以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[電動車両の説明]
(車両の全体構成)
図1は、本実施の形態に従う電動車両の一例として示されるハイブリッド車両10の全体構成図である。図1を参照して、ハイブリッド車両10は、エンジン12と、差動部20と、変速機30と、差動歯車装置42と、駆動輪44とを備える。また、ハイブリッド車両10は、インバータ52と、コンバータ54と、蓄電装置56と、制御装置60とをさらに備える。
エンジン12は、燃料の燃焼による熱エネルギをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギに変換することによって動力を出力する内燃機関である。差動部20は、エンジン12に連結される。差動部20は、インバータ52によって駆動されるモータジェネレータと、エンジン12の出力を変速機30への伝達部材とモータジェネレータとに分割する動力分割装置とを含む。差動部20の構成については、後ほど説明する。
変速機30は、差動部20に連結され、差動部20に接続される上記伝達部材(変速機30の入力軸)の回転速度と、差動歯車装置42に接続される駆動軸(変速機30の出力軸)の回転速度との比(変速比)を変更可能に構成される。変速機30は、変速比を段階的に変更可能な有段式の変速機によって構成され、本実施の形態では、複数の摩擦要素(クラッチやブレーキ)を含む自動変速機とする。差動歯車装置42は、変速機30の出力軸に連結され、変速機30から出力される動力を駆動輪44へ伝達する。変速機30の構成についても、差動部20とともに後ほど説明する。
インバータ52は、制御装置60によって制御され、差動部20に含まれるモータジェネレータを駆動する。インバータ52は、たとえば、三相分の電力用半導体スイッチング素子を含むブリッジ回路によって構成される。
コンバータ54は、インバータ52と蓄電装置56との間に電気的に接続される。コンバータ54は、制御装置60によって制御され、インバータ52に供給される電圧を調整する。詳しくは、コンバータ54は、インバータ52に供給される電圧を蓄電装置56の電圧以上に昇圧する。コンバータ54は、たとえば、電流可逆型の昇圧チョッパ回路によって構成される。
蓄電装置56は、再充電可能な直流電源であり、代表的には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池によって構成される。なお、二次電池に代えて電気二重層キャパシタなどの蓄電要素によって蓄電装置56を構成してもよい。
制御装置60は、エンジンECU(Electronic Control Unit)62と、MG−ECU64と、電池ECU66と、ECT−ECU68と、HV−ECU70とを含む。これらの各ECUは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置、入出力バッファ等を含み(いずれも図示せず)、所定の制御を実行する。各ECUにより実行される制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
エンジンECU62は、HV−ECU70から受けるエンジントルク指令等に基づいて、エンジン12を駆動するためのスロットル信号や点火信号等を生成し、その生成した各信号をエンジン12へ出力する。
MG−ECU64は、HV−ECU70から受ける、差動部20に含まれるモータジェネレータのトルク指令等に基づいて、インバータ52を駆動するための制御信号を生成し、その生成した制御信号をインバータ52へ出力する。また、MG−ECU64は、HV−ECU70から受ける、コンバータ54の目標電圧(インバータ52の入力電圧の目標値)を示す電圧指令に基づいて、コンバータ54を駆動するための制御信号を生成し、その生成した制御信号をコンバータ54へ出力する。
電池ECU66は、蓄電装置56の電圧及び/又は電流に基づいて、蓄電装置56の充電状態(満充電状態に対する現在の蓄電量を百分率で表したSOC値によって示される。)を推定し、その推定値をHV−ECU70へ出力する。ECT−ECU68は、HV−ECU70から受けるトルク容量指令等に基づいて、変速機30を制御するための油圧指令を生成し、その生成した油圧指令を変速機30へ出力する。
HV−ECU70は、各種センサの検出信号を受け、ハイブリッド車両10の各機器を制御するための各種指令を生成する。主要なものとして、HV−ECU70は、アクセルペダルの操作量や車両速度等に基づいて、エンジン12及び差動部20を所望の状態に制御して走行するための各種指令を生成する。また、HV−ECU70は、変速機30を所望の変速状態に制御するための各種指令を生成する。
さらに、変速機30の変速中において、変速機30に連結される差動部20によって変速機30の変速が阻害されないように、さらには差動部20によって変速機30の変速がスムースに行なわれるように、HV−ECU70は、変速機30の変速中に、差動部20に含まれるモータジェネレータ(後述)のトルクを制御する。
図2は、図1に示した制御装置60に対して入出力される主な信号及び指令を示した図である。図2を参照して、HV−ECU70は、ハイブリッド車両10の速度を検出する車速センサからの信号、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサからの信号、エンジン12の回転数を検出するエンジン回転数センサからの信号を受ける。また、HV−ECU70は、差動部20に含まれるモータジェネレータMG1(後述)の回転速度を検出するためのMG1回転数センサからの信号、差動部20に含まれるモータジェネレータMG2(後述)の回転速度を検出するためのMG2回転数センサからの信号、変速機30の出力軸の回転速度を検出するための出力軸回転数センサからの信号をさらに受ける。
さらに、HV−ECU70は、差動部20及び変速機30の潤滑油の温度を検出する潤滑油温度センサからの信号、シフトレバーによって指示されるシフトポジションを検出するシフトポジションセンサからの信号、コンバータ54によって調整される電圧VH(インバータ52の入力電圧)を検出するVHセンサからの信号をさらに受ける。さらに、HV−ECU70は、蓄電装置56のSOC値を示す信号を電池ECU66から受ける。
そして、HV−ECU70は、上記の信号に基づいて、エンジン12の出力トルクの目標値を示すエンジントルク指令Terを生成してエンジンECU62へ出力する。また、HV−ECU70は、差動部20のモータジェネレータMG1,MG2のトルク指令Tgr,Tmrを生成してMG−ECU64へ出力する。また、HV−ECU70は、図3に示されるような変速線図に従って変速機30の変速段を決定し、その変速段を実現するためのトルク容量指令Tcrを生成してECT−ECU68へ出力する。
さらに、HV−ECU70は、コンバータ54により調整される電圧VHの目標値を示す目標電圧VHrを決定し、目標電圧VHrをMG−ECU64へ出力する。詳しくは、HV−ECU70は、モータジェネレータMG1,MG2の動作点に基づいて、予め準備されるマップ又は関係式を用いて上記の目標電圧VHrを決定する。
HV−ECU70からエンジントルク指令Terを受けたエンジンECU62は、エンジン12を駆動するためのスロットル信号や点火信号等を生成してエンジン12へ出力する。MG−ECU64は、HV−ECU70から受けるトルク指令Tgr,Tmrに基づいて、インバータ52によりモータジェネレータMG1,MG2を駆動するための信号PWI1,PWI2を生成し、インバータ52へ出力する。また、MG−ECU64は、HV−ECU70から受ける目標電圧VHrに基づいて、電圧VHが目標電圧VHrとなるようにコンバータ54を制御するための信号PWCを生成し、コンバータ54へ出力する。ECT−ECU68は、トルク容量指令Tcrに相当するトルク容量を変速機30が有するように油圧指令を生成して変速機30へ出力する。
(差動部及び変速機の構成)
図4は、図1に示した差動部20及び変速機30の構成を示した図である。なお、差動部20及び変速機30は、その軸心に対して対称的に構成されているので、図4では、差動部20及び変速機30の下側を省略して図示されている。
図4を参照して、差動部20は、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割装置24とを含む。モータジェネレータMG1,MG2の各々は、交流電動機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機によって構成される。モータジェネレータMG1,MG2は、インバータ52によって駆動される。
動力分割装置24は、シングルピニオン型のプラネタリギヤによって構成され、サンギヤS0と、ピニオンギヤP0と、キャリアCA0と、リングギヤR0とを含む。キャリアCA0は、入力軸22すなわちエンジン12の出力軸に連結され、ピニオンギヤP0を自転及び公転可能に支持する。サンギヤS0は、モータジェネレータMG1の回転軸に連結される。リングギヤR0は、伝達部材26に連結され、ピニオンギヤP0を介してサンギヤS0と噛み合うように構成される。伝達部材26には、モータジェネレータMG2の回転軸が連結される。すなわち、リングギヤR0は、モータジェネレータMG2の回転軸とも連結される。
動力分割装置24は、サンギヤS0、キャリアCA0及びリングギヤR0が相対的に回転することによって差動装置として機能する。サンギヤS0、キャリアCA0及びリングギヤR0の各回転数は、共線図(後述の図6)において直線で結ばれる関係になる。動力分割装置24の差動機能により、エンジン12から出力される動力がサンギヤS0とリングギヤR0とに分配される。サンギヤS0に分配された動力によってモータジェネレータMG1が発電機として作動し、モータジェネレータMG1により発電された電力は、モータジェネレータMG2に供給されたり、蓄電装置56に蓄えられたりする。動力分割装置24により分割された動力を用いてモータジェネレータMG1が発電したり、モータジェネレータMG1により発電された電力を用いてモータジェネレータMG2を駆動したりすることによって、差動部20は無段変速機として機能する。
変速機30は、シングルピニオン型のプラネタリギヤ32,34と、クラッチC1〜C3と、ブレーキB1,B2と、ワンウェイクラッチF1とを含む。プラネタリギヤ32は、サンギヤS1と、ピニオンギヤP1と、キャリアCA1と、リングギヤR1とを含む。プラネタリギヤ34は、サンギヤS2と、ピニオンギヤP2と、キャリアCA2と、リングギヤR2とを含む。
クラッチC1〜C3及びブレーキB1,B2の各々は、油圧により作動する摩擦係合装置であり、重ねられた複数枚の摩擦板が油圧により押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻付けられたバンドの一端が油圧によって引き締められるバンドブレーキ等によって構成される。ワンウェイクラッチF1は、互いに連結されるキャリアCA1及びリングギヤR2を一方向に回転可能とし、かつ、他方向に回転不能に支持する。
この変速機30においては、クラッチC1〜C3及びブレーキB1,B2、並びにワンウェイクラッチF1の各係合装置が、図5に示される係合作動表に従って係合されることにより、1速ギヤ段〜4速ギヤ段及び後進ギヤ段が択一的に形成される。なお、図5において、「○」は係合状態であることを示し、「(○)」はエンジンブレーキ時に係合されることを示し、「△」は駆動時にのみ係合されることを示し、空欄は解放状態であることを示す。また、クラッチC1〜C3及びブレーキB1,B2の各係合装置をすべて解放状態にすることにより、ニュートラル状態(動力伝達が遮断された状態)を形成することができる。
再び図4を参照して、差動部20と変速機30とは、伝達部材26によって連結される。そして、プラネタリギヤ34のキャリアCA2に連結される出力軸36が差動歯車装置42(図1)に連結される。
図6は、差動部20及び変速機30の共線図である。図6とともに図4を参照して、差動部20に対応する共線図の縦線Y1は、動力分割装置24のサンギヤS0の回転速度を示し、すなわちモータジェネレータMG1の回転速度を示す。縦線Y2は、動力分割装置24のキャリアCA0の回転速度を示し、すなわちエンジン12の回転速度を示す。縦線Y3は、動力分割装置24のリングギヤR0の回転速度を示し、すなわちモータジェネレータMG2の回転速度を示す。なお、縦線Y1〜Y3の間隔は、動力分割装置24のギヤ比に応じて定められている。
また、変速機30に対応する共線図の縦線Y4は、プラネタリギヤ34のサンギヤS2の回転速度を示し、縦線Y5は、互いに連結されたプラネタリギヤ34のキャリアCA2及びプラネタリギヤ32のリングギヤR1の回転速度を示す。また、縦線Y6は、互いに連結されたプラネタリギヤ34のリングギヤR2及びプラネタリギヤ32のキャリアCA1の回転速度を示し、縦線Y7は、プラネタリギヤ32のサンギヤS1の回転速度を示す。そして、縦線Y4〜Y7の間隔は、プラネタリギヤ32,34のギヤ比に応じて定められている。
クラッチC1が係合すると、差動部20のリングギヤR0にプラネタリギヤ34のサンギヤS2が連結され、サンギヤS2がリングギヤR0と同じ速度で回転する。クラッチC2が係合すると、リングギヤR0にプラネタリギヤ32のキャリアCA1及びプラネタリギヤ34のリングギヤR2が連結され、キャリアCA1及びリングギヤR2がリングギヤR0と同じ速度で回転する。クラッチC3が係合すると、リングギヤR0にプラネタリギヤ32のサンギヤS1が連結され、サンギヤS1がリングギヤR0と同じ速度で回転する。ブレーキB1が係合するとサンギヤS1の回転が停止し、ブレーキB2が係合するとキャリアCA1及びリングギヤR2の回転が停止する。
たとえば、図5の係合作動表に示したように、クラッチC1及びブレーキB1を係合し、その他のクラッチ及びブレーキを解放すると、変速機30の共線図は「2nd」で示される直線のようになる。プラネタリギヤ34のキャリアCA2の回転速度を示す縦線Y5が、変速機30の出力回転速度(出力軸36の回転速度)を示す。このように、変速機30において、クラッチC1〜C3及びブレーキB1,B2を図5の係合作動表に従って係合又は解放させることにより、1速ギヤ段〜4速ギヤ段、後進ギヤ段、及びニュートラル状態を形成することができる。
一方、差動部20においては、モータジェネレータMG1,MG2を適宜回転制御することにより、キャリアCA0に連結されるエンジン12の回転速度に対して、リングギヤR0の回転速度すなわち伝達部材26の回転速度を連続的に変更可能な無段変速が実現される。このような差動部20に、伝達部材26と出力軸36との間の変速比を変更可能な変速機30を連結することによって、差動部20による無段変速機能を有しつつ、差動部20の変速比を小さくすることができ、モータジェネレータMG1,MG2の損失を小さくすることが可能となる。
図7は、変速機30による変速時の回転変化の様子を共線図上で示した図である。図7を参照して、駆動軸(変速機30の出力軸)の回転速度Vは、駆動輪の回転に拘束されるので、変速(ダウンシフト又はアップシフト)の前後において駆動軸の回転速度Vはほとんど変化しない。したがって、ダウンシフト時(変速比を上げる時)には、一点鎖線で示されるように、変速機30の入力軸の回転速度すなわちモータジェネレータMG2の回転速度ωmは上昇する。一方、アップシフト時(変速比を下げる時)には、二点鎖線で示されるように、モータジェネレータMG2の回転速度ωmは低下する。なお、モータジェネレータMG2の回転速度ωmの変化に伴ない、モータジェネレータMG1の回転速度ωgも変化する。
このように、本実施の形態に従うハイブリッド車両10においては、変速機30の変速動作に伴ないモータジェネレータMG1,MG2の回転速度が急激に変化する。このため、変速機30の変速を阻害しないように、さらには変速機30の変速がスムースに行なわれるように、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを急変させる必要がある。言い換えると、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを急変させることによって、変速機30の変速時における変速ショックを低減することができる。
モータジェネレータMG1,MG2のトルク指令は、基本的には、蓄電装置56に入出力される電力が許容値(出力許容電力Wout及び入力許容電力Win)を超過しないように設定される。しかしながら、ECU間の通信による遅れやフィルタ処理による遅れ等により、HV−ECU70(図2)において算出されたトルク指令に対する制御の実行遅れが実際には発生し、この影響により蓄電装置56の入出力電力が許容値を超過し得る。この実行遅れは、変速機30の変速中か否かに拘わらず常時生じているものであるが、モータジェネレータMG1,MG2のトルクを急変させる変速中においては、蓄電装置56の電力超過に影響を与える点で問題となる。そして、蓄電装置56の入出力電力が許容値の出力許容電力Wout又は入力許容電力Winを超過することは、蓄電装置56の劣化を招く。
そこで、本実施の形態に従うハイブリッド車両10においては、以下に説明するようにモータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限を状況に応じて適切に設定することによって、モータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変を制限することによる蓄電装置56の電力超過の防止(すなわち蓄電装置56の劣化抑制)と、モータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変を許容することによる変速ショックの低減との両立が図られる。
[実施の形態1]
図8は、蓄電装置56の出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを示した図である。図8を参照して、蓄電装置56の温度TBが低下すると、出力許容電力Wout及び入力許容電力Winは小さくなる。なお、出力許容電力Woutは、蓄電装置56の過放電を防止するために、蓄電装置56のSOCが低下したときにも小さくなり、入力許容電力Winは、蓄電装置56の過充電を防止するために、SOCが高いときにも小さくなる。
蓄電装置56の温度TBが低下すると出力許容電力Wout及び入力許容電力Winが小さくなるので、蓄電装置56が低温のときは、モータジェネレータMG1,MG2のトルク急変による蓄電装置56の入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過しないように配慮する必要がある。一方、蓄電装置56が低温でなければ、SOCが著しく低下又は増加していない限り出力許容電力Wout及び入力許容電力Winは緩和されるので、モータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変を許容することができ、変速ショックの低減を図ることが可能である。
そこで、この実施の形態1に従うハイブリッド車両10では、蓄電装置56の温度が低下したときは、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限を厳しくして蓄電装置56の入出力電力を抑える。一方、蓄電装置56の温度が低下していなければ、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限を緩和してモータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変を許容し、変速ショックの低減が図られる。
図9は、実施の形態1におけるモータジェネレータのトルク変化率の制限値を示した図である。図9を参照して、横軸は、蓄電装置56の温度TBを示し、縦軸は、代表的にモータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値tlim1を示す。蓄電装置56の温度TBが低いほど、制限値tlim1は小さくなる。これにより、温度TBが低いほど蓄電装置56の入出力電力が抑えられ、温度TBが低いほど小さくなる出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを蓄電装置56の入出力電力が超過するのを防ぐことができる。
一方、蓄電装置56の温度TBが上昇すると、制限値tlim1は大きくなる。これにより、モータジェネレータMG2のトルクの急変が許容され、モータジェネレータMG2のトルク急変が特に要求される変速時に変速ショックを低減することができる。
なお、制限値tlim1については、蓄電装置56の温度TBが低いときの制限値が、温度TBが高いときの制限値に比べて小さくなっていればよい。すなわち、図9に示したように温度TBが低いほど制限値tlim1が小さくなっている場合に限られず、たとえば、温度TBの低下に応じて制限値tlim1が断続的に小さくなっていても構わない。また、ある所定温度よりも温度TBが高い領域では制限値tlim1が一定となっており、温度TBが所定温度を下回ると温度TBの低下に応じて制限値tlim1が小さくなっていても構わない。あるいは、ある所定温度よりも温度TBが高い領域では温度TBの低下に応じて制限値tlim1が小さくなっており、温度TBが所定温度を下回ると制限値tlim1が一定となっていても構わない。
図10は、実施の形態1におけるモータジェネレータのトルク変化率の制限値設定処理を説明するフローチャートである。なお、以下では、モータジェネレータMG2について代表的に説明するが、モータジェネレータMG1についても同様の処理が実行される。また、このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図10を参照して、制御装置60のHV−ECU70(図1,2)は、変速機30の変速中であるか否かを判定する(ステップS10)。変速中であると判定されると(ステップS10においてYES)、蓄電装置56の温度TBが検出される(ステップS20)。温度TBは、図示されない温度センサによって検出される。
次いで、HV−ECU70は、図9に示したような温度TBとモータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値tlim1との関係を示す、予め準備されるマップ或いは関係式を用いて、ステップS20において検出された蓄電装置56の温度TBに応じた制限値tlim1を算出する(ステップS30)。そして、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値を、ステップS30において算出された制限値tlim1とする(ステップS40)。
なお、ステップS10において、変速機30の変速中でないと判断されたときは(ステップS10においてNO)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値をデフォルトの最大値とする(ステップS50)。
なお、ステップS30,S40,S50の各処理は、モータジェネレータMG2のトルク制御を実際に行なうMG−ECU64において実行されるものとしてもよい。
以上のように、この実施の形態1においては、蓄電装置56の温度TBが低いときのモータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値は、温度TBが高いときのトルク変化率の制限値に比べて小さくなっているので、蓄電装置56の入出力電力の許容値(出力許容電力Wout及び入力許容電力Win)が小さくなる低温時に蓄電装置56の入出力電力が抑えられる。一方、蓄電装置56が低温でなければ、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限が緩和されるので、モータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変が許容され、変速ショックを低減できる。したがって、この実施の形態1によれば、変速ショックの低減と蓄電装置56の劣化の抑制とを両立することができる。
なお、上記においては、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値について説明したが、トルク変化率に代えてパワー変化率についてその制限値を温度TBに応じて変化させてもよい。すなわち、蓄電装置56の温度TBが低いときのモータジェネレータMG1,MG2のパワー変化率の制限値は、温度TBが高いときのパワー変化率の制限値に比べて小さくなっているものとしてもよい。この場合においても、トルク変化率の場合と同様に、変速ショックの低減と蓄電装置56の劣化の抑制とを両立することができる。
[実施の形態2]
変速機30の変速中においては、クラッチが係合状態となる変速の後半(変速進行度が大きいとき)に大きな変速ショックが発生し得る。そこで、この実施の形態2では、変速の後半は、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値を大きくすることでモータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変を許容し、変速ショックの低減を図る。一方、変速の前半は、蓄電装置56の入出力電力が許容値(出力許容電力Wout及び入力許容電力Win)を超過しないように、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値を小さくする。
図11は、実施の形態2におけるモータジェネレータのトルク変化率の制限値を示した図である。図11を参照して、横軸は、変速機30の変速進行度を示し、縦軸は、代表的にモータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値tlim2を示す。なお、変速進行度については、変速機30の出力回転速度と変速前後のギヤ比とから変速前後の変速機30の入力回転速度が算出できるので、変速中の変速機30の入力回転速度から変速進行度を算出することができる。
変速進行度が大きいほど、制限値tlim2は大きくなる。これにより、大きな変速ショックが生じ得る変速後半は、モータジェネレータMG2のトルクの急変が許容され、変速ショックを低減することができる。一方、変速進行度が小さいときは、制限値tlim2は小さいので、モータジェネレータMG2のトルクの急変が抑えられる。これにより、蓄電装置56の入出力電力が抑えられ、特に蓄電装置56の低温時に入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過するのを防ぐことができる。
なお、制限値tlim2については、変速後半における制限値が変速前半における制限値に比べて大きくなっていればよい。すなわち、図11に示したように変速が進むに従って制限値tlim2が大きくなっている場合に限られず、たとえば、変速の進行に応じて制限値tlim2が断続的に大きくなっていても構わない。また、変速前半は変速の進行に応じて制限値tlim2が大きくなり、その後は一定となっていても構わない。あるいは、変速前半は制限値tlim2が一定となっており、その後は変速の進行に応じて制限値tlim2が大きくなっていても構わない。
図12は、実施の形態2におけるモータジェネレータのトルク変化率の制限値設定処理を説明するフローチャートである。なお、以下でもモータジェネレータMG2について代表的に説明されるが、モータジェネレータMG1についても同様の処理が実行される。また、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図12を参照して、HV−ECU70は、変速機30の変速中であるか否かを判定する(ステップS110)。変速中であると判定されると(ステップS110においてYES)、HV−ECU70は、変速機30の変速進行度を算出する(ステップS120)。上述のように、たとえば、変速前後の変速機30の入力回転速度と、変速中の変速機30の入力回転速度とから、変速開始時を値0とし変速終了時を値1とする変速進行度を算出することができる。
次いで、HV−ECU70は、図11に示したような変速進行度とモータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値tlim2との関係を示す、予め準備されるマップ或いは関係式を用いて、ステップS120において算出された変速進行度に応じた制限値tlim2を算出する(ステップS130)。そして、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値を、ステップS130において算出された制限値tlim2とする(ステップS140)。
なお、ステップS110において、変速機30の変速中でないと判断されたときは(ステップS110においてNO)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値をデフォルトの最大値とする(ステップS150)。
なお、ステップS120の処理は、変速機30の変速を実行するECT−ECU68(図1,2)において実行されるものとしてもよい。また、ステップS130,S140の各処理は、モータジェネレータMG2のトルク制御を実際に行なうMG−ECU64において実行されるものとしてもよい。
以上のように、この実施の形態2においては、変速後半におけるモータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値は、変速前半におけるトルク変化率の制限値に比べて大きくなっているので、大きな変速ショックが生じ得る変速後半において、モータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変が許容され、変速ショックを低減できる。一方、変速前半においては、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値は小さいので、蓄電装置56の入出力電力が抑えられ、蓄電装置56の劣化が抑制される。したがって、この実施の形態2によれば、変速ショックの低減と蓄電装置56の劣化の抑制とを両立することができる。
[実施の形態3]
この実施の形態3では、蓄電装置56の温度TBと変速機30の変速進行度とに基づいて、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値が決定される場合について説明する。
図13は、実施の形態3におけるモータジェネレータのトルク変化率の制限値を示した図である。図13を参照して、蓄電装置56の温度TBが低く、かつ、変速機30の変速進行度が小さいとき(変速前半)は、図9に示される、蓄電装置56の温度TBに応じたトルク変化率の制限値tlim1が用いられる。温度TBが低いので、蓄電装置56の入出力に配慮する必要がある一方、変速前半は、変速ショック低減のためにモータジェネレータMG1,MG2のトルクを急変させる状況にはない。そこで、温度TBが低く、かつ、変速進行度が小さいとき(変速前半)は、温度TBに応じた制限値tlim1(図9)を用いることとしたものである。
蓄電装置56の温度TBが低く、かつ、変速機30の変速進行度が大きいとき(変速後半)は、図11に示される、変速進行度に応じたトルク変化率の制限値tlim2が用いられる。この状況では、温度TBが低いので蓄電装置56の入出力を抑える必要があることと、変速後半に生じ得る大きな変速ショックを低減するにはモータジェネレータのトルクを急変させる必要があることとが競合する。この実施の形態3では、温度TBが低いけれども変速進行度が大きいとき(変速後半)は、変速ショックの低減を優先して、変速進行度に応じた制限値tlim2(図11)を用いることとしたものである。
なお、蓄電装置56の温度が高いときは、変速の前半/後半に拘わらず、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値にはデフォルトの最大値tlim_maxが設定される。
図14は、実施の形態3におけるモータジェネレータのトルク変化率の制限値設定処理を説明するフローチャートである。なお、以下でも、モータジェネレータMG2について代表的に説明されるが、モータジェネレータMG1についても同様の処理が実行される。また、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図14を参照して、このフローチャートは、図10に示した実施の形態1における設定処理のフローチャートにおいて、ステップS40に代えてステップS60,S62,S64,S70,S72を含む。すなわち、ステップS30において、蓄電装置56の温度TBに応じた制限値tlim1が算出されると、HV−ECU70は、変速機30の変速進行度を算出し、その算出された変速進行度に応じた制限値tlim2を算出する(ステップS60)。なお、このステップS60の処理は、実施の形態2において図12に示したステップS120,S130の処理と同じである。
次いで、HV−ECU70は、蓄電装置56の温度TBが所定のしきい値Tthよりも低いか否かを判定する(ステップS62)。なお、このしきい値Tthは、たとえば、変速中にモータジェネレータMG2のトルクを急変させても蓄電装置56の入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過しないと判断される温度に設定される。そして、温度TBがしきい値Tth以上であると判定されると(ステップS62においてNO)、ステップS50へ処理が移行され、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値はデフォルトの最大値とされる。
ステップS62において、温度TBがしきい値Tthよりも低いと判定されると(ステップS62においてYES)、HV−ECU70は、変速機30の変速進行度が所定のしきい値sft1よりも大きいか否かを判定する(ステップS64)。なお、このしきい値sft1は、たとえば、大きな変速ショックが生じ得る変速後半であると判断される変速進行度に設定される。
そして、変速進行度がしきい値sft1よりも大きいと判定されると(ステップS64においてYES)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値を、ステップS60において算出された制限値tlim2とする(ステップS70)。すなわち、温度TBが低く、かつ、変速進行度が大きいとき(変速後半)は、図11に示される、変速進行度に応じた制限値tlim2が用いられる。
一方、ステップS64において、変速進行度がしきい値sft1以下であると判定されると(ステップS64においてNO)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値を、ステップS30において算出された制限値tlim1とする(ステップS72)。すなわち、温度TBが低く、かつ、変速進行度が小さいとき(変速前半)は、図9に示される、温度TBに応じた制限値tlim1が用いられる。
図15は、変速機30の変速時における代表的な各種物理量の挙動を示したタイムチャートである。図15を参照して、このタイムチャートでは、一例として、蓄電装置56の温度が低いときの挙動が示されている。
実線は、この実施の形態3における挙動を示したものである。点線は、温度TBに応じた制限値tlim1のみを用いた場合の挙動を示したものであり、実施の形態1に相当する。一点鎖線は、参考例として、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値を最大値とした場合の挙動を示したものである。なお、点線又は一点鎖線が示されていない箇所は、実線と重なっている。
時刻t2において変速が開始され、時刻t4において変速が終了している。モータジェネレータMG2のトルク変化率が制限されない場合(一点鎖線)、変速時にモータジェネレータMG2のトルクが急変することにより、蓄電装置56の電力が許容値(入力許容電力Win)を超過してしまっている(時刻t2〜t3)。
温度TBに応じた制限値tlim1のみを用いた場合(点線)、変速後半においてもモータジェネレータMG2のトルクの変化率が制限されているので(温度TBが低いため)、変速終了後に変速ショック(出力軸トルクの変動)が生じてしまっている。なお、この変速ショックが生じるのは、蓄電装置56が低温の場合に限られる。温度TBが常温程度に上昇しているときは、制限値tlim1が緩和され(図9)、モータジェネレータMG2のトルクの急変が許容されるので、変速ショックは低減される。
一方、この実施の形態3においては(実線)、変速後半(変速進行度大)は制限値tlim2が用いられ、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限が緩和される。これにより、変速後半においてモータジェネレータMG2のトルクの急変が許容され、変速ショック(出力軸トルクの変動)が低減されている。
以上のように、この実施の形態3においては、蓄電装置56の温度TBが低い場合において、変速進行度が小さい変速前半においては、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率に対して、温度TBに応じた制限値tlim1が用いられる。これにより、蓄電装置56の入出力電力が抑えられ、蓄電装置56の劣化が抑制される。一方、変速進行度が大きい変速後半においては、モータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率に対して、変速進行度に応じた制限値tlim2が用いられる。これにより、大きな変速ショックが生じ得る変速後半において、変速ショックの低減を優先してモータジェネレータMG1,MG2のトルクの急変が許容され、変速ショックの低減が図られる。したがって、この実施の形態3によれば、変速ショックの低減と蓄電装置56の劣化の抑制とを両立することができる。
[実施の形態4]
再び図13を参照して、上記の実施の形態3では、蓄電装置56の温度TBが低く、かつ、変速進行度が大きいとき(変速後半)に、変速進行度に応じたモータジェネレータMG1,MG2のトルク変化率の制限値tlim2(図11)が用いられるものとした。これは、変速ショックの低減を図るためであるが、変速ショックが問題となるのは、実際には、アクセル開度が小さく、かつ、車速が低いときであり、大きな加速を要求するアクセル開度大のときや車速が高いときは、変速ショックはそれ程問題にならない。
そこで、この実施の形態4では、温度TBが低く、かつ、変速進行度が大きい場合(変速後半)において、変速進行度に応じた制限値tlim2を用いるのは、アクセル開度が小さく、かつ、車速が低いときのみとし、アクセル開度が大きいか又は車速が高いときは、温度TBに応じた制限値tlim1(図9)が用いられる。
図16は、実施の形態4において、蓄電装置56の温度TBが低く、かつ、変速進行度が大きい場合の、モータジェネレータのトルク変化率の制限値を示した図である。図16を参照して、アクセル開度が小さく、かつ、車速が低いときは、図11に示される、変速進行度に応じた制限値tlim2が用いられる。これにより、変速ショックの低減が図られる。
一方、アクセル開度が大きいとき、又は車速が高いときは、図9に示される、蓄電装置56の温度TBに応じた制限値tlim1が用いられる。アクセル開度が大きいとき、又は車速が高いときは、変速ショックの低減よりも蓄電装置56の劣化抑制を優先して、温度TBに応じた制限値tlim1を用いることとしたものである。
図17は、実施の形態4におけるモータジェネレータのトルク変化率の制限値設定処理を説明するフローチャートである。なお、以下でも、モータジェネレータMG2について代表的に説明されるが、モータジェネレータMG1についても同様の処理が実行される。また、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図17を参照して、このフローチャートは、図14に示した実施の形態3における設定処理のフローチャートにおいて、ステップS66,S68をさらに含む。すなわち、ステップS62において蓄電装置56の温度TBがしきい値Tthよりも低いと判定され(ステップS62においてYES)、さらにステップS64において変速機30の変速進行度がしきい値sft1よりも大きいと判定されると(ステップS64においてYES)、HV−ECU70は、車速が所定のしきい値Vthよりも低いか否かを判定する(ステップS66)。車速がしきい値Vthよりも低いと判定されると(ステップS66においてYES)、HV−ECU70は、アクセル開度が所定のしきい値ACthよりも小さいか否かを判定する(ステップS68)。なお、これらのしきい値Vth,ACthは、変速ショックが問題になり得るか否かの観点で適宜設定される。
そして、ステップS68において、アクセル開度がしきい値ACthよりも小さいと判定されると(ステップS68においてYES)、ステップS70へ処理が移行され、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値は、ステップS60において算出された制限値tlim2とされる。すなわち、温度TBが低く、かつ、変速進行度が大きい(変速後半)場合において、車速が低く、かつ、アクセル開度が小さいときは、図11に示される、変速進行度に応じた制限値tlim2が用いられる。
一方、ステップS66において車速がしきい値Vth以上であると判定されたとき(ステップS66においてNO)、又はステップS68においてアクセル開度がしきい値ACth以上であると判定されたときは(ステップS68においてNO)、ステップS72へ処理が移行され、モータジェネレータMG2のトルク変化率の制限値は、ステップS30において算出された制限値tlim1とされる。すなわち、温度TBが低い場合において、変速進行度が小さいとき(変速前半)、車速が高いとき、又はアクセル開度が大きいときは、図9に示される、温度TBに応じた制限値tlim1が用いられる。
この実施の形態4においては、蓄電装置56の温度TBが低く、かつ、変速進行度が大きい(変速後半)場合であっても、車速が高いとき又はアクセル開度が大きいときは、変速ショックが問題にならないことから、温度TBに応じた制限値tlim1を用いることによって蓄電装置56の劣化抑制が図られる。したがって、この実施の形態4によれば、蓄電装置56の劣化抑制を強化することができる。
[変形例1]
上記の実施の形態1,3,4では、蓄電装置56の温度TBに応じたモータジェネレータのトルク変化率の制限値tlim1が用いられる。この制限値tlim1は、蓄電装置56の劣化抑制の観点で設定されるものであるが、モータジェネレータの回転速度の変化が急峻な場合は、回転速度の変化に合わせたパワー管理をする必要がある。
そこで、モータジェネレータMG2(MG1)のトルク変化率の制限値を、温度TBに応じた制限値tlim1(図9)とする場合において、図18に示されるように、さらにモータジェネレータMG2(MG1)の回転速度の変化率が大きいほど制限値tlim1を大きくするようにしてもよい。
なお、制限値tlim1については、モータジェネレータMG2(MG1)の回転速度の変化率が大きいときの制限値が、回転速度変化率が小さいときの制限値に比べて大きくなっていればよい。すなわち、図18に示したように回転速度変化率が大きいほど制限値tlim1が大きくなっている場合に限られず、たとえば、回転速度変化率が大きくなるに従って制限値tlim1が断続的に大きくなっていても構わない。また、回転速度変化率がある値よりも小さい領域では、変化率が大きくなるに従って制限値tlim1が大きくなり、その後は一定となっていても構わない。あるいは、回転速度変化率がある値よりも小さい領域では、制限値tlim1が一定となっており、その後は変化率が大きくなるに従って制限値tlim1が大きくなっていても構わない。
なお、この変形例1における制限値tlim1の具体的な算出方法については、図10,図14,図17のステップS30において、予め準備されるマップ或いは関係式を用いて、蓄電装置56の温度TBとモータジェネレータMG2(MG1)の回転速度の変化率とに応じた制限値tlim1が算出される。
[実施の形態5]
図19は、図1に示したハイブリッド車両10の電気系統の概略図である。図19を参照して、インバータ52とコンバータ54との間には、キャパシタ80が設けられる。キャパシタ80は、コンバータ54により調整されてインバータ52に与えられる直流電圧を平滑化するために設けられる。
モータジェネレータMG1,MG2は、蓄電装置56と電力をやり取りすることによって作動し、基本的には、蓄電装置56の出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過しないようにモータジェネレータMG1,MG2のパワーが制御される。しかしながら、モータジェネレータMG1,MG2のパワーは出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過していなくても、たとえば変速機30の変速中などにモータジェネレータMG1,MG2のパワーが急変すると、蓄電装置56の入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過する状況が発生し得る。
一例として、モータジェネレータMG2のパワーが増加すると、キャパシタ80から電力が持ち出され、キャパシタ80の電圧VHが低下する。そうすると、電圧VHを目標値に調整するためにコンバータ54が作動し、これにより蓄電装置56から電力が出力される。コンバータ54は、電圧VHの低下に応じて作動するので、モータジェネレータMG2のパワー変化に対するコンバータ54の制御の遅れにより、モータジェネレータMG2のパワーは出力許容電力Woutよりも小さいにも拘わらずコンバータ54の作動に伴なう蓄電装置56の出力が出力許容電力Woutを超過し得る。
ここで、コンバータ54の作動により蓄電装置56からキャパシタ80へ供給される電力(以下「キャパシタ消費パワー」とも称する。)は、キャパシタ80の容量×電圧VH×電圧VHの変化率(dVH/dt)で表される。したがって、モータジェネレータMG2のパワー変化に応じた電圧VHの変化率(dVH/dt)が同じであっても、電圧VHが高い場合には、キャパシタ消費パワーが大きくなり、蓄電装置56の出力電力は大きくなる。なお、モータジェネレータMG2のパワーが減少する場合も同様であり、電圧VHが高い場合には、蓄電装置56の入力電力は大きくなる。
そこで、この実施の形態5に従うハイブリッド車両では、電圧VHが高い場合に、モータジェネレータMG2のパワー変化が制限される。これにより、キャパシタ80と蓄電装置56との間でやり取りされる電力が増大するのを抑制し、蓄電装置56の入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過するのを抑制する。
なお、出力許容電力Wout及び入力許容電力Winは、蓄電装置56の温度低下に応じて小さくなるので、蓄電装置56の温度TBが低い場合にモータジェネレータMG2のパワー変化をさらに制限するのが好ましい。
図20は、実施の形態5におけるモータジェネレータのパワー変化率の制限値を示した図である。図20を参照して、横軸は、蓄電装置56の温度TBを示し、縦軸は、代表的にモータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値plim1を示す。線k1は、キャパシタ80の電圧VHが相対的に低いときの制限値plim1を示し、線k2は、電圧VHが相対的に高いときの制限値plim1を示す。
キャパシタ80の電圧VHが高いほど、制限値plim1は小さくなるように設定される。さらに、蓄電装置56の温度TBが低いほど、制限値plim1は小さくなるように設定される。これにより、電圧VHが高いほど、また温度TBが低いほど、蓄電装置56の入出力電力が抑えられ、蓄電装置56の入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過するのを抑制することができる。
一方、キャパシタ80の電圧VHが低いほど、制限値plim1は大きくなるように設定される。さらに、蓄電装置56の温度TBが上昇すると、制限値plim1は大きくなるように設定される。これにより、モータジェネレータMG2のパワーの急変が許容され、モータジェネレータMG2のパワーの急変が特に要求される変速中において変速ショックを低減することができる。
なお、制限値plim1と電圧VHとの関係については、電圧VHが高いときの制限値が、電圧VHが低いときの制限値に比べて小さくなっていればよい。すなわち、上述のように電圧VHが高いほど制限値plim1が小さくなっている場合に限られず、たとえば、電圧VHが高くなるに従って制限値plim1が断続的に小さくなっていても構わない。また、ある所定電圧よりも電圧VHが低い領域では制限値plim1が一定となっており、電圧VHが所定電圧を超えると電圧VHが高くなるに従って制限値plim1が小さくなっていても構わない。あるいは、ある所定電圧よりも電圧VHが低い領域では電圧VHが高くなるに従って制限値plim1が小さくなっており、電圧VHが所定電圧を超えると制限値plim1が一定となっていても構わない。
また、制限値plim1と蓄電装置56の温度TBとの関係についても、温度TBが低いときの制限値が、温度TBが高いときの制限値に比べて小さくなっていればよい。すなわち、図20に示したように温度TBが低いほど制限値plim1が小さくなっている場合に限られず、たとえば、温度TBの低下に応じて制限値plim1が断続的に小さくなっていても構わない。また、ある所定温度よりも温度TBが高い領域では制限値plim1が一定となっており、温度TBが所定温度を下回ると温度TBの低下に応じて制限値plim1が小さくなっていても構わない。あるいは、ある所定温度よりも温度TBが高い領域では温度TBの低下に応じて制限値plim1が小さくなっており、温度TBが所定温度を下回ると制限値plim1が一定となっていても構わない。
図21は、実施の形態5におけるモータジェネレータのパワー変化率の制限値設定処理を説明するフローチャートである。なお、以下でも、モータジェネレータMG2について代表的に説明するが、モータジェネレータMG1についても同様の処理が実行される。また、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図21を参照して、制御装置60のHV−ECU70(図1,2)は、変速機30の変速中であるか否かを判定する(ステップS210)。変速中であると判定されると(ステップS210においてYES)、蓄電装置56の温度TBが検出され(ステップS220)、さらにキャパシタ80の電圧VHが検出される(ステップS230)。なお、温度TBは、図示されない温度センサによって検出され、電圧VHは、図示されない電圧センサによって検出される。
次いで、HV−ECU70は、図20に示したような温度TBと電圧VHとモータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値plim1との関係を示す、予め準備されるマップ或いは関係式を用いて、ステップS220,S230において検出された温度TB及び電圧VHに応じた制限値plim1を算出する(ステップS240)。そして、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値を、ステップS240において算出された制限値plim1とする(ステップS250)。
なお、ステップS210において、変速機30の変速中でないと判断されたときは(ステップS210においてNO)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値をデフォルトの最大値とする(ステップS260)。
なお、ステップS240,S250,S260の各処理は、モータジェネレータMG2のパワー制御を実際に行なうMG−ECU64において実行されるものとしてもよい。
図22は、実施の形態5において、変速機30の変速時における代表的な各種物理量の挙動を示したタイムチャートである。図22を参照して、実線は、この実施の形態5における挙動を示したものである。点線は、参考例として、モータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値を最大値とした場合の挙動を示したものである。なお、点線が示されていない箇所は、実線と重なっている。
時刻t2において変速が開始され、時刻t4において変速が終了している。時刻t1からキャパシタ80の電圧VHが上昇し、電圧VHは相対的に高いものとする。モータジェネレータMG2のパワー変化率が制限されない場合(点線)、変速時にモータジェネレータMG2のパワーが急変することにより電圧VHの変動が大きくなり、蓄電装置56の電力が許容値(出力許容電力Wout)を超過してしまっている(時刻t3〜t4)。
これに対して、この実施の形態5においては(実線)、キャパシタ80の電圧VHが高いことに応じて、モータジェネレータMG2のパワー変化率が制限される。これにより、電圧VHの変動が抑えられるとともに、蓄電装置56の入出力電力を出力許容電力Wout及び入力許容電力Win内に抑えることができている。
以上のように、この実施の形態5においては、電圧VHが高いときのモータジェネレータMG1,MG2のパワー変化率の制限値は、電圧VHが低いときのパワー変化率の制限値に比べて小さくなっているので、電圧VHが高い場合にキャパシタ80の入出力電力及び蓄電装置56の入出力電力が抑えられる。一方、電圧VHが低いときは、モータジェネレータMG1,MG2のパワー変化率の制限が緩和されるので、たとえば変速中において、モータジェネレータMG1,MG2のパワーの急変が許容され、変速ショックを低減できる。したがって、この実施の形態5によれば、蓄電装置56の劣化の抑制と変速ショックの低減とを両立することができる。
さらに、この実施の形態5によれば、蓄電装置56の温度TBが低いときのパワー変化率の制限値は、温度TBが高いときのパワー変化率の制限値に比べて小さくなっているので、蓄電装置56の劣化抑制を強化することができる。
[実施の形態6]
この実施の形態6では、キャパシタ80の電圧VHと、蓄電装置56の温度TBと、変速機30の変速進行度とに基づいて、モータジェネレータMG1,MG2のパワー変化率の制限値が決定される構成について説明する。
図23は、実施の形態6におけるモータジェネレータのパワー変化率の制限値を示した図である。図23を参照して、アクセル開度が大きいときは、図20に示される、キャパシタ80の電圧VH及び蓄電装置56の温度TBに応じたモータジェネレータのパワー変化率の制限値plim1が用いられる。アクセル開度が大きいときは、走行用のモータジェネレータMG2のパワーが大きくなり、キャパシタ80の電圧VHの目標は高い値に設定される。そして、実施の形態5で説明したように、電圧VHが高い状況は、キャパシタ消費パワーが大きくなり、蓄電装置56の入出力電力が大きくなるので、蓄電装置56の入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過し得る。そこで、電圧VHが高くなるアクセル開度大のときは、電圧VH及び温度TBに応じた制限値plim1(図20)が用いられる。
アクセル開度が小さく、かつ、車速が低いときは、図24に示される、変速進行度に応じたモータジェネレータのパワー変化率の制限値plim2が用いられる。アクセル開度が小さく、かつ、車速が低いときは、変速ショックの低減が特に要求される状況であり、変速進行度に応じた制限値plim2を用いることとしたものである。
アクセル開度が小さく、かつ、車速が高いときは、図25に示される、蓄電装置56の温度TBに応じたモータジェネレータのパワー変化率の制限値plim3が用いられる。アクセル開度が小さいので、モータジェネレータMG2のパワーも大きくはなく、したがってキャパシタ80の電圧VHも高くない。そこで、アクセル開度が小さく、かつ、車速が高いときは、制限値plim1のように電圧VHを考慮する必要はないので、蓄電装置56の温度TBのみに応じた制限値plim3を用いることとしたものである。
図26は、実施の形態6におけるモータジェネレータのパワー変化率の制限値設定処理を説明するフローチャートである。なお、以下でも、モータジェネレータMG2について代表的に説明するが、モータジェネレータMG1についても同様の処理が実行される。また、このフローチャートに示される処理も、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図26を参照して、このフローチャートは、図21に示した実施の形態5における設定処理のフローチャートにおいて、ステップS250に代えてステップS270〜S282を含む。すなわち、ステップS240において、温度TB及び電圧VHに応じた制限値plim1が算出されると、HV−ECU70は、変速機30の変速進行度を算出し、図24に示したような変速進行度とモータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値plim2との関係を示す、予め準備されるマップ或いは関係式を用いて、変速進行度に応じた制限値plim2を算出する(ステップS270)。さらに、HV−ECU70は、図25に示したような温度TBとモータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値plim3との関係を示す、予め準備されるマップ或いは関係式を用いて、ステップS220において検出された蓄電装置56の温度TBに応じた制限値plim3を算出する(ステップS272)。
次いで、HV−ECU70は、アクセル開度が所定のしきい値ACthよりも大きいか否かを判定する(ステップS274)。アクセル開度がしきい値ACthよりも大きいと判定されると(ステップS274においてYES)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値を、ステップS240において算出された制限値plim1とする(ステップS276)。すなわち、アクセル開度が大きいときは、電圧VH及び温度TBに応じた制限値plim1(図20)が用いられる。
ステップS274において、アクセル開度がしきい値ACth以下であると判定されると(ステップS274においてNO)、HV−ECU70は、車速が所定のしきい値Vthよりも低いか否かを判定する(ステップS278)。そして、車速がしきい値Vthよりも低いと判定されると(ステップS278においてYES)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値を、ステップS270において算出された制限値plim2とする(ステップS280)。すなわち、アクセル開度が小さく、かつ、車速が低いときは、変速進行度に応じた制限値plim2(図24)が用いられる。
ステップS278において、車速がしきい値Vth以上であると判定されると(ステップS278においてNO)、HV−ECU70は、モータジェネレータMG2のパワー変化率の制限値を、ステップS272において算出された制限値plim3とする(ステップS282)。すなわち、アクセル開度が小さく、かつ、車速が高いときは、蓄電装置56の温度TBのみに応じた制限値plim3(図25)が用いられる。
上記のような構成とすることにより、この実施の形態6によれば、変速ショックの低減と蓄電装置の劣化の抑制とを両立することができる。
[変形例2]
上記の実施の形態5では、蓄電装置56の温度TB及びキャパシタ80の電圧VHに応じたモータジェネレータMG1,MG2のパワー変化率の制限値plim1が用いられる。また、実施の形態6では、さらに、変速進行度に応じた制限値plim2、及び温度TBのみに応じた制限値plim3も用いられる。
一方、変速機30の変速前後におけるモータジェネレータMG2(MG1)の回転速度差が大きい場合は、モータジェネレータMG2(MG1)のパワー変化率が急峻になり得るので、上述のように、蓄電装置56の入出力電力が出力許容電力Wout及び入力許容電力Winを超過する状況が発生し得る。
そこで、図27に示されるように、変速前後におけるモータジェネレータMG2(MG1)の回転速度差ΔNが大きいほど、モータジェネレータMG2(MG1)のパワー変化率の制限値plim1〜plim3を小さくするように、変速前後におけるモータジェネレータMG2(MG1)の回転速度差ΔNに応じて制限値plim1〜plim3を補正することによって、出力許容電力Wout及び入力許容電力Winの超過を抑制する構成としてもよい。
なお、制限値plim1〜plim3の補正については、上記回転速度差ΔNが大きいときの制限値が、回転速度差ΔNが小さいときの制限値に比べて小さくなっていればよい。すなわち、図27に示したように回転速度差ΔNが大きいほど制限値が小さくなっている場合に限られず、たとえば、回転速度差ΔNが大きくなるに従って制限値が断続的に小さくなっていても構わない。また、回転速度差ΔNがある値よりも小さい領域では、回転速度差ΔNが大きくなるに従って制限値が小さくなり、その後は一定となっていても構わない。あるいは、回転速度差ΔNがある値よりも小さい領域では、制限値が一定となっており、その後は回転速度差ΔNが大きくなるに従って制限値が小さくなっていても構わない。
なお、この変形例2の具体的な手法については、たとえば、図26のステップS240,S270,S272において、算出された制限値plim1〜plim3を、変速前後におけるモータジェネレータMG2(MG1)の回転速度差に応じて補正すればよい。
なお、上記の各実施の形態及び各変形例においては、電動車両の一例として、2つのモータジェネレータMG1,MG2を含む差動部20を備える構成のハイブリッド車両10について説明したが、この発明が適用される電動車両は、このような構成のハイブリッド車両に限定されない。図28に示されるように、差動部20に代えて単独のモータジェネレータMG2を備える構成のハイブリッド車両10#であってもよい。
また、上記の各実施の形態及び各変形例においては、変速機30は、複数の摩擦要素(クラッチやブレーキ)を含む自動変速機としたが、その他のタイプの有段式変速機(MT式やドグクラッチ式等)であってもよい。また、エンジン12と変速機30との間の動力伝達経路に、トルクコンバータや、動力伝達を遮断するK0クラッチ等が設けられてもよい。
また、上記の各実施の形態及び各変形例では、電動車両の一例としてハイブリッド車両について説明したが、この発明が適用される電動車両は、エンジンを搭載しない電気自動車も含む。すなわち、本発明に従う電動車両は、インバータ及びモータを含む電気システムと、動力伝達経路に設けられる変速機とを備える車両全般を含むものである。
また、上記の実施の形態1−4及び変形例1においては、コンバータ54を備えなくてもよい。
なお、上記において、モータジェネレータMG1,MG2は、この発明における「電動機」の一実施例に対応する。
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。