JP6446115B1 - 手袋及び手袋の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体のクラックが少なく、かつ引き裂き強度が高い手袋の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の手袋は、着用者の手を覆い、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体を備える手袋であって、上記手袋本体が、上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.003以上0.1以下であり、上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.005以上0.05以下であり、上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が25倍以下である。上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する不溶分率としては、65質量%以上が好ましい。上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド基に対する上記酸化亜鉛のモル比としては、1以上50以下が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、手袋及び手袋の製造方法に関する。
ラテックス被膜により構成される手袋は、例えば以下の手順で被膜を形成することで製造される。まず、陶器又は金属製の手型を凝固剤へ浸漬した後、ラテックス原料中に上記手型を浸漬する。次に、この浸漬により手型の外面に形成されたラテックス被膜を乾燥させ、手型から外し手袋を得る。
上記ラテックス原料としては、その耐油性や耐薬品性からニトリルブタジエンゴムが配合された原料が用いられる。しかし、ニトリルブタジエンゴムが配合されたラテックス原料を用いると、原料が乾燥しラテックス被膜が形成される過程で被膜の収縮が発生し易く、製造される手袋にクラックが発生し易い。クラックが生じると、クラックを起因とした亀裂が生じやすくなる。特に滑り止め効果や視覚的効果を目的としてラテックス被膜の表面に凹凸を設けた手袋では、張力の均衡が取り難く、その影響が顕著となる。このため、製造時に生じるクラックは、手袋の耐久性や、亀裂からの浸透により耐油性、耐薬品性を低下させ易い。また、クラックにより手袋の引き裂き強度が不十分となり易い。
例えば上記クラックを防止するため、上記ラテックス原料に硫黄や加硫促進剤を入れる方法が提案されている(例えば特開2003−336113号公報参照)。硫黄や加硫促進剤を上記ラテックス原料に加えることで加硫が進行するため、一定のクラック防止効果が得られる。しかしながら、硫黄や加硫促進剤を加えることで、ラテックス原料の不安定化や粘度上昇が生じ、取扱い性が低下するため、硫黄や加硫促進剤の添加量には限度がある。このため、さらなるクラックの低減や引き裂き強度の向上が望まれている。
特開2003−336113号公報
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体のクラックが少なく、かつ引き裂き強度が高い手袋及び手袋の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、ニトリルブタジエンラテックス原料中にポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を同時に配合して形成したラテックス被膜においてクラックが劇的に減少することを見出した。クラックが減少する詳細なメカニズムは明らかではないが、酸化亜鉛の持つ極性によりニトリルブタジエンゴム中の極性基とポリカルボジイミドのカルボジイミド基の位置が固定化されると共に、これらが近接することで極性基とポリカルボジイミドのカルボジイミド基とが反応し易くなり、架橋が促進されたことによると考えられる。つまり、この架橋の促進効果によりラテックス被膜が形成される際にその収縮に耐えてクラックが防止されたものと考えられる。
さらに、本発明者らは、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合するに際し、加熱処理後のラテックス被膜、すなわち手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が25倍以下となるようにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合量を調整することで、手袋本体のクラックを低減できると共に手袋の引き裂き強度を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、着用者の手を覆い、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体を備える手袋であって、上記手袋本体が、上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.003以上0.1以下であり、上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.005以上0.05以下であり、上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が25倍以下である。
当該手袋は、ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が上記下限以上のポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を手袋本体が含む。また、上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率を上記上限以下とするので、当該手袋はニトリルブタジエンゴム及びポリカルボジイミドの架橋密度が高く、手袋本体に発生するクラックを低減できると共に引き裂き強度を向上できる。また、当該手袋は、上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比を上記上限以下とするので柔軟性に優れ、上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比を上記上限以下とするので、過剰な酸化亜鉛による手袋本体の劣化を抑止できる。従って、当該手袋は、外観、柔軟性及び引き裂き強度に優れると共に、手袋本体に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性及び耐薬品性に優れる。
上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する不溶分率としては、65質量%以上が好ましい。上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する不溶分率を上記下限以上とすることで、架橋したニトリルブタジエンゴム及びポリカルボジイミドが多くなるため、手袋本体に発生するクラックをさらに低減できる。
上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド基に対する上記酸化亜鉛のモル比としては、1以上50以下が好ましい。上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド基に対する上記酸化亜鉛のモル比を上記範囲内とすることで、手袋本体に発生するクラックをさらに低減できる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、着用者の手を覆い、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体を備える手袋の製造方法であって、手型を凝固剤溶液へ浸漬する第1浸漬工程と、上記第1浸漬工程後の手型をラテックス原料へ浸漬する第2浸漬工程と、上記第2浸漬工程後の手型を乾燥させる乾燥工程とを備え、上記ラテックス原料が、ニトリルブタジエンゴムラテックス、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含有し、上記手袋本体の上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.003以上0.1以下、及び上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.005以上0.05以下となるように上記ラテックス原料のポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の含有量が調整され、上記乾燥工程で、上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が25倍以下となるように乾燥温度及び乾燥時間のプロファイルを制御する。
当該手袋の製造方法では、ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が上記下限以上のポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含むラテックス原料を用い、乾燥工程で手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が25倍以下となるように乾燥温度及び乾燥時間のプロファイルを制御する。このため、当該手袋の製造方法により製造される手袋は、ニトリルブタジエンゴム及びポリカルボジイミドの架橋密度が高く、手袋本体に発生するクラックを低減できると共に引き裂き強度を向上できる。また、当該手袋の製造方法では、原料ラテックスの上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比を上記上限以下とするので、製造される手袋は柔軟性に優れ、上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比を上記上限以下とするので、過剰な酸化亜鉛による手袋本体の劣化を抑止できる。従って、当該手袋の製造方法により製造される手袋は、外観、柔軟性及び引き裂き強度に優れると共に、手袋本体に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性及び耐薬品性に優れる。
上記プロファイルが、乾燥温度100℃以上150℃以下、乾燥時間10分以上90分以下の乾燥条件を含むとよい。上記プロファイルに上記乾燥条件を含めることで、ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋が進行し易くなるため、手袋本体に発生するクラックをさらに低減できる。
ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
「メチルエチルケトンに対する吸液倍率」及び「メチルエチルケトンに対する不溶分率」とは、以下の手順により求められる値である。まず、平面視で直径約10cmの円形状のフィルムを準備する。このフィルムは手袋本体から切り出してもよく、手袋本体と同組成のフィルムを作製して準備してもよい。なお、本発明者らは、上記吸液倍率及び不溶分率のフィルムの厚さに対する依存性が低いことを知得しているが、フィルムの平均厚さとしては、0.02mm以上1.0mm以下とすることが好ましい。このフィルムを1Lの常温の水で15分間洗浄した後、水分を拭き取り、さらに30℃のオーブンで1時間乾燥させる。次に、このフィルムを約5mm角の試験片に細かく切り、質量が約0.2gとなるように複数の試験片を測り取った後、その質量を有効数字4桁で測定する(この質量をW[g]とする)。この複数の試験片をあらかじめ質量を測定している#80の金属メッシュのカゴ(底面約2cm角、7〜11g)に入れる。次に、メチルエチルケトン(MEK)100mlに、上記複数の試験片の入ったカゴを浸漬し、23℃以上25℃以下で24時間静置する。静置後、MEKから引き上げたカゴを30秒間軽く振って余分なMEKを滴下させ、上記複数の試験片の入ったカゴの全質量を測定する。測定済みのカゴの質量との差からMEKに湿潤状態の試験片の質量を算出する(この質量をA[g]とする)。さらに、上記複数の試験片の入ったカゴを30℃で3時間、続いて105℃で30分乾燥させ、上記複数の試験片の入ったカゴの全質量を測定する。測定済みのカゴの質量との差から乾燥後の試験片の質量を算出する(この質量をB[g]とする)。算出した質量から、以下の式により吸液倍率及び不溶分率が求められる。
吸液倍率[倍] =A/B ・・・(1)
不溶分率[質量%]=B/W×100 ・・・(2)
以上説明したように、本発明の手袋、及び本発明の手袋の製造方法により製造される手袋は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体のクラックが少なく、かつ引き裂き強度が高い。従って、本発明の手袋は、外観に優れると共に、手袋本体に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性、及び耐薬品性に優れる。
本発明の一実施形態の手袋の製造方法を示すフロー図である。
以下、本発明の実施の形態を詳説する。
〔手袋〕
本発明の一実施形態に係る手袋は、着用者の手を覆う手袋本体を備える。
<手袋本体>
手袋本体は、着用者の手本体を覆うよう袋状に形成された本体部と、着用者の指を覆うよう上記本体部から延設された延設部と、着用者の手首を覆うよう上記本体部から上記延設部とは反対方向に延設された筒状の裾部とを有する。上記延設部は、着用者の第一指(親指)、第二指(人差指)、第三指(中指)、第四指(薬指)及び第五指(小指)をそれぞれ覆う第一指部、第二指部、第三指部、第四指部及び第五指部を有している。この第一指部から第五指部は、指先部が閉塞された筒状に形成されている。また、上記裾部は、着用者が手を挿入可能な開口部を有している。
手袋本体は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とするラテックス被膜により構成される。また、手袋本体は、ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含む。
(ニトリルブタジエンゴム)
ニトリルブタジエンゴムは、アクリロニトリル及びブタジエンを単量体として共重合して形成される。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対するアクリロニトリルの配合量の下限としては、20質量部が好ましく、25質量部がより好ましい。一方、上記アクリロニトリル配合量の上限としては、40質量部が好ましく、35質量部がより好ましく、30質量部がさらに好ましい。上記アクリロニトリルの配合量が上記下限未満であると、手袋の耐油性や耐久性が低下するおそれがある。逆に、上記アクリロニトリルの配合量が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対するブタジエンの配合量の下限としては、55質量部が好ましく、57質量部がより好ましく、62質量部がさらに好ましい。一方、上記ブタジエンの配合量の上限としては、78質量部が好ましく、72質量部がより好ましく、70質量部がさらに好ましい。上記ブタジエンの配合量が上記下限未満であると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、上記ブタジエンの配合量が上記上限を超えると、手袋の耐油性や耐久性が低下するおそれがある。
上記ニトリルブタジエンゴムは、当該手袋の強度や柔軟性が確保できる範囲で、既知の単量体を共重合してもよい。このような単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、酸無水物基、アミド基等の極性基を有する単量体を挙げることができる。上記カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体などが挙げられる。上記スルホン酸をもつ単量体としては、スチレンスルホン酸等のエチレン性不飽和酸単量体などが挙げられる。上記酸無水物基をもつ単量体としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和酸単量体などが挙げられる。上記アミド基をもつ単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などが挙げられる。共重合後、これらの極性基は手袋本体の原料となるラテックス原料の安定性を高めることができる。具体的には、これらの一部は、ラテックス原料中でカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等の一価の陽イオンと対をなし、ニトリルブタジエンゴムラテックス粒子を水溶媒中で安定化させる。また、上記極性基(イオン化物含む)の一部又は全部は、手袋本体の製造時にポリカルボジイミドや酸化亜鉛と反応し、カルボジイミド基との共有結合や亜鉛イオンとの金属結合を形成する。これにより手袋本体の製造時に架橋が促進できる。中でも安定性や物性の面からメタクリル酸やアクリル酸を単量体として用いることが好ましい。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対するメタクリル酸又はアクリル酸の配合量の下限としては、2質量部が好ましく、3質量部がより好ましい。一方、上記メタクリル酸又はアクリル酸の配合量の上限としては、10質量部が好ましく、8質量部がより好ましい。上記メタクリル酸又はアクリル酸の配合量が上記下限未満であると、ラテックス原料の安定性向上効果が不足するおそれや、手袋本体の架橋促進効果が不足するおそれがある。逆に、上記メタクリル酸又はアクリル酸の配合量が上記上限を超えると、手袋本体が乾燥時に収縮し易くなり、クラックが発生し易くなるおそれや、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
また、上記ニトリルブタジエンゴムに、一般にニトリルブタジエンゴムに配合される乳化剤、pH調整剤、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、増粘剤、感熱剤、酸化防止剤、界面活性剤、可塑剤等を加えてもよい。これらの中でも手袋本体の成膜性、強度及び耐溶剤性を向上させる観点から、加硫剤又は加硫促進剤が配合されているとよい。なお、化学物質によるアレルギーや、食品加工作業等での手袋からの臭い移りを防止する観点からは、加硫剤又は加硫促進剤は配合されていないことが好ましい。
上記加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの中でもコロイド硫黄が好ましい。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記加硫剤の配合量としては、0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましい。上記加硫剤の配合量が上記下限未満であると、強度向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記加硫剤の配合量が上記上限を超えると、手袋がごわごわとした触感となるおそれがある。
上記加硫促進剤としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸系の加硫促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛等のチアゾール系の加硫促進剤、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系の各加硫促進剤などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの中でもジチオカルバミン酸系のものが好ましい。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記加硫促進剤の配合量としては、0.5質量部以上5.0質量部以下が好ましい。上記加硫促進剤の配合量が上記下限未満であると、加硫の促進効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記加硫促進剤の配合量が上記上限を超えると、手袋が硬い触感となるおそれや、初期加硫が進み、スコーチ現象を起こすおそれがある。
(ポリカルボジイミド)
ポリカルボジイミドとは、1分子中に複数のカルボジイミド基を有する化合物である。このようなポリカルボジイミドとしては、有機ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応によって合成された多量体を用いることができる。上記有機ジイソシアネート化合物としては、例えば芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシアネート化合物及びこれらの混合物が挙げられる。具体的には、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネートとトルエン−2,6−ジイソシアネートとの混合物、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシル−メタン−4,4′−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,6−ヘキシルジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルニルジイソシアネート等が挙げられる。中でも、ジシクロヘキシル−メタン−4,4′−ジイソシアネート及び3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートが好ましい。
上記ポリカルボジイミドとして具体的には、日清紡ケミカル株式会社製のV−02(590)、V−02−L2(385)、SV−02(430)、V−04(335)、V−10(410)、SW−12G(465)、E−02(445)、E−03A(365)、E−05(310)等が挙げられる。なお、( )内の数値はカルボジイミド当量を意味する。また、スタール・ジャパン株式会社製のXR−5508、XR−5577、XR−5580、XR−13−554等を使用することもできる。中でも、水溶媒系であり、配合原料のポットライフ性能に優れるE−02、E−03A、E−05、及びXR−5508が好ましい。
カルボジイミド基は、ニトリルブタジエンゴム中の極性基と反応し、架橋体を形成する。このため、手袋本体の形成において乾燥後の成膜性が向上し、クラックが低減できる。また、後述するように手袋本体はニトリルブタジエンゴム、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含むラテックス原料に手型を浸漬することで形成されるが、この手型をラテックス原料に浸漬して引き上げた直後の乾燥前の被膜中であっても架橋反応が生じ、酸化亜鉛の成膜向上効果を高めていると考えられる。
上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド当量の下限としては、200が好ましく、250がより好ましい。一方、上記カルボジイミド当量の上限としては、1000が好ましく、650がより好ましい。上記カルボジイミド当量が上記下限未満であると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、上記カルボジイミド当量が上記上限を超えると、カルボジイミド基による架橋促進効果が不十分となるおそれがある。ここで、カルボジイミド当量とは、カルボジイミド基1モルを与えるために必要なカルボジイミド化合物の質量[g]を表し、カルボジイミド化合物の分子量を、そのカルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の数で除して得られる数値である。
上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比の下限としては、0.003であり、0.005がより好ましい。一方、上記ポリカルボジイミドの質量比の上限としては、0.1であり、0.06がより好ましい。上記ポリカルボジイミドの質量比が上記下限未満であると、手袋本体のクラック低減効果が不十分となるおそれや、手袋の引張強度が低下するおそれがある。逆に、上記ポリカルボジイミドの質量比が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体がカルボキシル基、カルボジイミド基、及びカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基を有するとよい。カルボキシル基及びカルボジイミド基は酸化亜鉛により位置が固定化され易く、互いに近接し易くなる。このため、当該手袋の製造時にカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基が生成し易く、架橋が促進され易い。従って、クラックの発生をさらに抑制できる。
ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体がカルボキシル基及びカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基を有する場合、上記カルボキシル基及び上記反応生成基の合計に対する上記カルボジイミド基及び上記反応生成基の合計のモル比の下限としては、0.008が好ましく、0.01がより好ましく、0.015がさらに好ましく、0.02が特に好ましい。一方、上記モル比の上限としては、1が好ましく、0.5がより好ましく、0.3がさらに好ましい。上記モル比が上記下限未満であると、手袋本体のクラック低減効果が不十分となるおそれや、手袋の引張強度が低下するおそれがある。逆に、上記モル比が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛は、ニトリルブタジエンゴムの極性基と相互作用し、ラテックス原料に浸漬後の手袋本体の成膜性を向上させる。しかし、酸化亜鉛単体での成膜性向上効果は比較的低く、浸漬後に乾燥させて手袋本体を形成する際、水分の蒸発により体積が減少することにより発生する手袋本体の収縮による張力に耐えきれず、手袋本体にクラックが発生する場合がある。これに対し、当該手袋では、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含有させることで成膜向上効果を高めているので、手袋本体にクラックが発生し難い。
上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比の下限としては、0.005であり、0.008がより好ましい。一方、上記酸化亜鉛の質量比の上限としては、0.05であり、0.04がより好ましく、0.035がさらに好ましい。上記酸化亜鉛の質量比が上記下限未満であると、手袋の引き裂き強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記酸化亜鉛の質量比が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれや、過剰な酸化亜鉛により手袋の引き裂き強度が低下したり、ラテックス原料の不安定化を招いたりするおそれがある。
ニトリルブタジエンゴムがカルボキシル基を有する場合、カルボキシル基に対する酸化亜鉛のモル比の下限としては、0.1が好ましく、0.2がより好ましい。一方、カルボキシル基に対する酸化亜鉛のモル比の上限は、特に限定されないが、1が好ましく、0.5がより好ましい。上記酸化亜鉛のモル比が上記下限未満であると、手袋本体のクラック低減効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記酸化亜鉛のモル比が上記上限を超えると、過剰な酸化亜鉛により手袋本体が劣化するおそれがある。
当該手袋は、手袋本体がニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含む。カルボジイミド基により手袋本体のクラックが低減するメカニズムは明らかではないが、本発明者らは以下のように推察している。カルボジイミド基は、酸化亜鉛に接近してその位置が固定化され易くなる。また、ニトリルブタジエンゴム中の極性基も酸化亜鉛に接近し易い。従って、酸化亜鉛を介してカルボジイミド基とニトリルブタジエンゴム中の極性基とが近接し易くなり、カルボジイミド基とニトリルブタジエンゴム中の極性基との間で共有結合が形成される。これにより、手袋本体のクラックの低減効果や耐引き裂き強度の向上効果、耐薬品性の向上効果が得られると考えられる。このため、上記効果を得るにはニトリルブタジエンゴム中の極性基とカルボジイミド基との共有結合形成に関して触媒的に機能する酸化亜鉛が一定量含まれる必要がある。
カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比の下限としては、1が好ましく、5がより好ましい。一方、カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比の上限としては、50が好ましく、40がより好ましく、35がさらに好ましい。上記カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比が上記下限未満であると、酸化亜鉛の量が相対的に少なくなるため、手袋本体のクラック低減効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比が上記上限を超えると、カルボジイミド基の量が相対的に少なくなるため、手袋本体のクラック低減効果が不十分となるおそれがある。
また、本発明者らは、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合するに際し、手袋本体のメチルエチルケトンに対する不溶分率や吸液倍率が所定範囲となるようにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合量を調整することで、手袋本体のクラックを低減できると共に手袋の引き裂き強度を向上できることを見出している。
手袋本体のメチルエチルケトン(MEK)に対する不溶分率は、手袋本体を構成するラテックス被膜のうちMEKに溶解しない質量割合[質量%]である。この不溶分率は、ラテックス被膜の架橋の進行度を示す値と考えられる。この数値が大きいほど、架橋が進行し、手袋本体のクラック発生が低減され、耐溶剤性が向上することを本発明者らは確認している。例えば、架橋は硫黄、加硫促進剤、酸化亜鉛等のニトリルブタジエンゴムの一般的な加硫剤によっても進行させることができるが、この数値が低い場合、十分な耐薬品性が得られない場合があることを本発明者らは知得している。従って、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合する場合においても、MEKに対する不溶分率が一定値以上となるようにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合量を調整することが好ましい。
手袋本体のMEKに対する不溶分率の下限としては65質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましい。上記不溶分率が上記下限未満であると、十分な耐薬品性が得られないおそれがある。一方、上記不溶分率の上限としては、特に限定されないが、上記不溶分率は通常95質量%以下である。
手袋本体を構成するラテックス被膜をMEKに浸漬すると、一部の被膜は溶解し、残部はMEKで膨潤するものの溶解せずに残留する。手袋本体のMEKに対する吸液倍率は、手袋本体を構成するラテックス被膜のうち、MEKで膨潤した残部の質量を乾燥状態の残部の質量で除して得られる質量の比率[倍]である。この吸液倍率は、ラテックス被膜の架橋密度を示す値と考えられる。この数値が小さいほど、架橋密度の高いより強固な結合が形成され、これにより手袋本体のクラック発生が低減され、耐溶剤性が向上することを本発明者らは確認している。上述の不溶分率が分子間に架橋構造が形成されているか否かを表す指標であるのに対し、この吸液倍率は被膜全体に形成される架橋構造の多さを表す指標であると考えられる。本発明者らは、クラック発生の低減には、特に被膜全体に形成される架橋構造の多さを表す吸液倍率との相関が高いことを知得している。従って、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合する場合において、MEKに対する吸液倍率が一定値以下となるようにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合量を調整する。
手袋本体のMEKに対する吸液倍率の上限としては、25倍であり、20倍がより好ましく、16倍がさらに好ましい。上記吸液倍率が上記上限を超えると、十分な耐薬品性が得られないおそれがある。一方、上記吸液倍率の下限は特に限定されないが、手袋の柔軟性の観点から上記吸液倍率は通常3倍以上とされる。
〔手袋の製造方法〕
当該手袋の製造方法は、図1に示すように第1浸漬工程S1と、第2浸漬工程S2と、乾燥工程S3とを主に備える。当該手袋の製造方法を用いることで、上述の着用者の手を覆い、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体を備える手袋を製造できる。
<第1浸漬工程>
第1浸漬工程S1では、手型を凝固剤溶液へ浸漬し、引き上げた後、凝固剤溶液の溶媒を蒸発させる。
上記凝固剤溶液としては、公知のもの、例えば多価金属塩や有機酸を含むメタノール溶液や水溶液等を用いることができる。中でも多価金属塩を含むことが好ましい。上記凝固剤溶液に多価金属塩を含ませることで、ラテックス原料の手型への付着量や付着厚みを制御し易くできる。
上記多価金属塩としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛、酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいが、2種以上を組合せて使用することもできる。
上記凝固剤溶液における上記多価金属塩の含有量の下限としては、8質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。一方、上記多価金属塩の含有量の上限としては、60質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。上記多価金属塩の含有量が上記下限未満であると、凝固力が不十分となり、ラテックス原料の手型への付着厚みが不足するおそれや、ラテックス原料の液だれによりラテックス被膜の厚みが不均一となるおそれがある。逆に、上記多価金属塩の含有量が上記上限を超えると、凝固剤によるラテックス原料の急激な凝集によりラテックス被膜が不均一となるおそれがある。
また、上記有機酸としては、酢酸、クエン酸等を挙げることができる。上記凝固剤溶液における上記有機酸の含有量としては、5質量%以上35質量%以下が好ましい。この有機酸は、単独で使用することもできるが、多価金属塩と混合して使用することが好ましい。多価金属塩と混合して使用することで、手袋本体の厚みが薄くなることを抑止できる。また、それぞれを単独で用いる場合よりも凝固剤溶液の成膜能力の制御が容易となる。
上記手型を凝固剤溶液に浸漬させる際の手型の温度としては、40℃以上80℃以下が好ましい。上記手型の温度が上記下限未満であると、手型からの溶媒の蒸発が不十分となるおそれがある。逆に、上記手型の温度が上記上限を超えると、手型表面に形成される凝固剤層の均一性が不十分となるおそれがある。なお、凝固剤溶液に浸漬させる時間は、特に限定されない。
凝固剤溶液への浸漬及び引き上げ後に溶媒を揮発させる温度としては、25℃以上80℃以下が好ましく、溶媒を揮発させる時間としては、10秒以上600秒以下が好ましい。溶媒の揮発温度及び時間を上記範囲内とすることで、製造効率を維持しつつ、溶媒揮発の制御性を高められる。
<第2浸漬工程>
第2浸漬工程S2では、上記第1浸漬工程S1後の手型をラテックス原料へ浸漬し、引き上げる。
上記ラテックス原料は、ニトリルブタジエンゴムラテックスにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛が配合されたものである。ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合量は、手袋本体形成後のニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛の含有量が所望の値となるように調製される。また、必要に応じて加硫剤、加硫促進剤、界面活性剤等の添加剤を加えてもよい。
上記手型をラテックス原料に浸漬させる時間としては、特に限定されないが、例えば10秒以上200秒以下とできる。
また、上記手型の表面に付着されるラテックス原料の付着量は、形成される手袋本体の平均厚さが0.02mm以上1.0mm以下となるように調整するとよい。なお、成形性の観点から1度の浸漬で形成されるラテックス被膜の平均厚さは0.05mm以上0.5mm以下とすることが好ましい。つまり、厚みのあるラテックス被膜を形成する場合は複数回のラテックス原料への浸漬により手袋本体を形成することが好ましい。上記浸漬を複数回行う場合、適宜、浸漬間でラテックス被膜の水分の蒸発を行う。この水分の蒸発は、後述する乾燥工程S3での水分の蒸発と同様の条件で行うことができる。
本発明者らは、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合したラテックス原料を使用する場合、第2浸漬工程S2後の引き上げた被膜において、後述する乾燥工程の加熱前であっても架橋が進行することを見出している。また、本発明者らは、この未加熱状態での架橋の進行が手袋本体の成形性に影響することを確認している。そして、この架橋の進行を確認するパラメータとして、MEKに対する不溶分率及び吸液倍率が有効であることが分かった。なお、第2浸漬工程S2後の引き上げた被膜は湿潤状態にあるため、測定精度の観点から、MEKに対する不溶分率及び吸液倍率は30℃のオーブンで15時間以上乾燥させてから測定することが好ましい。
第2浸漬工程S2後の引き上げた被膜(以下、単に「未加熱の被膜」ともいう)のMEKに対する不溶分率は、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含まない、つまりニトリルブタジエンゴムラテックスのみが配合されたラテックス原料へ浸漬し、引き上げた被膜(以下、単に「ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含まない被膜」ともいう)のMEKに対する不溶分率よりも大きいことが好ましい。未加熱の被膜のMEKに対する不溶分率と、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含まない被膜のMEKに対する不溶分率との差の下限としては、3質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。上記不溶分率の差が上記下限未満であると、手袋本体の成形性が低下するおそれや、手袋の引き裂き強度が不十分となるおそれがある。一方、上記不溶分率の差の上限としては、特に限定されず、大きいほどよい。
未加熱の被膜のMEKに対する不溶分率は、ラテックス原料の主成分であるニトリルブタジエンゴムの種類等にも影響されるが、上記不溶分率の下限としては、30質量%が好ましく、63質量%がより好ましい。上記不溶分率が上記下限未満であると、手袋本体の成形性が低下するおそれや、手袋の引き裂き強度が不十分となるおそれがある。一方、上記不溶分率の上限は特に限定されないが、ラテックス被膜の成膜性の観点から上記不溶分率は通常95質量%以下とされる。
また、未加熱の被膜のMEKに対する吸液倍率は、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含まない被膜のMEKに対する吸液倍率より小さいことが好ましい。未加熱の被膜のMEKに対する吸液倍率と、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含まない被膜のMEKに対する吸液倍率との差の下限としては、13が好ましく、26がより好ましい。一方、上記吸液倍率の差の上限としては、45が好ましく、40がより好ましい。上記吸液倍率の差が上記下限未満であると、手袋本体の成形性が低下するおそれや、手袋の引き裂き強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記吸液倍率の差が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
未加熱の被膜のMEKに対する吸液倍率は、ラテックス原料の主成分であるニトリルブタジエンゴムの種類等にも影響されるが、上記吸液倍率の上限としては、60倍が好ましく、30倍がより好ましい。上記吸液倍率が上記上限を超えると、手袋本体の成形性が低下するおそれや、手袋の引き裂き強度が不十分となるおそれがある。一方、上記吸液倍率の下限は特に限定されないが、手袋の柔軟性の観点から上記吸液倍率は通常3倍以上とされる。
<乾燥工程>
乾燥工程S3では、上記第2浸漬工程S2後の手型を乾燥させる。具体的には、ラテックス原料への浸漬により形成されたラテックス被膜の水分を蒸発させた後、架橋反応を促進させ、手袋本体を形成する。この乾燥工程は、例えば公知のオーブンを用いて行うことができる。また、この乾燥工程S3で、手袋本体のMEKに対する吸液倍率が25倍以下となるように乾燥温度及び乾燥時間のプロファイルを制御する。
この乾燥工程S3での水分の蒸発は、手型を室温(20℃以上40℃以下)で一定時間保持させて行うとよい。このように室温で手型を保持することで、クラック発生の防止効果が高められることを本発明者らは知得している。
上記室温での乾燥時間は、10時間以上20時間以下が好ましい。上記室温での乾燥時間が上記下限未満であると、乾燥ムラが生じやすく、手袋本体にクラックが発生し易くなるおそれがある。逆に上記室温での乾燥時間が上記上限を超えると、製造効率が低下するおそれがある。
また、乾燥工程S3の水分の蒸発は、上述の室温での乾燥に続いて、高温乾燥を行うとよい。このように室温での乾燥に続けて高温乾燥を行う場合、室温での乾燥時間は、20秒以上200秒以下とできる。
高温環境下での水分を蒸発させる乾燥温度としては、50℃以上100℃以下が好ましい。上記乾燥温度が上記下限未満であると、未乾燥の被膜が垂れてくるおそれがあり、手袋本体が不均一となるおそれがある。逆に、上記乾燥温度が上記上限を超えると、急速な乾燥により乾燥ムラが生じ易く部分的に強い張力が被膜にかかり易くなる。このため、被膜が収縮し易くなり、手袋本体にクラックが発生し易くなる。また、昇温後の水分を蒸発させる乾燥時間としては、製造効率の観点から10分以上90分以下が好ましい。
このように室温での乾燥に続けて高温乾燥を行うことで、手袋本体のクラック発生を抑止しつつ、より短時間で水分を蒸発させることができる。
架橋反応を促進させる際の乾燥温度の下限としては、100℃が好ましく、110℃がより好ましい。一方、上記乾燥温度の上限としては、150℃が好ましく、140℃がより好ましい。上記乾燥温度が上記下限未満であると、架橋反応が十分に促進されないおそれがある。逆に、上記乾燥温度が上記上限を超えると、架橋反応にムラが発生するおそれや、手袋本体の熱による劣化が生じるおそれがある。
架橋反応を促進させる際の乾燥時間の下限としては、5分が好ましく、10分がより好ましい。一方、上記乾燥時間の上限としては、90分が好ましく、60分がより好ましい。上記乾燥時間が上記下限未満であると、架橋反応が十分に促進されないおそれがある。逆に、上記乾燥時間が上記上限を超えると、製造効率が低下するおそれがある。
手袋本体のMEKに対する不溶分率及び吸液倍率は、ラッテクス原料の配合に加え、架橋反応を促進させる際の乾燥温度及び乾燥時間により変動する。従って、この架橋反応を促進させる際の乾燥温度及び乾燥時間は、手袋本体のMEKに対する不溶分率及び吸液倍率が所望の値(例えば吸液倍率が25倍以下)となるように決定される。
水分の蒸発及び架橋反応の促進を行った後、ラテックス被膜により形成された手袋本体は、手型から外され、当該手袋が得られる。
なお、ラテックス被膜から凝固剤や界面活性剤等がブルーム又はブリードする場合があるが、この場合は水分の蒸発後に手型を水槽に浸漬する方法や、手型から外された当該手袋を洗濯する方法等により除去することができる。この凝固剤や界面活性剤等の除去は、乾燥工程S3の水分蒸発後、又は架橋反応後に行うことができる。
〔利点〕
当該手袋及び当該手袋の製造方法により製造される手袋は、ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.003以上のポリカルボジイミド、及びニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.005以上の酸化亜鉛を手袋本体が含む。また、上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率を25倍以下とするので、当該手袋及び当該手袋の製造方法により製造される手袋はニトリルブタジエンゴム及びポリカルボジイミドの架橋密度が高く、手袋本体に発生するクラックを低減できると共に引き裂き強度を向上できる。また、当該手袋及び当該手袋の製造方法により製造される手袋は、上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比を0.1以下とするので柔軟性に優れ、上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比を0.05以下とするので、過剰な酸化亜鉛による手袋本体の劣化を抑止できる。従って、当該手袋及び当該手袋の製造方法により製造される手袋は、外観、柔軟性及び引き裂き強度に優れると共に、手袋本体に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性及び耐薬品性に優れる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
上記実施形態では、第2浸漬工程でニトリルブタジエンゴムラテックスにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛が配合されたラテックス原料に1回浸漬する場合を説明したが、複数回浸漬してもよい。その際、組成の異なるラテックス原料に浸漬することで、多層構造のラテックス被膜を形成することもできる。複数のラテックス原料を用いて多層構造の被膜を形成する際、少なくともその1つのラテックス原料がニトリルブタジエンゴムラテックスにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛が配合されたラテックス原料であればよく、その他のラテックス原料は任意とできる。
また、ラテックス被膜を形成した後に、コーティング剤を塗布してもよい。このコーティング剤の塗布は、乾燥工程で行われる。また、手袋本体を手型から外す際に、ラテックス被膜の内外を反転させながら取り外すことで、手型上ではラテックス被膜の外面に塗布されたコーティング剤の塗布面を手袋の内面としてもよい。
上記コーティング剤としては、公知のものを用いることができ、例えば手への着脱を容易化するための滑剤、植毛、手の保湿剤等を挙げることができる。コーティング剤は、手袋本体の前面に塗布されてもよく、例えば指先や掌等の一部に塗布されてもよい。
また、ラテックス被膜に凹凸を設けて、手袋本体に滑り止め効果や視覚的効果を付与することもできる。ラテックス被膜に凹凸を設ける方法としては、例えば手型に予め所望の凹凸をつけておき、その形状を転写する方法を挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
表1に示す固形分となるようにポリカルボジイミド(スタール・ジャパン株式会社製の「XR−5508」)及び酸化亜鉛(正同化学工業社製の「酸化亜鉛2種」)を配合したニトリルブタジエンゴム(NBR)ラテックス(日本ゼオン社製の「Nipol CLX550L」)を主成分とするラテックス原料を準備した。なお、ラテックス原料は、NBRの割合が35質量%となるようにイオン交換水で希釈した。
[不溶分率及び吸液倍率の評価]
上記ラテックス原料を用いて製造される手袋本体のMEKに対する不溶分率及び吸液倍率を測定するため、以下の手順で試験片の作製及び測定を行った。
上記ラテックス原料をイオン交換水で全固形分が30質量%となるように希釈した。この希釈したラテックス原料を内径10cmのガラスシャーレに5g秤量し、30℃のオーブンで15時間乾燥させ、水分を除去し、平均厚み約0.05mmの2枚のフィルムを得た。
(未加熱状態での不溶分率及び吸液倍率の測定)
このようにして得られたフィルムの1枚から約5mm角の試験片を切り分け、質量が約0.2gとなるように複数の試験片を測り取った後、その質量を有効数字4桁で測定した(この質量をW[g]とする)。この複数の試験片をあらかじめ質量を測定している#80の金属メッシュのカゴ(底面約2cm角、約9g)に入れた。
次に、メチルエチルケトン(MEK)100mlに、上記複数の試験片の入ったカゴを浸漬し、23℃以上25℃以下で24時間静置した。静置後、MEKから引き上げたカゴを30秒間軽く振って余分なMEKを滴下させ、上記複数の試験片の入ったカゴの全質量を測定した。測定済みのカゴの質量との差からMEKに湿潤状態の試験片の質量を算出した(この質量をA[g]とする)。さらに、上記複数の試験片の入ったカゴを30℃で3時間、続いて105℃で30分乾燥させ、上記複数の試験片の入ったカゴの全質量を測定した。測定済みのカゴの質量との差から乾燥後の試験片の質量を算出した(この質量をB[g]とする)。算出した質量から、以下の式により吸液倍率及び不溶分率を求めた。結果を表1に示す。この不溶分率及び吸液倍率は、当該手袋の製造方法における第2浸漬工程後の引き上げた被膜の不溶分率及び吸液倍率に相当する。
吸液倍率[倍] =A/B ・・・(1)
不溶分率[質量%]=B/W×100 ・・・(2)
(加熱後の不溶分率及び吸液倍率の測定)
上述の2枚のフィルムのうち他の1枚について、120℃で40分間の加熱乾燥を行い、架橋を進行させた。加熱乾燥後のフィルムから、未加熱状態での不溶分率及び吸液倍率の測定と同様に試験片を切り出し、不溶分率及び吸液倍率の測定を行った。結果を表1に示す。この不溶分率及び吸液倍率は、当該手袋の手袋本体の不溶分率及び吸液倍率に相当する。
[クラック評価]
手袋本体が、ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含むことでクラックが防止できることを確認するため、上記ラッテクス原料を用いて素焼きの陶器板表面に手袋本体に相当するラテックス被膜を作製し、評価した。
幅10cm、高さ15cm、厚み3mmの素焼きの陶器板を用意した。この陶器板の表面には、中央部に平面視で1辺が5mmの正方形で深さが0.4mmの直方体状の凹部が5mm間隔で、幅方向に9個、高さ方向に9列配置されている。
75℃に温めた陶器板を、凝固剤として用意した17質量%の硝酸カルシウムメタノール液に浸漬し、引き上げた後、75℃で3分間の乾燥を行った。この凝固剤がコーティングされた陶器板を上記ラテックス原料に30秒間浸漬した後、室温(25℃)で60秒間、75℃で10分間、及び120℃で10分間の乾燥をこの順に行い、陶器板上に形成されたラテックス被膜の水分を蒸発させるとともに架橋を促進した。
このようにして形成したラテックス被膜を陶器板から取り外し、凹凸部分でのクラックの有無を以下の基準で観察した。結果を表1に示す。
(クラックの評価基準)
A:クラックが観察されない
B:凹凸部分でクラックが観察される
C:被膜全体でクラックが観察される
[柔軟性、引き裂き強度、耐薬品性及び耐溶剤性の評価]
当該手袋の柔軟性、引き裂き強度、耐薬品性及び耐溶剤性を評価する目的で、上記ラッテクス原料を用いて棒状の素焼きの陶器表面に手袋本体に相当するラテックス被膜を作製し、評価した。
直径6cm、高さ20cmの棒状の素焼きの陶器を準備した。75℃に温めた棒状の陶器を、凝固剤として用意した28質量%の硝酸カルシウムメタノール液に浸漬し、引き上げた後、75℃で3分間の乾燥を行った。この凝固剤がコーティングされた陶器を上記ラテックス原料に30秒間浸漬した後、室温(25℃)で60秒間、60℃で30分間、及び120℃で30分間の乾燥をこの順に行い、陶器上に形成されたラテックス被膜の水分を蒸発させるとともに架橋を促進した。
このようにして形成したラテックス被膜を陶器から取り外し、側面部分から試験片を切り出し、以下の評価を行った。
(柔軟性)
3cm×10cmの大きさに切り出した試験片を手で引っ張り、柔軟性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
(柔軟性の評価基準)
A:手袋として必要な柔軟性が確保されている
B:やや硬いものの手袋として使用可能である
C:伸びが不足し、手袋として使用できない
(引き裂き強度)
試験片は、JIS−K−6252−1:2015に記載の、切込みなしアングル型試験片用打ち抜き型を用いて準備した。打ち抜いた試験片をチャック間60mmの試験機(島津製作所製の「AGS−J」)に取り付け、500mm/minの速度で、試験片が破断するまで引っ張った。測定は4回行い、各測定の最大値を算術平均した値を引き裂き強度とした。結果を表1に示す。
(耐薬品性及び耐溶剤性)
平面視で1辺が5cmの正方形状の試験片を2枚切り出した。そのうちの1枚は、耐薬品性の評価として、23℃の10質量%水酸化ナトリウム水溶液に6時間浸漬した。また、他の1枚は、耐溶剤性の評価として、23℃の白灯油(JIS−K−2203の1号灯油)に1時間浸漬した。浸漬前後の試験片の平面視での面積を測定し、膨潤率として、浸漬前の面積に対する浸漬後の面積増分の割合[%]を算出した。膨潤率が低いほど耐性に優れることが分かる。結果を表1に示す。
<実施例2〜7、比較例1〜6>
表1に示す固形分となるようにラテックス原料を準備した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜7及び比較例1〜6の評価を行った。また、実施例7及び比較例6では、ラテックス原料に硫黄(細井化学工業社製の「硫黄」)及び加硫促進剤(三新化学工業社製の「サンセラーBZ」)も、表1に示す固形分となるように加えた。評価結果を表1に示す。
<実施例8〜10、比較例7、8>
ポリカルボジイミドとして、日清紡ケミカル社製の「CARBODILITE E−02」(カルボジイミド当量445)を用い、表1に示す固形分となるようにラテックス原料を準備した以外は実施例1と同様にして実施例8〜10、比較例7、8の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例11、比較例9>
NBRラテックスとして日本ゼオン社製の「Nipol LX550」を用い、表1に示す固形分となるようにラテックス原料を準備した以外は実施例1と同様にして実施例11及び比較例9の評価を行った。なお、実施例11では、実施例7と同様に硫黄及び加硫促進剤も加えた。評価結果を表1に示す。
Figure 0006446115
表1で、固形分比率の「−」は、該当する成分を含まないことを意味する。カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比の「−」は、使用したポリカルボジイミドのカルボジイミド当量が未測定であるため、モル比を算出していないことを意味する。
表1から製品名が同じNBR及びポリカルボジイミドを用いた実施例及び比較例同士で比較した場合、実施例1〜11は、比較例1〜9に比べ、クラックが低減され、かつ引き裂き強度が高いことが分かる。これに対し、比較例1〜3及び比較例9では、加熱後の吸液倍率、すなわち手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が大き過ぎるため、クラックの発生が多いと考えられる。比較例4は、酸化亜鉛のニトリルブタジエンゴムに対する質量比が小さ過ぎるため、引き裂き強度が低い。逆に、比較例5は、酸化亜鉛のニトリルブタジエンゴムに対する質量比が大き過ぎるため、柔軟性が不足したと考えられ、手袋として使用できない。また、比較例6及び比較例7は、ポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比が小さ過ぎるため、クラック発生の低減効果が得られなかったと考えられる。逆に、比較例8は、ポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比が大き過ぎるため、柔軟性が不足し、手袋として使用できない。
また、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合の有無のみが異なる実施例1〜6及び比較例1〜3を比較すると、実施例1〜6の10%水酸化ナトリウム水溶液に対する膨潤率は、比較例1〜3の10%水酸化ナトリウム水溶液に対する膨潤率よりも低い。実施例1〜6には、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛が共に配合され、比較例1〜3には、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の少なくともいずれか一方が配合されていない。このことから、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を共に配合することで初めて10%水酸化ナトリウム水溶液に対する膨潤率を下げられる、つまり耐薬品性を向上できることが分かる。
さらに、実施例1〜3と酸化亜鉛の配合量のみが実施例1〜3よりも低い比較例2及び比較例4とを比較すると、実施例1〜3の白灯油に対する膨潤率は、比較例2及び比較例4の白灯油に対する膨潤率より低い。また、実施例1、4、5と、ポリカルボジイミドの配合量のみが実施例1、4、5よりも低い比較例1とを比較すると、実施例1、4、5の白灯油に対する膨潤率は、比較例1の白灯油に対する膨潤率より低い。また、実施例1〜5の白灯油に対する膨潤率は、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合を共に含まない比較例3の白灯油に対する膨潤率よりも低い。このことから、白灯油においてもポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を共に配合することで耐薬品性を向上できることが分かる。
以上から、手袋本体がニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、ポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比を0.003以上0.1以下、酸化亜鉛のニトリルブタジエンゴムに対する質量比を0.005以上0.05以下、手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が25倍以下とすることで、クラックが少なく、かつ引き裂き強度が高い手袋が得られるといえる。
さらに詳細に見ると、同じ種類のニトリルブタジエンゴム、ポリカルボジイミド、及び酸化亜鉛をラテックス原料に用いている実施例8〜10を比較すると、ポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.06を超える実施例9で柔軟性の低下が見られる。このことから、ポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比を0.06以下とすると、さらによいことが分かる。
以上のように、本発明の手袋、及び本発明の手袋の製造方法により製造される手袋は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体のクラックが少なく、かつ引き裂き強度が高い。従って、本発明の手袋は、外観に優れると共に、手袋本体に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性及び耐薬品性に優れる。

Claims (3)

  1. 着用者の手を覆い、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体を備える手袋であって、
    上記ニトリルブタジエンゴムがカルボキシル基を有し、
    上記手袋本体が、上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、
    上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.005以上0.1以下であり、
    上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.010以上0.05以下であり、
    上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド基に対する上記酸化亜鉛のモル比が5以上50以下であり、
    上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が8.9以上22.8倍以下であり、
    上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する不溶分率が67.2質量%以上89.2質量%以下である手袋。
  2. 着用者の手を覆い、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする手袋本体を備える手袋の製造方法であって、
    手型を凝固剤溶液へ浸漬する第1浸漬工程と、
    上記第1浸漬工程後の手型をラテックス原料へ浸漬する第2浸漬工程と、
    上記第2浸漬工程後の手型を乾燥させる乾燥工程と
    を備え、
    上記ラテックス原料が、ニトリルブタジエンゴムラテックス、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含有し、
    上記ニトリルブタジエンゴムがカルボキシル基を有し、
    上記手袋本体の上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.005以上0.1以下、及び上記酸化亜鉛の上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.010以上0.05以下、上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド基に対する上記酸化亜鉛のモル比が5以上50以下となるように上記ラテックス原料のポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の含有量が調整され、
    上記乾燥工程で、上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する吸液倍率が8.9以上22.8倍以下となり、かつ上記手袋本体のメチルエチルケトンに対する不溶分率が67.2質量%以上89.2質量%以下となるように乾燥温度及び乾燥時間のプロファイルを制御する手袋の製造方法。
  3. 上記プロファイルが、乾燥温度100℃以上150℃以下、乾燥時間10分以上90分以下の乾燥条件を含む請求項に記載の手袋の製造方法。
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