JP6449916B2 - 試料保持具 - Google Patents

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Description

本発明は、PVD装置、CVD装置、イオンプレーティング装置もしくは蒸着装置等の成膜装置、露光装置またはエッチング装置に用いられる試料保持具に関するものである。
PVD装置、CVD装置、イオンプレーティング装置、蒸着装置等もしくは成膜装置、露光装置またはエッチング装置においては、シリコンウエハ等の被加工物を精度良く固定することが求められる。そのため、これらの装置においては、平坦かつ平滑に仕上げられた板状体の表面に吸着手段を用いて被加工物を固定する方法が採用されている。吸着手段を用いた試料保持具としては、例えば、静電吸着力を利用した試料保持具(いわゆる静電チャック)が知られている(例えば、特開2005−210077号公報参照)。
特に、エッチング装置においては、クーロン力でシリコンウエハを保持する試料保持具が用いられている。エッチング装置に用いられる試料保持具としては、例えば、絶縁基板がアルミナから成る試料保持具が挙げられる。試料保持具は、絶縁基板の内部に静電吸着用電極が設けられている。
一態様の試料保持具は、上面に試料保持面を有するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板と、該絶縁基板の内部に設けられた静電吸着用電極とを備えており、前記絶縁基板の平均粒径は〜15μm、且つ粒径偏差は2〜7μmである。
試料保持具を示す図であって、試料保持具および被保持物の縦断面図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、体積固有抵抗のアレニウスプロットを示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 試料保持具を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板について、アルミナ質セラミックスの平均粒径および粒径偏差と誘電正接との相関を示す図である。 アルミナ質セラミックスの表面のSEM写真である。 アルミナ質セラミックスの表面のSEM写真である。 アルミナ質セラミックスの表面のSEM写真である。
以下、本発明の一実施形態に係る試料保持具1について図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態における試料保持具1はいわゆる静電チャックである。試料保持具1は、絶縁基板2と静電吸着用電極3とを備えている。
図1に示す絶縁基板2は、アルミナ質セラミックスからなり上面に試料保持面21を有する。絶縁基板2は、シリコンウエハ等の被保持物10と同程度の大きさを有する円盤状に形成されている。絶縁基板2は、金属からなり上面で絶縁基板2の下面を覆う支持体6に接合されている。絶縁基板2と支持体6とは接合層5によって接合されている。接合層5の材料としては、使用温度に耐えうるロウ材等の金属またはシリコーン接着剤等が挙げられる。なお、ここでいうアルミナ質セラミックスは、例えば、主成分として、アルミナを99質量%以上含むものをアルミナ質セラミックスとして見なすことができる。アルミナの含有量の測定方法としては、例えば、ICP発光分光分析法で定量分析し、Alを含み得られた元素全てを酸化物換算してアルミナ量を算出する方法を用いることができる。
また、静電吸着用電極3は絶縁基板2の内部に設けられている。この静電吸着用電極3は、試料保持面21に対向するように設けられている。静電吸着用電極3の材質および構造は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷法を用いて白金またはタングステン等の金属を所定の形状(例えば、円状)に形成することで作製することができる。また、金属箔を絶縁基板2に埋設することによって静電吸着用電極3を形成してもよい。
静電吸着用電極3にはリード線が接続されている。静電吸着用電極3は、リード線を介して直流電源9に接続されている。一方、試料保持面21に吸着される被保持物10は、アースに直接的に接続、または、プラズマによって間接的に接続されている。これにより、静電吸着用電極3と被保持物10との間に静電吸着力が発現し、被保持物10を試料保持面21に吸着固定できる。
また、絶縁基板2の中央部には、支持体6の下面から基板2の保持面まで貫通したガス導入孔8が設けられている。また、試料保持面21の近傍領域にはガス流路(図示せず)が形成されており、このガス流路はガス導入孔8と繋がっている。そして、試料保持面21に被保持物10を吸着したときに、ガス導入孔8から被保持物10とガス流路とで構成される空間にヘリウムガス等の冷却ガスを供給することで、ガス流路と被保持物10との間および試料保持面21と被保持物10との間の熱伝達を良好にできる。その結果、被保持物10の温度分布が均一となるように制御することができる。
さらに、絶縁基板2には、目的に応じて内部に加熱用の発熱抵抗体4を設けてもよい。発熱抵抗体4の材質および構造は特に限定されない。発熱抵抗体4は、スクリーン印刷法を用いて、例えば白金またはタングステン等の金属を所定の形状に形成することで、あるいは線材のコイル等を埋設することで得られる。
支持体6を構成する金属は特に制限されない。ここで金属とは、セラミックス−金属複合材および繊維強化金属等の金属からなる複合材料も含まれる。一般的に、ハロゲン系の腐食性ガス等に曝露される環境下では、アルミニウム、銅、ステンレス鋼またはニッケルあるいはこれらの金属の合金を使用することが好ましい。また、構造は特に限定されないが、例えば、気体または液体等の熱媒体を循環させる流路7を備えていると被保持物10のプロセス処理速度を高速化できる。この場合には、熱媒体として、水またはシリコンオイル等の液体あるいはHeまたはN等の気体が好適に用いられる。
本実施形態の試料保持具1においては、絶縁基板2を少なくとも、400℃、450℃および500℃で加熱した状態でそれぞれ体積固有抵抗値を測定して、得られた体積固有抵抗値をアレニウスプロットすることによって求めた見かけの活性化エネルギーの値(E)がE≧1.78×10−19Jを満たしている。これにより、被保持物10を試料保持面21から速やかに離脱させることができる。以下、詳細に説明する。
図2は本実施形態の試料保持具1を構成するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板2について、体積固有抵抗のアレニウスプロットを示す図である。詳しくは、アルミナ質セラミックスから成る絶縁基板2に対して、JISC2141に則って、体積固有抵抗を測定し、その結果のアレニウスプロットを示した図である。具体的には、アルミナ質セラミックスから成る絶縁基板2を直径60mm厚み1mmの大きさに切りだした。そして、絶縁基板2の両主面に体積固有抵抗測定用のパターンを銀ペーストを用いてスクリーン印刷で塗布した後に、600℃で焼き付けた。そして、それぞれの温度(400℃、450℃および500℃)に加熱し、三端子法で抵抗値を測定した。そして、得られた抵抗値を元に体積固有抵抗を求めた。その値を横軸が絶対温度の逆数、縦軸を体積固有抵抗の自然対数の値にして、プロットした。そして最少二乗法により近似線を引いた。
一般的に、活性化型の半導体の体積固有抵抗ρは以下の温度依存性を示すことが知られている。
ρ=ρexp(Ea/kT) ・・・(1)
ここで、Eは見かけの活性化エネルギー、kはボルツマン定数である。
(1)式の両辺の対数をとると
lnρ=lnρ+(Ea/k)・(1/T) ・・・(2)
(2)式を図示したのが図2であるが、図2より明らかなように400℃(673.15K)以上の領域では体積固有抵抗ρは熱活性的なアレニウス型の温度依存性を示している。これは、大気中の水分や、不純物MnとFe間で生じる光励起によるホール生成の影響を受けないためと考えられる。
さらに、図2から以下の関係が示唆される。
a/k≧1.29×10 ・・・(3)
すなわち
≧1.78×10−19 [J] ・・・(4)
上述のサンプルを試料1として、同様の測定を絶縁基板2がアルミナ質セラミックスから成る試料2〜8についても行なった。そして、それぞれのサンプルにおいて残留吸着力を測定した。具体的には、1×10−3Paに減圧された真空チャンバー内において、試料保持具1の試料保持面21の吸着面が200℃になるようにハロゲンランプで加熱した。この状態で、試料保持具1の静電吸着用電極3に所定の電圧を300秒印加して、被保持物10(シリコンウエハ)を保持した。その後、静電吸着用電極3への電圧印加を停止し、停止1秒後の残留吸着力についてロードセルを用いて測定した。ここで、電圧を全く印加していない場合の吸着力をロードセルを用いて測定した場合には、0.2KPa程度の値になることから、測定値が0.2kPa以下の場合には残留吸着力がないと判断した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、試料6〜8に関しては残留吸着力が発生しているが、試料1〜5に関しては残留吸着力が発生していないということが分かった。すなわち、得られた体積固有抵抗値をアレニウスプロットすることによって求めた見かけの活性化エネルギーの値(E)がE≧1.78×10−19Jを満たしている試料に関しては、残留吸着力が発生していないということが分かった。また、試料1〜5に関して表面の粒界の状態を確認したところ、アルミナ質セラミックスの粒界が閉じていたが、試料6〜8に関して表面の粒界の状態を確認したところ、アルミナ質セラミックスの粒界が開いていることが確認できた。これらの結果、見かけの活性化エネルギーの値(E)がE≧1.78×10−19Jを満たしている試料に関しては、粒界が閉じていることによって、漏れ電流が増大することが抑制されており、その結果、残留吸着力が発生していないものと考えられる。
通常、アルミナ等の高い体積固有抵抗は焼結助剤や不純物の種類や量、あるいはプロセス条件に左右される。そのため、上述の活性化エネルギーの値を満たすためには、粒界の制御だけではなく、不純物の種類や量やプロセス条件等をも制御する必要がある。これらの因子は、セラミックスに存在するホールや伝導電子、格子空孔、欠陥といった体積固有抵抗の劣化要因となりうるが、少なくとも残留吸着が生じないためには(4)式の条件を満たすように前述の因子を制御すればよい。以下に、制御方法の一例を述べる。
例えば、焼結助剤(例えばMgO、CaO、SiOなどの酸化物)を増やしすぎると、アルミナの粒界に助剤起因のスピネルやガラス等の酸化物材料が過多となり、アルミナ自身より抵抗値が低い材料に電流が流れることでセラミックスの体積固有抵抗が低下する。
また、焼結助剤を減らしすぎるとアルミナが十分緻密化しないので、結果として粒界が開きやすくなりセラミックス自体の体積固有抵抗が低くなる。また、焼成温度を上げて過焼結状態になると、粒界の三重点が開く、いわゆるオストワルド気孔が生成するため、粒界を電流が流れやすくなり、セラミック体の体積固有抵抗が低下する。
次に、見かけの活性化エネルギーの値(E)がE≧1.78×10−19Jを満たしている試料(試料9〜63)を作製した。そして、それぞれの試料に対して、平均粒径、粒径偏差、均熱性および誘電正接を評価した。
この粒径の確認方法としては、以下の手法を採用した。同一バッチで焼成した特性評価用の同サイズの絶縁基板のうち、静電吸着電極3の直下の部位から適当なサイズに試料を切り出し、ラップ研磨にて鏡面加工後、大気中で1520℃、1分間サーマルエッチングした。この試料をSEM観察し、観察画像に対しインターセプト法で粒径測定した。インターセプト法を適用するに際し、画像を同一方向でない複数(3本以上)の線分により粒径を測定している。SEM倍率は、画像を横切る任意の線分が切り取る粒子数が15個以上である倍率とした。なお、粒径の偏差は、上記複数の線分それぞれの粒径偏差σ1、σ2、σ3・・・の平均を粒径偏差σaveとしたが、各々の粒径偏差のうち最大偏差値,最小偏差値が、粒径偏差σave±20%以内の場合にのみ、粒径偏差σaveは確からしいと判断した。
均熱性に関しては、以下の方法で評価を行なった。各試料を高周波チャンバー内にセットして、15MHzの高周波RFを印加し、絶縁基板2の表面を赤外温度計で測定した。測定後、最高温度と最低温度の差(表面ΔT)を評価した。誘電正接に関しては、以下の方法で評価を行なった。絶縁基板2のうち静電吸着用電極3の直下の部位から60mm角、厚み1mmに切り出し、JISC2141に従い1MHzでの誘電正接(tanδ)を測定した。これらの結果を表2、図3〜12に示す。
これらの結果、平均粒径が2〜15μmであり、且つ、粒径偏差が2〜7μmであるときに、誘電正接が小さくなるとともに均熱性が向上することが分かった。これは、誘電正接が小さくなることによって、高周波環境下における絶縁基板2の自己発熱を抑制できるためである。なお、平均粒径が2〜15μmであり、且つ、粒径偏差が2〜7μmであるときに、誘電正接が小さくなっていたのは、大きな粒子と粒子との間に小さな粒子がバランスよく入り込むことによって、セラミックスの粒子密度が高くなり、粒界のボイドがきわめて少なくなったためと考えられる。
より具体的には、図13は、平均粒径が2〜15μmであり、且つ、粒径偏差が2〜7μmである場合のアルミナ質セラミックスの表面のSEM画像(20000倍)を示している。このような場合には、結晶の粒界(二面間および三重点)が閉じており、絶縁基板2にボイド等の欠陥が極めて少ない状態になっていた。そのため、誘電正接が小さくなっていると考えられる。また、図14は、粒径偏差が2μmであって平均粒径が2μmよりも小さい場合のアルミナ質セラミックスの表面のSEM写真(20000倍)を示している。このような場合には、結晶が十分に粒成長していない状態になっていた。具体的には、絶縁基板2にボイド等の欠陥が多く存在していた。そのため、誘電正接が大きくなっていると考えられる。また、図15は、平均粒径が2μmであって粒径偏差が15μmよりも大きい場合のアルミナ質セラミックスの表面のSEM写真(20000倍)を示している。このような場合には、結晶が粒成長しすぎて、結晶の粒界(二面間および三重点)が開いてしまっている状態になっていた。そのため、絶縁基板2に電気的パスまたはボイド等の欠陥が多く存在することにより、誘電正接が大きくなっていると考えられる。
以下、試料保持具1について製造方法を説明する。まず、主原料となるAl粉末、焼結助剤成分(例えばマグネシア(MgO))の粉末を所定量秤量し、ウレタンまたはナイロン等の樹脂で内張りを施したボールミル中でイオン交換水や有機溶媒等の溶媒、有機分散剤およびウレタンまたはナイロン等の樹脂で被覆した金属や99.5質量%以上の高純度アルミナ等のセラミックからなるボールと共に24〜72Hr湿式粉砕混合をする。この際、後述の焼成後にセラミックス中のAl含有量は、少なくとも99.5質量%以上とするとよい。
また、Alの主原料としては、例えば、アンモニウムドーソナイト(NHAlCO(OH))から合成される99.9質量%以上の高純度Al粉末または、ボーキサイト経由で精製され、強熱減量後99.7質量%以上の純度を有するAl粉末等を用いるのがよい。
ところで、樹脂内張りや樹脂被覆ボールに適用する樹脂は、合成時に重合触媒が必要な場合、非金属系触媒を使用していること、さらに樹脂の特性として、溶媒に溶解、膨潤しないことを満足していれば使用可能なものを適専選択すればよい。
原料の粉砕は、途中と終了時に原料スラリーを適選、レーザー回折散乱法にて測定し、スラリー中の粉末粒度を制御すればよい。すなわちD10(10%粒子径)を0.1〜0.5μm、好ましくは0.2〜0.4μm、さらに望ましくは0.3〜0.4μmとすればよく、D50(50%粒子径、メジアン径)を0.4〜0.9μm、好ましくは0.5〜0.8μm、さらに好ましくは0.5〜0.6μmとすればよい。
さらに、メジアン径とモード径は同一となるように粉砕時間を制御すると、焼結時の異常粒成長を効果的に抑制でき、結果として体積固有抵抗の見かけの活性化エネルギーが前述の(4)式の条件を満足するため好ましい。粒径が大きな結晶と小さな結晶とを混在させることによって、大きな粒子の粒界に小さな粒子が入ることにより粒界の二面間または三重点が連通した電荷パスを形成せず、式(4)を満たすことになる。
こうして粉砕混合した原料スラリー中に、ポリビニルアルコールやポリビニルブチラール、アクリル樹脂等の有機バインダー、補助的な有機材料として可塑剤、消泡剤を所定量添加し、さらに24〜48Hr混合する。
ここで、有機バインダー、可塑剤、消泡剤等の有機材料はアルカリ金属、アルカリ土類金属が100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに望ましくは10ppm以下のものを選択すると、焼結時にAlセラミックの粒界に残存する量を効果的に低減し、絶縁基板2に直流高電圧を印加する際に、イオンマイグレーションする悪影響を及ぼさないため好ましい。このことは不純物に起因する導電キャリアを抑制することになるため、このことも体積固有抵抗の見かけの活性化エネルギーが前述の(4)式の条件を満たすことを可能にする。
混合された有機−無機混合スラリーを、ドクターブレード法、カレンダーロール法、プレス成形法または押し出し成形法などによって厚さ20μm〜20mm、特に100〜300μmのセラミックグリーンシートに成形する。
そして、絶縁基板2を形成するセラミックグリーンシートに静電吸着用電極3および発熱抵抗体4を形成するための白金、タングステン等のペースト状電極材料を公知のスクリーン印刷法等により印刷成形する。
ここで、絶縁基板2における所定の位置に静電吸着用電極3が形成されるように、ペースト状電極材料の印刷されていないセラミックグリーンシートとペースト状電極材料の印刷された電極形成グリーンシートとを重ねて積層する。積層は、セラミックグリーンシートの降伏応力値以上の圧力を印加しながら、所定の温度で積層するが、圧力印加手法としては、一軸プレス法、等方加圧法(乾式、湿式法)等の公知の技術を応用すればよい。
次に、得られた積層体を1530℃〜1600℃の所定の温度、大気中もしくは不活性ガス雰囲気中にて2〜6時間焼成し、アルキメデス法による嵩密度が少なくとも3.90g/cm以上、好ましくは3.95g/cm以上とした。
原料の粉砕粒径を上述のようにレーザー回折散乱法にて測定しながら、粉砕時間を調整する。また、有機バインダー、可塑剤、消泡剤の高純度化(アルカリ金属、アルカリ土類金属が100ppm以下)さらに、セラミックス中の粒径を均質化する目的で、冷却速度を焼成トップ温度から1300℃、好ましくは1100℃まで、1時間当たり20℃、望ましくは15℃以下で減する。
このようにして、静電吸着用電極3が埋設された絶縁基板2が作製される。
絶縁基板2の試料保持面には、通常、被保持物10を載置する凸部やガス流路が形成されるが、製法としては、マスクを用いたサンドブラスト法、マシニング加工法あるいは超音波加工法等の公知の手法を用いることができ、これにより例えば高さが3〜50μmの凸部を所定のパターン形状に形成することができる。
次に、支持体3を作製する。支持体3としては、アルミニウムA6061製で、内部に冷却用の水が循環する所定の水路が形成されたものを作製する。水路を循環する熱媒体の導入穴および排出穴は接合面とは異なる面に形成する。
この支持体3の接合面に、厚み100μm〜1mm、好ましくは300〜500μmで耐熱性を有するシリコーンをスクリーン印刷法で塗布し接合層と成し、絶縁基板2を所定の位置に接合、硬化させ静電チャックとする。
この際、絶縁基板2と支持体3との間に介在するシリコーンには、熱伝導率、熱膨張率を適切に制御するために、Al粉末や絶縁基板2と同種のセラミック粉末を混合することが好ましい。
以上の製造方法により、被保持物10の処理温度が例えば100℃〜200℃程度の高温になる環境下でも残留吸着がなく、かつ離脱時間が早い、吸着離脱レスポンスの良い試料保持具1を作製することができる。
1:試料保持具
2:絶縁基板
21:試料保持面
3:静電吸着用電極
4:発熱抵抗体
5:接合層
6:支持体
7:液体もしくはガスの流路
8:ガス導入孔
9:直流電源
10:被保持物

Claims (2)

  1. 上面に試料保持面を有するアルミナ質セラミックスから成る絶縁基板と、
    該絶縁基板の内部に設けられた静電吸着用電極とを備えており、
    前記絶縁基板の平均粒径は〜15μm、且つ粒径偏差は2〜7μmであることを特徴とする試料保持具。
  2. 前記絶縁基板の少なくとも400℃、450℃および500℃に加熱した状態でそれぞれ体積固有抵抗値を測定して、得られた体積固有抵抗値をアレニウスプロットすることによって求めた見かけの活性化エネルギーの値(E)が(E)≧1.78×10−19Jを満たす請求項1に記載の試料保持具。
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