JP6449731B2 - 食物繊維含有穀物茶飲料の製造方法及び性状劣化抑制方法 - Google Patents

食物繊維含有穀物茶飲料の製造方法及び性状劣化抑制方法 Download PDF

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本発明は、飲料の製造方法にかかり、特に食物繊維を含有する穀物茶飲料の製造方法並びに穀物茶飲料の性状劣化抑制方法に関する。
近年、健康志向の高まりから、生理活性機能を有する様々な成分が飲食品に利用されており、例えば特定保健食品をはじめとする、生理活性機能を備えた多くの製品が市場に流通し、消費者にも広く認知されている。また、平成27年4月から施行された機能性表示制度に伴い、より一層生理活性機能への関心が高まり、これに対応する製品も増加するものと考えられる。
特定保健用食品は勿論、新たに施行される機能性表示制度に対応する飲料の場合も、特定の成分が生理活性機能を十分に発揮しうる為、推奨される摂取量が定められている。
このため、該特定成分を如何に容易に且つ美味しく摂取できるか、即ち飲料の種類を選択し、その呈味性を調整することは、飲料各メーカーにとっても非常に重要な検討課題となっている。
本願発明で用いられる生理活性機能成分であって、整腸作用や血中コレステロールの低下作用等の生理活性作用を有する食物繊維は、繊細な香味を有する茶飲料に添加すると、香味のバランスが崩れてしまうといった問題があった。
そのため、現在までに上市されている食物繊維含有飲料は香味がはっきりとした炭酸飲料、あるいは色調が濃く、性状のばらつきがある程度許容される野菜飲料や果汁飲料などに配合される場合がほとんどであった。
一方で、日常で飲用機会の多い飲料としては、水やRTD(Ready to Drink)形態の飲料としての茶飲料といった止渇性飲料が挙げられる。これら茶飲料は止渇性飲料であるがゆえに、日常的に高頻度で飲用されており、生理活性物質を添加した飲料であっても、生理活性機能を十分に発揮しうる所定量を毎日摂取することが極めて容易である。従って、水や茶飲料のような止渇性飲料にグルコシルヘスペリジン等の生理活性物質を添加することで、飲用シーン、性別及び年齢を問わず、生理活性成分を無理なく摂取することが可能となる。その飲用機会の多さと、嗜好性の高まりが相まって、緑茶だけでなく、麦茶やジャスミン茶、ブレンド茶等の種々の茶飲料が上市されている。また、消費者は基本的に1種類の茶飲料を飲み続けることはなく、飲用シーンや気分に合わせて様々な茶飲料を飲み分けていることから、緑茶のみならず、穀物茶やブレンド茶といった他の茶飲料のニーズが非常に高まっている。従って、生理活性機能を有する茶飲料においても、緑茶だけでなく、様々な香味の茶飲料が強く求められている。しかしながら、前述の通り、繊細な香味を有する茶飲料、特に渋味が目立たない穀物茶においては、繊細な香味及び性状を保持した状態で生理活性機能を有する量の食物繊維を添加することは困難であった。
穀物茶の中でも特に玄米茶は、苦渋味が少なく飲みやすいという利点を有するものの、沈殿等が発生しやすい茶飲料であり、食物繊維の添加によって、香味のバランスや性状の安定性が大きく崩れてしまう。また、玄米茶は緑茶、烏龍茶、紅茶と比較して玄米由来の成分による性状の劣化が顕著であり、食物繊維を含有しながらも、性状が安定し、繊細な香味を保った玄米茶を設計することは、技術的ハードルが非常に高かった。
食物繊維を添加した飲料について、現在までに様々な試みが提案されている。
例えば、特許文献1には、茶抽出物を配合してなる容器詰茶飲料であって、(A)非重合体カテキン類、(B)難消化性デキストリン、(C)カフェインを含有し、それらの含有量が容器詰めされた飲料100mL当たり、(A)=100〜600mg、(C)/(A)=0.001〜0.20、(B)/(A)=10〜80である容器詰茶飲料を提供することにより、高濃度の非重合体カテキン類を含有しながら、苦味と甘味のバランスに優れる容器詰茶飲料が開示されている。
また、特許文献2には、焙煎処理された小麦、大麦、ライ麦、ハトムギからなる群から選択される1以上の焙煎麦の抽出物と、焙煎処理された玄米、白米、黒ごま、白ごま、大豆、とうもろこし、黒豆、そば、ケツメイシ(ハブ茶)、麦芽からなる群から選択される1以上の焙煎植物抽出物と、を含む飲料であって、ナトリウムイオン濃度が0.5〜5.0mg/100mlかつpHが6.0〜7.5である飲料が開示されている。
しかし、特許文献1に係わる発明は、非重合カテキンを高濃度で含む緑茶飲料であって、毎日所定量を摂取するのは困難なものであり、また高濃度の非重合カテキンの渋味が強く、食物繊維を添加した繊細な香味を有する穀物茶の香味及び性状劣化抑制を解決課題として研究されたものではない。また、特許文献2に係る発明は、生理活性機能を十分に発揮しうる量の食物繊維は添加されておらず、生理活性機能を有する穀物茶についての香味及び性状劣化抑制の研究はなされていない。従って、本願発明のように、生理活性機能を発揮しうる量の食物繊維を含有しながらも、穀物茶の繊細な香味及び性状の安定化を実現するためには、いずれも不十分なものであった。
特開2010−045994号公報 特開2015−8704号公報
本発明は、特に日常的に飲用されており、毎日所定量を摂取することが比較的容易な止渇性飲料において、食物繊維の添加による香味バランスの欠如及び性状劣化を抑制した穀物茶の製造方法並びに穀物茶の性状劣化抑制方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、食物繊維の添加による香味バランスの調整、及び性状劣化を効果的に抑制する方法について鋭意研究した結果、穀物茶の製造過程において、pH調整下の溶媒中で穀物原料に対する食物繊維の比率(食物繊維/穀物原料)が0.02〜3.00になるように混合し、混合液Aを得る工程と、混合液Aにおける不溶性粒子の平均粒子径を10〜70μmに調整する粒度調整工程とを含むことで、繊細な香味を有する穀物茶の香味バランスが良好となり、更に経時的に発生する沈殿や澱等の性状劣化を効果的に抑制した穀物茶が得られることを見出した。
すなわち本願発明は以下のような構成からなる。
(1)pH調整下の溶媒中で穀物原料に対する食物繊維の重量比率(食物繊維/穀物原料)を0.02〜3.00となるように混合し、混合液Aを得る工程と、混合液Aにおける不溶性粒子の平均粒子径を10〜70μmに調整する粒度調整工程とを含む穀物茶飲料の製造方法。
(2)前記穀物原料が玄米、トウモロコシ、大麦、はと麦から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)に記載の穀物茶飲料の製造方法。
(3)前記溶媒のpHを4.0〜8.0に調整することを特徴とする(1)又は(2)に記載の穀物茶飲料の製造方法。
(4)粒度調整工程後の混合液Aにおける可溶性固形分に対する食物繊維量の比率(食物繊維/可溶性固形分)が3.80〜10.00に調整されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の穀物茶飲料の製造方法。
(5)更に、粒度調整工程後の混合液Aと茶抽出液とを混合し、混合液Bを得る工程を含み、前記混合液Bにおける可溶性固形分に対するポリフェノール量の比率(ポリフェノール量/可溶性固形分)が10.0〜1500.0に調整されることを特徴とする(4)に記載の穀物茶飲料の製造方法。
(6)更に、混合液Bを1〜90分間静置する静置工程と、静置工程後に形状濾過する濾過工程とを含むことを特徴とする(5)に記載の穀物茶飲料の製造方法。
(7)更に、濾過工程後の飲料液におけるタンパク質及びデンプンに対する呈味成分の比率(呈味成分/タンパク質+デンプン)が3.0〜150.0に調整されることを特徴とする(6)に記載の穀物茶飲料の製造方法。
(8)前記呈味成分が糖類及び食物繊維であることを特徴とする(7)に記載の穀物茶飲料の製造方法。
(9)(1)〜(8)に記載のいずれかの工程で製造された穀物茶飲料。
(10)(1)〜(8)に記載されたいずれかの工程を含むことを特徴とする穀物茶飲料の性状劣化抑制方法。
本願発明は前記の構成を具備することにより、食物繊維の添加に起因する性状劣化をより効果的に抑制し、更に良好な香味を味わえる穀物茶の製造方法並びに穀物茶の性状劣化抑制方法を提供することができる。
本発明に係る穀物茶を実施する為の形態について、以下具体的に詳述するが、本発明の技術的範囲から逸脱しない限りにおいて、以下に示す実施形態以外の公知手法を適宜選択することも可能である。
(穀物茶飲料の製造方法)
本発明における穀物茶飲料の製造方法は、玄米、トウモロコシ、大麦、はと麦等の穀物を抽出して得られた抽出液を主たる原料とし、容器に充填してなる飲料の製造方法である。
容器に充填される穀物茶は、例えば原料穀物を抽出して得られた抽出液のみからなる液体、或いは、当該抽出液を濃縮又は希釈した液体、或いは異なる濃度、若しくは異なる種別の穀物又は茶葉から抽出液した抽出液どうしを所定割合で混合した液体、或いはこれら前記何れかの液体に添加物を加えた液体等の形態を例示することができる。
なお、主たる原料とは、少なくとも配合割合が50%以上であることを示している。また、本発明において好ましくは玄米茶であって、穀物の抽出液と緑茶の抽出液を混合したものであり、また抹茶や粉末茶等を添加した飲料であっても良い。
(pH調整)
本発明におけるpH調整は、穀物原料及び食物繊維を混合する際の溶媒のpHを4.0〜8.0に調整するとことが望ましい。この範囲とすることで、玄米由来のオリ等の沈殿を形成する一部のタンパク質と食物繊維を結着させ、且つオリの発生に関与しない香味成分を飲料液中に多く残すことができるからである。かかる観点から、好ましくは4.2〜7.5であり、より好ましくは4.3〜7.0であり、さらに好ましくは4.4〜6.5であり、最も好ましくは4.5〜6.0である。pHの調整方法としては、アスコルビン酸やその塩、クエン酸、重曹及び炭酸カリウム等を添加することによって調整される。また、溶媒としては市水、井水及び脱気水等が挙げられるが、好ましくはイオン交換水である。
(穀物原料)
本発明における穀物原料は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されないが、玄米、トウモロコシ、大麦、はと麦から選ばれる1種以上を配合することが好ましく、混合する茶抽出液との相性から玄米であることがより好ましい。更に、穀物原料は焙煎されていることが好ましく、焙煎後の表面色のL値が10〜60である焙煎穀物原料を使用することが特に好ましく、L値が20〜50である焙煎穀物原料を使用することが最も好ましい。
(食物繊維)
食物繊維とは、人の消化酵素によって消化されない、食物に含まれる難消化性成分の総称である。また、食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに大別されるが、いずれの食物繊維を用いてもよい。中でも、製品の粘性や粒度に影響しない点で、水溶性食物繊維が好ましい。水溶性食物繊維としては、例えば難消化性デキストリン、ペクチン、グアー豆酵素分解物、グアーガム、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。不溶性食物繊維としては、例えばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサンなどが挙げられる。特に難消化性デキストリンについてはその生理活性機能及び穀物茶との相性を期待することができる。
また、本発明における食物繊維は穀物茶飲料に対して0.03〜10.00質量%配合されることが好ましい。0.03質量%を下回ると、日常の飲用量から食物繊維による生理活性機能を得ることが難しくなり、更に穀物茶飲料の香味バランスが崩れてしまう。10.0質量%を上回ると穀物茶の香味及び性状が大きく崩れてしまう。かかる観点から、より好ましくは0.10〜7.00質量%であり、さらに好ましくは0.20〜6.00質量%であり、最も好ましくは0.70〜5.00質量%である。
なお、本発明における穀物茶飲料の食物繊維量は、天然物由来の不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とを検出する酵素−重量法により得られる食物繊維量(酵素−重量法)と、人工物由来や難消化性デキストリンなどの水溶性食物繊維を検出する酵素−HPLC法により得られる食物繊維量(酵素−HPLC法)との合算値を意味する。より具体的には、食物繊維(酵素−重量法)(g/100g)と食物繊維(酵素−HPLC法)(g/100g)とを合計することにより食物繊維(合算)(g/100g)を求め、得られた値をppm換算することにより、本発明における食物繊維量を算出する。
(食物繊維/穀物原料)
更に、本発明のpH調整下における穀物原料と食物繊維の配合割合は、穀物原料に対する食物繊維の重量比率(食物繊維/穀物原料)が0.02〜3.00になるように混合される。0.02を下回ると、食物繊維と穀物原料の接触が弱くなり、オリ等の沈殿を形成する一部のタンパク質と食物繊維の結着が損なわれてしまい、3.00を上回ると食物繊維による不自然な厚みが香味に出しまい、穀物茶飲料の繊細な香味が損なわれてしまう。かかる観点から、好ましくは0.05〜2.80であり、より好ましくは0.10〜2.50であり、特に好ましくは0.30〜2.00であり、最も好ましくは0.5〜1.5である。
(混合液A)
本発明における混合液Aとは穀物原料と食物繊維を溶媒に混合した水溶液である。また、溶媒の量は粒度調整工程での調整効率及び作業性から、穀物原料の2.0倍〜20.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がより好ましい。
(粒度調整工程)
本発明の粒度調整工程は、混合液Aをミキサー、ホモジナイザー等によって攪拌し、穀物原料及び食物繊維を分散・粉砕する工程である。本発明の効果を得るためには穀物原料と食物繊維を溶媒中で分散・粉砕する、いわゆる水中粉砕を行うことが重要である。水中粉砕を行い、粒子径を調整することによって、オリ等の沈殿を形成する一部のタンパク質と食物繊維を効率的に結着させ、濾過工程にてタンパク質を効果的に除去することができ、且つオリの発生に関与しない香味成分を飲料液中に多く残すことができる。その結果、性状が安定化し、且つ穀物茶が本来備えている香味を維持した穀物茶飲料を製造することができる。よって、粒度調整工程における不溶性粒子の平均粒子径は10〜70μmに調整される。10μmを下回ると口当たりが弱くなり、穀物茶飲料としての濃度感が薄い印象となってしまい、70μmを上回ると口に残るざらつきとなり、更には、オリや沈殿が発生してしまい好ましくない。かかる観点から、好ましくは15〜65μmであり、より好ましくは20〜60μmであり、特に好ましくは25〜50μmであり、最も好ましくは30〜40μmである。
また、粒度調整工程後の混合液Aの分布の中央値に対応する粒子径、いわゆるメディアン径は30.0〜90.0μmに調整されることが好ましく、更には40.0〜80.0μmに調整されることがより好ましい。また、分布の最頻値に対応する粒子径、いわゆるモード径は50.0〜150.0μmに調整されることが好ましく、更には70.0〜120.0μmに調整されることがより好ましい。粒子径をこれらの範囲とすることは、穀物茶飲料における飲用時後半の不快味の抑制や性状劣化の抑制に効果的である。なお、これらの粒子径は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば市販のレーザー回析式粒度分布測定装置等により測定することができる。また、本発明においては粒度調整工程後に80メッシュで粗濾過し、夾雑物を除去した混合液Aの粒度を測定することが好ましい。
(可溶性固形分)
本発明における可溶性固形分(Bx.)とは、溶液100g中に含まれる可溶性固形分のグラム量を計測する単位であり、市販の屈折率計を用いて測定される20℃における糖用屈折計指示度(Brix値)であって、充填後の製品においては0.035〜3.500に調整されることが好ましい。可溶性固形分量が0.035を下回る場合、甘味や厚みが希薄となり、薄い印象となってしまい好ましくない。一方で3.500を上回る場合は香味のバランスが崩れ、過剰な甘味や厚みとなり、毎日所定量を飲用することが困難となり、更には経時による劣化の影響を受けやすくなってしまう。かかる観点から、本発明においては、より好ましくは0.500〜3.000であり、さらに好ましくは0.600〜2.500であり、特に好ましくは0.700〜2.000であり、最も好ましくは0.800〜1.400である。なお、可溶性固形分の測定方法としては、市販の屈折率計又は糖度計を用いて測定することができる。
(食物繊維/可溶性固形分)
本発明における可溶性固形分に対する食物繊維の比率(食物繊維/可溶性固形分)は粒度調整工程後に3.50〜10.00に調整されることが好ましい。3.50を下回ると穀物茶飲料の繊細な香味が薄い印象となり、また濾過工程によるタンパク質の除去効果も弱まってしまう。10.00を上回ると穀物茶飲料の香味において不自然な厚みを感じてしまい、性状の安定性も損なわれてしまう。かかる観点から、より好ましくは4.00〜9.80であり、さらに好ましくは5.00〜9.50であり、特に好ましくは7.00〜9.30であり、最も好ましくは8.00〜9.00である。
(混合液B)
本発明における混合液Bとは、混合液Aと茶葉抽出液を混合した飲料液である。また、混合する茶葉抽出液は、混合液Aと混合するまでに別途、濾過等を実施しても構わない。例えば、メッシュ、ストレーナー、GAFフィルター、遠心分離、濾澱濾過等が挙げられる。更に、原料茶葉の茶抽出液の抽出効率(可溶性固形分×茶抽出液量(g)/原料茶葉(g))は、15.0〜58.0%であることが好ましく、20.0〜55.0%であることがより好ましく、30.0〜50.0%であることが特に好ましい。この範囲とすることで、原料茶葉由来の香味と穀物原料由来の香味のバランスが良好となるからでる。
この範囲とすることで、穀物と茶葉の香味バランスが良好となり、濾過工程によって性状の安定性も得られるからである。また、茶抽出液に用いられる原料茶葉としては、本発明の効果を損なわない限り、その種類を特に制限されず、例えば、不発酵茶、いわゆる緑茶としては、蒸し茶、煎茶、玉露、抹茶、番茶、玉緑茶、釜炒り茶、中国緑茶などが挙げられ、半発酵茶、いわゆる烏龍茶としては、鉄観音、色種、水仙、黄金桂が挙げられ、発酵茶、いわゆる紅茶としては、ダージリン、ウバ、キーモン、アッサム、ニルギリ、ヌワラエリア、ディンブラ、インドネシア(ジャワ)、ケニアなどが挙げられる。また、穀物原料としては、大麦、加工麦、はと麦、玄米、発芽玄米、麦芽、そば及びトウモロコシなどが挙げられる。
なお、原料茶葉は2種類以上をブレンドしたものであっても良く、エキス等の濃縮液を添加しても良い。
(ポリフェノール)
本発明の穀物茶飲料は、ポリフェノールを10〜550ppm含有することが好ましい。ポリフェノール量が10ppmを下回るとポリフェノールによる呈味や濃度感を感じにくく、もの足りない印象となる。550ppmを上回ると後味のキレが悪くなり、雑未が口に残る印象となる。かかる観点から、本発明におけるポリフェノール量は、より好ましくは30〜500ppmであり、さらに好ましく50〜300ppmであり、特に好ましくは70〜200ppmであり、最も好ましくは90〜160ppmとする。この範囲とすることにより穀物茶の繊細な香味バランスを演出すことが可能となる。
本発明においてポリフェノールとは、植物に由来する物質(フィトケミカル:phytochemical)の1種であり、1分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の総称である。ポリフェノールには、大別して分子量が1,000以下の単量体ポリフェノールと、単量体ポリフェノールが2つ以上結合した重合ポリフェノールが存在する。重合ポリフェノールは一般にタンニンとも称される。代表的な単量体ポリフェノールとしては、フラボノイド類(フラボノイド類には、フラボン、フラバノール、アントシアニジン、イソフラボノイド、ネオフラボノイド等を基本骨格とする化合物が含まれる)、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸などがある。一方、重合ポリフェノールは単量体ポリフェノールが2個以上結合した化合物であり、ポリフェノール同士が炭素−炭素結合により重合した縮合型タンニンと、糖等由来の水酸基とのエステル結合により重合した加水分解型タンニンとに大別され、それぞれ代表的なポリフェノールとして縮合型タンニンとしてはプロアントシアニジン類、加水分解型タンニンとしてはガロタンニン、エラグタンニンが挙げられる。各ポリフェノールは単体以外にも、当該ポリフェノールの生理活性機能を失わない範囲であれば、例えば、重合体、配糖体等の所定の化合物状態であっても良い。ポリフェノールは重合度や結合位置で様々な種類のものが存在するが、極めて強い抗酸化作用を示す。ポリフェノールは当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、タンニン酸を標準物質としてフォリン−デニス法を用いて求める方法が挙げられる。
更に、本発明はポリフェノールを含有する植物の抽出液又は搾汁液を配合することによって、ポリフェノールを含有することが好ましく、使用するポリフェノール含有植物は、茶類、種子類から選ばれる少なくとも1種以上の植物であることが好ましい。例えば、茶類としては、Camellia属、C.sinensis、C.assamica又はそれらの雑種から得られる不発酵茶、半発酵茶、発酵茶が挙げられ、不発酵茶としては製茶された煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類が挙げられる。半発酵茶又は発酵茶としては半発酵又は発酵工程を経て製茶された、紅茶、烏龍茶、黒茶等が挙げられる。これらの原料は、本発明の効果が発揮される限りにおいて特に限定されることなく、1種で用いても、2種以上をブレンドして用いてもよい。なお、本発明においては、穀物原料との相性の良さから不発酵茶であることが好ましく、特に煎茶であることが好ましい。
(ポリフェノール量/可溶性固形分)
本発明における混合液Bの可溶性固形分に対するポリフェノール量の比率(ポリフェ。ノール/可溶性固形分)は10.0〜1500.0に調整されることが好ましい。10.0を下回ると茶抽出液由来の香味が弱く、穀物茶飲料としての香味が物足りない印象となる。1500.0を上回ると茶抽出液由来の香味成分が多く、渋味が目立ち、更にはオリ等の沈殿が発生しやすくなるからである。かかる観点から、より好ましくは30.0〜500.0であり、さらに好ましくは50.0〜400.0であり、特に好ましくは70.0〜200.0であり、最も好ましくは80.0〜150.0である。
(静置工程)
本発明における静置工程とは、混合液Bを1〜90分間静置する工程である。1分間を下回ると静置による粒子の分散・沈降が得られず、濾過工程による粒子の分級効果が弱まってしまい、穀物茶飲料の香味バランス及び性状の安定性が損なわれてしまう。90分間を上回ると香味成分までもが分散・沈降してしまい、濾過工程によって香味に寄与する成分までが除去されてしまう。かかる観点から、好ましくは3〜60分間であり、より好ましくは5〜40分間であり、特に好ましくは10〜30分間である。また、静置工程における飲料液の温度は、穀物原料由来の成分と食物繊維の結着保持の観点から1〜20℃が好ましく、2〜15℃がより好ましい。
(濾過工程)
本発明における濾過工程とは静置後の混合液Bを形状濾過する工程である。本発明は、オリ等の沈殿を形成する原因であるタンパク質と食物繊維を結着させて効率的に除去することが可能なため、オリの発生に関与しない香味成分を飲料液中に多く残すことができる。その結果、性状が安定化し、且つ穀物茶が本来備えている香味を維持した穀物茶飲料を製造することができる。かかる観点から、遠心分離機等による比重濾過よりも、メッシュ等の形状濾過が好ましい。形状濾過としては、ネル布、メッシュ、ステンレスフィルター、ポリプロピレンフィルターや多孔質媒体による濾滓濾過、限外濾過、微細濾過、精密濾過、逆浸透膜濾過、電気透析、生物機能性膜などの膜濾過等を挙げることができるが、生産性及び香味成分調整の観点から、GAFフィルター及び/又はストレーナーによって調整することが好ましく、GAFフィルター及び/又はストレーナーの目開きとしては10〜150μmがより好ましく、20〜110μmが特に好ましく、25〜80μmが最も好ましい。また、品質保持の観点から、濾過工程における飲料液の温度は1〜20℃が好ましく、2〜15℃がより好ましい。
(呈味成分)
本発明における呈味成分とは、糖類及び食物繊維の総量であって、穀物茶飲料の甘味や濃度感に寄与する成分である。本発明の呈味成分については香味バランスの観点から、900〜31000ppmが好ましく、1000〜20000ppmがより好ましく、3000〜18000ppmが特に好ましく、8000〜12000ppmが最も好ましい。
(アミノ酸)
本発明におけるアミノ酸とは、アラニン、セリン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸及びテアニンの総量であって、0.01〜50.0ppmに調整されることが好ましい。この範囲とすることで穀物茶飲料における繊細な香味に合った旨み及び塩味とすることができる。かかる観点から、より好ましくは0.03〜25.0ppmであり、さらに好ましくは0.05〜10.0ppmであり、特に好ましくは0.10〜5.0ppmである。
(糖類)
本発明における糖類とは単糖及び二糖の総量である。単糖は、一般式C(HO)で表される炭水化物であり、加水分解によりそれ以上簡単な糖にならないものであり、本発明でいう単糖は、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)を示すものであって、二糖とは一般式C12(HO)11で表される炭水化物であり、加水分解により単糖を生じるものであり、スクロース(蔗糖)、セロビオース、マルトース(麦芽糖)である。本発明において糖類の濃度は300〜800ppmに調整されることが好ましい。飲料の糖類の濃度が300ppmを下回ると飲料における甘味と濃度感が不足してしまう点で好ましくなく、800ppmを上回ると爽快感が損なわれ、穀物茶本来の繊細な味わいが損なわれてしまい好ましくないからである。かかる観点から、400〜700ppmであるのがより好ましく、500〜600ppmであるのが特に好ましい。なお、糖類は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、HPLCを用いた検量線法によって測定する方法が挙げられる。
更に、本発明の穀物茶飲料の単糖の濃度は、40〜300ppmであるのが好ましく、飲料の単糖の濃度が40ppmを下回ると穀物茶飲料における甘味が不足してしまう点で好ましくなく、300ppmを上回ると不自然な甘味を感じてしまい、穀物茶本来の繊細な味わいが損なわれてしまい好ましくない。かかる観点から、50〜200ppmであるのがより好ましく、60〜150ppmであるのが特に好ましく、70〜120ppmであるのが最も好ましい。
更に、本発明の穀物茶飲料の二糖の濃度は、300〜800ppmであるもが好ましく、飲料の二糖類の濃度が300ppmを下回ると穀物茶飲料における濃度感が不足してしまい、800ppmを上回ると穀物茶飲料における濃度感が過度になり、穀物茶本来の繊細な味わいが損なわれてしまう。かかる観点から、350〜700ppmであるのがよりが好ましく、400〜600ppmであるのが特に好ましく、420〜520ppmであるのが最も好ましい。
糖類濃度や糖類比率を前記範囲に調整するには、穀物原料や原料茶葉の乾燥(火入れ)加工や抽出を適宜条件にして調整することができる。例えば、茶葉の乾燥(火入れ)加工を強くすると糖類は分解されて減少し、また、高温で長時間抽出すると糖類は分解されて減少する。しかるに、茶葉の乾燥(火入れ)条件と、抽出条件により、糖類濃度や糖類比率を調整することができる。
この際、ショ糖、液糖等の甘味料を添加して調整することも可能であるが、穀物茶本来の香味バランスが崩れるおそれがあるため、甘味料を添加することなく、例えば穀物原料抽出液を得るための条件を調整したり、複数の異なる穀物抽出液や茶葉抽出液の混合割合を調整したり、茶抽出物や茶精製物を添加することにより調整するなどの方法が好ましい。
(タンパク質)
本発明におけるタンパク質とは、穀物茶飲料におけるオリや沈殿の原因となる成分であって、具体的には、経時によって発生する二次的なオリを形成する原因のタンパク質である。本発明におけるタンパク質量はオリ発生の抑制のため10〜600ppmであることが好ましく、30〜500ppmであることがより好ましく、50〜400ppmであることが特に好ましく、100〜200ppmであることが最も好ましい。
なお、タンパク質の測定は当業者に公知の方法で行うことができ、例えばケルダール法やブラッドフォード法にて行うことができる。また、ケルダール法に用いる分解促進剤等の試薬には市販品を適宜用いることができる。また測定機については市販品を用いることができる。
(デンプン)
本発明におけるデンプンは、一般式C(HO)で表される炭水化物であって、1〜300ppmであるのが好ましく、飲料のデンプンの濃度が1ppmを下回ると飲料における厚みが不足してしまう点で好ましくなく、300ppmを上回ると後味が重たくなり好ましくないからである。かかる観点から、3〜200ppmであるのがより好ましく、5〜150ppmであるのが特に好ましく、10〜100ppmであるのが最も好ましい。
なお、デンプン量は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、ヨウ素比色法や市販のキット等が挙げられる。
(呈味成分/(タンパク質+デンプン))
本発明における呈味成分に対するタンパク質及びデンプンの比率(呈味成分/(タンパク質+デンプン))は3.0〜150.0に調整されることが好ましい。3.0を下回る場合、甘味や濃度感が弱く、薄い印象となってしまう。更に、オリ等の沈殿が発生しやすくなり、性状の安定性が損なわれてしまう。一方で、150.0を上回る場合は、不自然な甘味や濃度感を感じ、穀物茶飲料の繊細な香味が損なわれてしまう。かかる観点から、より好ましくは5.0〜120.0であり、さらに好ましくは10.0〜100.0であり、特に好ましくは20.0〜90.0であり、最も好ましくは30.0〜70.0である。
本発明の穀物茶におけるカテキン類濃度は、1〜500ppmであるのが好ましい。穀物茶のカテキン類濃度が1ppmを下回ると渋味がなくなり、濃度感を感じにくく好ましくなく、500ppmを上回ると渋味やエグ味が強調され過ぎて穀物茶飲料の繊細な香味のバランスが崩れてしまい好ましくない。かかる観点から、5〜400ppmがより好ましく、8〜300ppmがさらに好ましく、10〜150ppmが最も好ましい。この際、総カテキン類とは、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)の合計8種の意味であり、総カテキン類とは8種類のカテキン濃度の合計値の意味である。総カテキン類濃度を上記範囲に調整するには、抽出条件で調整するようにすればよい。この際、カテキン類を添加して調整することも可能であるが、穀物茶のバランスが崩れるおそれがあるため、茶葉抽出液を得るための条件を調整するほか、茶葉抽出液どうしの混合、或いは茶抽出物の添加などによって調整するのが好ましい。なお、カテキン類濃度は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフ法)を用いた分析方法が挙げられる。
また、本発明の穀物茶におけるカフェイン濃度は、0.1〜100.0ppmであるのが好ましく、0.5ppm〜80.0ppmがより好ましく、0.8ppm〜50.0ppmが特に好ましく、1.0ppm〜20.0ppmが最も好ましい。この範囲とすることで、穀物茶飲料の渋味が少なく、飲用しやすい香味となるからである。
カフェイン濃度を上記範囲に調整するには、カフェインの含有量が少ない、又は含有しない原料を配合するか、茶葉に熱湯を吹き付けたり、茶葉を熱湯に浸漬させたりして茶葉中のカフェインを溶出させ、その茶葉を用いて茶抽出液を作製し、これら茶抽出液どうしを混合して調整すればよい。また、抽出液に活性炭や白土等の吸着剤を作用させてカフェインを吸着除去してもよい。なお、カフェイン濃度は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフ法)を用いた分析方法が挙げられる。
また、本発明におけるポリフェノールに対するカフェインの比率(カフェイン/ポリフェノール)は0.005〜0.250に調整されることが好ましい。この範囲とすることで苦味や渋味が後味に残らず、キレのある適度な苦渋味となるからである。かかる観点から、より好ましくは0.010〜0.100であり、特に好ましくは0.015〜0.080であり、最も好ましくは0.020〜0.060である。
また、本発明の穀物茶飲料におけるカフェイン濃度に対するカテキン濃度の比率(カテキン濃度/カフェイン濃度)は、1.0〜50.0に調整されることが好ましく、より好ましくは3.0〜40.0であり、さらに好ましくは6.0〜30.0であり、特に好ましくは10.0〜20.0である。この範囲とすることで、穀物茶飲料における渋味と苦味のバランスが良好となり、呈味と相まって、舌に残る嫌な渋味や苦味を感じにくくなる。
更に、本発明の穀物茶飲料におけるカテキン濃度に対する食物繊維の比率(食物繊維/カテキン濃度)は、50.0〜250.0に調整されると好ましく、80.0〜200.0であるとより好ましい、更に100.0〜180.0であると特に好ましい。この範囲とすることで、穀物茶飲料の食物繊維による厚みとカテキンによる渋味のバランスが良好となる。
(抽出工程)
穀物原料又は原料茶葉抽出は、例えば常法に従ってニーダー又はドリッパーと呼ばれる抽出装置を用いて、原料に対して5〜100倍量、10〜100℃の水で約1分〜90分間、必要に応じて1回〜複数回攪拌して、常圧か、または適宜加圧・負圧下で行う。適度な香味と、液色変化防止の観点から言えば、10〜100℃であり、好ましくは20〜99℃であり、さらに好ましくは25〜97℃、特に好ましくは30〜95℃の抽出温度で抽出を行うのが好ましい。但し、抽出方法及び抽出条件等を特に限定するものではなく、例えば加圧を行うこともできる。
抽出に用いる水は、市水、井水、純水、硬水、軟水、イオン交換水、天然水、脱気水等が挙げられるが、これらのうちイオン交換水又は脱気水を用いるのが好ましく、特に脱気水を用いるのが好ましい。脱気水を用いることで、乳含有容器詰飲料の常温又は加温による品質の劣化や色調変化をより効果的に抑制することができる。なお、脱気水を用いる場合、飲用に適した水の一部又は全てを脱気水とすることができる。また、その外にもアスコルビン酸含有水溶液及びpH調製水等を使用することができ、抽出用液にアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。
(pH)
本発明における穀物茶飲料の製品pHは5.0〜7.0に調整される。pHが5.0を下回ると苦味や渋味が目立ってしまい、7.0を上回ると水っぽい印象となってしまうからである。かかる観点から、好ましく5.2〜6.9であり、より好ましいpHは5.4〜6.8であり、特に好ましいpHは5.6〜6.7であり、最も好ましいpHは5.8〜6.6である。なお、pHを上記範囲に調整するには、例えば、アスコルビン酸やクエン酸、重曹や炭酸カリウム等のpH調整剤の添加量を調整すればよい。
(各成分の測定方法)
前記した単糖類、二糖類、カテキン類及びカフェインは、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定することができる。また、タンパク質の測定は当業者に公知の方法で行うことができ、例えばケルダール法、デュマ法及びこれらの改変型・改良型にて行うことができる。また、ケルダール法に用いる分解促進剤等の試薬には市販品を適宜用いることができる。また測定機については市販品を用いることができる。
(容器)
飲料を容器詰飲料にする場合、使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できる、いわゆるRTDであって、常温において9ヶ月以上保存できるものをいう。また、本発明においては、オリ等の沈殿が抑制される観点から、ペットボトル等の透明容器等を用いるのが好ましい。
以下、前記実施形態に基づき、本発明の実施例を説明するが、本願発明の技術的範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜形態の変更を行うことができる。
本実施例における実施例サンプル及び比較例サンプルの調製方法について以下に説明する。
<試験例1>
下記の市販の各原料を使用し、表1に記載の割合で配合し、穀物茶飲料として実施例1〜14及び比較例1〜6を作成した。
(焙煎玄米)
うるち米(国産)を精米機で精米し、蒸し機でα化した後、回転ロースターにて270℃で3分間焙煎し、L値が30の焙煎玄米茶を得た。
(食物繊維)
ファイバーソル2(松谷化学社製)を使用した。
(混合液A)
焙煎玄米(うるち米、国産、L値30)と食物繊維を表1に記載の量で混合し、それぞれ80mlの純水に添加し、実施例1〜14及び比較例1〜5に該当する混合液Aを得た。なお、比較例5は食物繊維を添加せずに作成し、比較例6は混合液Aを作成しなかった。
(粒度調整工程)
それぞれの混合液Aをミキサーにて30秒間分散・粉砕し、80メッシュで粗濾過し、粒度調整後の混合液Aを回収した。
(茶葉原料及び茶葉抽出液)
茶葉(やぶきた種、国産一番茶、荒茶)を回転ドラム型火入機にて270℃4分間火入加工し、その茶葉をそれぞれ表1に記載の量で90℃で7分間抽出した。抽出液を冷却し、80メッシュで粗濾過した抽出液を冷却して茶葉抽出液を得た。なお、比較例6は茶葉原料と一緒に表1に記載の量の穀物原料及び食物繊維を添加し、同時に抽出した。
(混合液B)
実施例1〜14及び比較例1〜5に該当する前記粒度調整後の混合液A50gと前記茶抽出液250gを混合し、混合液Bを得た。なお、比較例5については混合液Bを作成する際に表1に記載の量の食物繊維を添加した。なお、比較例6については、抽出後そのまま濾過工程を行った。
(静置工程)
混合液B300gをステンレスビーカーにて表1記載の通りの時間静置した。なお、実施例12は静置工程を行わなかった。
(濾過工程)
静置後の混合液Bを100μmGAFフィルターにて濾過した。
実施例1〜14及び比較例1〜6に該当する濾過後の飲料液に、重曹を添加し、pHを調整後、それぞれ1000gにメスアップし、UHT殺菌機で136.5℃、30秒ホールディングで殺菌し、プレート内で35℃に冷却してから透明プラスチック容器(PETボトル)に充填し、実施例1〜14及び比較例1〜6の穀物茶飲料を得た。
本試験において測定する成分の分析方法は以下のとおりである。なお、成分の分析は5℃で1週間保管後の実施例サンプル及び比較例サンプルを用いた。
<pH>
東亜ディーケーケー株式会社製HM−21P・卓上pHメーターにて品温20度にて測定した。また、pH測定は5℃で2週間保管後のサンプルを用いた。
<可溶性固形分>
光学屈折率計(アタゴ社製 RX−DD7α−Tea)を用いて、糖度を測定した。
<平均粒子径>
レーザー回析式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−2300)を用いて、平均粒子径を測定した。
<食物繊維>
酵素−重量法と酵素−HPLC法の合計値を食物繊維量とした。
<ポリフェノール>
タンニン酸を標準物質として酒石酸鉄による比色法を用いて求められる量をポリフェノール量とした。
<タンパク質>
ケルダール法を用いて食品中の窒素量を定量し、タンパク質に換算した値をタンパク質量とした。
<デンプン>
試料溶液10gに対し、エタノールを10g加え、遠心分離(8000g〜10000g、20分)処理を行い、上澄を廃棄した。残渣に再び蒸留水を適宜加え、3分間加熱糊化を行い、グルコアミラーゼ(「AMYLOGLUCOSIDASE、Megazyme」日本バイオコン株式会社製)を加えて37℃にて2時間保温後、20mLに定容し、濾紙(「ADVANTEC No.5B」東洋濾紙株式会社製)にて濾過した。この濾液について、市販のグルコース定量用キット(例えば、「グルコースCII−テストワコー」和光純薬株式会社製)を用いてグルコース量を求め、グルコース量から試料に含まれるデンプン量を算出した。
<糖類>
HPLC糖分析装置を用い、検量線法により定量して測定した。
<官能評価>
官能評価は5℃で1週間保管後のサンプル(5℃、1W)及び37℃で1ヵ月後のサンプル(37℃、1M)について、8人のパネラーが以下の評価方法に基づいて実施し、最も多かった評価を採用した。なお、それぞれの官能評価及び性状評価における評価項目は以下の通りである。
また37℃で1ヶ月保管後のサンプルにおいて目視での性状の評価を行った。
(官能評価5℃、1W及び37℃、1M)
甘味による濃度感:
◎:甘味による厚みと濃度感が最適であり、極めて良好
○:甘味による厚みと濃度感が感じられ、良好
△:甘味による厚みと濃度感がやや弱く、あまりよくない
×:甘味による厚みと濃度感が弱く、問題あり
穀物と茶葉の香味バランス:
◎:穀物由来の香味と茶葉由来の香味のバランスが適度であり、極めて良好
○:穀物由来の香味と茶葉由来の香味のバランスがとれており、良好
△:穀物由来の香味と茶葉由来の香味のどちらかがやや弱く、あまりよくない
×:穀物由来の香味と茶葉由来の香味のどちらかが弱く、問題あり
(性状評価:37℃、1M)
沈殿及び2次オリ:
◎:2次オリや沈殿が見られず、極めて良好
○:沈殿は少しあるが、2次オリはなく、良好
△:2次オリと沈殿が少しあり、あまりよくない
×:2次オリと沈殿が目立ち、問題あり
Figure 0006449731
pH調整下で穀物原料に対する食物繊維の比率(食物繊維/穀物原料)が0.02〜3.00になるように混合し、粒子調整工程を行い、粒子調整後の平均粒子径が10〜70μmである実施例1〜14の穀物茶飲料は、穀物由来の香味と茶葉由来の香味のバランスがとれており、甘味による厚みと濃度感も感じられ、良好であった。更に、37℃で1ヶ月後の香味も良好であり、沈殿や2次オリの発生も抑制されていた。とりわけ、pHを4.5〜6.0に調整した状態で穀物原料に対する食物繊維の比率(食物繊維/穀物原料)が0.5〜1.5になるように混合し、粒子調整工程を行い、粒子調整工程後の平均粒子径が30〜40μmである実施例1の穀物茶飲料は、穀物由来の香味と茶葉由来の香味のバランスが適度であり、甘味による厚みと濃度感の最適であり、極めて良好であった。更に、37℃で1ヶ月後の香味も極めて良好であり、沈殿や2次オリの発生も見られなかった。
本発明は、特に日常的に飲用されており、毎日所定量を摂取することが比較的容易な止渇性飲料において、食物繊維の添加による香味バランスの欠如及び性状劣化を抑制した穀物茶の製造方法並びに穀物茶の性状劣化抑制方法に利用することができる。

Claims (6)

  1. pH調整下の溶媒中で穀物原料に対する食物繊維の重量比率(食物繊維/穀物原料)を0.02〜3.00になるように混合し、混合液Aを得る工程と、
    混合液Aにおける不溶性粒子の平均粒子径を10〜70μmに調整する粒度調整工程と、
    前記粒度調整工程後の混合液Aにおける可溶性固形分に対する食物繊維量の比率(食物繊維/可溶性固形分)を3.80〜10.00に調整する工程と、
    更に、粒度調整工程後の混合液Aと茶抽出液を混合し、混合液Bを得る工程を含み、前記混合液Bにおける可溶性固形分に対するポリフェノール量の比率(ポリフェノール量/可溶性固形分)を10.0〜1500.0に調整する工程と、前記混合液Bを1〜90分間静置する静置工程と、静置工程後に形状濾過する濾過工程とを含むことを特徴とする穀物茶飲料の製造方法。
  2. 前記穀物原料が玄米、トウモロコシ、大麦、はと麦から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の穀物茶飲料の製造方法。
  3. 前記溶媒のpHを4.0〜8.0に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の穀物茶飲料の製造方法。
  4. 更に、濾過工程後の飲料液におけるタンパク質及びデンプンに対する呈味成分の比率(呈味成分/タンパク質+デンプン)が3.0〜150.0に調整されることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の穀物茶飲料の製造方法。
  5. 前記呈味成分が糖類及び食物繊維であることを特徴とする請求項1〜4に記載の穀物茶飲料の製造方法。
  6. pH調整下の溶媒中で穀物原料に対する食物繊維の重量比率(食物繊維/穀物原料)を0.02〜3.00になるように混合し、混合液Aを得る工程と、
    混合液Aにおける不溶性粒子の平均粒子径を10〜70μmに調整する粒度調整工程と、
    前記粒度調整工程後の混合液Aにおける可溶性固形分に対する食物繊維量の比率(食物繊維/可溶性固形分)を3.80〜10.00に調整する工程と、
    更に、粒度調整工程後の混合液Aと茶抽出液を混合し、混合液Bを得る工程を含み、前記混合液Bにおける可溶性固形分に対するポリフェノール量の比率(ポリフェノール量/可溶性固形分)を10.0〜1500.0に調整する工程と、記混合液Bを1〜90分間静置する静置工程と、静置工程後に形状濾過する濾過工程とを含むことを特徴とする穀物茶飲料の性状劣化抑制方法。
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