に設けられている。第2の透過水吐出口28bは、限外ろ過膜モジュール28の他端部(下端部)側に設けられている。ここで、上記した複数の中空糸膜28eは、これらの上端部(一端部)及び下端部(他端部)が、限外ろ過膜モジュール28の上端部(一端部)及び下端部(他端部)に両持ちで支持されている。このように、中空糸型膜モジュールの構造は、中空糸膜そのものが支持体でもあるためスペーサーなどの流路材が不要であり、膜の集積度・容積効率を高くできる長所がある。その一方で、中空糸膜28eの図4中のポイントP1(上端部)、ポイントP2(下端部)において、通水時や熱収縮時に機械的ストレスが生じやすい問題点がある。
上記した供給水導入口28dは、ポリッシャ26から吐出された被処理水(供給水)を限外ろ過膜モジュール28内に導入する。限外ろ過膜モジュール28内では、中空糸膜28eのろ過面(周面)に対して被処理水が外圧により径方向から供給される。その被処理水は、中空糸膜28eのろ過面で限外ろ過された透過水と、微小なパーティクル等の中空糸膜28eのろ過面を透過しないものを多量に含む濃縮水と、に分離される。透過水は、中空糸膜28eの中心部を通り、第1及び第2の透過水として、第1及び第2の透過水吐出口28a、28bからそれぞれ吐出される。一方、濃縮水は、濃縮水排出口28cから外部に排出される。
次に、本実施形態の中空糸膜損傷検出装置19の構成について図1〜図4に基づき詳述する。中空糸膜損傷検出装置19は、計測器としてのパーティクルカウンタ19a、透過水供給機構19c及び判定部19bを備えている。パーティクルカウンタ19aは、水中(被処理水中)に含まれる微粒子の濃度を計測する。パーティクルカウンタ19aは、光散乱方式や光遮蔽方式を用いて光学的に微粒子の濃度を計測する計測器であって、微粒子を含む試料(被処理水)に対して発光素子(光源)側から光を照射する一方で、受光素子側での受光の結果に基づき、微粒子濃度を時間の経過に応じて数値化するオンラインモニタである。本発明において使用されるパーティクルカウンタは、Particle Measuring Systems社製のUltra DI20(UDI−20)、Ultra DI50(UDI−50)等がある。
ここで、パーティクルカウンタ19aは、時間経過に伴い逐次変動する微粒子濃度の計測値がモニタされることになる。これに加えて、パーティクルカウンタ19aは、受光素子(光電変換素子)の温度特性の影響などにより、微粒子濃度の計測値の変動を増大させる要因を、仕様上の既存の課題として抱えている。
そこで、透過水供給機構19cは、図3に示すように、限外ろ過膜モジュール28の上端部(一端部)側の第1の透過水吐出口28a及び下端部(他端部)側の第2の透過水吐出口28bからそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、パーティクルカウンタ19aへ個別に供給する。詳述すると、透過水供給機構19cは、上記した第1の透過水と第2の透過水とを、互いの供給のタイミングを異ならせて(後述する第1及び第2の開閉バルブ19g、19hを用いて供給のタイミングをずらして)、パーティクルカウンタ19aへ供給する。
この透過水供給機構19cは、第1及び第2の吐出流路19j、19k、第1及び第2の導水流路19e、19f、共用導水流路19d、並びにバルブを有する。バルブは、第1及び第2の導水流路19e、19f上に1つ以上設けられている。本実施形態では、第1及び第2の導水流路19e、19f上のそれぞれに例えば手動型の第1及び第2の開閉バルブ19g、19hが設けられている。第1及び第2の吐出流路19j、19kは、第1の透過水吐出口28a及び第2の透過水吐出口28bとユースポイント20とをつなぐ流路である。
第1の導水流路19eは、第1の吐出流路19jから分岐し、第1の透過水を限外ろ過膜モジュール28の一端部側からパーティクルカウンタ19a側へ導く流路である。一方、第2の導水流路19fは、第2の吐出流路19kから分岐し、第2の透過水を限外ろ過膜モジュール28の他端部側からパーティクルカウンタ19a側へ導く流路である。共用導水流路19dは、第1及び第2の導水流路19e、19fとパーティクルカウンタ19aとをつなぐ流路である。
一方、判定部19bは、個別に(互いの供給のタイミングを異ならせて)供給された第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、のパーティクルカウンタ19aによる計測結果に基づいて、中空糸膜28eが損傷(破断)しているか否かを判定する。より具体的には、判定部19bは、パーティクルカウンタ19aによりそれぞれ計測された第1の透過水中に含まれる一方の微粒子の濃度と、第2の透過水中に含まれる他方の微粒子の濃度と、の差分がしきい値以上である場合に、中空糸膜28eが損傷していると判定する。この場合の差分とは、時間の経過に伴い変動する、一方の微粒子濃度の単位時間(規定時間)あたりの微粒子濃度平均値(平均微粒子濃度)と、他方の微粒子濃度の単位時間(規定時間)あたりの微粒子濃度平均値と、の差分などを例示することができる。
つまり、中空糸膜28eの一端部側が損傷している場合では、第1の透過水中に含まれる一方の微粒子濃度が、第2の透過水中に含まれる他方の微粒子濃度よりも高い値で検出される。また、中空糸膜28eの他端部側が損傷している場合では、第2の透過水中に含まれる他方の微粒子濃度が、第1の透過水中に含まれる一方の微粒子濃度よりも高い値で検出される。したがって、中空糸膜28eの一端部側又は他端部側に破断などの物理的な損傷が生じていた場合、上記した一方の微粒子濃度の計測結果と他方の微粒子濃度の計測結果とに、比較的大きな差異が表れることから、中空糸膜28eの損傷を比較的高い精度で検出することが可能となる。
次に、本実施形態の中空糸膜損傷検出装置19による中空糸膜損傷検出方法を、図1〜図4に加え、図5に示すフローチャートに基づき説明する。まず、例えば、第1の導水流路19e上の第1の開閉バルブ19gを開放する一方で、第2の導水流路19e上の第2の開閉バルブ19hを閉鎖する(S1)。この状態で、限外ろ過膜モジュール28における一端部(上端部)の第1の透過水吐出口28aから、第1の吐出流路19j、第1の導水流路19e、共用導水流路19dを介して、第1の透過水を、パーティクルカウンタ19a側へ導き、第1の透過水中の微粒子濃度をパーティクルカウンタ19aで計測する(S2)。
次に、例えば、第1の導水流路19e上の第1の開閉バルブ19gを閉鎖する一方で、第2の導水流路19f上の第2の開閉バルブ19hを開放する(S3)。この状態で、限外ろ過膜モジュール28における他端部(下端部)の第2の透過水吐出口28bから、第2の吐出流路19k、第2の導水流路19f、共用導水流路19dを介して、第2の透過水を、パーティクルカウンタ19a側へ導き、第2の透過水中の微粒子濃度をパーティクルカウンタ19aで計測する(S4)。
続いて、判定部19bは、直近で計測した第1及び第2の透過水中の微粒子濃度の差分、今回の場合はS2で計測した第1の透過水中の微粒子濃度とS4で計測した第2の透過水中の微粒子濃度との差分が、しきい値以上であるか否かを判別し(S5)、差分がしきい値以上である場合(S5のYES)、中空糸膜28eに損傷が有ると判定し(S6)、一方、差分がしきい値以上ではない場合(S5のNO)、中空糸膜28eには損傷が無いと判定する(S7)。
次に、例えば、第2の導水流路19f上の第2の開閉バルブ19hを閉鎖する一方で、第1の導水流路19e上の第1の開閉バルブ19gを開放する(S8)。この状態で、限外ろ過膜モジュール28における一端部(上端部)の第1の透過水吐出口28aから、第1の吐出流路19j、第1の導水流路19e、共用導水流路19dを介して、第1の透過水を、パーティクルカウンタ19a側へ導き、第1の透過水中の微粒子濃度をパーティクルカウンタ19aで計測する(S9)。
続いて、判定部19bは、直近で計測した第1及び第2の透過水中の微粒子濃度の差分、今回の場合はS4で計測した第2の透過水中の微粒子濃度とS8で計測した第1の透過水中の微粒子濃度との差分が、しきい値以上であるか否かを判別し(S10)、差分がしきい値以上である場合(S10のYES)、中空糸膜28eに損傷が有ると判定し(S11)、一方、差分がしきい値以上ではない場合(S10のNO)、中空糸膜28eには損傷が無いと判定する(S12)。
以降は、S3に戻って同様の処理を繰り返す。なお、図5に示すように、中空糸膜28eに損傷が有ると判定した後も、引き続き同様の処理を繰り返してもよい。その場合、例えば中空糸膜28eに損傷が有ると判定した後の計測データも蓄積することができる等の利点がある。
ここで、前述したように、判定部19bがしきい値と比較する第1及び第2の透過水中の微粒子濃度の差分については、直近で計測した第1及び第2の透過水中の微粒子濃度の差分が適用される。具体的には、図5に示すように、例えば1サイクル目のS5で適用される差分は、1サイクル目のS2及びS4でそれぞれ計測(直近で計測)された第1及び第2の透過水中の微粒子濃度の差分が適用される。さらに、例えば1サイクル目のS10で適用される差分は、1サイクル目のS4及びS9でそれぞれ計測(直近で計測)された第1及び第2の透過水中の微粒子濃度の差分が適用される。つまり、このようにして直近で計測された微粒子濃度の計測結果が当該差分の算出に適用される。
同様に、例えば2サイクル目のS5では、1サイクル目のS9及び2サイクル目のS4でそれぞれ計測された計測結果が差分の算出に適用され、さらに、例えば2サイクル目のS10では、2サイクル目のS4及び2サイクル目のS9でそれぞれ計測された計測結果が差分の算出に適用される。言い換えると、例えば2サイクル目のS5において、S2での計測結果が再度用いられることや、1サイクル目のS4での計測結果が再度用いられることなどを避けることが好ましい。
本発明において、限外ろ過膜装置27が、複数の限外ろ過膜モジュール28で構成されている場合、中空糸膜損傷検出装置19を限外ろ過膜モジュール28と同数用意して1つずつ接続することも可能であるが、例えば1つの中空糸膜損傷検出装置19と全ての限外ろ過膜モジュール28を接続し、計測対象の限外ろ過膜モジュール28をバルブで切り替えながら使用することも可能である。この場合、計測対象の限外ろ過膜モジュール28を切り替えるタイミングとしては、S5及びS10における判定を、少なくとも各1回は行った後とすることが好ましい。
既述したように、本実施形態の中空糸膜損傷検出装置19は、パーティクルカウンタ19aによる微粒子濃度の計測結果のばらつき(ゼロカウント値がシフトする変動幅)が比較的大きいことを踏まえたうえで、上記した第1の透過水と第2の透過水とを、個別にパーティクルカウンタ19aへ供給し、第1の透過水中における一方の微粒子濃度の計測結果と第2の透過水中における他方の微粒子濃度の計測結果との差分(互いの計測値の比較結果)に基づき、中空糸膜28eが損傷しているか否かを判定するものである。つまり、中空糸膜損傷検出装置19によれば、中空糸膜28eの一端部側又は他端部側が損傷しているとき、上述したように、この場合の損傷が微粒子濃度の計測結果どうしの差分として比較的明確に表れるため、これにより、中空糸膜28eの損傷の検出精度を高めることができる。
ここで、S1、S3及びS8におけるバルブ開閉処理完了直後は、バルブから微粒子などの汚染が透過水に流出している可能性が高い。この影響を抑えるために、S2、S4及びS9における計測開始は、バルブ開閉処理完了から10分以上経過後とすることが好ましく、15分以上経過後とすることがさらに好ましい。
差分をとる対象である第1及び第2の透過水中における微粒子濃度の計測のうち、先に行う計測の開始から後に行う計測の完了までにかける時間、例えばS2における計測開始からS4における計測完了までにかける時間は、48時間以下であることが好ましく、30時間以下であればさらに好ましい。この時間が十分に短ければ、第1及び第2の透過水の微粒子濃度の計測値に対する先述の受光素子(光電変換素子)の温度特性の影響などによる変動を、両者で同程度とみなすことができる。すなわち、第1の透過水中の微粒子濃度と第2の透過水中の微粒子濃度との差分をとることで、変動をキャンセルすることができる。
S2、S4及びS9における計測時間(後述する計測時間D)は、それぞれ3時間以上であることが好ましく、5時間以上であればさらに好ましい。計測時間を十分に確保すれば、後述するパーティクルカウンタ19aの計測結果のブレによって瞬間的に発生する異常に大きい値、あるいは小さい値が平均微粒子濃度や標準偏差に与える影響を抑えることができる。
次に、本発明の実施例を上述した図3に加え、図6〜図14に基づき説明する。ここで、上述した図3は、実施例として適用する中空糸膜損傷検出装置19の構成を示している。また、図6は、比較例としての限外ろ過膜装置及びパーティクルカウンタを含む装置の構成を示している。さらに、図7は、図3に示す実施例の中空糸膜損傷検出装置19による微粒子濃度の計測結果を予測したグラフであり、図8は、図6に示す比較例の装置による微粒子濃度の計測結果を予測したグラフである。
また、図9は、図3の実施例の中空糸膜損傷検出装置による中空糸膜の破断(損傷)前の微粒子濃度の計測結果を示すグラフであり、図10は、図3の実施例の中空糸膜損傷検出装置19による中空糸膜の破断後の微粒子濃度の計測結果を示すグラフである。さらに、図11は、図9及び図10に示した中空糸膜の損傷前後の微粒子濃度と標準偏差とを示す図である。また、図12は、図6の比較例の装置による中空糸膜の破断(損傷)前の微粒子濃度の計測結果を示すグラフであり、図13は、図12中の通水時間A、Bの期間における微粒子濃度の計測結果を拡大して示すグラフである。さらに、図14は、図6の比較例の装置による中空糸膜の破断(損傷)前後における微粒子濃度の計測結果を示す図である。
図6に示すように、比較例の装置は、限外ろ過膜モジュール28の上端部から吐出する第1の透過水と、限外ろ過膜モジュール28の下端部から吐出する第2の透過水と、を第1、第2の吐出流路19j、19kを介して合流した後、この合流した透過水は、開閉バルブ19qが設けられた導水流路19pを通じてパーティクルカウンタ19aに導かれる。パーティクルカウンタ19aは、合流した透過水に含まれる微粒子の濃度を計測する。
中空糸膜損傷検出装置19を適用する実施例では、図7に示すように、限外ろ過膜モジュール28の例えば一端部側が破断(損傷)した場合において、通水時間(hr)の経過に伴う当該一端部側の第1の透過水における微粒子濃度(1Lあたりの0.02μm以上の微粒子数)の予測変化を点線で表している。さらに、図7では、通水時間の経過に伴う中空糸膜28eの他端部側の第2の透過水における微粒子濃度の予測変化を実線で表している。中空糸膜28eの破断前から、パーティクルカウンタ19aの計測値は、先述の受光素子(光電変換素子)の温度特性の影響などにより、ブレ(計測結果のばらつき)が発生している。中空糸膜28eの破断後では、第1及び第2の透過水の両方の微粒子濃度が増加することが予想されるものの、中空糸膜28eの破断側(一端部側)の第1の透過水における微粒子濃度の増加量が、第2の透過水における微粒子濃度の増加量よりも多くなる(その差:K1)ことが予想される。
このような微粒子濃度の差が生じることから、中空糸膜28eの破断を判定することが可能となる。つまり、パーティクルカウンタ19aによる微粒子濃度の計測結果にブレが生じていたとしても、限外ろ過膜モジュール28(中空糸膜28e)における一端部側及び他端部側の第1及び第2の透過水の微粒子濃度をそれぞれ計測して互いの計測結果を比較(各計測結果の差分を抽出)していることで、膜破断なのか、パーティクルカウンタ19aの計測結果のブレなのかを判別することができる。一方、図8に示すように、比較例の装置による予想の微粒子濃度の計測結果については、第1及び第2の透過水を合流させた透過水における微粒子濃度が、パーティクルカウンタ19aで計測されるため、当該図8に例示する予想の計測結果からでは、中空糸膜28eの破断なのか、パーティクルカウンタ19aの計測のブレなのかを判別することが困難となる。
これに対して、中空糸膜損傷検出装置19を適用する実施例では、中空糸膜28eの他端部側が破断(下端部が損傷)した場合において、図9、図10では、通水時間(hr)の経過に伴う、上端部側及び下端部側の第1及び第2の透過水における実際の微粒子濃度(1Lあたりの0.02μm以上の微粒子数)について破断前後の各測定結果を表している。また、図11は、図9、図10の測定結果に対応した膜破断前後の平均微粒子濃度(図9、図10では点線で図示)及び標準偏差を一覧表で示している。
図9、図11に示すように、中空糸膜28eの下端部側の膜破断が生じる前では、上端部側及び下端部側の第1及び第2の透過水における平均微粒子濃度は同じ値を示している。これに対して、図10、図11に示すように、中空糸膜28eの下端部側の膜破断が生じた後では、下端部側の第2の透過水における平均微粒子濃度が、上端部側の第2の透過水における平均微粒子濃度よりも、比較的大きな値を示している。つまり、中空糸膜28eの上端部側に比べて下端部側では微粒子濃度が大きく変動したことから、中空糸膜28eの下端部側に膜破断が生じていると判断することが可能となる。
ここで、上述した判定部19bが判定に用いるしきい値としては、粒径C以上の微粒子を濃度測定対象として、前述した計測時間D内における、第1の透過水中の平均微粒子濃度と第2の透過水中の平均微粒子濃度との差分が、E以上であることなどを例示できる。この場合の粒径Cは、例えば、0.05um以上であることが好ましく、0.02um以上であればより好ましい。さらに、差分Eは、例えば、差分をとる対象である第1及び第2の透過水中における微粒子濃度の計測のうち、先に行われた計測の標準偏差とすることが好ましい。例えば、S10における判定であれば、S4における計測結果の標準偏差とすることができる。なお、図11に示すように、例えば中空糸膜28eの下端部側の膜破断が生じた後でも、大きく標準偏差が増大するのは下端部側の第2の透過水における計測結果のみである。すなわち、膜破断が生じた後でも、この方法であれば、上端部側の第1の透過水における計測結果の標準偏差が2回に1回はしきい値として適用されるので、膜破断が生じていると判定されなくなることはない。
また、図12、図13では、図6に示す装置を適用する比較例における、通水時間(hr)の経過に伴う、上端部側及び下端部側から合流した透過水中の実際の微粒子濃度(1Lあたりの0.02μm以上の微粒子数)について、中空糸膜28eの破断が起こっていない状態における、比較的長期にわたってのパーティクルカウンタ19aによる測定結果を表している。また、図14は、中空糸膜28eの下端部側の膜破断前後の微粒子濃度の変動、及び平均微粒子濃度(図12では太い実線で図示、図13及び当該図14では点線で図示)を表している。
中空糸膜28eの破断が起こっていない状態においても、測定が比較的長期にわたると、図12、図13に示すように、先述の受光素子(光電変換素子)の温度特性の影響などによるパーティクルカウンタ19aの計測値のブレが大きくなり、ゼロカウント値も大きくシフトする。このため、図14のような値の変化が見られても、図6に示す比較例の装置による計測では、その原因が、限外ろ過膜モジュール28の膜破断なのか、パーティクルカウンタ19aの計測のばらつきなのかを判別することが困難となる。
これに対して、実施例の中空糸膜損傷検出装置19によれば、上述したように、中空糸膜28eが損傷している場合の検出精度を向上させることができる。
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明は、この実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよいし、上記実施形態に開示した複数の構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
例えば、図3に示した中空糸膜損傷検出装置19に代えて、図15に示すように、中空糸膜損傷検出装置39を適用することも可能である。中空糸膜損傷検出装置39は、中空糸膜損傷検出装置19の第1及び第2の開閉バルブ19g、19hに代えて、例えば電磁式の3方バルブ(3方弁)19rを単一のバルブとして備えている。この3方バルブ19rは、第1及び第2の導水流路19e、19fと共用導水流路19dとの互いの合流箇所に設けられている。3方バルブ19rを切り替え操作することで、限外ろ過膜モジュール28の一端部側及び他端部側からそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、パーティクルカウンタ19a側へ個別に供給することが可能となる。
ここで、中空糸膜損傷検出装置19および中空糸膜損傷検出装置39ともに、例えば第1の透過水をパーティクルカウンタ19a側に供給している間は、第2の導水流路19f内部は第2の透過水が溜まったまま流れない溜まりとなっている。このような溜まりができている間は、そこで生菌が繁殖し、それが溜まりと接触した流水に混入することがある。中空糸膜損傷検出装置39では、3方バルブを設けることで、例えばパーティクルカウンタ19a側へ第1の透過水が供給される際に、第1及び第2の導水流路19e、19fと共用導水流路19dとの互いの合流箇所において、第2の導水流路19f内部で溜まりになっている第2の透過水と接触する機会を抑えることができる。すなわち、先述の生菌混入によりパーティクルカウンタ19aの測定値に狂いが生じる機会を抑えることができる。
また、上記した中空糸膜損傷検出装置39に代えて、図16に示すように、中空糸膜損傷検出装置49を適用することもできる。中空糸膜損傷検出装置49は、中空糸膜損傷検出装置39の3方バルブ19rに代えて、例えば4方バルブ(4方弁)19sを備えている。この4方バルブ19sは、3方バルブ19rと同様に、第1及び第2の導水流路19e、19fと共用導水流路19dとの互いの合流箇所に設けられている。4方バルブ19sを切り替え操作することにより、上記した第1の透過水と第2の透過水とを、パーティクルカウンタ19a側へ個別に供給することができる。
このように4方バルブを設けることで、例えば第1の透過水がパーティクルカウンタ19a側へ供給される間も、第2の導水流路19fに第2の透過水を流し続けることができる。すなわち、溜まりをつくる必要がなく、好ましい。また、このとき、パーティクルカウンタ19aの測定を妨げることなく、第2の導水流路19fに流す第2の透過水の流量をパーティクルカウンタ19aの測定に適した流量(測定用流量)より大きくすることができる。測定用流量より大きい流量の第2の透過水が第2の導水流路19fを流れると、測定用流量の第2の透過水だけが第2の導水流路19fに流れる場合よりも、第2の導水流路19fの内壁への微粒子などの汚染の付着を抑えることができて好ましい。
中空糸膜損傷検出装置19に接続される外圧式の限外ろ過膜モジュール28については、図17に示すように、内圧式の限外ろ過膜モジュール38を用いることも可能である。図17に示すように、限外ろ過膜モジュール38は、第1の透過水吐出口38a、第2の透過水吐出口38b、濃縮水排出口38c、供給水導入口38dを備えている。濃縮水排出口38c及び供給水導入口38dは、限外ろ過膜モジュール38の一端部(上端部)及び他端部(下端部)における各端面にそれぞれ設けられている。第1の透過水吐出口38a及び第2の透過水吐出口38bは、限外ろ過膜モジュール38の一端部及び他端部における各側面にそれぞれ設けられている。
上記した供給水導入口38dは、ポリッシャ26から吐出された被処理水(供給水)を限外ろ過膜モジュール38内に導入する。限外ろ過膜モジュール38内に導入された被処理水(供給水)は、中空糸膜28eの中心部を通りつつ、中空糸膜28eのろ過面(周面)に対して内圧により径方向に供給される。その被処理水は、中空糸膜28eのろ過面で限外ろ過された透過水と、微小なパーティクルなど中空糸膜28eのろ過面を透過しないものを多量に含む濃縮水と、に分離される。透過水は、第1及び第2の透過水として、第1及び第2の透過水吐出口38a、38bからそれぞれ吐出される。一方、濃縮水は、濃縮水排出口38cから外部に排出される。
さらに、図3に示した中空糸膜損傷検出装置19に代えて、図18に示すように、中空糸膜損傷検出装置59を適用することも可能である。中空糸膜損傷検出装置59は、中空糸膜損傷検出装置19の構成に代えて、制御部19t、分岐流路19y、19z、及び電磁弁などの自動式の開閉バルブ19u、19v、19w、19xを備えている。制御部19tは、開閉バルブ19u、19v、19w、19xをそれぞれ開閉制御する。分岐流路19y、19zは、第1、第2の導水流路19e、19fからそれぞれ分岐している。開閉バルブ19u、19vは、第1、第2の導水流路19e、19f上における、分岐流路19y、19zへの分岐箇所よりも上流側にそれぞれ設けられている。一方、開閉バルブ19w、19xは、分岐流路19y、19z上にそれぞれ設けられている。
ここで、自動式の開閉バルブ19u、19v、19w、19xを、制御部19tを通じて適宜開閉操作させることで、限外ろ過膜モジュール28の一端部側及び他端部側からそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、自動で切り替えて、パーティクルカウンタ19a側へ個別に供給することが可能となる。
図19は、例えば第2の透過水をパーティクルカウンタ19a側へ供給する場合の例である。制御部19tが、開閉バルブ19u、19xを閉じ、さらに開閉バルブ19v、19wを開くように制御すると、限外ろ過膜モジュール28の他端部側から吐出される第2の透過水は、まず第2の導水流路19fを通じて、第1及び第2の導水流路19e、19fと共用導水流路19dとの互いの合流箇所まで運ばれる。そこから、測定用流量は共用導水流路19dを通じてパーティクルカウンタ19a側へ供給され、第2の透過水中の微粒子濃度が測定される。一方、測定用流量を除く流量は、第1の導水流路19eの下流側を経て分岐流路19y側に導かれる。
このとき、第1の導水流路19e内部にできる溜まりは、分岐流路19yへの分岐箇所より上流側に限定される。したがって、4方バルブを使用することなく、パーティクルカウンタ19a側へ供給される測定用流量の第2の透過水は、溜まりとは接触しない装置構成とすることができる。また、パーティクルカウンタ19aの測定を妨げることなく、少なくとも第2の導水流路19fに、好ましくは第2の導水流路19f及び第1の導水流路19eの下流側に、測定用流量より大きい流量の第2の透過水を流すことができる。先述のとおり、測定用流量より大きい流量の第2の透過水が流れる流路では、測定用流量の第2の透過水だけが流れる場合よりも、内壁への微粒子などの汚染の付着を抑えることができる。同様の作用は、制御部19tが開閉バルブ19v、19wを閉じ、さらに開閉バルブ19u、19xを開くように制御する場合、すなわち第1の透過水をパーティクルカウンタ19a側へ供給する場合にも成立する。
また、図18に示した中空糸膜損傷検出装置59に代えて、図20に示すように、中空糸膜損傷検出装置69を適用することも可能である。中空糸膜損傷検出装置69は、中空糸膜損傷検出装置59の第2の吐出流路19kに代えて、第2の吐出流路19mを有すると共に、例えば手動式の開閉バルブ19nをさらに備えている。
ここで、限外ろ過膜モジュール28は、複数の中空糸膜28eが、所定のハウジング(ケーシング)内に収容されている。各中空糸膜28eの端部は、ハウジングに対して例えばエポキシ樹脂製の接着剤により固定されている。第2の吐出流路19mは、前記した接着剤の溶質成分を、限外ろ過膜モジュール28内から外部へ積極的に排出させるために設けられている。これにより、透過水の水質を確保することが可能となる。このとき、開閉バルブ19nの開度を絞って第2の吐出流路19m中の流量を低下させれば、第1の吐出流路19jを通じてユースポイント20に供給される透過水の流量も確保できる。上述した第2の吐出流路19m及び開閉バルブ19nと同様の構成を、中空糸膜損傷検出装置59の第1の吐出流路19jに代えて設けてもよいが、供給水導入口28dと同じ側に設けられている第2の吐出流路19kに代えた図20の構成の方がより好ましい。
10…超純水製造装置、14…一次純水製造部、18…二次純水製造部、19,39,49,59,69…中空糸膜損傷検出装置、19a…パーティクルカウンタ(計測器)、19b…判定部、19c…透過水供給機構、27…限外ろ過膜装置、28,38…限外ろ過膜モジュール、28e…中空糸膜、19e…第1の導水流路、19f…第2の導水流路、19g,19h,19n,19u,19v,19w,19x…開閉バルブ、19r…3方バルブ、19s…4方バルブ。
Claims (5)
- 水中に含まれる微粒子の濃度を計測する計測器と、
中空糸膜を内蔵する限外ろ過膜モジュールの一端部側及び他端部側からそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、前記計測器へ個別に供給する透過水供給機構と、
前記個別に供給された第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、前記第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、の前記計測器による計測結果に基づいて、前記中空糸膜が損傷しているか否かを判定する判定部と、
を備える中空糸膜損傷検出装置。 - 透過水供給機構は、
前記第1の透過水を前記限外ろ過膜モジュールの一端部側から前記計測器側へ導く第1の導水流路と、
前記第2の透過水を前記限外ろ過膜モジュールの他端部側から前記計測器側へ導く第2の導水流路と、
前記第1及び第2の導水流路上に設けられた1つ以上のバルブと、
を備える請求項1に記載の中空糸膜損傷検出装置。 - 前記判定部は、前記計測器によりそれぞれ計測された前記第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、前記第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、の差分がしきい値以上である場合に、前記中空糸膜が損傷していると判定する、
請求項1又は2に記載の過膜損傷検出装置。 - 請求項1から3までのいずれか1項に記載の中空糸膜損傷検出装置と、
被処理水に水処理を施して一次純水を製造する一次純水製造部と、
前記一次純水製造部の下流側に設けられ、前記製造された一次純水にさらなる水処理を施して二次純水を製造する二次純水製造部と、
を有し、
前記二次純水製造部は、前記限外ろ過膜モジュールを備えた限外ろ過膜装置を有する、超純水製造装置。 - 中空糸膜を内蔵する限外ろ過膜モジュールの一端部側及び他端部側からそれぞれ吐出される第1の透過水と第2の透過水とを、水中に含まれる微粒子の濃度を計測する計測器へ、個別に供給する工程と、
前記個別に供給された第1の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、前記第2の透過水中に含まれる微粒子の濃度と、の前記計測器による計測結果に基づいて、前記中空糸膜が損傷しているか否かを判定する工程と、
を有する中空糸膜損傷検出方法。
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