以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。第1実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、第1実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と称す)3が設けられている。このLCD3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
LCD3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCD3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
図2は、かかるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置であるMPU11と、そのMPU11搭載されて実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROMエリア12と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAMエリア13とが搭載されている。図8から図11に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROMエリア12内に記憶されている。
RAMエリア13は、送信バッファ13aと、コマンドカウンタ13bと、バックアップエリア13cとを備えている。送信バッファ13aは、LCD3の変動表示の制御のために、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドを記憶するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、この送信バッファ13aも2バイトで構成される。送信バッファ13aへセット(書き込み)された制御用コマンドは、タイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
図3は、LCD3の表示画面を9つの表示領域に分割した様子を示した図である。前記した通り、第1実施例の変動表示は、横方向に3分割された3つの表示領域3a,3b,3cにおいて、それぞれ矢印A方向へ横方向にスクロールしながら行われる。この横方向に3分割された3つの表示領域3a,3b,3cを、縦方向に更に3分割して9つの表示領域3a1,・・・,3c3とし、その9つの表示領域3a1,・・・,3c3に対して、図3に示すように、それぞれ表示される「図柄1〜図柄9」の9つの図柄番号32aが付されている。
図2に示すコマンドカウンタ13bは、制御用コマンドの一種である停止図柄指定コマンド32(図5参照)が指定するLCD3の表示領域3a1〜3c3を示すためのカウンタであり、「1〜10」の範囲で「1」ずつ更新される。コマンドカウンタ13bの値が「1〜9」の範囲内にある場合には、そのコマンドカウンタ13bの値に対応する図柄番号32a(図5参照)の表示領域3a1〜3c3が指定される。また、コマンドカウンタ13bの値が「10」である場合には、いずれの表示領域も指定されない。
バックアップエリア13cは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機Pの状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア13cへの書き込みは、NMI割込処理(図8参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア13cに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の初期化処理(S12(図10参照))において実行される。
MPU11は、バスライン14を介して入出力ポート15に接続されている。この入出力ポート15は、表示用制御基板Dおよび他の入出力装置16と接続されている。主制御基板Cは、入出力ポート15を介して、表示用制御基板Dや他の入出力装置16へ各種コマンドを送り、それら各装置を制御する。なお、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの接続は、入力および出力が固定的な2つのバッファ(インバータゲート)17,28を介して行われているので、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの間における制御用コマンドの送受信は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへの一方向にのみ行われ、表示用制御基板Dから主制御基板Cへ制御用コマンド等を送信することはできない。
表示用制御基板Dは、MPU21と、そのMPU21に搭載されたROMエリア22と、同じくMPU21に搭載されたRAMエリア23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、入力ポート29と、出力ポート27とを備えている。入力ポート29の入力にはインバータゲート28の出力が接続され、その入力ポート29の出力は、MPU21を接続するバスラインと接続されている。また、出力ポート27の入力には画像コントローラ26が接続され、その出力ポート27の出力にはLCD3が接続されている。
表示用制御基板DのMPU21は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の(変動)表示を制御するためのものであり、ROMエリア22には、このMPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図12及び図13に示すフローチャートのプログラムは制御プログラムの一部としてROMエリア22に記憶されている。
RAMエリア23は、MPU21による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、受信バッファ23aと、コマンド受信フラグ23bと、9つの停止図柄1〜9メモリ23c〜23kとを備えている。
受信バッファ23aは、主制御基板Cから送信される制御用コマンドを受信するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、受信バッファ23aも同様に2バイトで構成される。コマンド受信フラグ23bは、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aへ記憶された場合にオンされるフラグである。コマンド受信フラグ23bがオンされていると、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCD3の変動表示の制御が行われる。一旦オンされたコマンド受信フラグ23bは、受信バッファ23aから制御用コマンドを読み出す際にオフされる。
停止図柄1〜9メモリ23c〜23kは、制御用コマンドの一種である停止図柄指定コマンド32によって送信される停止図柄の図柄コード32b(図5参照)を記憶するためのメモリであり、LCD3の9つの表示領域3a1〜3c3(図3参照)に対応してそれぞれ1つ、合計9つの停止図柄1〜9メモリ23c〜23kが設けられている。なお、停止図柄1〜9メモリ23c〜23kの詳細については後述する。
ビデオRAM24は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM24の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。即ち、各表示領域3a1〜3c3における図柄の変動表示は、ビデオRAM24の内容が書き換えられることにより行われる。キャラクタROM25は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。なお、変動表示で使用される有利図柄の表示データと、再変動表示委で使用される有利図柄の表示データとは、同一の表示データである。
画像コントローラ26は、MPU21、ビデオRAM24、出力ポート27のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM24に記憶される表示データをキャラクタROM25を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
電源基板30は、パチンコ機Pの駆動電圧を供給するための基板であると共に、パチンコ機Pの状態に基づいてバックアップ用電圧の供給、リセット信号、RAMクリア信号及び停電信号等を出力するものである。主制御基板Cは、この電源基板30から供給される5ボルトの駆動電圧により駆動されている。この電源基板30には、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU11のNMI端子へ停電信号を出力するための回路である停電監視回路30aが設けられている。
この停電監視回路30aは、電源基板30から出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が24ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号を出力するように構成されている。この停電信号の出力によって、主制御基板Cは、停電の発生を認識し、停電処理(NMI割込処理、図8参照)を実行する。なお、電源基板30は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間(停電時処理に好適な実行タイミングの待ち時間を含む)、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板Cは、停電時処理を正常に実行することができる。
クリアスイッチ30bは、主制御基板CのRAMエリア13にバックアップされているデータをクリア(消去)するためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ30bが押下された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、RAMクリア信号が主制御基板Cへ出力され、RAMエリア13のデータがクリアされる。
次に、図4から図7を参照して、変動表示の制御のために主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドについて説明する。制御用コマンドは、主に、変動パターン指定コマンド31と、停止図柄指定コマンド32と、図柄停止コマンド33とによって構成されている。なお、制御用コマンドは2バイトで構成されるので、その1バイト目と2バイト目のコマンドコードを区別するために、1バイト目のコマンドコードは最上位ビットがセットされ、2バイト目のコマンドコードは最上位ビットがリセットされている。
図4は、変動パターン指定コマンド31のコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。変動パターン指定コマンド31は、変動表示を開始させると共に、変動表示の開始から終了までの一連の変動パターンを指定するためのコマンドである。1バイト目のコマンドコードは、変動表示の通常モードを示す「C0H」または、短縮モードを示す「C1H」とされており、各モードでそれぞれ28種類ずつ、合計56種類の変動パターンが用意されている。
なお、変動パターン指定コマンド31によって指定される変動表示の制御は、その変動パターン指定コマンド31を受信した表示用制御基板Dによって行われるので、表示用制御基板Dの制御プログラムの内容を変更することにより、同一コードの変動パターン指定コマンド31に対する変動表示の内容を変更することができる。即ち、主制御基板Cの制御プログラムを変更することなく、表示用制御基板Dの制御プログラムを変更するだけで、変動表示の内容を変更することができるのである。
第1実施例の変動パターン指定コマンド31により指定される変動パターンとしては、図柄の横スクロールの動的変動の変動パターンが、通常モードで28種類(C0H10H〜C0H2BH)、短縮モードで28種類(C1H10H〜C1H2BH)用意されている。変動表示は、上・中・下段の各表示領域3a,3b,3cにおいて、仮想図柄リール41〜43の配列に基づいて各図柄が横スクロールすることにより行われる。ここで、3つの表示領域3a,3b,3cにおける横スクロールがすべて停止した時に、大当たりライン上に同一図柄が3つ揃った表示状態となれば、所定の遊技価値が付加される大当たり状態となる。このため、3つの内2つの表示領域3a,3b,3cの横スクロールが停止した時に、大当たりライン上に同一図柄が2つ揃っていれば、大当たりを示唆する表示状態、即ちリーチと呼ばれる状態となる。
図5(a)は、停止図柄指定コマンド32のコマンドコードと、そのコマンドコードによって指定される図柄番号32aとの対応関係を示した図である。前記した通り、各図柄番号32aには、図3に示す各表示領域3a1〜3c3がそれぞれ対応付けされている。また、図5(b)は、20種類の図柄コード32bと図柄名32cとの対応関係を示した図である。
停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31で指定された変動パターンの変動表示の終了時に、LCD3の各表示領域3a1〜3c3にそれぞれ停止表示される図柄を指定するためのコマンドである。停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31が送信され変動表示が開始された後に、LCD3の9つの表示領域3a1〜3c3のそれぞれに対して、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される。
この停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31と同様に2バイトで構成されている。停止図柄指定コマンド32の1バイト目には、図柄1〜9の表示領域3a1〜3c3を指定するコマンドコードがセットされる。図5(a)に示すように、停止図柄指定コマンド32の1バイト目のコマンドコードが「90H」であれば図柄1の表示領域3a1が、「A0H」であれば図柄2の表示領域3b1が、・・・、「B2H」であれば図柄9の表示領域3c3が、それぞれ指定される。停止図柄指定コマンド32の2バイト目には、1バイト目のコマンドコードで指定した図柄1〜9の表示領域3a1〜3c3に停止表示される図柄の図柄コード32bがセットされる。即ち、図5(b)に示すように、停止表示される図柄が「タコ」である場合には「10H」が、「ハリセンボン」である場合には「11H」が、・・・、「サメ(2)」である場合には「23H」が、それぞれ停止図柄指定コマンド32の2バイト目のコードとしてセットされる。
表示用制御基板Dは、停止図柄指定コマンド32を受信すると、実行中の変動パターンを考慮した上で、停止図柄指定コマンド32で指定された図柄コード32bの図柄で変動表示が終了するように、変動中の図柄を差し替える。この図柄の差し替えは、変動表示が高速変動されている場合に限って行われるので、遊技者に図柄の差し替えが行われたことを気づかれることがない。
なお、変動表示が大当たりとなるか否かは、この停止図柄指定コマンド32で指定される図柄による。即ち、大当たりが発生した場合には、主制御基板Cから大当たりを構成する組み合わせの停止図柄指定コマンド32が送信されるのである。よって、表示用制御基板Dでは、大当たりかはずれであるかを全く考慮することなく、変動パターン指定コマンド31で指定されたパターンの変動表示を、停止図柄指定コマンド32で指定された停止図柄で終了するように、変動表示の演出を行うのである。
図5(b)に示すように、各図柄にはすべて異なった図柄コード32bが付与されている。特に、図柄名32c「サメ(1)」と「サメ(2)」とは、LCD3に全く同じ図柄として表示されるが、図5(b)に示すように、両図柄には「13H」と「23H」との異なった図柄コード32bが付与されている。同様に、図柄名32c「貝(1)」〜「貝(10)」も、LCD3に全く同じ図柄として表示されるが、図5(b)に示すように、「19H」〜「22H」の異なった図柄コード32bが付与されている。
尚、第1実施例において、確率変動図柄とは、「タコ」、「カメ」、「エビ」、「ジュゴン」及び「カニ」の各図柄をいい、一方、単発変動図柄とは、「ハリセンボン」、「サメ(1)」、「サメ(2)」、「アンコウ」及び「A(エンゼル)フィッシュ」の各図柄をいう。その他、「貝(1)〜(10)」の各図柄は、はずれ図柄とされている。確率変動図柄がいずれかの大当たりライン51〜55上に3図柄揃うと、確率変動大当たりとなって、以降所定回数の大当たり発生確率が高確率に変動し、遊技者に大きな遊技価値が付与される。一方、単発変動図柄がいずれかの大当たりライン51〜55上に3図柄揃うと、大当たり発生確率が変動されない通常の大当たりとなる。はずれ図柄は、たとえいずれかの大当たりライン51〜55上に3図柄揃ったとしても、大当たりとはならない。
図6は、かかる上段・中段・下段の各段の仮想図柄リール41〜43の構成を模式的に示した図である。図6(a)には、LCD3の上段の表示領域3aで変動表示される上段の仮想図柄リール41の構成が模式的に図示されている。図6(a)に示すように、上段の仮想図柄リール41には、18種類の図柄が「貝(9)」,「カニ」,「貝(8)」,・・・,「タコ」の順に配列されており、最終の「タコ」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「貝(9)」,「カニ」,「貝(8)」,・・・の各図柄が配列される。上段の仮想図柄リール41は、かかる図柄の配列順に、LCD3の上段の表示領域3aで変動表示される。
同様に、図6(c)には、LCD3の下段の表示領域3cで変動表示される下段の仮想図柄リール43の構成が模式的に図示されている。図6(c)に示すように、下段の仮想図柄リール43には、上段の仮想図柄リール41の配列と全く逆の配列で、18種類の図柄が「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・,「貝(9)」の順に配列されている。最終の「貝(9)」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・の各図柄が配列される。下段の仮想図柄リール43は、かかる図柄の配列順に、LCD3の下段の表示領域3cで変動表示される。
図6(b)には、LCD3の中段の表示領域3bで変動表示される中段の仮想図柄リール42の構成が模式的に図示されている。図6(b)に示すように、中段の仮想図柄リール42には、下段の仮想図柄リール43の配列の最後尾に「サメ(2)」,「貝(10)」の2種類の図柄を加えた合計20種類の図柄が順に配列されている。上段および下段の仮想図柄リール41,43の場合と同様に、最終の「貝(10)」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・の各図柄が配列される。中段の仮想図柄リール42は、かかる図柄の配列順に、LCD3の中段の表示領域3bで変動表示される。
図7は、図柄停止コマンド33のコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。図柄停止コマンド33は、指定した図柄番号32aの表示領域3a1〜3c3で変動表示されている図柄を停止表示(確定)させるためのコマンドである。表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信すると、表示領域3a1〜3c3の図柄が確定する。図柄停止コマンド33によって、9つすべての表示領域3a1〜3c3の図柄が確定すると、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動パターンの変動表示が終了する。
表示用制御基板Dは、変動パターン指定コマンド31と停止図柄指定コマンド32との内容を考慮しつつ、変動表示終了のタイミングで停止図柄指定コマンド32によって指定された図柄が該当する表示領域3a1〜3c3に表示されるように、変動表示の高速変動中に予め図柄の差し替えを行っている。しかも、主制御基板Cは、変動パターン指定コマンド31で指定した変動表示の変動パターンが終了するタイミングを見計らって、図柄停止コマンド33を表示用制御基板Dへ送信するように制御している。よって、図柄停止コマンド33による図柄の停止表示(確定)は、遊技者に違和感を与えることなく、スムースに行われる。
なお、主制御基板Cからの図柄停止コマンド33の送信タイミングが速まった結果、変動パターン指定コマンド31で指定した変動パターンの終了前であるにも拘わらず、表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信した場合には、表示用制御基板Dは、変動パターンの終了前であっても、既に停止図柄指定コマンド32で指定されている停止図柄を該当する表示領域3a1〜3c3の中央に停止表示し、その表示領域3a1〜3c3の図柄を確定する。
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図8から図13のフローチャートを参照して説明する。図8は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア13cに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が断されると、停電監視回路30aから停電信号が主制御基板CのMPU11のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。すると、MPU11は、実行中の制御を中断して、図10のNMI割込処理を開始する。停電信号が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように電源基板30から電力供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、各レジスタおよびI/O等の値をスタックエリアへ書き込み(S1)、次に、スタックポインタの値をバックアップエリア13cへ書き込んで退避する(S2)。更に、停電発生情報をバックアップエリア13cへ書き込んで(S3)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その後、その他停電処理を実行した後(S4)、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図9は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。メイン処理では、まず、割込を禁止した後(S11)、図10に示す初期化処理を実行する(S12)。
図10は、パチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア13cに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ30bが押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)、クリアスイッチ30bがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ30bがオンされていなければ(S42:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、バックアップが有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ30bがオンされていれば(S42:Yes)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S44)、RAM13及びI/O等の各値を初期化し、この初期化処理を終了する。このS44の処理の終了後は、図9のS13の処理が実行される。
S45からの処理では、まず、バックアップエリア13cからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S45)。その後、バックアップエリア13cへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア13cから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S47)。更に、割込状態を停電発生時に実行される図8の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻し(S48)、NMI割込リターンを実行して処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。
図9のフローチャートに戻って説明する。S13の処理ではタイマ割込の設定を行う(S13)。ここで設定されるタイマ割込としては、LCD3の変動表示を制御する制御用コマンドを表示用制御基板Dへ送信するためのストローブ信号を発生させるタイマ割込などがある。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S14)。割込の許可後は、特別図柄変動処理(S25)や、表示データ作成処理(S27)、ランプ・情報処理(S28)などにより、前回の処理で更新された出力データを一度に各ポートへ出力するポート出力処理を実行する(S15)。
更に、大当たりを決定するための乱数カウンタの値を「+1」更新する乱数更新処理(S16)を実行し、記憶タイマ減算処理を実行する(S17)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、LCD3において図柄の変動表示中である場合に、図柄の変動表示の時間短縮を行うものである。
スイッチ監視処理(S18)は、INT割込で読み込まれた各スイッチの状態に応じて、遊技領域へ打ち込まれた球の入賞口2や大入賞口5、図柄作動口4への入賞、更には賞球の払い出し等に関する処理を行うものである。図柄カウンタ更新処理(S20)では、LCD3で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S21)では、図柄カウンタ更新処理(S20)で更新されたカウンタの値に基づいて、特別図柄変動処理(S25)で使用される大当たり図柄や、はずれ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。
その後、普通図柄変動処理(S23)によって、7セグメントLED(図示せず)の変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、大当たりが発生した場合には普通電動役物(図示せず)を所定時間開放する大当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S24)、LCD3において図柄の変動開始または変動表示中であれば(S24:図柄変動中)、特別図柄変動処理(S25)によって、球が図柄作動口4を通過するタイミングで読み取った乱数カウンタの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、LCD3において図柄の変動処理を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S24:大当り中)、大入賞口5を開放するなどの大当たり処理(S26)を実行する。更に、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動中でも大当たり中でもなければ(S24:その他)、S25及びS26の処理をスキップして、S27の表示データ作成処理へ移行する。
表示データ作成処理(S27)では、図柄の変動表示以外にLCD3に表示されるデモデータや、7セグメントLEDの表示データなどが作成され、ランプ・情報処理(S28)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S29)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データ及び効果音データは、前記したポート出力処理(S15)やタイマ割込処理によって各装置へ出力される。
効果音処理(S29)の終了後は、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、大当たりを決定するための乱数カウンタの初期値を更新する乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行する。S15〜S29の各処理は定期的に実行する必要があるので、S31の処理において、前回のS15の処理の実行からの経過時間をチェックする(S31)。チェックの結果、前回のS15の処理の実行から所定時間経過していれば(S31:Yes)、処理をS15へ移行し、一方、所定時間経過していなければ(S31:No)、処理をS30へ移行して、乱数初期値更新処理(S30)の実行を繰り返す。ここで、S15〜S29の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行することにより、乱数カウンタの初期値をランダムに更新することができる。
図11は、図9におけるメイン処理の特別図柄変動処理(S25)内で実行されるコマンド設定処理を示したフローチャートである。このコマンド設定処理は、LCD3の変動表示を制御する制御用コマンドである変動パターン指定コマンド31と、停止図柄指定コマンド32と、図柄停止コマンド33とを、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信するために、各コマンド31〜33を送信バッファ13aへ書き込む(セットする)ための処理である。
コマンド設定処理では、まず、変動表示の状態を状態フラグによってチェックする(S51)。チェックの結果、変動表示の開始であれば(S51:変動開始)、変動パターン指定コマンド31を送信バッファ13aへ書き込み(S52)、コマンドカウンタ13bの値を「1」として(S53)、この処理を終了する。送信バッファ13aへ書き込まれた変動パターン指定コマンド31は、S13の処理で設定されるタイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
S51の処理において、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動表示中であれば(S51:変動表示中)、コマンドカウンタ13bの値が「9」以下であるか否かを調べる(S54)。コマンドカウンタ13bの値が「9」以下であれば(S54:Yes)、そのコマンドカウンタ13bの値に対応する停止図柄指定コマンド32の1バイト目を送信バッファ13aの上位バイトへ書き込む(S55)。図5(a)に示す対応関係に基づいて、例えば、コマンドカウンタ13bの値が「1」であれば「90H」が、コマンドカウンタ13bの値が「2」であれば「A0H」が、・・・、コマンドカウンタ13bの値が「9」であれば「B2H」が、それぞれ送信バッファ13aの上位バイトへ書き込まれる。
更に、コマンドカウンタ13bの値に対応する停止図柄の図柄コード32bを送信バッファ13aの下位バイトへ書き込む(S56)。例えば、コマンドカウンタ13bの値が「1」であれば図柄1(表示領域3a1)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、コマンドカウンタ13bの値が「2」であれば図柄2(表示領域3b1)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、・・・、コマンドカウンタ13bの値が「9」であれば図柄9(表示領域3c3)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、それぞれ図5(b)に示す対応関係に基づいて、送信バッファ13aの下位バイトへ書き込まれる。ここで、停止図柄として「タコ」の図柄が指定される場合には「10H」の図柄コード32bが、「ハリセンボン」の図柄が指定される場合には「11H」の図柄コード32bが、・・・、「サメ(2)」の図柄が指定される場合には「23H」の図柄コード32bが、それぞれ指定される。
S55およびS56の処理によって、2バイトの停止図柄指定コマンド32を送信バッファ13aへ書き込んだ後は、コマンドカウンタ13bの値を「1」加算して(S57)、この処理を終了する。なお、送信バッファ13aへ書き込まれた停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31の場合と同様に、S13の処理で設定されるタイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
一方、コマンドカウンタ13bの値が「10」以上であれば(S54:No)、9つ全ての表示領域3a1〜3c3について停止図柄指定コマンド32を送信したということである。よって、かかる場合には、S55からS57の各処理をスキップして、この処理を終了する。
S51の処理において、状態フラグをチェックした結果、変動表示の終了のタイミングであれば(S51:変動表示終了)、9つの表示領域3a1〜3c3の全図柄を一度に停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33(80H,0AH)を送信バッファ13aへ書き込み(S58)、この処理を終了する。送信バッファ13aへ書き込まれた図柄停止コマンド33は、変動パターン指定コマンド31の場合と同様に、S13の処理で設定されるタイマ割込処理により、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dへ送信されることにより、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。
なお、図柄停止コマンド33による図柄の停止表示(確定)は、必ずしも、9つすべての図柄を一度に確定させる必要はなく、例えば、9つの図柄をそれぞれ別々に確定させたり、或いは、スクロールが行われる単位、即ち、上段の図柄、中段の図柄、下段の図柄の各単位毎に図柄を確定させるようにしても良い。前者の場合には、図7に示すように「80H,01H」〜「80H,09H」の図柄停止コマンド33が使用され、後者の場合には「80H,0BH」〜「80H,0DH」の図柄停止コマンド33が使用される。
図12は、表示用制御基板Dの受信割込処理で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ制御用コマンドが送信されると実行される。まず、主制御基板Cから送信され表示用制御基板Dで受信した制御用コマンドを受信バッファ23aへ書き込み(S61)、更に、コマンド受信フラグ23bをオンして(S62)、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aに記憶されていることを示して、この処理を終了する。
図13は、表示用制御基板Dのメイン処理の中で実行される変動表示処理のフローチャートである。変動表示処理では、主制御基板Cから受信した制御用コマンドに基づいて、変動表示の制御が行われる。
まず、コマンド受信フラグ23bがオンされているか否かを確認する(S71)。コマンド受信フラグ23bがオンされていれば(S71:Yes)、何らかの制御用コマンドを受信しているので、そのコマンド受信フラグ23bをオフした後に(S72)、受信バッファ23aの上位バイトに記憶されているデータにより制御用コマンドの種類を確認する(S73)。
受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「C0H」または「C1H」であれば、その制御用コマンドは変動パターン指定コマンド31である。よって、かかる場合には(S73:変動パターン指定コマンド)、全ての停止図柄1〜9メモリ23c〜23kの内容を0クリアした後(S74)、変動パターン指定コマンド31で指定された変動表示を開始する(S75)。
S73の処理において、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「90H〜92H」,「A0H〜A2H」または「B0H〜B2H」のいずれかであれば、その制御用コマンドは停止図柄指定コマンド32である。よって、かかる場合には(S73:停止図柄指定コマンド)、その停止図柄指定コマンド32の2バイト目のコマンドである図柄コード32bを対応する停止図柄1〜9メモリ23c〜23kへ書き込む(S77)。図5(a)(b)に示すように、例えば、受信バッファ23aに記憶される停止図柄指定コマンド32が「90H,14H」であれば、「90H」に対応する停止図柄1メモリ23cに、「14H(エビの図柄)」の図柄コード32bが書き込まれる。また、受信バッファ23aに記憶される停止図柄指定コマンド32が「B2H,21H」であれば、「B2H」に対応する停止図柄9メモリ23kに、「21H(貝の図柄)」の図柄コード32bが書き込まれる。
その後は、LCD3上で高速に変動されている変動中の図柄を、変動パターン指定コマンド31により指定された変動パターンとその変動パターンの進行状況とを考慮して、停止図柄1〜9メモリ23c〜23kに記憶される図柄コード32bの図柄で変動表示が終了するように、変動中の図柄の差し替えを行う(S78)。例えば、停止図柄1メモリ23cに「14H」が記憶されている場合には、図柄1の表示領域3a1の変動表示が「14H」の図柄コード32bである「エビ」の図柄で終了するように、図柄の差し替えが行われる。また、停止図柄9メモリ23kに「21H」が記憶されている場合には、図柄9の表示領域3c3の変動表示が「21H」の図柄コード32bである「貝」の図柄で終了するように、図柄の差し替えが行われる。
S73の処理において、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「80H」であれば、その制御用コマンドは図柄停止コマンド33である。よって、かかる場合には(S73:図柄停止コマンド)、図柄を確定し(S79)、その表示領域3a1〜3c3へ該当する図柄を停止表示する。
なお、変動表示の終了タイミングの到来前であっても、図柄停止コマンド33を受信した場合には、その図柄停止コマンド33により指示された表示領域3a1〜3c3の変動表示を即座に停止(確定)する。よって、図柄停止コマンド33を受信するタイミングで、変動表示を実際に終了させることができる。
S71の処理においてコマンド受信フラグ23bがオフされている場合や(S71:No)、S75,S78,S79の各処理の実行後は、変動表示の状況に応じて各処理を実行し(S80)、この変動表示処理を終了する。
次に、図14のタイミングチャートを参照して、上述の説明に基づく変動表示のタイミングについて、9つ全ての図柄を一度に停止表示(確定)させる場合のタイミングについて説明する。主制御基板Cから表示用制御基板Dへ変動パターン指定コマンド31が送信されると、図柄1(表示領域3a1)〜図柄9(表示領域3c3)の全ての図柄について、先の変動開始処理(S75)で決定されたパターンの変動表示が開始される。この変動パターン指定コマンド31に続いて、高速変動の最中に、停止図柄指定コマンド32が9つの表示領域3a1〜3c3に対して順に送信される。停止図柄指定コマンド32が表示用制御基板Dによって受信されると、その停止図柄指定コマンド32により指定される停止図柄に合わせて、高速変動中に図柄の差し替えが行われる。
その後、変動パターン指定コマンド31で指定された変動パターンで、表示用制御基板Dによって変動表示が継続され、変動表示の終了タイミングで、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ、9つの全図柄を一度に停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33(80H,0AH(図7参照))が送信される。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dにより受信されると、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。変動表示の終了後は、所定時間の経過により、各表示領域3a1〜3c3に停止表示されている停止図柄指定コマンド32で指定した停止図柄の表示が別の表示(例えば、デモ画面(初期画面))に切り替えられる。
なお、変動表示の終了タイミングが到来する前に、表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信した場合には、変動パターン指定コマンド31で指定された変動表示の終了タイミングが到来していなくても、停止図柄指定コマンド32により指定された停止図柄を、指定された表示領域3a1〜3c3へ、即座に、停止表示する。かかる制御により、図柄停止コマンド33の送信(受信)タイミングに合わせて、変動表示を終了させることができるのである。
次に、図15から図17を参照して、図13の各処理(S80)の中で実行される図柄表示制御処理のうち、代表的なパターンについて説明する。図15は、図柄表示制御処理の第1パターンを表した図である。この第1パターンの変動表示では、LCD3の表示画面において、リーチ確定時にそのリーチ状態が遊技者にとって有利な状態であることを示唆する有利図柄(特定情報)が現出して、そのリーチ状態から遊技価値の低い単発変動図柄で大当たりしたことを遊技者に報知する。その後、再変動表示(再抽選)が行われて、再変動表示が行われる前にLCD3に表示されていた遊技価値の低い単発変動図柄で大当たりが確定する。なお、この第1パターンにおいては、再変動表示中に上述した有利図柄は現出しないものである。
尚、第1実施例において、確率変動図柄とは、「タコ」、「カメ」、「エビ」、「ジュゴン」及び「カニ」の各図柄をいい、一方、単発変動図柄とは、「ハリセンボン」、「サメ(1)」、「サメ(2)」、「アンコウ」及び「A(エンゼル)フィッシュ」の各図柄をいう。その他、「貝(1)〜(10)」の各図柄は、はずれ図柄とされている。確率変動図柄がいずれかの大当たりライン51〜55上に3図柄揃うと、確率変動大当たりとなって、以降所定回数の大当たり発生確率が高確率に変動し、遊技者に大きな遊技価値が付与される。一方、単発変動図柄がいずれかの大当たりライン51〜55上に3図柄揃うと、大当たり発生確率が変動されない通常の大当たりとなる。はずれ図柄は、たとえいずれかの大当たりライン51〜55上に3図柄揃ったとしても、大当たりとはならない。
図15(a)は、上段の仮想図柄リール41および下段の仮想図柄リール43のスクロールが停止している画面を図示している。LCD3の上段の表示領域3a1には「貝(6)」、表示領域3a2には「アンコウ」、表示領域3a3には「貝(5)」の図柄が停止している。また、下段の表示領域3c1には「貝(5)」、表示領域3c2には「アンコウ」、表示領域3c3には「貝(6)」の図柄が表示されており、表示領域3a2および表示領域3c2に表示されている「アンコウ」の図柄により大当たりライン53においてリーチが発生している状態である。このとき、中段の仮想図柄リール42は高速変動中である。
図15(b)は、図15(a)の状態から、LCD3の表示画面上の右側から左側へ魚の群れの図柄(有利図柄。以下、魚群図柄)が現出している画面を示している。この魚群図柄は、大当たりが高確率で期待できる場合に現出するものである。よって、魚群図柄がリーチアクション中に現出することにより、そのリーチで大当たりする確率が高いということを遊技者に報知している。なお、有利図柄は、魚群図柄の他に、その魚群図柄より大当たり期待値が低い場合に現出する泡の図柄(以下、泡図柄)等を備えている。
図15(c)は、中段の仮想図柄リール42のスクロールが停止する直前の画面を図示している。図15(b)の状態から中段の仮想図柄リール42のスクロールが停止してはいないが、停止する直前であるので、スクロールの動きが遅くなっており、十分視覚可能な状態である。遊技者側から見た場合、表示領域3b1には「貝(5)」、表示領域3b2には「アンコウ」、表示領域3b3には「貝(6)」の図柄が停止することが予測できる。
図15(d)は、中段の仮想図柄リール42のスクロールが停止した直後の画面を図示している。図15(c)の状態から中段の仮想図柄リール42のスクロールが停止して、表示領域3b1には「貝(5)」、表示領域3b2には「アンコウ」、表示領域3b3には「貝(6)」が停止表示されている。従って、表示領域3a2、3b2及び3c2に表示されている「アンコウ」の図柄により大当たりが確定している状態である。しかし、この「アンコウ」の図柄は、単発変動図柄であるので、遊技者はこの状態で大当たり状態へ突入することより、再抽選(再変動表示)が行われて確率変動図柄で大当たり状態へ突入することを望んでいる。よって、この第1パターンでは、遊技者の興趣を向上させるために、再抽選の変動表示を行う。
図15(e)は、図15(d)の状態から、再抽選の変動表示が行われている状態を図示しており、図15(d)で一度停止した仮想図柄リール41〜43のスクロールが再び開始された直後の状態である。
図15(f)は、図15(e)の状態から、再抽選の変動表示が進行している状態である。本発明は、このタイミングで魚群図柄等の有利図柄を現出することにより遊技者の期待感を煽って興趣性を向上させると共に、遊技者にわかりやすい演出を行うものであるが、この第1パターンにおいては、有利図柄を現出しない演出表示が行われる。再抽選中に有利図柄が現出しないことにより、この再抽選の後に現出する図柄は、再抽選前に表示されていた図柄を含め、いずれかの図柄が現出するものである。
図15(g)は、再抽選の変動表示が停止する直前の画面を図示している。図15(f)の状態から、上段、中段及び下段の仮想図柄リール41〜43のスクロールが停止してはいないが、再抽選の変動表示が停止する直前であるので、スクロールの動きが遅くなっており、十分視覚可能な状態である。遊技者側から見た場合、大当たりライン53を繋ぐ表示領域3a2,3b2,3c2に「アンコウ」の図柄が停止することが予測できる。
図15(h)は、再抽選の変動表示が終了して、仮想図柄リール41〜43のスクロールが停止した直後の画面を図示している。大当たりライン53を繋ぐ表示領域3a2,3b2,3c2に「アンコウ」の図柄が停止表示されて、単発変動図柄で大当たりが確定している状態である。よって、この第1パターンでは、大当たり状態が終了した後に与えられる遊技状態は、大当たりが開始される前の普通の変動表示状態で行われる。
図16は、図柄表示制御処理の第2パターンを表した図である。この第2パターンの変動表示では、LCD3の表示画面において、表示領域3a2,3b2,3c2を繋ぐ大当たりライン53でリーチが発生し(図16(a)参照)、そのリーチ確定時にそのリーチ状態が遊技者にとって有利な状態であることを示唆する有利図柄(特定情報)が現出して(図16(b)参照)、そのリーチ状態から遊技価値の低い単発変動図柄で大当たりしたことを遊技者に報知する(図16(c),(d)参照)。その後、再変動表示(再抽選)が行われて(図16(e)参照)、その再変動表示中に大当たり期待値が低い有利図柄(泡図柄)をLCD3の表示画面の下側から上側へ現出させ(図16(f)参照)、再変動表示が行われる前にLCD3に表示されていた遊技価値の低い単発変動図柄以外の図柄(第1実施例では、単発変動図柄である「エンゼルフィッシュ」)で大当たりが確定する(図16(g),(h)参照)。
このように、再抽選後の表示結果として現出する図柄を、再抽選前の表示結果として現出した遊技価値の低い単発変動図柄以外の図柄とすることにより、1の遊技価値の低い単発変動図柄が再抽選後の表示結果として現出する図柄から除かれる。よって、再抽選中に大当たり期待値が低い有利図柄が現出することにより、遊技者に再抽選後の表示結果が遊技者にとって有利な表示結果へ遷移することを期待させることができるので、遊技者の遊技の興趣を高めることができる。また、リーチ状態においてその大当たり期待に応じて現出する有利図柄を、再抽選後の表示結果に応じて再抽選中に現出させることで、再抽選の演出を遊技者に理解させ易くすることができると共に、再抽選時にリーチ状態と同じ興趣を堪能させることができる。
図17は、図柄表示制御処理の第3パターンを表した図である。この第3パターンの変動表示では、LCD3の表示画面において、表示領域3a2,3b2,3c2を繋ぐ大当たりライン53でリーチが発生し(図17(a)参照)、そのリーチ確定時にそのリーチ状態が遊技者にとって有利な状態であることを示唆する有利図柄(特定情報)が現出して(図17(b)参照)、そのリーチ状態から遊技価値の低い単発変動図柄で大当たりしたことを遊技者に報知する(図17(c),(d)参照)。その後、再変動表示(再抽選)が行われて(図17(e)参照)、その再変動表示中に大当たり期待値が高い有利図柄(魚群図柄)を現出させ(図17(f)参照)、確率変動図柄(第1実施例では「ジュゴン」)で大当たりが確定する(図17(g),(h)参照)。
このように、再抽選後の表示結果に応じてその再抽選中に大当たり期待値が高い有利図柄(魚群図柄)を現出させることにより、遊技者に再抽選後に現出する表示結果が遊技者にとって有利な表示結果(確率変動図柄)となることを示唆することができる。よって、遊技者に理解させ易い演出を行うことができる。また、再抽選前のリーチ時に現出する有利図柄(魚群図柄)を再抽選中の演出でも用いることにより、遊技状態が遊技者にとって有利になる場合の演出を認識させ易くすることができる。よって、再抽選において遊技者にとって有利な表示状態への遷移を、遊技者に認識させ易くすることができる。
なお、リーチ表示時に現出する有利図柄と、再変動表示中に現出する有利図柄とが同一であった場合には、その後の遊技状態を遊技者にとってもっとも有利な遊技状態(確率変動状態)としても良い。
図18は、表示用制御基板Dの変動表示処理(図13)の各処理(S80)の中で実行される図柄表示制御処理のフローチャートである。図柄表示制御処理は、主制御基板Cから受信した制御用コマンドに基づいて、図15から図17で示した変動表示の制御を行う。
この図柄表示制御処理では、まず、変動表示が再抽選中か否かを確認する(S81)。確認の結果、再抽選中でなければ(S81:No)、次に仮想図柄リール41〜43のスクロールは停止したか否かを確認する(S82)。仮想図柄リール41〜43のスクロールが停止していれば(S82:Yes)、その変動表示で再抽選が有るか否かを確認する(S83)。再抽選が有る場合には(S83:Yes)、再抽選をするタイミングとして好適なタイミングなので、仮想図柄リール41〜43を再びスクロールさせて、再抽選を開始する(S84)。一方、S81の処理において、再抽選中であれば(S81:Yes)、S82、S83及びS84の処理をスキップして、S85の処理へ移行する。
S85の処理では、有利図柄等による再抽選の演出表示を表示する好適なタイミングか否かを確認する(S85)。有利図柄等を演出表示する好適なタイミングであれば(S85:Yes)、その再抽選で表示する演出は何であるかを確認するため、変動パターン指定コマンドは何かを確認する(S86)。確認の結果、図15に示す第1パターンの変動表示が指定されていれば(S86:第1パターン)、再抽選中に有利図柄等を現出させずに、この図柄表示制御処理を終了する。
S86の処理において、図16に示す第2パターンの変動表示が指定されていれば(S86:第2パターン)、再抽選中の仮想図柄リール41〜43のスクロールが高速変動中に大当たり期待値が低い泡図柄を現出させて(S87)、この図柄表示制御処理を終了する。
S86の処理において、図17に示す第3パターンの変動表示が指定されていれば(S86:第3パターン)、再抽選中の仮想図柄リール41〜43のスクロールが高速変動中に大当たり期待値が高い魚群図柄を現出させて(S88)、この図柄表示制御処理を終了する。
なお、S82の処理において仮想図柄リール41〜43のスクロールが停止していない場合や(S82:No)、S83の処理において再抽選がない場合(S83:No)、S85の処理において再抽選の演出表示を表示する好適なタイミングでない場合には(S85:No)、この図柄表示制御処理を終了する。
以上説明したように、第1実施例のパチンコ機Pによれば、再抽選後の表示結果に応じてその再抽選中にリーチ確定時に用いられた泡図柄または魚群図柄を現出させることにより、遊技者に再抽選後に現出する表示結果が遊技者にとって有利な表示結果となることを示唆することができる。よって、LCD3に表示される変動表示の演出パターンを数多く用意することができると共に、遊技者が理解し易い演出を提供することができる。
次に、図19から図23の図面を参照して本発明の第2実施例について説明する。第2実施例では、本発明における主制御基板Cのメモリ及びテーブル制御等について詳細に説明する。図19は、第2実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。なお、第2実施例の説明にあたり、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第2実施例のパチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置であるMPU11と、そのMPU11に搭載されて実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM12と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM13とが搭載されている。なお、図20に示す変動パターンテーブル12aは、ROM12内に記憶されている。また、図21〜23に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。更に、ROM12に記憶されている変動パターンテーブル12aと同一の変動パターンテーブル22bが表示用制御基板DのROM22内に記憶されている。
RAM13は、送信バッファ13aと、コマンドカウンタ13bと、バックアップエリア13cと、乱数カウンタ13dと、ハズレリーチカウンタ13eと、大当たり図柄カウンタ13fと、変動パターンカウンタ13gと、大当たりフラグ13hと、確率変動フラグ13iと、保留球カウンタ13jと、演出実行エリア13kと、演出実行1〜4メモリ13l〜13oとを備えている。
乱数カウンタ13は、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、図柄カウンタ更新処理(図9、S20参照)によって、「0」〜「630」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。第2実施例のパチンコ機Pでは、遊技盤1に打ち込まれた球が、図柄作動口4へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ41で検出されて(始動入賞)、その検出に基づいて取得された乱数カウンタ13dの値が「7」又は「315」であった場合に大当たりが発生するように構成されている。始動入賞によって取得された乱数カウンタ13dの値は、後述する保留球カウンタ13jの値が示す演出実行1〜4メモリ13l〜13oの乱数カウンタ13dの値を記憶する部分に書き込まれ、記憶される(図21、S104参照)。なお、乱数カウンタ13dの代わりに、ランダムな値を取得可能なICカウンタ等を用いても良い。
ハズレリーチカウンタ13eは、リーチ状態の発生を決定するためのカウンタであり、乱数カウンタ13dの値が大当たりを発生する値でない場合に、リーチ状態を現出させるハズレリーチの変動表示とするか、リーチ状態を現出させないハズレの変動表示とするかを決定するためのカウンタである。このハズレリーチカウンタ13eの値は、図柄カウンタ更新処理(図9、S20参照)によって、「0」〜「9」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。第2実施例のパチンコ機Pでは、遊技盤1に打ち込まれた球が、図柄作動口4へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ41で検出されて(始動入賞)、その検出に基づいて取得されたハズレリーチカウンタ13eの値が「7」であった場合に、変動表示においてハズレリーチが現出するように構成されている。始動入賞によって取得されたハズレリーチカウンタ13eの値は、乱数カウンタ13dの値と共に、後述する保留球カウンタ13jの値が示す演出実行1〜4メモリ13l〜13oのハズレリーチカウンタ13eの値を記憶する部分に書き込まれ、記憶される(図21、S104参照)。
ここで、リーチ状態とは、図柄の変動表示が開始された後、先に停止する表示領域に表示される図柄の組み合わせが大当たりの条件を満たしており、変動表示が継続されている他の表示領域の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆する表示状態である。また、ハズレリーチとは、他の表示領域に表示される図柄と、先に停止する表示領域に表示される図柄との組み合わせが大当たりの条件を満たさない場合である。
大当たり図柄カウンタ13fは、前記した乱数カウンタ13dの値が大当たりを発生する値であった場合に、LCD3において実行される変動表示の表示結果として現出する図柄の組み合わせを決定するためのカウンタである。この大当たり図柄カウンタ13fの値は、図柄カウンタ更新処理(図9、S20参照)によって、「0」〜「9」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。第2実施例のパチンコ機Pでは、遊技盤1に打ち込まれた球が、図柄作動口4へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ41で検出されて(始動入賞)、後述する保留球カウンタ13jの値が示す演出実行1〜4メモリ13l〜13oの大当たり図柄カウンタ13fの値を記憶する部分に書き込まれ、記憶される(図21、S104参照)。
第2実施例では、始動入賞によって取得された乱数カウンタ13dの値が大当たりを発生する値であった場合に、大当たり図柄カウンタ13fの値に応じて付与される遊技価値が異なるように構成されている。具体的には、LCD3で変動表示する図柄は、単発変動図柄と、その単発変動図柄より遊技者に有利な遊技価値を付与し得る確率変動図柄とが備えられている。第2実施例のパチンコ機Pでは、大当たり図柄カウンタ13fの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」は、大当たり遊技が1回の単発変動図柄である。また、「1」、「3」、「5」、「7」又は「9」は、1回の大当たり遊技を付与すると共にその大当たり遊技の終了後に通常状態より大当たりが発生し易い確率変動状態とする確率変動図柄である。
ここで、再変動表示について説明する。再変動表示とは、確率変動図柄で大当たりが発生し得るにもかかわらず、LCD3における変動表示に、一旦、単発変動図柄を表示した後、再び変動表示(再変動表示)を行って、その再変動表示の終了時に確率変動図柄の表示結果を現出させ得る演出である。本発明は、LCD3に単発変動図柄の大当たりが示唆された後において再変動表示が行われる場合に、その再変動表示中に泡図柄又は魚群図柄等の有利図柄を表示し、その再変動表示によって単発変動図柄が確率変動図柄に成り上がることを示唆するように構成されている。
変動パターンカウンタ13gは、LCD3で行われる変動表示の変動パターン(リーチパターンを含む。以下、同様)を決定するための参酌されるカウンタである。この変動パターンカウンタ13gの値は、図柄カウンタ更新処理(図9、S20参照)によって、「0」〜「99」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新され、最大値(即ち、「99」)に達した後に再び「0」に戻されるように構成されている。変動パターンカウンタ13gの値は、後述する演出実行1メモリ13lに記憶されている変動表示のデータが演出実行エリア13kに書き込まれた場合に参酌され、その時点で図示しないカウンタ用バッファに記憶される変動パターンカウンタ13gの値に基づいて変動表示における変動パターンコマンドが設定される。
なお、カウンタ用バッファは、更新中のカウンタ値を一時的に記憶するためのRAM13の領域であり、始動入賞によって取得される各カウンタ13d〜13gのいずれかのカウンタ値は、更新される毎にカウンタ用バッファに書き込まれて記憶される。
ここで、図20を参照して、大当たりが発生する場合における変動表示の変動パターンの選択方法について説明する。第2実施例のパチンコ機Pでは、変動表示開始時にカウンタ用バッファに記憶されている変動パターンカウンタ13gの値が、「0」〜「4」であった場合には「ノーマルリーチ1」の変動パターンが選択されて表示用制御基板Dへ「C2H」及び「10H」の変動パターンコマンドが送信され、「5」〜「9」であった場合には「ノーマルリーチ2」の変動パターンが選択されて表示用制御基板Dへ「C2H」及び「11H」の変動パターンコマンドが送信され、「10」〜「14」であった場合には「ノーマルリーチ3」の変動パターンが選択されて表示用制御基板Dへ「C2H」及び「12H」の変動パターンコマンドが送信され、「15」〜「19」であった場合には「ノーマルリーチ再変動1(図15参照)」が選択されて表示用制御基板Dへ「C2H」及び「13H」の変動パターンコマンドが送信され、「20」〜「24」であった場合には「ノーマルリーチ再変動2(図16参照)」が選択されて表示用制御基板Dへ「C2H」及び「14H」の変動パターンコマンドが送信され、「25」〜「29」であった場合には「ノーマルリーチ再変動3(図17参照)」が選択されて表示用制御基板Dへ「C2H」及び「16H」の変動パターンコマンドが送信され、・・・、「98」又は「99」であった場合には「女の子リーチ再変動3」の変動パターンが選択されて表示用制御基板Dへ「C2H」及び「29H」の変動パターンコマンドが送信されるように構成されている。
なお、「ノーマルリーチ1,2,3」及び「ノーマルリーチ再変動1,2,3」の変動パターン以外の変動パターンは、変動表示開始時に有利図柄である泡図柄又は魚群図柄を表示させるように設定されている。従って、大当たりが発生し得る変動表示開始時に、泡図柄や魚群図柄を現出させ易くすることによって、泡図柄又は魚群図柄が現出した場合に、遊技者にその変動表示において大当たりを強く期待させることができるので、遊技の興趣を増幅させることができるように構成されている。
また、表示用制御基板Dは、主制御基板Cから変動パターンコマンドを受信した場合に、その変動パターンコマンドと変動パターンテーブル22bとを参照して、主制御基板Cから送信された変動パターンコマンドに基づいた変動表示をLCD3において実行するように構成されている。
大当たりフラグ13hは、大当たり遊技を付与するか否かを判別するためのフラグである。この大当たりフラグ13hは、乱数カウンタ13dの値が「7」又は「315」であった場合にオンされ(図23、S124参照)、図5に示す大当たり処理において、所定の遊技価値を遊技者に付与したと判断された場合に、オフされるように構成されている。この大当たりフラグ13hがオンされることによって、図5に示す主制御基板Cのメイン処理において大当たり処理(S26)が実行され、所定の遊技価値が遊技者に付与することができる。
確率変動フラグ13iは、大当たりの発生条件を変化させて大当たりが発生し易くするためのフラグである。この確率変動フラグ13iは、大当たりが発生すると共に大当たり図柄カウンタ13fの値が奇数(「1」、「3」、「5」、「7」又は「9」)であった場合にオンされるように構成されている(図23、S122参照)。逆に、この確率変動フラグ13iは、大当たりが発生すると共に大当たり図柄カウンタ13fの値が偶数(「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」)であった場合にオフされるように構成されている(図23、S123参照)。この確率変動フラグ13iがオンされている場合に、始動入賞に基づいて取得された乱数カウンタ13dの値が「7」、「77」、「157」、「237」、「315」、「367」、「437」、「507」、「577」又は「607であったとき、大当たりが発生するように構成されている。
保留球カウンタ13jは、変動表示の待機回数を記憶するカウンタである。保留球カウンタ13jの値は、LCD3で変動表示が行われていない場合、又は、変動表示が行われているが待機中の変動表示がない場合には「0」、待機中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、待機中の変動表示が4回の場合には「4」となって、それぞれの値によって、次回の始動入賞によって取得される変動表示のデータをいずれかの演出実行1〜4メモリ13l〜13oに書き込むかを示している。第2実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の最大待機回数は4回なので、保留球カウンタ13jの値は「0」から「4」の範囲で変化する。保留球カウンタ13jのカウントアップは、球が図柄作動口4へ入賞して第1種始動口スイッチ41で検出された場合に行われ(図21、S103参照)、カウントダウンは、変動表示の開始時に行われる(図22、S114参照)。
演出実行エリア13kは、LCD3で行われる変動表示のデータを記憶するためのメモリである。この演出実行エリア13kに記憶された変動表示のデータに基づいて、変動パターン指定コマンド及び停止図柄指定コマンドが生成され、生成されたコマンドは好適なタイミングで図5に示すポート出力処理(図5、S15参照)によって、表示用制御基板Dへ送信される。
演出実行1〜4メモリ13l〜13oは、乱数カウンタ13d、ハズレリーチカウンタ13e及び大当たり図柄カウンタ13fの値等を記憶するためのメモリである。この演出実行1〜4メモリ13l〜13oへの変動表示のデータの書き込みは、遊技盤1内に打ち込まれた球が図柄作動口4へ入賞して第1種始動口スイッチ41で検出された場合に、保留球カウンタ13jの値に基づいて行われる。具体的には、保留球カウンタ13jの値が「1」の場合には演出実行1メモリ13lへ、保留球カウンタ13jの値が「2」の場合には演出実行2メモリ13mへ、・・・、保留球カウンタ13jの値が「4」の場合には演出実行4メモリ13oへ、変動表示のデータが書き込まれる。一方、第1種始動口スイッチ41によって球が検出されたときに保留球カウンタ13jの値が「4」以上である場合にはいずれの演出実行1〜4メモリ13l〜13oにも変動表示のデータは書き込まれない(図21、S102参照)。
なお、演出実行エリア13kに書き込まれる変動表示のデータは、演出実行1メモリ13lに記憶されている変動表示のデータが書き込まれるように構成されている。また、演出実行エリア13kへのデータの書き込みは、変動表示が終了していて、且つ、保留球カウンタ13jの値が「1」以上の場合に、演出実行1メモリ13lに記憶されている変動表示のデータが演出実行エリア13kに書き込まれる(図22、S115参照)。第2実施例のパチンコ機Pにおける変動表示の最大待機回数は4回なので、変動表示のデータを記憶するメモリは全部で5つ設けられている。即ち、演出実行エリア13kには変動中の変動表示のデータが記憶され、他の4つの演出実行1〜4メモリ13l〜13oには待機中の変動表示のデータが記憶される。
かかるROM12およびRAM13を内蔵したMPU11はバスライン14を介して入出力ポート15と接続されており、入出力ポート15は、第1種始動口スイッチ41と、電源基板30に設けられたクリアスイッチ18と、図柄の変動表示の制御を行う表示用制御基板Dと、そのほか、他の入出力装置16とにそれぞれ接続されている。なお、表示用制御基板Dは、スピーカ42から効果音の出力制御と、ランプ43等の点灯制御とを行う音声及びランプ制御基板Lと接続されており、この音声及びランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御される。
第1種始動口スイッチ41は、図柄作動口(第1種始動口)4へ入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4の近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ41によって球が検出されると、乱数カウンタ13d、ハズレリーチカウンタ13e及び大当たり図柄カウンタ13fの値が読み取られ、その値が変動表示のデータとして保留球カウンタ13jの値が示す演出実行1〜4メモリ13l〜13oのいずれかに書き込まれて記憶される。
電源基板30は、パチンコ機Pの各部に電力を供給するための電源部30aと、停電監視回路30bと、クリアスイッチ18とを備えている。停電監視回路30bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU11のNMI割込端子11aへ停電信号51を出力するための回路である。停電監視回路30bは、電源部30aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号51を主制御基板C等へ出力するように構成されている。この停電信号51の出力によって、主制御基板Cは、停電の発生を認識し、停電時処理(図4のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部30aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板Cは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
クリアスイッチ18は、主制御基板CのRAM13にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ18が押下された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、RAMクリア信号52が主制御基板Cに出力され、RAM13のデータがクリアされる。
表示用制御基板DのキャラクタROM25には、単発変動図柄や確率変動図柄、及び、魚群図柄や泡図柄等の有利図柄が記憶されている。表示用制御基板Dは、主制御基板Cから変動パターン指定コマンドを受信した場合に、このキャラクタROM25に記憶されている上記図柄を用いて変動表示を行うように構成されている。なお、請求項1記載の「第1識別情報」としては、「ハリセンボン」、「サメ」、「アンコウ」又は「エンゼルフィッシュ」が対応する。また、請求項1記載の「第2識別情報」としては、「タコ」、「カメ」、「エビ」、「ジュゴン」又は「カニ」が対応する。更に、「第1特定情報」としては「泡図柄」、「第2特定情報」としては「魚群図柄」が対応する。
次に、図21から図23に示すフローチャートを参照して、主制御基板Cで行われる各処理について説明する。図21は、第2実施例の主制御基板Cのメイン処理の中で実行される変動表示設定処理のフローチャートである。この変動表示設定処理では、第1種始動口スイッチ41が球を検出して、保留球カウンタ13jの値が「4」以上でない場合に、保留球カウンタ13jの値が示す演出実行1〜4メモリ13l〜13oに変動表示のデータを書き込むための処理である。
この変動表示設定処理では、まず、第1種始動口スイッチ41が球を検出したか否かを確認する(S101)。第1種始動口スイッチ41が球を検出していない場合は(S101:No)、この変動表示設定処理を終了する。
一方、S101の処理において、第1種始動口スイッチ41が球を検出していれば(S101:Yes)、次に、保留球カウンタ13jの値が「4」以上であるか否かを確認する(S102)。保留球カウンタ13jの値が「4」以上であれば(S102:Yes)、変動表示の待機回数分設けられた演出実行1〜4メモリ13l〜13oに既に変動表示のデータが書き込まれているということなので、この変動表示設定処理を終了する。
一方、S102の処理において、保留球カウンタ13jの値が「4」未満であれば(S102:No)、変動表示のデータが待機回数分記憶されていないということなので、保留球カウンタ13jの値に「1」を加算して(S103)、第1種始動口スイッチ41が球を検出したことによって取得される乱数カウンタ13d、ハズレリーチカウンタ13e及び大当たり図柄カウンタ13fの値を変動表示のデータとして、保留球カウンタ13jの値が示す演出実行1〜4メモリ13l〜13oに書き込んで(S104)、この変動表示設定処理を終了する。
次に、図10を参照して、第2実施例の主制御基板Cのメイン処理の中で実行される保留球カウンタ減算処理について説明する。この保留球カウンタ減算処理により、LCD3で行われる変動表示が終了した場合、又は、大当たり遊技が終了した場合に、演出実行1メモリ13lに記憶されている変動表示のデータが演出実行エリア13kに書き込まれる。
この保留球カウンタ減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S111)。確認の結果、変動表示中であれば(S111:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S111:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S112)。大当たり中であれば(S112:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S112:No)、保留球カウンタ13jの値が「1」以上であるか否かを確認し(S113)、保留球カウンタ13jの値が「1」以上であれば(S113:Yes)、処理をS114へ移行する。
なお、S113の処理において、保留球カウンタ13jの値が「1」以上でない場合、即ち、保留球カウンタ13jの値が「0」である場合は(S113:No)、演出実行1メモリ13lに変動表示のデータは記憶されていないので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S114の処理では、保留球カウンタ13jの値から「1」減算して(S114)、演出実行1メモリ13lに記憶されている変動表示のデータを演出実行エリア13kに書き込み(S115)、演出実行2〜4メモリ13m〜13oに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい演出実行1〜3メモリ13l〜13nへシフトする(S116)。
次に、演出実行エリア13kに記憶される乱数カウンタ13dの値は大当たりを発生する値か否か、即ち、乱数カウンタ13dの値が「7」又は「315」か否かを確認する(S117)。確認の結果、演出実行エリア13kに記憶される乱数カウンタ13dの値が大当たりを発生する値でなければ(S117:No)、ハズレの変動表示の設定等を実行する各処理を行い(S119)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。逆に、演出実行エリア13kに記憶される乱数カウンタ13dの値が大当たりを発生する値であれば(S117:Yes)、大当たりの変動表示を設定するために図23に示す大当たり変動選択処理を行う(S118)。なお、大当たり変動選択処理(S118)の処理の後は、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
図23は、大当たり変動選択処理(S118)のフローチャートである。この大当たり変動選択処理では、演出実行エリア13kに記憶されている大当たり図柄カウンタ13fの値に応じて確率変動状態の付与を判別すると共に、図示しないカウンタ用バッファに記憶されている変動パターンカウンタ13gの値に応じてその大当たりにおける変動表示の変動パターンを選択するための処理である。
この大当たり変動選択処理(S118)では、まず、演出実行エリア13kに記憶されている大当たり図柄カウンタ13fの値が奇数か否かを確認する(S121)。確認の結果、演出実行エリア13kに記憶されている大当たり図柄カウンタ13fの値が奇数であった場合には(S121:Yes)、確率変動図柄による大当たりであるので、確率変動フラグ13iをオンして(S122)、処理をS124へ移行する。一方、演出実行エリア13kに記憶されている大当たり図柄カウンタ13fの値が奇数でなかった場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13fの値が偶数であった場合には(S122:No)、単発変動図柄による大当たりであるので、確率変動フラグ13iをオフして(S123)、処理をS124へ移行する。
S124の処理では、大当たりフラグ13hをオンして(S124)、次に、カウンタ用バッファに記憶されている変動パターンカウンタ13gの値に基づいて変動パターンテーブル12aに応じた変動パターン指定コマンドを設定し(S125)、演出実行エリア13kに記憶されている大当たり図柄カウンタ13fの値に基づいて停止図柄指定コマンドを設定して(S126)、この大当たり変動選択処理を終了する。
以上説明したように、第2実施例のパチンコ機Pでは、大当たりが付与され得る場合に、その大当たりが単発変動図柄での大当たりか確率変動図柄での大当たりかの付与抽選演出を行う再変動表示において、変動表示の開始時前後において大当たりが発生することを示唆する有利図柄(泡図柄又は魚群図柄)を再度再変動表示に現出し得るように構成されている。よって、キャラクタROM25に記憶されている有利図柄を、変動表示の開始時前後と、付与される遊技価値の成り上がり演出である再変動表示中とに表示することができるので、再変動表示において行われる演出を遊技者に理解させ易くすることができると共に、再変動表示中における有利図柄の現出により、遊技価値が向上されることへの期待感が増幅されるので、遊技の興趣を向上させることができる。また、キャラクタROM25に記憶される有利図柄を変動表示の開始時前後と再変動表示とで使用することによって、少ない記憶容量で多くの演出を実行することができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第2実施例のパチンコ機Pでは、再変動表示において確率変動図柄へ成り上がる場合においても、泡図柄及び魚群図柄の選択率が同一であった。これに代えて、再変動表示において確率変動図柄に成り上がる場合には、再変動表示中に魚群図柄を現出させる変動パターンを選択し易いように構成しても良い。
また、変動パターンテーブル12a,22bに、再変動表示に魚群図柄が現出した場合に必ず確率変動図柄による大当たりとなる変動パターンを記憶させるように構成しても良い。泡図柄より大当たりが付与されることを強く示唆する魚群図柄が再変動表示に現出した場合に、必ず確率変動図柄での大当たりを発生させることによって、有利図柄のそれぞれに重み付をすることができる。
更に、確率変動図柄での大当たりが発生し得る場合に、変動表示の開始時又は開始時前後に現出した有利図柄と、再変動表示に現出した有利図柄とを同一にするように構成しても良い。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の遊技機及び変形例を示す。第1識別情報及び第2識別情報等の識別情報を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段によって第1遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記表示装置に前記第1識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に第1特別遊技状態を発生させる第1遊技付与手段と、前記抽選手段によって第1遊技価値より遊技者にとって有利な第2遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記表示装置に前記第2識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に第2特別遊技状態を発生させる第2遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記パターン記憶手段は、前記第1遊技付与手段又は第2遊技付与手段によって前記第1特別遊技状態又は第2特別遊技状態を発生する場合に、一旦、前記表示装置に前記第1識別情報の予め定めた表示結果を現出させてから前記第2識別情報の予め定めた表示結果を現出させ得る再動的表示の動的パターンを記憶する再動的パターン記憶手段を有し、前記情報記憶手段は、前記第1遊技付与手段又は第2遊技付与手段によって前記第1特別遊技状態又は第2特別遊技状態が発生することを前記動的表示開始時又は開始時前後において示唆する特定情報を記憶する特定情報記憶手段を有し、前記パターン選定手段は、前記第1遊技付与手段又は第2遊技付与手段によって前記第1特別遊技状態又は第2特別遊技状態が発生し得る状況において、前記再動的パターン記憶手段に記憶される再動的表示の動的パターンを選定すると共に、その再動的表示の動的パターンに前記特定情報記憶手段に記憶される前記特定情報を現出する動的パターンを選定する再動的演出選定手段を備えていることを特徴とする遊技機1。
遊技機1において、前記情報記憶手段は、複数の第1識別情報と、複数の第2識別情報とを記憶しており、前記パターン記憶手段は、前記第1特別遊技状態の付与を示唆し得るいずれか1の前記第1識別情報の予め定めた表示結果を前記表示装置に現出した後に、前記再動的表示に行うと共に前記特定表示を現出して、前記再動的表示前に前記表示装置に表示された前記第1識別情報以外の第1識別情報又は第2識別情報を現出させる動的パターンを記憶していることを特徴とする遊技機2。動的表示の開始時又は開始時前後において現出する特定情報を再動的表示に現出することができるので、同じ記憶媒体に記憶されている特定情報を動的表示の開始時又は動的表示の開始時前後と再動的表示とで使用することによって、少ない記憶容量で多くの演出を実行することができる。その際、再動的表示に特定情報が現出した場合に、再動的表示前に表示されていた第1識別情報以外の第1識別情報又は第2識別情報を現出することによって、再動的表示後の表示結果が遊技者にとって有利な表示結果へ遷移することを期待させ易くすることができるので、遊技者の遊技の興趣を高めることができる。
遊技機1において、前記情報記憶手段は、複数の第1識別情報と、複数の第2識別情報とを記憶しており、前記パターン記憶手段は、前記第1特別遊技状態の付与を示唆し得るいずれか1の前記第1識別情報の予め定めた表示結果を前記表示装置に現出した後に、前記再動的表示に行うと共に前記特定表示を現出せず、前記再動的表示前に前記表示装置に表示された前記第1識別情報を含む前記第1識別情報又は第2識別情報を現出させる動的パターンを記憶していることを特徴とする遊技機3。再動的表示に特定情報を現出させることによって、再動的表示の演出を遊技者に認識させ易くすると共に、再動的表示後の表示結果が遊技者にとって有利な表示結果へ遷移することを期待させ易くすることができるので、遊技者の遊技の興趣を高めることができる。
遊技機1から3のいずれかにおいて、前記情報記憶手段は、第1特定情報と、その第1特定情報より第1特別遊技状態又は第2特別遊技状態が付与され得ることを示唆する第2特定情報とを記憶しており、前記パターン記憶手段は、前記第2特別遊技状態が発生し得る場合に、前記再動的表示に前記第2特定情報を現出させ得る動的パターンを記憶していることを特徴とする遊技機4。動的表示の開始時又は開始時前後において現出する第1特定情報又は第2特定情報を再動的表示に現出することができるので、同じ記憶媒体に記憶されている第1特定情報又は第2特定情報を動的表示の開始時又は動的表示の開始時前後と再動的表示とで使用することによって、少ない記憶容量で多くの演出を実行することができる。また、パターン記憶手段は、再動的表示に第2特定情報が現出した場合に、第2特別遊技状態を発生し得る動的パターンを記憶するように構成されており、遊技者に再動的表示に第2特定情報の現出を期待させることができるので、再動的表示における遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機4において、前記パターン記憶手段は、前記第2特別遊技状態が発生し得る場合に、前記動的表示の開始時又は動的表示の開始時前後に前記第1特定情報又は第2特定情報を現出させると共に、前記再動的表示に前記動的表示の開始時又は動的表示の開始時前後に現出した前記第1特定情報又は第2特定情報を現出し得る動的パターンを記憶していることを特徴とする遊技機5。再動的表示に特定情報を現出させることによって、再動的表示の演出を遊技者に認識させ易くすると共に、動的表示の開始時又は開始時前後において現出した特定情報と、再動的表示において現出した特定情報が同一であった場合に、第2特別遊技状態を発生することができるので、再動的表示において、遊技者に動的表示開始時又は動的表示開始時前後に現出した特定情報の現出を期待させ得ることができるので、再動的表示における遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機1から5のいずれかにおいて、識別情報を表示する表示装置と、その表示装置に前記識別情報の動的表示を行わせる制御手段とを備え、前記識別情報の動的表示が予め定めた表示結果を現出した場合に、所定の遊技価値を付与するものであり、前記制御手段は、前記表示装置に前記所定の遊技価値が付与される表示態様を一旦停止表示した後、前記識別情報が再度変動する再動的表示を行うと共に、その再動的表示中に再動的表示後に前記表示装置に現出する表示結果を遊技者に示唆する特定情報を現出するように構成したことを特徴とする遊技機6。制御手段は、表示装置に所定の遊技価値が付与される表示結果が現出した場合に、その表示結果より遊技者にとって有利な遊技状態へ遷移し得る際動的表示を行うと共に、その際動的表示中の再動的表示後に表示装置に現出する表示結果を示唆する特定情報を現出するように構成されている。よって、再動的表示中に行われる演出を遊技者に理解させ易くすると共に、その特定情報の現出により、遊技価値が向上することへの期待感を増幅させることができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、制御手段は、情報記憶手段、パターン記憶手段、検出手段、抽選手段、パターン選定手段、動的実行手段、第1遊技付与手段及び第2遊技付与手段を備えている。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記特定情報は、遊技者にとって有利な遊技状態への遷移を示唆する複数の特定情報を備えていることを特徴とする遊技機7。複数の特定表示によって有利な遊技状態への遷移を示唆することによって、その演出パターンを豊富にすることができ、遊技者の遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記複数の特定情報は、前記再動的表示後の表示結果に応じていずれかの特定情報が現出することを特徴とする遊技機8。再動的表示後の表示結果に応じてその再動的表示中に複数の特定情報のいずれかを現出させることにより、遊技者に再動的表示後に現出する表示結果が遊技者にとって有利な表示結果となることを示唆することができる。よって、遊技者に理解させ易い演出を行うことができると共に、遊技者の興趣を向上させることができる。
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記動的表示は、前記再動的表示の前に実行される通常動的表示と、その通常動的表示後に行われる前記再動的表示とを備えており、前記再動的表示において現出する特定情報は、前記通常動的表示において所定の遊技価値が期待できる場合に現出するものであることを特徴とする遊技機9。従来、再動的表示中に特定情報を現出させる場合、再動的表示独自の特定情報を現出させていた。よって、遊技者はその特定情報を認識しづらいといった問題点があった。しかし、遊技機9によれば、通常動的表示に現出する特定情報を再動的表示でも用いることにより、遊技者にその特定情報の意味を認識させ易くすることができる。よって、再動的表示において遊技者にとって有利な表示状態への遷移を、遊技者に認識させ易くすることができる。なお、通常動的表示において所定の遊技価値が期待できる場合とは、例えば、リーチ表示等が例示される。
遊技機9において、前記再動的表示は、前記通常動的表示において遊技価値の低い識別情報で一旦停止表示した場合に、その停止表示した識別情報より遊技価値の高い識別情報の表示結果へと遷移し得るものであり、前記再動的表示後の表示結果として現出する識別情報は、前記通常動的表示の表示結果として現出した識別情報以外の識別情報とされることを特徴とする遊技機10。再動的表示は、遊技価値の低い識別情報の表示結果から遊技価値の高い識別情報の表示結果へと遷移し得るものである。再動的表示後の表示結果として現出する識別情報を、通常動的表示の表示結果として現出した遊技価値の低い識別情報以外の識別情報とすることにより、1の遊技価値の低い識別情報が再動的表示後の表示結果として現出する識別情報から除かれる。よって、遊技者に、再動的表示後の表示結果が遊技者にとって有利な表示結果へ遷移することを期待させることができるので、遊技者の遊技の興趣を高めることができる。
遊技機9において、前記再動的表示において前記特定情報が現出しない場合において、前記再動的表示後の表示結果として現出し得る識別情報は、前記通常動的表示の表示結果として現出した識別情報を含めたすべての識別情報のうち、いずれかの識別情報であることを特徴とする遊技機11。
遊技機9から11のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記通常動的表示に現出する特定表示と、前記再動的表示に現出する特定表示とが同一であった場合、遊技価値の高い識別情報の表示結果へ遷移するものであることを特徴とする遊技機12。通常動的表示に現出する特定表示と、再動的表示に現出する特定表示とが同一であった場合に、遊技価値が高い識別情報の表示結果へと遷移することで、遊技者に新たな興趣を提供することができ、遊技者の遊技の興趣を高めることができる。
遊技機9から12のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記通常動的表示で使用される特定情報の表示データと、前記再動的表示で使用される特定情報の表示データとを、同一の表示データとして記憶するものであることを特徴とする遊技機13。通常動的表示で使用する特定情報の表示データと、再動的表示で使用する特定情報の表示データとを、同一の表示データとすることにより、少量のデータ量で制御手段に記憶しておくことができる。
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機14。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機15。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機16。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。