JP2010116638A - ゴム手袋の製造方法 - Google Patents

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淳 高井
Yukihisa Tanaka
幸久 田中
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Abstract

【課題】特殊な手型を使用しなくても、同じ1枚のゴム手袋中で、所定の部位の厚みを違えることができる上、前記部位を変更したり、各部位間での厚みの差を変更したりするのが容易なゴム手袋の製造方法を提供する。
【解決手段】凝固液法によってゴム手袋を製造するに際し、手型の表面に塗布する凝固液として、ゴムラテックスを凝固させる能力の異なる2種以上の凝固液を用い、手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域ごとに、塗布する凝固液の種類を違える。
【選択図】なし

Description

本発明は、いわゆる浸漬法によってゴム手袋を製造するための製造方法に関するものである。
全体が薄いゴムの膜からなるノンサポートタイプのゴム手袋や、あるいは前記ゴムの膜が薄い繊維の層で補強されたサポートタイプのゴム手袋等は、一般家庭や飲食店等で食器洗い等に利用されるほか、各種産業においても幅広く用いられている。ゴム手袋の製造方法としては、例えば陶器等でできた、ゴム手袋の立体形状に対応した手型を、ゴムラテックスを含む組成物(ゴムラテックスに加硫剤その他を添加した組成物、以下「ゴムラテックス組成物」と記載する場合がある)に浸漬し、引き上げたのち乾燥させて脱型するいわゆる浸漬法がよく知られている。
また浸漬法としては、前記ゴムラテックス組成物に浸漬する前の手型の表面に、ゴムラテックスを凝固させる働きをする凝固剤を含む凝固液を塗布するいわゆる凝固液法や、あるいは手型を浸漬する前のゴムラテックス組成物に、熱によってゴムラテックスを凝固させる働きをする感熱化剤を配合するいわゆる感熱法等が知られている。しかしこのいずれの方法でも、形成されるゴム手袋の厚みを、例えば所定の部位ごとに選択的に違えるといったことは不可能である。ところが近年の、ゴム手袋の用途や使用者のニーズの多様化等に基づいて、ゴム手袋の厚みやデザイン等に対する要望が複雑化してきており、同じ1枚のゴム手袋中で、所定の部位の厚みを違えることができる技術の開発が求められるようになってきている。
例えば厚みの大きいゴム手袋は、手を対象物(例えば先の尖った物品や、高温、低温の物品等)から保護する機能や、それ自体の耐久性の面では優れているが、その反面、曲げたり伸ばしたりしにくいことから、繰り返し使用した際に使用者の負担が大きくなるという問題がある。また厚みの大きいゴム手袋は手先に感覚が伝わり難いため、細かい作業に向かないという問題もある。一方、厚みの小さいゴム手袋は、逆に手先に感覚が伝わりやすく、かつ使用者の負担が小さいという利点があるものの、手を対象物から保護する機能や耐久性の点で十分でないところがある。
また従来の浸漬法では、手型を、指先を下に向けてゴムラテックス組成物に浸漬したのち引き上げ、そのままの状態で乾燥させてゴム手袋を製造するのが一般的であることから、乾燥前のゴムラテックスの流動によって指先が厚く、袖口(裾)が薄くなる傾向がある。そして、特に袖口が他の部位より薄くなりすぎると、前記袖口において手を対象物から保護する機能が不十分となったり、ゴム手袋を装着するために袖口を引っ張った際に破れやすくなったりするといった問題もある。
そこで部位ごとに厚みが異なり、相反する前記各機能に優れると共に、特定の部位の厚みが小さくなりすぎたりしないゴム手袋が求められるようになってきているのである。部位ごとに厚みを違えることができれば、前記の問題を解消して、部位ごとの厚みの差に基づく機能、すなわち厚みの大きい部位による手を対象物から保護する機能や耐久性に優れること、あるいは特定の部位の厚みが小さくなりすぎるのを防止することと、厚みの小さい部位による手先に感覚が伝わりやすく、かつ曲げたり伸ばしたりしやすいため使用者の負担が小さい利点とを兼ね備えた新規なゴム手袋が得られるものと考えられている。
特許文献1には、感熱法に用いる手型として、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域を他の領域よりも比熱容量の大きい材料で形成したものを用いることで、ゴムラテックスの付着量を、前記領域において選択的に、他の領域よりも多くすることが記載されている。この方法によれば、ゴム手袋の所定の部位の厚みを、選択的に他の部位よりも大きくできる。
また特許文献2には、手型の、ゴム手袋の屈曲部位に対応する領域を例えばフッ素樹脂で被覆する等して、前記領域の界面張力を他の領域よりも低下させて、ゴムラテックスの付着量を、前記領域において選択的に、他の領域よりも少なくすることが記載されている。この方法を応用すれば、屈曲部位に限らすゴム手袋の所定の部位の厚みを、選択的に他の部位よりも小さくできる。
しかしいずれの方法でも、前記のように特殊な手型を使用しなければならない上、
・ 前記比熱容量や界面張力を違える領域を簡単に変更できないため、製造されるゴム手袋の、厚みを違える部位を変更するのが容易でない、
・ 前記領域の比熱容量や界面張力を簡単に変更できないため、製造されるゴム手袋の、各部位間での厚みの差を変更するのが容易でない、
といった問題がある。
特開2002−201517号公報 特開2004−91940号公報
本発明の目的は、前記のような特殊な手型を使用しなくても、同じ1枚のゴム手袋中で、所定の部位の厚みを違えることができる上、前記部位を変更したり、各部位間での厚みの差を変更したりするのが容易なゴム手袋の製造方法を提供することにある。
本発明は、ゴム手袋の立体形状に対応した手型の表面に、ゴムラテックスを凝固させる働きをする凝固剤を含む凝固液を塗布し、前記手型をゴムラテックスを含む組成物に浸漬して引き上げたのち乾燥させ、脱型してゴム手袋を製造するゴム手袋の製造方法であって、前記手型の表面に塗布する凝固液として、ゴムラテックスを凝固させる能力の異なる2種以上の凝固液を用いると共に、前記手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域ごとに塗布する凝固液の種類を違えることで、ゴム手袋の厚みを前記各部位ごとに違えることを特徴とするものである。
本発明によれば、手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域ごとに塗布する凝固液の種類を違えることによって、前記手型の表面に付着されるゴムラテックスの量を、各領域ごとに任意に違えることができる。そのため本発明によれば、手型としては従来同様の、例えば陶器等からなる通常のものを用いて、同じ1枚のゴム手袋中で、所定の部位の厚みが違うゴム手袋を製造できる。また、手型の表面のどの領域にどの凝固液を塗布するかを選択することにより、厚みを違える部位を容易に変更でき、凝固液の種類を選択することにより、各部位間での厚みの差を容易に変更できる。
前記2種以上の凝固液としては、例えば同種の凝固剤を含みその濃度が異なるものや、異種の凝固剤を含みその濃度が同一または異なるもの等が挙げられる。特に同種の凝固剤を含み濃度の異なる2種の凝固液を使用するのが好ましい。その場合には、前記2種の凝固液間でゴムラテックスを凝固させる能力を明りょうに違えて、ゴム手袋の、部位ごとの厚みの差に基づく機能、すなわち厚みの大きい部位による手を対象物から保護する機能や耐久性に優れること、あるいは特定の部位の厚みが小さくなりすぎるのを防止することと、厚みの小さい部位による手先に感覚が伝わりやすく、かつ曲げたり伸ばしたりしやすいため使用者の負担が小さい利点とを、各部位ごとにできるだけ明りょう化に分化させた状態で発揮させるために、2種の凝固液間での凝固剤の濃度差が30質量%以上、40質量%以下であるのが好ましい。
また2種の凝固液を使用する場合は、それぞれの凝固液を手型の表面に塗布する作業を簡略化することを考慮すると、手型の略全面に1種目の凝固液を塗布したのち、前記手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域に2種目の凝固液を塗り重ねるのが好ましい。またゴム手袋の、それぞれの凝固液を塗布した領域に対応する部位間での厚みの差が0.13mm以上であるのが、先に説明した部位ごとの厚みの差に基づく機能を、各部位ごとにできるだけ明りょうに分化させた状態で発揮させるために好ましい。
本発明によれば、特殊な手型を使用しなくても、同じ1枚のゴム手袋中で、所定の部位の厚みを違えることができる上、前記部位を変更したり、各部位間での厚みの差を変更したりするのが容易なゴム手袋の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明を説明する。本発明のゴム手袋の製造方法は、凝固液法によってゴム手袋を製造するに際し、手型の表面に塗布する凝固液として、ゴムラテックスを凝固させる能力の異なる2種以上の凝固液を用い、手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域ごとに、塗布する凝固液の種類を違えることを特徴とするものである。本発明で用いる、ゴムラテックスを凝固させる能力の異なる2種以上の凝固液としては、同種の凝固剤を含みその濃度が異なるものや、異種の凝固剤を含みその濃度が同一または異なるもの等が挙げられる。
凝固剤としては、凝固液法に用いられる従来公知の種々の凝固剤が、いずれも使用可能である。前記凝固剤としては、例えば硝酸カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、酢酸亜鉛等の金属塩類や、ギ酸、酢酸等の有機酸などが挙げられる。凝固液は、前記凝固剤を水またはアルコール等の溶剤に溶解して調製できる。凝固液の濃度は、使用する凝固剤や溶剤の種類にもよるが、ゴムラテックスを凝固させる働きを良好に発揮させて、それぞれの部位内でのゴムの厚みにバラツキが生じるのを防止することや、凝固液を、各種の塗布方法によって手型の表面に塗布する際の作業のしやすさを向上すること等を考慮すると5質量%以上、50質量%以下であるのが好ましい。
また凝固液としては、各部位での先に説明した機能の差をより一層明確に分化させた状態で発揮させることや、凝固液を塗布する工程をできるだけ簡略化すること、ゴム手袋の製造に使用する材料の種類をできるだけ少なくすること、両凝固液の濃度をいずれも前記好適な範囲内として、それぞれの部位内でのゴムの厚みにバラツキが生じたりするのを防止すること等を考慮すると、同種の凝固剤を含み濃度の異なる2種の凝固液を用いると共に、前記2種の凝固液間での凝固剤の濃度差を30質量%以上、40質量%以下とするのが好ましい。
ただし本発明では、必要に応じて3種以上の凝固液を使用して、同じ1枚のゴム手袋中で、所定の部位の厚みを3段階以上の多段階で異ならせることも可能である。また異種の凝固剤を含む2種以上の凝固液を用いてもよく、その場合には、それぞれの凝固剤による、ゴムラテックスを凝固させる働きの強弱を考慮して、組み合わせる2種以上の凝固剤を選択したり、凝固液の濃度を調整したりすればよい。
前記2種以上の凝固液を、製造するゴム手袋の厚みを違える部位に対応させて、手型の、前記部位に対応する領域に塗布する。具体的には、例えば他の部位より選択的に厚みを大きくする部位に対応する手型の領域に、他の領域よりもゴムラテックスを凝固させる働きの強い凝固液を選択して塗布する。そうすると、前記手型をゴムラテックス組成物に浸漬した際に、前記領域に、他の領域よりも多くの量のゴムラテックスが付着する結果、前記領域に対応する部位の厚みが他の部位よりも大きいゴム手袋が製造される。
特に2種の凝固液を使用する場合は、それぞれの凝固液を手型の表面に塗布する作業を簡略化することを考慮すると、手型の略全面に1種目の凝固液を塗布したのち、前記手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域にのみ2種目の凝固液を塗り重ねるのが好ましい。なお塗り重ねをする場合は、2種目の凝固液を塗り重ねた領域において、先に塗布した1種目の凝固液の影響をできるだけ少なくして、それぞれの領域間での、ゴムラテックスを凝固させる働きの差をより一層明りょう化するため、2種の凝固液のうちゴムラテックスを凝固させる働きが弱い方の凝固液を1種目の凝固液として手型の略全面に塗布し、前記1種目の凝固液よりも前記働きが強い方の凝固液を2種目の凝固液として塗り重ねるようにするのが好ましい。
手型の略全面に1種目の凝固液を塗布するためには、前記手型を凝固液に浸漬して所定の時間保持したのち引き上げる方法や、凝固液を刷毛やブラシを用いて手型の表面に塗布する方法、噴霧器を用いて噴霧して塗布する方法等が挙げられる。噴霧器とは、液体を、ポンプやガス圧等によって一定量、一定面積に飛散噴霧させる装置であり、これらの要件を満たすものであれば特段限定されるものではない。
手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域に2種目の凝固液を塗り重ねるためには、前記部位および領域に応じて、種々の部分的な塗布方法が採用される。例えば手型の、ゴム手袋の指先や袖口に対応する領域に2種目の凝固液を塗り重ねるためには、その略全面に1種目の凝固液を塗布した手型の、前記指先や袖口に対応する領域のみを2種目の凝固液に浸漬したり、前記指先や袖口に対応する領域のみに、2種目の凝固液を噴霧して塗布したりすればよい。
また手型の、手の平(掌)および指の腹に対応する領域に2種目の凝固液を塗り重ねるためには、その略全面に1種目の凝固液を塗布した手型の、前記手の平および指の腹に対応する領域のみに、2種目の凝固液を噴霧して塗布したりすればよい。前記手の平および指の腹に対応する領域と、手の甲および指の背に対応する領域とは丁度裏表の関係にあるため、手の平側から2種目の凝固液を噴霧すれば、反対側の手の甲および指の背に対応する領域には2種目の凝固液を塗り重ねることなく、手の平および指の腹に対応する領域にのみ前記2種目の凝固液を塗り重ねることができるのである。
本発明のゴム手袋の製造方法は、以上で説明した、手型の表面に塗布する凝固液として、ゴムラテックスを凝固させる能力の異なる2種以上の凝固液を用い、手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域ごとに、塗布する凝固液の種類を違えること以外は従来と同様に実施できる。すなわち手型としては、陶器やセラミック、あるいはアルミニウム等の金属などで一体に形成された、ゴム手袋の立体形状に対応した手型が、いずれも使用可能である。
手型の表面には、製造するゴム手袋の表面にすべり止め等のための凹凸模様をつけるべく、前記凹凸模様に対応する凹凸を形成したり、前記ゴム手袋の表面を艶消しに仕上げるために、手型の表面を梨地に仕上げたりできる。また、陶器製の手型の表面は釉薬処理をしてもよい。
ゴムラテックス組成物としては、ゴム手袋の用途に応じて、例えば天然ゴムラテックス、脱蛋白天然ゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)ラテックス、クロロプレンゴムラテックス等のゴムラテックスに、必要に応じて安定剤、加硫系配合剤(硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤等)、充てん剤などを任意の割合で配合したものを用いることができる。
手型をゴムラテックス組成物に浸漬してゴム手袋を形成する工程は、常法に従って実施できる。すなわち2種以上の凝固液を塗布した手型を所定の速度でゴムラテックス組成物に浸漬して所定の時間保持したのち所定の速度で引き上げ、次いで加熱したオーブン中に入れて所定の時間加熱して、手型の表面に付着したゴムラテックスを乾燥させると共にゴムを加硫させ、そして手型から脱型させるとゴム手袋が製造される。また、ゴムラテックス組成物から引き上げた手型を、例えば指先が常に下にならないように所定の速度で回転させながら乾燥させるようにすれば、乾燥前のゴムラテックスの流動によるゴムの厚みの不均一化を防止できる。
かくして製造されるゴム手袋は、厚みの大きい部位と小さい部位との間での厚みの差が0.13mm以上であるのが好ましい。例えば先に説明した手の平および指の腹側が、手の甲および指の背側より厚みの大きいゴム手袋において、両部位間での厚みの差を前記範囲内とすれば、前記ゴム手袋を、前者側が厚いため例えば先の尖った物品や、高温、低温の物品等を取り扱う際に、手をそれらの対象物から保護する機能やそれ自体の耐久性に優れる上、後者側が薄いため曲げたり伸ばしたりしやすく使用者の負担が小さい利点とを兼ね備えたものとすることができる。
なお、前記両部位間での厚みの差の上限は特に限定されないが0.32mm以下であるのが好ましい。厚みの差がこの範囲を超える場合には、相対的に厚みが小さい側の部位の厚みが小さくなりすぎて耐久性や強度が低下したり、逆に厚みが大きい側の部位の厚みが大きくなりすぎて曲げたり伸ばしたりしにくくなるおそれがある。
本発明の構成は、以上で説明した例には限定されない。例えば本発明のゴム手袋の製造方法は、全体が薄いゴムの膜からなるノンサポートタイプのゴム手袋だけでなく、前記ゴムの膜が薄い繊維の層で補強されたサポートタイプのゴム手袋の製造に適用することもできる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。
《実施例1》
(ゴムラテックス組成物の調製)
天然ゴムラテックスに、前記天然ゴムラテックス中の固形分100質量部あたり、安定剤としてのオレイン酸0.5質量部、同じく安定剤としての水酸化カリウム0.5質量部、加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤〔大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)BZ〕1質量部、老化防止剤〔大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)PBK〕1質量部、および充てん剤としての酸化チタン2質量部を配合してゴムラテックス組成物を調製した。
(手型の処理)
手型としては陶器製のものを用い、前記手型を1種目の凝固液としての濃度10質量%の硝酸カルシウム〔Ca(NO)〕水溶液に浸漬し、10秒間保持したのち引き上げて、前記手型の略全面に塗布した。次いで手型の、手の平および指の腹に対応する領域に、2種目の凝固液としての濃度45質量%の硝酸カルシウム水溶液を、市販の噴霧器を用いて噴霧して塗布した。前記2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は35質量%であった。
(ゴム手袋の製造)
前記手型を、液温を25℃に保持した前記ゴムラテックス組成物に所定の速度で浸漬し、30秒間保持したのち所定の速度で引き上げ、次いで100℃に加熱したオーブン中に入れて60分間加熱して、手型の表面に付着したゴムラテックスを乾燥させると共にゴムを加硫させた後、脱型させてゴム手袋を製造した。
前記ゴム手袋の、手の甲側(手の甲および指の背)と手の平側(手の平および指の腹)の厚みを、それぞれマイクロメータを用いて測定したところ手の甲側の厚みは0.37mm、手の平側の厚みは0.53mmで、両者の厚みの差は0.16mmであった。
《実施例2》
1種目の凝固液として濃度5質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は40質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.25mm、手の平側の厚みは0.53mmで、両者の厚みの差は0.28mmであった。
《実施例3》
1種目の凝固液として濃度15質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は30質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.40mm、手の平側の厚みは0.54mmで、両者の厚みの差は0.14mmであった。
《実施例4》
1種目の凝固液として濃度25質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は20質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.48mm、手の平側の厚みは0.53mmで、両者の厚みの差は0.05mmであった。
《実施例5》
2種目の凝固液として濃度50質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は40質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.37mm、手の平側の厚みは0.56mmで、両者の厚みの差は0.19mmであった。
《実施例6》
2種目の凝固液として濃度40質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は30質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.37mm、手の平側の厚みは0.50mmで、両者の厚みの差は0.13mmであった。
《実施例7》
1種目の凝固液として濃度3質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いると共に、2種目の凝固液として濃度53質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は50質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.23mm、手の平側の厚みは0.57mmで、両者の厚みの差は0.34mmであった。なお手の甲側の厚みにバラツキを生じたため、前記手の甲側の厚みおよび厚みの差はそれぞれ平均値を求めた。
《実施例8》
1種目の凝固液として濃度10質量%の塩化カルシウム〔CaCl〕水溶液を用いると共に、2種目の凝固液として濃度45質量%の塩化カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての塩化カルシウムの濃度差は35質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.39mm、手の平側の厚みは0.56mmで、両者の厚みの差は0.17mmであった。
《実施例9》
1種目の凝固液として濃度40質量%の酢酸亜鉛〔Zn(CHCOO)〕水溶液を用いると共に、2種目の凝固液として濃度40質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.25mm、手の平側の厚みは0.50mmで、両者の厚みの差は0.25mmであった。
《実施例10》
1種目の凝固液として濃度40質量%の塩化亜鉛〔ZnCl〕水溶液を用いると共に、2種目の凝固液として濃度40質量%の塩化カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.24mm、手の平側の厚みは0.55mmで、両者の厚みの差は0.31mmであった。
《実施例11》
1種目の凝固液として濃度40質量%の塩化亜鉛水溶液を用いると共に、2種目の凝固液として濃度45質量%の塩化カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.24mm、手の平側の厚みは0.56mmで、両者の厚みの差は0.32mmであった。
《比較例1》
1種目および2種目の凝固液として、共に濃度45質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての硝酸カルシウムの濃度差は0質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.52mm、手の平側の厚みは0.52mmで、両者の厚みの差は0mmであった。
《比較例2》
1種目および2種目の凝固液として、共に濃度10質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての塩化カルシウムの濃度差は0質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.37mm、手の平側の厚みは0.38mmで、両者の厚みの差は0.1mmであった。
《比較例3》
1種目および2種目の凝固液として、共に濃度40質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての塩化カルシウムの濃度差は0質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.50mm、手の平側の厚みは0.50mmで、両者の厚みの差は0mmであった。
《比較例4》
1種目および2種目の凝固液として、共に濃度50質量%の硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム手袋を製造した。2種の凝固液間における、凝固剤としての塩化カルシウムの濃度差は0質量%であった。また製造されたゴム手袋における、手の甲側の厚みは0.55mm、手の平側の厚みは0.55mmで、両者の厚みの差は0mmであった。
《使用者の負担の評価》
無作為に抽出した成人の被験者10人に、実施例、比較例で製造したゴム手袋を装着してもらい、指の曲げ伸ばしを30回行った後に、手に負担を感じたか否かを判定してもらった。そして下記の基準で、使用者が手に負担を感じたか否かを評価した。
○:10人中の8人以上の被験者が、負担を感じなかったと判定した。
△:10人中の5人以上、7人以下の被験者が、負担を感じなかったと判定した。
×:10人中の4人以下の被験者が、負担を感じなかったと判定したが、残りの被験者は負担を感じたと判定した。
《保護機能の評価》
日本工業規格JIS K6251−1993「加硫ゴムの引っ張り試験方法」に規定された測定方法に則って、実施例、比較例で製造したゴム手袋の手の平側の部分の最大引張力を測定し、その結果をもとに、各手袋における使用者の手を保護する機能の良否を評価した。すなわち実施例、比較例で製造したゴム手袋の、手の平側の部分をダンベル状3号型試験片の形状に打抜いて試験片を作製し、各試験片について引張速度500mm/minの条件で引張試験を行なった際の最大引張力F(N)を求め、前記最大引張力Fが大きいほど使用者の手を保護する機能が良好であると評価した。
以上の結果を表1ないし表4に示す。
Figure 2010116638
Figure 2010116638
Figure 2010116638
Figure 2010116638
表中の比較例1ないし比較例4より、手型に塗布する1種目および2種目の凝固液として同じもの、すなわちゴムラテックスを凝固させる能力が等しいものを用いた場合には、1種単独の凝固液を用いる従来の場合と同様に、ゴム手袋の手の甲側と手の平側の厚みを違えられないことが判った。そして全体の厚みが大きい場合(比較例2〜4)には使用者の負担が大きくなり、逆に全体の厚みが小さい場合(比較例1)には使用者の手を保護する機能が低下することが判った。
これに対し、実施例1ないし実施例11より、手型に塗布する1種目および2種目の凝固液としてゴムラテックスを凝固させる能力が異なるものを用いた場合には、ゴム手袋の手の甲側と手の平側の厚みを違えられること、それによって使用者の負担が大きくなるのを抑制しながら、使用者の手を保護する機能を向上できることが判った。また前記効果をさらに向上すると共に、ゴムの厚みにバラツキが生じたりするのを防止することを考慮すると、前記厚みの差は0.13mm以上、0.32mm以下であるのが好ましいことも判った。
また実施例1ないし実施例7より、凝固剤として共に硝酸カルシウムを含み濃度の異なる2種の凝固液を用いた系では、前記厚みの差を実現して、前記効果をさらに向上すると共に、ゴムの厚みにバラツキが生じたりするのを防止することを考慮すると、前記2種の凝固液の濃度が共に5質量%以上、50質量%以下であると共に、両凝固液間での凝固剤の濃度差が30質量%以上、40質量%以下であるのが好ましいことが判った。また実施例8より、凝固剤として共に塩化カルシウムを含み濃度の異なる2種の凝固液を用いた系でも、同様の結果が得られることが判った。さらに実施例9ないし実施例11より、異種の凝固剤を併用しても、その組み合わせによって同様の結果が得られることが判った。

Claims (5)

  1. ゴム手袋の立体形状に対応した手型の表面に、ゴムラテックスを凝固させる働きをする凝固剤を含む凝固液を塗布し、前記手型をゴムラテックスを含む組成物に浸漬して引き上げたのち乾燥させ、脱型してゴム手袋を製造するゴム手袋の製造方法であって、前記手型の表面に塗布する凝固液として、ゴムラテックスを凝固させる能力の異なる2種以上の凝固液を用いると共に、前記手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域ごとに塗布する凝固液の種類を違えることで、ゴム手袋の厚みを前記各部位ごとに違えることを特徴とするゴム手袋の製造方法。
  2. 2種以上の凝固液として、同種の凝固剤を含みその濃度が異なるもの、または異種の凝固剤を含みその濃度が同一または異なるものを用いる請求項1に記載のゴム手袋の製造方法。
  3. 同種の凝固剤を含み、その濃度差が30質量%以上、40質量%以下である2種の凝固液を用いる請求項2に記載のゴム手袋の製造方法。
  4. 2種の凝固液を用い、手型の略全面に1種目の凝固液を塗布したのち、前記手型の、ゴム手袋の所定の部位に対応する領域に2種目の凝固液を塗り重ねる請求項1ないし3のいずれかに記載のゴム手袋の製造方法。
  5. 2種の凝固液を用いて、それぞれの凝固液を塗布した領域に対応する部位間での厚みの差が0.13mm以上であるゴム手袋を製造する請求項1ないし4のいずれかに記載のゴム手袋の製造方法。
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