以下、本発明に係る超音波流量計について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
[超音波流量計1の概略構成]
先ず、本実施形態に係る超音波流量計1の概略構成について図1乃至図6に基づき説明する。図1はメータケース3のメータ筐体3Aにカバー3Bを取り付ける状態を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る超音波流量計1は、例えば、被計測流体の一例である燃料ガス(例えば、都市ガスやLPガス等である。)の流量を計測する燃料ガスメータであって、燃料ガスの配管2の途中に接続された略直方体形状のメータケース3を備えている。
メータケース3は、前面側が開放された略直方体形状に形成されたメータ筐体3Aに、内側が所定深さ窪んだ略箱体状のカバー3Bが各ネジ孔3Cを介して前面側にネジ止めされ、内部が気密に保持されるように構成されている。また、メータ筐体3Aの上面からは、配管2に気密に接続される流入口5と流出口6が長手方向の両端部に突出して設けられており、メータケース3内に連通している。流入口5には配管2を介して燃料ガスが供給される。
また、メータケース3内には、メータケース3内を通過する燃料ガスの流量を一対の超音波振動子12A、12B(図3参照)で計測する流量計測ユニット11が、メータ筐体3Aの前面側から挿入されて、長手方向に沿って配置される。また、メータケース3内には、略矩形の板状に形成された整流部材13が、メータ筐体3Aの前面側から挿入されて、メータケース3内に配置された流量計測ユニット11の断面矩形状に形成された計測流路部15の入口部15Aに対向するようにネジ止めにより取り付けられる。尚、整流部材13は、ステンレス、アルミ等の金属や、合成樹脂等で形成されている。
ここで、流量計測ユニット11の概略構成について図1乃至図4に基づいて説明する。図1乃至図4に示すように、流量計測ユニット11は、流路断面が上下方向に長い矩形状の筒状の計測流路部15と、計測流路部15の長手方向中央部の上側に形成された回路ケース16とから構成されている。
図3に示すように、回路ケース16内には、計測流路部15の短辺に対向する位置において(図3中、計測流路部15の上面側である。)、流れ方向両端部に各超音波振動子12A、12Bが配置され、超音波が対向面で反射されるV字型の超音波の伝搬経路17が形成される。また、各超音波振動子12A、12Bの上側には、各超音波振動子12A、12Bが電気的に接続される計測回路18Aが形成された回路基板18が配置され、燃料ガス等の被計測流体の流量計測値を算出して出力可能に構成されている。
図1乃至図4に示すように、計測流路部15の入口部15A及び出口部15Bは、内周面が外側方向へ滑らかに拡がる曲面に形成されている。また、図3及び図4に示すように、複数枚、例えば5枚の分流板19が、各超音波振動子12A、12Bの下側に、計測流路部15の流路断面の長辺に対して平行(図4では、左右方向)で、且つ、流れ方向に平行になるように短辺方向に略等間隔で設けられている。従って、各分流板19は、各超音波振動子12A、12B間の超音波の伝搬経路17を含む面と平行になるように計測流路部15内に設けられている。これにより、各分流板19によって計測流路部15内の流れ方向を安定化させることが可能となる。
次に、メータケース3内の概略構成について図1乃至図6に基づいて説明する。図1、図2及び図4示すように、メータ筐体3Aの長手方向両端部からほぼ等しい距離の位置には、一対の仕切り壁21A、21Bが、メータ筐体3A内の奥側壁面部から前端部まで全高さに渡って上下方向に対して平行に立設されている。一対の仕切り壁21A、21B間の距離は、流量計測ユニット11の計測流路部15の長手方向における回路ケース16の長さよりも少し長い(例えば、約6mm長い)距離に設定されている。また、一対の仕切り壁22A、22Bが、カバー3B内の奥側壁面部の各仕切り壁21A、21Bに対向する位置から前端部まで全高さに渡って上下方向に対して平行に立設されている。
また、各仕切り壁21A、21Bには、前端部の上下方向中央部から奥側方向へ、流量計測ユニット11の計測流路部15の断面形状より少し大きい、例えば、計測流路部15の断面形状よりも外側へ約1mm〜約3mm程度大きい上下方向に長い相似な長方形断面の各切り欠き凹部23A、23Bが形成されている。また、流量計測ユニット11の計測流路部15の各仕切り壁21A、21Bに対向する外周部には、弾性を有するゴム等で形成された所謂Oリングを取り付けるための2列のリブ25がそれぞれ全周に渡って立設されている。
また、図1及び図2に示すように、メータ筐体3A内の長手方向両端部から各仕切り壁21A、21Bまでにおける、それぞれの上下方向の高さは、計測流路部15の入口部15Aと出口部15Bの上下方向の高さよりも少し大きい高さになるように形成されている。また、メータ筐体3A内の長手方向両端部から各仕切り壁21A、21Bまで距離は、流量計測ユニット11の計測流路部15の各リブ25から入口部15Aと出口部15Bまでのそれぞれの距離よりも所定距離(例えば、約10mmの距離である。)だけ長くなるように形成されている。
また、メータ筐体3A内の各仕切り壁21A、21B間における上下方向の高さは、流量計測ユニット11の計測流路部15の各リブ25間にOリングを取り付けて、計測流路部15のOリングが取り付けられた部分をメータ筐体3Aの前面側から各仕切り凹部23A、23Bに嵌入した際に、回路ケース16を挿入可能な高さになるように形成されている。
従って、図1、図2及び図4示すように、メータケース3は、流量計測ユニット11の計測流路部15の各リブ25間にOリングを取り付けて、計測流路部15のOリングが取り付けられた部分をメータ筐体3Aの前面側から各仕切り凹部23A、23Bに嵌入した後、カバー3Bがメータ筐体3Aの前面側にネジ止めされる。
これにより、メータケース3内に、計測流路部15の入口部15Aが、各仕切り壁21A、22Aから内側に突出する略箱体状に区画された入口バッファ部27が構成される。また、各仕切り壁21A、22Aと各仕切り壁21B、22Bとの間に、回路ケース16及び計測流路部15の各リブ25に挟まれた中央部分が配置される略箱体状に区画された中央空間部28が構成される。
また、計測流路部15の出口部15Bが、各仕切り壁21B、22Bから内側に突出する略箱体状に区画された出口バッファ部29が構成される。従って、入口バッファ部27、中央空間部28及び出口バッファ部29は、それぞれ内部が気密に保持されるように構成される。また、入口バッファ部27と出口バッファ部29とは、断面が上下方向に長い略矩形状の計測流路部15によって連通される。また、中央空間部28のカバー3Bに対して反対側の壁面部には、計測回路18Aに電気的に接続された外部端子30が気密に取り付けられ、計測回路18Aから出力される燃焼ガスの流量計測値を外部へ出力可能に構成されている。
また、図2、図4及び図5に示すように、メータ筐体3Aの入口バッファ部27のカバー3Bに対して反対側には、流入口5から燃焼ガスが流れ込む流入路5Aが上下方向に沿って形成され、流入路5Aの奥側端部には、略直方体状の流入室31が入口バッファ部27に隣り合って形成されている。流入室31の上下方向(流入方向)に沿った断面形状は、入口バッファ部27の上下方向(流入方向)に沿った断面形状とほぼ同じに形成されている。
また、流入室31の入口バッファ部27側の壁面部には、入口バッファ部27内に突出する計測流路部15の軸心に直交する中心軸を有し、計測流路部15の断面の上下方向の高さにほぼ等しい直径を有する断面円形の開口部32が開口されている。また、正面視において、開口部32の仕切り壁21Aに対して反対側の端部が、計測流路部15の入口部15Aよりも外側へずれたずれ量は、所定長さ以下(例えば、0〜4.5mm以下である。)となるように設けられている。
また、流入室31の入口バッファ部27に対して反対側の壁面部には、開口部32を閉塞可能な遮断弁33が配置されている。遮断弁33は、通常時には開口部32から所定距離だけ離れて位置し、当該開口部32を開放しており、供給ガス流量等に異常が発生したときに開口部32を閉塞して、流入室31と入口バッファ部27とを強制遮断して、燃焼ガスの供給を停止することが可能となっている。
また、マイクロコンピュータ等を備えた制御部34が、流量計測ユニット11の計測回路18Aと電気的に接続された外部端子30と遮断弁33等に電気的に接続されている。制御部34は、計測回路18Aから出力される燃焼ガスの流量計測値に基づき、供給ガス流量等の異常を検出し、予め定められているガス遮断対象の異常である場合には、遮断弁33を駆動して開口部32を閉塞して燃焼ガスの供給を停止する。また、制御部34は、計測回路18Aから出力される燃焼ガスの流量計測値を不図示のパーソナルコンピュータ等に出力可能に構成されている。
次に、入口バッファ部27内に配置される整流部材13について図2、図4乃至図6に基づいて説明する。図2、図4乃至図6に示すように、整流部材13は、計測流路部15の入口部15Aに当接又は近接して配置されて、入口バッファ部27内を計測流路部15の軸心に直交する面に沿って2つに仕切る上下方向に長い略矩形の板状の整流板13Aと、開口部32が形成された壁面部側の端縁部から略直角に計測流路部15の突出方向に所定長さ(例えば、約10mmである。)延出された台座部13Bとから基本的に構成されている。
また、整流板13Aの上下方向の両端縁部から全幅に渡って略直角に計測流路部15の突出方向に所定長さ(例えば、約3mmである。)延出された一対の補強リブ13Cが設けられている。また、整流板13Aには、ほぼ全面に渡って複数の断面六角形の整流用貫通孔13Dがハニカム状に形成されている。また、台座部13Bの入口バッファ部27の奥側壁面部に当接する上下端縁部は、断面略コの字状にカバー3B側へ突出するように形成され、ネジ挿通孔13Eが形成されている。
これにより、台座部13Bを入口バッファ部27の奥側壁面部に当接した場合には、入口バッファ部27の奥側壁面部の上下両角部からカバー3B側へ所定高さ突出して、ネジ孔が形成された断面略四角形のネジ止め部が、台座部13Bの上下両端部に嵌め込まれ、ネジ挿通孔13Eに挿通したネジによってネジ止め可能に構成されている。尚、整流用貫通孔13Dは、六角形のハニカム状に限らず、矩形の格子状等、開口率が大きい多孔体にしてもよい。
また、台座部13Bを入口バッファ部27の奥側壁面部に当接した場合に、当該台座部13Bの開口部32の端縁部に対向する部分には、整流板13A側へ所定深さ(例えば、深さ1mm〜2mmである。)円弧状に窪んだ逃げ部13Fが形成されている。これにより、台座部13Bを入口バッファ部27の奥側壁面部に固定した後、遮断弁33が作動して開口部32を閉塞した際に、遮断弁33と台座部13Bの接触を防止し、整流部材13の破損を防止することが可能となる。また、台座部13Bを入口バッファ部27の奥側壁面部に固定した場合には、開口部32から流入した燃焼ガスが、整流板13Aの台座部13B側へ直接流入するのを防止することができる。
従って、図4及び図5に示すように、整流部材13の台座部13Bを入口バッファ部27の奥側壁面部にネジ止めによって固定した場合には、計測流路部15の入口部15Aに当接又は近接した状態の整流板13Aによって、入口バッファ部27内が計測流路部15の突出方向において、2つの空間に仕切られる。
そして、この2つの空間は、整流板13Aに形成されたハニカム状の複数の整流用貫通孔13Dのうち、計測流路部15の入口部15Aの上下両端縁部及びカバー3B側端縁部の三辺の外周縁部に対向する各整流用貫通孔13Dを介して連通される。一方、計測流路部15の入口部15Aの開口部32側の側縁部は、整流部材13の台座部13Bの近傍まで延出されているため、入口部15Aの開口部32側の側縁部の外周縁部に対向する各整流用貫通孔13Dの開口面積は極めて少なく、燃焼ガスの流入が抑制される。
上記のように構成されたメータケース3の入口バッファ部27における燃焼ガスの流れについて図7及び図8に基づいて説明する。図7及び図8に示すように、流入口5に流入した燃焼ガスは、上下方向に沿って流入路5Aを通って流入室31に流れ込み、流れ方向に対して略直角に曲がって開口部32を介して入口バッファ部27に流れ込む(矢印35参照)。そして、入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、開口部32に対して相対向する計測流路部15の側面部に当たった後、この側面部に沿って計測流路部15の突出方向と、突出方向に直交する入口バッファ部27の上下方向に流れる。
この計測流路部15の側面部に沿って計測流路部15の突出方向に流れた燃焼ガスは、仕切り壁21Aと整流部材13の台座部13B及び入口部15Aの側面部に当たった後、ほとんどが入口バッファ部27の上下方向に流れる。そして、計測流路部15の側面部に沿って入口バッファ部27の上下方向に流れた燃料ガスは、計測流路部15の外周面に沿ってカバー3B側へ回り込み、衝突して、整流部材13の整流板13Aに対して計測流路部15側の入口バッファ部27において流れの均一化が図られる。
その後、燃焼ガスは、更に、計測流路部15の入口部15Aの上下両端縁部及びカバー3B側端縁部の三辺の外周縁部に対向する各整流用貫通孔13Dを通過して、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込む(各矢印36、37、38参照)。そして、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流部材13の整流板13Aに相対向する入口バッファ部27の壁面部に当たった後、180度の方向転換をされる(各矢印36、37、38参照)。
続いて、180度の方向転換をされた燃焼ガスは、整流板13Aの入口部15Aに対向する各整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15内へ流れ込む(各矢印36、37、38参照)。そして、計測流路部15内に流れ込んだ燃焼ガスは、計測流路部15の出口部15Bから出口バッファ部29に流れ込んだ後、出口バッファ部29に連通する流出口6へ排出される。
従って、開口部32を介して入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流部材13の整流板13Aに形成されたハニカム状の複数の整流用貫通孔13Dを2回通過して、流れが十分に均一化された後、計測流路部15の入口部15Aに流入する。これにより、流量計測ユニット11を介して計測可能な燃焼ガスの流量の大流量化を図り、同一のメータケース3の構成で、広い流領域の計測を行い、且つ、供給ガスの流量等に異常が発生したときには、遮断弁33を確実に作動させ、燃焼ガスの供給を停止することが可能となる。
例えば、ピストンプルーバ式流量測定装置を用いて、室温20℃で、超音波流量計1による燃焼ガス(例えば、都市ガス、LPガス等である。)の計測可能な最大流量を測定した場合には、超音波流量計1によって12000(リットル/時間)の大流量を計測することが可能であった。従って、超音波流量計1は、同一のメータケース3の構成で、2500(リットル/時間)〜6000(リットル/時間)までの計測を行い、供給ガス流量等に異常が発生したときには、遮断弁33を確実に作動させて燃焼ガスの供給を停止することが可能となる。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る超音波流量計1では、流入口5から開口部32を介して入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、計測流路部15の側面に当たった後、計測流路部15の側面部に沿って入口バッファ部27の上下方向に流れる。そして、燃料ガスは、計測流路部15の外周面に沿ってカバー3B側へ回り込み、衝突して、整流部材13の整流板13Aに対して計測流路部15側の入口バッファ部27において流れの均一化が図られる。
その後、燃焼ガスは、更に、計測流路部15の入口部15Aの上下両端縁部及びカバー3B側端縁部の三辺の外周縁部に対向する各整流用貫通孔13Dを通過して、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込む。そして、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流部材13の整流板13Aに相対向する入口バッファ部27の壁面部に当たった後、180度の方向転換をされる。続いて、180度の方向転換をされた燃焼ガスは、整流板13Aの入口部15Aに対向する複数の整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15内へ流入する。
従って、開口部32から入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、整流部材13の整流板13Aに形成された複数の整流用貫通孔13Dを2回通過して計測流路部15の入口部15Aに流入する。これにより、燃焼ガスの流れが十分に均一化され、大流量(例えば、8000(リットル/時間)〜12000(リットル/時間)の流量である。)の計測が可能となる。また、整流部材13の整流板13Aを計測流路部15の入口部15Aを覆うように該入口部15Aに当接又は近接して配置して、入口バッファ部27を2つに仕切る構成により、当該入口バッファ部27の小型化を図ることが可能となり、その結果、超音波流量計1の小型化を図ることが可能となる。
また、整流部材13の台座部13Bによって該台座部13Bに相対向する開口部32の端縁部が覆われるため、燃焼ガスが開口部32の端縁部から整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流入するのを防止することができる。これにより、開口部32から流入した燃焼ガスを計測流路部15の入口部15Aの外側周縁部から整流部材13の整流板13Aに形成された複数の整流用貫通孔13Dに通過させることができ、簡易な構成で燃焼ガスの流れの均一化を図ることが可能となる。
また、整流部材13は、整流板13Aの端縁部から略直角に延出された台座部13Bを介して入口バッファ部27内に取り付けられるため、簡易な構成で整流部材13を取り付けることができ、入口バッファ部27の更なる小型化を図ることが可能となる。その結果、超音波流量計1の更なる小型化を図ることが可能となる。
また、計測流路部15の一対の超音波振動子12A、12Bが設けられた中央部分が、入口バッファ部27と出口バッファ部29とに挟まれた中央空間部28に配置されるため、出口バッファ部29の小型化を容易に図ることが可能となる。その結果、超音波流量計1の更なる小型化を図ることが可能となる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。尚、前記実施形態に係る超音波流量計1と同一符号は、前記実施形態に係る超音波流量計1と同一あるいは相当部分を示すものである。
[他の第1実施形態]
(A)例えば、前記整流部材13に替えて、図9に示す整流部材41を用いるようにしてもよい。図9に示すように、整流部材41は、前記整流部材13とほぼ同じ構成である。但し、整流部材41は、台座部13Bの開口部32の端縁部に対向する部分に設けられた円弧状に窪んだ逃げ部13Fに、複数の整流用貫通孔13Dが形成されている点で異なっている。
これにより、図10に示すように、流入口5に流入した燃焼ガスは、上下方向に沿って流入路5Aを通って流入室31に流れ込み、流れ方向に対して略直角に曲がって開口部32を介して入口バッファ部27に流れ込む(矢印35参照)。そして、入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、開口部32に対して相対向する計測流路部15の側面部に当たった後、この側面部に沿って計測流路部15の突出方向と、突出方向に直交する入口バッファ部27の上下方向に流れる。
そして、上記のように、燃焼ガスは、計測流路部15の入口部15Aの上下両端縁部及びカバー3B側端縁部の三辺の外周縁部に対向する各整流用貫通孔13Dを通過して、整流部材41の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込む(矢印38参照)。そして、整流部材41の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流部材41の整流板13Aに相対向する入口バッファ部27の壁面部に当たった後、180度の方向転換をされる。続いて、180度の方向転換をされた燃焼ガスは、整流板13Aの入口部15Aに対向する複数の整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15内へ流入する(矢印38参照)。
また、開口部32の台座部13Bに対向する端縁部から入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流部材41の台座部13Bに設けられた逃げ部13Fの複数の整流用貫通孔13Dを通過して、整流部材41の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込む(矢印42参照)。続いて、整流部材41の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流板13Aの入口部15Aに対向する各整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15内へ流れ込む(矢印42参照)。
従って、開口部32から入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、整流部材41の整流板13Aに形成された複数の整流用貫通孔13D又は台座部13Bに設けられた逃げ部13Fに形成された複数の整流用貫通孔13Dを通過した後、整流板13Aの入口部15Aに対向する複数の整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15の入口部15Aに流入する。これにより、開口部32から入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、複数の整流用貫通孔13Dを2回通過して計測流路部15の入口部15Aに流入するため、燃焼ガスの流れが十分に均一化され、大流量(例えば、8000(リットル/時間)〜12000(リットル/時間)の流量である。)の計測が可能となる。
また、開口部32の整流部材41側端縁部から入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、計測流路部15の側面部に当たることなく、台座部13Bに設けられた逃げ部13Fに形成された複数の整流用貫通孔13Dを通過し、整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込むことが可能となる。これにより、整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27から整流板13Aの入口部15Aに対向する複数の整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15の入口部15Aに流入する燃焼ガスの圧力損失を低減することが可能となる。
また、整流部材41は、上記整流部材13とほぼ同じ形状であるため、当該整流部材41の整流板13Aを計測流路部15の入口部15Aを覆うように該入口部15Aに当接又は近接して配置して、入口バッファ部27を2つに仕切る構成により、当該入口バッファ部27の小型化を図ることが可能となり、その結果、超音波流量計1の小型化を図ることが可能となる。
[他の第2実施形態]
(B)また、例えば、図11及び図12に示すように、メータ筐体3Aの開口部32の入口バッファ部27側端部に、第2整流部材の一例として機能する円板状の整流板51を開口部32を全面に渡って覆うように接着、溶着、溶接等、又は、ネジ止め等により取り付けてもよい。この整流板51は、ステンレス、アルミ等の金属や、合成樹脂等で形成され、ほぼ全面に渡って複数の断面六角形の整流用貫通孔51Aがハニカム状に形成されている。尚、整流用貫通孔51Aは、六角形のハニカム状に限らず、矩形の格子状等、開口率が大きい多孔体にしてもよい。
これにより、図12に示すように、流入口5に流入した燃焼ガスは、上下方向に沿って流入路5Aを通って流入室31に流れ込み、流れ方向に対して略直角に曲がって開口部32を介して整流板51の複数の整流用貫通孔51Aを通過して入口バッファ部27に流れ込む(矢印35参照)。そして、入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流板51に対して相対向する計測流路部15の側面部に当たった後、この側面部に沿って計測流路部15の突出方向と、突出方向に直交する入口バッファ部27の上下方向に流れる。
そして、上記のように、燃焼ガスは、計測流路部15の入口部15Aの上下両端縁部及びカバー3B側端縁部の三辺の外周縁部に対向する整流板13Aの各整流用貫通孔13Dを通過して、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込む(矢印38参照)。そして、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流部材13の整流板13Aに相対向する入口バッファ部27の壁面部に当たった後、180度の方向転換をされる。続いて、180度の方向転換をされた燃焼ガスは、整流板13Aの入口部15Aに対向する複数の整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15内へ流入する(矢印38参照)。
従って、開口部32を介して入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流板51に形成されたハニカム状の複数の整流用貫通孔51Aを1回通過した後、整流部材13の整流板13Aに形成されたハニカム状の複数の整流用貫通孔13Dを2回通過して、流れが十分に均一化された後、計測流路部15の入口部15Aに流入する。
これにより、流量計測ユニット11を介して計測可能な燃焼ガスの流量の大流量化を図り、同一のメータケース3の構成で、広い流領域の計測を行い、且つ、供給ガスの流量等に異常が発生したときには、遮断弁33を確実に作動させ、燃焼ガスの供給を停止することが可能となる。また、整流板51は開口部32の入口バッファ部27側端縁部に取り付けられているため、遮断弁33が作動して開口部32を閉塞した場合にも、整流板51の破損を防止することが可能となる。
[他の第3実施形態]
(C)また、例えば、図13及び図14に示すように、メータ筐体3Aの開口部32は、整流部材13の整流板13Aの開口部32側端縁部よりも、計測流路部15の入口部15A側に設けられるようにしてもよい。つまり、正面視において、開口部32の仕切り壁21Aに対して反対側の端部が、計測流路部15の入口部15Aから仕切り壁21A側の方に位置するようにしてもよい。
これにより、図14に示すように、開口部32を介して入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、開口部32に対して相対向する計測流路部15の側面部に当たった後、この側面部に沿って計測流路部15の突出方向と、突出方向に直交する入口バッファ部27の上下方向に流れる。そして、燃料ガスは、計測流路部15の外周面に沿ってカバー3B側へ回り込み、衝突して、整流部材13の整流板13Aに対して計測流路部15側の入口バッファ部27において流れの均一化が図られる。
その後、燃焼ガスは、更に、計測流路部15の入口部15Aの上下両端縁部及びカバー3B側端縁部の三辺の外周縁部に対向する各整流用貫通孔13Dを通過して、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込む。そして、整流部材13の整流板13Aで仕切られた計測流路部15の入口部15Aに対して反対側の入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、整流部材13の整流板13Aに相対向する入口バッファ部27の壁面部に当たった後、180度の方向転換をされる。続いて、180度の方向転換をされた燃焼ガスは、整流板13Aの入口部15Aに対向する複数の整流用貫通孔13Dを通過して計測流路部15内へ流入する。
従って、開口部32から入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、整流部材13の整流板13Aに形成された複数の整流用貫通孔13Dを2回通過して計測流路部15の入口部15Aに流入する。これにより、燃焼ガスの流れが十分に均一化され、大流量(例えば、8000(リットル/時間)〜12000(リットル/時間)の流量である。)の計測が可能となる。
また、整流部材13の整流板13Aを計測流路部15の入口部15Aを覆うように該入口部15Aに当接又は近接して配置して、入口バッファ部27を2つに仕切る構成により、当該入口バッファ部27の小型化を図ることが可能となり、その結果、超音波流量計1の小型化を図ることが可能となる。また、整流部材13の台座部13Bに、逃げ部13Fを設ける必要が無くなり、整流部材13の構造の簡素化を図ることが可能となる。
[他の第4実施形態]
(D)また、例えば、図15乃至図17に示すように、他の第4実施形態に係る超音波流量計71の全体構成は、前記実施形態に係る超音波流量計1の全体構成とほぼ同じ構成である。但し、超音波流量計71は、整流部材13に替えて、入口部用整流板72と開口部用整流板73とが設けられている点で異なっている。
具体的には、図16に示すように、流量計測ユニット11の計測流路部15の入口部15Aに、第4整流部材の一例として機能する上下方向に長い略矩形状の入口部用整流板72を入口部15Aを全面に渡って覆うように接着、溶着、溶接等、又は、ネジ止め等により取り付けてもよい。この入口部用整流板72は、ステンレス、アルミ等の金属や、合成樹脂等で形成され、ほぼ全面に渡って複数の断面六角形の整流用貫通孔72Aがハニカム状に形成されている。尚、整流用貫通孔72Aは、六角形のハニカム状に限らず、矩形の格子状等、開口率が大きい多孔体にしてもよい。
また、図15及び図17に示すように、メータ筐体3Aの開口部32の入口バッファ部27側端部に、第3整流部材の一例として機能する円板状の開口部用整流板73を開口部32を全面に渡って覆うように接着、溶着、溶接等、又は、ネジ止め等により取り付けてもよい(図11参照)。この開口部用整流板73は、ステンレス、アルミ等の金属や、合成樹脂等で形成され、ほぼ全面に渡って複数の断面六角形の整流用貫通孔73Aがハニカム状に形成されている(図11参照)。尚、整流用貫通孔73Aは、六角形のハニカム状に限らず、矩形の格子状等、開口率が大きい多孔体にしてもよい。
これにより、図15及び図17に示すように、流入口5に流入した燃焼ガスは、上下方向に沿って流入路5Aを通って流入室31に流れ込み、流れ方向に対して略直角に曲がって開口部32を介して開口部用整流板73の複数の整流用貫通孔73Aを通過して入口バッファ部27に流れ込む(矢印75参照)。そして、入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、開口部用整流板73に対して相対向する計測流路部15の側面部に当たった後、この側面部に沿って計測流路部15の突出方向と、突出方向に直交する入口バッファ部27の上下方向に流れる。
そして、計測流路部15の側面部に沿って入口バッファ部27の上下方向に流れた燃料ガスは、計測流路部15の外周面に沿ってカバー3B側へ回り込み、衝突して、入口部用整流板72に対して計測流路部15側の入口バッファ部27において流れの均一化が図られる。続いて、燃焼ガスは、計測流路部15の入口部15Aの上下両端縁部及びカバー3B側端縁部の三辺の外周縁部を通過して、計測流路部15の入口部15Aに相対向する入口バッファ部27の壁面部に当たった後、180度の方向転換をされる(矢印76参照)。そして、180度の方向転換をされた燃焼ガスは、入口部用整流板72の各整流用貫通孔72Aを通過して計測流路部15内へ流れ込む(矢印76参照)。
また、計測流路部15の側面に当たった後、計測流路部15の側面に沿って入口部15A側に流れた燃焼ガスは、開口部用整流板73の入口部15Aに対向する端縁部から入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスと衝突して、入口部用整流板72の近傍において流れの均一化が図られる。続いて、燃焼ガスは、計測流路部15の入口部15Aの開口部用整流板73側の外周縁部を通過して、計測流路部15の入口部15Aに相対向する入口バッファ部27の壁面部に当たった後、180度の方向転換をされる(矢印77参照)。そして、180度の方向転換をされた燃焼ガスは、入口部用整流板72の各整流用貫通孔72Aを通過して計測流路部15内へ流れ込む(矢印77参照)。
従って、開口部32から入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、開口部32を全面に渡って覆う開口部用整流板73に形成された複数の整流用貫通孔73Aを通過した後、計測流路部15の入口部15Aを全面に渡って覆う入口部用整流板72に形成された複数の整流用貫通孔72Aを通過して計測流路部15の入口部15Aに流入する。これにより、開口部32から入口バッファ部27に流入した燃焼ガスは、複数の整流用貫通孔73Aと複数の整流用貫通孔72Aをそれぞれ通過して計測流路部15の入口部15Aに流入するため、燃焼ガスの流れが十分に均一化され、大流量(例えば、8000(リットル/時間)〜12000(リットル/時間)の流量である。)の計測が可能となる。
この結果、流量計測ユニット11を介して計測可能な燃焼ガスの流量の大流量化を図り、同一のメータケース3の構成で、広い流領域の計測を行い、且つ、供給ガスの流量等に異常が発生したときには、遮断弁33を確実に作動させ、燃焼ガスの供給を停止することが可能となる。また、開口部用整流板73は開口部32の入口バッファ部27側端縁部に取り付けられているため、遮断弁33が作動して開口部32を閉塞した場合にも、開口部用整流板73の破損を防止することが可能となる。
また、開口部用整流板73の入口部15Aに対向する端縁部から入口バッファ部27に流れ込んだ燃焼ガスは、計測流路部15の側面部に当たることなく、計測流路部15の入口部15Aに相対向する入口バッファ部27に流れ込むことが可能となる。これにより、入口部用整流板72の各整流用貫通孔72Aを通過して計測流路部15内に流入する燃焼ガスの圧力損失を低減することが可能となる。
尚、本願の課題を解決するために下記構成の超音波流量計を提供してもよい。
(付記1)
被計測流体の流入口と前記被計測流体の流出口が形成されたメータケースと、
前記メータケース内に配置されて該メータケース内を通過する前記被計測流体の流量を計測する流量計測ユニットと、
を備え、
前記流量計測ユニットは、
前記被計測流体が流れる計測流路部と、
前記計測流路部の上流側と下流側に取り付けられた一対の超音波振動子と、
を有し、
前記メータケースは、
前記流入口に連通すると共に、前記計測流路部の入口側が内側に突出して前記被計測流体が該計測流路部の入口部に流入するように区画された入口バッファ部と、
前記流出口に連通すると共に、前記計測流路部の出口側が内側に突出して該計測流路部の出口部から流出した前記被計測流体が外部へ流出するように区画された出口バッファ部と、
を有し、
前記入口バッファ部は、
前記計測流路部の入口側の外周面に相対向する内壁部に設けられて前記流入口に連通する開口部と、
前記開口部を覆う板状の第3整流部材と、
を有し、
前記計測流路部は、前記入口部を覆う板状の第4整流部材を有し、
前記第3整流部材と第4整流部材は、複数の整流用貫通孔が形成されていることを特徴とする超音波流量計。
上記構成を有する付記1に係る超音波流量計では、流入口から流入した被計測流体は、開口部を覆う板状の第3整流部材に形成された複数の整流用貫通孔を通過して、入口バッファ部に流入する。そして、入口バッファ部に流入した被計測流体は、計測流路部の外周面に当たった後、再度、計測流路部の入口部を覆う板状の第4整流部材に形成された複数の整流用貫通孔を通過して計測流路部内に流入する。
従って、開口部から入口バッファ部に流入した被計測流体は、板状の第3整流部材及び第4整流部材に形成された複数の整流用貫通孔を2回通過するため、流れが十分に均一化され、大流量(例えば、8000リットル/時間〜12000リットル/時間の流量である。)の計測が可能となる。板状の第3整流部材を開口部を覆うように設けると共に、板状の第4整流部材を計測流路部の入口部を覆うように設ける構成により、当該入口バッファ部の小型化を図ることが可能となり、その結果、超音波流量計の小型化を図ることが可能となる。
(付記2)
前記メータケースは、前記開口部を閉塞して前記入口バッファ部への前記被計測流体の供給を遮断する遮断弁を有し、
前記第3整流部材は、前記開口部の前記入口バッファ部内側の周縁部に当接又は近接して配置されていることを特徴とする付記1に記載の超音波流量計。
上記構成を有する付記2に係る超音波流量計では、入口バッファ部の開口部を遮断弁で閉塞しても、第3整流部材の破損を防止することが可能となる。
(付記3)
前記メータケースは、前記入口バッファ部と前記出口バッファ部とに挟まれて前記計測流路部の前記一対の超音波振動子が設けられた部分が配置される中央空間部を有することを特徴とする付記1又は付記2に記載の超音波流量計。
上記構成を有する付記3に係る超音波流量計では、計測流路部の一対の超音波振動子が設けられた部分が、入口バッファ部と出口バッファ部とに挟まれた中央空間部に配置されるため、出口バッファ部の小型化を容易に図ることが可能となる。その結果、超音波流量計の更なる小型化を図ることが可能となる。