JP2010184520A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過渡的に蓄電池の入出力制限値等を超えてしまうことを適切に抑制することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置は、第1及び第2のモータジェネレータ、蓄電池、及びエンジンを備えるハイブリッド車両に好適に適用される。制御手段は、エンジンの要求駆動力の変化に伴う第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、蓄電池の入出力制限値以内になるように、エンジンの要求駆動力の変化量を制限する。これにより、エンジン出力変化を蓄電池の入出力制限値以内に適切に制限することができ、蓄電池の性能劣化などを抑制することが可能となる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
エンジンに加えて、モータジェネレータを動力源として備えるハイブリッド車両が知られている。ハイブリッド車両では、エンジンを可及的に高効率状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキの過不足を電動機又はモータジェネレータで補う。
例えば、特許文献1には、過渡時にモータジェネレータのアシストを働かせ、エンジン出力変化を穏やかにすることで、燃費及び排気性能の改善を図った技術が提案されている。また、特許文献2には、アクセルオフ時の目標制動パワーPoをエンジン摩擦力Peとモータの回生による制動パワーPmとで分担し、制動パワーPmが、バッテリのSOC及び温度に基づく充電制限値Winやモータ温度に基づく回生制限値Pminより大きいときに、過渡の回生を禁止し、エンジン摩擦力Peの分担に振り分けることが提案されている。その他にも、本発明に関連する技術が、特許文献3に提案されている。
特開2002−256918号公報 特開2002−337573号公報 特許第4137110号公報
しかしながら、上記した特許文献1乃至3に記載された技術では、バッテリの性能に影響を及ぼすバッテリの入出力制限値を適切に考慮に入れて、モータジェネレータにおける過渡の入出力制限を行っていなかった。そのため、過渡的にバッテリの入出力制限値を超えることで、バッテリの性能劣化などが生じてしまう可能性があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、過渡的に蓄電池の入出力制限値等を超えてしまうことを適切に抑制することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点では、第1及び第2のモータジェネレータと、前記第1及び第2のモータジェネレータとの間で電力の授受を行う蓄電池と、エンジンと、を備えるハイブリッド車両に適用されるハイブリッド車両の制御装置は、前記エンジンの要求駆動力の変化に伴う前記第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、前記蓄電池の入出力制限値以内になるように、前記エンジンの要求駆動力の変化量を制限する制御手段を備える。
上記のハイブリッド車両の制御装置は、第1及び第2のモータジェネレータ、蓄電池、及びエンジンを備えるハイブリッド車両に好適に適用される。制御手段は、エンジンの要求駆動力の変化に伴う第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、蓄電池の入出力制限値以内になるように、エンジンの要求駆動力の変化量を制限する。これにより、エンジン出力変化を蓄電池の入出力制限値以内に適切に制限することができ、蓄電池の性能劣化などを抑制することが可能となる。
上記のハイブリッド車両の制御装置の一態様では、前記制御手段は、前記エンジンの要求駆動力の変化に伴う前記第1のモータジェネレータの出力変化による電力値が、前記蓄電池の入出力制限値以内になるように、エンジン出力の単位時間当たりの出力変化率を制限する。
この態様によれば、エンジン出力の単位時間当たりの出力変化率を制限することで、エンジン出力変化に伴う第1のモータジェネレータの制御電力(反力に相当する)を低減でき、蓄電池の入出力制限値以下に適切に抑制することが可能となる。
上記のハイブリッド車両の制御装置の他の態様では、前記制御手段は、トラクションコントロールによる前記エンジンの要求駆動力の低下指令時には、前記エンジンの要求駆動力を低下させると共に、当該要求駆動力の低下に伴う前記第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、前記蓄電池の入出力制限値以内になるように、前記第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方を制御して、エンジン回転数の変化を抑制する。
この態様によれば、蓄電池の入出力制限値以内に適切に制限することができると共に、慣性による駆動力変化の減少により、トラクションコントロール性能を向上させることができる。
好適には、上記のハイブリッド車両の制御装置は、リングギヤ、サンギヤ、及びキャリアを有する動力分割機構を備え、前記キャリアの回転軸は、前記エンジンに連結されていると共に、前記リングギヤ及び前記サンギヤに動力を伝達し、前記サンギヤの回転軸は、第1のモータジェネレータに連結されており、前記リングギヤの回転軸は、第2のモータジェネレータに連結されており、前記第2のモータジェネレータは、車軸に連結されている。
本実施形態におけるハイブリッド車両の概略構成図を示す。 動力分割機構の概略構成を示す図である。 電池電力における過渡的な電力超過現象の一例を説明するための図である。 第1実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第2実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第3実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第4実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第5実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第6実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第7実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第8実施例における制御処理を示すフローチャートである。 第9実施例における制御処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
[装置構成]
図1は、本実施形態におけるハイブリッド車両の概略構成図を示す。なお、図中の破線矢印は、信号の入出力を示している。
ハイブリッド車両100は、主に、エンジン(内燃機関)1と、車軸2と、駆動輪3と、第1のモータジェネレータMG1と、第2のモータジェネレータMG2と、動力分割機構4と、インバータ5a、5bと、バッテリ(蓄電池)6と、ECU(Electronic Control Unit)50と、を備える。
車軸2は、エンジン1及び第2のモータジェネレータMG2の動力を車輪3に伝達する動力伝達系の一部である。車輪3は、ハイブリッド車両100の車輪であり、説明の簡略化のため、図1では特に左右前輪のみが表示されている。エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンとして構成され、ハイブリッド車両100の主たる推進力を出力する動力源として機能する。エンジン1は、ECU50によって種々の制御が行われる。
第1のモータジェネレータMG1は、主としてバッテリ6を充電するための発電機、或いは第2のモータジェネレータMG2に電力を供給するための発電機として機能するように構成されており、エンジン1の出力により発電を行う。第2のモータジェネレータMG2は、主としてエンジン1の出力をアシスト(補助)する電動機として機能するように構成されている。これらのモータジェネレータMG1、MG2は、例えば同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える。
動力分割機構4は、サンギヤやリングギヤなどを有して構成されるプラネタリギヤ(遊星歯車機構)に相当し、エンジン1の出力を第1のモータジェネレータMG1及び車軸2へ分配することが可能に構成されている。
インバータ5aは、バッテリ6と第1のモータジェネレータMG1との間の電力の入出力を制御する直流交流変換機であり、インバータ5bは、バッテリ6と第2のモータジェネレータMG2との間の電力の入出力を制御する直流交流変換機である。例えば、インバータ5aは、第1のモータジェネレータMG1によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ6に供給し、インバータ5bは、バッテリ6から取り出した直流電力を交流電力に変換して第2のモータジェネレータMG2に供給する。
バッテリ6は、第1のモータジェネレータMG1及び/又は第2のモータジェネレータMG2を駆動するための電源として機能することが可能に構成されると共に、第1のモータジェネレータMG1及び/又は第2のモータジェネレータMG2が発電した電力を充電可能に構成された蓄電池である。なお、バッテリ6のバッテリ残存容量を示すSOC(State Of Charge)やバッテリの入出力制限値などの情報はECU50に供給される。
ECU50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、ハイブリッド車両100内の各構成要素に対して種々の制御を行う。具体的には、ECU50は、エンジン1、第1のモータジェネレータMG1、及び第2のモータジェネレータMG2に対して制御を行う。詳細は後述するが、ECU50は、本発明におけるハイブリッド車両の制御装置に相当し、制御手段として機能する。
なお、以下では、第1のモータジェネレータMG1及び第2のモータジェネレータMG2の両方を指し示す場合には適宜「モータジェネレータMG1、MG2」と表記し、これらを区別しないで用いる場合には適宜「モータジェネレータMG」と表記する。
次に、図2を参照して、動力分割機構4の具体的な構成について説明する。図示のように、動力分割機構4は、主に、リングギヤ4R、サンギヤ4S、及びキャリア4Cを備え、遊星歯車機構として構成されている。エンジン動力は、動力分割機構4により2分され、その出力軸の一方を第2のモータジェネレータMG2と車軸2とに、もう一方を第1のモータジェネレータMG1に接続し、機械的なものと電気的なものとの2つの経路によって伝達される。キャリア4Cの回転軸とエンジン1とは連結しており、ピニオンギヤを通じて外周のリングギヤ4R及び内側のサンギヤ4Sに動力を伝達する。このリングギヤ4Rの回転軸は第2のモータジェネレータMG2と直結しており、駆動輪3に駆動力を伝達する。また、サンギヤ4Sの回転軸は第1のモータジェネレータMG1に連結している。以下では、エンジン1の軸を「エンジン軸」と呼び、第1のモータジェネレータMG1の軸を「MG1軸」と呼び、第2のモータジェネレータMG2の軸を「MG2軸」と呼ぶ。
基本的には、上記したようなハイブリッド車両100では、エンジン要求出力変化が生じる場合にエンジン回転数を速やかに上昇又は下降させる動作をさせるために、モータジェネレータMGの回転数制御(またはトルク制御)が行われる。特に、エンジン回転数を上昇又は下降させるために、動力分割機構4におけるエンジン軸(プラネタリギヤ)の回転数を上昇させる必要があるので、サンギヤ4S(MG1軸)の回転数又はトルクを制御することで、サンギヤ4S(MG1軸)の回転数を速やかに上昇又は下降させるようにしている。なお、リングギヤ4RであるMG2軸は、基本的には車軸2に直結しており、エンジン回転数を速やかに制御するためにはあまり貢献しておらず、駆動輪3への駆動力のアシスト又は駆動力の調整(回生含む)に主に利用される。
なお、本発明の適用は、図1及び図2に示したような構成を有するハイブリッド車両への適用に限定はされない。
[制御方法]
次に、本実施形態において、前述したECU50が行う制御方法について具体的に説明する。
本実施形態では、ECU50は、要求エンジンパワー(言い換えるとエンジン要求駆動力)の変化に伴うモータジェネレータMG1、MG2の少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、バッテリ6の入出力制限値以内になるように、要求エンジンパワーの変化量を制限する。1つの例では、ECU50は、要求エンジンパワーの変化に伴う第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電力値が、バッテリ6の入出力制限値以内になるように、エンジン出力の単位時間当たりの出力変化率を制限する。例えば、ECU50は、要求エンジンパワーやエンジン回転数に対する制限を行う。なお、バッテリ6の入出力制限は、前述したように、エンジン回転数を速やかに要求回転数まで上昇させるために、サンギヤ4Sの回転数又はトルクを制御する必要があるために生じる傾向にある。
なお、以下では、バッテリ6の入力制限値を「電池許容充電量」若しくは「Win」と適宜表記し、バッテリ6の出力制限値を「電池許容放電量」若しくは「Wout」と適宜表記する。
ここで、上記のような制御を行う理由について説明する。通常、要求エンジンパワーに対して、燃費最良となるエンジン回転数が選択される。つまり、要求エンジンパワーに対応する、エンジン最適動作線上のエンジン回転数が選択される。そのため、要求エンジンパワーが変化すれば、エンジン回転数も変化することとなる。このように要求エンジンパワーの変化に伴ってエンジン回転数が変化した場合、放電電力又は充電電力の制御性が悪化する場合がある。具体的には、エンジン1/第1のモータジェネレータMG1の慣性のために、過渡的に充電量又は放電量が発生することで、パワー収支保護性能が低下し、過充電又は過放電が発生する場合がある。
より詳細に説明すると、以下の通りである。第1のモータジェネレータMG1が所定のエンジン回転数に制御するためのトルク(以下、「MG1トルク」と適宜表記する。)は、例えば、以下の式(1)で表される。
Tg=−ρ/(1+ρ)・Te
+(Ig・dωg/dt+ρ/(1+ρ)・Ie・dωe/dt) 式(1)
式(1)において、「Tg」はMG1トルクを示し、「ρ」はプラネタリギヤ比を示し、「Te」はエンジントルクを示し、「Ig」は第1のモータジェネレータMG1の慣性モーメントを示し、「ωg」は第1のモータジェネレータMG1の回転数を示し、「Ie」はエンジン1の慣性モーメントを示し、「ωe」はエンジン回転数を示している。
一般的には、回転数は位置センサの微分値として得られるので、回転数微分値(「dωg/dt」、「dωe/dt」など)は直接計測されない。この場合、当該微分値は、遅れを伴う値やノイジーな値として得られる傾向にある。そのため、実装される制御においては、式(1)の「Tg」を決定する際に、当該微分値を用いずに、微分値を有する要素は回転数のF/B(フィードバック)項として処理されている。
従って、要求エンジンパワーが大きいときや、慣性が大きいものは、回転数変化に伴い、回転数F/B項が大きくなる。このF/B項には、アンダーシュート/オーバーシュートの要素が含まれるため、MG1トルクが振動的になり、その結果、第1のモータジェネレータMG1の出力が振動的になり、電池充放電量が振動的になる傾向にある。
このような振動的な電池充放電量が大きいとき、若しくは、低温などで許容される電池充放電量(電池許容充電量/電池許容放電量)が小さいときには、電池許容充電量/電池許容放電量を超える充放電が発生してしまい、電圧の許容上限値/許容下限値を超えてしまう場合がある。このような場合には、バッテリ6を含めた高圧系部品の損傷若しくは寿命低下を引き起こしてしまったり、電圧保護のために第2のモータジェネレータMG2のトルクを調整し駆動力を変化させることで、トラクションコントロール(TRC)の性能低下を引き起こしてしまったりする可能性がある。
より具体的に、図3を参照して説明する。図3は、横軸に時間を示し、上から順に、要求エンジンパワー、目標エンジン回転数、MG1トルク、第1のモータジェネレータMG1の出力(MG1出力)、電池電力を示している。図示のように、要求エンジンパワーの変化が大きいため、目標エンジン回転数の増加に伴って、第1のモータジェネレータMG1におけるF/Bトルクが増加していることがわかる。そのため、MG1トルクが振動的に増加し、MG1出力が振動的に増加している。その結果、図3中の破線領域に示すように、電池電力が振動的に増加して許容放電量を超える現象が生じている、言い換えると過渡的に電力超過(過放電)が生じていることがわかる。
本実施形態では、このような過放電若しくは過充電を抑制するために、ECU50は、エンジン1/第1のモータジェネレータMG1の慣性を考慮してエンジン動作点を決定する。具体的には、ECU50は、要求エンジンパワーの変化に伴うモータジェネレータMG1、MG2の少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、バッテリ6の入出力制限値以内になるように、要求エンジンパワーの変化量を制限する。例えば、ECU50は、要求エンジンパワー若しくは目標エンジン回転数をゆっくり変化させる制御を行う。これにより、エンジン出力変化をバッテリ6の入出力制限値以内に適切に制限することができ、バッテリ6の性能劣化などを抑制することが可能となる。
以下で、ECU50が行う制御の実施例について、具体的に説明する。
(第1実施例)
第1実施例では、ECU50は、電池許容充電量(Win)が小さい場合において、要求エンジンパワーが減少する場合に、要求エンジンパワーをゆっくり小さくする制御を行う。つまり、ECU50は、回転慣性による発電量変化を考慮して、要求エンジンパワーをゆっくり小さくする制御を行う。具体的には、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電力値が電池許容充電量(Win)以内になるように、要求エンジンパワーの変化率(レート)を制限する。
これにより、要求エンジンパワー変化が小さくなることで、エンジン回転数の下降変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、電池許容充電量についての保護性能を向上させることが可能となる。
図4は、第1実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS101では、ECU50は、電池許容充電量(Win)が所定値以下か否かを判定する。この場合、ECU50は、バッテリ6の温度が考慮された電池許容充電量(Win)を取得して当該判定を行う。電池許容充電量が所定値以下の場合(ステップS101;Yes)、処理はステップS102に進む。
これに対して、電池許容充電量が所定値以下でない場合(ステップS101;No)、処理はステップS104に進む。この場合には、ECU50は、通常の処理を行う(ステップS104)。具体的には、ECU50は、通常の変化率(予め定められた変化率)で要求エンジンパワーを変化させる制御などを行う。そして、処理は終了する。なお、以下では、電池許容充電量が所定値以下でない場合若しくは要求エンジンパワーが減少していない場合を、「通常時」と呼ぶことにする(第2実施例においても同様とする)。
ステップS102では、ECU50は、要求エンジンパワーが減少しているか否かを判定する。要求エンジンパワーが減少している場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS103に進む。これに対して、要求エンジンパワーが減少していない場合(ステップS102;No)、処理はステップS104に進む。この場合には、ECU50は、上記と同様の通常の処理を行い(ステップS104)、処理は終了する。
ステップS103では、ECU50は、電池許容充電量(Win)が所定値以下であり、要求エンジンパワーが減少しているため、要求エンジンパワーをゆっくり小さくする制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて要求エンジンパワーを変化させる。この場合、ECU50は、エンジン1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、ドライバの要求に応じた走行パワーやSOCに応じた充放電要求量などに基づいて要求エンジンパワーを求めて、通常時よりも長い時間をかけて要求エンジンパワーを変化させる。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して要求エンジンパワーの変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて要求エンジンパワーを変化させる。そして、処理は終了する。
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明する。第2実施例では、要求エンジンパワーの代わりに目標エンジン回転数に対する制御を行う点で、第1実施例と異なる。具体的には、第2実施例では、ECU50は、電池許容充電量(Win)が小さく、要求エンジンパワーが減少する場合において、目標エンジン回転数をゆっくり下降させる制御を行う。つまり、ECU50は、回転慣性による発電量変化を考慮して、目標エンジン回転数をゆっくり下降させる制御を行う。詳しくは、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電力値が電池許容充電量(Win)以内になるように、目標エンジン回転数の変化率を制限する。
これによっても、エンジン回転数の下降変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、電池許容充電量についての保護性能を向上させることが可能となる。
図5は、第2実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS201、S202、S204の処理は、前述したステップS101、S102、S104の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS203では、ECU50は、電池許容充電量(Win)が所定値以下であり、要求エンジンパワーが減少しているため、目標エンジン回転数をゆっくり下降させる制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて目標エンジン回転数を変化させる。この場合、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、エンジン最適動作線から要求エンジンパワーに対応する目標エンジン回転数を求めて(但しエンジン最大/最小回転数を超えないようにする)、通常時よりも長い時間をかけて目標エンジン回転数を変化させる制御を行う。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して目標エンジン回転数の変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて目標エンジン回転数を変化させる。そして、処理は終了する。
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明する。第3実施例における制御は、電池許容放電量(Wout)が小さく、且つ要求エンジンパワーが増加する場合に行われる点で、第1及び第2実施例における制御と異なる。具体的には、第3実施例では、ECU50は、電池許容放電量(Wout)が小さい場合において、要求エンジンパワーが増加する場合に、要求エンジンパワーをゆっくり大きくする制御を行う。詳しくは、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電力値が電池許容放電量(Wout)以内になるように、要求エンジンパワーの変化率(レート)を制限する。
これにより、要求エンジンパワー変化が小さくなることで、エンジン回転数の上昇変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、電池許容放電量についての保護性能を向上させることが可能となる。
図6は、第3実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS301では、ECU50は、電池許容放電量(Wout)が所定値以下か否かを判定する。この場合、ECU50は、バッテリ6の温度が考慮された電池許容放電量(Wout)を取得して当該判定を行う。電池許容放電量が所定値以下の場合(ステップS301;Yes)、処理はステップS302に進む。
これに対して、電池許容放電量が所定値以下でない場合(ステップS301;No)、処理はステップS304に進む。この場合には、ECU50は、通常の処理を行う(ステップS304)。具体的には、ECU50は、通常の変化率(予め定められた変化率)で要求エンジンパワーを変化させる制御などを行う。そして、処理は終了する。なお、以下では、電池許容放電量が所定値以下でない場合若しくは要求エンジンパワーが増加していない場合を、「通常時」と呼ぶことにする(第4実施例においても同様とする)。
ステップS302では、ECU50は、要求エンジンパワーが増加しているか否かを判定する。要求エンジンパワーが増加している場合(ステップS302;Yes)、処理はステップS303に進む。これに対して、要求エンジンパワーが増加していない場合(ステップS302;No)、処理はステップS304に進む。この場合には、ECU50は、上記と同様の通常の処理を行い(ステップS304)、処理は終了する。
ステップS303では、ECU50は、電池許容放電量(Wout)が所定値以下であり、要求エンジンパワーが増加しているため、要求エンジンパワーをゆっくり大きくする制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて要求エンジンパワーを変化させる。この場合、ECU50は、エンジン1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、ドライバの要求に応じた走行パワーやSOCに応じた放電要求量などに基づいて要求エンジンパワーを求めて、通常時よりも長い時間をかけて要求エンジンパワーを変化させる。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して要求エンジンパワーの変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて要求エンジンパワーを変化させる。そして、処理は終了する。
(第4実施例)
次に、第4実施例について説明する。第4実施例では、要求エンジンパワーの代わりに目標エンジン回転数に対する制御を行う点で、第3実施例と異なる。具体的には、第4実施例では、ECU50は、電池許容放電量(Wout)が小さく、要求エンジンパワーが増加する場合において、目標エンジン回転数をゆっくり上昇させる制御を行う。詳しくは、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電力値が電池許容放電量(Wout)以内になるように、目標エンジン回転数の変化率を制限する。
これによっても、エンジン回転数の上昇変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、電池許容放電量についての保護性能を向上させることが可能となる。
図7は、第4実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS401、S402、S404の処理は、前述したステップS301、S302、S304の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS403では、ECU50は、電池許容放電量(Wout)が所定値以下であり、要求エンジンパワーが増加しているため、目標エンジン回転数をゆっくり上昇させる制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて目標エンジン回転数を変化させる。この場合、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、エンジン最適動作線から要求エンジンパワーに対応する目標エンジン回転数を求めて(但しエンジン最大/最小回転数を超えないようにする)、通常時よりも長い時間をかけて目標エンジン回転数を変化させる制御を行う。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して目標エンジン回転数の変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて目標エンジン回転数を変化させる。そして、処理は終了する。
(第5実施例)
次に、第5実施例について説明する。第5実施例では、電池許容充電量(Win)や電池許容放電量(Wout)の代わりに、電圧における許容上限値に基づいて制御を行う点で、前述した第1乃至第4実施例と異なる。具体的には、第5実施例では、ECU50は、電圧が許容上限値に近い場合(つまり電圧が高い場合)において、要求エンジンパワーが減少する場合に、要求エンジンパワーをゆっくり小さくする制御を行う。詳しくは、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電圧が許容上限値を超えないように、要求エンジンパワーの変化率(レート)を制限する。なお、電圧の許容上限値は、バッテリ6や、バッテリ6に並列に接続された高圧系部品(電動エアコンやEV車におけるDC−DCコンバータなど)などに流れる電圧に基づいて設定される。
このような制御によっても、要求エンジンパワー変化が小さくなることで、エンジン回転数の下降変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、上限電圧保護性能を向上させることが可能となる。
なお、前述した実施例における電池許容充電量や電池許容放電量に基づいた制御は、間接的にパワー収支保護性能向上などを図った制御であると言えるのに対して、第5実施例(後述する第6実施例も含む)における電圧の許容上限値に基づいた制御は、直接的にパワー収支保護性能向上などを図った制御であると言える。
図8は、第5実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS501では、ECU50は、電圧が許容上限値に近いか否かを判定する。具体的には、ECU50は、バッテリ6や高圧系部品などに流れる電圧と許容上限値との差分が、所定値以下であるか否かを判定する。電圧が許容上限値に近い場合(ステップS501;Yes)、処理はステップS502に進む。
これに対して、電圧が許容上限値に近くない場合(ステップS501;No)、処理はステップS504に進む。この場合には、ECU50は、通常の処理を行う(ステップS504)。具体的には、ECU50は、通常の変化率(予め定められた変化率)で要求エンジンパワーを変化させる制御などを行う。そして、処理は終了する。なお、以下では、電圧が許容上限値に近くない場合若しくは要求エンジンパワーが減少していない場合を、「通常時」と呼ぶことにする(第6実施例においても同様とする)。
ステップS502では、ECU50は、要求エンジンパワーが減少しているか否かを判定する。要求エンジンパワーが減少している場合(ステップS502;Yes)、処理はステップS503に進む。これに対して、要求エンジンパワーが減少していない場合(ステップS502;No)、処理はステップS504に進む。この場合には、ECU50は、上記と同様の通常の処理を行い(ステップS504)、処理は終了する。
ステップS503では、ECU50は、電圧が許容上限値に近く、且つ、要求エンジンパワーが減少しているため、要求エンジンパワーをゆっくり小さくする制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて要求エンジンパワーを変化させる。この場合、ECU50は、エンジン1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、ドライバの要求に応じた走行パワーやSOCに応じた充放電要求量などに基づいて要求エンジンパワーを求めて、通常時よりも長い時間をかけて要求エンジンパワーを変化させる。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して要求エンジンパワーの変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて要求エンジンパワーを変化させる。そして、処理は終了する。
(第6実施例)
次に、第6実施例について説明する。第6実施例では、要求エンジンパワーの代わりに目標エンジン回転数に対する制御を行う点で、第5実施例と異なる。具体的には、第6実施例では、ECU50は、電圧が許容上限値に近く(つまり電圧が高い場合)、要求エンジンパワーが減少する場合において、目標エンジン回転数をゆっくり下降させる制御を行う。詳しくは、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電圧が許容上限値を超えないように、目標エンジン回転数の変化率(レート)を制限する。
これによっても、エンジン回転数の下降変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、上限電圧保護性能を向上させることが可能となる。
図9は、第6実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS601、S602、S604の処理は、前述したステップS501、S502、S504の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS603では、ECU50は、電圧が許容上限値に近く、且つ、要求エンジンパワーが減少しているため、目標エンジン回転数をゆっくり下降させる制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて目標エンジン回転数を変化させる。この場合、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、エンジン最適動作線から要求エンジンパワーに対応する目標エンジン回転数を求めて(但しエンジン最大/最小回転数を超えないようにする)、通常時よりも長い時間をかけて目標エンジン回転数を変化させる制御を行う。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して目標エンジン回転数の変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて目標エンジン回転数を変化させる。そして、処理は終了する。
(第7実施例)
次に、第7実施例について説明する。第7実施例における制御は、電圧が許容下限値に近く、且つ要求エンジンパワーが増加する場合に行われる点で、第5及び第6実施例における制御と異なる。具体的には、第7実施例では、ECU50は、電圧が許容下限値に近い場合(つまり電圧が低い場合)において、要求エンジンパワーが増加する場合に、要求エンジンパワーをゆっくり大きくする制御を行う。詳しくは、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電圧が許容下限値を超えないように、要求エンジンパワーの変化率(レート)を制限する。なお、電圧の許容下限値は、バッテリ6や、バッテリ6に並列に接続された高圧系部品(電動エアコンやEV車におけるDC−DCコンバータなど)などに流れる電圧に基づいて設定される。
これにより、要求エンジンパワー変化が小さくなることで、エンジン回転数の上昇変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、下限電圧保護性能を向上させることが可能となる。
なお、前述した実施例における電池許容充電量や電池許容放電量に基づいた制御は、間接的にパワー収支保護性能向上などを図った制御であると言えるのに対して、第7実施例(後述する第8実施例も含む)における電圧の許容下限値に基づいた制御は、直接的にパワー収支保護性能向上などを図った制御であると言える。
図10は、第7実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS701では、ECU50は、電圧が許容下限値に近いか否かを判定する。具体的には、ECU50は、バッテリ6や高圧系部品などに流れる電圧と許容下限値との差分が、所定値以下であるか否かを判定する。電圧が許容下限値に近い場合(ステップS701;Yes)、処理はステップS702に進む。
これに対して、電圧が許容下限値に近くない場合(ステップS701;No)、処理はステップS704に進む。この場合には、ECU50は、通常の処理を行う(ステップS704)。具体的には、ECU50は、通常の変化率(予め定められた変化率)で要求エンジンパワーを変化させる制御などを行う。そして、処理は終了する。なお、以下では、電圧が許容下限値に近くない場合若しくは要求エンジンパワーが増加していない場合を、「通常時」と呼ぶことにする(第8実施例においても同様とする)。
ステップS702では、ECU50は、要求エンジンパワーが増加しているか否かを判定する。要求エンジンパワーが増加している場合(ステップS702;Yes)、処理はステップS703に進む。これに対して、要求エンジンパワーが増加していない場合(ステップS702;No)、処理はステップS704に進む。この場合には、ECU50は、上記と同様の通常の処理を行い(ステップS704)、処理は終了する。
ステップS703では、ECU50は、電圧が許容下限値に近く、且つ、要求エンジンパワーが増加しているため、要求エンジンパワーをゆっくり大きくする制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて要求エンジンパワーを変化させる。この場合、ECU50は、エンジン1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、ドライバの要求に応じた走行パワーやSOCに応じた充放電要求量などに基づいて要求エンジンパワーを求めて、通常時よりも長い時間をかけて要求エンジンパワーを変化させる。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して要求エンジンパワーの変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて要求エンジンパワーを変化させる。そして、処理は終了する。
(第8実施例)
次に、第8実施例について説明する。第8実施例では、要求エンジンパワーの代わりに目標エンジン回転数に対する制御を行う点で、第7実施例と異なる。具体的には、第8実施例では、ECU50は、電圧が許容下限値に近く(つまり電圧が低い場合)、要求エンジンパワーが増加する場合において、目標エンジン回転数をゆっくり上昇させる制御を行う。詳しくは、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1の出力変化による電圧が許容下限値を超えないように、目標エンジン回転数の変化率(レート)を制限する。
これによっても、エンジン回転数の上昇変化率が小さくなり、MG1トルクのF/B成分を小さくすることができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能を向上させることが可能となる。つまり、下限電圧保護性能を向上させることが可能となる。
図11は、第8実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS801、S802、S804の処理は、前述したステップS701、S702、S704の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS803では、ECU50は、電圧が許容下限値に近く、且つ、要求エンジンパワーが増加しているため、目標エンジン回転数をゆっくり上昇させる制御を行う。つまり、ECU50は、通常時に用いる変化率よりも絶対値において小さな変化率(レート)にて目標エンジン回転数を変化させる。この場合、ECU50は、第1のモータジェネレータMG1などに対して制御を行う。より具体的には、ECU50は、通常時と同様の方法にて、エンジン最適動作線から要求エンジンパワーに対応する目標エンジン回転数を求めて(但しエンジン最大/最小回転数を超えないようにする)、通常時よりも長い時間をかけて目標エンジン回転数を変化させる制御を行う。例えば、ECU50は、バッテリ6の温度に対して目標エンジン回転数の変化率が対応付けられたマップを参照し、バッテリ6の温度に対応する変化率を得て、当該変化率に基づいて目標エンジン回転数を変化させる。そして、処理は終了する。
(第9実施例)
次に、第9実施例について説明する。第9実施例における制御は、トラクションコントロール(以下、単に「TRC」とも表記する。)によるトルクダウン要求時に行われる点で、前述した第1乃至第8実施例における制御と異なる。具体的には、第9実施例では、ECU50は、TRCによるトルクダウン要求時において、駆動トルク(駆動出力)に応じて要求エンジンパワーを減少させるが、エンジン回転数は変化させない。こうするのは、TRC作動時には要求エンジンパワーの変化が大きくなる傾向にあるので、前述したような放電電力又は充電電力についての制御性の悪化が顕著に現れるものと考えられるからである。
より詳しくは、ECU50は、TRCによるトルクダウン要求時、要求エンジンパワーを低下させると共に、当該要求エンジンパワーの低下に伴うモータジェネレータMG1、MG2の少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、バッテリ6の入出力制限値以内になるように、モータジェネレータMG1、MG2の少なくともいずれか一方を制御して、エンジン回転数の変化を抑制する。
このような制御を行うことで、エンジン回転数変化を抑制することで、MG1トルクのF/B成分をほとんどなくすことができる。よって、第1のモータジェネレータMG1の発電量の振動成分が除去でき、パワー収支性能(電圧保護性能)を向上させることが可能となる。また、慣性による駆動力変化も減少し、TRC性能も向上させることができる。
図12は、第9実施例における制御処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU50によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS901では、ECU50は、要求エンジンパワーが減少しているか否かを判定する。要求エンジンパワーが減少している場合(ステップS901;Yes)、処理はステップS902に進む。
これに対して、要求エンジンパワーが減少していない場合(ステップS901;No)、処理はステップS904に進む。この場合には、ECU50は、通常の処理を行う(ステップS904)。そして、処理は終了する。なお、以下では、要求エンジンパワーが減少していない場合若しくはTRCによるトルクダウン実施中でない場合を、「通常時」と呼ぶことにする。
ステップS902では、ECU50は、TRCによるトルクダウン実施中であるか否かを判定する。TRCによるトルクダウン実施中である場合(ステップS902;Yes)、処理はステップS903に進む。これに対して、TRCによるトルクダウン実施中でない場合(ステップS902;No)、処理はステップS904に進む。この場合には、ECU50は、通常の処理を行い(ステップS904)、処理は終了する。
ステップS903では、ECU50は、目標エンジン回転数を変化させない、つまり一定値に維持する。具体的には、ECU50は、要求エンジンパワーの低下に伴うモータジェネレータMG1、MG2の少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、バッテリ6の入出力制限値以内になるように、モータジェネレータMG1、MG2の少なくともいずれか一方を制御して、エンジン回転数の変化を抑制する。そして、処理は終了する。
(変形例)
上記では、第1乃至第9実施例における制御を別個に説明したが、第1乃至第9実施例における制御を適宜組み合わせて実行しても良い。
1 エンジン
2 車軸
4 動力分割機構
6 バッテリ(蓄電池)
5a、5b インバータ
50 ECU
100 ハイブリッド車両の制御装置
MG1 第1のモータジェネレータ
MG2 第2のモータジェネレータ

Claims (4)

  1. 第1及び第2のモータジェネレータと、前記第1及び第2のモータジェネレータとの間で電力の授受を行う蓄電池と、エンジンと、を備えるハイブリッド車両に適用されるハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記エンジンの要求駆動力の変化に伴う前記第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、前記蓄電池の入出力制限値以内になるように、前記エンジンの要求駆動力の変化量を制限する制御手段を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記エンジンの要求駆動力の変化に伴う前記第1のモータジェネレータの出力変化による電力値が、前記蓄電池の入出力制限値以内になるように、エンジン出力の単位時間当たりの出力変化率を制限する請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記制御手段は、
    トラクションコントロールによる前記エンジンの要求駆動力の低下指令時には、
    前記エンジンの要求駆動力を低下させると共に、
    当該要求駆動力の低下に伴う前記第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方における電力入出力による電力値が、前記蓄電池の入出力制限値以内になるように、前記第1及び第2のモータジェネレータの少なくともいずれか一方を制御して、エンジン回転数の変化を抑制する請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  4. リングギヤ、サンギヤ、及びキャリアを有する動力分割機構を備え、
    前記キャリアの回転軸は、前記エンジンに連結されていると共に、前記リングギヤ及び前記サンギヤに動力を伝達し、
    前記サンギヤの回転軸は、第1のモータジェネレータに連結されており、
    前記リングギヤの回転軸は、第2のモータジェネレータに連結されており、
    前記第2のモータジェネレータは、車軸に連結されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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