JP6445945B2 - 腐食環境センサ - Google Patents

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本発明は、腐食環境センサに係り、更に詳しくは、原子力発電プラントにおける金属製の構造部材が供用中に接触する原子炉冷却水の電気伝導度を少なくとも測定可能なセンサに関する。
原子力発電プラントにおいて、ステンレス鋼やニッケル基合金等は構造材と呼ばれ、原子炉内機器や配管等の構造部材の材料として用いられている。これらの構造材は、特定の条件下で応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)の感受性を示す。そこで、原子力発電プラントでは、その健全性を維持するために、SCCの抑制策が適用されている。また、近年、プラントの設備利用率の向上及び長寿命化のような経済性向上の観点からも、SCCの抑制策が適用されている。
SCCの抑制策の1つとして、腐食環境の緩和を目的とした技術がある。沸騰水型原子力発電プラントでは、プラントの構造部材に接触する原子炉冷却水(以下、炉水という。)の腐食環境を改善するために、水素注入が広く用いられている。原子炉内の炉水は、炉水の放射線分解により生成された酸素及び過酸化水素を含んでいる。酸素及び過酸化水素は、構造部材の腐食の原因であり、腐食環境を形成する。水素注入は、給水配管等を介して水素を炉水に注入し、この水素を炉水中の酸素及び過酸化水素と反応させて水に戻す技術である。この反応により炉水中の酸素及び過酸化水素の濃度が低下する結果、炉水に接触している構造部材の腐食電位(ECP:Electrochemical Corrosion Potential)が低下し、構造部材におけるSCCの発生及び進展が緩和される。
さらに、水素注入を実施した際の腐食電位の低下をさらに促進させる技術として、白金族貴金属元素を炉水に注入する技術(貴金属注入技術)が知られている。貴金属注入技術は、水素注入技術と併用され、白金族貴金属元素が有する水素の電気化学反応への触媒作用を利用するものであり、水素注入による腐食電位の低減幅をさらに大きくする。
上記した腐食環境の緩和効果を確認するためには、構造部材の腐食電位を測定する必要がある。そこで、原子炉内あるいは原子炉に接続された配管に腐食電位センサを設置して構造部材の腐食電位を測定している(例えば、特許文献1参照)。腐食電位センサは、使用条件下で、炉水中の酸素及び過酸化水素の濃度とは無関係に腐食電位測定の基準となる一定の電位(基準電位)を発生させる。このため、腐食電位センサは、基準電極、参照電極、又は照合電極と呼ばれている。この腐食電位センサの有する基準電位と、構造部材が接触する炉水中に含まれる酸素、過酸化水素、及び水素のそれぞれの濃度、炉水の温度、並びに炉水の流速の条件下における構造部材の有する電位との電位差を、電位差計を用いて測定することによって、その構造部材の腐食電位を知ることができる。
また、構造部材の腐食の発生や進展の可能性を管理・制御する上では、電気伝導度(以下、導電率という。)も重要な因子である。例えば、原子炉内模擬温度におけるステンレス鋼の粒界型応力腐食割れの発生感受性は、高温水中で測定された腐食電位と室温で測定された導電率とにより整理できると言われている。また、腐食の進行しやすさを表す重要な因子として知られているワグナー長さと称される指標を評価するには、導電率の値が必要となる。腐食反応は、金属材料が溶出して電子を放出するアノード反応と、アノード反応によって金属材料内に放出された電子を金属材料が接触している溶液側で受け取るカソード反応とがカップリングして進行する。このカップリング可能な距離をワグナー長さと称し、Lw=Rp・κで表される。ここで、Lwはワグナー長さ、Rpは分極抵抗、κは導電率を示している。このカップリング可能な距離が長くなれば、より広範囲でカソード反応が生じるので、より多くの金属が溶出することとなる。つまり、ワグナー長さは、アノード部とカソード部が分離する局部腐食のような腐食形態において、腐食の進行しやすさを表す重要な因子であり、その評価には、その腐食環境下での導電率を測定する必要がある。
沸騰水型原子炉においては、炉水として純水が使用されているので、炉水の導電率は、理想的には、水の解離で生じるHとOHの濃度で決まる。しかし、炉水中には、海水由来のClやイオン交換樹脂から溶出するSO 2-などの不純物が微量に含まれている可能性がある。それら微量な不純物は、腐食の発生や進展の原因となり得る。そこで、沸騰水型原子炉においては、微量な不純物に起因する炉水の導電率の変化を監視するため、例えば、給水配管等からサンプリング配管を介して採取して室温付近まで冷却した炉水の導電率を連続的に測定している。さらに、腐食挙動に影響を及ぼさない上限の導電率レベルを規定し、実測した室温の導電率がその規定の範囲内となるように炉水の水質を維持管理している。高温(原子炉発電プラントの運転時の炉水の温度、例えば、約280℃)の実環境下での腐食挙動と室温での炉水の導電率との相関を予め実験的に確認し、実機で室温の導電率を測定することで、工学的には腐食の制御・管理が可能である。このように室温の導電率を測定して腐食の制御、管理を行うのは、高温高圧水中での導電率の測定が技術的に困難であり、室温の導電率を測定しながら腐食試験を実施して腐食挙動と室温の導電率との相関を求めた知見がほとんどであることによる。
導電率は、不溶性の一対の金属電極を評価対象の溶液中に浸漬し、2電極間に電流を流して抵抗を測定することで求められる。一対の金属電極の各面のうち面積の等しい矩形状の各1面同士を距離Lで平行に対面させ、2電極間に存在する溶液が直方体であって一対の金属電極と平行な面の断面積がAである場合には、2電極間の抵抗Rを実測することで、以下の式(I)の関係から導電率κを算出できる。
R=κ-1・L・A-1 … 式(I)
ここで、Rは溶液の抵抗、Lは2電極間の距離、Aは2電極間の導通部(電流の経路)の断面積を示している。
式(I)から分かるように、測定した抵抗Rから導電率κを求めるには、2電極間を流れる電流の経路の幾何形状L・A-1が既知である必要がある。幾何形状の影響を示すこの定数は、一般にセル定数と呼ばれており、導電率の測定には必須のパラメータである。上述したように、2電極間に存在する溶液の形状が直方体等の単純な形状である場合には、幾何条件からセル定数L・A-1を算出することができる。それに対して、2電極間の溶液の形状が円筒状等の複雑な形状の場合には、導電率κが既知の溶液での2電極間の抵抗Rを測定することにより、セル定数L・A-1を実験的に予め求めておく。
室温の炉水の導電度を測定する場合には、高分子樹脂やガラス等の絶縁材料で形成した容器状又は筒状の部材を用いて一対の金属電極を包囲することで、電流が2電極間に挟まれた炉水中を確実に流れるように、電流経路を規定している。このため、セル定数L・A-1を幾何条件又は実験から定めることができ、測定した2電極間の抵抗から式(I)を用いて、室温の炉水の正確な導電率を算出することができる。
特開2009−42111号公報
室温の導電率を測定して構造部材の腐食の制御・管理を行うためには、高温での腐食挙動と室温での導電率との相関を予め実験的に確認する必要があるが、このような実験は煩雑である。また、ワグナー長さを評価して腐食挙動の詳細を解析する場合には、原子力発電プラントの運転中における腐食環境下での炉水の導電率を把握する必要がある。つまり、室温ではなく、腐食環境下の実温実圧における炉水の導電率を測定したいという要求がある。
原子力発電プラントの定格運転中に、原子炉内又は炉水の流動する配管内で炉水の導電率を測定する場合においても、基本的には、不溶性の一対の金属電極を炉水中に浸漬し、測定した2電極間の抵抗から上記した式(I)を用いて算出することができる。しかし、室温の炉水の導電度を測定するセンサは、放射線が照射される原子炉内の高温高圧の炉水の導電度を測定するような仕様を備えていないので、腐食環境下の導電率の測定に使用することはできない。
そこで、原子炉内に設置可能な特許文献1に記載の腐食電位センサ2本を対向するように設置することで、高温高圧の腐食環境下の炉水の導電率を測定することが考えられる。しかし、放射線が照射される原子炉内の高温高圧の炉水中では、常温での測定とは異なり、高分子樹脂やガラス等の耐放射線性や耐熱性の乏しい絶縁材料で形成された筒状等の部材を用いることはできないので、2本の腐食電位センサの電極の周囲を包囲できず、2電極間の電流経路を規定することができない。このため、セル定数L・A-1が定まらず、炉水の導電率を上記の式(I)から算出することができない。
また、2本の腐食電位センサの電極間の距離よりも一方の腐食電位センサの電極の近くに配管部材や構造部材等の金属部材が存在する場合、電流は、最も抵抗が小さくなるように、腐食電位センサ近傍の金属部材を経由して2電極間を流れる。そのため、電流が2電極間に存在する炉水のみを経由して流れる場合の抵抗値よりも小さい値が測定されるので、算出された導電率は誤差を含んだものとなる。
さらに、定常状態の炉水は、純水に近く、高い電気抵抗を有するので、2本の腐食電位センサの電極を数mm程度まで近接させる必要がある。また、原子炉内には多くの炉内機器類が配置されていること、及び、腐食電位センサを炉水の流れに直接晒さないように狭隘な部位に設置する必要があることから、2本の腐食電位センサの設置位置の自由度は低い。つまり、炉水の導電率の測定に適した数mmまで近接させた位置に2本の腐食電位センサを設置することは困難である。
このように、原子炉内の高温高圧の腐食環境下における炉水の導電度を測定しようとする場合、2電極間に流れる電流の経路を規定することが困難であると共に、狭隘な設置スペースにおいて炉水の伝導率の測定に適した位置に2電極を配置することも困難である。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、狭隘な設置スペースにおいて腐食環境下の炉水の正確な導電率を測定可能な腐食環境センサを提供することである。
上記課題を解決するため、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、原子炉プラントにおける腐食環境下の原子炉冷却水が流通する構造部材に配置される筒状の金属製筐体と、耐放射線性及び耐熱性を有する絶縁材料で形成され、前記金属製筐体に取り付けられた絶縁部材と、互いに一つの面が所定の間隔をあけて対向すると共に、前記金属製筐体と電気的に絶縁された状態で前記絶縁部材に取り付けられた一対の金属電極と、前記一対の金属電極にそれぞれ電気的に接続され、前記金属製筐体と電気的に絶縁された状態で前記絶縁部材及び前記金属製筐体の内部に延在する1組の導線と、耐放射線性及び耐熱性を有する絶縁材料で形成され、前記一対の金属電極の各表面のうち、互いに対向する面、前記絶縁部材への取付部分、及び前記1組の導線の接続部分を除いた表面を被覆している絶縁被覆部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、1つの金属製筐体に対して、一対の金属電極を互いに1つの面が対向するように設けると共に、一対の金属電極の対向する面以外の表面のほとんどを耐放射線性及び耐熱性の絶縁被覆部で被覆したので、狭隘な設置スペースに一対の金属電極を配置可能で、かつ、一対の金属電極間を流れる電流の経路を確実に規定できる。すなわち、原子炉内等の狭隘な設置スペースにおいて腐食環境下の原子炉冷却水の正確な導電率を測定することができる。その結果、原子炉内等の腐食環境下で実測した導電率に基づいて、腐食を抑制するための効果的な水化学管理を行うことができ、炉内構造部材の健全性の維持又は向上を図ることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の腐食環境センサの実施の形態を設置する沸騰水型原子炉プラントを示す系統図である。 本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態を断面にした状態で示す腐食環境測定装置の構成図である。 図2に示す本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態の一部を構成する電極部を拡大して示す縦断面図及びその縦断面図をA−A矢視から見た断面図である。 本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態を備えた腐食環境測定装置を用いた沸騰水型原子炉プラントの原子炉内の腐食環境の測定方法を示す説明図である。 本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態を示す縦断面図である。 図5に示す本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態の一部を構成する電極部を拡大して示す縦断面図及びその側面図である。 本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態を備えた腐食環境測定装置を用いた沸騰水型原子炉プラントの配管内の腐食環境の測定方法を示す説明図である。
以下、本発明の腐食環境センサの実施の形態を図面を用いて説明する。
まず、本発明の腐食環境センサの実施の形態が設置される沸騰水型原子炉プラントの構成を図1を用いて説明する。図1は本発明の腐食環境センサの実施の形態を設置する沸騰水型原子炉プラントを示す系統図である。図1において、矢印は原子炉冷却水の流れ方向、又は、水素や貴金属を含んだ水溶液の注入方向を示している。
図1において、沸騰水型原子炉プラントは、炉心101を内蔵した原子炉圧力容器102と、原子炉圧力容器102を収容する原子炉格納容器103と、原子炉格納容器103の外部に設置され、原子炉圧力容器102内で発生した蒸気により駆動されるタービン104と、タービン104の直下に設置され、タービン104から排出された蒸気を復水に戻す復水器105と、復水器105で得られた復水を原子炉圧力容器102内に供給する給水系とを備えている。原子炉圧力容器102及びタービン104には、原子炉圧力容器102内で発生した蒸気をタービン104に供給する主蒸気配管107の両端がそれぞれ接続されている。給水系は、復水器105と原子炉圧力容器102とに接続された給水配管109と、給水配管109に設けられた給水ポンプ110とを有している。
また、沸騰水型原子炉プラントは、原子炉圧力容器102内の原子炉冷却水(以下、炉水という。)を強制的に循環させる再循環系を、例えば2系統備えている。各再循環系は、原子炉圧力容器102の下部における上下にそれぞれ両端が接続された再循環系配管112と、再循環系配管112に設けられた再循環ポンプ113とを有しており、原子炉格納容器103内に配置されている。
沸騰水型原子炉プラントは、さらに、炉水の不純物の除去又は希釈を行う原子炉浄化系を備えている。原子炉浄化系は、再循環系配管112と給水配管109とに接続された浄化系配管115と、浄化系配管115に設けられた浄化装置116と、浄化系配管115における浄化装置116よりも上流側に設けられた浄化系ポンプ117とを有している。
原子炉圧力容器102内の炉心101には、核燃料物質を含む複数の燃料棒を有する複数の燃料集合体(図示せず)が装荷されている。原子炉圧力容器102内における炉心101の上方には、気水分離器121及び蒸気乾燥器122が設置されている。原子炉圧力容器102の底部には、ボトムドレン配管123の一端が接続されている。ボトムドレン配管123の他端は、浄化系配管115における浄化系ポンプ117よりも上流側に接続されている。
給水配管109には、水素を給水に添加する水素注入装置125が接続されている。また、浄化系配管115における浄化装置116の下流には、白金等の貴金属を炉水に添加する貴金属注入装置126が接続されている。
上記のように構成された沸騰水型原子炉プラントにおいて、原子炉圧力容器102内の炉水は、炉心101内の燃料集合体(図示せず)に含まれる核燃料物質の核分裂により発生する熱で加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、気水分離器121及び蒸気乾燥器122で水分が分離された後、原子炉圧力容器102から排出されて主蒸気配管107を通ってタービン104に供給され、タービン104を回転させる。これにより、タービン104に連結された発電機(図示せず)が回転し、電力が発生する。
タービン104から排出された蒸気は、復水器105で凝縮されて水になる。この凝縮水は、給水として、給水ポンプ110で昇圧され、給水配管109を通って原子炉圧力容器102に供給される。給水配管109内を流れる給水には、水素注入装置125から水素が添加される。添加された水素は、給水と共に原子炉圧力容器102内に導かれる。
炉心101で加熱された炉水のうち、蒸気とならずに気水分離器121及び蒸気乾燥器122で分離された炉水は、原子炉圧力容器102と炉心101の間に形成されるダウンカマ129内を下降する。このとき、ダウンカマ129内の炉水は、給水配管109を介して原子炉圧力容器102内に供給された水素を含む給水と混合される。給水と混合された炉水は、再循環ポンプ113により再循環系配管112内に流入する。再循環系配管112の炉水は、ダウンカマ129内に設置されたジェットポンプ(図示せず)内に供給される。この炉水は、ジェットポンプから吐出されて炉心101に供給される。
再循環系配管112内に流入した炉水の一部は、浄化系配管115に導かれ、浄化装置116によって浄化される。浄化された炉水は、浄化系配管115及び給水配管109を通って原子炉圧力容器102内に戻される。浄化系配管115内を流れる浄化された炉水には、貴金属注入装置126から貴金属(例えば、白金)を含む水溶液が添加される。白金を含む炉水は、給水配管109を通って原子炉圧力容器102内に導かれる。炉水に添加された白金は、原子炉圧力容器102内の炉内構造物の表面や再循環系配管112、浄化系配管115等の内面等に付着する。
このように、沸騰水型原子炉プラントでは、SCCの抑制策として、水素注入及び貴金属注入を行っている。水素注入により、炉水に接触する構造部材の腐食電位が低下し、構造部材におけるSCCの発生及び進展が緩和される。さらに、貴金属注入を水素注入と併用することで、水素注入による腐食電位の低減幅がさらに大きくなる。
これらのSCC抑制策の効果の確認や構造部材の腐食の発生や進展の管理・制御のためには、腐食環境下の構造部材の腐食電位を測定する必要がある。加えて、構造部材の腐食の発生や進展を管理・制御するための指標としてのワグナー長さを評価するためには、腐食環境下の実温実圧における炉水の導電率も測定する必要がある。
そこで、原子炉圧力容器102内(例えば、後述の炉内計測管131)、再循環系配管112、及びボトムドレン配管123の部分に、それぞれ、水素注入や貴金属注入時における構造部材の腐食電位及び炉水の導電率を測定可能な腐食環境測定装置1を設置している。
[第1の実施の形態]
次に、本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態を備えた腐食環境測定装置の構成を図2及び図3を用いて説明する。
図2は本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態を断面にした状態で示す腐食環境測定装置の構成図、図3は図2に示す本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態の一部を構成する電極部を拡大して示す縦断面図及びその縦断面図をA−A矢視から見た断面図である。なお、図2及び図3において、図1に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図2において、腐食環境測定装置1は、腐食環境センサ2と、腐食環境センサ2に接続された測定器3とで構成されている。腐食環境センサ2は、例えば、白金型の腐食電位センサと同等の腐食電位測定機能と、導電率センサとしての導電率測定機能とを併せ持つセンサである。測定器3は、例えば、腐食環境センサ2に接続された電位差計5と、腐食環境センサ2に接続されたポテンショスタット6と、ポテンショスタット6に接続された周波数応答分析器7とを備えている。
腐食環境センサ2は、原子炉プラントにおける腐食環境下の炉水が流通する構造部材(例えば、後述の炉内計測管131やサンプリング配管132等)に配置される略円筒状の金属製筐体21と、一端部(図2では下端部)が金属製筐体21の一方側(図2では上側)の開口部を閉塞するように金属製筐体21に取り付けられた略円柱状の絶縁部材22と、絶縁部材22の他端の先端面(図2では上端面)に取り付けられた電極部23と、電極部23に電気的に接続され、絶縁部材22及び金属製筐体21の内部に延在する第1の導線28及び第2の導線29と、金属製筐体21の内部において第1の導線28及び第2の導線29に電気的に接続されると共に、測定器3に接続される鉱物絶縁ケーブル31とで構成されている。
金属製筐体21内には、金属製筐体21と第1の導線28及び第2の導線29とを電気的に絶縁する電気絶縁体(図示せず)が充填されている。電気絶縁体は、プラント運転中の原子炉圧力容器102(図1参照)内の炉水の高温(例えば、約280°C)や高圧に対して耐熱性や耐圧性を有すると共に、炉心101(図1参照)から放射される放射線に対して耐放射線性を有する樹脂および無機絶縁材料のいずれかで製作されている。
絶縁部材22は、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア、チタニア、セリア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、及びサーメットのうち、何れか1種以上の材料を用いて形成されている。すなわち、絶縁部材22は、プラント運転中の原子炉圧力容器102内の炉水の高温や高圧に対して耐熱性や耐圧性を有すると共に、炉心101から放射される放射線に対して耐放射線性を有している。
電極部23は、図2及び図3に示すように、金属製筐体21と電気的に絶縁された状態で絶縁部材22に取り付けられた第1の金属電極24及び第2の金属電極25を有している。第1の金属電極24及び第2の金属電極25は、例えば、同一寸法の矩形状の平板である。具体例としては、例えば、1辺が5mmの正方形で、厚さが1mmの平板である。第1の金属電極24及び第2の金属電極25は、互いに一つの面が所定の間隔をあけて対向すると共に、互いに対向する平面がその法線方向で互いに重なり合うように平行に配置されている。この所定の間隔は、高い電気抵抗を有する炉水の導電率を測定可能な範囲に設定されている。さらに、この所定の間隔は、腐食環境センサ2を原子炉圧力容器102(図1参照)内等に設置した時に、腐食環境センサ2の設置領域の近傍に存在する金属製の構造部材と第1の金属電極24又は第2の金属電極25との距離よりも、最短の距離となるように設定されている。所定の間隔として、例えば、約1mmである。
第1の金属電極24及び第2の金属電極25は、例えば、白金により形成されている。つまり、第1の金属電極24及び第2の金属電極25は、不溶性、かつ、酸化被膜が形成されにくい性質を有している。また、放射線を受けても長寿命の放射性核種が生じない性質を有している。さらに、水素の電極反応が生じる性質を有しており、水素注入が行われた際の炉水中において、腐食電位測定における基準電位を発生する。
第1の金属電極24及び第2の金属電極25における絶縁部材22への取付部分の一部には、それぞれ第1の導線28及び第2の導線29が接続されている。第1の導線28及び第2の導線29は、異種間金属接触による腐食および熱起電力の発生を抑制するために、第1の金属電極24及び第2の金属電極25と同じ材料で形成されることが望ましい。
第1の金属電極24及び第2の金属電極25の表面のうち、互いに対向する面、絶縁部材22への取付部分、及び1組の導線28、29の接続部分を除いた表面は、耐熱性や耐放射線性等を有する絶縁材料で形成された絶縁被覆部26により被覆されている。絶縁被覆部26は、導電率の測定の際に、腐食環境センサ2の設置領域の近傍に存在する金属製の構造部材に対して第1の金属電極24及び第2の金属電極25を電気的に絶縁し、第1の金属電極24及び第2の金属電極25の対向する面の間に存在する炉水中を電流が確実に流れるように電流経路を規定するものである。絶縁被覆部26は、絶縁部材22と同様に、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア、チタニア、セリア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、及びサーメットのうち、何れか1種以上の材料を用いて形成されている。絶縁被覆部26は、第1の金属電極24及び第2の金属電極25と共に電極部23を構成している。
鉱物絶縁ケーブル31は、図2に示すように、筒状の金属製の外皮(シース)32と、外皮32内に配置されて、第1の導線28及び第2の導線29にそれぞれ電気的に接続された第1の芯線33及び第2の芯線34と、外皮32と第1の芯線33及び第2の芯線34との間に充填され、アルミナ等の鉱物で形成された電気絶縁体(図示せず)とで構成されている。電気絶縁体は、外皮32と第1の芯線33及び第2の芯線34とを電気的に絶縁するものである。鉱物絶縁ケーブル31は、その一部が金属製筐体21の内部に配置されると共に、残りの部分が金属製筐体21の外側に延在している。鉱物絶縁ケーブル31は、その外皮32が金属製筐体21の他端(図2では下端)に取り付けられている。
電位差計5は、内部インピーダンスが100TΩ以上のものである。電位差計5の一方のリード線41は、腐食環境センサ2の鉱物絶縁ケーブル31の第2の芯線34に接続されている。他方のリード線42は、腐食電位を測定する際に、腐食電位を測定する配管等の構造部材に接続される。各リード線41、42をこのように接続した電位差計5により、鉱物絶縁ケーブル31の第2の芯線34に電気的に接続されている第2の金属電極25の電位と構造部材の電位との電位差を測定する。
ポテンショスタット6は、対極接続用リード線44及び参照極接続用リード線45がともに、鉱物絶縁ケーブル31の同じ第1の芯線33に接続されている。それに対して、作用極接続用リード線46は、鉱物絶縁ケーブル31の第2の芯線34に接続されている。ポテンショスタット6の作用極接続用リード46が電位差計5の一方のリード線41と同じ鉱物絶縁ケーブル31の第2の芯線34に接続されているが、電位差計5の内部インピーダンスが100TΩ以上と高いので、導電率の測定時に流れる電流は電位差計5側にほとんど流れない。このため、導電率の測定と腐食電位の測定は、相互に影響を及ぼすことがない。つまり、腐食環境測定装置1は、それ単体で、構造部材の腐食電位及び炉水の導電率の両方を測定可能である。
周波数応答分析器7は、その電圧出力端子がポテンショスタット6の電位入力端子に接続されると共に、その電圧入力端子がポテンショスタット6の電流出力端子に接続されている。
次に、本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態を備えた腐食環境測定装置を用いた構造部材の腐食電位及び炉水の導電率の測定方法を図3及び図4を用いて説明する。ここでは、腐食環境センサ2を原子炉圧力容器102内に設けられた炉内計装管131の内部に設置して炉内計装管131の腐食電位及び炉水の導電率の測定する方法について説明する。
図4は本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態を備えた腐食環境測定装置を用いた沸騰水型原子炉プラントの原子炉内の腐食環境の測定方法を示す説明図である。である。なお、図4において、図1乃至図3に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、原子炉圧力容器102内に設けられた炉内計測管131には、原子炉圧力容器102内の炉水が炉内計測管131内に流入可能に通水孔131aが設けられている。この炉内計測管131内に腐食環境測定装置1の腐食環境センサ2を固定する。腐食環境センサ2は、炉内計測管131の腐食電位と原子炉圧力容器102内の炉水の導電率との両方を検出する。腐食電位を測定する際には、電位差計5の他方のリード線42を炉内計測管131に予め接続しておく。
腐食電位の評価は、炉内計測管131の内面と腐食環境センサ2の第2の金属電極25との間の電位差を電位差計5によって測定することで行われる。原子炉圧力容器102内の構造部材には、構造部材に接触する炉水に含まれる酸素、過酸化水素、及び水素の各濃度、炉水の温度、並びに、炉水の流速の条件下に応じた電位が発生する。それに対して、第2の金属電極25には、炉水に含まれる水素濃度に応じた基準電位が発生する。
導電率の測定は、第1の金属電極24及び第2の金属電極25の間の炉水の液抵抗を測定することで行われる。液抵抗の測定は、上記した電位差計5による腐食電位の測定と同時に、例えば、ポテンショスタット6及び周波数応答分析器7を用いた電気化学インピーダンス法により行う。周波数応答分析器7を用いて周波数を1mHzから100kHzに変化させた交流の正弦波電圧を、ポテンショスタット6を介して、第1の金属電極24及び第2の金属電極25との間に印加する。正弦波電圧の印加によりこれら一対の金属電極24、25間に流れた交流電流をポテンショスタット6で測定する。印加された周波数が1mHzから100kHz間の交流電圧と測定された交流電流とからインピーダンスを算出する。算出されたインピーダンスの実数成分を横軸に、虚数成分を縦軸に表示してナイキストプロットを作成し、高周波数側の半円の切片から液抵抗Rを算出する。この液抵抗Rの測定結果に基づいて、以下に示す式(1)から導電率を算出する。
R=κ−1・L・A−1 … 式(1)
ここで、Rは炉水の液抵抗、κは導電率、Lは一対の金属電極間の距離、Aは一対の金属電極間の導通部の断面積を示している。
本実施の形態においては、図3に示すように、各金属電極24、25の表面のうち、互いに対向する面、絶縁部材22への取付部分、及び1組の導線28、29の接続部分を除いた表面を、絶縁被覆部26により被覆することで、第1の金属電極24及び第2の金属電極25間の炉水中を確実に電流が流れるように導通部(電流経路)Pを規定することができる。このため、上記の式(1)のセル定数L・A-1を定めることができ、液抵抗Rの測定結果に基づいて上記の式(1)から正確な導電率を算出することができる。
また、本実施の形態においては、第1の金属電極24及び第2の金属電極25が同一寸法の矩形状の平板であり、互いに対向するように平行に配置されているので、導通部(電流経路)Pを2電極間に存在する略直方体状の部分に規定することができる。したがって、第1の金属電極24及び第2の金属電極25の幾何的形状及び配置からセル定数L・A-1を算出することができる。つまり、セル定数L・A-1は、第1の金属電極24及び第2の金属電極25の間の距離をLとし、第1の金属電極24及び第2の金属電極25の平板の対向する1面の面積をAとすることで求めることができる。具体例としては、上記構成の説明で示したように、第1の金属電極24及び第2の金属電極25を1辺5mmの正方形の平板電極とし、1mmの間隔をあけて平行に配置させた場合、セル定数L・A-1は、L=1×10-3(m)、A=25×10-6(m)から2.5×10-8(1/m)と求まる。既知のこのセル定数L・A-1及び液抵抗Rの測定結果に基づき、上記の式(1)から導電率κを算出する。
それに対して、本実施の形態とは異なり、第1の金属電極24及び第2の金属電極25に絶縁被覆部26が被覆されていない場合には、これらの金属電極24、25間に存在する炉水中を確実に電流が流れるように電流の導通部(電流経路)を規定することができない。例えば、第1の金属電極24の側面から第2の金属電極25の側面に大きな円弧を描くように電流が流れる可能性がある。また、第1及び第2の金属電極24、25の対向する面以外の平面から近接する金属製の構造部材に電流が流れる可能性もある。つまり、セル定数L・A-1を定めることができないので、正確な導電率を算出することはできない。
腐食環境測定装置1による測定の結果、原子炉圧力容器102内の炉水の導電率が上昇していることが判明した場合、それらの測定値に基づいて沸騰水型原子炉プラントに対してより適切な水質管理を行う。例えば、貴金属注入を実施しているときに、導電率が設定基準値を超えた場合、貴金属注入量を低下させるか又は貴金属注入を停止する。このような操作を行うことにより、炉水の導電率の上昇を抑えることができ、結果として、ステンレス鋼製等の構造部材におけるSCCの発生や構造部材のき裂の進展を抑制することができる。
上述した本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態によれば、1つの金属製筐体21に対して、一対の金属電極24、25を互いに1つの面が対向するように設けると共に、一対の金属電極24、25の対向する面以外の表面のほとんどを耐放射線性及び耐熱性の絶縁被覆部26で被覆したので、狭隘な設置スペースに一対の金属電極24、25を配置可能で、かつ、一対の金属電極24、25間を流れる電流の経路を確実に規定できる。すなわち、原子炉内等の狭隘な設置スペースにおいて腐食環境下の炉水(原子炉冷却水)の正確な導電率を測定することができる。その結果、原子炉内等の腐食環境下で実測した導電率に基づいて、腐食を抑制するための効果的な水化学管理を行うことができ、炉内構造部材の健全性の維持又は向上を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、第1の金属電極24及び第2の金属電極25をそれぞれ、水素の電極反応が生じる白金を用いて形成したので、腐食環境下の炉水の導電率の測定だけでなく、炉内構造部材の腐食電位の測定も可能である。
さらに、本実施の形態によれば、第1の金属電極24及び第2の金属電極25を、互いに対向する面を同一寸法の平面となるように形成すると共に、対向する平面がその法線方向で互いに重なり合うように平行に配置するように構成したので、第1の金属電極24及び第2の金属電極25の幾何学形状及び配置からセル定数を算出することができる。このため、導電率が既知の溶液を用いてセル定数を予め実験的に求めておく必要がない。
また、本実施の形態によれば、平板の第1の金属電極24及び第2の金属電極25を平行に配置したので、第1の金属電極24及び第2の金属電極25が炉水の流れ方向に沿うように腐食環境センサ2を設置することで、第1及び第2の金属電極24、25の間の炉水の流動性を確保することができる。
さらに、本実施の形態によれば、絶縁被覆部26を耐放射線性及び耐熱性を有する絶縁材料で形成したので、高温(約280℃)で高圧な炉水との接触や原子炉内で照射される放射線に対して、電気的絶縁性の性質を維持することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態を図5乃至図7を用いて説明する。
図5は本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態を示す縦断面図、図6は図5に示す本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態の一部を構成する電極部を拡大して示す縦断面図及びその側面図、図7は本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態を備えた腐食環境測定装置を用いた沸騰水型原子炉プラントの配管内の腐食環境の測定方法を示す説明図である。なお、図5乃至図7において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図5及び図6に示す本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態は、第1の実施の形態の電極部23に対して、その形状及び構成材料が相違するものである。具体的には、腐食環境センサ2Aの電極部23Aは、絶縁部材22の他端の先端面(図5及び図6では上端面)における径方向中央部に取り付けられた円柱状の第1の金属電極24Aと、内周面が第1の金属電極24Aの外周面と所定の間隔をあけて対向し、第1の金属電極24Aと同心状に絶縁部材22の先端面に取り付けられた円筒状の第2の金属電極25Aとを有している。この所定の間隔は、第1の実施の形態の場合と同様に、高い電気抵抗を有する炉水の導電率を測定可能な範囲に設定されている。さらに、腐食環境センサ2Aを設置した時に、腐食環境センサ2Aの設置領域の近傍に存在する金属製の構造部材と第1の金属電極24A又は第2の金属電極25Aとの距離よりも最短の距離となるように設定されている。所定の間隔として、例えば、約1mmである。第1の金属電極24A及び第2の金属電極25Aは、略同一の高さ(図5及び図6での上下方向の長さ)を有している。
また、第1の金属電極24A及び第2の金属電極25Aは、白金でめっきされたチタン製である。白金でめっきされたチタン製の電極は、白金製の電極と同様に、不溶性、酸化被膜が形成されにくい性質、放射線を受けても長寿命の放射性核種が生じない性質、及び水素の電極反応が生じる性質を有している。
絶縁被覆部26Aは、第1の実施の形態の絶縁被覆部26の場合と同様に、第1の金属電極24Aの表面のうち、第2の金属電極25Aに対向する面、絶縁部材22への取付部分、第1の導線28の接続部分を除いた表面、すなわち、第1の金属電極24Aの円状の先端面(図5及び図6では上端面)を被覆している。また、第2の金属電極25Aの表面のうち、第1の金属電極24Aに対向する面(内周面)、絶縁部材22への取付部分、第2の導線29の接続部分を除いた表面、すなわち、第2の金属電極25Aの外周面及び円環状の先端面(図5及び図6では上端面)を被覆している。
次に、本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態を備えた腐食環境測定装置を用いた構造部材の腐食電位及び炉水の導電率の測定方法を図7を用いて説明する。ここでは、腐食環境センサ2Aをボトムドレン配管123(図1参照)に接続されたサンプリング配管132内に設置して構造部材の腐食電位及び炉水の導電率の測定する方法について説明する。
まず、腐食環境センサ2Aをサンプリング配管132に設置する前に、上記の式(1)におけるセル定数L・A−1を予め定めておく。具体的には、導電率κが133μS/cmと既知である0.0746g/1.0kgのKCl水溶液中に腐食環境センサ2Aの電極部23A(図5参照)を浸漬し、ポテンショスタット6と周波数応答分析器7を用いて液抵抗Rを測定する。液抵抗Rの測定方法は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、電気化学インピーダンス法を用いて測定する。測定された液抵抗Rと既知の導電率κとに基づいて、上記の式(1)からセル定数L・A−1を算出する。
次に、図7に示すように、サンプリング配管132から分岐した分岐管132aに腐食環境測定装置1Aの腐食環境センサ2Aを設置する。腐食環境センサ2Aは、サンプリング配管132の腐食電位とサンプリング配管132内を流動する炉水の導電率との両方を検出する。腐食電位を測定する際には、電位差計5の他方のリード線42をサンプリング配管132に予め接続しておく。
腐食電位の評価は、第1の実施の形態の場合と同様に、サンプリング配管132の内面と腐食環境センサ2Aの第2の金属電極25Aとの間の電位差を電位差計5によって測定することで行われる。
導電率の測定は、第1の金属電極24A及び第2の金属電極25Aの間の炉水の液抵抗を測定することで行われる。液抵抗の測定は、第1の実施の形態の場合と同様に、上記した電位差計5による腐食電位の測定と同時に、ポテンショスタット6及び周波数応答分析器7を用いた電気化学インピーダンス法により行う。本実施の形態においては、セル定数L・A−1が予め決定されているので、液抵抗Rの測定結果に基づいて、上記の式(1)から導電率κを算出することが可能である。
本実施の形態においては、第1及び第2の金属電極24A、25Aの表面のうち、第1及び第2の金属電極24A、25Aの対向する面、絶縁部材22への取付部分、第1及び第2の導線28、29の接続部分を除いた表面を、絶縁材料で形成した絶縁被覆部26Aで被覆したので、第1の金属電極24A及び第2の金属電極25A間の炉水中を確実に電流が流れるように電流の導通部(電流経路)を規定することができる。このため、セル定数L・A-1を決定することができるので、液抵抗Rの測定結果に基づいて、上記の式(1)から正確な導電率を算出することができる。
上述した本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、第1及び第2の金属電極24A、25Aを、白金でめっきした不働態の金属電極としたので、白金等の高価な金属の使用量を低減でき、その結果、材料コストを低減することができる。
[その他の実施の形態]
なお、上述した本発明の腐食環境センサの第1の実施の形態においては、第1及び第2の金属電極24、25として、白金製の電極を用いた例を示したが、白金以外の、不溶性、酸化被膜が形成されにくい性質、放射線を受けても長寿命の放射性核種が生じない性質、及び水素の電極反応が生じる性質の4つの性質を有する金属材料により形成された金属電極を用いることも可能である。すなわち、第1及び第2の金属電極24、25を、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びオスミウムのうち、何れか1種以上の材料を用いて形成することができる。
また、上述した本発明の腐食環境センサの第2の実施の形態においては、第1及び第2の金属電極24A、25Aとして、白金でめっきしたチタン製の金属電極を用いた例を示したが、不溶性、酸化被膜が形成されにくい性質、放射線を受けても長寿命の放射性核種が生じない性質、及び水素の電極反応が生じる性質の4つの性質を有する金属材料によりめっきされた金属電極を使用することも可能である。すなわち、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びオスミウムのうち、何れか1種以上の材料を用いてめっきした不働態の金属電極を用いることも可能である。
なお、上述した第1の実施の形態においては、第1及び第2の金属電極24、25として、上記金属材料により形成された金属電極を用いた例を示したが、第1及び第2の金属電極として、上述した第2の実施の形態の第1及び第2の金属電極24A、25Aのように、上記金属材料のうち、何れか1種以上の金属材料を用いてめっきした不働態の金属電極を用いることも可能である。
また、上述した第2の実施の形態においては、第1及び第2の金属電極24A、25Aとして、上記金属のうち、何れか1種以上の金属材料でめっきした不働態の金属電極を用いた例を示したが、上述した第1の実施の形態の第1及び第2の金属電極24、25のように、上記金属材料のうち、何れか1種以上の金属材料で形成した金属電極を用いることも可能である。
なお、上述した実施の形態においては、第2の金属電極25、25Aを用いて構造部材の腐食電位を測定した例を示したが、第1の金属電極24、24Aを用いて構造部材の腐食電位を測定することも可能である。
また、上述した第1の実施の形態においては、第1及び第2の金属電極24、25を同一寸法の矩形状の平板に形成した例を示したが、第1及び第2の金属電極を矩形状以外の任意の外形の同一寸法の平板に形成することも可能である。また、対向する面が同一寸法の平面であって、対向する面がその法線方向で互いに重なり合うように平行に配置可能な形状であれば、平板以外の金属電極も可能である。例えば、矩形状の平面を対向するように配置した一対の半円柱状の金属電極を用いることも可能である。この場合も、平板の第1の金属電極24及び第2の金属電極25と同様に、対向する平面が炉水の流れ方向に沿うように配置することで、一対の半円柱状の金属電極間に存在する炉水の流動性を確保することができる。
なお、上述した第2の実施の形態においては、第1の金属電極24Aを円柱状に形成した例を示したが、第1の金属電極を円筒状に形成することも可能である。
また、本発明は上述した第1及び第2の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
2、2A…腐食環境センサ、 21…金属製筐体、 22…絶縁部材、 24、24A…第1の金属電極(一対の金属電極)、 25、25A…第2の金属電極(一対の金属電極)、 26、26A…絶縁被覆部、 28…第1の導線(1組の導線)、 29…第2の導線(1組の導線)、 131…炉内計装管(構造部材)、 132…サンプリング配管(構造部材)

Claims (6)

  1. 原子炉プラントにおける腐食環境下の原子炉冷却水が流通する構造部材に配置される筒状の金属製筐体と、
    耐放射線性及び耐熱性を有する絶縁材料で形成され、前記金属製筐体に取り付けられた絶縁部材と、
    互いに一つの面が所定の間隔をあけて対向すると共に、前記金属製筐体と電気的に絶縁された状態で前記絶縁部材に取り付けられた一対の金属電極と、
    前記一対の金属電極にそれぞれ電気的に接続され、前記金属製筐体と電気的に絶縁された状態で前記絶縁部材及び前記金属製筐体の内部に延在する1組の導線と、
    耐放射線性及び耐熱性を有する絶縁材料で形成され、前記一対の金属電極の各表面のうち、互いに対向する面、前記絶縁部材への取付部分、及び前記1組の導線の接続部分を除いた表面を被覆している絶縁被覆部とを備える
    ことを特徴とする腐食環境センサ。
  2. 請求項1に記載の腐食環境センサにおいて、
    前記一対の金属電極は、互いに対向する面が同一寸法の平面であり、対向する平面がその法線方向で互いに重なり合うように平行に配置されている
    ことを特徴とする腐食環境センサ。
  3. 請求項1に記載の腐食環境センサにおいて、
    前記一対の金属電極は、
    円柱状又は円筒状の第1の金属電極と、
    前記第1の金属電極の外周側に前記第1の金属電極と同心状に配置された円筒状の第2の金属電極とで構成される
    ことを特徴とする腐食環境センサ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の腐食環境センサにおいて、
    前記一対の金属電極は、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのうち何れか1種以上の材料を用いて形成されている
    ことを特徴とする腐食環境センサ。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の腐食環境センサにおいて、
    前記一対の金属電極は、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのうち何れか1種以上の材料を用いてめっきした不動態の電極である
    ことを特徴とする腐食環境センサ。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の腐食環境センサにおいて、
    前記絶縁被覆部は、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア、チタニア、セリア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、サーメットのうち何れか1種以上の材料を用いて形成されている
    ことを特徴とする腐食環境センサ。
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