JP6291100B1 - 手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする被覆層のクラックを低減した手袋の提供を目的とする。【解決手段】本発明の手袋は、着用者の手を覆う繊維製の手袋本体と、この手袋本体の掌領域の外面の少なくとも一部を被覆し、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする被覆層とを備える手袋であって、上記被覆層が、上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.002以上である。上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比としては、0.09以下が好ましい。上記ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記酸化亜鉛の含有量としては、0.3質量部以上5質量部以下が好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、手袋に関する。
滑り止めを向上させた手袋として、着用者の手を覆う繊維製の手袋本体と、この手袋本体の掌領域の外面を被覆する被覆層とを備えた手袋が知られている。中でも油作業等に好適に用いることができる手袋として、被覆層の主成分をニトリルブタジエンゴムとする手袋が提案されている(特開2015−129362号公報参照)。
この手袋は、例えば以下の手順で被覆層を形成することで製造される。まず、凝固剤へ手袋本体を浸漬した後、ニトリルブタジエンゴムラテックスを配合した原料中に上記手袋本体を浸漬する。次に、この浸漬により手袋本体の外面に形成された被膜を乾燥させ、手袋本体の外面に被覆層を形成する。
上記ラテックス原料は、原料の50質量%以上が水であるため、浸漬直後の未乾燥の被膜は水分を多く含む。このため、この被膜が乾燥する過程で被膜の収縮が発生し易く、製造される手袋の被覆層にクラックが発生し易い。このクラックは外観を悪化させる他、クラックを起点として被覆層に亀裂が発生し易くなり、手袋の耐久性や、亀裂からの浸透により耐油性、耐薬品性を低下させる。
特開2015−129362号公報
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする被覆層のクラックを低減した手袋の提供を目的とする。
本発明者らは、ニトリルブタジエンゴムラテックス原料中にポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を同時に配合して形成した被覆層においてクラックが劇的に減少することを見出し、本発明を完成させた。クラックが減少する詳細なメカニズムは明らかではないが、酸化亜鉛の持つ極性によりニトリルブタジエンゴム中の極性基とポリカルボジイミドのカルボジイミド基の位置が固定化されると共に、これらが近接することで極性基とポリカルボジイミドのカルボジイミド基とが反応し易くなり、架橋が促進されたことによると考えられる。つまり、この架橋の促進効果により被覆層が形成される際に被膜の収縮に耐えてクラックが防止されたものと考えられる。
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、着用者の手を覆う繊維製の手袋本体と、この手袋本体の掌領域の外面の少なくとも一部を被覆し、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする被覆層とを備える手袋であって、上記被覆層が、上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.002以上である。
当該手袋は、被覆層が酸化亜鉛及びニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体を含み、かつポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比を上記下限以上とする。このため、当該手袋はニトリルブタジエンゴム及びポリカルボジイミドの架橋により被覆層のクラックが発生し難い。従って、当該手袋は、外観に優れると共に、被覆層に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性、及び耐薬品性に優れる。
上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比としては、0.09以下が好ましい。上記ポリカルボジイミドの質量比を上記上限以下とすることで、手袋の柔軟性が向上する。
上記ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記酸化亜鉛の含有量としては、0.3質量部以上5質量部以下が好ましい。上記酸化亜鉛の含有量を上記範囲内とすることで、手袋の柔軟性を確保しつつ、被覆層の強度を向上できる。
上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体がカルボキシル基、カルボジイミド基、及びカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基を有するとよい。カルボキシル基とカルボジイミド基とは酸化亜鉛により位置が固定化され易く、カルボキシル基とカルボジイミド基とが互いに近接し易くなる。このため、当該手袋の製造時にカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基が生成し易く、架橋が促進され易い。従って、クラックの発生をさらに抑制できる。
上記カルボキシル基及び上記反応生成基の合計に対する上記カルボジイミド基及び上記反応生成基の合計のモル比としては、0.008以上1以下が好ましい。上記モル比を上記範囲内とすることで、手袋の柔軟性を確保しつつ、クラックの発生をさらに抑制できる上に、引張強度を向上できる。
ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
以上説明したように、本発明の手袋は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする被覆層のクラックを低減できる。従って、本発明の手袋は、外観に優れると共に、被覆層に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性、及び耐薬品性に優れる。
本発明の一実施形態の手袋を掌側から見た模式図である。 図1の手袋の部分的断面図である。 実施例における引張強度の測定結果を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
図1の手袋は、着用者の手を覆う繊維製の手袋本体1と、この手袋本体1の掌領域の外面を被覆する被覆層2とを備える。
<手袋本体>
手袋本体1は、繊維を手袋状に編成したものである。この手袋本体1は、着用者の手本体を覆うよう袋状に形成された本体部と、着用者の指を覆うよう上記本体部から延設された延設部と、着用者の手首を覆うよう上記本体部から上記延設部とは反対方向に延設された筒状の裾部とを有する。上記延設部は、着用者の第一指(親指)、第二指(人差指)、第三指(中指)、第四指(薬指)及び第五指(小指)をそれぞれ覆う第一指部、第二指部、第三指部、第四指部及び第五指部を有している。この第一指部から第五指部は、指先部が閉塞された筒状に形成されている。また、上記裾部は、着用者が手を挿入可能な開口部を有している。
上記手袋本体1を構成する繊維としては、特に限定されず、天然繊維、合成繊維、無機繊維等を用いることができる。上記天然繊維としては、綿、絹、ウール、麻等が挙げられる。上記合成繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、超強力ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維等を挙げることができる。また、上記無機繊維としては、ステンレス繊維、タングステン繊維、ガラス繊維等を挙げることができる。
上記手袋本体1は、上記繊維からなる糸を用いて形成されている。これらの糸としては、紡績糸、フィラメント糸、捲縮加工等を施した加工糸等を挙げることができる。また、これらの糸に用いる繊維は、1種類としてもよいし、2種以上を混合してもよい。例えば2種の繊維を混合して用いる糸としては、綿とポリスエテル短繊維を混紡した紡績糸や、ステンレス繊維をナイロン等でカバーリングした複合糸を挙げることができる。
また、上記手袋本体1は、上記繊維を用いる織布、編布又は不織布を手袋の形に切り抜き、縫製して形成してもよいが、シームレス編機でシームレス状に編成し形成したものが好ましい。上記手袋本体1にシームレス編機で編成し形成したものを用いることで、当該手袋は製造コスト、柔軟性、及び着用感に優れる。シームレス編機で上記手袋本体1を編成する場合、上記手袋本体1の編みゲージ数としては、10ゲージ以上26ゲージ以下が望ましい。
上記手袋本体1の平均厚みの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、上記手袋本体1の平均厚みの上限としては、1.3mmが好ましく、1.0mmがより好ましい。上記手袋本体1の平均厚みが上記下限未満であると、手袋自体の強度に欠け、耐久性が低下するおそれがある。逆に、上記手袋本体1の平均厚みが上記上限を超えると、当該手袋の厚みが大きくなることで柔軟性が低下して、着用時における作業性が低下するおそれがある。なお、平均厚みは、JIS−L1086/L1096準拠の定圧厚さ測定器(例えば株式会社テクロックの「PG−15」)を用いて、任意の5箇所を測定して得た値の平均値である。
なお、上記手袋本体1には、例えば柔軟剤、撥水撥油剤、抗菌剤等を用いて各種処理が行われてもよく、また、紫外線吸収剤等を塗布又は含浸等させて、紫外線防止機能が付与されていてもよい。また、上記手袋本体1に使用する繊維そのものにこのような機能を示す薬剤が練り込まれていてもよい。
<被覆層>
被覆層2は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする。また、被覆層2は、ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含む。
上記被覆層2は、図2に示すように手袋本体1に含浸していることが好ましい。一方、上記被覆層2は、手袋本体1の内面まで浸透していないことが好ましい。被覆層2を手袋本体1に含浸させ、かつ手袋本体1の内面まで浸透させないことで、手袋の内面の触感の低下を抑止しつつ、被覆層2の剥離を抑止できる。
(ニトリルブタジエンゴム)
ニトリルブタジエンゴムは、アクリロニトリル及びブタジエンを単量体として共重合して形成される。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対するアクリロニトリルの配合量の下限としては、20質量部が好ましく、25質量部がより好ましい。一方、上記アクリロニトリル配合量の上限としては、40質量部が好ましく、35質量部がより好ましく、30質量部がさらに好ましい。上記アクリロニトリルの配合量が上記下限未満であると、手袋の耐油性や耐久性が低下するおそれがある。逆に、上記アクリロニトリルの配合量が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対するブタジエンの配合量の下限としては、55質量部が好ましく、57質量部がより好ましく、62質量部がさらに好ましい。一方、上記ブタジエンの配合量の上限としては、78質量部が好ましく、72質量部がより好ましく、70質量部がさらに好ましい。上記ブタジエンの配合量が上記下限未満であると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、上記ブタジエンの配合量が上記上限を超えると、手袋の耐油性や耐久性が低下するおそれがある。
上記ニトリルブタジエンゴムは、当該手袋の強度や柔軟性が確保できる範囲で、既知の単量体を共重合してもよい。このような単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、酸無水物基、アミド基等の極性基を有する単量体挙げることができる。上記カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体などが挙げられる。上記スルホン酸をもつ単量体としては、スチレンスルホン酸等のエチレン性不飽和酸単量体などが挙げられる。上記酸無水物基をもつ単量体としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和酸単量体などが挙げられる。上記アミド基をもつ単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などが挙げられる。共重合後、これらの極性基は被覆層2の原料となるラテックスの安定性を高めることができる。具体的には、これらの一部は、ラテックス原料中でカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等の一価の陽イオンと対をなし、ニトリルブタジエンゴムラテックス粒子を水溶媒中で安定化させる。また、上記極性基(イオン化物含む)の一部又は全部は、被覆層2が含むポリカルボジイミドや酸化亜鉛と反応し、カルボジイミド基との共有結合や亜鉛イオンとの金属結合を形成する。これにより被覆層2の架橋が促進できる。中でも安定性や物性の面からメタクリル酸やアクリル酸を単量体として用いることが好ましい。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対するメタクリル酸又はアクリル酸の配合量の下限としては、2質量部が好ましく、3質量部がより好ましい。一方、上記メタクリル酸又はアクリル酸の配合量の上限としては、10質量部が好ましく、8質量部がより好ましい。上記メタクリル酸又はアクリル酸の配合量が上記下限未満であると、ラテックス原料の安定性向上効果が不足するおそれや、被覆層2の架橋促進効果が不足するおそれがある。逆に、上記メタクリル酸又はアクリル酸の配合量が上記上限を超えると、被覆層2が乾燥時に収縮し易くなり、クラックが発生し易くなるおそれや、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
また、上記ニトリルブタジエンゴムは、一般にニトリルブタジエンゴムに配合される乳化剤、pH調整剤、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、増粘剤、感熱剤、酸化防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含んでもよい。これらの中でも被覆層2の成膜性、強度及び耐溶剤性を向上させる観点から、加硫剤又は加硫促進剤を含むとよい。
上記加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの中でもコロイド硫黄が好ましい。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記加硫剤の配合量としては、0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましい。上記加硫剤の配合量が上記下限未満であると、強度向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記加硫剤の配合量が上記上限を超えると、手袋がごわごわとした触感となるおそれがある。
上記加硫促進剤としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸系の加硫促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛等のチアゾール系の加硫促進剤、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系の各加硫促進剤などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの中でもジチオカルバミン酸系のものが好ましい。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記加硫促進剤の配合量としては、0.5質量部以上5.0質量部以下が好ましい。上記加硫促進剤の配合量が上記下限未満であると、加硫の促進効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記加硫促進剤の配合量が上記上限を超えると、手袋が硬い触感となるおそれや、初期加硫が進み、スコーチ現象を起こすおそれがある。
(ポリカルボジイミド)
ポリカルボジイミドとは、1分子中に複数のカルボジイミド基を有する化合物である。このようなポリカルボジイミドとしては、有機ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応によって合成された多量体を用いることができる。上記有機ジイソシアネート化合物としては、例えば芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシアネート化合物及びこれらの混合物が挙げられる。具体的には、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネートとトルエン−2,6−ジイソシアネートとの混合物、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシル−メタン−4,4′−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,6−ヘキシルジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルニルジイソシアネート等が挙げられる。中でも、ジシクロヘキシル−メタン−4,4′−ジイソシアネート及び3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートが好ましい。
上記ポリカルボジイミドとして具体的には、日清紡ケミカル株式会社製のV−02(590)、V−02−L2(385)、SV−02(430)、V−04(335)、V−10(410)、SW−12G(465)、E−02(445)、E−03A(365)、E−05(310)等が挙げられる。なお、( )内の数値はカルボジイミド当量を意味する。また、スタール・ジャパン株式会社製のXR−5508、XR−5577、XR−5580、XR−13−554等を使用することもできる。中でも、水溶媒系であり、配合原料のポットライフ性能に優れるE−02、E−03A、E−05、及びXR−5508が好ましい。
カルボジイミド基は、ニトリルブタジエンゴム中の極性基と反応し、架橋体を形成する。このため、被覆層2の形成において乾燥後の成膜性が向上し、クラックが低減できる。また、後述するように被覆層2はニトリルブタジエンゴム、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含むラテックス原料に手袋本体1を浸漬することで形成されるが、この浸漬直後の乾燥前の被膜中であっても架橋反応が生じ、酸化亜鉛の成膜向上効果を高めていると考えられる。
上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド当量の下限としては、200が好ましく、250がより好ましい。一方、上記カルボジイミド当量の上限としては、1000が好ましく、650がより好ましい。上記カルボジイミド当量が上記下限未満であると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。逆に、上記カルボジイミド当量が上記上限を超えると、カルボジイミド基による架橋促進効果が不十分となるおそれがある。ここで、カルボジイミド当量とは、カルボジイミド基1モルを与えるために必要なカルボジイミド化合物の質量[g]を表し、カルボジイミド化合物の分子量を、そのカルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の数で除して得られる数値である。
上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比の下限としては、0.002であり、0.004がより好ましい。一方、上記ポリカルボジイミドの質量比の上限としては、0.09が好ましく、0.06がより好ましい。上記ポリカルボジイミドの質量比が上記下限未満であると、被覆層2のクラック低減効果が不十分となるおそれや、被覆層2の引張強度が低下するおそれがある。逆に、上記ポリカルボジイミドの質量比が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体がカルボキシル基、カルボジイミド基、及びカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基を有するとよい。カルボキシル基は酸化亜鉛により位置が固定化され易く、互いに近接し易くなる。このため、当該手袋の製造時にカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基が生成し易く、架橋が促進され易い。従って、クラックの発生をさらに抑制できる。
上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体がカルボキシル基及びカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基を有する場合、上記カルボキシル基及び上記反応生成基の合計に対する上記カルボジイミド基及び上記反応生成基の合計のモル比の下限としては、0.008が好ましく、0.01がより好ましく、0.015がさらに好ましく、0.02が特に好ましい。一方、上記モル比の上限としては、1が好ましく、0.5がより好ましく、0.3がさらに好ましい。上記モル比が上記下限未満であると、被覆層2のクラック低減効果が不十分となるおそれや、被覆層2の引張強度が低下するおそれがある。逆に、上記モル比が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれがある。
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛は、ニトリルブタジエンゴムの極性基と相互作用し、ラテックス原料に浸漬後の被覆層2の成膜性を向上させる。しかし、酸化亜鉛単体での成膜性向上効果は比較的低く、浸漬後に乾燥させて被覆層2を形成する際、水分の蒸発により体積が減少することにより発生する被覆層2の収縮による張力に耐えきれず、被覆層2にクラックが発生する場合がある。これに対し、当該手袋では、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を含有させることで成膜向上効果を高めているので、被覆層2にクラックが発生し難い。
ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記酸化亜鉛の含有量の下限としては、0.3質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。一方、上記酸化亜鉛の含有量の上限としては、5質量部が好ましく、4質量部がより好ましく、3.5質量部がさらに好ましい。上記酸化亜鉛の含有量が上記下限未満であると、被覆層2の強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記酸化亜鉛の含有量が上記上限を超えると、手袋の柔軟性が低下するおそれや、過剰な酸化亜鉛により被覆層2の強度が低下したり、ラテックス原料の不安定化を招いたりするおそれがある。
ニトリルブタジエンゴムがカルボキシル基を有する場合、カルボキシル基に対する酸化亜鉛のモル比の下限としては、0.1が好ましく、0.2がより好ましい。一方、カルボキシル基に対する酸化亜鉛のモル比の上限は、特に限定されないが、1が好ましく、0.5がより好ましい。上記酸化亜鉛のモル比が上記下限未満であると、被覆層2のクラック低減効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記酸化亜鉛のモル比が上記上限を超えると、過剰な酸化亜鉛により被覆層2が劣化するおそれがある。
カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比の下限としては、1が好ましく、5がより好ましい。一方、カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比の上限としては、50が好ましく、40がより好ましく、35がさらに好ましい。上記カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比が上記下限未満であると、酸化亜鉛の量が相対的に少なくなるため、被覆層2のクラック低減効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記カルボジイミド基に対する酸化亜鉛のモル比が上記上限を超えると、カルボジイミド基の量が相対的に少なくなるため、被覆層2のクラック低減効果が不十分となるおそれがある。
<手袋の製造方法>
当該手袋は、手袋本体1の外面に浸漬加工により被覆層2を形成することで製造できる。具体的には、当該手袋は、例えば凝固剤溶液への浸漬工程と、ラテックス原料への浸漬工程と、乾燥工程とを備える手袋の製造方法により製造することができる。以下に各工程について説明する。
(凝固剤溶液への浸漬工程)
凝固剤溶液への浸漬工程では、用意された手袋本体1を手袋成形用手型に被せ、この手型を凝固剤溶液に浸漬し、引き上げた後、溶媒を揮発させる。
上記凝固剤溶液としては、公知のもの、例えば多価金属塩や有機酸を含むメタノール溶液や水溶液等を用いることができる。中でも多価金属塩を含むことが好ましい。上記凝固剤溶液に多価金属塩を含ませることで、ラテックス原料の手袋本体1への過剰な浸透を抑止し易い。
上記多価金属塩としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛、酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいが、2種以上を組合せて使用することもできる。
上記凝固剤溶液における上記多価金属塩の含有量の下限としては、0.3質量%が好ましく、0.8質量%がより好ましい。一方、上記多価金属塩の含有量の上限としては、被覆層2の手袋本体1からの剥離を抑止できれば特に限定されないが、5質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。上記多価金属塩の含有量が上記下限未満であると、後述するラテックス原料への浸漬工程において、ニトリルブタジエンゴムが手袋本体1の内面に浸透することが十分に抑止できず、手袋の内面の触感が低下するおそれがある。逆に、上記多価金属塩の含有量が上記上限を超えると、ラテックス原料への浸漬後に形成される被膜の急激な凝集により、被覆層2にクラックが発生し易くなるおそれや、ラテックス原料の手袋本体1への浸透が不十分となるため被覆層2が手袋本体1から剥離し易くなるおそれがある。
また、上記有機酸としては、酢酸、クエン酸等を挙げることができる。上記凝固剤溶液における上記有機酸の含有量としては、5質量%以上35質量%以下が好ましい。この有機酸は、単独で使用することもできるが、多価金属塩と混合して使用することが好ましい。多価金属塩と混合して使用することで、被覆層2の厚みが薄くなることを抑止できる。また、それぞれを単独で用いる場合よりも凝固剤溶液の成膜能力の制御が容易となる。
上記手型を凝固剤溶液に浸漬させる際の手型の温度としては、手袋本体1への凝固剤の浸透の観点から40℃以上70℃以下が好ましい。
凝固剤溶液への浸漬及び引き上げ後に溶媒を揮発させる温度としては、25℃以上70℃以下が好ましく、溶媒を揮発させる時間としては、10秒以上600秒以下が好ましい。この溶媒の揮発により、次工程におけるラテックス原料の浸透を制御することができるので、被覆層2が手袋本体1の内部まで浸透して手袋内面の触感を低下させることを抑止しつつ、形成された被覆層2が剥離することを防止できる。このラテックス原料の浸透の制御の観点から、溶媒がメタノールである場合は、10秒以上60秒以下がさらに好ましく、溶媒が水である場合は、30秒以上600秒以下がさらに好ましい。
(ラテックス原料への浸漬工程)
ラテックス原料への浸漬工程では、上記凝固剤溶液への浸漬工程後の手袋本体1に覆われた手型をラテックス原料へ浸漬し、引き上げる。
上記ラテックス原料は、ニトリルブタジエンゴムラテックスにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛が配合されたものである。ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛の配合量は、被覆層形成後のニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛の含有量が所望の値となるように調製される。また、必要に応じて加硫剤、加硫促進剤、界面活性剤等の添加剤を加えてもよい。
(乾燥工程)
乾燥工程では、ラテックス原料への浸漬工程後の手袋本体1に覆われた手型を乾燥させる。具体的には、ラテックス原料への浸漬により形成された被膜の水分を蒸発させた後、架橋反応を促進させ、被覆層2を形成する。この乾燥工程は、例えば公知のオーブンを用いて行うことができる。
この乾燥工程は、手型のラテックス原料への浸漬後すぐに高温環境として行ってもよいが、手型を室温(20℃以上40℃以下)で一定時間保持させた後、高温環境下で行うことが好ましい。このように室温で手型を保持する時間を設けることで、クラック発生の防止効果が高められることを本発明者らは知得している。
上記室温での保持時間は、20秒以上200秒以下が好ましい。上記室温での保持時間が上記下限未満であると、乾燥ムラが生じやすく、被覆層2にクラックが発生し易くなるおそれがある。逆に上記室温での保持時間が上記上限を超えると、製造効率が低下するおそれや、未乾燥の被膜が垂れてくるおそれがある。
高温環境下での水分を蒸発させる温度としては、50℃以上100℃以下が好ましい。上記温度が上記下限未満であると、未乾燥の被膜が垂れてくるおそれがあり、被覆層2が不均一となるおそれがある。逆に、上記温度が上記上限を超えると、急速な乾燥により乾燥ムラが生じ易く部分的に強い張力が被膜にかかり易くなる。このため、被膜が収縮し易くなり、被覆層2にクラックが発生し易くなる。また、昇温後の水分を蒸発させる時間としては、製造効率の観点から10分以上30分以下が好ましい。
架橋反応を促進させる際の温度としては、100℃以上150℃以下が好ましい。架橋反応を促進させる際の温度が上記下限未満であると、架橋反応が十分に促進されないおそれがある。逆に、架橋反応を促進させる際の温度が上記上限を超えると、架橋反応にムラが発生するおそれや、手袋本体1や被覆層2の熱による劣化が生じるおそれがある。
水分の蒸発及び架橋反応の促進を行った後、被覆層2が形成された手袋本体1は、手型から外され、当該手袋が得られる。
この手袋の製造方法では、ラテックス原料中にポリカルボジイミドと酸化亜鉛とが共に配合されているので、凝固剤浸漬後の手型のラテックス原料への浸漬時や水分の蒸発時に、適度な架橋が形成され易く、得られる手袋にクラックが発生し難い。
また、被膜から凝固剤や界面活性剤等がブルーム又はブリードする場合があるが、この場合は水分の蒸発後に手型を水槽に浸漬する方法や、手型から外された当該手袋を洗濯する方法等により除去することができる。この凝固剤や界面活性剤等の除去は、乾燥工程の水分蒸発後、又は架橋反応後に行うことができる。
<利点>
当該手袋は、被覆層2が酸化亜鉛及びニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体を含み、上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比を0.002以上とするので、ニトリルブタジエンゴム及びポリカルボジイミドの架橋により当該手袋は被覆層2のクラックが発生し難い。従って、当該手袋は、外観に優れると共に、被覆層2に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性、及び耐薬品性に優れる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
上記実施形態では、被覆層が手袋本体の掌領域を被覆するが、手袋本体の手の甲側の領域も被覆してよい。手の甲側の領域にも被覆層を形成することにより、手袋の手の甲側の領域の保護機能を向上させることができる。
また、被覆層の被覆範囲は、手袋本体の掌領域全体であることを必須の構成要件とせず、掌領域の一部であってもよい。
上記被覆層には凹凸が形成されていてもよい。このように凹凸を形成することで当該手袋の滑止効果が高まる。上記凹凸を構成する凸部形状としては、例えば略六角形状の凸部を同一方向に等間隔で複数配置する構成(ハニカム状)などを挙げることができる。
また、上記被覆層は発泡層であってもよい。このように上記被覆層を発泡層とすることで、当該手袋の滑止効果や通気性が高められる。上記発泡層を形成する方法としては、機械的に泡立てられたラテックス原料を被覆する方法や化学発泡剤を含有するラテックス原料を加熱して発泡させる方法等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
13ゲージ手袋編機(株式会社島精機製作所製「N−SFG」)を用いて、280dのウーリーナイロン(70dの双糸を2本)を使用してシームレス編み手袋本体を作成した。また、表1に示す硝酸カルシウム濃度となる凝固剤溶液、及び表1に示す固形分となるようにポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製の「CARBODILITE E−02」、カルボジイミド当量445)及び酸化亜鉛(正同化学工業社製の「酸化亜鉛2種」)を配合したニトリルブタジエンゴム(NBR)ラテックス(日本ゼオン社製の「Nipol LX550L」)を主成分とするラテックス原料を準備した。なお、ラテックス原料中の固形分が36%となるようにイオン交換水で希釈して調整した。
作成した手袋本体を温度55℃の手型に被せ、その手型を上記凝固剤溶液に浸漬し、引き上げた後に溶媒の一部を揮発させた。次に、この手型を上記ラテックス原料に浸漬し、引き上げた。その後、この手袋を70℃、30分間の水分の蒸発を行った後、120℃、30分間の架橋促進を行い、実施例1の手袋を得た。
[実施例2〜11、比較例1、2]
表1に示す硝酸カルシウム濃度となる凝固剤溶液、及び表1に示す固形分となるようにポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合したラテックス原料を用いた以外は、実施例1の手袋と同様にして実施例2〜11及び比較例1、2の手袋を得た。なお、ラテックス原料中の固形分は実施例1と同じ36%となるようにイオン交換水で希釈して調整した。
(目視評価)
準備したラテックス原料の安定性と、水分の蒸発後及び架橋促進後の手袋の被膜状態と、手袋の柔軟性、被覆層の手袋本体への浸透及び剥離とを目視にて評価した。各々の評価基準を以下に示す。また、評価結果を表1に示す。
[原料安定性の評価基準]
A:35℃で1週間保管後、液面が波打たない程度に撹拌しても凝集物は発生しない
B:20℃で1週間、静置で保管しても凝集物は発生しないが、35℃で1週間保管後、液面が波打たない程度に撹拌すると微細な凝集物が発生する
C:20℃で1週間、静置で保管後、凝集物が発生している
D:ラテックス原料の配合時に凝集物が発生する
[水分蒸発後の被覆状態の評価基準]
A:クラックがほとんど発生していない
B:クラックがわずかに発生しているものの、実質的にないに等しい
C:クラックが発生しているが、実用上支障がない
D:クラックが非常に多く発生しており、実用上支障がある
なお、この評価基準は、水分蒸発前の状態と比較したクラックの増加数による。
[架橋促進後の被覆状態の評価基準]
A:クラックがほとんど増加していない
B:クラックがわずかに増加しているものの、実質的に増加していないに等しい
C:クラックが増加している
D:クラックが非常に増加しており、実用上支障がある
なお、この評価基準は、水分蒸発後の状態と比較したクラックの増加数による。
[柔軟性の評価基準]
A:柔軟性に優れる
B:柔軟性に比較的優れ、実用上問題はない
C:柔軟性にやや劣り、実用上支障がある
D:柔軟性に劣る
[浸透の評価基準]
A:被覆層が手袋の本体内面まで浸透していない
D:被覆層が手袋の本体内面まで浸透している
[剥離の評価基準]
A:被覆層に剥離がほとんど見られない
B:被覆層を強く引っ張ると部分的にわずかな剥離がみられるものの、剥離の範囲は広がらず、実用上問題はない
C:被覆層を強く引っ張ると部分的な剥離がみられ、剥離は少し広がるが、実用上の問題はない。
D:被覆層を引っ張る前から被覆層に大きな剥離が見られ、実用上の支障がある
Figure 0006291100
表1の結果から、被覆層がニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、ポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.002以上である実施例1〜12の手袋は、水分蒸発後及び架橋促進後いずれにおいてもクラックが少ない。これに対し、酸化亜鉛を含まない比較例1の手袋は、水分蒸発時にクラックが発生し、ポリカルボジイミドの質量比が0.002未満である比較例2の手袋は、架橋促進時にクラックが発生している。このことから、被覆層にニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含ませ、ポリカルボジイミドのニトリルブタジエンゴムに対する質量比を0.002以上とすることで、クラックを低減できることが分かる。
また、ポリカルボジイミドの質量比の異なる実施例1〜6を比較すると、ポリカルボジイミドの質量比が0.09を超える実施例6において、手袋の柔軟性が低い。このことから、ポリカルボジイミドの質量比を0.09以下とすることで、手袋の柔軟性が確保できることが分かる。
また、酸化亜鉛の含有量の異なる実施例3及び実施例9〜12を比較すると、実用上支障はないものの、酸化亜鉛の含有量が0.3質量部の実施例9でクラックが認められ、酸化亜鉛の含有量が5質量部である実施例12でラテックス原料の安定性及び手袋の柔軟性の低下が認められる。このことから、酸化亜鉛の含有量を0.3質量部以上5質量部以下とすることでラテックス原料の安定性及び手袋の柔軟性を確保しつつ、クラックを低減できることが分かる。
さらに、多価金属塩である硝酸カルシウムの含有量が異なる実施例3、7、8を比較すると、硝酸カルシウムの含有量が0.3質量%未満である実施例7の手袋では、手袋の本体内面までの被覆層の浸透が抑止できていない。また、硝酸カルシウムの含有量が5質量%超である実施例8の手袋では、被覆層が手袋本体から剥離し易い。このことから、多価金属塩である硝酸カルシウムの含有量を0.3質量%以上5質量%以下とすることで、被覆層の剥離を抑止しつつ、被覆層が手袋本体内面にまで浸透することを防止できることが分かる。
<被覆層のクラック評価>
被覆層が、ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含むことでクラックが防止でき、強度が向上することを確認するため、棒状の素焼きの陶器表面に被覆層と同一成分のフィルムを作成し、被覆層単体の強度評価を行った。
[No.1]
棒状の素焼きの陶器を3つ用意した。この3つの陶器を30質量%の硝酸カルシウムを含むメタノール溶液からなる凝固剤溶液に浸漬し、引き上げた後に60℃、1分間、陶器を加温して溶媒を揮発させた。次に、この3つの陶器をそれぞれ表2に示すニトリルブタジエンゴム(NBR)ラテックスを主成分とするラテックス原料に浸漬し、引き上げた後に、3つの陶器それぞれについて水分を40℃、40分間蒸発させ、40℃、80℃、120℃の温度で40分間、架橋反応の促進を行った。このようにして架橋反応温度の異なる3つのフィルムNo.1を得た。なお、表2のラテックス原料において固形分以外は水(64質量%)である。
[No.2〜4]
表2に示すラテックス原料を用いた以外は、No.1と同様にしてNo.2〜4のフィルムをそれぞれ3つずつ得た。
Figure 0006291100
(引張強度の測定)
作成したそれぞれのフィルムについて引張強度を測定した。引張強度は、万能試験機オートグラフ(島津製作所製「AGS−J」)を用いて測定した。なお、測定は、JIS3号ダンベルを用いてフィルムから試験片を採取し、採取した試験片を引張速度500mm/min、チャック間60mm、及び標線間隔20mmの条件で行った。結果を図3に示す。
図3の結果から、ポリカルボジイミドのみを配合したラテックス原料を用いたNo.2のフィルムでは、いずれの温度で架橋反応を促進した場合においても、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を共に含まないNo.1のフィルムに比べて引張強度の向上が認められない。
酸化亜鉛のみを配合したラテックス原料を用いたNo.3のフィルムでは、80℃以上の温度で架橋反応の促進を行った場合には引張強度の向上が認められるものの、40℃の温度では、引張強度の向上が認められない。つまり、No.3のフィルムでは、架橋反応を促進するには80℃以上の温度が必要であることが分かる。
これに対して、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合したラテックス原料を用いたNo.4のフィルムでは、全ての温度において引張強度の向上が認められる。つまり、No.4のフィルムでは、40℃の低温であっても架橋反応を促進できることが分かる。
以上から、ポリカルボジイミド又は酸化亜鉛単独の使用では、架橋反応を促進するために少なくも80℃の温度が必要であるのに対して、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合することで40℃で架橋反応が促進できることが分かる。つまり、ポリカルボジイミド及び酸化亜鉛を配合することで架橋反応が進み易くなり、クラックが低減されたと考えられる。
以上のように、本発明の手袋は、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする被覆層のクラックを低減できる。従って、本発明の手袋は、外観に優れると共に、被覆層に亀裂が発生し難くなり、耐久性、耐油性、及び耐薬品性に優れる。
1 手袋本体
2 被覆層

Claims (3)

  1. ゲージ数が10ゲージ以上26ゲージ以下であり、着用者の手を覆う繊維製の手袋本体と、
    この手袋本体の掌領域の外面の少なくとも一部を被覆し、ニトリルブタジエンゴムを主成分とする被覆層と
    を備える手袋であって、
    上記被覆層が、上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体及び酸化亜鉛を含み、
    上記ポリカルボジイミドの上記ニトリルブタジエンゴムに対する質量比が0.004以上0.09以下であり、
    上記ポリカルボジイミドのカルボジイミド基に対する上記酸化亜鉛のモル比が1以上50以下であり、
    上記ニトリルブタジエンゴム100質量部に対する上記酸化亜鉛の含有量が1.0質量部以上3.5質量部以下である手袋。
  2. 上記ニトリルブタジエンゴムとポリカルボジイミドとの架橋体がカルボキシル基、カルボジイミド基、及びカルボキシル基とカルボジイミド基との反応生成基を有する請求項1に記載の手袋。
  3. 上記カルボキシル基及び上記反応生成基の合計に対する上記カルボジイミド基及び上記反応生成基の合計のモル比が0.008以上1以下である請求項2に記載の手袋。
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