以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
図2は、かかるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置であるMPU11と、そのMPU11により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM12と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM13とが搭載されている。図8から図11に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。
RAM13は、送信バッファ13aと、コマンドカウンタ13bとを備えていると共に、バックアップ用の充電池13xが接続されてバックアップ可能に構成されている。よって、RAM13の各値は、パチンコ機Pの電源が切断された場合にも保持(バックアップ)される。
送信バッファ13aは、LCDディスプレイ3の変動表示の制御のために、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドを記憶するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、この送信バッファ13aも2バイトで構成される。送信バッファ13aへセット(書き込み)された制御用コマンドは、タイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
図3は、LCDディスプレイ3の表示画面を9つの表示領域に分割した様子を示した図である。前記した通り、本実施例の変動表示は、横方向に3分割された3つの表示領域3a,3b,3cにおいて、それぞれ矢印A方向へ横方向にスクロールしながら行われる。この横方向に3分割された3つの表示領域3a,3b,3cを、縦方向に更に3分割して9つの表示領域3a1,・・・,3c3とし、その9つの表示領域3a1,・・・,3c3に対して、図3に示すように、それぞれ表示される「図柄1〜図柄9」の9つの図柄番号32aが付されている。
図2に示すコマンドカウンタ13bは、制御用コマンドの一種である停止図柄指定コマンド32(図5参照)が指定するLCDディスプレイ3の表示領域3a1〜3c3を示すためのカウンタであり、「1〜10」の範囲で「1」ずつ更新される。コマンドカウンタ13bの値が「1〜9」の範囲内にある場合には、そのコマンドカウンタ13bの値に対応する図柄番号32a(図5参照)の表示領域3a1〜3c3が指定される。また、コマンドカウンタ13bの値が「10」である場合には、いずれの表示領域も指定されない。
バックアップエリア13cは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機Pの状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア13cへの書き込みは、NMI割込処理(図8参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア13cに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の初期化処理(S12(図10参照))において実行される。
MPU11のNMI(Non Maskable Interrupt)端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、停電監視回路50から出力される停電信号51が入力されるように構成されており、停電の発生により、図8の停電時処理(NMI割込処理)が即座に実行される。
停電監視回路50は、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU11のNMI端子へ停電信号51を出力するための回路である。停電監視回路50は、電源ユニット(図示せず)に搭載されており、その電源ユニットから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号51を出力するように構成されている。この停電信号51の出力によって、主制御基板Cは、停電の発生を認識し、停電時処理(図8のNMI割込処理)を実行する。なお、電源ユニットは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板Cは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
これらMPU11、ROM12、RAM13は、バスライン14を介して互いに接続されており、バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。この入出力ポート15は、クリアスイッチ18や表示用制御基板D、他の入出力装置16と接続されている。
クリアスイッチ18は、主制御基板CのRAM13にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ18が押下された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御基板Cによって、RAM13のデータがクリアされる(図10のS42:Yes,S45)。
主制御基板Cは、入出力ポート15を介して、表示用制御基板Dや他の入出力装置16へ各種コマンドを送り、それら各装置を制御する。なお、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの接続は、入力および出力が固定的な2つのバッファ(インバータゲート)17,28を介して行われているので、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの間における制御用コマンドの送受信は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへの一方向にのみ行われ、表示用制御基板Dから主制御基板Cへ制御用コマンド等を送信することはできない。
表示用制御基板Dは、MPU21と、プログラムROM22と、ワークRAM23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、入力ポート29と、出力ポート27とを備えている。入力ポート29の入力にはインバータゲート28の出力が接続され、その入力ポート29の出力は、MPU21、プログラムROM22、ワークRAM23を接続するバスラインと接続されている。また、出力ポート27の入力には画像コントローラ26が接続され、その出力ポート27の出力にはLCDディスプレイ3が接続されている。
表示用制御基板DのMPU21は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の(変動)表示を制御するためのものであり、プログラムROM22には、このMPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図12から図15に示すフローチャートのプログラムは制御プログラムの一部として、また、第1〜第n変動パターンテーブル22b1〜22bnは固定値データの一部として、それぞれプログラムROM22に記憶されている。
第1〜第n変動パターンテーブル22b1〜22bnは、後述する変動パターン指定コマンド31(図4参照)の各変動パターンに対応した変動パターンを示す各データを記憶するテーブルであり、第1から第nまでのn種類のテーブルが用意されている。図4に示す通り、変動パターン指定コマンド31は、通常モードと短縮モードとでそれぞれ28種類用意されているので(10H〜2BH)、各変動パターンテーブル22b1〜22bnは、28バイトのデータサイズで構成されている。第1から第nまでの変動パターンテーブル22b1〜22bnのうち、実際の変動表示に使用される変動パターンテーブルは、後述する変動テーブルカウンタ23lの値に基づいて決定される。
各変動パターンテーブル22b1〜22bnに記憶される変動パターンの変動時間は、対応する変動パターン毎に同一となっている。例えば、第1変動パターンテーブル22b1と、第2変動パターンテーブル22b2と、・・・第n変動パターンテーブル22bnとにそれぞれ記憶されるm番目のデータが示す変動パターンの変動時間は(mは「0〜27」の整数)、それぞれ同一となっている。即ち、各変動パターンテーブル22b1〜22bnに記憶される変動パターンは、対応する他の変動パターンテーブル22b1〜22bnの変動パターンと変動時間が同一で、変動(演出)のパターンが異なるようになっているのである。即ち、第1変動パターンテーブル22b1の0番目の変動パターンが、変動開始から10秒後に上・下・中の順に停止する場合、第2変動パターンテーブル22b2の0番目の変動パターンは、変動開始から10秒後に下・上・中の順に停止するようになっている。なお、各変動パターンは大当たりか否かを決定するものではなく、大当たりか否かは、9つの停止図柄指定コマンド32により指定される停止図柄の組み合わせによって決定される。
また、例えば、第1変動パターンテーブル22b1の24番目の女の子リーチ1(図4参照)の変動パターンでは、その名の通り、女の子が登場してリーチの演出をするのに対し、第2変動パターンテーブル22b2の24番目の女の子リーチ1の変動パターンでは、女の子に代わって男の子が登場し、リーチを演出する。このように、通常は女の子が登場するリーチにおいて、女の子に代わって男の子を登場させることにより、遊技者に意外性を持たせて遊技の興趣を高め、長時間の遊技に対しても楽しみを継続させることができるのである。更に、第1変動パターンテーブル22b1の女の子リーチ1では、演出キャラクターの女の子が変動表示がハズレの場合にがっかりし、大当たりとなる場合に大喜びするのに対し、逆に、第3変動パターンテーブル22b3の女の子リーチ1では、演出キャラクターの女の子が変動表示がハズレの場合にあざ笑い、大当たりとなる場合に悔しがるといった演出を行って、遊技者に意外性を持たせている。そして、第2および第3変動パターンテーブル22b2,22b3よりも使用頻度の小さい第4変動パターンテーブル22b4では、男の子が演出キャラクターとなって、変動表示がハズレの場合にあざ笑い、大当たりとなる場合に悔しがるといった演出を行っている。更に使用頻度の小さい第5から第n変動パターンテーブル22b5〜22bnでは、女の子に代わって、赤ちゃんやお父さん、お母さん、お祖父さん、お祖母さん、魔法使い、占い師などがそれぞれ演出キャラクターとなって、変動表示の演出を行うようにされている。
ワークRAM23は、MPU21による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、受信バッファ23aと、コマンド受信フラグ23bと、9つの停止図柄1〜9メモリ23c〜23kと、変動テーブルカウンタ23lと、変動テーブルアドレスメモリ23mと、変動回数カウンタ23nとを備えている。
受信バッファ23aは、主制御基板Cから送信される制御用コマンドを受信するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、受信バッファ23aも同様に2バイトで構成される。コマンド受信フラグ23bは、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aへ記憶された場合にオンされるフラグである。コマンド受信フラグ23bがオンされていると、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示の制御が行われる。一旦オンされたコマンド受信フラグ23bは、受信バッファ23aから制御用コマンドを読み出す際にオフされる。
停止図柄1〜9メモリ23c〜23kは、制御用コマンドの一種である停止図柄指定コマンド32によって送信される停止図柄の図柄コード32b(図5参照)を記憶するためのメモリであり、LCDディスプレイ3の9つの表示領域3a1〜3c3(図3参照)に対応してそれぞれ1つ、合計9つの停止図柄1〜9メモリ23c〜23kが設けられている。なお、停止図柄1〜9メモリ23c〜23kの詳細については後述する。
変動テーブルカウンタ23lは、第1から第nまでの変動パターンテーブル22b1〜22bnのうち、変動表示のパターン決定に使用するテーブルを決定するためのカウンタである。この変動テーブルカウンタ23lの値が示す変動パターンテーブル22b1〜22bnが、変動表示の変動パターンの決定に使用される。具体的には、変動テーブルカウンタ23lの値+1番目の変動パターンテーブル22b1〜22bnが、変動パターンの決定に使用される。よって、変動テーブルカウンタ23lの値が「0」であれば第1変動パターンテーブル22b1が、「1」であれば第2変動パターンテーブル22b2が、・・・、「n−1」であれば第n変動パターンテーブル22bnが、それぞれ変動パターンの決定に使用される。
変動テーブルアドレスメモリ23mは、変動テーブルカウンタ23lの値によって決定された、変動表示のパターン決定に使用する変動パターンテーブル22b1〜22bnの先頭アドレスを記憶するためのメモリである。変動表示のパターンは、変動テーブルアドレスメモリ23mに記憶されるアドレス値から、変動パターン指定コマンド31の2バイト目のデータから「10H」を減算した値番目のデータによって決定される。なお、変動パターン指定コマンド31の1バイト目のデータが「C0H」である場合には、その決定されたパターンの変動表示が、通常モードで行われ、一方、「C1H」である場合には短縮モードで行われる。
変動回数カウンタ23nは、変動表示の実行回数をカウントするためのカウンタであり、変動パターン指定コマンド31の受信によって実行される変動テーブルカウンタ更新処理(図14のS75)の中で更新される。本実施例では、変動回数カウンタ23nは0〜999カウントの範囲で更新される。変動回数カウンタ23nの値が1000となると、その値が0クリアされると共に、変動テーブルカウンタ23lの値が「1」加算される。その結果、変動表示のパターン決定のために使用される変動パターンテーブル22b1〜22bnが1つ更新される。即ち、変動表示が1000回実行される毎に、変動表示のパターン決定のために使用される変動パターンテーブル22b1〜22bnが1ずつ更新されるのである。よって、第n変動パターンテーブル22bnにのみ記憶されるパターンの変動表示は、パチンコ機Pを相当時間使用しなければ現出しないので、かかるパターンの変動表示を現出させようとする遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
ビデオRAM24は、LCDディスプレイ3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM24の内容を書き換えることにより、LCDディスプレイ3の表示内容が変更される。即ち、各表示領域3a1〜3c3における図柄の変動表示は、ビデオRAM24の内容が書き換えられることにより行われる。キャラクタROM25は、LCDディスプレイ3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ26は、MPU21、ビデオRAM24、出力ポート27のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM24に記憶される表示データをキャラクタROM25を参照して所定のタイミングでLCDディスプレイ3に表示させるものである。
次に、図4から図7を参照して、変動表示の制御のために主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドについて説明する。制御用コマンドは、主に、変動パターン指定コマンド31と、停止図柄指定コマンド32と、図柄停止コマンド33とによって構成されている。なお、制御用コマンドは2バイトで構成されるので、その1バイト目と2バイト目のコマンドコードを区別するために、1バイト目のコマンドコードは最上位ビットがセットされ、2バイト目のコマンドコードは最上位ビットがリセットされている。
図4は、変動パターン指定コマンド31のコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。変動パターン指定コマンド31は、変動表示を開始させると共に、変動表示の開始から終了までの一連の変動パターンを指定するためのコマンドである。1バイト目のコマンドコードは、変動表示の通常モードを示す「C0H」または、短縮モードを示す「C1H」とされており、各モードでそれぞれ28種類ずつ、合計56種類の変動パターンが用意されている。
なお、変動パターン指定コマンド31によって指定される変動表示の制御は、その変動パターン指定コマンド31を受信した表示用制御基板Dによって行われるので、表示用制御基板Dの制御プログラムの内容を変更することにより、同一コードの変動パターン指定コマンド31に対する変動表示の内容を変更することができる。即ち、主制御基板Cの制御プログラムを変更することなく、表示用制御基板Dの制御プログラムを変更するだけで、変動表示の内容を変更することができるのである。
図5(a)は、停止図柄指定コマンド32のコマンドコードと、そのコマンドコードによって指定される図柄番号32aとの対応関係を示した図である。前記した通り、各図柄番号32aには、図3に示す各表示領域3a1〜3c3がそれぞれ対応付けされている。また、図5(b)は、20種類の図柄コード32bと図柄名32cとの対応関係を示した図である。
停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31で指定された変動パターンの変動表示の終了時に、LCDディスプレイ3の各表示領域3a1〜3c3にそれぞれ停止表示される図柄を指定するためのコマンドである。停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31が送信され変動表示が開始された後に、LCDディスプレイ3の9つの表示領域3a1〜3c3のそれぞれに対して、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される。
この停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31と同様に2バイトで構成されている。停止図柄指定コマンド32の1バイト目には、図柄1〜9の表示領域3a1〜3c3を指定するコマンドコードがセットされる。図5(a)に示すように、停止図柄指定コマンド32の1バイト目のコマンドコードが「90H」であれば図柄1の表示領域3a1が、「A0H」であれば図柄2の表示領域3b1が、・・・、「B2H」であれば図柄9の表示領域3c3が、それぞれ指定される。停止図柄指定コマンド32の2バイト目には、1バイト目のコマンドコードで指定した図柄1〜9の表示領域3a1〜3c3に停止表示される図柄の図柄コード32bがセットされる。即ち、図5(b)に示すように、停止表示される図柄が「タコ」である場合には「10H」が、「ハリセンボン」である場合には「11H」が、・・・、「サメ(2)」である場合には「23H」が、それぞれ停止図柄指定コマンド32の2バイト目のコードとしてセットされる。
表示用制御基板Dは、停止図柄指定コマンド32を受信すると、実行中の変動パターンを考慮した上で、停止図柄指定コマンド32で指定された図柄コード32bの図柄で変動表示が終了するように、変動中の図柄を差し替える。この図柄の差し替えは、変動表示が高速変動されている場合に限って行われるので、遊技者に図柄の差し替えが行われたことを気づかれることがない。
なお、変動表示が大当たりとなるか否かは、この停止図柄指定コマンド32で指定される図柄による。即ち、大当たりが発生した場合には、主制御基板Cから大当たりを構成する組み合わせの停止図柄指定コマンド32が送信されるのである。よって、表示用制御基板Dでは、大当たりかはずれであるかを全く考慮することなく、変動パターン指定コマンド31で指定されたパターンの変動表示を、停止図柄指定コマンド32で指定された停止図柄で終了するように、変動表示の演出を行うのである。
図5(b)に示すように、各図柄にはすべて異なった図柄コード32bが付与されている。特に、図柄名32c「サメ(1)」と「サメ(2)」とは、LCDディスプレイ3に全く同じ図柄として表示されるが、図5(b)に示すように、両図柄には「13H」と「23H」との異なった図柄コード32bが付与されている。同様に、図柄名32c「貝(1)」〜「貝(10)」も、LCDディスプレイ3に全く同じ図柄として表示されるが、図5(b)に示すように、「19H」〜「22H」の異なった図柄コード32bが付与されている。
図6は、かかる上段・中段・下段の各段の仮想図柄リール41〜43の構成を模式的に示した図である。図6(a)には、LCDディスプレイ3の上段の表示領域3aで変動表示される上段の仮想図柄リール41の構成が模式的に図示されている。図6(a)に示すように、上段の仮想図柄リール41には、18種類の図柄が「貝(9)」,「カニ」,「貝(8)」,・・・,「タコ」の順に配列されており、最終の「タコ」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「貝(9)」,「カニ」,「貝(8)」,・・・の各図柄が配列される。上段の仮想図柄リール41は、かかる図柄の配列順に、LCDディスプレイ3の上段の表示領域3aで変動表示される。
同様に、図6(c)には、LCDディスプレイ3の下段の表示領域3cで変動表示される下段の仮想図柄リール43の構成が模式的に図示されている。図6(c)に示すように、下段の仮想図柄リール43には、上段の仮想図柄リール41の配列と全く逆の配列で、18種類の図柄が「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・,「貝(9)」の順に配列されている。最終の「貝(9)」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・の各図柄が配列される。下段の仮想図柄リール43は、かかる図柄の配列順に、LCDディスプレイ3の下段の表示領域3cで変動表示される。
図6(b)には、LCDディスプレイ3の中段の表示領域3bで変動表示される中段の仮想図柄リール42の構成が模式的に図示されている。図6(b)に示すように、中段の仮想図柄リール42には、下段の仮想図柄リール43の配列の最後尾に「サメ(2)」,「貝(10)」の2種類の図柄を加えた合計20種類の図柄が順に配列されている。上段および下段の仮想図柄リール41,43の場合と同様に、最終の「貝(10)」の図柄の次には、先頭の図柄に戻って「タコ」,「貝(1)」,「ハリセンボン」,・・・の各図柄が配列される。中段の仮想図柄リール42は、かかる図柄の配列順に、LCDディスプレイ3の中段の表示領域3bで変動表示される。
図7は、図柄停止コマンド33のコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。図柄停止コマンド33は、指定した図柄番号32aの表示領域3a1〜3c3で変動表示されている図柄を停止表示(確定)させるためのコマンドである。表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信すると、その図柄停止コマンド33によって指定される表示領域3a1〜3c3に停止図柄指定コマンド32によって既に指定されている停止図柄が停止表示され、その表示領域3a1〜3c3の図柄が確定する。即ち、図柄停止コマンド33で指定された表示領域3a1〜3c3の変動表示が終了する。図柄停止コマンド33によって、9つすべての表示領域3a1〜3c3の図柄が確定すると、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動パターンの変動表示が終了する。
表示用制御基板Dは、変動パターン指定コマンド31と停止図柄指定コマンド32との内容を考慮しつつ、変動表示終了のタイミングで停止図柄指定コマンド32によって指定された図柄が該当する表示領域3a1〜3c3に表示されるように、変動表示の高速変動中に予め図柄の差し替えを行っている。しかも、主制御基板Cは、変動パターン指定コマンド31で指定した変動表示の変動パターンが終了するタイミングを見計らって、図柄停止コマンド33を表示用制御基板Dへ送信するように制御している。よって、図柄停止コマンド33による図柄の停止表示(確定)は、遊技者に違和感を与えることなく、スムースに行われる。
なお、主制御基板Cからの図柄停止コマンド33の送信タイミングが速まった結果、変動パターン指定コマンド31で指定した変動パターンの終了前であるにも拘わらず、表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信した場合には、表示用制御基板Dは、変動パターンの終了前であっても、既に停止図柄指定コマンド32で指定されている停止図柄を該当する表示領域3a1〜3c3の中央に停止表示し、その表示領域3a1〜3c3の図柄を確定する。
図柄停止コマンド33には、9つの表示領域3a1〜3c3の図柄を個別に確定させる9種類のコマンドと、9つの表示領域3a1〜3c3の図柄をすべて一度に確定させる1種類のコマンドと、上段・中段・下段の3段に分かれた3つの表示領域3a,3b,3cの図柄を各段毎に個別に確定させる3種類のコマンドとがあり、合計13種類のコマンドが用意されている。このうち、スクロールの単位となる上段・中段・下段の各段毎に、3つずつの図柄を一度に確定させる図柄停止コマンド33((1)「80H,0BH」,(2)「80H,0CH」,(3)「80H,0DH」)を用いれば、制御によってLCDディスプレイ3の表示上に表される仮想図柄リール41〜43のスクロールを、実際の図柄リールのスクロールと同じように行わせるができ、遊技者の興趣を一層向上させることができる。
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図8から図15のフローチャートを参照して説明する。図8は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア13cに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が断されると、停電監視回路50から停電信号51が主制御基板CのMPU11のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。すると、MPU11は、実行中の制御を中断して、図10のNMI割込処理を開始する。停電信号51が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように電源回路(図示せず)から電力供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、スタックポインタの値をバックアップエリア13cへ書き込み(S1)、更に、各レジスタおよびI/O等の値をバックアップエリア13cへ書き込んで(S2)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その後、その他停電処理を実行した後(S3)、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図9は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。メイン処理では、まず、割込を禁止した後(S11)、図10に示す初期化処理を実行する(S12)。
図10は、パチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア13cに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ18が押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、本来のスタック領域にスタックされているデータを壊さないために、仮のスタックポインタを設定する(S41)。クリアスイッチ18がオンされているか否かを確認し(S42)、オンされていれば(S42:Yes)、処理をS44へ移行する。一方、クリアスイッチ18がオンされていなければ(S42:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S43:Yes)、処理をS46へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、バックアップが有効でなければ(S43:No)、処理をS44へ移行する。
S44からの処理では、正規のスタックポインタを設定し、スタックの内容を整えた後(S44)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S45)、RAM13及びI/O等の各値を初期化し、この初期化処理を終了する。このS45の処理の終了後は、図9のS13の処理が実行される。
S46からの復帰処理では、バックアップエリア13cへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア13cから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S46)。更に、バックアップエリア13cからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S47)。その後、割込を許可し(S48)、NMI割込リターンを実行して、処理を電源断前に実行していたところへ戻し、制御を電源断前の状態から続行する。
図9のS13の処理ではタイマ割込の設定を行う(S13)。ここで設定されるタイマ割込としては、LCDディスプレイ3の変動表示を制御する制御用コマンドを表示用制御基板Dへ送信するためのストローブ信号を発生させるタイマ割込などがある。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S14)。割込の許可後は、特別図柄変動処理(S25)や、表示データ作成処理(S27)、ランプ・情報処理(S28)などにより、前回の処理で更新された出力データを一度に各ポートへ出力するポート出力処理を実行する(S15)。
更に、大当たりを決定するための乱数カウンタの値を「+1」更新する乱数更新処理(S16)を実行し、記憶タイマ減算処理を実行する(S17)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、LCDディスプレイ3において図柄の変動表示中である場合に、図柄の変動表示の時間短縮を行うものである。
スイッチ読込処理(S18)は、各スイッチの値を読み込んで、遊技領域1へ打ち込まれた球の入賞口2や大入賞口5(Vゾーン5aを含む)への入賞、図柄作動口4の通過、更には賞球や貸球を検出するための処理である。カウント異常監視処理(S19)は、S18のスイッチ読込処理によって読み込まれたスイッチデータに異常があるか否かを監視するための処理である。例えば、大入賞口5が開放され、球のVゾーン5aの通過を検出するVカウントスイッチで球が検出されたにも拘わらず、Vゾーン5a以外の大入賞口5への入賞を検出する10カウントスイッチで1球の球も検出できない場合には、10カウントスイッチが抜き取られるなどして、10カウントスイッチに何らかの異常が発生している。また、賞球を払い出すための払出モータを駆動したにも拘わらず、1球の賞球も払い出されない場合には、賞球の払出装置に何らかの異常が発生している。このようにカウント異常監視処理(S19)では、スイッチ読込処理(S18)によって読み込まれたスイッチデータに基づいて、上記のような異常の有無を監視している。
図柄カウンタ更新処理(S20)では、LCDディスプレイ3で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S21)では、図柄カウンタ更新処理(S20)で更新されたカウンタの値に基づいて、特別図柄変動処理(S25)で使用される大当たり図柄や、はずれ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。
S16からS21までの処理において、エラーが発生していなければ(S22:正常)、普通図柄変動処理(S23)によって、7セグメントLED(図示せず)の変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、当たりが発生した場合には普通電動役物(図示せず)を所定時間開放する当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S24)、LCDディスプレイ3において図柄の変動開始または変動表示中であれば(S24:図柄変動中)、特別図柄変動処理(S25)によって、球が図柄作動口4を通過するタイミングで読み取った乱数カウンタの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、LCDディスプレイ3において図柄の変動処理を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S24:大当り中)、大入賞口5を開放するなどの大当たり処理(S26)を実行する。更に、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動中でも大当たり中でもなければ(S24:その他)、S25及びS26の処理をスキップして、S27の表示データ作成処理へ移行する。なお、S22の処理において、エラーが確認された場合には(S22:エラー)、S23〜S26の各処理をスキップして、S27の表示データ作成処理へ移行する。
表示データ作成処理(S27)では、図柄の変動表示以外にLCDディスプレイ3に表示されるデモデータや、7セグメントLEDの表示データなどが作成され、ランプ・情報処理(S28)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S29)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データ及び効果音データは、前記したポート出力処理(S15)やタイマ割込処理によって各装置へ出力される。
効果音処理(S29)の終了後は、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、S20と同一の処理である図柄カウンタ更新処理(S30)を繰り返し実行する。S15〜S29の各処理は定期的に実行する必要があるので、S31の処理において、前回のS15の処理の実行からの経過時間をチェックする(S31)。チェックの結果、前回のS15の処理の実行から所定時間経過していれば(S31:Yes)、処理をS15へ移行し、一方、所定時間経過していなければ(S31:No)、処理をS30へ移行して、図柄カウンタ更新処理(S30)の実行を繰り返す。ここで、S15〜S29の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して図柄カウンタ更新処理(S30)を繰り返し実行することにより、停止図柄をランダムに変更することができる。
図11は、図9におけるメイン処理の特別図柄変動処理(S25)内で実行されるコマンド設定処理を示したフローチャートである。このコマンド設定処理は、LCDディスプレイ3の変動表示を制御する制御用コマンドである変動パターン指定コマンド31と、停止図柄指定コマンド32と、図柄停止コマンド33とを、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信するために、各コマンド31〜33を送信バッファ13aへ書き込む(セットする)ための処理である。
コマンド設定処理では、まず、変動表示の状態を状態フラグによってチェックする(S51)。チェックの結果、変動表示の開始であれば(S51:変動開始)、変動パターン指定コマンド31を送信バッファ13aへ書き込み(S52)、コマンドカウンタ13bの値を「1」として(S53)、この処理を終了する。送信バッファ13aへ書き込まれた変動パターン指定コマンド31は、S13の処理で設定されるタイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
S51の処理において、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動表示中であれば(S51:変動表示中)、コマンドカウンタ13bの値が「9」以下であるか否かを調べる(S54)。コマンドカウンタ13bの値が「9」以下であれば(S54:Yes)、そのコマンドカウンタ13bの値に対応する停止図柄指定コマンド32の1バイト目を送信バッファ13aの上位バイトへ書き込む(S55)。図5(a)に示す対応関係に基づいて、例えば、コマンドカウンタ13bの値が「1」であれば「90H」が、コマンドカウンタ13bの値が「2」であれば「A0H」が、・・・、コマンドカウンタ13bの値が「9」であれば「B2H」が、それぞれ送信バッファ13aの上位バイトへ書き込まれる。
更に、コマンドカウンタ13bの値に対応する停止図柄の図柄コード32bを送信バッファ13aの下位バイトへ書き込む(S56)。例えば、コマンドカウンタ13bの値が「1」であれば図柄1(3a1)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、コマンドカウンタ13bの値が「2」であれば図柄2(3b1)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、・・・、コマンドカウンタ13bの値が「9」であれば図柄9(3c3)の表示領域に停止表示される図柄の図柄コード32bが、それぞれ図5(b)に示す対応関係に基づいて、送信バッファ13aの下位バイトへ書き込まれる。ここで、停止図柄として「タコ」の図柄が指定される場合には「10H」の図柄コード32bが、「ハリセンボン」の図柄が指定される場合には「11H」の図柄コード32bが、・・・、「サメ(2)」の図柄が指定される場合には「23H」の図柄コード32bが、それぞれ指定される。
S55およびS56の処理によって、2バイトの停止図柄指定コマンド32を送信バッファ13aへ書き込んだ後は、コマンドカウンタ13bの値を「1」加算して(S57)、この処理を終了する。なお、送信バッファ13aへ書き込まれた停止図柄指定コマンド32は、変動パターン指定コマンド31の場合と同様に、S13の処理で設定されるタイマ割込処理によって、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
一方、コマンドカウンタ13bの値が「10」以上であれば(S54:No)、9つ全ての表示領域3a1〜3c3について停止図柄指定コマンド32を送信したということである。よって、かかる場合には、S55からS57の各処理をスキップして、この処理を終了する。
S51の処理において、状態フラグをチェックした結果、変動表示の終了のタイミングであれば(S51:変動表示終了)、9つの表示領域3a1〜3c3の全図柄を一度に停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33(80H,0AH)を送信バッファ13aへ書き込み(S58)、この処理を終了する。送信バッファ13aへ書き込まれた図柄停止コマンド33は、変動パターン指定コマンド31の場合と同様に、S13の処理で設定されるタイマ割込処理により、1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dへ送信されることにより、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。
なお、図柄停止コマンド33による図柄の停止表示(確定)は、必ずしも、9つすべての図柄を一度に確定させる必要はなく、例えば、9つの図柄をそれぞれ別々に確定させたり、或いは、スクロールが行われる単位、即ち、上段の図柄、中段の図柄、下段の図柄の各単位毎に図柄を確定させるようにしても良い。前者の場合には、図7に示すように「80H,01H」〜「80H,09H」の図柄停止コマンド33が使用され、後者の場合には「80H,0BH」〜「80H,0DH」の図柄停止コマンド33が使用される。
図12は、表示用制御基板Dの受信割込処理で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ制御用コマンドが送信されると実行される。まず、主制御基板Cから送信され表示用制御基板Dで受信した制御用コマンドを受信バッファ23aへ書き込み(S61)、更に、コマンド受信フラグ23bをオンして(S62)、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aに記憶されていることを示して、この処理を終了する。
図13は、表示用制御基板Dのメイン処理の中で実行される変動表示処理のフローチャートである。変動表示処理では、主制御基板Cから受信した制御用コマンドに基づいて、変動表示の制御が行われる。
まず、コマンド受信フラグ23bがオンされているか否かを確認する(S71)。コマンド受信フラグ23bがオンされていれば(S71:Yes)、何らかの制御用コマンドを受信しているので、そのコマンド受信フラグ23bをオフした後に(S72)、受信バッファ23aの上位バイトに記憶されているデータにより制御用コマンドの種類を確認する(S73)。
受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「C0H」または「C1H」であれば、その制御用コマンドは変動パターン指定コマンド31である。よって、かかる場合には(S73:変動パターン指定コマンド)、全ての停止図柄1〜9メモリ23c〜23kの内容を0クリアした後(S74)、図14に示す変動テーブルカウンタ更新処理(S75)および図15に示す変動開始処理(S76)を実行して、変動パターン指定コマンド31に応じた変動表示をLCDディスプレイ3上で開始する。なお、変動テーブルカウンタ更新処理(S75)および変動開始処理(S76)の詳細については後述する。
S73の処理において、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「90H〜92H」,「A0H〜A2H」または「B0H〜B2H」のいずれかであれば、その制御用コマンドは停止図柄指定コマンド32である。よって、かかる場合には(S73:停止図柄指定コマンド)、その停止図柄指定コマンド32の2バイト目のコマンドである図柄コード32bを対応する停止図柄1〜9メモリ23c〜23kへ書き込む(S77)。図5(a)(b)に示すように、例えば、受信バッファ23aに記憶される停止図柄指定コマンド32が「90H,14H」であれば、「90H」に対応する停止図柄1メモリ23cに、「14H(エビの図柄)」の図柄コード32bが書き込まれる。また、受信バッファ23aに記憶される停止図柄指定コマンド32が「B2H,21H」であれば、「B2H」に対応する停止図柄9メモリ23kに、「21H(貝の図柄)」の図柄コード32bが書き込まれる。
その後は、LCDディスプレイ3上で高速に変動されている変動中の図柄を、変動パターン指定コマンド31により指定された変動パターンとその変動パターンの進行状況とを考慮して、停止図柄1〜9メモリ23c〜23kに記憶される図柄コード32bの図柄で変動表示が終了するように、変動中の図柄の差し替えを行う(S78)。例えば、停止図柄1メモリ23cに「14H」が記憶されている場合には、図柄1の表示領域3a1の変動表示が「14H」の図柄コード32bである「エビ」の図柄で終了するように、図柄の差し替えが行われる。また、停止図柄9メモリ23kに「21H」が記憶されている場合には、図柄9の表示領域3c3の変動表示が「21H」の図柄コード32bである「貝」の図柄で終了するように、図柄の差し替えが行われる。
S73の処理において、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドの上位バイトが「80H」であれば、その制御用コマンドは図柄停止コマンド33である。よって、かかる場合には(S73:図柄停止コマンド)、その図柄停止コマンド33で指定された図柄番号32aの表示領域3a1〜3c3の図柄を確定し(S79)、その表示領域3a1〜3c3へ該当する図柄を停止表示する。
例えば、「80H,0AH」の図柄停止コマンド33が受信バッファ23aに記憶されていれば、9つすべての表示領域3a1〜3c3の図柄を一度に確定し、停止表示する。また、「80H,0CH」の図柄停止コマンド33が受信バッファ23aに記憶されていれば、中段の表示領域3bに表示される3つの図柄2,5,8を一度に確定し、停止表示する。
なお、変動表示の終了タイミングの到来前であっても、図柄停止コマンド33を受信した場合には、その図柄停止コマンド33により指示された表示領域3a1〜3c3の変動表示を即座に停止(確定)する。よって、図柄停止コマンド33を受信するタイミングで、変動表示を実際に終了させることができる。
S71の処理においてコマンド受信フラグ23bがオフされている場合や(S71:No)、S76,S78,S79の各処理の実行後は、変動表示の状況に応じて各処理を実行し(S80)、この変動表示処理を終了する。
図14は、表示用制御基板Dの変動表示処理の中で、変動パターン指定コマンド31を受信した場合に実行される変動テーブルカウンタ更新処理(S75)のフローチャートである。変動テーブルカウンタ更新処理は、変動表示が実行される毎に各1回実行される処理であり、この処理の中で、変動表示の実行回数を記憶する変動回数カウンタ23nの値が更新されると共に、その更新の結果、変動回数カウンタ23nの値が所定値以上(本実施例では、1000以上)に達した場合には、第1から第n変動パターンテーブル22b1〜22bnのうち、変動表示のパターン決定に使用される変動パターンテーブル22b1〜22bnを決定するための変動テーブルカウンタ23lの値が更新される。
まず、変動回数カウンタ23nの値を「1」加算して(S91)、変動表示の実行回数を更新する。更新の結果、変動回数カウンタ23nの値が1000以上となれば(S92:Yes)、変動回数カウンタ23nの値を0クリアした後に(S93)、変動テーブルカウンタ23lの値を「1」加算する(S94)。加算後の変動テーブルカウンタ23lの値がn以上となれば(S95:Yes)、その変動テーブルカウンタ23lの値をリセットするべく0クリアする(S96)。一方、加算後の変動テーブルカウンタ23lの値がn以上でなければ(S95:No)、そのまま、この変動テーブルカウンタ更新処理を終了する。なお、S91の処理で更新した変動回数カウンタ23nの値が1000以上でなければ(S92:No)、S93〜S96の各処理をスキップして、この変動テーブルカウンタ更新処理を終了する。
図15は、表示用制御基板Dの変動表示処理の中で、変動パターン指定コマンド31を受信した場合に実行される変動開始処理(S76)のフローチャートである。この変動開始処理では、変動テーブルカウンタ23lの値に基づいて、変動パターンテーブル22b1〜22bnが決定され、その決定された変動パターンテーブル22b1〜22bnに記憶される変動パターンを示すデータに基づいて、変動パターン指定コマンド31で指示されるパターンの変動表示が開始される。
まず、第1から第n変動パターンテーブル22b1〜22bnのうち、変動テーブルカウンタ23lの値が示す変動パターンテーブル22b1〜22bnの先頭アドレスを、変動テーブルアドレスメモリ23mに書き込み(S101)、変動パターン指定コマンド31の2バイト目のデータを記憶するコマンド受信バッファ23bの2バイト目のデータから「10H」を減算する(S102)。そして、その減算した値番目のデータを、変動テーブルアドレスメモリ23mに記憶されるアドレス値から読み出す(S103)。この読み出したデータが変動表示のパターンを示すデータとなる。
次に、変動パターン指定コマンド31の1バイト目のデータを記憶するコマンド受信バッファ23bの1バイト目のデータをチェックし(S104)、そのデータが「C0H」であれば(S104:Yes)、S103で読み出したデータが示すパターンの変動表示を通常モードで開始する(S105)。一方、変動パターン指定コマンド31の1バイト目のデータが「C1H」であれば(S104:No)、S103で読み出したデータが示すパターンの変動表示を短縮モードで開始するのである(S106)。
このように変動表示が1000回実行される毎に、変動テーブルカウンタ23lの値が1ずつ更新され、その更新の結果、変動表示のパターン決定に使用される変動パターンテーブル22b1〜22bnが1ずつ更新される。よって、主制御基板Cでの変動パターンの決定処理を変更することなく、変動表示の実行回数に応じて、異なったパターンの変動表示を行わせることができる。即ち、同一の変動パターン指定コマンド31であっても、変動表示の実行回数の違いによって、異なったパターンの変動表示を現出させることができる。また、数の大きい変動パターンテーブル22b1〜22bnに記憶されるパターンの変動表示ほど、遊技を継続しないと現出しないので、かかる希な変動表示を見ようとする遊技者の遊技意欲を向上させることができるのである。
次に、図16及び図17のタイミングチャートを参照して、上述の説明に基づく変動表示のタイミングについて説明する。まず、図16を参照して、9つ全ての図柄を一度に停止表示(確定)させる場合のタイミングについて説明する。主制御基板Cから表示用制御基板Dへ変動パターン指定コマンド31が送信されると、図柄1(3a1)〜図柄9(3c3)の全ての図柄について、先の変動開始処理(S76)で決定されたパターンの変動表示が開始される。この変動パターン指定コマンド31に続いて、高速変動の最中に、停止図柄指定コマンド32が9つの表示領域3a1〜3c3に対して順に送信される。停止図柄指定コマンド32が表示用制御基板Dによって受信されると、その停止図柄指定コマンド32により指定される停止図柄に合わせて、高速変動中に図柄の差し替えが行われる。
その後、変動パターン指定コマンド31で指定された変動パターンで、表示用制御基板Dによって変動表示が継続され、変動表示の終了タイミングで、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ、9つの全図柄を一度に停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33(80H,0AH(図7参照))が送信される。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dにより受信されると、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。変動表示の終了後は、所定時間の経過により、各表示領域3a1〜3c3に停止表示されている停止図柄指定コマンド32で指定した停止図柄の表示が別の表示に切り替えられる。
なお、変動表示の終了タイミングが到来する前に、表示用制御基板Dが図柄停止コマンド33を受信した場合には、変動パターン指定コマンド31で指定された変動表示の終了タイミングが到来していなくても、停止図柄指定コマンド32により指定された停止図柄を、指定された表示領域3a1〜3c3へ、即座に、停止表示する。かかる制御により、図柄停止コマンド33の送信(受信)タイミングに合わせて、変動表示を終了させることができるのである。
次に、図17のタイミングチャートを参照して、上段、下段、中段の順に、9つの図柄を3図柄ずつ停止表示(確定)させる場合のタイミングについて説明する。停止図柄指定コマンド32の送信までは、図16のタイミングと同様に行われ、高速変動中に図柄の差し替えが行われる。
変動表示終了のタイミングで、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ、まず、上段の表示領域3aに表示される図柄を停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33が送信される(80H,0BH(図7参照))。この図柄停止コマンド33が表示用制御基板Dにより受信されると、上段の図柄1,4,7が停止表示(確定)する(図3参照)。次に、下段の表示領域3cに表示される図柄を停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33が送信され(80H,0DH(図7参照))、下段の図柄3,6,9が停止表示(確定)する(図3参照)。更に、中段の表示領域3bに表示される図柄を停止表示(確定)させる図柄停止コマンド33が送信され(80H,0CH(図7参照))、中段の図柄2,5,8が確定する(図3参照)。以上3つの図柄停止コマンド33により、変動パターン指定コマンド31によって開始された一連の変動表示が終了する。
このように図柄のスクロール方向に合わせて、上段、下段、中段の順に図柄を停止表示(確定)させることにより、制御によって表示上に表される仮想図柄リール41〜43を、実際の図柄リールのように表現することができる。なお、図柄のスクロール方向が縦方向の場合には、図柄の停止表示(確定)は、例えば、左、右、中の順に行われる。
以上説明したように、本実施例のパチンコ機Pによれば、変動表示のパターンは、変動表示の実行回数に応じて変更される。即ち、主制御基板Cから同一の変動パターン指定コマンド31が送信された場合にも、変動表示の実行回数に応じて、変動表示のパターンは異なったパターンとなる。よって、変動表示が数多く実行された後でなければ現出されないパターンの変動表示を設ければ、遊技者は、かかるパターンの変動表示を現出させるために遊技を継続せざるを得ず、その結果、遊技者の遊技意欲を向上させることができるのである。
次に、図18を参照して、第2実施例の変動テーブルカウンタ更新処理について説明する。前記した第1実施例の変動テーブルカウンタ更新処理(S75)は、変動表示の実行回数に応じて、変動表示のパターン決定に使用される変動パターンテーブル22b1〜22bnを決定するための変動テーブルカウンタ23lの値が更新されたが、第2実施例の変動テーブルカウンタ更新処理は、1秒ごとに発生するインターバル割込処理によって実行され、その実行毎にカウントアップされる動作時間タイマの値に応じて、即ちパチンコ機Pの動作時間に応じて、変動テーブルカウンタ23lの値が更新される。なお、前記した第1実施例と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。また、図13に示す変動表示処理では、S75の変動テーブルカウンタ更新処理は無い。
第2実施例の変動テーブルカウンタ更新処理では、まず、動作時間タイマの値を「1」加算し(S111)、加算後の動作時間タイマの値を「3600」で除算する(S112)。この変動テーブルカウンタ更新処理は、1秒ごとに実行されるので、1ずつカウントアップされる動作時間タイマの値を「3600」で除算した商は、パチンコ機Pの動作時間を示している。
S112の除算の結果、商が「1以上」でなければ(「0」であれば)(S113:No)、変動テーブルカウンタ23lの値を「0」とし(S114)、また、商が「1以上」であり(S113:Yes)かつ「2以上」でなければ(「1」であれば)(S115:No)、変動テーブルカウンタ23lの値を「1」とする(S114)。・・・更に、商が「n以上」でなければ(「n−1」であれば)(S117:No)、変動テーブルカウンタ23lの値を「n−1」とし(S118)、商が「n以上」であれば(S117:Yes)、動作時間タイマの値を0クリアする(S119)。
このように第2実施例の変動テーブルカウンタ更新処理では、1秒ごとにカウントアップされる動作時間タイマを使って、1時間毎に変動テーブルカウンタ23lの値を1ずつ更新するので、1時間毎に、変動表示のパターン決定に使用される変動パターンテーブル22b1〜22bnを変更することができる。よって、同一の変動パターン指定コマンド31を受信した場合であっても、1時間毎に異なったパターンの変動表示を行わせることができるのである。
なお、動作時間タイマの「1」加算は、必ずしもパチンコ機Pが電源オンの間中行う必要はなく、例えば、遊技者により遊技が行われている場合に限り、かかる動作時間タイマの「1」加算を行うようにしても良い。かかる構成によれば、遊技者による遊技の継続意欲を一層向上させることができる。
遊技者により遊技が行われているか否かの判断は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドによって判断することができる。例えば、大当たり中あることを示す制御用コマンドや、変動表示の実行を示す変動パターン指定コマンド31を受信した場合には、その制御用コマンドの受信から所定時間(例えば10分)は遊技が継続されていると判断するのである。なお、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに代えて、遊技球の発射モータが駆動されているか否かや、球がアウト口を定期的に通過しているか否かなどにより、遊技が継続されているか否かを判断するようにしても良い。この場合には、遊技球の発射モータの駆動信号または球のアウト口の通過信号を、表示用制御基板Dへ出力する。
次に、図19を参照して、第3実施例の変動テーブルカウンタ更新処理について説明する。第3実施例の変動テーブルカウンタ更新処理は、表示用制御基板Dのメイン処理の中で定期的に実行される処理であり、リアル・タイム・クロック(以下、「RTC」と略す)で計時される時刻に応じて、変動テーブルカウンタ23lの値を更新している。なお、RTCは、MPU21、プログラムROM22及びワークRAM23と共にバスラインに接続されている。また、前記した第1実施例と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。また、第2実施例の場合と同様に、図13に示す変動表示処理では、S75の変動テーブルカウンタ更新処理は無い。
第3実施例の変動テーブルカウンタ更新処理では、まず、RTCの値を読み出し(S121)、読み出した値が「aa時〜bb時」を示していれば(S122:Yes)、変動テーブルカウンタ23lの値を「0」とし(S123)、「bb時〜cc時」を示していれば(S124:Yes)、変動テーブルカウンタ23lの値を「1」とし(S125)、・・・、「mm時〜nn時」を示していれば(S126:Yes)、変動テーブルカウンタ23lの値を「n−2」とし(S127)、「mm時〜nn時」でもなければ(S126:No)、変動テーブルカウンタ23lの値を「n−1」とする(S128)。
このように、第3実施例の変動テーブルカウンタ更新処理では、RTCで計時される時刻に応じて、変動表示のパターン決定に使用される変動パターンテーブル22b1〜22bnを変更することができるので、時間帯に応じて、現出される変動表示のパターンを変更することができるのである。即ち、比較的い女性客の多い昼間の時間帯には、女性が好むパターンの変動表示を多く現出させ、逆に、男性客が圧倒的に多い時間帯には、男性が好むパターンの変動表示を多く現出させるのである。これにより、1台のパチンコ機Pで状況に応じた様々な変動表示を実現することが可能となる。
なお、請求項1記載の動的表示としては、LCDディスプレイ3で実行される変動表示が該当する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1実施例では、変動回数カウンタ23nの値はバックアップされないので、パチンコ機Pの電源の投入毎に0からカウントされた。同様に、第2実施例の動作時間タイマも、パチンコ機Pの電源の投入毎に0からカウントされた。しかし、これに代えて、変動回数カウンタ23nや動作時間タイマの値をバックアップして、これらをパチンコ機Pの電源のオフにも拘わらず、継続的にカウントするように構成しても良い。このように構成すれば、第1から第n変動パターンテーブル22b1〜22bnに記憶されるパターンの変動表示を満遍なく現出させることができる。
一方、変動回数カウンタ23nや動作時間タイマの値をバックアップする場合に、変動回数カウンタ23nや動作時間タイマの値により更新される変動テーブルカウンタ23lの更新期間を大きくすることにより、例えば、第1実施例では変動回数カウンタ23nの値が1,000以上になった場合に、変動テーブルカウンタ23lの値が1ずつ更新されたが、これを、変動回数カウンタ23nの値が1,000,000以上になった場合に、変動テーブルカウンタ23lの値を1ずつ更新するようにする。このように、変動テーブルカウンタ23lの更新期間を大きくすることにより、同一の機種であっても、使用期間に応じて、変動表示のパターンの異なるパチンコ機Pとすることができるのである。即ち、変動表示のパターンを、パチンコ機Pの使用期間に応じて変化させていくことができるので、ある意味、パチンコ機Pの変動表示のパターンを、使用により進化させることができるのである。従って、長期間使用された場合にも、飽きの来ない長続きするパチンコ機Pを提供することができる。
また、変動テーブルカウンタ23lの値は、第1実施例では変動表示の実行回数により、第2実施例ではパチンコ機Pの動作時間により、第3実施例ではRTCにより計時される時刻により、それぞれ更新された。しかし、これらに代えて、例えば、表示用制御基板Dが主制御基板Cから受信する制御用コマンドの受信数に応じて(または、特定の制御用コマンドの受信数に応じて)、変動テーブルカウンタ23lの値を更新するようにしても良い。
更に、上記各実施例では、第1から第nまでの変動パターンテーブル22b1〜22bnを設け、使用する変動パターンテーブル22bを、第1から第2、第2から第3、・・・、第n−1から第nと徐々に更新していったが、これに代えて、変動パターンテーブル22bを、第1及び第n変動パターンテーブル22b1,22bnの2つとし、第1変動パターンテーブル22b1を通常の変動パターンテーブル22bとして用い、第n変動パターンテーブル22bnを特殊な変動パターンテーブル22bとして用いるようにしても良い。具体的には、通常の変動表示は、通常の第1変動パターンテーブル22b1に記憶される変動表示のパターンに基づいて行い、所定条件が成立した場合の変動表示を、特殊な第n変動パターンテーブル22bnに基づいて行うのである。そして、所定の戻し条件が成立した場合に、使用する変動パターンテーブル22bを、特殊な第n変動パターンテーブル22bnから通常の第1変動パターンテーブル22b1に戻すのである。
ここで、通常の第1変動パターンテーブル22b1から特殊な第n変動パターンテーブル22bnに切り替える所定条件としては、変動表示の実行回数や、パチンコ機Pの動作時間、RTCで計時される時刻、更には、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドのコマンド数などが例示される。例えば、変動表示の実行回数が1000回となった場合に、変動パターンテーブル22bを通常の第1変動パターンテーブル22b1から特殊な第n変動パターンテーブル22bnに切り替えるのである。
また、使用する変動パターンテーブル22bを、特殊な第n変動パターンテーブル22bnから通常の第1変動パターンテーブル22b1に戻すための所定の戻し条件としては、テーブル切替後の変動表示の実行回数や切替後の経過時間などの遊技状態に無関係なもの等が例示される。例えば、使用する変動パターンテーブル22bを特殊な第n変動パターンテーブル22bnに切り替えた後、変動表示を1回実行した場合に、通常の第1変動パターンテーブル22b1に戻すようにしても良い。このように構成すれば、1000回に1回の確率で特殊な変動表示が実行されることになり、遊技者に意外性を与える変動表示を現出させることができる。しかも、かかる特殊な変動表示の演出は、28種類ある変動パターンの演出の1つなので、すべての特殊な変動表示の演出が現出し尽きるまでには極めて長時間遊技を継続しなければならず、故に、遊技者に意外性を与える変動表示を行うことができるのである。
上記各実施例では、いずれも表示用制御基板Dで行われたが、かかる制御を表示用制御基板D以外の他の制御基板で行うようにしても良い。例えば、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの間に、制御基板を設け、その制御基板でかかる制御を行うように構成しても良い。或いは、主制御基板C自体で、かかる制御を行うように構成しても良い。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記表示用制御手段は、前記動的表示の実行回数をカウントするカウント手段を備えており、そのカウント手段によりカウントされた前記動的表示の実行回数に応じて、その動的表示のパターンを変更するものであることを特徴とする遊技機1。動的表示の実行回数に応じて、その動的表示のパターンを変更しているので、例えば、所定の動的表示については、動的表示が相当回数実行された後に限って現出させることができる。よって、極めて希な動的表示を、動的表示が相当回数実行された場合に限り現出させるように構成すれば、かかる希な動的表示の現出を望む遊技者の遊技の継続意欲を向上させることができる。
遊技機1において、前記カウント手段がカウントした前記動的表示の実行回数を電源断後も保持するバックアップ手段を備えており、前記カウント手段は、そのバックアップ手段により保持(バックアップ)されたカウント値に、電源再投入後の前記動的表示の実行回数を加算してカウントするものであることを特徴とする遊技機2。動的表示の実行回数のカウント値を遊技機の電源が断された場合にも保持しておき、電源再投入後に、その保持しておいたカウント値に加算する形式で、動的表示の実行回数をカウントする。よって、使用開始直後の遊技機と、使用後相当の期間が経過した遊技機とでは、同一機種の遊技機であっても、動的表示の実行回数は異なるので、動的表示のパターンを異なったものとすることができる。即ち、遊技機を使用すればするほど、その遊技機の動的表示のパターンを進化させることができるので、遊技機の斬新性を保つことができるのである。なお、バックアップ手段としては、EEPROMやフラッシュメモリ、或いは、バックアップ電圧が供給された不揮発性のRAM(例えばスタティックRAM)などが例示される。
請求項1記載の遊技機において、前記表示用制御手段は、前記遊技機の動作時間を計時する動作時間計時手段を備えており、その動作時間計時手段により計時された動作時間に応じて、前記動的表示のパターンを変更するものであることを特徴とする遊技機3。遊技機の動作時間に応じて、その動的表示のパターンを変更しているので、例えば、所定の動的表示については、遊技機が相当時間動作された場合に限って現出させることができる。よって、極めて希な動的表示を、遊技機が相当時間動作された場合に限り現出させるように構成すれば、かかる希な動的表示の現出を望む遊技者の遊技の継続意欲を向上させることができる。なお、遊技機の動作時間としては、遊技機の電源投入後からの時間や、遊技機の電源投入後からの遊技機の実際の使用時間、或いは、遊技機の連続使用時間などが例示される。
遊技機3において、前記動作時間計時手段が計時した遊技機の動作時間を電源断後も保持するバックアップ手段を備えており、前記動作時間計時手段は、そのバックアップ手段により保持(バックアップ)された遊技機の動作時間に、電源再投入後の遊技機の動作時間を加算して、遊技機の動作時間を計時するものであることを特徴とする遊技機4。遊技機の動作時間を遊技機の電源が断された場合にも保持しておき、電源再投入後に、その保持しておいた遊技機の動作時間に加算する形式で遊技機の動作時間を計時する。よって、使用開始直後の遊技機と、使用後相当の期間が経過した遊技機とでは、同一機種の遊技機であっても、遊技機の動作時間が異なるので、動的表示のパターンを異なったものとすることができる。即ち、遊技機を使用すればするほど、その遊技機の動的表示のパターンを進化させることができるので、遊技機の斬新性を保つことができるのである。なお、バックアップ手段としては、EEPROMやフラッシュメモリ、或いは、バックアップ電圧が供給された不揮発性のRAM(例えばスタティックRAM)などが例示される。
請求項1記載の遊技機において、前記表示用制御手段は、時刻の計時を行う時刻計時手段を備えており、その時刻計時手段が計時する時刻に応じて前記動的表示のパターンを変更するものであることを特徴とする遊技機5。動的表示のパターンを時刻(時間帯)に応じて変更しているので、時間帯にマッチした動的表示を実現することができる。一般に、遊技者の客層は時間帯に応じてほぼ定まっている。よって、時間帯に合わせてその客層の好む動的表示を現出することにより、遊技者の興趣を一層向上させることができるのである。また、特殊なパターンの動的表示を早い時間帯で行えば、その特殊パターンの動的表示の現出を求める遊技客の早い入場を期待でき、遅い時間帯で行えば遅い時間帯での集客を期待できる。
請求項1記載の遊技機において、前記表示用制御手段は、前記主制御手段から送信される制御用コマンドのうち、所定のコマンドの受信回数をカウントするカウント手段を備えており、そのカウント手段のカウント値に応じて前記動的表示のパターンを変更するものであることを特徴とする遊技機6。なお、カウント手段のカウント値を遊技機の電源断後も保持して、遊技機の電源再投入後には、その保持したカウント値に新たなカウント値を加算するようにしてカウントしても良い。また、カウント手段は、前記主制御手段から送信される制御用コマンドの総数をカウントするものであっても良い。即ち、かかる場合には「前記主制御手段から送信される制御用コマンドのうち、所定のコマンド」とは、すべての制御用コマンドをいうのである。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記表示用制御手段は、前記動的表示のパターンを記憶する2以上のパターン記憶手段を備えており、その2以上のパターン記憶手段の選択状態を所定条件下で変更することにより、前記動的表示のパターンを変更するものであることを特徴とする遊技機7。かかる構成により、主制御手段から送信される同一の制御用コマンドに基づいて実行される動的表示のパターンを異なったものとすることができる。即ち、表示用制御手段によって動的表示のパターンを変更するので、主制御手段の制御をそのままにして、所定のパターンの動的表示の現出確率を所定条件下で変更することができる(場合によっては、所定のパターンの動的表示の現出確率を0%或いは100%とすることもできる)。よって、主制御手段を変更することなく、状況に適したパターンの動的表示を現出させることができるのである。なお、パターン記憶手段としては、動的表示のパターンを記憶した2以上の変動パターンテーブルが例示される。
遊技機7において、前記表示用制御手段は、所定条件下で変更された前記パターン記憶手段の選択状態を、所定の戻し条件が成立した場合に元の選択状態に戻すことを特徴とする遊技機8。変更された選択状態は所定の戻し条件が成立することにより戻されるので、特殊な動的表示のパターンは希にしか現出しない。よって、かかる希な動的表示の現出により、遊技者に意外性を与えて、遊技の継続意欲を高めることができるのである。なお、所定の戻し条件としては、特殊な動的表示の実行回数や、特殊な動的表示の開始からの経過時間など、遊技状態と無関係な条件が例示される。例えば、特殊な動的表示が1回実行されることにより、パターン記憶手段の選択状態を元の状態に戻せば、特殊な動的表示の現出は極めて希となるので、その分、遊技者に与える意外性を高めて遊技の継続意欲を向上させることができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、変更された動的表示は大当たりが発生する場合に使用されるものであることを特徴とする遊技機9。変更された動的表示(即ち、特殊な動的表示)は、大当たりが発生する場合に使用されるものなので、現出頻度が極めて低くなる。よって、かかる特殊な動的表示の演出を見ようとする遊技者の遊技意欲を一層高めることができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から9のいずれかにおいて、変更された動的表示は大当たりが発生しない場合に使用されるものであることを特徴とする遊技機10。変更された動的表示(即ち、特殊な動的表示)は、大当たりが発生しない場合に使用されるものなので、元々の現出頻度が大きく、故に、特殊な動的表示であっても、比較的多く現出させることができる。よって、かかる特殊な動的表示の遊技者に見せて、遊技者の意外性を誘うことができる。なお、遊技機9と遊技機10との構成を共に備えることにより、遊技者の遊技意欲を一層向上させる遊技機とすることができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から10のいずれかにおいて、変更された動的表示は、変更されない動的表示の逆の演出を行うものを含んでいることを特徴とする遊技機11。変更された動的表示(即ち、特殊な動的表示)は、変更されない動的表示(即ち、通常の動的表示)の逆の演出を行うものなので、通常の動的表示を予測する遊技者に大きな意外性を与えることができる。逆の演出としては、例えば、通常の大当たり時には大喜びするキャラクターが悔しがったり、通常のハズレ時にはがっかりするキャラクターがあざ笑ったりする演出がある。また、通常は女の子の演出であるはずのものが、男の子やお祖父さん、占い師や魔術師などにより行われるものがある。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から11のいずれかにおいて、前記主制御手段から送信されるコマンドであって、前記表示用制御手段により識別情報の動的表示を行わせる制御用コマンドは、その動的表示の一連のパターンを指定するパターン指定コマンドが含まれていることを特徴とする遊技機12。主制御手段から表示用制御手段へ、動的表示の一連のパターンが一度に指示されるので、表示用制御手段では、その動的表示のパターンの変更処理を一度に行うことができ、スムースな制御を実現することができる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機13。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機14。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機15。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。