以下、本発明に係る超音波流量計を、超音波流量計1に具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明においては、超音波流量計1が使用されている状態をもって、前後方向、上下方向及び左右方向を定義して説明する。即ち、超音波流量計1における復帰ボタン22等が配設された面側(即ち、ユーザの位置する側)を前方とし、その逆方向を後方とする。又、超音波流量計1における流入口11、流出口12が配設されている面側を上方とし、その逆方向を下方とする。そして、上述のように定義された前後方向、上下方向に従った状態の超音波流量計1を基準として、左右方向を定義する。
(超音波流量計の概略構成)
先ず、本実施形態に係る超音波流量計1の概略構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。本実施形態に係る超音波流量計1は、被計測流体の一例である燃料ガス(例えば、都市ガスやLPガス等)の流量を計測する燃料ガスメータであり、燃料ガスの配管2の途中に接続されたメータケース5の内部に、流量計測ユニット50を配設して構成されている。
図1、図3に示すように、メータケース5は、上面に流入口11及び流出口12が配設された略直方体形状のメータ筐体10と、後方側が開放された略箱体状に形成されたフロントカバー20とを有して構成されており、メータ筐体10の前面側に対して、フロントカバー20をネジ止めして構成されている。
メータ筐体10の上面における左右方向両端部には、流入口11及び流出口12が夫々突出形成されており、流入口11及び流出口12に対しては、夫々、燃料ガスの配管2が気密に接続される。そして、流入口11及び流出口12は、メータケース5の内部に形成される空間(後述する入口バッファ部13、出口バッファ部15)に連通している。従って、当該超音波流量計1において、燃料ガスは、配管2が接続された流入口11を介して、メータケース5の内部に供給され、メータケース5の内部から流出口12を介して、メータケース5の外部へ延びる配管2へ放出される(図4等参照)。
気密に保持されたメータ筐体10の内部には、流量計測ユニット50が配設されており、一対の超音波振動子52A、超音波振動子52B(図5参照)を用いて、流入口11から流出口12へ向かって、メータケース5の内部を通過する燃料ガスの流量を計測する。図4に示すように、流量計測ユニット50は、角型筒状に形成された計測流路部51がメータ筐体10の左右方向に沿って伸びるように、メータ筐体10の内部に配置される。
そして、フロントカバー20は、後方側が開放された略箱体状に形成されており、メータ筐体10の前面側に対してネジ止めして取り付けられる(図1〜図3参照)。従って、メータ筐体10の前面と、フロントカバー20の前面との間には、所定の空間が形成されることになる。そして、当該超音波流量計1は、メータ筐体10とフロントカバー20の間に形成される空間の内部における所定位置に、後述する制御基板30や基板ホルダ40を収容可能に構成されている。
(メータ筐体の概略構成)
次に、メータ筐体10の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4に示すように、メータ筐体10は、アルミニウム或いはアルミニウム合金等の金属材料により構成されており、メータ筐体10の内部には、入口バッファ部13、中央空間部14、出口バッファ部15が、メータ筐体10の右端部側から左端部側に向かって順番に並ぶように形成されている。入口バッファ部13、中央空間部14、出口バッファ部15は、Oリングを取り付けた流量計測ユニット50を、メータ筐体10の内部に配設することによって、夫々気密に保持される。
入口バッファ部13は、メータ筐体10の内部において、区画壁16Aによって略箱体状に区画された空間であり、開口部13Aを介して流入口11と連通している。図4に示すように、区画壁16Aは、メータ筐体10の右端部から所定距離の位置において、全高さに渡って、メータ筐体10の内部における前側壁面部から後端部まで立設されている。
そして、区画壁16Aには、凹部17Aが、上下方向における所定位置に形成されており、当該凹部17Aは、流量計測ユニット50の計測流路部51を保持している(図4参照)。具体的には、凹部17Aは、区画壁16Aの後端部から前方へ、流量計測ユニット50の計測流路部51の外形形状より少し大きい(例えば、計測流路部51の外形形状よりも外側へ約1mm〜約3mm程度大きい)矩形に窪むように形成されている。従って、凹部17Aには、流量計測ユニット50における計測流路部51の各リブ55間にOリングを取り付け、計測流路部51のOリングが取り付けられた部分を配設することができ、Oリングによって、計測流路部51の外周面と、凹部17Aとの間の気密性を高めることができる。
又、メータ筐体10の内部における右端部から区画壁16Aまで距離は、流量計測ユニット50の計測流路部51の各リブ55から入口部51Aまでの距離よりも所定距離(例えば、約10mm)だけ長くなるように形成されている。従って、入口バッファ部13の内部においては、計測流路部51の入口部51Aが、区画壁16Aから入口バッファ部13の内側に突出するように配設される(図4参照)。
そして、中央空間部14は、左右方向における入口バッファ部13と出口バッファ部15の間において、略略箱体状に区画されて形成されており、区画壁16Aと、区画壁16Bとの間に位置している。そして、左右方向における中央空間部14の幅(即ち、区画壁16Aと、区画壁16Bとの間の距離)は、流量計測ユニット50の左右方向における回路ケース56の長さよりも少し長い(例えば、約6mm長い)距離に設定されている。
そして、中央空間部14における上下方向の高さ(メータ筐体10の区画壁16A、区画壁16B間における上下方向の高さ)は、流量計測ユニット50の計測流路部51の各リブ55間にOリングを取り付けて、計測流路部51のOリングが取り付けられた部分を凹部17A及び凹部17Bに夫々配設した際に、回路ケース56を挿入可能な高さになるように形成されている。メータ筐体10の内部に流量計測ユニット50を配設した場合、当該中央空間部14には、流量計測ユニット50における回路ケース56及び計測流路部51の各リブ55に挟まれた中央部分が配置される。
尚、中央空間部14における奥側壁面部には、外部端子(図示せず)が気密に取り付けられており、回路ケース56の内部に配設された計測基板57に対して電気的に接続されている。当該外部端子は、後述する制御基板30に対しても電気的に接続されている為、計測基板57の計測回路から出力される燃料ガスの流量計測値を、制御基板30へ出力し得る。
出口バッファ部15は、メータ筐体10の内部の左側部分において、区画壁16Bによって略箱体状に区画された空間であり、流出口12を介して、メータ筐体10の外部と連通している。図4に示すように、区画壁16Bは、メータ筐体10の長手方向左端部から所定距離の位置において、全高さに渡って、メータ筐体10の内部における前側壁面部から後端部まで立設されている。
そして、区画壁16Bには、凹部17Bが、上下方向における所定位置に形成されており、当該凹部17Bは、流量計測ユニット50の計測流路部51を略水平に保持している(図4参照)。具体的には、凹部17Bは、区画壁16Bの後端部から前方へ、流量計測ユニット50の計測流路部51の外形形状より少し大きい(例えば、計測流路部51の外形形状よりも外側へ約1mm〜約3mm程度大きい)矩形に窪むように形成されている。従って、凹部17Bには、流量計測ユニット50における計測流路部51の各リブ55間にOリングを取り付け、計測流路部51のOリングが取り付けられた部分を配設することができ、Oリングによって、計測流路部51の外周面と、凹部17Bとの間の気密性を高めることができる。
又、メータ筐体10の内部における左端部から区画壁16Bまで距離は、流量計測ユニット50の計測流路部51の各リブ55から出口部51Bまでの距離よりも所定距離(例えば、約10mm)だけ長くなるように形成されている。従って、出口バッファ部15の内部においては、計測流路部51の出口部51Bが、区画壁16Bから出口バッファ部15の内側に突出するように配設される(図4参照)。
このように、入口バッファ部13の内部に、計測流路部51の入口部51Aが位置しており、且つ、出口バッファ部15の内部に、計測流路部51の出口部51Bが位置している為、入口バッファ部13と出口バッファ部15とは、断面が上下方向に長い略矩形状の計測流路部51によって連通される。
尚、メータ筐体10の内部には、流入路(図示せず)が、流入口11からメータ筐体10の上下方向に伸びて形成されている。当該流入路は、入口バッファ部13の前側壁面部に沿っている。そして、当該流入路の下端部には、略直方体状の流入室が、入口バッファ部13の前側に隣り合って形成されている。
図4に示すように、入口バッファ部13の前側壁面部には、断面円形状の開口部13Aが開口形成されており、当該入口バッファ部13と、流入路の端部を構成する流入室とを連通している。当該開口部13Aは、その開口部中心が入口バッファ部13の内部に突出して配設された計測流路部51の軸心に直交するように形成されている。
メータケース5の内部には、遮断弁(図示せず)、入口バッファ部13の前側壁面部に開口された開口部13Aと対向する位置に配設されており、開口部13Aを閉塞可能に構成されている。当該遮断弁は、後述する制御基板30(図示せず)と電気的に接続されており、供給ガス流量等に異常が発生した場合に、開口部13Aを閉塞するように制御される。これにより、当該超音波流量計1は、供給ガス流量等に異常が発生した場合に、入口バッファ部13に対する燃料ガスの流れを強制的に遮断することができ、燃料ガスの供給を停止することが可能となっている。
(流量計測ユニットの概略構成)
続いて、メータ筐体10の内部に配設される流量計測ユニット50の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4に示すように、流量計測ユニット50は、メータケース5の内部において燃料ガスの流路として機能する計測流路部51と、計測流路部51の長手方向中央部の上側に形成された回路ケース56とを有して構成されている。計測流路部51は、流路断面が上下方向に長い矩形状を為す筒状に形成されている。
図5に示すように、計測流路部51の長手方向における中央部分に位置する回路ケース56には、超音波振動子52A、超音波振動子52Bが、計測流路部51の上面側に配置されている。超音波振動子52Aは、計測流路部51の上面において、燃料ガスの流れる方向(以下、ガス流下方向F)の上流側に配置されており、超音波振動子52Bは、計測流路部51の一面においてガス流下方向Fの下流側に配置されている。
そして、超音波振動子52A、超音波振動子52Bの内、一方から出力された超音波は、計測流路部51における対向面(即ち、下面)で反射されて、超音波振動子52A、超音波振動子52Bの他方に到達する。従って、流量計測ユニット50における計測流路部51の内部には、超音波の伝搬経路53が形成され、当該伝搬経路53は、計測流路部51における対向面(下面)を介して、超音波振動子52A、超音波振動子52Bを結ぶV字型を為す。
そして、回路ケース56の内部における超音波振動子52A、超音波振動子52Bの上側には、計測基板57が配設されており、当該計測基板57には、各超音波振動子52A、超音波振動子52Bが電気的に接続される計測回路が形成されている。即ち、計測基板57は、計測回路を用いて、燃料ガス等の被計測流体の流量計測値を算出して出力可能に構成されている。
図4に示すように、計測流路部51の右端側には、入口部51Aが形成されており、計測流路部51の左端側には、出口部51Bが形成されている。当該計測流路部51の入口部51A及び出口部51Bは、内周面が外側方向へ滑らかに拡がる曲面に形成されている。
図5に示すように、計測流路部51の内部には、複数枚(例えば、5枚)の分流板54が、各超音波振動子52A、超音波振動子52Bの下側に配設されている。複数枚の分流板54は、計測流路部51の流路断面における短辺方向(即ち、前後方向)に略等間隔を隔てた状態で、計測流路部51の流路断面における長辺に対して平行(即ち、左右方向)に伸びるように配設されている。即ち、各分流板54は、超音波振動子52A、超音波振動子52B間の超音波の伝搬経路53を含む面と平行になるように計測流路部51の内部に設けられており、ガス流下方向Fに平行になるように伸びている。これにより、各分流板54によって計測流路部51の内部における燃料ガスの流れを安定化させることが可能となる。
そして、流量計測ユニット50における計測流路部51の外周部には、2列のリブ55がそれぞれ全周に渡って立設されている。当該リブ55は、計測流路部51の外周部における気密性を保持する為に、弾性を有するゴム等で形成された所謂Oリングを取り付ける際に用いられる。
(超音波流量計における燃料ガスの流れ)
上記のように構成された超音波流量計1における燃料ガスの流れについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1〜図5に示すように、燃料ガスは、当該超音波流量計1に対して、流入口11に接続された配管2を介して供給される。流入口11に流入した燃料ガスは、メータ筐体10の上下方向に沿って伸びる流入路を通って、流入路の下端を構成する流入室に流れ込む。そして、流入室の内部において、燃料ガスは、流入路の内部におけるガス流下方向Fに対して略直角に曲がるように流れ、開口部13Aを介して、入口バッファ部13の内部に流れ込む。
図4に示すように、開口部13Aを介して入口バッファ部13の内部に流れ込むと、当該燃料ガスは、入口バッファ部13の内面に沿って流れ、当該入口バッファ部13の内部に位置する計測流路部51の入口部51Aへと流れ込む。そして、燃料ガスは、入口部51Aから計測流路部51の内部に流れ込むと、当該計測流路部51の内壁面に沿って、出口バッファ部15に連通する流出口12へ流れていく(図5参照)。当該超音波流量計1は、入口部51Aから出口部51Bへと燃料ガスが流れる計測流路部51の内部に対して、超音波振動子52A、超音波振動子52Bを用いて超音波を伝播させ、その伝播時間等を計測することによって、計測流路部51における燃料ガスの流量を計測することができる。
その後、燃料ガスは、計測流路部51の出口部51Bから、出口バッファ部15の内部に排出される。図4に示すように、出口バッファ部15は、流出口12を介して配管2に接続されている為、燃料ガスは、計測流路部51の出口部51Bから出口バッファ部15へ排出されると、流出口12、配管2を介して、超音波流量計1の外部へと流れる。
(フロントカバーの概略構成)
次に、当該超音波流量計1において、メータ筐体10の前面に取り付けられるフロントカバー20の構成について、図6、図7を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、フロントカバー20は、後方側が開放された略箱体状に形成されており、前記メータ筐体の前面を覆うように取り付けられる。
当該フロントカバー20は、メータ筐体10の前面との間に形成される空間の内部に、制御基板30、基板ホルダ40等を収容するように構成されており、ディスプレイ開口部21と、復帰ボタン22と、端子台開口部23と、シール部材25とを有している。尚、フロントカバー20は、メータ筐体10と同様、アルミニウム或いはアルミニウム合金等の金属材料により形成することができ、メータ筐体10とは異なる樹脂等の材料により形成することも可能である。
図5等に示すように、フロントカバー20の前面における上側部分には、略矩形状に開口されたディスプレイ開口部21が形成されている。当該ディスプレイ開口部21は、フロントカバー20をメータ筐体10に取り付けた場合に、メータ筐体10の前面との間に収容された液晶ディスプレイ31の前方に位置する(図1、図2参照)。当該ディスプレイ開口部21には、ガラス等が取り付けられる。従って、当該超音波流量計1によれば、ユーザは、ディスプレイ開口部21を介して、液晶ディスプレイ31の表示内容を把握することができる。
フロントカバー20の前面においては、復帰ボタン22が、ディスプレイ開口部21の左側に形成されたボタン開口部22Aを介して、押圧操作可能に配設されている。当該復帰ボタン22は、押圧操作により復帰スイッチ32(図12、図13等参照)をオンオフ操作するものであり、異常の発生に伴い燃料ガスの供給を遮断している遮断弁を開弁させる際に操作される。
そして、フロントカバー20における前面の下側部分には、端子台開口部23が形成されており、図2、図7等に示すように、左右方向に沿って長辺を有する略長方形状に開口される。当該端子台開口部23は、メータ筐体10の前面を覆うようにフロントカバー20を取り付けた場合に、制御基板30上に搭載された端子台33によって挿通されるように構成されている。
図7に示すように、端子台開口部23の開口縁における背面側(後方側)には、矩形枠状に形成されたシール部材25がフロントカバー20と一体的に配設されている。当該シール部材25は、弾性を有するゴム等によって構成されており、端子台開口部23周辺における気密性、防水性を高めている。具体的には、制御基板30、基板ホルダ40を内部に収容しつつ、メータ筐体10の前面に対してフロントカバー20を取り付けた場合に、シール部材25は、端子台開口部23の周囲における背面部分と、端子台33周囲における制御基板30の表面の間において弾性変形し、端子台33周囲における気密性、防水性を高め、メータ筐体10とフロントカバー20の間の空間を密閉している(図14、図15参照)。
(制御基板の概略構成)
続いて、当該超音波流量計1において、メータ筐体10の前面とフロントカバー20との間に収容される制御基板30の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、制御基板30は、マイクロコンピュータ等を備えた制御部を有しており、燃料ガスの流量計測に関する制御を行う。そして、当該制御基板30における制御部は、流量計測ユニット50の計測基板57と電気的に接続された外部端子や、遮断弁等と電気的に接続されている。
当該制御部は、計測基板57から出力される燃料ガスの流量計測値に基づき、供給ガス流量等の異常を検出し、予め定められているガス遮断対象の異常である場合には、遮断弁を駆動することによって、開口部13Aを閉塞して燃料ガスの供給を停止する。又、制御部は、計測基板57から出力される燃料ガスの流量計測値や、検知した異常の内容を示す信号を、外部機器(例えば、警報器やパーソナルコンピュータ)等に出力可能に構成されている。
図8に示すように、制御基板30上には、液晶ディスプレイ31と、復帰スイッチ32と、端子台33とが搭載されている。液晶ディスプレイ31は、制御部等による制御に従って、燃料ガスの流量計測値や、検出した異常の内容等を表示する。図1、図2に示すように、液晶ディスプレイ31は、メータ筐体10に対してフロントカバー20を取り付けた場合に、フロントカバー20のディスプレイ開口部21を臨むように配設される。従って、ユーザは、ディスプレイ開口部21を介して、液晶ディスプレイ31の表示内容を把握することができ、燃料ガスの流量計測値や、発生した異常の内容等を視認し得る。
復帰スイッチ32は、所謂、プッシュスイッチによって構成されており、制御基板30上における液晶ディスプレイ31の配設位置の右側部分に配設されている。制御基板30及び基板ホルダ40を収容しつつ、フロントカバー20をメータ筐体10の前面に取り付けた場合、当該復帰スイッチ32は、復帰ボタン22の後方に配置される(図12、図13参照)。従って、当該超音波流量計1によれば、超音波流量計1の前方から後方に向かって、復帰ボタン22の押圧操作を行うことによって、復帰スイッチ32の開閉を切り替えることができる。
端子台33は、制御基板30上における液晶ディスプレイ31の配設位置の下側部分に配設されており、超音波流量計1の外部に配設された外部機器(例えば、警報器やパーソナルコンピュータ)等に対して通信可能に接続する為の接続端子を複数列設して構成されている。そして、当該超音波流量計1においては、制御基板30の制御部に従って、端子台33を構成する各接続端子を介して、計測基板57から出力される燃料ガスの流量計測値や、検知した異常の内容を示す信号を、外部機器に対して通信することができる。
(基板ホルダの概略構成)
次に、当該超音波流量計1において、メータ筐体10の前面とフロントカバー20との間に収容される基板ホルダ40の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。当該基板ホルダ40は、メータ筐体10の前面と、フロントカバー20との間の空間において、メータ筐体10の前面から所定距離離間した所定位置(即ち、本発明における保持位置)に、制御基板30を保持している。
尚、図11においては、基板ホルダ40が制御基板30を保持している場合において、制御基板30上の復帰スイッチ32及び端子台33の後方となる部分を、破線によって示している。
図9〜図11に示すように、基板ホルダ40は、制御基板30自体を保持する基板保持部41と、制御基板30と共に基板保持部41をメータ筐体10の前面から所定距離離間した位置に保持する為に形成された複数の支持部44と、荷重受部45と、複数の補強リブ46と、シール荷重受部47とを有している。
基板保持部41は、保持対象である制御基板30と略同じサイズで形成された保持面42を含む略箱体状に形成されており、一対の保持爪43を有している。当該基板保持部41は、制御基板30に対応する略長方形の板状を為し、制御基板30の後方に位置する保持面42と、保持面42の上下端縁及び左右端縁に沿って立設された側壁部とによって、略箱体状に形成されている。
図9に示すように、基板保持部41の左端縁及び右端縁において、上下方向中央部分には、保持爪43がそれぞれ形成されている。一対の保持爪43は、夫々、左右方向に弾性変形可能に構成されており、制御基板30の端縁をもって、制御基板30を挟み込むことができる。これにより、当該基板保持部41は、制御基板30の背面(後側の表面)に対して、基板保持部41の側壁部先端を当接させて一対の保持爪43によって保持され、保持面42に対して制御基板30が略平行を為す状態で保持される。
複数の支持部44は、基板保持部41の外周側において、夫々後方側に向かって伸びて形成されている。メータ筐体10の前面とフロントカバー20の間に、基板ホルダ40を収容する際に、各支持部44の先端は、メータ筐体10の前面と当接し、ネジ止め等によってメータ筐体10に対して固定される。これにより、制御基板30及び基板ホルダ40の基板保持部41は、メータ筐体10の前面から所定寸法(即ち、支持部44の突出量に対応する寸法)だけ離間した位置において、フロントカバー20の前面に沿った状態で保持される。
図9〜図11に示すように、荷重受部45は、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に、制御基板30上の復帰スイッチ32の後方となる位置の近傍(後述する荷重作用部AP)において、保持面42から後方に向かって伸びるように形成されている。当該荷重受部45の先端は、メータ筐体10の前面に接触するように配設される。従って、復帰ボタン22の押圧操作に伴う操作荷重が、復帰スイッチ32を介して、制御基板30及び基板ホルダ40に作用する場合に、荷重受部45をもって、当該押圧操作に伴う操作荷重を受けることができる。
尚、荷重作用部APは、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に、制御基板30上の復帰スイッチ32の後方となる位置を含み、復帰ボタン22の押圧操作による操作荷重が、復帰スイッチ32、前記制御基板30を介して基板保持部41の保持面42に作用する部分を意味する。
そして、複数の補強リブ46は、荷重受部45における右側側面及び保持面42における後側の表面に沿って伸び、保持面42及び荷重受部45の側面に対して垂直に立設されている(図10、図11参照)。即ち、保持面42に沿って伸びる各補強リブ46は、保持面42の表面からメータ筐体10の前面側に向かって突出している。又、複数の補強リブ46は、上下方向に関して、所定の間隔を隔てて平行に伸びている。
図11に示すように、保持面42に沿って伸びる各補強リブ46は、荷重受部45の基端部から、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に制御基板30上の復帰スイッチ32の後方となる位置を経由して、保持面42の右側端縁に向かって直線的に伸びている。保持面42に沿って伸びる各補強リブ46は、荷重受部45の基端部において、当該荷重受部45の側面に沿って伸びる補強リブ46に接続されている。従って、当該各補強リブ46は、復帰ボタン22の押圧操作に伴う操作荷重に関し、保持面42及び荷重受部45近傍の剛性を高めている。
図9〜図11に示すように、シール荷重受部47は、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に、制御基板30上の端子台33の後方となる位置(後述するシール荷重作用部AS)において、保持面42から後方に向かって伸びるように形成されている。当該2本のシール荷重受部47の先端は、メータ筐体10の前面に接触するように配設される。
上述したように、制御基板30及び基板ホルダ40を収容しつつ、メータ筐体10の前面に対してフロントカバー20を取り付けた場合、シール部材25は、端子台開口部23の周囲におけるフロントカバー20と、端子台33周囲における制御基板30の表面との間で弾性変形することによって、超音波流量計1の外部の空間から、メータ筐体10とフロントカバー20の間の空間を密封している。当該シール部材25による密封は、シール部材25の弾性変形によって実現される為、端子台33の周囲における制御基板30及び基板ホルダ40には、シール部材25による密封に起因する荷重(以下、シール荷重)が作用する。
この点、シール荷重受部47は、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に制御基板30上の端子台33の後方となる位置に夫々形成されており、メータ筐体10の前面に当接するように配設されている為、2つのシール荷重受部47をもって、当該シール荷重を受けることができる。
尚、シール荷重作用部ASは、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に、制御基板30上の端子台33の後方となる位置を含み、シール部材25によって生じるシール荷重が制御基板30及び基板保持部41の保持面42に作用する部分を意味する。
(復帰ボタンの操作に伴う外力に対する構成)
上述のように構成された超音波流量計1においては、異常発生に伴い遮断弁によって燃料ガスの供給が停止された場合、復帰ボタン22の押圧操作を行うことで、遮断弁を開いて、燃料ガスの供給を再開する。この時、燃料ガスの供給再開を望むユーザは、復帰ボタン22を強く押圧する場合があり、この場合における復帰ボタン22の操作荷重が、制御基板30や基板ホルダ40の塑性変形を引き起こす場合があった。
ここで、復帰ボタン22の操作荷重に対する構成とその作用について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図12、図13に示すように、復帰ボタン22が超音波流量計1の後方に向かって押圧操作された場合、復帰ボタン22の操作荷重は、復帰スイッチ32を介して、制御基板30及び基板ホルダ40に作用する。
上述したように、基板ホルダ40において、荷重受部45は、保持面42における荷重作用部APから、保持面42から後方に向かって伸びるように形成されている。当該荷重受部45の先端は、メータ筐体10の前面に接触するように配設されている。図12に示すように、復帰ボタン22の押圧操作に伴う操作荷重が、復帰スイッチ32を介して、制御基板30及び基板ホルダ40に作用する場合に、荷重受部45は、操作荷重を受け、メータ筐体10に対して伝達させることができる。これにより、当該超音波流量計1によれば、復帰スイッチ32近傍における制御基板30の撓み変形や、保持面42における荷重作用部APの撓み変形を抑え、制御基板30及び基板ホルダ40の塑性変形を抑制することができる。
図12、図13に示すように、複数の補強リブ46は、荷重受部45における右側側面及び保持面42における後側の表面に沿って伸び、保持面42及び荷重受部45の側面に対して垂直に立設されている為、保持面42と荷重受部45を一体化しつつ、その剛性を高めている。この結果、当該超音波流量計1によれば、復帰スイッチ32近傍における制御基板30の撓み変形や、保持面42における荷重作用部APの撓み変形を、更に低減することができ、制御基板30及び基板ホルダ40の塑性変形を、より確実に抑制することができる。
又、複数の補強リブ46は、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に制御基板30上の復帰スイッチ32の後方となる位置を経由して、保持面42の右側端縁に向かって直線的に伸びている(図11〜図13参照)。ここで、制御基板30上の復帰スイッチ32の後方となる位置は、復帰ボタン22が後方に向かって押圧操作された場合に、当該押圧操作に伴う操作荷重が最も大きく作用する部分である。この点、当該超音波流量計1によれば、操作荷重が最も大きく作用する部分を経由して、各補強リブ46が伸びている為、撓み変形量が大きくなる部分の剛性を高めることができる。即ち、当該超音波流量計1によれば、復帰スイッチ32近傍における制御基板30の撓み変形や、保持面42における荷重作用部APの撓み変形を、効率的に低減することができ、制御基板30及び基板ホルダ40の塑性変形を、より確実に抑制することができる。
(シール部材による密封に伴う外力に対する構成)
又、当該超音波流量計1において、シール部材25は、端子台開口部23の周囲におけるフロントカバー20と、端子台33周囲における制御基板30の表面との間で弾性変形することによって、超音波流量計1の外部の空間から、メータ筐体10とフロントカバー20の間の空間を密封している。当該シール部材25による密封は、シール部材25の弾性変形によって実現される為、端子台33の周囲における制御基板30及び基板ホルダ40には、シール荷重が作用する。超音波流量計1の外部の空間から、メータ筐体10とフロントカバー20の間の空間を強固に密封し、気密性や防水性を高める場合、シール部材25の弾性変形量も大きくなる為、シール荷重も大きくなり、制御基板30や基板ホルダ40の塑性変形を引き起こす場合があった。
図11、図14、図15に示すように、シール荷重受部47は、基板ホルダ40における保持面42のシール荷重作用部ASにおいて、保持面42から後方に向かって伸びるように形成されており、その先端がメータ筐体10の前面に接触するように配設される。従って、シール荷重が制御基板30及び基板ホルダ40に作用する場合に、各シール荷重受部47は、シール荷重を受け、メータ筐体10に対して伝達させることができる。
そして、制御基板30上の端子台33の後方となる位置は、シール荷重が最も大きく作用する部分であり、各シール荷重受部47は、シール荷重が最も大きく作用する部分において、シール荷重を受けている。即ち、当該超音波流量計1によれば、端子台33近傍における制御基板30の撓み変形や、保持面42における荷重作用部APの撓み変形を、シール荷重受部47によって、効率的に低減することができ、制御基板30及び基板ホルダ40の塑性変形を、より確実に抑制することができる(図11、図14、図15参照)。
以上説明したように、本実施形態に係る超音波流量計1は、メータケース5の内部における入口バッファ部13と出口バッファ部15とを、流量計測ユニット50の計測流路部51によって接続するように有しており、前記流入口11から前記流出口12へと向かって、当該計測流路部51の内部を流れる燃料ガスに対して、一対の超音波振動子52A、超音波振動子52Bによる超音波を伝播させることによって、燃料ガスの流量を計測し得る。
そして、当該超音波流量計1は、復帰ボタン22を有するフロントカバー20と、制御基板30と、基板ホルダ40とを有しており、制御基板30は、前記メータ筐体10の前面と前記フロントカバー20との間において、前記メータ筐体10の前面から前記フロントカバー20側に向かって所定寸法離間した位置に、基板ホルダ40によって保持されている(図12〜図15参照)。
図9、図10に示すように、基板ホルダ40は、制御基板30を保持する基板保持部41と、前記基板保持部41から前記メータ筐体10の前面に向かって伸び、当該メータ筐体10の前面と当接する複数の支持部44を有している為、復帰スイッチ32を有する制御基板30を、前記メータ筐体10の前面から前記フロントカバー20側に向かって所定寸法離間した位置に保持することができる。
そして、当該基板ホルダ40は、基板保持部41における保持面42の荷重作用部APにおいて、当該保持面42から前記メータ筐体10の前面に向かって伸び、当該メータ筐体10の前面と当接する荷重受部45と、前記荷重受部45の基端部から前記保持面の前記荷重作用部APに沿って伸びる補強リブ46と、を有している(図9〜図13参照)。当該超音波流量計1によれば、前記メータ筐体の前面から所定寸法離間した位置に、制御基板30が保持されている状態で、復帰ボタン22の押圧操作に伴う操作荷重が復帰スイッチ32を介して制御基板30、基板ホルダ40に作用した場合であっても、操作荷重を、前記荷重受部45によって受けることができる。
更に、当該超音波流量計1によれば、基板ホルダ40における荷重作用部APと、前記荷重受部45の基端部とを前記補強リブ46によって一体化して、その剛性を高めているので、復帰ボタン22の押圧操作に伴う操作荷重が復帰スイッチ32を介して制御基板30、基板ホルダ40に対して作用した場合であっても、当該制御基板30及び基板ホルダ40の撓み変形を抑制することができ、反った状態での塑性変形を防止し得る。
図11〜図13に示すように、前記補強リブ46は、前記荷重作用部APの一部であって、基板ホルダ40に前記制御基板30が保持されている場合に、前記復帰スイッチ32に対して後方側にあたる部分と、前記荷重受部45の基端部とを接続するように伸びている。ここで、前記基板ホルダ40に前記制御基板30が保持されている場合に、前記復帰スイッチ32に対して後方側にあたる部分は、復帰ボタン22の押圧操作に伴う操作荷重が最も強く作用し、大きく撓み変形することが想定される。この点、当該超音波流量計1によれば、当該押圧操作に伴う操作荷重が最も強く作用する部分と、前記荷重受部45の基端部とを接続するように補強リブ46が伸びており、その剛性を高めている為、当該制御基板30及び基板ホルダ40の撓み変形及び反った状態での塑性変形を、より確実に抑制することができる。
当該超音波流量計1によれば、メータ筐体10の前面を覆うように前記フロントカバー20を取り付けた場合に、前記制御基板30の端子台33を前記フロントカバー20の端子台開口部23に挿通させることで、前記シール部材25によって、前記フロントカバー20と前記メータ筐体10の間の空間を前記超音波流量計1の外部から密閉することができる。ここで、シール部材25が、前記端子台33の周囲において、前記フロントカバー20の端子台開口部23と前記制御基板30の表面との間において、弾性変形してシールする関係上、シール部材25による密閉に伴う荷重が、端子台33の周囲に相当する制御基板30、基板ホルダ40に作用し、制御基板30、基板ホルダ40の撓み変形及び、反った状態での塑性変形を引き起こすことが想定される。
図11、図14、図15に示すように、前記基板ホルダ40は、シール荷重受部47を有しており、当該シール荷重受部47は、基板保持部41における保持面42のシール荷重作用部ASにおいて、当該保持面42から後方に向かって伸び、当該メータ筐体10の前面と当接している。従って、当該超音波流量計1によれば、前記制御基板30が基板ホルダ40によって保持されている状態で、シール部材25による密閉に伴うシール荷重が制御基板30、基板ホルダ40に作用した場合であっても、当該シール荷重を、前記シール荷重受部47によって受けることができ、制御基板30及び基板ホルダ40の撓み変形を抑制すると共に、反った状態での塑性変形を防止し得る。
図7、図14、図15に示すように、前記シール部材25は、前記フロントカバー20の端子台開口部23における開口縁に対して一体的に取り付けられている為、制御基板30の端子台33を前記フロントカバー20の端子台開口部23に対して挿通させつつ、当該フロントカバー20を前記メータ筐体10の前面を覆うように取り付けることによって、端子台33の周囲に対して、容易にシール部材25を配設して、前記フロントカバー20と前記メータ筐体10の間の空間を前記超音波流量計1の外部から密閉できる。
尚、上述した実施形態において、超音波流量計1は、本発明における超音波流量計の一例であり、メータ筐体10は、本発明におけるメータ筐体の一例である。又、流入口11は、本発明における流入口の一例であり、流出口12は、本発明における流出口の一例である。そして、流量計測ユニット50は、本発明における流量計測ユニットの一例であり、超音波振動子52A、超音波振動子52Bは、本発明における超音波振動子の一例である。そして、フロントカバー20は、本発明におけるフロントカバーの一例であり、復帰ボタン22は、本発明における操作ボタンの一例である。そして、制御基板30は、本発明における制御基板の一例であり、復帰スイッチ32は、本発明におけるプッシュスイッチの一例である。基板ホルダ40は、本発明における基板ホルダの一例であり、基板保持部41は、本発明における基板保持部の一例である。又、保持面42は、本発明における保持面の一例であり、支持部44は、本発明における支持部の一例である。そして、荷重受部45は、本発明における荷重受部の一例であり、補強リブ46は、本発明における補強リブの一例である。又、端子台33は、本発明における端子台の一例であり、端子台開口部23は、本発明における開口部の一例である。そして、シール部材25は、本発明におけるシール部材の一例であり、シール荷重受部47は、本発明におけるシール荷重受部の一例である。又、荷重作用部APは、本発明における荷重作用部の一例であり、シール荷重作用部ASは、本発明におけるシール荷重作用部の一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、複数の補強リブ46は、荷重受部45の基端部から保持面42の右端縁に向かって、直線状に平行に伸びる構成であったが、この態様に限定されるものではない。直線状に平行に伸びる複数の補強リブ46の間を接続するように、更なる補強リブを形成し、補強リブを格子状に配設してもよい。
又、保持面42における荷重受部45の形成位置についても、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に制御基板30上の復帰スイッチ32の後方となる位置において、荷重受部45を形成することも可能である。
更に、基板ホルダ40によって制御基板30を保持している場合に制御基板30上の端子台33の後方となる位置において、シール荷重に対する剛性を高める為に、保持面42から垂直に立設する補強リブを形成することも可能である。