以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、第1実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)3が設けられている。このLCD3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ上から下へ縦方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
LCD3の上方には、表面に「○」と「×」との普通図柄が表示された2つのLED6a,6bで構成された普通図柄表示装置6が配設されている。この普通図柄表示装置6では、遊技領域に打ち込まれた球がLCD3の両側に配設されたゲート7を通過した場合に、「○」と「×」とのLED6a,6bを交互に点灯させる変動表示が行われる。かかる変動表示が「○」のLED6aで終了した場合には、当たりとなって普通電動役物4が所定時間(例えば0.5秒)開放される。
また、LCD3の下方には、始動口(第1種始動口、普通電動役物)4が設けられており、球がこの始動口4へ入賞したタイミングに基づいて、大当たりを発生させるか否かの抽選が行われると共に、その抽選結果を遊技者に告知する演出の内容が決定される。
ここで、第1実施例のパチンコ機Pは、始動口4へ球が入賞した場合には、複数の装置による複数の態様で遊技者に当否を告知する。即ち、LCD3に表示される図柄の変動表示を行う演出(変動表示演出)か、又は、大入賞口5を開閉する大入賞口開閉板51を振動させる演出(大入賞口演出)のいずれか一方の演出を実行して遊技者に当否を告知するのである。当否を告知する演出(当否演出)として変動表示演出が実行される場合には、従来のパチンコ機と同様、変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致して停止したときに大当たりとなる。一方、当否演出として大入賞口演出が実行される場合には、LCD3においては図柄の変動表示は実行されず、大入賞口開閉板51の振動後に大入賞口5が開放して静止した場合に大当たりとなる。よって、遊技を行う遊技者には、大当たりの付与がLCD3の表示結果とは別の結果に基づいて決定される新たな遊技性を提供することができる。
大入賞口5は、始動口4の下方に設けられている。この大入賞口5は、大当たりの発生時には、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。大入賞口5は、遊技盤1に穿設された略矩形状の開口によって形成されており、通常時には、大入賞口5の開口に沿って形成された大入賞口開閉板51によって閉鎖された状態となっている。なお、大入賞口開閉板51を含めた大入賞口5を開閉させる部材の説明は、後述する。
大入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、大入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、大入賞口5の閉鎖後、再度、その大入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この大入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる特定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
なお、第3種パチンコ遊技機において特定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
次に、図2を参照して、大入賞口5を開閉させる部材の構成について説明する。図2は、図1のII−II線におけるパチンコ機Pの断面を模式的に示した図であり、図2(a)は、大入賞口5が閉鎖された状態を示している。また、図2(b)は、図2(a)の状態に対して大入賞口開閉板51が微動した状態を示しており、図2(c)は、大入賞口5が開放された状態を示している。なお、図2においては、大入賞口5の開閉に関連する主要な部材のみを示し、他の部材を省略して示している。
図2(a)に示すように、略鉛直に形成された遊技盤1には大入賞口5が設けられており、その大入賞口5を閉鎖するように大入賞口開閉板51が配設されている。遊技盤1の前面1a側には、遊技盤1に対向して配設されたガラス板52が設けられており、大入賞口開閉板51及び遊技盤1とガラス板52との間を球が落下するようになっている。
大入賞口開閉板51は、遊技盤1と略平行に配設された薄板状に形成されており、大入賞口5の開口の大きさと略同一の外形に形成されている。この大入賞口開閉板51には、正面視左右方向の両端部に支持軸51aが突設されており、その支持軸51aが遊技盤1に設けられた図示しない嵌合穴に嵌合されて遊技盤1に対して揺動可能に支持される。支持軸51aの下側には、支持軸51aと略平行に突設された円柱状の作動軸51bが設けられており、この作動軸51bは、電流の通電状態に応じて駆動されるソレノイド(大入賞口ソレノイド)41のアーム41aに係合されている。また、大入賞口開閉板51の前面は、遊技盤1の前面1aよりもガラス板52から離間して配設されている。
大入賞口ソレノイド41は、大入賞口開閉板51を開閉させる部材であり、一般的な電磁ソレノイドで構成されたものである。この大入賞口ソレノイド41は、遊技盤1に固定される本体41bと、その本体41bに対してスライド移動可能に支持されるアーム41aとを備えており、そのアーム41aの先端部には大入賞口開閉板51の作動軸51bが挟持されている。大入賞口ソレノイド41が非通電の状態では、本体41bに内蔵されたスプリングの作用によりアーム41aは本体41bから外方へ突出する方向に付勢される。アーム41aが最大に突出した状態においては、図2(a)に示すように、大入賞口5が閉鎖される位置に大入賞口開閉板51が配置される。また、大入賞口ソレノイド41が通電されて駆動されると、図2(c)に示すように、本体41b内へアーム41aが引き込まれ、大入賞口開閉板51は支持軸51aを中心に遊技盤1の前面1a側(図2(c)の左側)へ傾倒される。大当たりの発生時には、大入賞口ソレノイド41が所定時間通電されて図2(c)に示す状態となり、大入賞口5の前方へ落下した球が大入賞口開閉板51の一側面によって大入賞口5の中へ案内されるので、大入賞口5へ球が入賞可能となる。
大入賞口振動モータ42は、大入賞口開閉板51を遊技盤1の前後方向(図2(a)の左右方向)に沿って振動させるためのモータである。この大入賞口振動モータ42は、大入賞口開閉板51の上部に接して設けられた側面視略三角形状のカム53と、図示しない歯車を介して連結されている。この大入賞口振動モータ42へ電流が通電されると、図示しない歯車を介してカム53が駆動される。このカム53は、その中心部を遊技盤1に軸支されており、カム53が図2(a)の時計周り方向へ回動されると、カム53に接する大入賞口開閉板51はカム53の一端部に押されつつ微動して、遊技盤1の前面1a側(図2(a)の左側)へ次第に傾倒される。
カム53の一端部が大入賞口開閉板51を支持する状態(図2(b)の状態)になると、大入賞口開閉板51がカム53によって前方へ最大に傾倒された状態となり、更にカム53が回動されると大入賞口開閉板51が次第に後方側へと起立して元の状態(図2(a)の状態)に復帰される。ここで、カム53は、側面視略三角形状に形成されているので、その回転中心から離間して突出した端部はカム53の外周に沿って3箇所に形成される。このため、カム53が一回転する毎に大入賞口開閉板51を3回ずつ前後に移動することができる。よって、大入賞口振動モータ42を所定の回転数(例えば1秒間に2回転の速さ)で回動させることにより大入賞口開閉板51を前後に所定の速さで振動させることができる。また、大入賞口開閉板51がカム53によって最大に前方へ傾倒された状態となっても遊技盤1の前面1aよりも大入賞口開閉板51が突出しない形状にカム53は形成されている。このため、大入賞口振動モータ42によって大入賞口開閉板51が振動された状態でも、遊技盤1とガラス板52との間を落球してきた球は、大入賞口開閉板51の上端に引っ掛かることなく大入賞口開閉板51の前側を通過させることができる。
なお、カム53の外形形状は、図2(b)に示すように、必ずしも大入賞口開閉板51を遊技盤1の前面1aより突出しないものとする必要はなく、遊技に使用する球の半径より小さな開口となる範囲内で大入賞口振動板51を遊技盤1の前面1aより前方へ突出させる形状としても良い。大入賞口開閉板51が遊技盤1の前面1aより突出しても大入賞口開閉板51と遊技盤1との間に球を挟み込むことなく大入賞口開閉板51を閉鎖させることができる。従って、大入賞口演出をパチンコ機Pに行わせる場合に、その演出途中における余計な球の入賞を防止しつつ、大入賞口開閉板51の振動幅を大きくして遊技者に迫力のある大入賞口演出を提供することができる。
図3は、パチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。図4に示す2つの演出選定テーブル22a,22bは固定値データの一部として、図5から図11に示すフローチャートのプログラムは制御プログラムの一部としてROM22内に記憶されている。
ROM22内に記憶された図4に示す2つの演出選定テーブル22a,22bは、始動口4へ球が入賞した場合に、LCD3にて行う変動表示演出の内容、又は変動表示演出の代わりに大入賞口開閉板51を振動させる大入賞口演出を実行させるか否か等、当否演出の内容(演出パターン)を決定するためのテーブルである。演出パターンの抽選が行われる場合には、始動口4へ球が入賞したタイミングに基づいて2つのテーブル22a,22bのうちのいずれか1つが使用され、そのテーブルによる抽選結果に基づいて1の演出パターンの実行が決定される。なお、各テーブル22a,22bに設定された演出の選定条件については、後述する。
RAM23は、保留球カウンタ23aと、乱数カウンタ23bと、ハズレ演出カウンタ23cと、演出パターンカウンタ23dと、演出実行エリア23eと、4つの演出実行1〜4メモリ23f〜23iと、バックアップエリア23jとを備えている。また、RAM23には、パチンコ機Pの電源のオフ後においても、電源基板50からバックアップ電圧が供給されており、データを保持(バックアップ)できるように構成されている。
保留球カウンタ23aは、実行待機中の当否演出の回数を記憶するカウンタである。保留球カウンタ23aの値は、変動表示演出若しくは大入賞口演出が実行されていない場合、又は、それら演出が行われているが実行待機中の当否演出の回数がない場合には「0」、実行待機中の当否演出の回数が1回の場合には「1」、・・・、実行待機中の当否演出の回数が4回の場合には「4」となる。本実施例のパチンコ機Pでは、当否演出の最大待機回数は4回であるので、保留球カウンタ23aの値は「0」から「4」の範囲で変化する。保留球カウンタ23aの値のカウントアップは、球が始動口4へ入賞して第1種始動口スイッチ18で検出された場合に行われ(図8、S53参照)、カウントダウンは、当否演出の開始時に行われる(図9、S63参照)。
乱数カウンタ23bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述する乱数更新処理(図6、S16参照)によって、「0〜630」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。この乱数カウンタ23bの値は、遊技盤1に打ち込まれた球が始動口4へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ18で検出されたとき(始動入賞時)に取得され、このとき取得された乱数カウンタ23bの値が「7」または「315」であった場合に大当たりが発生する。ここで、始動入賞時に取得された乱数カウンタ23bの値は、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23f〜23iに書き込まれて記憶される(図8、S54参照)。
ハズレ演出カウンタ23cは、演出後の結果がハズレとなる当否演出に対して示唆演出を実行させるか否かを決定するためのカウンタである。始動口4に入賞したタイミングに基づいた抽選結果がハズレである場合に、通常のハズレ演出とするか、或いは、大当たりとなる期待を遊技者に持たせる演出(示唆演出)を伴わせたハズレ演出とするかは、ハズレ演出カウンタ23cの値に基づいて決定される。このハズレ演出カウンタ23cの値は、後述する乱数更新処理(図6、S16参照)によって、「0〜9」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。かかるハズレ演出カウンタ23cの値は、前記した乱数カウンタ23bの値と同様に始動入賞時に取得され、前記した乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、取得されたハズレ演出カウンタ23cの値が「7」であった場合には、示唆演出を伴わせたハズレ演出の実行が決定される。なお、始動入賞時に取得されたハズレ演出カウンタ23cの値は、前記した乱数カウンタ23bの値と共に、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23f〜23iに書き込まれて記憶される(図8、S54参照)。
ここで、示唆演出としては、変動表示演出によるリーチ表示や、大入賞口演出等が例示される。なお、リーチ表示とは、図柄の変動表示が開始された後、先に停留する左右の表示領域に表示される図柄の組み合わせが大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている中央の表示領域の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆する表示である。また、本実施例のパチンコ機Pにおいては、通常のリーチの演出(ノーマルリーチ)と、ノーマルリーチより演出時間が長く「魚群」や「泡」などをLCD3に表示させるスーパーリーチの演出(以下スーパーリーチと略す)とを有しており、ノーマルリーチ後に大当たりへ遷移する確率(期待値)は約1%に設定されている。一方、スーパーリーチ後に大当たりへ遷移する確率はノーマルリーチより2倍以上高く設定されており、スーパーリーチの実行によって遊技者にはノーマルリーチより大当たりを強く期待させることができる。
演出パターンカウンタ23dは、演出の開始時に示唆演出の演出パターンを決定するためのカウンタである。示唆演出の演出パターンをノーマルリーチやスーパーリーチとするか、或いは、大入賞口演出とするかを決定する場合には、この演出パターンカウンタ23dの値が参照される。演出パターンカウンタ23dの値は、後述する乱数更新処理(図6、S16参照)によって「0〜99」の範囲内で2ms毎に1カウントずつ更新される。かかる演出パターンカウンタ23dの値は、当否演出の開始時に実行される演出パターン設定処理(図9及び図10、S66参照)において参照される場合があり、この場合には、参照された演出パターンカウンタ23dの値に応じたデータが図4に示す2つのテーブル22a,22bのうちのいずれか1つから読み出され、演出実行エリア23eに演出実行用のデータの1つとして書き込まれて記憶される(図10参照)。
ここで、図4を参照して、示唆演出の演出パターンを決定するために使用されるテーブル22a,22bについて説明する。図4(a)及び図4(b)は、各テーブル22a,22bの構成を模式的に示した図である。各テーブル22a,22bには、示唆演出の演出パターンとして、ノーマルリーチを実行させる「変動表示演出1」、1のスーパーリーチ(スーパーリーチ1)を実行させる「変動表示演出2」、スーパーリーチ1とは異なるスーパーリーチ(スーパーリーチ2)を実行させる「変動表示演出3」及び「大入賞口演出」で構成される4種類の演出が設定されている。各演出には、それぞれ「0〜3」の4つのデータが対応させられている。
図4(a)は、大当たりが発生する当否演出に対する演出パターンの抽選に使用される大当たり演出選定テーブル22aの構成を模式的に示した図である。大当たり演出選定テーブル22aには、「変動表示演出1〜3」及び「大入賞口演出」の4種類の演出パターンに演出パターンカウンタ23dの値が対応している。具体的には、「0〜99」の範囲内で合計100個の値を取り得る演出パターンカウンタ23dの値は、「変動表示演出1」に対して「0〜14」、「変動表示演出2」に対して「15〜34」、「変動表示演出3」に対して「35〜59」、「大入賞口演出」に対して「60〜99」の4つの範囲に区分けされている。つまり、「変動表示演出1」、「変動表示演出2」、「変動表示演出3」及び「大入賞口演出」の演出パターンが15:20:25:40の比率に区分けされており、大当たりが発生する当否演出に対しては、変動表示演出が60%、大入賞口演出が40%の確率で選定されるようになっている。
図4(b)は、ハズレの当否演出に対する示唆演出の演出パターンの抽選に使用されるハズレ演出選定テーブル22bの構成を模式的に示した図である。ハズレ演出選定テーブル22bも、大当たり演出選定テーブル22aと同様に、「変動表示演出1〜3」及び「大入賞口演出」の4種類の演出パターンに演出パターンカウンタ23dの値が対応している。具体的には、「0〜99」の範囲内で合計100個の値を取り得る演出パターンカウンタ23dの値は、「変動表示演出1」に対して「0〜39」、「変動表示演出2」に対して「40〜69」、「変動表示演出3」に対して「70〜89」、「大入賞口演出」に対して「90〜99」の4つの範囲に区分けされている。つまり、「変動表示演出1」、「変動表示演出2」、「変動表示演出3」及び「大入賞口演出」の演出パターンが40:30:20:10の比率に区分けされており、ハズレの当否演出に示唆演出が実行される場合に、変動表示演出が90%、大入賞口演出が10%の確率で選定されるようになっている。
図3に戻って、MPU21のRAM23の構成について説明する。演出実行エリア23eは、LCD3で実行中の変動パターンや停止図柄に対応する乱数カウンタ23b、ハズレ演出カウンタ23c及び演出パターンカウンタ23dなどの値を演出実行用のデータとして記憶するためのエリアである。この演出実行エリア23eには、変動表示演出又は大入賞口演出による当否演出が実行中でなく、且つ、保留球カウンタ23aの値が「1」以上で実行待機中の当否演出がある場合に、実行待機中の当否演出のうち最初に書き込みが行われた演出実行1メモリ23fに記憶されている演出実行用のデータが書き込まれる。
演出実行1〜4メモリ23f〜23iは、実行待機中の当否演出に対する当否や変動パターン等に対応した乱数カウンタ23b、ハズレ演出カウンタ23c及び演出パターンカウンタ23dなどの値を演出実行用のデータとして記憶するためのメモリである。この演出実行1〜4メモリ23f〜23iへの演出実行用のデータの書き込みは、始動入賞時に実行される。また、本実施例における当否演出の最大待機回数は4回であるので、4つの演出実行1〜4メモリ23f〜23iが設けられている。これら4つの演出実行1〜4メモリ23f〜23iに待機中のデータがある場合には、1回の当否演出が実行される毎に1つずつ演出実行エリア23eにデータが書き込まれて使用される。
また、演出実行1〜4メモリ23f〜23iへの演出実行用のデータの書き込みは、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23f〜23iに対して行われる。即ち、保留球カウンタ23aの値が「1」の場合には演出実行1メモリ23fへ、保留球カウンタ23aの値が「2」の場合には演出実行2メモリ23gへ、・・・、保留球カウンタ23aの値が「4」の場合には演出実行4メモリ23iへ演出実行用のデータが書き込まれる(図8、S54参照)。なお、演出実行1〜4メモリ23f〜23iに記憶する演出実行用のデータとしては、乱数カウンタ23b、ハズレ演出カウンタ23c及び演出パターンカウンタ23dの値をそのまま使用しても、これらカウンタ23b〜23dの値に対応づけて変換した別の値や文字等を使用しても良い。
バックアップエリア23jは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機Pの状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア23jへの書き込みは、NMI割込処理(図5参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア23jに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の初期化処理(図7参照)において実行される。なお、MPU21のNMI(Non Maskable Interrupt)端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路50bから出力される停電信号51が入力されるように構成されており、停電の発生により、図5の停電時処理(NMI割込処理)が即座に実行される。
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21は入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、電源基板50に設けられたクリアスイッチ50cと、払出モータ26によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前記した図柄の変動表示の制御を行う表示用制御基板Dと、第1種始動口スイッチ18と、前記した大入賞口ソレノイド41及び大入賞口振動モータ42と、そのほか、他の入出力装置29とにそれぞれ接続されている。なお、表示用制御基板Dは、スピーカ27から出力される効果音の音声制御とLEDや各種ランプ28の点灯制御を行う音声ランプ制御基板Lと接続されている。この音声ランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御される。
第1種始動口スイッチ18は、始動口(第1種始動口)4に入賞した球を検出するためのスイッチであり、始動口4の近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ18によって球が検出されると、図示しない払出装置によって5個の賞球が払い出される。また、第1種始動口スイッチ18によって球が検出された場合には、乱数カウンタ23b、ハズレ演出カウンタ23c及び演出パターンカウンタ23dなどの値が取得され、その取得された値が演出実行用のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23f〜23iに書き込まれて記憶される。
電源基板50は、パチンコ機Pの各部に電力を供給するための電源部50aと、停電監視回路50bと、クリアスイッチ50cとを備えている。停電監視回路50bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU21のNMI端子へ停電信号51を出力するための回路である。停電監視回路50bは、電源部50aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号51を主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力するように構成されている。この停電信号51の出力によって、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電の発生を認識し、停電時処理(主制御基板Cの場合は図5のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部50aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
クリアスイッチ50cは、主制御基板CのRAM23および払出制御基板HのRAM(図示せず)にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ50cが押下された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、クリア信号52が主制御基板C及び払出制御基板Hへそれぞれ出力され、主制御基板Cおよび払出制御基板Hによって、それぞれのRAM23のデータがクリアされる。
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図5から図11の各フローチャートを参照して説明する。図5は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア23jに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が断されると、停電監視回路50bから停電信号51が主制御基板CのMPU21のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。すると、MPU21は、実行中の制御を中断して、図5のNMI割込処理を開始する。停電信号51が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように電源基板50の電源部50aから電力供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、各レジスタおよびI/O等の値をスタックエリアへ書き込み(S1)、次に、スタックポインタの値をバックアップエリア23jへ書き込んで退避する(S2)。更に、停電発生情報をバックアップエリア23jへ書き込んで(S3)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その後、その他停電処理を実行した後(S4)、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図6は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。メイン処理では、まず、割込を禁止した後(S11)、図7に示す初期化処理を実行する(S12)。ここで、図7のフローチャートを参照して、初期化処理について説明する。
図7は、パチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア23jに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ50cが押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)、クリアスイッチ50cがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ50cがオンされていなければ(S42:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM23の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、バックアップが有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ50cがオンされていれば(S42:Yes)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S44)、RAM23及びI/O等の各値を初期化し、この初期化処理を終了する。このS44の処理の終了後は、図6のS13の処理が実行される。
S45からの復電処理では、まず、バックアップエリア23jからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S45)。次に、バックアップエリア23jへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア23jから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S46)。更に、割込状態を停電発生時に実行される図5の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻し(S47)、NMI割込リターンを実行して処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。
図6のフローチャートに戻って説明する。S13の処理ではタイマ割込の設定を行う(S13)。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S14)。割込の許可後は、演出設定実行処理(S25)や、表示データ作成処理(S27)、ランプ・情報処理(S28)などにより、前回の処理で更新された出力データを一度に各ポートへ出力するポート出力処理を実行する(S15)。
更に、大当たりを決定するための乱数カウンタ23bの値、ハズレ演出カウンタ23cの値及び演出パターンカウンタ23dの値等を「+1」更新する乱数更新処理(S16)を実行し、記憶タイマ減算処理を実行する(S17)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、LCD3において図柄の変動表示中である場合にその変動表示の時間短縮を行うものである。
スイッチ監視処理(S18)は、INT割込で読み込まれた各スイッチの状態に応じて、遊技領域へ打ち込まれた球の入賞口2や特定入賞口5、始動口4への入賞、ゲート7への通過、更には賞球の払い出し等に関する処理を行うものである。図柄カウンタ更新処理(S20)では、LCD3で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S21)では、図柄カウンタ更新処理(S20)で更新されたカウンタの値に基づいて、演出設定実行処理(S25)で使用される大当たり図柄や、ハズレ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。
次いで、普通図柄変動処理(S23)によって、「○」と「×」との2つのLED6a,6bで構成された普通図柄表示装置6の変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、「○」のLED6aで変動表示が終了した場合には当たりとなって普通電動役物(始動口)4を所定時間(例えば0.5秒)開放する当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S24)、大当たり発生後の特別遊技状態以外の通常時においては(S24:通常時)、演出設定実行処理(S25)によって、球が始動口4に入賞するタイミングで読み取った乱数カウンタ23bの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、LCD3による変動表示演出又は大入賞口開閉板51による大入賞口演出を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S24:大当り中)、大入賞口5を開放するなどの大当たり処理(S26)を実行する。
表示データ作成処理(S27)では、図柄の変動表示以外にLCD3に表示されるデモデータや、普通図柄表示装置6の2つのLED6a,6bの表示データなどが作成され、ランプ・情報処理(S28)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S29)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データ及び効果音データは、前記したポート出力処理(S15)やタイマ割込処理によって各制御基板H,D,Lへ出力される。
効果音処理(S29)の終了後は、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、大当たりを決定するための乱数カウンタ23bの初期値を更新する乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行する。S15〜S29の各処理は定期的に実行する必要があるので、S31の処理において前回のS15の処理の実行からの経過時間をチェックする(S31)。チェックの結果、前回のS15の処理の実行から2ms経過していれば(S31:Yes)、処理をS15へ移行する。一方、2ms経過していなければ(S31:No)、処理をS30へ移行して、乱数初期値更新処理(S30)の実行を繰り返す。ここで、S15〜S29の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行することにより、乱数カウンタ23bの初期値をランダムに更新することができる。
図8は、図柄チェック処理(図5、S21参照)の中で実行される演出設定処理のフローチャートである。この演出設定処理は、保留球カウンタ23aの値が「3」以下であって演出実行1〜4メモリ23f〜23iに演出実行用のデータを記憶可能な状態である場合に第1種始動口スイッチ18が球を検出して始動入賞が成立したとき、その始動入賞時の乱数カウンタ23bや演出パターンカウンタ23dなどの値を演出実行用のデータとして取得し、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23f〜23iに記憶させる処理である。
この演出設定処理では、まず、第1種始動口スイッチ18が球を検出したか否かを確認する(S51)。第1種始動口スイッチ18が球を検出していなければ(S51:No)、この演出設定処理を終了する。第1種始動口スイッチ18が球を検出していれば(S51:Yes)、次に、保留球カウンタ23aの値が「4」以上であるか否かを確認する(S52)。保留球カウンタ23aの値が「4」以上であれば(S52:Yes)、当否演出の待機回数分設けられた演出実行1〜4メモリ23f〜23iの全てに演出実行用のデータが書き込まれているので、この演出設定処理を終了する。
一方、保留球カウンタ23aの値が「4」未満であれば(S52:No)、演出実行用のデータが待機回数分記憶されていないので、保留球カウンタ23aの値に「1」を加算し(S53)、乱数カウンタ23b、ハズレ演出カウンタ23c及び演出パターンカウンタ23dの値を演出実行用のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23f〜23iに書き込み(S54)、この演出設定処理を終了する。
次に、図9を参照して、図6の演出設定実行処理(S25)の中で実行される保留球カウンタ減算処理について説明する。この保留球カウンタ減算処理は、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるとき、変動表示演出又は大入賞口演出のうちいずれか一方の演出(当否演出)が行われていなければ保留球カウンタ23aの値を「1」減算して待機中の演出実行用のデータを演出実行エリア23eに書き込んで当否演出を実行させ、一方、当否演出が行われていれば待機中の当否演出の実行を保留(待機)させる処理である。
この保留球カウンタ減算処理では、まず、当否演出の実行中であるか否かを確認する(S61)。確認の結果、当否演出の実行中でなければ(S61:No)、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるか否かを確認する(S62)。保留球カウンタ23aの値が「1」以上であれば(S62:Yes)、保留球カウンタ23aの値から「1」を減算して(S63)、演出実行1メモリ23fに記憶されている演出実行用のデータを演出実行エリア23eに書き込む(S64)。この演出実行エリア23eに書き込まれた演出実行用のデータは、図9の保留球カウンタ減算処理の終了後に表示用制御基板Dへ制御用コマンドとして送信され、各制御基板D,Lは、図柄回転実行エリア23eに書き込まれたデータに従った変動表示を実行する。なお、大入賞口演出が実行される場合には、「大入賞口を見ろ」の表示をLCD3に行わせるコマンドが制御用コマンドとして表示用制御基板Dへ送信される。
S64の処理の後、演出実行2〜4メモリ23g〜23iに記憶されている演出実行用のデータを演出実行1〜3メモリ23f〜23hへそれぞれ1つずつシフトし(S65)、示唆演出を実行させるか否かを設定する演出パターン設定処理(S66)を実行して、この保留球カウンタ減算処理を終了する。なお、S61の処理において当否演出の実行中であることが確認された場合(S61:Yes)、及び、保留球カウンタ23aの値が「1」未満、即ち、「0」である場合には(S62:No)、S63からS66の処理をスキップして保留球カウンタ減算処理を終了する。
図10は、保留球カウンタ減算処理(図9参照)の中で行われる演出パターン設定処理の(S66)フローチャートである。この演出パターン設定処理(S66)は、始動入賞の成立した当否演出に対して示唆演出を実行させるか否か等の演出パターンを決定する処理である。当否演出として変動表示演出を実行させるか、或いは、大入賞口開閉板51を振動させる大入賞口演出を実行させるかの決定は、この演出パターン設定処理(S66)の中で行われる。
この演出パターン設定処理(S66)では、まず、演出実行エリア23eに記憶された乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを確認する(S71)。大当たりを発生させる値であれば(S71:Yes)、演出パターンカウンタ23dの値が示すデータを大当たり演出選定テーブル22a(図4(a)参照)から読み出して演出実行エリア23eに書き込み、この演出パターン設定処理を終了する。
一方、S71の処理において演出実行エリア23eに記憶された乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなければ(S71:No)、演出実行エリア23eに記憶されたハズレ演出カウンタ23cの値が示唆演出を伴わせたハズレ演出を実行させる値であるか否かを確認する(S73)。示唆演出を伴わせたハズレ演出を実行させる値、即ち、「7」であれば(S73:Yes)、演出パターンカウンタ23dの値が示すデータをハズレ演出選定テーブル22b(図4(b)参照)から読み出して演出実行エリア23eに書き込み(S74)、この演出パターン設定処理を終了する。S72又はS74の処理において書き込まれたデータが「3」である場合には、示唆演出として大入賞口演出の実行が決定され、そのデータが「3」以外である場合には、変動表示演出による示唆演出の実行が決定される。
S73の処理において演出実行エリア23eに記憶されたハズレ演出カウンタ23cの値が示唆演出を伴わせたハズレ演出を実行させる値でなければ(S73:No)、S74の処理をスキップして、演出パターン設定処理を終了する。
図11は、主制御基板Cのメイン処理における演出設定実行処理(S25)の中で行われる大入賞口演出制御処理のフローチャートである。この大入賞口演出制御処理は、当否演出として大入賞口開閉板51を振動させる大入賞口演出の実行が決定された場合に大入賞口振動モータ42を所定時間駆動させて大入賞口演出を実行させる処理である。
この大入賞口演出制御処理では、まず、演出実行エリア23eに記憶された演出パターンのデータが大入賞口演出を実行させる値、即ち、「3」であるか否かを確認する(S81)。大入賞口演出を実行させる値であれば(S81:Yes)、大入賞口振動モータ42を駆動する(S82)。
S83の処理では、大入賞口振動モータ42の駆動が開始されてからの経過時間を確認し(S83)、大入賞口振動モータ42の駆動が開始されてから所定時間(本実施例においては15秒)が経過していれば(S83)、大入賞口演出による当否演出の実行を終了させるときであるので(S83:Yes)、大入賞口振動モータ42の駆動を停止して、この大入賞口演出制御処理を終了する。
ここで、実行中の大入賞口演出が大当たりを発生させるもの、即ち、演出実行エリア23eに記憶された乱数カウンタ23bの値が「7」又は「315」である場合には、S84の処理の後に状態フラグ(図6、S24参照)が大当たり中とされて大入賞口開閉板51が傾倒される特別遊技状態(図2(c)に示す状態)へと遷移する。一方、演出実行エリア23eに記憶された乱数カウンタ23bの値が「7」又は「315」でなければ、状態フラグが通常時の状態に保持されて、待機中の演出実行用のデータがある場合には再度当否演出が開始される。
なお、S81の処理において演出実行エリア23eに記憶された演出パターンのデータが大入賞口演出を実行させる値でない場合(S81:No)には、S82からS84の処理をスキップして大入賞口演出制御処理を終了する。また、S83の処理において所定時間が経過していなければ(S83:No)、大入賞口演出の実行中ではあるものの、未だ演出を終了させる時期ではないので、大入賞口振動モータ42を駆動させた状態のままで大入賞口演出制御処理を終了する。
以上説明したように、本発明の第1実施例におけるパチンコ機Pによれば、LCD3による変動表示の表示結果が予め定めた表示結果を現出した場合に大当たりとなると共に、LCD3による変動表示が実行されることなく大入賞口5を開閉させる大入賞口開閉板51が振動した後に大当たりとなるものであるので、遊技性が多様になって、従来にはない新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の単調さを払拭することができる。
また、大入賞口5が開放される特別遊技状態は、変動表示が予め定めた図柄の組み合わせで停止した場合に大当たりとなって開始されると共に、変動表示が大当たりを付与する表示結果を現出しない場合であっても大入賞口演出による大当たりによって開始される。よって、変動表示が所定の表示結果を現出した後に大当たりとなって大入賞口5が開放されるという従来の一連の流れとは別の流れで大当たりが発生する意外性を生じさせて遊技者に付与される遊技の興趣を高めることができる。
更に、大当たりの付与を遊技者に告知する当否演出として実行される大入賞口演出は、遊技者に特別遊技状態が付与された場合に開放される大入賞口5を使用して実行される。通常の遊技中に遊技者は大入賞口5の開放を願って遊技を行うものであるので、大入賞口開閉板51が動作することによって遊技者に直接的に大入賞口5が開放された特別遊技状態を想像させることができ、遊技意欲を増強することができる。
次に、図12から図19を参照して本発明の第2実施例におけるパチンコ機100について説明する。前述した第1実施例のパチンコ機Pは、大入賞口開閉板51を振動させる大入賞口演出が当否演出の1つとして設定され、大入賞口演出が実行される場合には、LCD3による変動表示演出を実行することなく大入賞口5を開放して大当たりを遊技者に告知した。また、第1実施例のパチンコ機Pは、大入賞口5を開口させる大入賞口開閉板51が1枚の板で形成されていた。更に、第1実施例のパチンコ機Pでは、大入賞口開閉板51を振動させる大入賞口演出を主制御基板Cで制御した。
これに対し、第2実施例のパチンコ機100は、当否演出は、LCD3のみで実行されるものであり、大入賞口演出が、示唆演出の1つとして実行されるものである。また、大入賞口101を開口させる大入賞口開閉板102,103が2枚の板で形成され、価値の異なる2種類の大当たりのうち付与される大当たりに応じたいずれかの大入賞口開閉板102,103を選択的に動作させるものである。更に、第2実施例のパチンコ機100は、表示用制御基板Dで大入賞口演出を制御するものである。以下、第2実施例の説明にあたり、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
ここで、従来のパチンコ機では、変動表示の途中でLCD3の表示画面に所定の図柄を現出させたり、スピーカ27から特定の効果音を出力したり、或いは、図示しない操作ハンドルを振動させる等の演出を所定の確率に従って実行し、変動後の表示結果が大当たりとなり易い変動表示であることを遊技者に前もって示唆する工夫がなされている。しかしながら、この種の演出は機種或いはメーカー毎に固有の演出となっており、遊技に不慣れな遊技者にとっては、この種の演出が実行されてもその演出が大当たりの発生を示唆しているものであるのか、それとも大当たりとは無関係な演出であるのかを判断しづらく、大当たりの発生を遊技者に解りやすく示唆することが困難であった。
これに対し、第2実施例のパチンコ機100においては、大当たりの発生を示唆する示唆演出として大入賞口演出を実行する。大入賞口開閉板102,103が開放されて特別遊技状態となることは、機種或いはメーカーに関わらず一般的に同一であるので、大入賞口開閉板102,103が可動することによって遊技者には、大入賞口101が開放されるかもしれないという期待感が湧きやすく、大当たりの発生を遊技者に解りやすく示唆することができる。
図12は、第2実施例におけるパチンコ機100の遊技盤1の正面図である。このパチンコ機100は、第1実施例のパチンコ機Pに対し、始動口4の下方に設けられた大入賞口101が上下方向に幅広に形成されると共に、その大入賞口101を開閉させる大入賞口開閉板102,103が1枚余計に設けられることにより、2枚の大入賞口開閉板102,103が上下に並んで配設されている。この2枚の大入賞口開閉板102,103は、付与される大当たりの種類に応じていずれか一方の大入賞口開閉板102,103が選択的に開放されるように構成されている。
具体的には、パチンコ機100において遊技者に付与され得る大当たりには、普通大当たりと、確率変動大当たりとの2種が定められており、普通大当たりの発生時には、下側の大入賞口開閉板(第2大入賞口開閉板)103が開閉して特別遊技状態による遊技価値が付与される。この普通大当たりが発生すると、特別遊技状態の終了後、通常の遊技状態に遷移する。この普通大当たりは、LCD3による変動表示の表示結果として普通変動図柄(偶数の数字で表示される図柄)が3つ並んで停止したときに発生する。
一方、確率変動大当たりが発生する場合には、上側の大入賞口開閉板(第1大入賞口開閉板)102が開閉して特別遊技状態による遊技価値が付与される。この確率変動大当たりが発生すると、特別遊技状態の終了後、大当たりの発生確率が通常時の5倍とされる確率変動状態に遷移する。この確率変動大当たりは、LCD3による変動表示の表示結果として確率変動図柄(本実施例では、奇数の数字で表示される図柄)が3つ並んで停止したときに発生する。
次に、図13を参照して第2実施例におけるパチンコ機100の大入賞口101を開閉させる部材の構成について説明する。図13(a)は、第2実施例におけるパチンコ機100の大入賞口101周辺の背面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIIIb−XIIIb線における断面図である。なお、図13(a)及び図13(b)においては、大入賞口101の開閉に関連する主要な部材のみを示し、他の部材を省略して示している。
図13(a)に示すように、2枚の大入賞口開閉板102,103は、横長の長方形状に形成されており、その左右両側の縁における下端部から円柱状の支持軸102a,103aが突設されている。この支持軸102a,103aが遊技盤1に設けられた図示しない嵌合穴に嵌合されて、遊技盤1に対して大入賞口開閉板102,103が揺動可能に支持される。2枚の大入賞口開閉板102,103の一端部には、それぞれ後方(図13(a)の紙面垂直方向手前側)に向けて突設された円柱状の作動軸102b,103bが設けられており、その作動軸102b,103bは、電流の通電状態に応じて駆動される2つの大入賞口ソレノイド(第1,第2大入賞口ソレノイド)111,112に中間部材104,105を介してそれぞれ連結されている。
大入賞口ソレノイド111,112は、2枚の大入賞口開閉板102,103を個別に開放させるための部材であり、一般的な電磁ソレノイドで構成されたものである。各大入賞口ソレノイド111,112は、図13(a)に示すように、遊技盤1に固定される本体と、その本体に対してスライド可能に支持されるアーム111a,112aとを備えており、それらアーム111a,112aの先端部が中間部材104,105に係合されている。
ここで、第1大入賞口ソレノイド111の作動による第1大入賞口開閉板102の動作について説明する。第1大入賞口ソレノイド111が非通電の状態では、アーム111aを付勢するスプリング111bの作用によりアーム111aが本体から外方へ突出する方向に付勢される。アーム111aが最大に突出した状態においては、アーム111aに係合された中間部材104が回転軸104aを中心に図13(a)における時計回り方向に最大に回転した位置に配置され、中間部材104に連結された第1大入賞口開閉板102が大入賞口101の上側半分を閉鎖して停止する。また、第1大入賞口ソレノイド111が通電されると、アーム111aが本体へ引き込まれると共にアーム111aに係合された中間部材104が図13(a)における反時計回り方向に回転して第1大入賞口開閉板102が大入賞口101の上側半分を開放する。
第2大入賞口ソレノイド112は、第2大入賞口開閉板103及び中間部材105と共に、図13(a)に示すように、第1大入賞口ソレノイド111と第1大入賞口開閉板102との連結構造と同一構造を有するように形成されている。即ち、第2大入賞口ソレノイド112が非通電の状態では、アーム112aを付勢するスプリング112bの作用によりアーム112aが本体から外方へ突出する方向に付勢されることにより、アーム112aに係合された中間部材105を介して第2大入賞口開閉板103が大入賞口101の下側半分を閉鎖して停止する。一方、第2大入賞口ソレノイド112が通電されると、アーム112aが本体へ引き込まれると共にアーム112aに係合された中間部材105が回転して第2大入賞口開閉板103が大入賞口101の下側半分を開放する。
大入賞口101の下側には、図13(a)に示すように、大入賞口101に入賞した球を左右のいずれかに案内する分板106が設けられている。この分板106は、中間部材107を介して分板ソレノイド113に接続されており、分板ソレノイド113のスプリング113bによって一方に傾倒した状態に維持されている。この分板ソレノイド113が作動することにより、ソレノイド113のアーム113aに係合された中間部材107の回転体107aが回転すると共にその回転体107aに連動して左右方向に移動するスライド部材107bが移動して、分板106の傾斜方向が反転される。大入賞口101に入賞した球は、分板ソレノイド113の作動を制御して分板106の傾斜方向を変更することにより、左右のいずれか一方に案内される。第2実施例におけるパチンコ機100の大入賞口101には、大入賞口101の開閉動作を継続させるためのVゾーンが図13(a)における分板106の左側に設けられており、Vゾーンへの球の入賞が図示しないスイッチに検出されると、分板ソレノイド113を作動させて球をVゾーンとは反対側の入賞通路へ案内する。このため、遊技者には、分板106による球の案内方向に基づいて特別遊技状態中に球がVゾーンへ入賞したか否かを一見して判断させることができる。
大入賞口振動モータ114は、各大入賞口開閉板102,103を遊技盤1の前後方向に沿って振動させるためのモータである。大入賞口振動モータ114の先端部には、周方向に沿って外方に向けて突設された複数の突出部108aを有する略円盤状の歯車108が固定されており、大入賞口振動モータ114が駆動されると、歯車108が回転するようになっている。この歯車108は、図13(b)に示すように、大入賞口開閉板102,103の内面側(図13(b)の左側)に配設されている。また、歯車108は、図13(a)に示すように、大入賞口101の一端側に設けられて大入賞口101の内部を分割する仕切り板101aで仕切られた領域内に配置されている。よって、大入賞口101へ入賞した球が歯車108に接触することがなく、歯車108の破損を防止することができる。
大入賞口開閉板102,103と歯車108との間には、図13(b)に示すように、遊技盤1の前後方向に沿って円筒状に形成された揺動部材109が配設されている。この揺動部材109は、遊技盤1の左右方向(図13(b)の紙面垂直方向)に沿った軸109aによって軸支されており、その前端部が各大入賞口開閉板102,103の内面側に突設された凸部102c,103cに係合可能に形成されると共に、後端部が歯車108の突出部108aに係合可能に形成されている。かかる揺動部材109は、遊技盤1の左右方向(図13(b)の紙面垂直方向)に沿って形成された樹脂製の板バネ109bによって図13(b)に示す状態で中立して静止するようになっている。
ここで、図13(b)を参照して、大入賞口振動モータ114の駆動に伴う大入賞口開閉板102,103の動作について説明する。図13(b)に示す状態から大入賞口振動モータ114が正方向(図13(b)の時計回り方向)に回転駆動されると、歯車108は、大入賞口振動モータ114の駆動に連動して図13(b)の時計回り方向に回動され、歯車108の突出部108aが軸109aを中心として図13(b)の反時計回り方向に揺動部材109を回転させる。揺動部材109の前端部は、第1大入賞口開閉板102の凸部102cを上方へと押圧し、第1大入賞口開閉板102が前方へ傾倒を開始する。歯車108が回動するに従って第1大入賞口開閉板102は移動量を増して傾倒し続ける。
歯車108が回動し続けて、歯車108の突出部108aと揺動部材109との係合が解除されると、揺動部材109は、板バネ109bの作用により図13(b)に示す中立位置へと戻される。揺動部材109が中立位置へ戻されると、第1大入賞口開閉板102の傾倒が解除されて、第1大入賞口ソレノイド111のスプリング111bの作用によって第1大入賞口開閉板102は閉鎖状態に復帰される。歯車108の突出部108aは、その外周における8箇所から外方に突出して形成されているので、歯車108(大入賞口振動モータ114)を正方向へ一回転する毎に第1大入賞口開閉板102を8回ずつ前後に移動させることができる。よって、一定速度で大入賞口振動モータ114を正方向に駆動させることにより、第1大入賞口開閉板102を振動させる大入賞口演出を行わせることができる。なお、第1実施例におけるパチンコ機Pと同様に、第1大入賞口開閉板102が揺動部材109によって最大に前方へ傾倒された状態となっても球が入賞しないように形成されている。
また、図13(b)に示す状態にから大入賞口振動モータ114が逆方向(図13(b)の反時計回り方向)に回転駆動されると、歯車108は、大入賞口振動モータ114の駆動に連動して図13(b)の反時計回り方向に回動され、歯車108の突出部108aが軸109aを中心として図13(b)の時計回り方向に揺動部材109を回転させる。揺動部材109の前端部は、第2大入賞口開閉板103の凸部103cを斜め下側へと押圧し、第2大入賞口開閉板103が前方へ傾倒を開始する。歯車108が回動するに従って第2大入賞口開閉板103は移動量を増して傾倒し続ける。歯車108が回動し続けて、歯車108の突出部108aと揺動部材109との係合が解除されると、揺動部材109は、板バネ109bの作用により図13(b)に示す中立位置へと戻される。揺動部材109が中立位置へ戻されると、第2大入賞口開閉板103の傾倒が解除されて、第2大入賞口ソレノイド112のスプリング112bの作用によって第2大入賞口開閉板103は閉鎖状態に復帰される。このため、歯車108(大入賞口振動モータ114)を逆方向へ一回転する毎に第2大入賞口開閉板103を8回ずつ前後に移動させることができ、一定速度で大入賞口振動モータ114を逆方向に駆動して第2大入賞口開閉板103を振動させる大入賞口演出を行わせることができる。
このように、歯車108を回動させることにより第1大入賞口開閉板102及び第2大入賞口開閉板103を開閉動作させることができ、しかも、歯車108の回動方向に応じて一方の大入賞口開閉板を動作させることができる。よって、各大入賞口開閉板102,103に対して別々にモータ(アクチュエータ)を設ける必要がなく、2枚の大入賞口開閉板102,103を振動させるために必要なコストを低減することができると共にモータを容易に配置することができる。
次に、図14及び図15を参照して、第2実施例におけるパチンコ機100の電気的構成について説明する。図14は、第2実施例におけるパチンコ機100の電気的構成を示したブロック図である。また、図15(a)及び図15(b)は、第2実施例における演出パターンの選定時に使用するテーブルの構成を模式的に示した図である。
主制御基板CのMPU121にはROM122が設けられており、このROM122には、MPU121により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図16及び図17に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM122に記憶されている。また、ROM122には、第1実施例とは内容の異なる2つの演出選定テーブル122a,122bが設けられている。
第1実施例のパチンコ機Pにおいては、主制御基板Cの演出選定テーブル22a,22bに変動表示演出と大入賞口演出とを設定し、大入賞口演出を実行させるか否かを主制御基板Cで決定したのに対し、第2実施例のパチンコ機100では、主制御基板Cから演出開始から終了までの演出時間が定められた演出パターンのデータを表示用制御基板Dに送信し、その演出パターンのデータに従った演出時間の中で示唆演出として大入賞口演出を実行させるか否かを表示用制御基板Dで決定する。ここで、図15を参照して第2実施例における演出選定テーブル122a,122bの構成について説明する。
図15(a)は、大当たりが発生する変動表示の演出パターンの抽選に使用される大当たり演出選定テーブル122aの構成を模式的に示した図である。大当たり演出選定テーブル122aには、4種類の「変動表示演出1〜4」が設定されており、その4種類の演出パターンのそれぞれに演出パターンカウンタ23dの値が対応している。具体的には、「0〜99」の範囲内で更新される演出パターンカウンタ23dの値は、演出時間が5秒に設定された「変動表示演出1」に対して「0〜14」、演出時間が10秒に設定された「変動表示演出2」に対して「15〜34」、演出時間が15秒に設定された「変動表示演出3」に対して「35〜59」、演出時間が20秒に設定された「変動表示演出4」に対して「60〜99」の4つの範囲に区分けされている。つまり、「変動表示演出1」、「変動表示演出2」、「変動表示演出3」及び「変動表示演出4」の演出パターンが15:20:25:40の比率に区分けされている。
演出選定テーブル122a,122bに基づいて演出パターンが決定されると、各演出パターン毎に対応させた「0〜3」の4種類のデータが演出パターンのデータとして表示用制御基板Dに出力される。各制御基板D,Lにおいては、演出パターンのデータを受信した場合に、各演出パターンのデータに対応した演出時間で演出が行われる。なお、第2実施例のパチンコ機100においては、「変動表示演出3」又は「変動表示演出4」の演出が選択された場合に限って、後述する表示用制御基板Dによる演出実行処理(図18参照)によって更に抽選が行われ、3分の1の確率で示唆演出としての大入賞口演出の実行が決定される。
また、図15(b)は、ハズレの変動表示に対する示唆演出の演出パターンの抽選に使用されるハズレ演出選定テーブル122bの構成を模式的に示した図であり、ハズレ演出選定テーブル122bも、大当たり選定テーブル122aと同様に、4種類の「変動表示演出1〜4」が設定され、その4種類の演出パターンのそれぞれに演出パターンカウンタ23dの値が対応している。具体的には、「0〜99」の範囲内で合計100個の値を取り得る演出パターンカウンタ23dの値は、演出時間が5秒の「変動表示演出1」に対して「0〜39」、演出時間が10秒の「変動表示演出2」に対して「40〜69」、演出時間が15秒の「変動表示演出3」に対して「70〜89」、演出時間が20秒の「大入賞口演出」に対して「90〜99」の4つの範囲に区分けされている。つまり、「変動表示演出1」、「変動表示演出2」、「変動表示演出3」及び「変動表示演出4」の演出パターンが40:30:20:10の比率に区分けされている。
図14に戻って主制御基板Cの構成について説明する。主制御基板CのRAMには第1実施例のパチンコ機PにおけるRAM23の構成に加えて大当たり図柄カウンタ123aが設けられている。
大当たり図柄カウンタ123aは、大当たりの発生時にLCD3に表示する図柄を決定するためのカウンタである。第2実施例のパチンコ機100においては、「0」から「9」までの数字で構成された10種の図柄によってLCD3で変動表示が行われ、LCD3の表示領域に表示される3つの図柄が同一の図柄で停止表示された場合に大当たりが発生する。大当たり図柄カウンタ123aの値は、大当たりの発生時に停止表示される図柄に対応づけられて「0〜9」の範囲で更新されるものであり、乱数更新処理(図6、S16参照)によって2ms毎に1カウントずつ更新される。かかる大当たり図柄カウンタ123aの値は、前記した乱数カウンタ23bと共に始動入賞時に取得され、その取得された乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値である場合に、大当たり図柄カウンタ123aの値に従った図柄で大当たりが発生する。
この大当たり図柄カウンタ123aの値に基づいて普通大当たりを発生させるか、それとも確率変動大当たりを発生させるかが決定される。また、大当たりの発生時に示唆演出として大入賞口演出が実行される場合には、大当たり図柄カウンタ123aの値に従って第1大入賞口開閉板102又は第2大入賞口開閉板103のいずれかが振動する示唆演出の実行後に大当たりが発生する(図18、S131及びS132参照)。なお、始動入賞時に取得された大当たり図柄カウンタ123aの値は、前記した乱数カウンタ23b及びハズレリーチカウンタ23c等の値と共に、保留球カウンタ23aの値が示す図柄回転1〜4メモリ23f〜23iに書き込まれて記憶される(図16、S101参照)。
かかるROM122およびRAM123を内蔵したMPU121は入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25には、第1実施例において接続されていた大入賞口ソレノイド41と同様、第1,第2大入賞口ソレノイド111,112が接続される他、分板ソレノイド113が接続されている。一方、第1実施例においては大入賞口振動モータ42が主制御基板Cの入出力ポート25に接続されていたものの、第2実施例においては、大入賞口振動モータ114が表示用制御基板Dに接続されている。
表示用制御基板Dは、MPU31、ビデオRAM34、キャラクタROM35、画像コントローラ36、入出力ポート39、出力ポート37等を備えている。入出力ポート39の一方には、主制御基板Cの入出力ポート25と、大入賞口振動モータ114と、音声ランプ制御基板Lとが接続され、その入出力ポート39の他方には、バスラインを介してMPU31が接続されている。また、出力ポート37の入力には画像コントローラ36が接続され、出力ポート37の出力にはLCD3が接続されている。
表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の変動表示を実行させると共に、示唆演出の1つとして大入賞口振動モータ114を作動させて大入賞口演出を制御するためのものであり、ROM32とRAM33とを備えている。ROM32には、MPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図18に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM32に記憶されている。
RAM33は、MPU31による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、演出決定カウンタ33aと、大入賞口演出フラグ33bと、演出実行エリア33cとを備えている。
演出決定カウンタ33aは、主制御基板Cから変動開始の制御用コマンドを受信した場合に、LCD3による変動表示の示唆演出として大入賞口演出を実行させるかを決定するためのカウンタである。この演出決定カウンタ33aの値は、後述する演出実行処理における演出決定カウンタ更新処理(図18、S127参照)によって「0〜2」の範囲内で2ms毎に1カウントずつ更新される。かかる演出決定カウンタ33aの値は、変動開始の制御用コマンドを受信したときに取得され、このとき取得された値が「2」であって、且つ、主制御基板Cから送信される演出パターンのデータが「2」以上である場合に限って大入賞口演出の実行が決定される。
大入賞口演出フラグ33bは、大入賞口演出の実行が決定されたか否かを示すためのフラグである。この大入賞口演出フラグ33bは、表示用制御基板Dが変動開始の制御用コマンドを主制御基板Cから受信したときに、その制御用コマンドに付加された演出パターンのデータが「2」以上であって、且つ、前記した演出決定カウンタの値が「2」である場合にオンされる(図18、S125参照)。この大入賞口演出フラグ33bがオンである場合には、示唆演出として大入賞口演出が実行される。変動開始の制御用コマンドを受信してから指定された演出時間が経過した場合には(図18、S133参照)、大入賞口演出フラグ33bは、オフされる(図18、S136参照)。
演出実行エリア33cは、主制御基板Cから変動開始の制御用コマンドを表示用制御基板Dが受信した場合に、その制御用コマンドに付加された大当たり図柄カウンタ123aの値と演出パターンのデータとを記憶するためのエリアである。この演出実行エリア33cには、変動開始の制御用コマンドを表示用制御基板Dが受信したタイミングで大当たり図柄カウンタ123aの値と演出パターンのデータとが書き込まれて記憶される(図18、S122参照)。
ビデオRAM34は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。キャラクタROM35は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、出力ポート37のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
次に、上記のように構成された第2実施例におけるパチンコ機100で実行される各処理を、図16から図18の各フローチャートを参照して説明する。なお、図5から図7、図9及び図10に示すフローチャートは、第2実施例においても同一の処理を行うものであり、その説明を省略する。又、主制御基板Cで大入賞口振動モータ41を駆動させる大入賞口演出制御処理(図11参照)は、第2実施例においては行われず、大入賞口振動モータ114は、図18に示す表示用制御基板Dによる演出実行処理で駆動される。
図16は、第2実施例におけるパチンコ機100の主制御基板Cで行われる演出設定処理のフローチャートである。この演出設定処理は、図8に示す第1実施例の演出設定処理に対してS101の処理が変更されている。第2実施例における演出設定処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出して始動入賞が成立したとき、その始動入賞時の乱数カウンタ23bや演出パターンカウンタ23dなどの値を演出実行用のデータとして取得するときに、大当たり図柄カウンタ123aの値を同時に記憶させるものである。
この演出設定処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出したときに保留球カウンタ23aの値が「4」未満であれば(S51:Yes,S52:No)、保留球カウンタ23aの値に「1」を加算し(S53)、乱数カウンタ23b、ハズレ演出カウンタ23c、演出パターンカウンタ23d及び大当たり図柄カウンタ123aの値を演出実行用のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23f〜23iに書き込み(S101)、この演出設定処理を終了する。
次に、図17を参照して、第2実施例におけるパチンコ機100の主制御基板Cで行われる大入賞口開閉処理について説明する。図17は、主制御基板Cで行われる大入賞口開閉処理のフローチャートである。この大入賞口開閉処理は、図6のメイン処理における大当たり処理(S26)の中で行われる処理である。この大入賞口開閉処理では、大入賞口101の開放時期において、演出実行エリア23eに記憶される大当たり図柄が奇数であるか偶数であるかに基づいて普通大当たりか確率変動大当たりかを判断し、その判断結果に基づいて2つの大入賞口開閉板102,103のうち一方の大入賞口開閉板を動作させる処理である。
この大入賞口開閉処理では、まず、大当たり中であるか否かを確認する(S111)。大当たり中であれば(S111:Yes)、大入賞口101の開放時期であるか否かを確認する(S112)。開放時期であれば(S112:Yes)、大当たり図柄カウンタ123aの値に基づいて決定された大当たり図柄が奇数であるか否かを確認し(S113)、大当たり図柄が奇数であれば(S113:Yes)、第1大入賞口ソレノイド111をオンして第1大入賞口開閉板102を開放させた後(S114)、この大入賞口開閉処理を終了する。一方、S113の処理において、大当たり図柄が偶数であることが確認された場合には(S113:No)、第2大入賞口ソレノイド112をオンして第2大入賞口開閉板103を開放させた後(S115)、この大入賞口開閉処理を終了する。
S112の処理において大入賞口101の開放時期でない場合には(S112:No)、大入賞口101の閉鎖時期であるか否かを確認する(S116)。大入賞口101の閉鎖時期であれば(S116:Yes)、S114又はS115の処理でオンされた大入賞口ソレノイド111,112をオフして(S117)、この大入賞口開閉処理を終了する。また、S111の処理において、大当たり中でないことが確認された場合(S111:No)、又は、S116の処理において大入賞口101の閉鎖時期でないことが確認された場合(S116:No)には、その後の処理をスキップしてこの大入賞口開閉処理を終了する。
このように、大当たり図柄カウンタ123aの値に従って各大入賞口ソレノイド111,112を選択的に作動させるので、付与される大当たりに対応させた大入賞口開閉板102,103を動作させることができる。
次に、図18を参照して、表示用制御基板Dで実行される演出実行処理について説明する。図18は、演出実行処理のフローチャートである。この演出実行処理では、主制御基板Cからの変動開始の指示を表示用制御基板Dが受信した場合に、示唆演出として大入賞口演出を実行させるか否かを決定すると共に、大入賞口演出を実行させる場合に大入賞口振動モータ114を作動させる制御を行うものである。この演出実行処理は、表示用制御基板Dのメイン処理で2ms毎に行われるタイマ割込処理の一部として実行されるものである。
演出実行処理では、まず、変動開始の制御用コマンドを受信したか否かを確認する(S121)。変動開始の制御用コマンドを受信していれば(S121:Yes)、制御用コマンドに付加された大当たり図柄カウンタ123aの値と演出パターンのデータとを表示用制御基板Dの演出実行エリア33cに書き込む(S122)。次に、演出実行エリア33cに記憶された演出パターンのデータが「2」以上であるか否かを確認する(S123)。演出実行エリア33cに書き込まれた演出パターンのデータが「0」又は「1」である場合には、演出時間に沿ったノーマルリーチを実行し、演出実行エリア33cに書き込まれた演出パターンのデータが「2」以上である場合には、スーパーリーチを実行する。
S123の処理において演出パターンのデータが「2」以上であることが確認されると(S123:Yes)、更に、演出決定カウンタ33aの値が「2」であるか否かを確認し(S124)、演出決定カウンタ33aの値が「2」であれば、大入賞口演出の実行を確定させるために大入賞口演出フラグ33bをオンして(S125)、処理をS127へ移行する。
一方、S123の処理で演出パターンのデータが「0」又は「1」である場合(S123:No)、及び、S124の処理で演出決定カウンタ33aの値が「0」又は「1」である場合(S124:No)には、大入賞口演出を伴わせない変動表示の開始であるので大入賞口演出フラグ33bをオフして(S126)、処理をS127へ移行する。また、S121の処理において変動開始の制御用コマンドを受信していなければ(S121:No)、変動表示中、或いは、変動開始の制御用コマンド待ちの状態であるので、S122からS126の処理をスキップして処理をS127へ移行する。
S127の処理では、演出決定カウンタ33aの値を更新する(S127)。演出決定カウンタ33aの値は「0〜2」の範囲で更新されるものである。具体的には、演出決定カウンタ33aの値が「0」又は「1」であればその値に「1」が加算され、「2」であればその値が「0」クリアされる。
S128からの処理は、大入賞口演出を実行させるために大入賞口振動モータ114の駆動を制御する処理であり、まず、変動表示中であるか否かを確認する(S128)。変動表示中であれば(S128:Yes)、その変動表示にリーチ表示が現出したか否かを確認する(S129)。表示用制御基板Dには、変動中の図柄を停留させるタイミングで、主制御基板Cから停留を指示するコマンドが送信されるものであり、図柄の変動表示が開始された後、最初と2番目に変動停止を指示された図柄が同一であるとき、S137のその他の処理によりLCD3にリーチ表示が現出する。
S129の処理において変動表示にリーチ表示が現出していれば(S129:Yes)、大入賞口演出フラグ33bがオンであるか否かを確認する(S130)。大入賞口演出フラグ33bがオンであれば(S130:Yes)、演出実行エリア33cに記憶された大当たり図柄カウンタ123aの値が奇数であるか否かを確認する(S131)。大当たり図柄カウンタ123aの値が奇数であれば(S131:Yes)、大入賞口振動モータ114を正方向に駆動して第1大入賞口開閉板102を振動させて大入賞口演出を実行させる(S132)。一方、S131の処理において大当たり図柄カウンタ123aの値が偶数であれば(S131:No)、大入賞口振動モータ114を逆方向に駆動して第2大入賞口開閉板103を振動させて大入賞口演出を実行させる(S133)。
大入賞口演出を実行させた後には、大入賞口演出の開始からの経過時間を確認し(S134)、その経過時間が演出実行エリア33cに記憶された演出パターンのデータに対応した演出時間に達していなければ(S134:No)、処理をS137へ移行してその他の処理を行い(S137)、この変動表示演出処理を終了する。S134の処理において、大入賞口演出開始後の経過時間が演出時間に達していれば(S134:Yes)、大入賞口振動モータ114の駆動を停止する(S135)と共に、大入賞口演出フラグ33bをオフして(S136)、処理をS137へ移行する。
また、S128の処理において変動表示中でないことが確認された場合(S128:No)、S129の処理において変動表示にリーチ表示が現出する前であることが確認された場合(S129:No)、又は、大入賞口演出フラグ33bがオフであることが確認された場合(S130:No)には、その後の処理をスキップして、変動表示演出を実行させるなどのその他の処理を行って(S137)、この変動表示設定処理を終了する。
このように、本発明の第2実施例におけるパチンコ機100によれば、演出実行エリア33cに記憶された大当たり図柄カウンタ123aの値に基づいて大入賞口演出を実行させる。よって、大当たりが発生する場合に大入賞口演出が実行されるときには、2つの大入賞口開閉板102,103のうち、大当たり時に開放される一方の大入賞口開閉板を振動させる大入賞口演出を示唆演出として行わせることができ、普通大当たりが発生するか、それとも確率変動大当たりが発生するかを遊技者に前もって解りやすく示唆することができる。
また、大入賞口演出を実行させるか否かを示す大入賞口演出フラグ33bは、、演出実行エリア33cに記憶された演出パターンのデータが「2」以上であってスーパーリーチの実行が確定し、且つ、演出決定カウンタ33aの値が「2」である場合にのみオンされる。よって、遊技者は、スーパーリーチの実行によって期待感が増大した状態において大入賞口開閉板102,103が振動する大入賞口演出を視認することとなり、大入賞口演出による遊技の興趣が一層高められる。また、演出決定カウンタ33aの値が「2」以上であってスーパーリーチが実行される場合であっても、演出決定カウンタ33aの値が「2」となっていなければ大入賞口演出フラグ33bがオンされないので、LCD3で行われる変動表示の演出に対して大入賞口演出を不規則に実行することができ、大入賞口演出が実行されるか否かを期待する興趣を遊技者に提供することができる。
なお、S131の処理においては、必ずしも大当たり図柄カウンタ123aの値に基づいた判断とする必要はなく、演出パターンのデータが「2」であるか、それとも「3」であるかに対応させて第1大入賞口開閉板102又は第2大入賞口開閉板103の振動を決定しても良い。演出パターンのデータは、その数値が大きくなるほど、大当たり演出選定テーブル122aで選定される確率が高く、ハズレ演出選定テーブル122bで選定される確率が低く設定されている。このため、演出パターンのデータが「3」である変動表示の方が、そのデータが「2」の変動表示より大当たりの変動表示に対して設定される確率が高いものである。この演出パターンのデータに基づいて振動させる大入賞口開閉板を決定することにより、大入賞口演出が行われる大入賞口開閉板によってその後に大当たりとなる確率(期待値)を異ならせることができる。よって、大入賞口演出が実行された場合に、振動した大入賞口開閉板毎に異なる大当たりへの期待感を遊技者に抱かせることができ、遊技の興趣を一層高めることができる。
また、S132及びS133の処理の中に、演出パターンのデータに応じて大入賞口振動モータ114の回転数を異ならせる処理を追加しても良い。大入賞口演出による各大入賞口開閉板102,103の振動速度に応じて期待値を示しつつ、普通大当たりであるか確率変動大当たりであるかを示唆することができる。
また、S129の処理を必ずしも設ける必要はなく、変動表示中であり(S128:Yes)、且つ、大入賞口演出フラグ33bがオンである場合(S130:Yes)には、リーチ表示の現出前にS131以降の処理を行って大入賞口振動モータ114を駆動し、大入賞口演出を実行させても良い。リーチ表示の現出前に大入賞口演出が実行されてリーチ表示の現出を遊技者に示唆する演出とすることができる。
次に、図19を参照して、第3実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機100においては、大入賞口振動モータ114を回転駆動させることにより、歯車108及び揺動部材109を作動させて大入賞口開閉板102,103を動作させるものであったが、第3実施例においては、大入賞口振動モータ114の代わりに通電によりモータ自身が振動する小型の振動モータを大入賞口振動モータ211,212として使用したものである。
図19は、第3実施例のパチンコ機における大入賞口201周辺を断面視して模式的に示した図である。大入賞口201には、第2実施例のパチンコ機100と同様に、2枚の大入賞口開閉板202,203が上下に並んで配設されており、上側に第1大入賞口開閉板202が設けられ、下側に第2大入賞口開閉板203が設けられる。各大入賞口開閉板202,203は、両端部に突設された支持軸202a,203aによって遊技盤に対して揺動可能に支持されている。
これら大入賞口開閉板202,203の内面側には、閉鎖状態の第1大入賞口開閉板202に接触して配設される第1大入賞口振動モータ211と、閉鎖状態の第2大入賞口開閉板203に接触して配設される第2大入賞口振動モータ212とが設けられている。また、各大入賞口開閉板202,203は、所定量以上開放されると各大入賞口振動モータ211,212から離間するようになっており、この離間位置は、大入賞口201の開口の幅が球の半径より小さくなる位置であって球の入賞が行われない範囲内で設定されている。
2つの大入賞口振動モータ211,212は、携帯電話に振動機能を持たせるため等に一般に使用される小型の振動モータである。この振動モータとしては、例えば、モータの回転軸の重心が偏心して設けられ、その回転軸の重心がモータの回転に連動して移動することによって、モータ自身が振動するものが例示される。
これら大入賞口振動モータ211,212は、第2実施例のパチンコ機100において大入賞口振動モータ114が作動させられるタイミングと同一のタイミングで選択的に作動させられる。即ち、第2実施例のパチンコ機100において大入賞口振動モータ114が正方向に駆動されるタイミングで、閉鎖状態の第1大入賞口開閉板202に接触する第1大入賞口振動モータ211が作動させられる。第1大入賞口振動モータ211に接触する第1大入賞口開閉板202は、第1大入賞口振動モータ211の作動に連動して前後方向に振動する。第1大入賞口開閉板202の振動量が所定量以上となると、第1大入賞口振動モータ211と第1大入賞口開閉板202とが離間して振動が伝達されなくなる。しかし、図示しないソレノイドの作用により第1大入賞口開閉板202は閉鎖位置側へと復帰させられて、再度、第1大入賞口振動モータ211の振動が伝達されて振動を開始する。
一方、第2実施例のパチンコ機100において大入賞口振動モータ114が逆方向に駆動されるタイミングで、閉鎖状態の第2大入賞口開閉板203に接触する第2大入賞口振動モータ212が作動させられる。第2大入賞口振動モータ212に接触する第2大入賞口開閉板203は、第2大入賞口振動モータ212の作動に連動して前後方向に振動する。第2大入賞口開閉板203の振動量が所定量以上となると、第2大入賞口振動モータ212と第2大入賞口開閉板203とが離間して振動が伝達されなくなる。しかし、図示しないソレノイドの作用により第2大入賞口開閉板203は閉鎖位置側へと復帰させられて、再度、第2大入賞口振動モータ212の振動が伝達されて振動を開始する。
このように、第3実施例のパチンコ機によれば、各大入賞口開閉板202,203が所定量以上開放されると、各大入賞口開閉板202,203を作動させるために設けられた各大入賞口振動モータ211,212は、それぞれに接触した大入賞口開閉板202,203から離間するので、大入賞口振動モータ211,212の作動による大入賞口開閉板202,203の開閉動作を所定量で停止させることができる。また、各大入賞口振動モータ211,212と各大入賞口開閉板202,203との離間位置は、球が入賞しない範囲内で設定されているので、大入賞口振動モータ211,212が誤って作動し続けても、その誤作動による余計な球の入賞を確実に防止することができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1実施例においては、大入賞口5を形成する1部材である大入賞口開閉板51の振動後に大入賞口開閉板51が開放されることを条件として特別遊技状態(特定の遊技価値)を付与する構成としたが、始動口(普通電動役物)4によって行われる演出が所定の条件を満たした場合に特別遊技状態を発生させても良い。例えば、始動口4への入賞に基づいて実行される当否演出として、普通電動役物4の作動時間を制御して普通電動役物4を開閉(振動)する演出を行わせた後、開放状態で一定時間(例えば10秒)静止した場合に大当たりとなって特別遊技状態を発生させるものであっても良い。一方、ハズレ時には普通電動役物4が開放された後に一定時間経過する前に閉鎖させる演出を行っても良い。遊技を行う遊技者に、普通電動役物4の演出による新たな遊技性を付与することができると共に、ハズレの場合であっても一定時間の普通電動役物4の開放によって賞球の払い出しを得る興趣を付与することができる。また、上記普通電動役物4を開閉(振動)する演出を大入賞口演出による示唆演出の代わりに行わせても良い。
また、上記第1実施例においては、当否演出として大入賞口演出が実行される場合には、「大入賞口を見ろ」の表示をLCD3に行わせて大入賞口5に遊技者の注意を向けさせたが、必ずしもLCD3に「大入賞口を見ろ」の表示を行わせる必要はなく、LCD3においては従来と同様に変動表示を行わせても良い。即ち、1の始動口4への入賞に対して変動表示演出と大入賞口演出とが同時に実行される場合があっても良い。大入賞口演出の結果として大当たりを発生させる一方、変動表示演出による変動表示の表示結果をハズレとすることにより、遊技者には、大入賞口演出による大当たりをより強調して印象づけることができる。なお、大入賞口演出による大当たりを発生させる場合には、変動表示の表示結果も大当たりとなるように制御を行っても良い。
また、上記第1実施例においては、主制御基板Cに大入賞口振動モータ42を制御させて大入賞口演出を実行させたが、必ずしも主制御基板Cによって大入賞口演出の制御を行わせる必要はなく、他の基板、例えば、表示用制御基板Dや、音声ランプ制御基板L、或いは、大入賞口振動モータ42を制御させるために専用で設けた基板によって大入賞口演出の制御を行わせても良い。遊技全体の制御を行わせる主制御基板Cの負担を軽減させて、制御速度の向上や制御の信頼性を高めることができる。
また、上記各実施例においては、大入賞口5,101を開閉させる大入賞口開閉板51,102,103を振動させて大入賞口演出を行わせたが、必ずしも大入賞口開閉板51,102,103を振動させる演出を大入賞口演出とする必要はなく、大入賞口5,101の位置を正面視上下方向或いは左右方向等に移動させる演出を行わせても良い。この場合には、例えば、大入賞口開閉板51,102,103に代表される大入賞口5,101を形成する部材をユニット化した大入賞口装置を遊技盤1に対してスライド可能に設け、主制御基板Cの制御によって専用のソレノイドやモータを制御することにより大入賞口装置をスライドさせて大入賞口演出としても良い。
また、上記第1実施例においては、当否演出後の大当たりとしては特別遊技状態を付与する1種の大当たりのみとしたが、遊技者に付与される遊技価値が異なる2種以上の大当たりを当否演出後の大当たりとして設定しても良い。例えば、大当たり後に特別遊技状態のみが付与される大当たり(普通大当たり)と、特別遊技状態が付与された後に一定期間(例えば次回の大当たりが発生するまでの期間)大当たりの発生確率が高確率となる確率変動状態が付与される大当たり(確率変動大当たり)の2種の大当たりを設定しても良い。この場合には、2種以上の大当たりに対応させて大入賞口開閉板51が振動する態様をそれぞれ設定し、例えば単位時間当たりの振動回数を複数種類設定し、大入賞口開閉板51が振動する態様に応じて2種以上の大当たりのうちいずれの大当たりが発生するかを遊技者に示唆しても良い。大入賞口演出の一部として遊技者に大当たり後の遊技価値を示唆することができるので、大入賞口演出による遊技の興趣を一層高めることができる。
また、当否演出後の大当たりとして2種以上の大当たりが設定されている場合には、いずれの大当たりが発生するかを必ずしも大入賞口演出の一部として行わせる必要はなく、大入賞口演出を行わせる部材とは別の部材(例えばLCD3や専用のランプ等)によっていずれの大当たりが発生するかを遊技者に示唆しても良い。演出を行わせる部材をより多く設けることにより設定可能な演出の幅を広げることができる。また、いずれの大当たりであるかを遊技者に示唆するタイミングは、当否演出の実行中(大当たりの発生前)であっても、大当たり発生後であっても良い。当否演出の実行中にいずれの大当たりであるかを示唆することにより、大当たり後に付与される遊技価値を特定して遊技者に期待させることができる。一方、大当たり発生後にいずれの大当たりであるかを示唆するものであっても良く、この場合には、大当たりが発生した後に複数の大当たりのうち高価値な大当たりを遊技者に期待させることができ、段階的に高価値な大当たりとなる興趣を遊技者に提供することができる。
また、上記第2実施例においては、変動後の表示結果が大当たりであるか否かに拘わらず大入賞口振動モータ114を駆動させて大入賞口演出を実行させたが、変動後の表示結果が大当たりとなる場合には必ず大入賞口演出を実行する設定としても良い。大入賞口演出の実行後に大当たりとなって特定の遊技価値が付与される興趣を遊技者に頻繁に提供することができる。この場合には、大入賞口振動モータ114を主制御基板Cに接続し、乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる場合には強制的に大入賞口振動モータ114を駆動して大入賞口演出を実行させても良い。また、変動後の表示結果が大当たりとなる変動表示に対してのみ所定の確率で大入賞口振動モータ114を駆動し、変動後の表示結果がハズレとなる場合には大入賞口振動モータ114を駆動させない設定としても良い。遊技者には、大入賞口振動モータ114が駆動して大入賞口演出が実行された時点で大当たりの発生を確信させることができ、大当たりとなることを知りつつ変動表示を視認する優越感を付与することができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、識別情報を表示する表示装置と、その表示装置に識別情報の動的表示を行わせる表示用制御手段とを備えており、前記第1条件は、前記識別情報の動的表示が予め定めた表示結果を現出する場合に成立するものであることを特徴とする遊技機1。表示装置に予め定めた表示結果が現出した場合に特定の遊技価値が付与される従来の遊技性を踏襲しつつ、遊技価値の付与に関係する動作手段が変則動作することによる遊技の興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機1において、所定条件の成立を判定する所定条件判定手段を備え、前記変則動作実行手段は、その所定条件判定手段が所定条件の成立を判定しており、且つ前記識別情報の動的表示が予め定めた表示結果を現出し得る可能性が大きい表示状態を現出する場合に、前記第2条件の成立と判断して前記動作手段を変則態様で動作させるものであることを特徴とする遊技機2。予め定めた表示結果を現出し得る可能性が大きい表示状態が現出した場合には、遊技価値の付与に対する遊技者の期待感は増大するものであり、その期待感を増大させる表示状態の現出が動作手段を変則態様で動作させるための条件となっている。よって、遊技者は、期待感が増大した状態において変則態様で動作する動作手段を視認するので、遊技の興趣を一層高めることができる。また、所定条件判定手段による所定条件の成立判定が第2条件の必要条件となっているので、予め定めた表示結果を現出し得る可能性が大きい表示状態が現出する場合であっても必ずしも動作手段が変則態様で動作するものでない。よって、変動表示の演出に対する動作手段の演出を不規則にして、動作手段が変則態様で動作するか否かを期待する興趣を遊技者に提供することができる。
なお、遊技機2において、識別情報の動的表示が予め定めた表示結果を現出し得る可能性が大きい表示状態とは、例えばリーチの演出やスーパーリーチの演出などが例示される。また、所定条件判定手段としては、例えば、演出決定カウンタ33aと、その演出決定カウンタ33aの値が所定値である場合に所定条件の成立とするもの(第2実施例におけるS124の分岐)とが例示される。更に、第1条件の成立としては、例えば大当たりの発生が例示される。
請求項1記載の遊技機または遊技機1若しくは2において、前記第1条件の成立時には、前記第2条件の成立の如何に関わらず、前記変則動作実行手段を作動させる作動手段を備えていることを特徴とする遊技機3。第2条件の成立の如何に関わらず第1条件の成立時に変則動作実行手段を作動させるので、特定の遊技価値が付与される場合には、変則動作実行手段により動作手段を変則態様で動作させた後に遊技価値が付与される興趣を遊技者に確実に提供することができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から3のいずれかにおいて、前記動作手段は、球が打ち込まれる遊技領域に配設されていることを特徴とする遊技機4。動作手段が遊技領域に配設されているので、第1条件が成立した場合に行われる動作手段の所定動作と変則動作実行手段による動作手段の変則動作とを、遊技を行う遊技者に視認させることができ、動作手段を変則動作させることにより遊技者に付与される興趣を向上することができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から4のいずれかにおいて、前記動作手段は、遊技領域に打ち込まれた球が入賞し得る入賞口の開口を拡大し又は狭くする拡狭扉と、その拡狭扉を動作させるアクチュエータと、そのアクチュエータを動作させる動作制御手段とを有しており、前記変則動作実行手段は、前記拡狭扉の拡狭動作を短時間或いは不規則に2回以上繰り返してその拡狭扉を変則態様で動作させるものであることを特徴とする遊技機5。なお、拡狭扉としては、例えばチューリップが例示される。また、第1条件の成立としては、変動表示が予め定めた表示結果を現出した場合、拡狭扉が狭められた状態で球が入賞した場合、或いは、普通図柄の変動表示が所定の表示結果を現出した場合(例えば、「○」の図柄が点灯して終了した場合)等が例示される。更に、動作手段による所定動作としては、拡狭扉が入賞口の開口を拡大して停止した状態が例示される。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から4のいずれかにおいて、前記動作手段は、遊技領域に打ち込まれた球が入賞し得る入賞口を開放し又は閉鎖する開閉部材と、その開閉部材を動作させるアクチュエータと、そのアクチュエータを動作させる動作制御手段とを有しており、前記変則動作実行手段は、閉鎖状態の前記開閉部材を球の入賞ができない範囲で開閉動作させてその開閉部材を変則態様で動作させるものであることを特徴とする遊技機6。
遊技機5又は6によれば、従来には、第1条件が成立しなければ動作しなかった拡狭扉又は開閉部材を変則動作実行手段によって変則態様で動作させることができるので、遊技者には、その変則動作に基づいて遊技価値の付与を直接的に想像させることができ、遊技の興趣を向上することができる。なお、開閉部材としては、例えば大入賞口の開閉部材(大入賞口開閉板)が例示される。
遊技機6において、前記変則動作実行手段は、閉鎖状態の前記開閉部材を開放方向へ押圧してその開閉部材を変則態様で動作させると共に、球の入賞ができない範囲内で前記開閉部材が前記入賞口を所定量開放した場合にその開閉部材から離間するものであることを特徴とする遊技機7。球の入賞ができない範囲内で開閉部材が入賞口を所定量開放すると、変則動作実行手段が開閉部材から離間するので、変則動作実行手段の作動による開閉部材の開放動作が所定量で停止する。よって、変則動作実行手段の作動によって入賞口が誤って開放されず、球が余計に入賞して遊技場が不利益を被ることを未然に防止することができる。
なお、遊技機6または遊技機7において、球の入賞ができない範囲として、球の半径より入賞口の開口幅が狭い範囲としても良い。球の半径より入賞口の開口幅が狭い範囲内であれば、入賞口を開口した開閉部材の閉鎖時に球が開口にかみこむことがなく、変則動作実行手段による開閉部材の変則動作時における球のかみこみを確実に防止することができる。
遊技機6または7において、前記開閉部材は、その閉鎖時において遊技領域を形成する遊技盤面より反遊技盤面側へ引っ込んだ状態で収納されるように配設されていることを特徴とする遊技機8。開閉部材は反遊技盤面側へ引っ込んだ状態で収納されるので、変則態様で開閉動作が行われる場合にも、遊技領域へ打ち込まれた球が開閉部材と遊技盤面或いは入賞口の角面との間に挟まることがない。
遊技機6から8のいずれかにおいて、前記開閉部材は、第1開閉部材と、その第1開閉部材の開放時に付与される遊技価値より高価値な遊技価値が付与される場合に開放される第2開閉部材とを備え、前記変則動作実行手段は、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とを独立して変則態様で動作させるものであることを特徴とする遊技機9。第1開閉部材と第2開閉部材とが設けられると共に、それら開閉部材を独立して変則態様で動作させることができるので、実行可能な演出の幅を広げることができる。なお、第1開閉部材の開放時に付与される遊技価値と第1開閉部材の開放時に付与される遊技価値より高価値な遊技価値としては、例えば、普通大当たりによる遊技価値と確率変動大当たりによる遊技価値とが例示される。
遊技機9において、前記変則動作実行手段は、始動条件の成立に基づいて前記特定の遊技価値が付与される場合に前記第1開閉部材又は前記第2開閉部材のうち開放が確定した一方の開閉部材を変則態様で動作させるものであることを特徴とする遊技機10。第1開閉部材又は第2開閉部材のうち開放が確定した一方の開閉部材が変則動作実行手段によって変則態様で動作させられるので、付与される遊技価値を遊技者に解りやすく示すことができる。
遊技機9又は10において、始動条件の成立に基づいて前記特定の遊技価値を付与するか否かを抽選する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記特定の遊技価値を付与する場合に前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とのうちいずれか一方を変則態様で動作させるか否かを第1実行条件に基づいて決定する第1決定手段と、前記抽選手段による抽選結果に基づいて前記特定の遊技価値を付与しない場合に前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とのうちいずれか一方を変則態様で動作させるか否かを、前記第1実行条件における前記第1開閉部材に対して前記第2開閉部材を変則態様で動作させる割合とは異なる割合で設定した第2実行条件に基づいて決定する第2決定手段とを備えていることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、各開閉部材を変則態様で動作させるか否かを決定する決定手段が、特定の遊技価値が付与されるか否かに応じて別々に設けられているので、抽選手段による抽選確率を一定に保ちつつ、第1開閉部材と第2開閉部材とを予め定めた実行確率に従って変則態様で動作させることができる。また、前記第1開閉部材に対して前記第2開閉部材を変則態様で動作させる割合は、特定の遊技価値が付与されるか否かに応じてそれぞれ異なる割合で設定されているので、第1開閉部材が変則態様で実行された場合に特定の遊技価値が付与される確率(期待値)を第2開閉部材が変則態様で実行された場合における期待値と異ならせることができる。よって、開閉部材が変則態様で動作した場合に、動作した開閉部材毎に異なった期待感を遊技者に抱かせることができ、遊技の興趣を一層高めることができる。
遊技機9から11のいずれかにおいて、前記変則動作実行手段は、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とに当接可能に配設され1の方向へ作動した場合に前記第1開閉部材を開放方向へ動作させると共に他の方向へ作動した場合に前記第2開閉部材を開放方向へ動作させる作動片と、その作動片を前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とが閉鎖する初期位置に付勢する付勢部材と、その付勢部材により初期位置に付勢された前記作動片に断続的に係合する係合部を有して回転可能に設けられ、一方に回転した場合に前記作動片を前記1の方向に作動させると共に他方に回転した場合に前記作動片を前記他の方向に作動させる回転体とを備えていることを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、回転体が一方に回動する場合には、回転体の係合部が作動片に係合して作動片を1の方向に作動させ、第1開閉部材が開放方向へ動作する。作動片に係合部が係合した後に回転体が所定量回動すると、回転体の係合部と作動片との係合が断されると共に作動片が付勢部材によって初期位置に付勢され、第1開閉部材は閉鎖位置に復帰する。回転体が一方へ回動し続けると、回転体の係合部と作動片との係合が断続的に行われて、第1開閉部材は繰り返しの開閉動作を行う。
また、回転体が他方に回動する場合には、回転体の係合部が作動片に係合して作動片を他の方向に作動させ、第2開閉部材が開放方向へ動作する。作動片に係合部が係合した後に回転体が所定量回動すると、回転体の係合部と作動片との係合が断されると共に作動片が付勢部材によって初期位置に付勢され、第2開閉部材は閉鎖位置に復帰する。回転体が他方へ回動し続けると、回転体の係合部と作動片との係合が断続的に行われて、第2開閉部材が繰り返しの開閉動作を行う。
このように、回転体を回動させることにより第1開閉部材及び第2開閉部材を開閉動作させることができ、しかも、回転体の回動方向に応じて第1開閉部材と第2開閉部材とのうち一方の開閉部材を動作させることができる。よって、各開閉部材に対して別々にアクチュエータを設ける必要がなく、2つの開閉部材を変則動作させるために必要なコストを低減することができると共に、アクチュエータを容易に配置することができる。なお、上記実施例においては、作動片としては揺動部材109が、付勢部材としては板バネ109bが、回転体としては歯車108がそれぞれ該当する。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から12のいずれかにおいて、前記変則動作実行手段は、変則態様の動作パターンを複数備えており、その複数の変則態様の動作パターンを前記第1条件の成立し得る期待値に応じて切り替えて使用するものであることを特徴とする遊技機13。複数の変則態様の動作パターンが、第1条件の成立し得る期待値に応じて切り替えて使用されるので、遊技者は変則態様の動作パターンによって第1条件成立の期待感を異なった度合いで募らせることができ、その結果、遊技の興趣を向上させることができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から13のいずれかにおいて、遊技の制御を行う主制御手段を備えており、前記表示用制御手段は、その主制御手段の指示に基づいて前記識別情報の動的表示を行わせるものであり、前記変則動作実行手段は、前記主制御手段と接続され、その主制御手段によって動作されるものであることを特徴とする遊技機14。一般に特定の遊技価値が付与される場合に動作手段に所定動作を行わせる制御は、遊技の制御を行う主制御手段によって行われるものであり、その主制御手段に変則動作実行手段が接続されている。よって、動作手段に所定動作を行わせる制御と動作手段を変則態様で動作させる制御とを主制御手段に一括して行わせることができ、別々の制御手段で制御を行わせるより制御を簡略化することができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から13のいずれかにおいて、遊技の制御を行う主制御手段を備えており、前記表示用制御手段は、その主制御手段の指示に基づいて前記識別情報の動的表示を行わせるものであり、前記変則動作実行手段は、前記表示用制御手段と接続され、その表示用制御手段によって動作されるものであることを特徴とする遊技機15。一般に、特定の遊技価値が付与されることを示唆する示唆演出は、主として表示装置で実行されるものであり、主制御手段が決定した示唆演出の実行が表示用制御手段に指示され、その指示を受信した表示用制御手段が表示装置を制御して示唆演出が実行される。
遊技機15によれば、変則動作実行手段は、表示用制御手段に接続され、その表示用制御手段によって動作されるので、表示用制御手段が示唆演出を実行する場合に、示唆演出の1パターンとして変則動作実行手段により動作手段を変則態様で動作させることができる。よって、従来の主制御手段を踏襲しつつ表示用制御手段を変更することにより、動作手段が変則動作することによる示唆演出を実行可能な遊技機を提供することができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機16。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。