JP6445803B2 - 定盤ユニット - Google Patents
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Description
薄状基板を定盤上で加工を行う際、一般には、薄状基板をロボット等で把持し定盤上まで搬送して載置部にセッティングされる。また、加工が行われた薄状基板もロボット等を用いて定盤から搬出される。
ガラス基板を搬入・搬出する方法として、ロボットアーム先端に設けた吸引部で吸引して行う方法や、ロボットフォーク上に載せて行う方法及びロボットハンドで把持して行う方法等がある。
ガラス基板が薄い場合、吸引する方法によるとガラス基板の吸引された部分が変形してしまうことから、ロボットフォーク又はロボットハンドを用いることが多い。
そこで、薄状基板の搬入・搬出に際し薄状基板を定盤上で浮かせる技術として、特許文献1に開示されているリフトピンを用いた方法が知られている。
この方法では、ガラス基板をロボットフォークに載せて定盤上に搬入する際、リフトピンを、ロボットフォークと重ならない位置で定盤から突出させるようにしている。このようにすると、ガラス基板だけが持ち上げられて、ロボットフォークとガラス基板との間に隙間が形成できるので、ロボットフォークだけを引き抜くことができる。
また、加工が行われたガラス基板に対しては、定盤からリフトピンを突出させることで、ガラス基板と定盤との間に隙間が形成できるので、ガラス基板の周縁をロボットハンドにより把持することができる。
ピンに代えて、複数の線状材をガラス基板の下に配置して持ち上げる方法も考えられる。この方法によれば、ガラス基板と線状材との接触が線接触であることから、ガラス基板の定盤への搬入・搬出の際の一連の作業を高速で行っても複数本の線状材全体に衝撃が分散されて上記問題を生じない。また、ガラス基板のたわみと線状材のたわみが同化するため、線状材を高速で上下させてもガラス基板に無理な力がかからず損傷しにくい。
ところが、この方法では、線状材が定盤の載置部に露出するため、ガラス基板を定盤の載置部にセッティングすると、ガラス基板と載置部の間に線状材が介在することになる。
このため、この状態のままガラス基板に対し研磨等の加工を行うと、線状材と接触箇所に過度の圧力がかかって基板を破損したり、均一な加工処理が施せなくなるなど、載置部においてガラス基板を適切に加工できないといった問題を生じる。
図1は、本発明の実施形態に係る定盤ユニットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る定盤ユニットにおける線状材の上下動作を説明するための図である。
これらの図に示すように、本実施形態の定盤ユニットは、ガラス基板10(薄状基板)を載置するための定盤11を備える。
定盤11は、コンクリート等の基礎構造物に固定された複数のポール部材14により水平に支持され、上面に矩形状の載置部12を有する。
載置部12は、定盤11上面のほぼ中央部に形成されたガラス基板10を載置する領域であり、平坦状に形成されている。
ガラス基板10は、載置部12に載置された状態で、研磨等の加工が行われる。
具体的には、後記の支持部材18によって載置部12上に架設されたワイヤー17(線状材)を、載置面より露出せずに収容することができる溝16を収容部として形成する。
溝16を設けることで、ワイヤー17を載置部12上に架設しつつも、載置部12にセッティングしたガラス基板10と載置部12との間にワイヤー17が介在することを防止することができる。
これにより、ガラス基板10の加工の際にワイヤー17が邪魔にならないため、ワイヤー17との接触によりガラス基板10が破損したり均一な加工ができないといった問題を生じなくすることができる。
溝16は、線状材の収容部として機能すべく、ワイヤー17の直径より大きい幅及び深さで形成される。
また、溝16は、少なくとも、架設されるワイヤー17の本数に対応した数の溝16を備える。
本実施形態の定盤ユニットでは、4本のワイヤー17が架設され、これに対応した4つの溝16が形成されている。
図4(a)は図1及び図3のA−A断面図、図4(b)は図3のB−B断面図、図4(c)は図3のC−C断面図である。
線状材は、例えば、0.2mm〜0.5mmの直径のスチール製のワイヤー17を用いることができる。
線状材をこのような太さとしたのは、直径が0.2mm未満では、強度が不足して断線するおそれがあり、他方、直径が0.5mmを超えると、ガラス基板10との接触面が大きくなって、接触の際にゴミが発生し易いことから、このような問題を回避するためである。
また、溝16は、線状材への溝内塵埃の接触を避けるため、線状材の径より大きめとし、例えば、0.4mm〜1.0mmの幅及び深さに形成することが好ましい。
このような線状材と溝16との関係によれば、ワイヤー17を、定盤11の載置面から露出しない態様で、溝16内に収容することができ、載置部12に載置されたガラス基板10を複数本のワイヤー17により持ち上げることが可能となる。
また、図3(a),(b)及び図4(b)に示すように、全部又は一部の本数(内側の2本)についてワイヤー17の表面に樹脂171をコーティングした線状材を用いることもできる。
このように、表面が樹脂171によりコーティングされたワイヤー17を線状材として用いることによって、ワイヤー17がガラス基板10を持ち上げる際の衝撃を樹脂171により吸収させることができる。
これにより、ワイヤー17との接触によりガラス基板10が傷付けられることを防ぐことができる。
樹脂171によるコーティングの厚みは、0.1mm程度となる。また、コーティングには、DLC(Diamond−Like Carbon)を用いることもでき、この場合のコーティングの厚みは0.003mm程度となる。
ワイヤー17の一部において樹脂コーティングされていない線状材を用いるのは、樹脂素材が、ガラス基板10を傷付けにくいメリットがある反面、定盤11等との摩擦により静電気が帯電し易いためである。
すなわち、ワイヤー17の樹脂表面において静電気が帯電すると、ガラス基板10に触れたときに放電が起こり、ガラス基板10に実装された電子回路に意図しない高い電圧の電流が流れて、故障を及ぼすことがあるからである。
この点、一部に樹脂コーティングされていないワイヤー17を用い、樹脂コーティングされていないワイヤー17の露出部分(導体部分)に接地線を接続できるようにしておけば、樹脂表面に生じた静電気を逃がすことができ、これによりガラス基板10に実装された電子部品を保護することができる。例えば、ワイヤー17が溝16に収容されたときにワイヤー17の導体部分と接地線が接触するように、予め接地線の端子を溝16内に設置しておくことにより可能となる。
フレーム13の上面には、ワイヤー17を定盤11上に架設するための支持部材18が取り付けられてある。
支持部材18(18a,18b)は、左右のフレーム13の対向する位置にそれぞれ取り付けられ、ワイヤー17の端部を各支持部材18によりそれぞれ支持させることでワイヤー17を定盤11(載置部12)上に架設するようにしている。
以下、支持部材18(18a,18b)を用いたワイヤー17の具体的な架設方法について説明する。
図5に示すように、支持部材18は、ワイヤー17の端部を固定するためのボルト183等の固定部材と、この固定部材にワイヤー17を案内する滑車182とが、L字状の取付金具181の起立した面の上部及び下部に取り付けられて構成される。
なお、図5(a)は、支持部材18aが、左方のフレーム13上に取り付けられ、図5(b)は、支持部材18bが、右方のフレーム13上に取り付けられた例について図示している(図1,2参照)。
ただし、このような態様に限らず、支持部材18aが右方に取り付けられ、支持部材18bが左方に取り付けられてもよく、支持部材18bが両方に取り付けられる態様であってもよい。
次いで、貫通孔187より大きいカシメ部材186により端部処理が施されたワイヤー17を、その開放端側から貫通孔187に挿通し、取付金具181上部の滑車182を介して対向する支持部材18aに向けて配設する。
続いて、支持部材18aにおいて、取付金具181上部の滑車182を介して案内されたワイヤー17の端部を、取付金具181下部の座金付きナット184で挟みつつボルト183により固定する。
これにより、対向する支持部材18aと支持部材18bとの間にワイヤー17を架設することができる。
具体的には、ボルト183を時計回りに回すことによって、ワイヤー17の張力を強めることができ、ボルト183を反時計回りに回すことによって、ワイヤー17の張力を弱めることができる。
すなわち、支持部材18bは、ワイヤー17の張力を調整する張力調整部材としても機能する。
支持部材18bは、ワイヤー17ごとに設けているため、複数本のワイヤー17を架設するに当たり、ワイヤー17間に張力差が生じないように1本ずつ調整しつつ保持させることが可能となっている。
従って、ガラス基板10をワイヤー17により持ち上げた際、複数本のワイヤー17間における張力差のためにガラス基板10に歪みが生じて破損することを防ぐことができる。
支持部材18により架設されたワイヤー17は、昇降装置20によって上下動させることができる。
具体的には、昇降装置20は、電動シリンダ21と、ロッドなどの伸縮部材22と、ガイド部材23と、筐体24によって構成される。
電動シリンダ21は、モーターを内蔵し、このモーターの回転に応じ伸縮部材22が上下方向に伸縮する。電動シリンダ21は、床面に設置された筐体24に固定するとともに、伸縮部材22の先端部が、フレーム13の下面に固定してある。
ガイド部材23は、フレーム13を上下方向に案内するため、床面に対し垂直方向に延びるフレーム13の側面と対応する筐体24の側面に取り付けてある。
このようにすると、電動シリンダ21を作動させ、伸縮部材22を伸ばすことでフレーム13を上方に移動させることができ、これに応じて、フレーム13上に取り付けた支持部材18を上方に移動させることができる。また、伸縮部材22を縮めることでフレーム13を下方に移動させることができ、これに応じて、フレーム13上に取り付けた支持部材18を下方に移動させることができる(図2参照)。
このとき、ガラス基板10は、複数本のワイヤー17がそれぞれ線接触させた状態で支持される。また、このようにガラス基板10がワイヤー17により支持されている状態においては、ワイヤー17のたわみとガラス基板10のたわみが同化される。
これにより、衝撃による破損を防ぎつつガラス基板10を上下動させることができる。
また、昇降装置20においては、伸縮部材22の伸縮動作を速め、フレーム13に支持されたワイヤー17の移動を高速化することができる。
このため、ガラス基板10を、無理な力が加わることなく高速に上下動させることができる。
ガラス基板10の定盤11に対する搬入及び搬出は、このような複数本のワイヤー17の上下動に同期したガラス基板10の上下動を利用して行う。
以下、ガラス基板10の搬入方法及び搬出方法について説明する。
図6は、ガラス基板の搬入方法を説明するための図である。
図6(a)に示すように、初期状態において、定盤11(載置部12)にはガラス基板10が載置されておらず、かつ、複数本のワイヤー17が各溝16に収容されている。
ここで、ガラス基板10の搬入は、複数本のフォークがほぼ平行に延びるロボットフォーク30を用いて行う。
具体的には、まず、ガラス基板10が配置されたロボットフォーク30を、定盤11(載置部12)上にセットしてガラス基板10を搬入する(b)。なお、各フォークは、いずれも載置部12上の溝16、すなわち、ワイヤー17とは重ならない領域に配置する。
続いて、ロボットフォーク30を引き抜く(d)。前工程(c)において、ガラス基板10とロボットフォーク30との間に隙間が形成されているため、ロボットフォーク30だけを引き抜くことができる。
そして、ワイヤー17を下げる(e)。これにより、ワイヤー17が溝16に収容されるとともに、ガラス基板10が載置部12上に載置される。
図7は、ガラス基板の搬出方法を説明するための図である。
図7(a)に示すように、加工の行われたガラス基板10が、定盤11(載置部12)上に載置され、かつ、ワイヤー17が溝16に収容されている。
まず、ワイヤー17を上昇させる(b)。具体的には、昇降装置20によりフレーム13(支持部材18)を上昇させることによって、架設状体のワイヤー17を上昇させる。これにより、ガラス基板10は、複数本のワイヤー17により持ち上げられ、定盤11(載置部12)との間に隙間が形成される。
ここで、ガラス基板10の搬出は、2本以上の指部により薄状基板の把持が可能なロボットハンド31を用いて行う。具体的には、前工程(b)において、定盤11との間に隙間が形成されることで把持可能となったガラス基板10の両側の周縁を、2つのロボットハンド31によりそれぞれ把持し(c)、定盤ユニットの外部に搬出する(d)。
ガラス基板10がロボットハンド31により把持され搬出された後、ワイヤー17を下げることによって、ワイヤー17が溝16に収容され、初期状態に戻る(e)。
例えば、リフトピンを用いた従来の場合、搬入・搬出のためのリフトアップに2.5秒、リフトダウンに2.0秒要していたのに対し、本発明によればリフトアップ及びリフトダウンにそれぞれ0.7秒しか要することがなく、3.1秒短縮することができる。
また、ワイヤー17は、上述した実施形態に限らず、薄状基板のサイズ、材質等に応じ、任意の本数を所定の間隔で架設することができる。
また、図5(b)に示す支持部材18bの構造に限らず、線状材を巻き取って固定することが可能な部材であれば張力調整部材として用いることもできる。
また、ガラス基板10の搬入手段としてロボットフォーク30を用い、搬出手段としてロボットハンド31を用いる場合について説明したが、ロボットフォーク30を搬出に用い、ロボットハンド31を搬入に用いてもよく、また、いずれか一方を用いて搬出及び搬出を行う場合にも適用することができる。
11 定盤
12 載置部
13 フレーム
14 ポール部材
16 溝(収容部)
17 ワイヤー(線状材)
171 樹脂
18 支持部材
20 昇降装置
21 電動シリンダ
22 伸縮部材
23 ガイド部材
24 筐体
30 ロボットフォーク
31 ロボットハンド
Claims (3)
- 加工される薄状基板が載置される載置部を有する定盤と、
前記定盤の対向する側方にそれぞれ位置するフレームと、
前記フレームの対向する位置にそれぞれ設けられ、前記定盤上に架設する複数本の線状材の端部をそれぞれ支持する支持部材と、
前記支持部材を上下動させることによって前記複数本の線状材を同期して上下動させ、前記載置部に対する前記薄状基板の搬入及び搬出を行う昇降装置と、を備え、
前記薄状基板を前記載置部に載置したときに、前記線状材が前記薄状基板と当たらないようにするため、前記定盤に、前記線状材の収容部を設け、
前記線状材は、導体であるワイヤと、前記ワイヤの表面を、一部に露出部分を形成した状態で樹脂コーティングした部分とにより構成され、
前記露出部分における前記ワイヤは、前記線状材が前記収容部に収容された状態において接地線と接続され、当該接地線を介して、前記線状材に帯電した静電気を放電可能である
ことを特徴とした定盤ユニット。 - 前記収容部は、前記定盤の表面に凹設され、
前記線状材は、
前記収容部に収容された状態において前記薄状基板を支持しない
ことを特徴とする請求項1に記載の定盤ユニット。 - 前記複数本の線状材が張力調整部材を介して前記フレームに保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定盤ユニット。
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