JP5050536B2 - 透過膜の阻止率向上方法、透過膜処理方法、透過膜装置および純水製造装置 - Google Patents

透過膜の阻止率向上方法、透過膜処理方法、透過膜装置および純水製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、逆浸透膜、ナノ濾過膜等の透過膜の阻止率を向上させる方法、阻止率を向上させた透過膜を用いる透過膜処理方法、およびこれらに適した透過膜装置に関するものである。
水処理に用いられる透過膜、特にナノろ過膜、逆浸透膜などの選択性透過膜の無機電解質や水溶性有機物等の分離対象物に対する阻止率は、水中に存在する酸化性物質や還元性物質などの影響、その他の原因による素材高分子の劣化によって低下し、必要とされる処理水質が得られなくなる。この変化は、長期間使用しているうちに少しずつ起こることもあり、また事故によって突発的に起こることもある。このような阻止率が低下した透過膜の阻止率を向上させ、性能を回復するために、阻止率向上剤が提案されている。
一般に高純度の純水を製造するための超純水製造システムには、逆浸透膜処理装置と、この逆浸透膜処理装置の透過水を高度処理する電気再生式脱イオン装置または他のイオン交換装置とが組み込まれている。一方、近年の半導体回路形成技術の進歩により、線幅65nm以下の回路を作成することが可能となってきている。それに伴い超純水に対する要求水質も高まっており、後段処理の負荷を軽減し、より高いレベルでの純水製造を実現する純水製造装置および純水製造方法の開発が望まれている。
このような超純水製造システムにおいても、逆浸透膜を阻止率向上剤で処理することが提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1は未公開であるが、重量平均分子量2000〜6000のポリアルキレングルコール、またはそれにアニオン性の官能基を導入したイオン性高分子を含有する阻止率向上剤が示されている。
特許文献2には、水軟化用膜の製造法において、ポリアミド膜の阻止率を向上させるための阻止率向上剤として、加水分解性タンニン酸、スチレン/マレアミド酸コポリマー、C5乃至C7ヒドロキシアルキルメタクリレートポリマー、コポリマーまたはターポリマー、複数個のスルホニウムもしくは第4級アンモニウム基を有する第1のポリマーと複数個のカルボキシレート基を有する第2のポリマーから製造したコアセルベート、任意の他の置換基をもつ枝分れしたポリアミドアミン類、酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシエチル・メタクリレートとメタクリル酸またはメタクリルアミド(任意に他の混和性モノマーを含む)とのコポリマー、スチレン/マレアミド酸コポリマーなどが示されている。
また特許文献3には、水処理に用いられる透過膜の阻止率を向上させるための阻止率向上剤として、重量平均分子量10万以上のイオン性高分子を含有する阻止率向上剤が示されている。このようなイオン性高分子としては、ポリビニルアミジンまたはその誘導体、複素環を有するカチオン性高分子等のカチオン性高分子、ならびにポリアクリル酸またはその誘導体、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体等のアニオン性高分子が示されている。
従来の透過膜の阻止率向上処理は、透過膜を取り付けた状態で、モジュールの1次側に上記の阻止率向上剤を供給することにより、モジュールから透過膜を取り外すことなく阻止率を向上させるか、あるいは供給水に阻止率向上剤を注入することにより、処理操作を継続しながら阻止率を向上させている。複数のモジュールが並列または段階的に配置されている場合でも、阻止率向上剤を、第1段の各モジュールの1次側に均等に供給することにより、全体のモジュールの阻止率を向上させている。
このような透過膜の阻止率向上処理では、阻止率向上剤の供給により透過膜の阻止率が向上した段階で、阻止率向上剤の供給を停止して処理を停止するが、阻止率向上処理の終点を判定するのは困難である。阻止率は処理液と被処理液に含まれる塩分その他の阻止成分の比により計算されるが、阻止率向上処理中に上記の計算により処理液中の阻止成分の阻止率を求めるのは困難である。例えば被処理液の供給を停止して阻止率向上剤のみを供給して向上処理を行う場合には、阻止率向上剤の供給を停止して被処理液を供給し、すなわち阻止率向上処理を中止して、処理液と被処理液に含まれる阻止成分の比により阻止率を求めなければならない。
被処理液の供給を停止することなく阻止率向上剤を供給して向上処理を行う場合でも、阻止率向上剤に含まれる有機・無機成分量や水分の量、ならびに透過する水分量等を考慮する必要があり、阻止率向上の判定は困難である。阻止率向上剤に標識物質を添加し、その除去率から阻止率向上の判定を行うことも考えられるが、標識物質を添加できない場合があり、添加できたとしても阻止率向上処理の終点を判定するためには、精度が不十分な場合がある。
図5(a)、(b)はそれぞれ給水中に阻止率向上剤を供給して阻止率向上処理を行う場合の従来の透過膜装置を示すフロー図である。図中、1はモジュールで、透過膜2により1次側(濃縮液室)3と、2次側(透過液室)4に区画されている。モジュール1の1次側3にはポンプP1を有する被処理液供給路L1が連絡し、2次側4から透過液取出路L2が系外に連絡し、さらに1次側3から弁V1を有する濃縮液取出路L3が系外に連絡している。被処理液供給路L1にはポンプP2を有する阻止率向上剤供給路L4が連絡している。
図5(a)、(b)ではそれぞれモジュール1の1次側3へ被処理液供給路L1からポンプP1により被処理液(原水)を供給し、透過膜2を通して2次側4へ溶媒(水)を透過させ、2次側4から透過液を透過液取出路L2を通して取出すことにより透過膜処理(水処理)を行う。1次側3の濃縮液は濃縮液取出路L3から系外に排出される。透過膜2の阻止率向上処理を行う場合は、阻止率向上剤を阻止率向上剤供給路L4からポンプP2により被処理液供給路L1を通してモジュール1の1次側3へ供給し、阻止率向上剤を透過膜2に付着させて、透過膜2の阻止率を向上させる。
上記従来の阻止率向上処理では、図5(a)の場合、被処理液供給路L1および透過液取出路L2に電導度計E1、E2を設けて被処理液および透過液の電導度を測定し、その測定値から阻止率を計算する。また図5(b)の場合、被処理液供給路L1および透過液取出路L2から分岐するサンプリング路L5、L6から、弁V2、V3を開き被処理液および透過液の試料を採取して、その分析結果から阻止率を計算し、得られた阻止率が所定値になった段階で阻止率向上剤の供給を停止し、阻止率向上処理を終了している。
しかしながらこのような従来法では、前述のように精度が不十分な場合があり、阻止率向上の判定を迅速かつ正確に行うことができない。このように従来法では、阻止率向上処理を中止することなく、阻止率向上の判定を迅速かつ正確に行うことができず、このため過剰な阻止率向上剤が消費されたり、処理が不十分な場合は、再度阻止率向上処理を行う必要があるなどの問題点があった。
特願2006−218471号明細書 特許2762358号公報 特開2006−110520号公報
本発明課題は、阻止率向上処理を中止することなく、阻止率向上の判定を迅速かつ正確に行って効率よく阻止率向上処理を行うことができ、これにより過剰な阻止率向上剤の消費や処理不十分な場合の発生などを防ぐことができる透過膜の阻止率向上方法、および阻止率を向上させた透過膜を用いる透過膜処理方法、ならびにこれらに適した透過膜装置を提供することである。
本発明は次の透過膜の阻止率向上方法、透過膜処理方法および透過膜装置である。
(1) 透過膜モジュールの1次側に阻止率向上剤を供給して透過膜の阻止率を向上させる方法において、
モジュールの1次側に有機物を主成分とする阻止率向上剤を供給し、
モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定し、
測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御することを特徴とする透過膜の阻止率向上方法。
(2) モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量の測定が、モジュールの1次側から取り出される取出液中の阻止率向上剤の量、または取出液を他の液と混合してモジュールの1次側に供給する場合、混合後の液中の阻止率向上剤の量の測定である上記(1)記載の方法。
(3) 阻止率向上剤の量の測定が、有機物量の測定である上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 測定された阻止率向上剤の濃度またはその変化量が所定値になった時点で阻止率向上剤の供給量を減少し、または阻止率向上剤の供給を停止する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 透過膜モジュールが未使用のモジュール、または使用後薬品洗浄されたモジュールである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 阻止率向上剤がイオン性または非イオン性高分子である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 阻止率向上剤がポリアルキレングリコール鎖を有する化合物および/または複数のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を含有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 阻止率向上剤がカチオン性高分子および/またはアニオン性高分子である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 処理対象モジュールの1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力が0.3MP以上、2次側出口の透過水量/阻止率向上剤溶液の供給量が0.2以上である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の方法。
(10) 透過膜モジュールの1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出して透過膜処理を行うと同時に、透過膜モジュールの1次側に阻止率向上剤を通液して阻止率を向上させる上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の方法により阻止率を向上させた透過膜モジュールの1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出す透過膜処理方法。
(12) 1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出す透過膜モジュールと、
モジュールの1次側に有機物を主成分とする阻止率向上剤を通液して、処理対象モジュールの阻止率を向上させる通液装置と、
モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定する測定装置と、
測定装置で測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御する制御装置と
を含む透過膜装置。
(13) 上記(12)に記載の透過膜装置を備えた純水製造装置。
本発明において阻止率向上処理の対象となる透過膜は、1次側に被処理液を通液して透過させ、2次側から透過液を取り出し膜分離を行う透過膜であるが、特に逆浸透膜、ナノ濾過膜等の無機電解質や水溶性有機物等を水から分離する選択性透過膜が対象として適している。このような透過膜は支持材に取り付けてモジュールとして膜分離装置に装備され、膜分離に供されるが、本発明における阻止率向上処理はこのような膜分離装置に装備された状態のモジュールに対して行われる。このような阻止率向上処理の対象となる透過膜は、未使用の透過膜でも、使用により性能が低下した透過膜でもい。
いずれの場合も薬品洗浄を行ったモジュールを阻止率向上処理の対象とすることができるが、特に使用により性能が低下した透過膜の場合は薬品洗浄を行ったものが好ましい。薬品洗浄の目的は膜表面の汚染物質を除去することにより、阻止率向上剤が膜自体に吸着しやすくすることである。洗浄薬品としては酸(塩酸、硝酸、シュウ酸、クエン酸など)、アルカリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウムなど)、酸化・還元剤(過酸化水素、過炭酸、過酢酸、重亜硫酸ナトリウムなど)が用いられ、これら薬品の水溶液をモジュールに通液したり、透過膜を薬品に浸漬することにより洗浄を行う方法が一般的である。
本発明における阻止率向上処理剤は、有機物を主成分とする阻止率向上剤であり、阻止率向上処理により透過膜の溶解性物質の阻止率が向上するものであれば特に制限されることなく使用可能である。このような阻止率向上剤としては、イオン性または非イオン性高分子が好ましい。イオン性高分子の場合、カチオン性高分子、アニオン性高分子、両性高分子等をそれぞれ単独で使用できるが、カチオン性高分子とアニオン性高分子を段階的に、好ましくは交互に供給すると、阻止率向上効果が高まるので好ましい。
好ましい阻止率向上剤としては、ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、複数のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を含有するものがあげられる。これらは公知のものが使用でき、前記特許文献1〜3に記載のもの、ならびに他の阻止率向上能を有するものなどが使用できる。特に好ましい阻止率向上剤としては、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンなどの水溶性高分子やタンニン酸などのポリフェノール、特許文献2に記載のイオン性高分子(ポリアミジン、ポリスチレンスルホン酸)、特許文献3に記載の重量平均分子量2000〜6000のポリエチレングリコール鎖を有する化合物などがあげられる。ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物としては、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール誘導体をあげることができる。
これらの阻止率向上剤は、処理対象となる透過膜の材質、形態等に応じて適したものが選ばれ、純水または被処理水等の溶媒に溶解して使用される。阻止率向上剤の濃度はそれぞれの透過膜、モジュールの形式等により変わるが、一般的には0.01〜1000mg/L程度、好ましくは0.1〜100mg/Lの濃度に調製して阻止率向上処理に供される。阻止率向上剤は、複数のものを組合わせて用いることができ、この場合混合して通液してもよく、また別々に時間をずらせて通液することもできる。
本発明における阻止率向上処理は、処理対象モジュールに阻止率向上剤を供給して阻止率を向上させる。この場合、透過膜を取り付けたモジュールの1次側に阻止率向上剤を供給し、阻止率向上剤を透過膜に付着させ、透過膜の阻止率向上させる。透過膜への吸着性の高い阻止率向上剤を用いる場合は、阻止率向上剤をモジュールに供給して透過膜と接触させた状態を保ち、あるいは低圧で流動させて吸着させることができるが、一般的には阻止率向上剤を高圧で供給して透過膜を透過させ、2次側から透過液を取り出すことにより、透過膜の内部まで阻止率向上剤を付着させるのが好ましい。
この場合、処理対象モジュールの1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力は、処理対象モジュールの通常使用時(RO処理時)の圧力によって異なり、通常使用時の圧力がおよそ0.75MPaである場合には、1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力は0.3MPa以上、好ましくは0.3〜1MPaとすることができ、処理対象モジュールの通常使用時の圧力がおよそ1.5MPaの場合には、先の場合の2倍、即ち、1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力は0.6MPa以上、好ましくは0.6〜2MPaとすることができる。そして2次側出口の透過水量/阻止率向上剤溶液の供給量が0.2から0.8とすることができる。
阻止率向上処理はモジュールから透過膜を取り外さずに阻止率向上剤を供給して阻止率向上処理を行うことができる。阻止率向上処理は透過膜処理(水処理)を停止してバッチ式に行ってもよく、また透過膜処理の継続中に、供給水に阻止率向上剤を注入することにより、透過膜処理操作を継続しながら阻止率向上処理を行ってもよい。モジュールの1次側に供給した阻止率向上剤は一部の成分が透過膜に付着し、残部の成分が残留したまま1次側から取出されるので、供給側に循環して補給する阻止率向上剤と混合して1次側に供給することができる。2次側から透過液が得られる場合、透過液も循環することができる。
阻止率向上処理対象とするモジュールは1つのモジュールに限らず、複数のモジュール、あるいは複数のモジュールにより構成される複数のモジュール群などを処理対象モジュールとすることができる。透過膜装置が複数のモジュールから構成される場合、透過膜処理中に一部の単一もしくは複数のモジュールを阻止率向上処理対象として選択し、選択された対象モジュールの透過膜処理を停止し、あるいは停止することなく阻止率向上処理を行うことができる。
段階的に複数のモジュールが配置されている場合、個々のモジュールの1次側に阻止率向上剤を供給して阻止率向上処理を行うことができるが、前段のモジュールの1次側に阻止率向上剤を供給し、前段のモジュールの1次側から取り出す濃縮液を後段のモジュールの1次側に供給して段階的に阻止率向上処理を行うことにより、余圧を利用して効率よく阻止率向上処理を行うことができるので好ましい。前段のモジュールの1次側から取り出す濃縮液を後段のモジュールの1次側に供給して段階的に阻止率向上処理を行う場合、前段のモジュールで液の透過が起こると、前段のモジュールの1次側から取り出して後段のモジュールへ供給する濃縮液中の阻止率向上剤濃度が高くなるので、後段のモジュールへ供給する濃縮液中の阻止率向上剤の濃度が適正値を維持するように、前段のモジュールへ供給する阻止率向上剤の注入量または濃度を減少させるのが好ましい。
透過膜の阻止率向上の度合いを従来のように被処理液と処理液の電導度その他の成分から計算するのは困難であるが、本発明ではモジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定し、測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御する。モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量は、モジュールの1次側から取り出される取出液中の阻止率向上剤の量、または取出液を他の液と混合してモジュールの1次側に供給する場合は、混合後の液中の阻止率向上剤の量を測定することにより得ることができる。
モジュールの1次側から取り出される取出液は、透過膜を通して液の透過が起こる場合は濃縮液であるが、液の透過が起こらない場合は残留阻止率向上剤の液となる。取出液または混合液中の阻止率向上剤の量は有機物量として測定され、通常液中の有機物濃度として測定するのが好ましいが、他の値でもよい。阻止率向上剤の透過膜への付着により、取出液中の阻止率向上剤の量は少なくなるが、透過膜からの液の透過による濃縮で阻止率向上剤の量は増加する。このため取出液中の阻止率向上剤の量の測定を継続することにより、透過膜の阻止率向上の度合いと阻止率向上剤の量またはその変化量とを関連付けることができる。
本発明では、測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御するが、その制御方法としては阻止率向上剤の量、好ましくは濃度、またはその変化量が所定値になった時点で阻止率向上剤の供給量を減少し、または阻止率向上剤の供給を停止するように制御することができる。阻止率向上剤の量として有機物量を、例えばTOC計等により液中の全有機性炭素濃度を測定すれば、短時間で正確に測定することができ、阻止率が向上したと判断できる阻止率向上剤の量またはその変化量の検知、およびそれによる制御も簡易かつ迅速に行うことができる。段階的に複数のモジュールが配置されている場合は、各段の濃度を測定してもよいが、最終段の濃度を測定して制御を行うことができる。段階的に複数のモジュールが配置されている場合の前段または中間のモジュールにおける濃度変化については、各段の濃縮率を予測し、または実験的に確かめて濃度変化を予測し、各段の濃縮液が一定の濃度範囲内に維持されるように、プログラムを組んで制御するのが好ましい。
本発明の透過膜処理方法は、上記の阻止率向上処理により阻止率を向上させた透過膜モジュールの1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出す方法であり、モジュールの阻止率を向上させることにより、高水質の処理水を得ることができる。このような透過膜処理中に一部または全部のモジュールの阻止率向上処理を行えば、透過膜処理を中断することなく透過膜の阻止率を向上させることができる。
本発明の透過膜装置は、1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出す透過膜モジュールと、モジュールの1次側に有機物を主成分とする阻止率向上剤を通液して、処理対象モジュールの阻止率を向上させる通液装置と、モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定する測定装置と、測定装置で測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御する制御装置とを含む透過膜装置である。
上記の透過膜装置において、モジュールは単一のものでもよく、また並列的または段階的に複数のものから構成されていてもよい。測定装置としては、有機物量を測定する装置、特に液中の全有機物濃度を測定する装置が好ましく、一般的に用いられているTOC計などが使用できる。制御装置は、測定された阻止率向上剤の濃度またはその変化量が所定値になった時点で阻止率向上剤の供給量を減少し、または阻止率向上剤の供給を停止するように構成することができる。
上記の透過膜装置においては、透過膜モジュールの1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出して透過膜処理を行う。透過膜モジュールの阻止率を向上させるには、通液装置によりモジュールの1次側に有機物を主成分とする阻止率向上剤を供給し、測定装置によりモジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定し、制御装置により測定装置測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御することにより透過膜の阻止率向上させる。
本発明の純水製造装置は、上記の透過膜装置を備え、透過膜処理により純水を製造するように構成された装置であり、上記の透過膜装置の他に前処理装置、後処理装置、その他の付随する装置を付加することができる。
本発明によれば、透過膜モジュールの1次側に阻止率向上剤を供給して透過膜の阻止率を向上させる方法において、モジュールの1次側に有機物を主成分とする阻止率向上剤を供給し、モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定し、測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御するようにしたので、阻止率向上処理を中止することなく、阻止率向上の判定を迅速かつ正確に行って効率よく阻止率向上処理を行うことができ、これにより過剰な阻止率向上剤の消費や処理不十分な場合の発生などを防ぐことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1ないし図4(a)、(b)は本発明の実施形態による透過膜装置を示すフロー図であり、図5と同一符号は同一または相当部分を示す。
図1の透過膜装置の基本的な構成は図5の透過膜装置と同様になっており、モジュール1は透過膜2により1次側(濃縮液室)3と、2次側(透過液室)4に区画されている。モジュール1の1次側3にはポンプP1を有する被処理液供給路L1が連絡し、2次側4から透過液取出路L2が系外に連絡し、さらに1次側3から弁V1を有する濃縮液取出路L3が系外に連絡している。被処理液供給路L1にはポンプP2を有する阻止率向上剤供給路L4が連絡している。
図1ではモジュール1の1次側3へ被処理液供給路L1からポンプP1により被処理液(原水)を供給し、透過膜2を通して2次側4へ溶媒(水)を透過させ、2次側4から透過液を透過液取出路L2を通して取出すことにより透過膜処理(水処理)を行う。1次側3の濃縮液は濃縮液取出路L3から系外に排出される。透過膜2の阻止率向上処理を行う場合は、阻止率向上剤を阻止率向上剤供給路L4からポンプP2により被処理液供給路L1を通してモジュール1の1次側3へ供給し、阻止率向上剤を透過膜2に付着させて、透過膜2の阻止率を向上させる。
図1では、図5(a)の電導度計E1、E2、ならびに図5(b)のサンプリング路L5、L6の替わりに、V4を有するサンプリング路L7が濃縮液取出路L3から分岐してTOC計5に連絡し、濃縮液中のTOC(全有機性炭素)濃度を測定して制御装置6へ入力するように構成されている。制御装置6は、TOC計5で測定されたTOC濃度またはその変化量に応じてポンプP2へ信号を送り、阻止率向上剤の供給量を制御するように構成されている。
阻止率向上剤を供給して阻止率向上処理を行う過程において、サンプリング路L7から濃縮液を取出してTOC計5に導入し、濃縮液中のTOC濃度を測定して制御装置6へ入力する。制御装置6では、TOC計5から入力されるTOC濃度の測定値を監視し、その濃度またはその変化量が所定値になった時点でポンプP2へ信号を送り、阻止率向上剤の供給量を減少し、または阻止率向上剤の供給を停止するように制御する。
TOC計5で測定するTOC濃度は、阻止率向上剤の供給を開始した時点では低くなり、透過膜への阻止率向上剤の付着が進行するに従って急激に高くなって一定値に近づき、その後は緩やかに上昇する。このためTOC濃度またはその変化量が所定値になった時点で阻止率向上したものと判定し、阻止率向上剤の供給量を減少し、または阻止率向上剤の供給を停止して阻止率向上処理を終了することができる。
具体的には、透過膜としてRO膜に供給する阻止率向上剤のTOC濃度をCTOCf、濃縮水の阻止率向上剤TOC濃度をCTOCb、濃縮水の阻止率向上剤濃度の単位時間あたり変化をΔCTOCb、RO膜の回収率をRで表すと、以下の式が満たされる条件になれば阻止率向上処理が完了したと判断できる。
ΔCTOCb÷CTOCb≦0.001〜0.1 (好ましくは0.005〜0.02)
TOCb=CTOCf×(1/1−R)
ΔCTOCbを算出する際の単位時間は通常0.5hであり、阻止率向上処理を行う通水量により0.2〜2.0hの範囲で変えることができる。この範囲は限定されるものではなく、膜の仕様、阻止率向上剤の種類などにより、適切な時間を予備試験などで確認した上で選定すればよい。
図2の透過膜装置は複数のモジュールが段階的に配置された例を示し、モジュール1a、1b、1cは透過膜2a、2b、2cにより1次側3a、3b、3cと、2次側4a、4b、4cに区画されている。モジュール1aの1次側3aにはポンプP1を有する被処理液供給路L1が連絡し、2次側4aから透過液取出路L2が系外に連絡し、さらに1次側3aから濃縮液取出路L8がモジュール1bの1次側3bに連絡している。モジュール1bの1次側3bから濃縮液取出路L9がモジュール1cの1次側3cに連絡し、2次側4bから透過液取出路L10が透過液取出路L2に連絡している。モジュール1cの1次側3cから弁V1を有する濃縮液取出路L3が系外に連絡し、2次側4cから透過液取出路L11が透過液取出路L2に連絡している。被処理液供給路L1にはポンプ13を有する阻止率向上剤供給路L4が連絡している。TOC計5、制御装置6は図1と同様に構成されている。
図2ではモジュール1aの1次側3aへ被処理液供給路L1からポンプP1により被処理液(原水)を供給し、透過膜2aを通して2次側4aへ溶質(水)を透過させ、2次側4から透過液を透過液取出路L2を通して取出し、1次側3aから濃縮液をモジュール1bの1次側3bへ送って同様に透過させ、さらにモジュール1bの1次側3bから濃縮液をモジュール1cの1次側3cへ送って同様に透過させることにより透過膜処理(水処理)を行う。モジュール1cの1次側3cの濃縮液は濃縮液取出路L3から系外に排出される。
透過膜2の阻止率向上処理を行う場合は、阻止率向上剤を阻止率向上剤供給路L4からポンプP2により被処理液供給路L1を通してモジュール1aの1次側3aへ供給し、その濃縮液をモジュール1b、1cの1次側3b、3cへ順次供給し、阻止率向上剤を透過膜2a、2b、2cに付着させて、透過膜2a、2b、2cの阻止率を向上させる。
阻止率向上剤を供給して阻止率向上処理を行う過程において、サンプリング路L7から濃縮液を取出してTOC計5に導入し、濃縮液中のTOC濃度を測定して制御装置6へ入力する。制御装置6では、TOC計5から入力されるTOC濃度の測定値を監視し、その濃度またはその変化量が所定値になった時点でポンプP2へ信号を送り、阻止率向上剤の供給量を減少し、または阻止率向上剤の供給を停止するように制御する。上記の濃縮液中のTOC濃度の測定は、サンプリング路L7から取出す濃縮液をTOC計5で測定するようにされているが、さらに弁V5、V6、V7を有するサンプリング路L12、L13、L14をTOC計5に連絡し、C1、C2、C3、C4のTOC濃度を測定してもよい。
上記のように段階的に複数のモジュールが配置されている場合の前段または中間のモジュールにおける濃度変化については、各段の濃縮率を予測し、または実験的に確かめて濃度変化を予測し、各段の濃縮液が一定の濃度範囲内に維持されるように、プログラムを組んで制御することができる。実装置ではC1〜C4の濃度の測定結果に基づき阻止率向上剤の薬注ポンプをフィードバック制御する方法や、あらかじめ供給量をプログラム制御する方法、手動で制御する方法などを採用することができる。
図3の透過膜装置は複数のモジュールが並列的に配置されたモジュール群がさらに段階的に配置された例を示す。すなわちモジュール1a1、1a2、1a3・・・1nが並列的に配置されたモジュール群と、モジュール1b1、1b2、1b3・・・1bnが並列的に配置されたモジュール群と、モジュール1c1、1c2、1c3・・・1cnが並列的に配置されたモジュール群とが段階的に配置されており、被処理液供給路L1は分岐してモジュール1a1、1a2、1a3・・・1nの1次側に連絡し、モジュール1a1、1a2、1a3・・・1nの1次側から濃縮液取出路がモジュール1b1、1b2、1b3・・・1bnと、モジュール1c1、1c2、1c3・・・1cnの1次側に順次連絡し、透過液取出路L2は各モジュールの2次側に連絡している。他の構成は図2と同様である。
図3の透過膜装置では、被処理液および阻止率向上剤の供給がモジュール1a1、1a2、1a3・・・1nの1次側に分流し、濃縮液がモジュール1a1、1a2、1a3・・・1nの1次側からモジュール1b1、1b2、1b3・・・1bnおよびモジュール1c1、1c2、1c3・・・1cnの1次側に順次送られて、透過膜処理および阻止率向上処理を行う他は図2と同様である。図3では、全ての濃縮液取出路が合流した時点でTOC計5による測定を行っているが、複数の箇所から濃縮液の取出しを行い、TOC計による測定を行うこともできる。
図4(a)、(b)は単一のモジュールを選択してバッチ式に阻止率向上処理を行う例を示す。図4(a)、(b)において、7は循環液槽、8は阻止率向上剤槽であり、循環液槽7からポンプP1を有する循環液供給路L15がモジュール1の1次側3に連絡し、2次側4からの透過液取出路L2および1次側3からの濃縮液取出路L3は循環液槽7に連絡している。阻止率向上剤槽8からポンプP2を有する阻止率向上剤供給路L4が、図4(a)では循環液供給路L15に連絡し、図4(b)では循環液槽7に連絡している。他の構成は図1と同様である。
図4(a)、(b)では、透過膜処理は図1〜3と同様に行われ、阻止率向上処理が透過膜処理から切り離して図4(a)、(b)の装置で行われる。この場合、循環液槽7からポンプP1により循環液供給路L15を通してモジュール1の1次側3に循環液を供給して阻止率向上処理を行う過程で、図4(a)では阻止率向上剤槽8からポンプP2により阻止率向上剤供給路L4を通して阻止率向上剤を循環液供給路L15に供給し、阻止率向上処理を行う。
図4(b)ではそれに先立って循環液槽7に供給して循環液中に混合した後、循環液槽7からポンプP1により循環液供給路L15を通してモジュール1の1次側3に循環液を供給して阻止率向上処理を行う。図4(a)、(b)いずれの場合も、透過液と濃縮液の両方とも循環液槽7に循環するので、循環液中の阻止率向上剤濃度は透過膜2への付着による減少以外の影響を受けず、濃縮液取出路L3から取出される阻止率向上剤濃度は阻止率向上の度合いを比較的正確に表している。他の操作は図1と同様である。
図4(a)において、単モジュール型ROシステムにおけるバッチ処理方式による濃縮水TOC濃度をモニタした例を以下に示す。モジュールとして新品4インチの日東電工(株)製超低圧逆浸透膜モジュールES−20について、阻止率向上剤として重量平均分子量4000のポリエチレングリコール(PEG4000)を用い、阻止率向上処理を行った際の、濃縮水中のPEG4000濃度をモニタした結果を示す。
TOC濃度で0.3mg/Lに調整したPEG4000水溶液(0.55mg/L)を、透過水、濃縮水流量を調整せずに通水した場合(通常条件、回収率75%、給水圧力0.75MPa、流量5.3L/min)と、濃縮水の流量を減らして通水した場合(回収率89%)での、濃縮水のTOC濃度を比較した結果である。TOCの測定にはオンラインTOC計SIEVE900(シーバス社製)で測定した。なお回収率は、モジュールへの供給液量に対する透過液量の重量%である。上記の結果を図6のグラフに示す。図6中、◇は回収率75%、●は回収率89%のプロットを示す。
図6のグラフに示すように、通常処理(回収率75%:◇)よりも濃縮水量を減らした処理(回収率89%:●)の方が、濃縮水TOC濃度の上昇が速かった。また、濃縮水TOC濃度が1.2mg/Lに達したのを確認した後、処理を完了した。回収率75%と89%の条件で処理したRO膜モジュールともに、処理前のイソプロパノール阻止率が90%であったのに対し、処理後の阻止率は95%に向上した。その結果、双方の条件ともほぼ同じ性能であることが確認され、濃縮水TOC濃度により阻止率向上処理の完了を判断できることが示された。
図1において、単モジュール型ROシステムにおける連続処理方式による濃縮水TOC濃度をモニタした例を以下に示す。モジュールとして使用履歴のある8インチの日東電工(株)製超低圧逆浸透膜モジュールES−20について、洗浄処理後に、阻止率向上剤としてカチオン性高分子:ポリビニルアミジン(分子量:350万)を用いて阻止率向上処理を行った後、さらにアニオン性高分子:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(分子量:50万)を用いて阻止率向上処理を行った際の、濃縮水中の阻止率向上剤濃度をモニタした。阻止率向上剤濃度はTOCで測定した。TOCの測定にはオンラインTOC計SIEVEAS500(シーバス社製)を用いた。
薬品洗浄の手順は次の通りである。2重量%クエン酸に15h浸漬した後、純水を40L/minで1h通水してフラッシングした(回収率75%)。次にpH12に調整した水酸化ナトリウム水溶液に15h浸漬した後、純水を40L/minで1h通水しフラッシングした(回収率75%)。
阻止率向上処理はまずTOC濃度で0.5mg/Lに調整したポリビニルアミジン水溶液を回収率50%(給水圧力0.75MPa、流量40L/min)で通水し、濃縮水のTOC濃度を測定した。測定結果を図7(a)のグラフに示す。阻止率向上剤を添加する前から、給水には0.5mg/LのTOCが含まれていた。濃縮水TOC濃度が1.5mg/Lに達したのを確認した後、前段の処理を完了した。
つづいてTOC濃度で1.0mg/Lに調整したポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液を、回収率50%(給水圧力0.75MPa、流量40L/min)で通水し、濃縮水のTOC濃度を測定した。結果を図7(b)のグラフに示す。濃縮水TOC濃度が2.5mg/Lに達したのを確認した後、後段の処理を完了した。前段の処理前の電気導電率から算出した脱塩率は92%であったが、後段の処理後は97%に向上した。後段のポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液の通水処理において、濃縮水TOC濃度が1.0mg/Lの時点(2時間経過)で処理を停止して脱塩率を測定したところ、到達脱塩率は95%にとどまった。
図2において、直列モジュール型ROシステムにおける連続処理方式による濃縮水TOC濃度のモニタした例を以下に示す。モジュールとして新品4インチの日東電工(株)製超低圧逆浸透膜モジュールES20について、阻止率向上剤としてタンニン酸を用い、阻止率向上処理を行った際の、濃縮水中の阻止率向上剤濃度のモニタ結果を示す。阻止率向上剤濃度はTOCで測定した。TOCの測定にはオンラインTOC計SIEVEAS500(シーバス社製)を用いた。図2において、サンプリング路L7のほかにL12、L13、L14を設けてTOC計5に連絡し、C1、C2、C3、C4のTOC濃度を測定した。
図8のグラフは、C1、C2、C3、C4における給水および各RO膜モジュール濃縮水のTOC濃度の測定結果を示す。このように複数段RO膜モジュールを接続した装置で阻止率向上処理を行う場合、後段(2、3段目)のRO膜給水中の阻止率向上剤が濃縮される。適正濃度以上の阻止率向上剤がRO膜に供給されると、閉塞による採水量の低下などの不具合が生じるため、各段の濃縮液が一定の濃度範囲内に維持されるように、プログラムを組んで給水中の阻止率向上剤濃度を制御した。
すなわちC2の濃度が上昇をはじめたと同時に阻止率向上剤の供給量を減らし、2段目RO膜の給水TOC濃度(C2)が50mg/Lを越えないようにした。その後、C2濃度が安定したため阻止率向上剤濃度を一定に保った後、2段目RO膜の給水TOC濃度(C3)が50mg/Lを越えないように、再度、阻止率向上剤の供給量を減らした。このように制御を行うことで、後段RO膜モジュールに高濃度の阻止率向上剤が供給されることを防ぐことができた。この状態で、最終段のTOC濃度C4が上限の50mg/Lに達して変化量がゼロに近づいた時点で、阻止率向上剤の供給を停止し、阻止率向上処理を終了した。
本発明は、逆浸透膜、ナノ濾過膜等の透過膜の阻止率を向上させる方法、阻止率を向上させた透過膜を用いる透過膜処理方法、およびこれらに適した透過膜装置に利用可能である。
本発明の一実施形態による透過膜装置を示すフロー図である。 本発明の別の実施形態による透過膜装置を示すフロー図である。 本発明の別の実施形態による透過膜装置を示すフロー図である。 (a)、(b)はそれぞれ本発明の別の実施形態による透過膜装置を示すフロー図である。 (a)、(b)はそれぞれ従来の透過膜装置を示すフロー図である。 実施例1の結果を示すグラフである。 (a)、(b)はそれぞれ実施例2の結果を示すグラフである。 実施例3の結果を示すグラフである。
符号の説明
1、1a、1b、1c モジュール
2、2a、2b、2c 透過膜
3、3a、3b、3c 1次側
4、4a、4b、4c 2次側
5 TOC計
6 制御装置
7 循環液槽
8 阻止率向上剤槽
L1 被処理液供給路
L2 透過液取出路
L3 濃縮液取出路
L4 阻止率向上剤供給路
P1、P2 ポンプ
V1a、V1b・・ 弁

Claims (13)

  1. 透過膜モジュールの1次側に阻止率向上剤を供給して透過膜の阻止率を向上させる方法において、
    モジュールの1次側に有機物を主成分とする阻止率向上剤を供給し、
    モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定し、
    測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御することを特徴とする透過膜の阻止率向上方法。
  2. モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量の測定が、モジュールの1次側から取り出される取出液中の阻止率向上剤の量、または取出液を他の液と混合してモジュールの1次側に供給する場合、混合後の液中の阻止率向上剤の量の測定である請求項1記載の方法。
  3. 阻止率向上剤の量の測定が、有機物量の測定である請求項1または2記載の方法。
  4. 測定された阻止率向上剤の濃度またはその変化量が所定値になった時点で阻止率向上剤の供給量を減少し、または阻止率向上剤の供給を停止する請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 透過膜モジュールが未使用のモジュール、または使用後薬品洗浄されたモジュールである請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. 阻止率向上剤がイオン性または非イオン性高分子である請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 阻止率向上剤がポリアルキレングリコール鎖を有する化合物および/または複数のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を含有する請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. 阻止率向上剤がカチオン性高分子および/またはアニオン性高分子である請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
  9. 処理対象モジュールの1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力が0.3MP以上、2次側出口の透過水量/阻止率向上剤溶液の供給量が0.2以上である請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
  10. 透過膜モジュールの1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出して透過膜処理を行うと同時に、透過膜モジュールの1次側に阻止率向上剤を通液して阻止率を向上させる請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の方法により阻止率を向上させた透過膜モジュールの1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出す透過膜処理方法。
  12. 1次側に被処理液を通液し、2次側から透過液を取り出す透過膜モジュールと、
    モジュールの1次側に有機物を主成分とする阻止率向上剤を通液して、処理対象モジュールの阻止率を向上させる通液装置と、
    モジュールの1次側から取り出される阻止率向上剤の量を測定する測定装置と、
    測定装置で測定された阻止率向上剤の量またはその変化量に応じて阻止率向上剤の供給量を制御する制御装置と
    を含む透過膜装置。
  13. 請求項12に記載の透過膜装置を備えた純水製造装置。
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