JP3555442B2 - プラズマ耐食性に優れたアルミナセラミックス材料およびその製造方法 - Google Patents

プラズマ耐食性に優れたアルミナセラミックス材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ耐食性に優れたアルミナセラミックスおよびその製造方法に関し、特に、エッチング、半導体エピタキシャル成長膜の作製、LSI回路の製造などの半導体プロセスに必要なフッ素系プラズマ照射に対して優れた耐食性を有するアルミナセラミックス材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマエッチング装置、プラズマアッシング装置、プラズマCVD装置等のプラズマを用いて処理を行なう装置は、低温で効率よく必要な処理を行なうことができ、処理の制御も比較的簡単であり、半導体基板等の材料にダメージを与えるおそれが少ないという点から、高集積半導体装置、液晶表示装置等の製造において欠くことができないものとなっている。
【0003】
これらの装置では、真空近くに減圧した処理を行なうべき容器内に、反応ガスを導入し、高周波やマイクロ波を印加してガス放電を起こさせてプラズマを生成させる。図1は、この種のプラズマ処理装置の一例を模式的に示すものである。この装置において、たとえば、試料台23上に載置され、その周りを保護プレート24で囲まれ、かつクランパ25によって保持された材料の表面にプラズマ処理を施す場合、排気口14から排気を行なって反応容器11内を所定の真空度に設定した後、ガス供給管13からプラズマ生成室20内にCF 、C 、Cl 、HBr、Ar、O 等の反応性ガスを供給する。装置の作動中、冷却水が冷却水流通室18に流され、反応容器11の周辺は冷却される。マイクロ波は、マイクロ波発振器16から導波管15を介して誘電体線路12に導入される。これにより誘電体線路12下方に電界が形成され、形成された電界がマイクロ波導入窓22を通過してプラズマ生成室20内に導入される。ガス供給管13から供給されたガスは、プラズマ生成室20内に導入され、マイクロ波の照射によりプラズマ化される。プラズマのうち電気的に中性のラジカルが主にメッシュ状の仕切板17を通過して反応室21内に広がり、材料の表面に到達し、プラズマ処理が施される。またこのような装置において、プラズマ処理すべき材料を保持する治具として、静電チャック等が用いられる。
【0004】
このようなプラズマ処理装置において、マイクロ波導入窓、保護プレート、クランパ、静電チャック等はプラズマに晒される。したがって、これらの部材は、プラズマに対して耐食性を有する必要がある。特に、フルオロカーボンおよび他のフッ素含有ガスより生成される反応性のより高いフッ素系プラズマに対し、優れた耐食性を有する部材が望まれている。
【0005】
特開平8−81258号公報は、耐ドライエッチング性に優れるアルミナセラミックス焼結体を提供するための技術を開示する。同公報によれば、アルミナセラミックス焼結体は、99.2重量%以上99.99重量%以下の酸化アルミニウムと残部がアルミニウム以外の金属の酸化物からなり、そこにおいて平均粒子径は0.5μm以上1.5μm以下であり、かつ密度は3.88g/cm 以上3.97g/cm 以下である。また研削加工した該焼結体は、1000℃以上1550℃以下の温度で0.1時間以上6時間以下にわたり加熱処理されている。
【0006】
特開平8−231266号公報は、フッ素プラズマによるエッチングに対して強い抵抗性を有する改良されたアルミニウムセラミックス材料を提供するための技術を開示する。同公報によれば、改良されたアルミナセラミックス材料は、99.5重量%〜99.8重量%のアルミナと、0.5重量%〜0.2重量%のシリカ、CaO、MgO等のバインダとからなり、かつ15μm〜30μmを中心とする単一モードの粒径分布を有する。
【0007】
特開平9−2864号公報もまた、フッ素プラズマに対して高い耐性を有するアルミナセラミックス材料を提供するための技術を開示する。同公報によれば、多結晶アルミナセラミックス材料は、99.3重量%〜99.7重量%のアルミナと、0.7重量%〜0.3重量%のバインダとからなる未焼結体を形成し、約1400℃〜1700℃の温度で約8〜12時間焼結することにより製造される。このとき、多結晶アルミナセラミックス材料中の未焼結粒子の面積%は0.1面積%を超えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
半導体プロセス等のための装置に用いられるアルミナセラミックス部材には、プラズマ、特にフッ素系プラズマに対して優れた耐食性を有することの他に、プラズマ照射により局所的に損傷が進まないこと、ウエハ等の加工物への汚染が無視できるレベルのものであること、材料強度が比較的大きいこと、適当な工数によって製造できること等の条件を満たすことが望まれている。特開平8−231266号公報に開示されるアルミナセラミックス材料では、アルミナ純度が比較的低く、またバインダとしてCa、Mg等の元素を含むため、ウエハへの汚染が無視できないレベルになる可能性が考えられる。また、この材料では、粒径密度が比較的大きいため、典型的な強度の目安が40,000psi(約28kg/mm )と比較的小さい。また、このような材料は焼結体密度が比較的小さいため、プラズマ照射により局所的に損傷が進みやすい(深く掘れやすい)と考えられる。特開平9−2864号公報に開示されるセラミックス材料も、比較的アルミナ純度が低く、またバイダとしてCa、Mg等の元素を含むため、ウエハへの汚染が無視できないレベルになる可能性があると考えられる。また同公報に開示される製造プロセスは、工程数が比較的多く、焼結時間が8〜12時間と比較的長いため、生産効率がそれほど良好なものではないと考えられる。特開平8−81258号公報に開示される技術では、焼結および研削加工の後に1000〜1550℃で0.1〜6時間の加熱処理が必要である。そのような加熱処理のために、焼結時に発生した歪み、マイクロクラック量等に応じて適正な条件を探す必要があり、製造工程がより複雑になってくる。また、この技術では、具体的に示される焼結体密度がそれほど高くなっておらず、耐エッチング特性をさらに向上させるべき余地があると考えられる。
【0009】
本発明の目的は、従来の材料よりもプラズマ照射に対する耐食性の優れたアルミナセラミックス材料を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、フッ素系プラズマに対する耐食性が優れかつ強度が高いアルミナセラミックス材料を比較的シンプルなプロセスによって製造できる技術を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、アルミナ焼結体のフッ素プラズマに対する耐食性が、アルミナ純度、焼結体密度、平均粒径および結晶配向性に依存することを見いだし、それらについてより好ましい条件を設定することにより、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明によるプラズマ耐食性に優れたアルミナセラミックス材料は、アルミナ純度が99.75%以上であり、平均結晶粒径が4μm〜15μmでありかつ嵩密度が3.94g/cm 以上であるアルミナセラミックスからなり、かつX線回折測定において式I030 /(I113 +I030 )(式中、I030 およびI113 はそれぞれX線回折測定により得られる回折パターンのアルミナ結晶{030}面および{113}面に対応するピークの強度である)によって求められる結晶配向率が0.34以上である表面をプラズマ耐食性の表面として有することを特徴とする。
【0013】
また本発明によるプラズマ耐食性に優れたアルミナセラミックス材料の製造方法は、アルミナ原料粉末を成形しかつ得られた成形体を焼結することにより上記セラミックス材料を製造する方法において、アルミナ原料粉末を成形する前にアルミナ原料粉末を1000℃〜1150℃の温度で仮焼する工程と、仮焼を施した材料について一軸方向に加圧成形を施す工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
以上の特徴を有する本発明によれば、たとえば、プラズマ照射に対するエッチング速度が従来技術による部材よりも1/2以下に抑えられた部材を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、たとえば、ウエハエッチング、アッシング、半導体エピタキシャル成長膜の作製、CVD、LSI回路製造、液晶表示装置製造などのプロセスに用いられる装置の構成要素または部品に適用することができる。より具体的には、本発明により、装置内壁材、シールド材、プレート材、クランプ材などの真空チャンバ部品、表面処理用ダミーウエハ、シリコンウエハ用ハンド、マイクロ波導入窓、静電チャックなどを構成することができる。以下、本発明をより具体的に説明する。
【0016】
プラズマ照射によるセラミックス材の腐食は、結晶粒間の粒界と、結晶粒内とで進行する。セラミックス材料の耐食性を上げるためには、粒界に存在する耐食性の劣る不純物層の低減や空隙をなくすこと、結晶粒自体の耐食性を上げることの両方が重要である。
【0017】
まず、アルミナセラミックスにおけるアルミナ純度を高めることで、焼結体中に含まれる不純物を減らし、粒界における不純物層の生成および析出を抑制することができる。本発明では、アルミナ純度を99.75%以上とすることによって、粒界でのプラズマによる腐食が少ない材料を提供する。この純度が99.75%を下回ると、より望ましい耐食性をセラミックス材料に付与することが困難になってくる。
【0018】
また、成形体の嵩密度を上げる(緻密化する)ことで、粒界に存在する空隙部分を減少させることができ、プラズマに対する耐食性を向上させることができる。本発明では、セラミックス材料の嵩密度を3.94g/cm 以上とすることによって、プラズマ耐食性を向上させている。この嵩密度が3.94g/cm を下回ると、より好ましい耐食性が得られなくなるほか、材料の強度も相対的に低くなる。
【0019】
さらに、緻密化したアルミナ結晶粒の平均粒径を所定の範囲で大きくすることにより、プラズマ照射面に対してプラズマ抵抗性の低い(粒界)部分が占める割合(面積)を減らすことができる(すなわち粒界密度を減少させることができる)。本発明では、アルミナ結晶粒の平均粒径を4μm以上15μm以下としている。アルミナ結晶粒の平均粒径が増加すれば、粒界密度は減少するが、部材の抗折強度が次第に低下するため、その平均粒径は15μm以下が好ましい。また、その平均粒径が4μm未満の場合、粒界密度を十分に減少させることができず、粒界におけるプラズマ損傷の度合いが大きくなってくる。
【0020】
さらに本発明者は、アルミナ結晶粒自体のプラズマによるエッチング量は、セラミックス材料におけるプラズマ照射面の結晶配向性に強く依存することを見いだした。そして、研究の結果、アルミナ結晶(h00)面および(0k0)面がセラミックス材料のプラズマ照射表面に多く分布しておれば、該表面は耐エッチング性に優れていることが判明した。図2は、そのような結果を具体的に裏付けるものであり、部材の結晶配向性とエッチング速度との相関関係を示している。図1において、縦軸はアルミナセラミックス材料の表面における結晶配向率(I030 /(I113 +I030 ))を示し、横軸は該表面がプラズマによりエッチングされる速度(μm/時間)を示す。図1より、結晶配向率が高くなればなるほどエッチング速度が低下する、すなわちプラズマによりエッチングされにくくなることが明らかである。これは、アルミナの各結晶面の中で(h00)面および(0k0)面がプラズマ照射に対して高耐食性であることを意味する。したがって、(h00)面および(0k0)面を、アルミナセラミックス材の表面に多く配向させることで、プラズマ耐食性を上げることが可能となる。
【0021】
ここで、結晶配向率は、材料表面のX線回折測定により求められるものである。通常のX線回折装置を用い、材料表面を2θ/θ法(バルク材、粉末材料の結晶構造の同定に用いられる一般的な方法)によって測定すれば、たとえば図3に示すような回折パターンが得られる。このパターンにおいて、アルミナ結晶系の{113}面および{030}面に由来するピークについて強度を得る。一般に、ピークの高さとして強度が得られる。そして、得られた強度I030 およびI113 より、式I030 /(I113 +I030 )に従って結晶配向率が求められる。なお、一般に安定なアルミナの結晶構造は、図4に示すような六方晶であり、3つある結晶軸のうちa軸とb軸とは等価である。したがって、このような六方晶の構造の場合、(030)面と(300)面とは等価であり、総称して{030}面とする。
【0022】
図5は、本発明によるアルミナセラミックス材料において、その表面に{030}面が配向する様子を模式的に示している。図5に示す材料は、直方体の形状を有している。このような材料は、1対の主要面(上面および底面)とその間にある側面とを有する。本発明によれば、このような材料において、たとえば1対の主要面(上面および底面)に対してほぼ平行に{030}面を強く配向させ、これらの面において上述した結晶配向率を0.34以上とすることができる。配向率が0.34以上であるこれらの表面は、より優れたプラズマ耐食性を有し、プラズマ照射面として優れた性能を有する。一方、このような場合、側面には{030}面が強く配向していない。しかし、上述したようにアルミナ純度、焼結体密度および平均粒径の条件を満足する側面も、プラズマ耐食性を有するものである。以下に示す実施例によってより具体的に示すように、材料表面の結晶配向率を0.34以上とすることにより、より優れたプラズマ耐食性を付与することができた。
【0023】
このようなプラズマ耐食性により優れた表面は、粉末の成形および焼結の工程を含むセラミックスの製造プロセスにおいて、アルミナ原料粉末を1000℃〜1150℃で仮焼し、そのような仮焼処理を施した原料について一軸方向に加圧成形することにより得ることができる。このような1000℃〜1150℃での仮焼工程により、アルミナ粉末は、形状について異方性を有しかつ粒径の揃った原料粉末となる(すなわちネック成長が起こった原料が得られる)。そのような仮焼工程に供するための原料粉末には、比較的平均粒子径が小さいもの(たとえば0.3〜0.5μmの平均粒子径)で、粒径が揃った高純度のアルミナ粉末を用いることが望ましい。そのようなアルミナ粉末は、市販品として得ることができる。上述したように、アルミナ粉末を仮焼した後、一軸方向に圧縮成形することによって、この一軸方向にほぼ垂直な方向に{030}面を強く配向させることができる。ここで、一軸方向の加圧成形とは、たとえば図6に示すように、ある1つの軸に平行な方向にのみ荷重をかける加圧成形法を意味する。これらの工程の後、得られる成形体において一軸方向に圧力がかけられた面を結晶配向率が0.34以上の表面とすることができる。このような一軸方向のプレスの後、CIP成形を行ない、次いで焼結を施すことにより、本発明に従うアルミナセラミックスを製造することができる。一方、一軸方向の加圧成形の後、CIP成形を行なわずに焼結を施しても、焼結体表面の結晶配向性が高い材料を得ることができる。
【0024】
上述した仮焼工程および一軸方向の加圧成形工程を必ず行なうこと以外は、本発明による製造方法は通常の条件に従うことができる。すなわち、一般的なプロセスにおいて、高純度のアルミナ粉末(一般に安定なα型(コランダム構造)アルミナの粉末)を上述したように仮焼した後、得られる原料粉末に有機バインダ、分散剤、水等を添加してスラリを調製する。得られたスラリを、必要に応じてスプレードライヤ等を用いて造粒、乾燥させて造粒粉末を得る。このようにして得られた造粒粉末をたとえば金型に入れて上述したように一軸方向に加圧成形した後、必要に応じてCIP成形を行なう。このようにして得られた成形体を、加熱して脱脂した後、焼結を行ない、用途に応じて必要な形状を有するアルミナセラミックスが得られる。焼結温度は、たとえば1550℃〜1720℃とすることができる。このようにして得られたアルミナセラミックス材について、研削加工、研磨加工等の必要な加工を行ない、適当な洗浄工程等を経て製品が得られる。得られた製品は、たとえば上述したような半導体プロセスに用いられる装置の構成要素または部品として提供することができる。
【0025】
【実施例】
実施例
平均粒子径が0.5μmであり、99.8%〜99.99%の間で種々の純度を有するアルミナ原料粉末を1000〜1150℃で1〜2時間仮焼し、ネック成長を行なわせた。このようにして仮焼した原料粉末100重量部に、水60重量部、アンモニウム系分散剤0.3重量部およびポリビニルアルコール系バインダ2重量部を添加し、ボールミルで16時間混合することによりスラリを得た。得られたスラリをスプレードライヤで噴霧乾燥することにより、球状顆粒の造粒粉を調製した。得られた造粒粉を金型において一軸方向に300kg/cm の圧力で加圧成形した。得られた成形体に、さらにゴム型において1.2t/cm の圧力でCIP成形を施した。得られた成形体を小型電気炉において、昇温し、脱脂を行ない、1550〜1720℃で2時間焼成してアルミナセラミックスを得た。このようにして得られたアルミナセラミックスの表面を、平均粒径0.5〜1.0μmのダイヤモンドスラリを研磨材として用い、精密研磨機によりラッピングし、部材表面を鏡面化した。
【0026】
得られたアルミナセラミックス材料について、嵩密度、アルミナ純度、平均結晶粒径、結晶配向率、プラズマ照射によるエッチング速度、および抗折強度を測定した。嵩密度は、アルキメデス法により測定した。アルミナ純度はICP発光分光法により測定した。平均結晶粒径は、SEM観察による写真判定により測定した。結晶配向率の測定には、ゴニオ式X線回折装置を用い、各アルミナ材料(10mm×10mm)の主表面に対するX線回折像を観測し、回折角度43.36°、68.19°にそれぞれ表われる{113}面、{030}面のピークの回折強度から式I030 /(I113 +I030 )により結晶配向率を求めた。セラミックス材料へのプラズマ照射には、平行平板型イオンエッチング装置を用い、表1に示す条件でプラズマ照射を実施した。各試験材料の照射面(上述した研磨面)に部分的にテフロンテープによるマスクを設け、プラズマ照射を行なった。照射後テフロンテープを取り除き、マスクされていた非照射面(プラズマ未照射面)を基準としてプラズマ照射面における浸食量(損傷量)を求め、それからトータルのエッチング速度を求めた。この損傷量は、触針式段差計による照射面と非照射面との段差測定、および原子間力顕微鏡(AFM)による表面凹凸量の測定の両方から求めた。すなわち、図7に示すように、Aで示される表面凹凸量はAFMにより求められ、Bで示される段差量は触針式段差計によって求められた。プラズマによる損傷量は、これらの量をトータルしたものである。また、各試験材料の抗折強度は3点曲げ試験により求めた。
【0027】
【表1】
Figure 0003555442
【0028】
比較例
平均粒子径が0.5μmであり99.3%〜99.99%の間で種々の純度を有するアルミナ原料粉末を比較例1〜4については1020〜1210℃で1〜2時間仮焼し、ネック成長を行なわせた。このようにして仮焼した原料粉末100重量部に、水60重量部、アンモニウム系分散剤0.3重量部およびポリビニルアルコール系バインダ2重量部を添加し、ボールミルで16時間混合することによりスラリを得た。得られたスラリをスプレードライヤで噴霧乾燥することにより球状顆粒の造粒粉を調製した。得られた造粒粉を金型おいて一軸方向に300kg/cm の圧力で加圧成形した。得られた成形体にさらにゴム型において1.2t/cm の圧力でCIP成形した。小型電気炉を用いて、得られた成形体を昇温し、脱脂を行なった後、1510〜1770℃の温度で2時間焼成した。得られたアルミナセラミックスについて上記実施例と同様に研磨加工を行ない表面を鏡面化した後、上記実施例と同様に嵩密度、純度、平均粒径、結晶配向率、エッチング速度および抗折強度を求めた。
【0029】
また比較例5については、アルミナ原料粉末は仮焼せず、造粒粉も一軸方向の加圧成形は行なわずにCIP成形を行なった。その他の条件は比較例1〜4と同条件であった。
【0030】
実施例および比較例においてそれぞれ得られた結果を、実施例については焼成温度および仮焼温度とともに、比較例については焼成温度とともに表2および表3に示す。これらの結果を比較して明らかなように、アルミナセラミックスの嵩密度を3.94g/cm 以上、平均粒径を4μm〜15μm、アルミナ純度を99.75%以上とし、その表面の結晶配向率を0.34以上とすることにより、フッ素系プラズマに対する耐食性に優れかつ高い抗折強度を有する材料が得られることがわかる。また、焼結体表面の結晶配向率を増加させるには、仮焼工程(ネック成長過程)が必須であり、仮焼温度の上昇とともに材料表面の結晶配向率が増加することがわかる。なお、本発明において、好ましい仮焼温度は1000〜1150℃であり、この仮焼温度が1000℃を下回るとアルミナ粉末のネック成長が十分に進行せず、また仮焼温度が1150℃を超えると造粒径が大きくなり、したがって充填密度が下がり、得られる焼結体の嵩密度が小さくなる。嵩密度が低い材料(比較材1)、純度の低い材料(比較材2)、粒径が小さな材料(比較材3)、粒径が大きな材料(比較材4)および結晶配向率の低い材料(比較材5)と実施例で得られる材料とを比べて明らかなように、本発明によるアルミナセラミック材では、エッチング速度が0.5μm/時間以下と小さくかつ抗折強度が35kg/cm 以上と大きいことがわかる。また、焼結温度が1670℃である実施例の材料と比較例の材料(比較材2)とをエッチング速度について比較した様子を図8に示す。図から明らかなように、本発明による材料では、Aで示される凹凸によるエッチング量およびBで示される段差によるエッチング量のいずれについても比較材よりも少なく、本発明による材料がフッ素系プラズマに対して優れた耐食性を有することがわかる。
【0031】
【表2】
Figure 0003555442
【0032】
【表3】
Figure 0003555442
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたとおり、本発明によれば、プラズマ、特にフッ素系プラズマに対する耐食性がより優れ、かつ強度が高いアルミナセラミックス材料を得ることができる。本発明は、エッチング、アッシング、半導体エピタキシャル成長膜の形成、LSI回路の製造、液晶表示装置の製造など、半導体プロセスに用いられる装置の構成要素または部品として特に有用である。また、上述したように仮焼工程および一軸方向の加圧成形工程を組合せることによって、プラズマに対する耐食性のより優れた表面を有するアルミナセラミックス材料を得ることができる。このような製造方法は、特に複雑な工程を必要とするものでなく、適当な工数によって行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ処理装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】アルミナセラミックス部材の表面における結晶配向性と該表面でプラズマによりエッチングが進行する速度との相関関係を示す図である。
【図3】X線回折測定によって得られる回折パターンを示す模式図である。
【図4】一般的に安定なアルミナの結晶構造を示す模式図である。
【図5】本発明によるアルミナセラミックス材料において特定の結晶面(特定の結晶方位)がプラズマ照射面において配向する様子を示す模式図である。
【図6】一軸方向の加圧成形を説明するための模式図である。
【図7】プラズマ照射によりアルミナセラミックス材料が損傷する様子を示す模式図である。
【図8】エッチング速度について、本発明による材料と比較例による材料との違いを明らかにする図である。

Claims (2)

  1. アルミナ純度が99.75%以上であり、平均結晶粒径が4μm〜15μmでありかつ嵩密度が3.94g/cm以上であるアルミナセラミックスからなり、かつ
    X線回折測定において式I030/(I113+I030)(式中、I030およびI113はそれぞれ前記X線回折測定により得られる回折パターンのアルミナ結晶{030}面および{113}面に対応するピークの強度である)によって求められる結晶配向率が0.34以上である表面をプラズマ耐食性の表面として有することを特徴とする、プラズマ耐食性に優れたアルミナセラミックス材料。
  2. アルミナ原料粉末を成形しかつ得られた成形体を焼結することにより請求項1に記載のアルミナセラミックス材料を製造する方法において、
    前記アルミナ原料粉末を成形する前に、前記アルミナ原料粉末を1000℃〜1150℃の温度で仮焼する工程と、
    前記仮焼を施した材料について一軸方向に加圧成形を施す工程とを備えることを特徴とする、プラズマ耐食性に優れたアルミナセラミックス材料の製造方法。
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