以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)3が設けられている。このLCD3の表示画面は縦方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ上から下へ上下方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
LCD3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられており、球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCD3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
図2は、かかるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。図9から図12に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM22内に記憶されている。
RAM23は、左図柄メモリ23aと、中図柄メモリ23bと、右図柄メモリ23cと、アドレスメモリ23dと、比較回数カウンタ23eと、検索オフセット値メモリ23fと、テーブル開始オフセット値メモリ23gと、停止図柄パターンメモリ23hと、バックアップエリア23iとを備えている。また、RAM23には、パチンコ機Pの電源のオフ後においても、電源基板50からバックアップ電圧が供給されており、データを保持(バックアップ)できるように構成されている。
左図柄メモリ23aは、変動表示の結果、LCD3の左の表示領域に停止表示される左図柄の停止パターンを記憶するためのメモリである。同様に、中図柄メモリ23bは、変動表示の結果、LCD3の中央の表示領域に停止表示される中図柄の停止パターンを記憶するためのメモリであり、右図柄メモリ23cは、変動表示の結果、LCD3の右の表示領域に停止表示される右図柄の停止パターンを記憶するためのメモリである。各図柄メモリ23a〜23cの値は、大当たりを決定するための乱数カウンタや、リーチの発生の有無とリーチが発生する場合にはそのリーチの種類とを決定するためのリーチカウンタや、更には、変動表示の結果として停止表示される図柄を決定するための図柄カウンタの各値によって変動表示毎に決定され、その決定された値がそれぞれ対応する図柄メモリ23a〜23cへ書き込まれる。
ここで、図3及び図4を参照して、各図柄メモリ23a〜23cの値と、LCD3に停止表示される図柄パターンとの関係を説明する。図3は、左・中・右の縦方向に3分割された各表示領域においてそれぞれ縦方向に変動表示される各仮想図柄リール3a〜3cの構成を模式的に示した図であり、図4は、各図柄メモリ23a〜23cの値と、その値に対応してLCD3に停止表示される図柄パターンとの関係を示した図である。
図3(a)に示すように、左の仮想図柄リール3aには、20の図柄が「羽根」,「猫吉」,「羽根」,・・・,「十」の順に配列されている。最終の「十」の図柄の次は先頭の図柄に戻って「羽根」,「猫吉」,「羽根」,・・・の順に各図柄が配列される。同様に、図3(b)及び(c)に示すように、中及び右の仮想図柄リール3b,3cには、左の仮想図柄リール3aの配列と全く逆の配列で、20の図柄が「羽根」,「十」,「羽根」,・・・,「猫吉」の順に配列されている。最終の「猫吉」の図柄の次は先頭の図柄に戻って「羽根」,「十」,「羽根」,・・・の順に各図柄が配列される。左・中・右の各仮想図柄リール3a〜3cは、かかる図柄の配列順に、LCD3の各表示領域においてそれぞれ上下方向に変動表示される。
各図柄メモリ23a〜23cの値は、左・中・右の各表示領域の下段に表示される図柄をそれぞれ基準にして表される。図4に示すように、例えば、左図柄メモリ23aの値が「0」の場合には、LCD3の左の表示領域には、下段に表示される「十」の図柄を基準に、上から順に「犬吉」,「羽根」,「十」の図柄パターンが停止表示される。同様に、右図柄メモリ23cの値が「0」の場合には、下段に表示される「猫吉」の図柄を基準に、上から順に「二」,「羽根」,「猫吉」の図柄パターンが停止表示される。
図2のRAM23のアドレスメモリ23dは、図6から図8に示す各テーブルの先頭アドレスや、その先頭アドレスに所定のオフセット値が加算された値を記憶するメモリである。このアドレスメモリ23dに記憶されるアドレス値を用いて、停止図柄のパターンを決定するために必要な各種のデータが読み出される。
比較回数カウンタ23eは、左図柄の停止パターンに対して、リーチ状態となる右図柄の停止パターンの比較回数を記憶するためのカウンタである。図6に示す図柄チェック用オフセットテーブル41には、左図柄の各停止パターンに対応したリーチ状態の比較回数が記憶されており、この比較回数の値が左図柄メモリ23aに記憶される左図柄の停止パターンに応じて比較回数メモリ23eへ書き込まれる。本実施例では、はずれ図柄である「羽根」の図柄を除いた各図柄が、それぞれ一直線上に3図柄揃って停止表示された場合に特別遊技状態を発生させる大当たりとなる。変動表示は、左、右、中の順に停止するので、大当たりを発生し得るリーチ状態の判定は、左図柄の停止パターンと右図柄の停止パターンとを比較して行われる。
具体的には、図5(a)に示すように、左下の表示領域3a1に「羽根」以外の当たり図柄が停止表示された場合には、3本の当たりライン31〜33で大当たりが発生し得るので、この場合のリーチ状態の比較回数は「3」となる。なお、点線で示した当たりライン34でも、リーチ状態となり得るが、本実施例では左右の仮想図柄リール3a,3cは図柄が逆順に配列されているので、当たりライン33でリーチ状態となる場合には、当たりライン34においても確実にリーチ状態となる。よって、リーチ状態の発生の有無を判定する比較回数は3回となる。一方、図5(b)に示すように、左下の表示領域3a1に、はずれ図柄である「羽根」の図柄が停止表示された場合には、左上の表示領域3a3にも、はずれ図柄である「羽根」の図柄が停止表示される。よって、この場合には、中段の表示領域に横方向に1本形成される当たりライン35においてのみ大当たりが発生し得るので、この場合のリーチ状態の比較回数は「1」となる。なお、本実施例では、各仮想図柄リール3a〜3cを縦方向にスクロールして変動表示を行うので、縦ラインで大当たりやリーチ状態が発生することはあり得ない。
図2の検索オフセット値メモリ23fは、図6の図柄チェック用オフセットテーブル41に記憶される第1検索オフセット値、及び図7の図柄チェック用データテーブル42に記憶される第2検索オフセット値を、一時的に記憶するためのメモリである。第1検索オフセット値は、左図柄の停止パターンに応じて、即ち左図柄メモリ23aの値に応じて、図柄チェック用オフセットテーブル41から読み出され、一時的に検索オフセット値メモリ23fへ記憶される。また、第2検索オフセット値は、第1検索オフセット値を読み出した左図柄の停止パターンと共にリーチ状態を発生する右図柄の停止パターンに応じて、即ち右図柄メモリ23cの値に応じて、図柄チェック用データテーブル42から読み出され、一時的に検索オフセット値メモリ23fへ記憶される。
テーブル開始オフセット値メモリ23gは、図7の図柄チェック用データテーブル42に記憶されるテーブル開始オフセット値を、一時的に記憶するためのメモリである。テーブル開始オフセット値は、第1検索オフセット値を読み出した左図柄の停止パターンと共にリーチ状態を発生する右図柄の停止パターンに応じて、即ち右図柄メモリ23cの値に応じて、図柄チェック用データテーブル42から読み出され、テーブル開始オフセット値メモリ23gへ記憶される。このテーブル開始オフセット値メモリ23gに記憶される値を、中図柄メモリ23bの値から減算した結果に基づいて、図8の停止図柄パターンテーブル43に記憶される停止図柄のパターンのデータが読み出され、停止図柄のパターンが判定される。
停止図柄パターンメモリ23hは、前述したテーブル開始オフセット値メモリ23gおよび中図柄メモリ23bなどの値に基づいて、図8の停止図柄パターンテーブル43から読み出した停止図柄のパターンを記憶するためのメモリである。本実施例における停止図柄のパターンは、「0」〜「13」の14種類のデータによって表される。なお、14種類の各データの意味については、停止図柄パターンテーブル43(図8)の説明と共に後述する。
バックアップエリア23iは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機Pの状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア23iへの書き込みは、NMI割込処理(図9参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア23iに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の初期化処理(図12参照)において実行される。なお、MPU21のNMI(Non Maskable Interrupt)端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路50bから出力される停電信号51が入力されるように構成されており、停電の発生により、図9の停電時処理(NMI割込処理)が即座に実行される。
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21は入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、電源基板50に設けられたクリアスイッチ50cと、払出用モータ26によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前述した図柄の変動表示の制御を行う表示用制御基板Dと、スピーカ27から効果音の出力制御を行う効果音制御基板Sと、LEDや各種ランプ28の点灯制御を行うランプ制御基板Lと、そのほか、他の入出力装置29とにそれぞれ接続されている。
電源基板50は、パチンコ機Pの各部に電力を供給するための電源部50aと、停電監視回路50bと、クリアスイッチ50cとを備えている。停電監視回路50bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU21のNMI端子へ停電信号51を出力するための回路である。停電監視回路50bは、電源部50aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号51を主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力するように構成されている。この停電信号51の出力によって、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電の発生を認識し、停電時処理(主制御基板Cの場合は図9のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部50aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
クリアスイッチ50cは、主制御基板CのRAM23および払出制御基板HのRAM(図示せず)にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ50cが押下された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御基板Cおよび払出制御基板Hによって、それぞれのRAM23のデータがクリアされる。
次に、図6から図8を参照して、停止図柄パターンの判定に使用される各テーブル41〜43について説明する。図6は、図柄チェック用オフセットテーブル41の構成を模式的に示した図である。図柄チェック用オフセットテーブル41は、リーチ状態の比較回数と、図7の図柄チェック用データテーブル42を参照するための第1検索オフセット値との2バイトを、左図柄の停止パターン毎にそれぞれ記憶したテーブルである。図4に示すように、左図柄の停止パターンは下段3a1(図5参照)に停止表示される図柄を基準として20パターンあるので、20パターン×2バイトの合計40バイトのデータで構成される。図柄チェック用オフセットテーブル41の各値は、左図柄メモリ23aの値に基づいて、2バイトずつ読み出されて使用される。
図7は、図柄チェック用データテーブル42の構成を模式的に示した図である。図柄チェック用データテーブル42は、リーチ状態を判定するための右図柄コード比較値と、図8の停止図柄パターンテーブル43を参照するための第2検索オフセット値と、その停止図柄パターンテーブル43の参照値を決定するためのテーブル開始オフセット値との各3バイトを、リーチ状態の比較パターン毎にそれぞれ記憶したテーブルである。前述した通りリーチ状態の比較パターンは、左下段3a1に当たり図柄が停止表示される場合(10通り)には各3パターンあり(図5(a)参照)、はずれ図柄が停止表示される場合(10通り)には各1パターンあるので(図5(b)参照)、3バイト×10通りの当たり図柄×3パターン+3バイト×10通りのはずれ図柄×1パターン=90+30の合計120バイトのデータで構成される。この図柄チェック用データテーブル42の各値は、図柄チェック用オフセットテーブル41から左図柄メモリ23aの値に基づいて読み出された第1検索オフセット値に基づいて、3バイト毎に読み出されて使用される。
図8は、停止図柄パターンテーブル43の構成を模式的に示した図である。本実施例における停止図柄のパターンは、「0」〜「13」の14種類のデータによって表されるが、停止図柄パターンテーブル43には、これらの停止図柄のパターンのうち、リーチ状態となる「1」〜「13」のデータが記憶される。
まず、停止図柄のパターンを示す「0」〜「13」の14種類のデータについて具体的に説明する。「0」は、リーチ無しのはずれパターンを示す。停止図柄パターンテーブル43にはリーチ状態となる停止図柄のパターンのみが記憶されるので、「0」のデータは停止図柄パターンテーブル43に無い。「1」は、横ラインリーチ状態の1図柄前でのはずれパターンを示す(図8では「横ライン1図柄前」と称す)。「2」は、横ラインリーチ状態の1図柄後でのはずれパターンを示す(「横ライン1図柄後」と称す)。「3」は、横ラインリーチ状態の2図柄以上前後してのはずれパターンを示す(「横ライン前後以外」と称す)。「4」は、斜めラインダブルリーチ状態の1図柄前でのはずれパターンを示す(「斜めライン1図柄前」と称す)。「5」は、斜めラインダブルリーチ状態の中間でのはずれパターン(1図柄前のはずれパターンと1図柄後のはずれパターンとが重なったはずれパターン)を示す(「斜めライン中間」と称す)。「6」は、斜めラインダブルリーチ状態の1図柄後でのはずれパターンを示す(「斜めライン1図柄後」と称す)。「7」は、斜めラインダブルリーチ状態の2図柄以上前後してのはずれパターンを示す(「斜めライン前後以外」と称す)。「8」は、非特定図柄での横ライン大当たりのパターンを示す(「横ライン大当たり(非特定図柄)」と称す)。「9」は、特定図柄での横ライン大当たりのパターンを示す(「横ライン大当たり(特定図柄)」と称す)。「10」は、非特定図柄での右上がりライン大当たりのパターンを示す(「右上がりライン大当たり(非特定図柄)」と称す)。「11」は、特定図柄での右上がりライン大当たりのパターンを示す(「右上がりライン大当たり(特定図柄)」と称す)。「12」は、非特定図柄での右下がりライン大当たりのパターンを示す(「右下がりライン大当たり(非特定図柄)」と称す)。「13」は、特定図柄での右下がりライン大当たりのパターンを示す(「右下がりライン大当たり(特定図柄)」と称す)。
なお、特定図柄とは、大当たりによる特別遊技状態の終了後に、通常時より大当たりの発生確率が高確率となる確率変動図柄をいい、本実施例では、当たり図柄のうち「犬吉」,「源さん」,「ダン」,「まとい」,「猫吉」の5図柄が該当する。一方、非特定図柄とは、大当たりによる特別遊技状態の終了後においても、大当たりの発生確率が通常時の確率と変化のない普通図柄をいい、本実施例では、当たり図柄のうち数字を示す「二」,「四」,「六」,「八」,「十」の5図柄が該当する。
本実施例では、このような停止図柄のパターンを有する状況下、停止図柄パターンテーブル43は、リーチ状態の態様に応じて4つに区分けされている。第1は、非特定図柄での横ラインリーチ状態であり、図7の図柄チェック用データテーブル42から読み出された第2検索オフセット値が「0」の場合に参照される。第2は、特定図柄での横ラインリーチ状態であり、図柄チェック用データテーブル42から読み出された第2検索オフセット値が「20」の場合に参照される。第3は、非特定図柄での右上がりラインリーチ状態であり、図柄チェック用データテーブル42から読み出された第2検索オフセット値が「40」の場合に参照される。第4は、特定図柄での右上がりラインリーチ状態であり、図柄チェック用データテーブル42から読み出された第2検索オフセット値が「60」の場合に参照される。
なお、本実施例の場合、変動表示は左図柄、右図柄、中図柄の順に停止し且つ左図柄と右図柄とが逆順に配列されているので、右上がりラインでリーチ状態となる場合には、右下がりラインでもリーチ状態となるダブルリーチ状態となっている。かかるダブルリーチ状態における停止図柄パターンテーブル43の区分けは、右上がりラインを基準に行っている。
上述する通り本実施例の停止図柄パターンテーブル43は、リーチ状態の態様に応じて4つに区分けされているが故に、80バイトの少量のデータで構成することができる。即ち、停止図柄のパターンを判定するために停止図柄パターンテーブル43が参照される場合には、既にリーチ状態の判定が確定しており、残る判定材料は中図柄の停止パターンである。中図柄は図3(b)に示すように20図柄あり、その中図柄の停止パターンは図4に示すように20通りあるので、4つに区分けした停止図柄パターンテーブル43は、それぞれ20バイトのデータ量で構成することができる。よって、停止図柄パターンテーブル43をリーチ状態の態様に応じて4つに区分けすることにより、その停止図柄パターンテーブル43を20×4の合計80バイトの少量のデータで構成することができる。
ここで、従来の停止図柄パターンテーブルとの構成を比較する。従来は、停止図柄パターンテーブルをリーチ状態の態様に応じて区分けすることなく構成していたので、リーチ状態の組み合わせ数と最終停止図柄の停止パターン数との積のデータ量を必要としていた。具体的に本実施例に当てはめてみると、本実施例のリーチ状態の組み合わせ数は左右図柄が一致する場合であるので、組み合わせ数は40通りある。即ち、左下段3a1の停止図柄を基準にし、左下段3a1に当たり図柄が停止した場合には3本の当たりライン31〜33でリーチ状態となり(図5(a)参照)、左下段3a1にはずれ図柄が停止した場合には1本の当たりライン35でリーチ状態となる(図5(b)参照)。当たり図柄およびはずれ図柄はそれぞれ10図柄ずつあるので、3パターン×10当たり図柄+1パターン×10はずれ図柄=40通りのリーチ状態となる。最終停止図柄の停止パターン数、即ち中図柄の停止パターンは20通りあるので、従来の停止図柄パターンテーブルのデータ量は、40×20で合計800バイトのデータ量を必要としていた。従って、本実施例によれば、従来の停止図柄パターンテーブルに比べてそのデータ量を10分の1にすることができるのである。
また、例えば、中図柄が1図柄増加して21図柄となり、その中図柄の停止パターンが21通りとなった場合においても、本実施例では、停止図柄パターンテーブル43のデータ量は、4つに区分けされたテーブルでそれぞれ1バイトずつ増加するだけなので、合計4バイトのデータ増加となる。これに対し、従来の停止図柄パターンテーブルでは、最終停止図柄の停止パターン数が1増加して21となると、リーチ状態の組み合わせ数である40×21で合計840バイトとなり、本実施例の10倍の40バイトのデータ量の増加となる。
パチンコ機Pの場合、主制御基板Cのプログラム容量は少容量に制限されている。かかる状況下、本実施例の停止図柄パターンテーブル43は、少容量に構成され、且つ、図柄が増加してもデータの増加量を少量にすることができるので、パチンコ機Pのプログラム作成の自由度を増大させてパチンコ機Pの開発を容易にすることができるのである。即ち、データ容量の制限されるパチンコ機Pにおいては、かかる停止図柄パターンテーブル43のデータ圧縮技術は極めて有為な効果を奏するものである。なお、当然のことながら、停止図柄パターンテーブル43を、4以外の態様に区分けしたり、或いはリーチ状態の態様以外の態様に応じて区分けするようにしても良いのである。
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図9から図12の各フローチャートを参照して説明する。図9は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア23iに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が断されると、停電監視回路50bから停電信号51が主制御基板CのMPU21のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。すると、MPU21は、実行中の制御を中断して、図9のNMI割込処理を開始する。停電信号51が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように電源基板50の電源部50aから電力供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、スタックポインタの値をバックアップエリア23iへ書き込み(S1)、更に、各レジスタおよびI/O等の値をバックアップエリア23iへ書き込んで(S2)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その後、その他停電処理を実行した後(S3)、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図10は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。メイン処理では、まず、割込を禁止した後(S11)、図11に示す初期化処理を実行する(S12)。ここで、図11のフローチャートを参照して、初期化処理について説明する。
図11は、パチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア23iに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ50cが押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、本来のスタック領域にスタックされているデータを壊さないために、仮のスタックポインタを設定する(S41)。クリアスイッチ50cがオンされているか否かを確認し(S42)、オンされていれば(S42:Yes)、処理をS44へ移行する。一方、クリアスイッチ50cがオンされていなければ(S42:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM23の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S43:Yes)、処理をS46へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、バックアップが有効でなければ(S43:No)、処理をS44へ移行する。
S44からの処理では、正規のスタックポインタを設定し、スタックの内容を整えた後(S44)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S45)、RAM23及びI/O等の各値を初期化し、この初期化処理を終了する。このS45の処理の終了後は、図10のS13の処理が実行される。
S46からの復帰処理では、バックアップエリア23iへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア23iから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S46)。更に、バックアップエリア23iからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S47)。同様に、割込状態についても、停電発生時に実行される図9の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S48)。その後、NMI割込リターンを実行して、処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。
図10のフローチャートに戻って説明する。S13の処理ではタイマ割込の設定を行う(S13)。ここで設定されるタイマ割込としては、LCD3の変動表示を制御する制御用コマンドを表示用制御基板Dへ送信するためのストローブ信号を発生させるタイマ割込などがある。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S14)。割込の許可後は、特別図柄変動処理(S25)や、表示データ作成処理(S27)、ランプ・情報処理(S28)などにより、前回の処理で更新された出力データを一度に各ポートへ出力するポート出力処理を実行する(S15)。
更に、大当たりを決定するための乱数カウンタの値などを「+1」更新する乱数更新処理(S16)を実行し、記憶タイマ減算処理を実行する(S17)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、LCD3において図柄の変動表示中である場合に、図柄の変動表示の時間短縮を行うものである。
スイッチ読込処理(S18)は、各スイッチの値を読み込んで、遊技領域へ打ち込まれた球の入賞口2や大入賞口5、図柄作動口4への入賞、更には賞球や貸球の払い出しを検出するための処理である。カウント異常監視処理(S19)は、S18のスイッチ読込処理によって読み込まれたスイッチデータに異常があるか否かを監視するための処理である。例えば、大入賞口5が開放されて、球のVゾーン5aへの入賞を検出するVカウントスイッチで球が検出されたにも拘わらず、Vゾーン5a以外の大入賞口5への入賞を検出する10カウントスイッチで1球の球も検出できない場合には、10カウントスイッチが抜き取られるなどして、10カウントスイッチに何らかの異常が発生している。また、賞球を払い出すための払出モータ26を駆動したにも拘わらず、1球の賞球も払い出されない場合には、賞球の払出装置に何らかの異常が発生している。このようにカウント異常監視処理(S19)では、スイッチ読込処理(S18)によって読み込まれたスイッチデータに基づいて、上記のような異常の有無を監視している。
図柄カウンタ更新処理(S20)では、LCD3で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S21)では、図柄カウンタ更新処理(S20)で更新されたカウンタの値に基づいて、特別図柄変動処理(S25)で使用される大当たり図柄や、はずれ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。停止図柄のパターンをチェックするための図12に示す停止図柄パターンチェック処理は、この図柄チェック処理(S21)の中で実行される。
S16からS21までの処理において、エラーが発生していなければ(S22:正常)、普通図柄変動処理(S23)によって、7セグメントLEDの変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、当たりが発生した場合には普通電動役物(図示せず)を所定時間開放する当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S24)、LCD3において図柄の変動開始または変動表示中であれば(S24:図柄変動中)、特別図柄変動処理(S25)によって、球が図柄作動口4を通過するタイミングで読み取った乱数カウンタの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、LCD3において図柄の変動処理を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S24:大当り中)、大入賞口5を開放するなどの大当たり処理(S26)を実行する。更に、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動中でも大当たり中でもなければ(S24:その他)、S25及びS26の処理をスキップして、S27の表示データ作成処理へ移行する。なお、S22の処理において、エラーが確認された場合には(S22:エラー)、S23〜S26の各処理をスキップして、S27の表示データ作成処理へ移行する。
表示データ作成処理(S27)では、図柄の変動表示以外にLCD3に表示されるデモデータや、7セグメントLEDの表示データなどが作成され、ランプ・情報処理(S28)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S29)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データ及び効果音データは、前記したポート出力処理(S15)やタイマ割込処理によって各装置へ出力される。
効果音処理(S29)の終了後は、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、S20と同一の処理である図柄カウンタ更新処理(S30)を繰り返し実行する。S15〜S29の各処理は定期的に実行する必要があるので、S31の処理において、前回のS15の処理の実行からの経過時間をチェックする(S31)。チェックの結果、前回のS15の処理の実行から所定時間経過していれば(S31:Yes)、処理をS15へ移行し、一方、所定時間経過していなければ(S31:No)、処理をS30へ移行して、図柄カウンタ更新処理(S30)の実行を繰り返す。ここで、S15〜S29の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して図柄カウンタ更新処理(S30)を繰り返し実行することにより、停止図柄をランダムに変更することができる。
図12は、図柄チェック処理(S21)の中で実行される停止図柄パターンチェック処理のフローチャートである。この停止図柄パターンチェック処理は、変動表示の結果、LCD3に停止表示される図柄のパターンを判定するための処理である。停止図柄のパターンは、停止図柄パターンチェック処理により「0」〜「13」の14種類のコードで表され、停止図柄パターンメモリ23hに書き込まれて出力される。なお、変動表示の結果、LCD3に停止表示される左図柄、中図柄、右図柄の各停止パターンを記憶する図柄メモリ23a〜23cの値は、前述した図柄カウンタ更新処理(S20)や図柄チェック処理(S21)等により、この停止図柄パターンチェック処理の実行に先立って決定されている。
まず、左図柄メモリ23aの値を、図6の図柄チェック用オフセットテーブル41の先頭アドレスに加算し、その加算後のアドレスをアドレスメモリ23dへ書き込む(S51)。このアドレスメモリ23dが記憶するアドレスに記憶される値を比較回数カウンタ23eへ書き込み(S52)、アドレスメモリ23dの内容に1加算した後で(S53)、加算後のアドレスメモリ23dが記憶するアドレスに記憶される値を検索オフセット値メモリ23fへ書き込む(S54)。これにより、左図柄メモリ23aに記憶される左図柄の停止パターンに対応して、リーチ状態の比較回数と、図7の図柄チェック用データテーブル42の検索オフセット値とが設定される。具体的には、図6の図柄チェック用オフセットテーブル41において、左図柄メモリ23aの値に対応した比較回数と第1検索オフセット値とがそれぞれ設定される。
次に、検索オフセット値メモリ23fの値を、図7の図柄チェック用データテーブル42の先頭アドレスに加算し、その加算後のアドレスをアドレスメモリ23dへ書き込む(S55)。このアドレスメモリ23dが記憶するアドレスに記憶される値と右図柄メモリ23cの値とを比較する(S56)。両値が等しければ(S56:Yes)、リーチ状態であるので、処理をS61へ移行する。
一方、両値が等しくなければ(S56:No)、アドレスメモリ23dの内容に3を加算して(S57)、アドレスメモリ23dが記憶するアドレスで、図柄チェック用データテーブル42の3バイト単位で構成された次のデータ群を指し示すようにする。比較回数カウンタ23eの値を1減算し(S58)、減算後の比較回数カウンタ23eの値が「0」でなければ(S59:No)、次のリーチ状態のチェックを行うべく(図5(a)および(b)参照)、処理をS56へ移行する。一方、減算後の比較回数カウンタ23eの値が「0」であれば(S59:Yes)、リーチ状態の比較はすべて終了したので、この場合の停止図柄のパターンは、リーチ無しのはずれパターンと判断することができる。よって、停止図柄パターンメモリ23hに、リーチ無しのはずれパターンを示す「0」を書き込んで、この停止図柄パターンチェック処理を終了する。
リーチ状態と判定されたS61の処理では、アドレスメモリ23dの内容に1加算した後で(S61)、加算後のアドレスメモリ23dが記憶するアドレスに記憶される値を検索オフセット値メモリ23fへ書き込む(S62)。更に、アドレスメモリ23dの内容に1加算した後で(S61)、加算後のアドレスメモリ23dが記憶するアドレスに記憶される値をテーブル開始オフセット値メモリ23gへ書き込む(S64)。これにより、リーチ状態における第2検索オフセット値が検索オフセット値メモリ23fへ、テーブル開始オフセット値がテーブル開始オフセット値メモリ23gへ、それぞれ記憶される。
検索オフセット値メモリ23fに記憶される第2検索オフセット値は、リーチ状態の態様により4つに区分けされた停止図柄パターンテーブル43のオフセット値である。よって、第2検索オフセット値が「0」の場合には非特定図柄での横ラインリーチ状態における停止図柄のパターンが検索され、「20」の場合には特定図柄での横ラインリーチ状態における停止図柄のパターンが検索され、「40」の場合には非特定図柄での右上がりラインダブルリーチ状態における停止図柄のパターンが検索され、「60」の場合には特定図柄での右上がりラインダブルリーチ状態における停止図柄のパターンが検索される。従って、S65の処理では、検索オフセット値メモリ23fの値を、図8の停止図柄パターンテーブル43の先頭アドレスに加算し、その加算後のアドレスをアドレスメモリ23dへ書き込んで(S65)、リーチ状態の態様により4つに区分けされた停止図柄パターンテーブル43のうち、該当するリーチ状態のテーブルの先頭アドレスをアドレスメモリ23dに記憶する。
中図柄メモリ23bの値をBレジスタへロードし(S66)、そのBレジスタの値から、S64の処理で書き込まれたテーブル開始オフセット値メモリ23gの値を減算する(S67)。減算の結果、Bレジスタの値がマイナスであれば(S68:Yes)、Bレジスタの値に、4つに区分けされた停止図柄パターンテーブル43の1区分のデータ数である20を加算して(S69)、Bレジスタの値を補正する。一方、減算の結果、Bレジスタの値がマイナスでなければ(S68:No)、S69の処理をスキップして、処理をS70へ移行する。
このBレジスタの値をオフセット値として、リーチ状態の態様により4つに区分けされた停止図柄パターンテーブル43のうち、該当するリーチ状態のテーブルの先頭アドレスを記憶したアドレスメモリ23dの内容に加算する(S70)。この加算後のアドレスメモリ23dが記憶するアドレスに記憶される値を、停止図柄のパターンデータとして停止図柄パターンメモリ23hへ書き込み(S71)、この停止図柄パターンチェック処理を終了する。
このように、本実施例の停止図柄パターンチェック処理によれば、小容量の停止図柄パターンテーブル43を用いて停止図柄のパターンを判定できるので、その分、パチンコ機Pの主制御基板Cに搭載されるデータを含めた制御プログラムの全容量を小さくすることができる。
また、4つに区分けされた停止図柄パターンテーブル43のうち、シングルリーチ状態での参照テーブルとダブルリーチ状態での参照テーブルとの区別は第2オフセット値により行っているので、即ち、シングルリーチ状態とダブルリーチ状態とを、プログラムにより区別することなく、テーブルに記憶されるデータのみによって区別して、停止図柄パターンを判断することができるので、シングルリーチ状態とダブルリーチ状態とが共に発生し得るパチンコ機Pと、シングルリーチ状態のみ発生し得るパチンコ機とにおいて、この停止図柄パターンチェック処理を共通化することができる。
具体的には、図3に示す3本の仮想図柄リール3a〜3cを、左・中・右の縦方向に3分割された表示領域でそれぞれ縦スクロールさせる変動表示においては、図13(a)に示すように、縦方向に3図柄表示される場合、5本の当たりライン31〜35でリーチ状態となる。また、図13(b)に示すように、縦方向に2図柄表示される場合には、2本の当たりライン51,52でリーチ状態となり、図13(c)に示すように、縦方向に1図柄表示される場合には、1本の当たりライン61でリーチ状態となる。本実施例の仮想図柄リール3a〜3cの配列によれば、図13(a)の場合にはシングルリーチ状態とダブルリーチ状態とが共に発生し得り、図13(b)及び(c)の場合にはシングルリーチ状態のみ発生し得るが、この停止図柄パターンチェック処理によれば、図13(a)〜(c)に示すいずれのパチンコ機に対しても、プログラムの変更をすること無く、テーブルデータを変更するだけで使用することができるのである。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例では、停止図柄のパターンを記憶する停止図柄パターンテーブル43を、4つのリーチ状態の態様に区分けして構成したが、該テーブル43を4以外の態様に区分けしたり、或いはリーチ状態の態様以外の態様に応じて区分けするようにしても良い。また、本実施例は、シングルリーチ状態とダブルリーチ状態とが同時に発生し得るパチンコ機Pを用いて説明したが、これらのリーチ状態の他に、トリプルラインリーチ状態をも発生し得るパチンコ機Pに用いるようにしても良い。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記特別遊技状態は、前記動的表示の表示結果として2以上の識別情報が所定の組み合わせで停止表示された場合に発生するものであり、その動的表示中において、前記2以上の識別情報が所定の組み合わせで停止表示され得る前兆状態としてのリーチ状態を備えており、前記表示結果テーブルは、そのリーチ状態の態様に応じて区分けされていることを特徴とする遊技機1。
2以上の識別情報の表示結果の組み合わせの数は、1の識別情報が取り得る状態の数と他の識別情報が取り得る状態の数との積で表される。例えば、1の識別情報が取り得る状態の数が20あり(例えば20図柄分あり)、他の識別情報が取り得る状態の数が20あれば(例えば20図柄分あれば)、両者の組み合わせの数は20×20=400ある。よって、すべての動的表示においてその表示結果のパターンを抽出するためには、表示結果のパターンを、この組み合わせの数分記憶しておかなければならず、多量なデータが必要となる。遊技機では、プログラム容量が制限されるので、多量なデータを必要とするプログラムは、プログラムサイズを削減せざるを得ず、その作成が困難となる。これに対し遊技機1では、表示結果テーブルはリーチ状態の態様に応じて区分けされているので、表示結果のパターンの数は、リーチ状態の態様数と最後に停止表示される識別情報の取り得る状態の数との積となる。よって、表示結果のパターンを記憶するデータ量を少量化できる。なお、リーチ状態の態様としては、シングルライン非特定図柄(通常図柄)でのリーチ態様、シングルライン特定図柄(確変図柄)でのリーチ態様、ダブルライン右上がり非特定図柄でのリーチ態様、ダブルライン右上がり特定図柄でのリーチ態様などが例示される。
遊技機1において、前記特別遊技状態は、所定期間遊技者に有利な遊技状態となる第1大当たり状態と、所定期間遊技者に有利な遊技状態となり更にその有利な遊技状態の終了後通常時より前記特別遊技状態が発生し易くなる第2大当たり状態とを備えており、前記表示結果テーブルは、前記第1大当たり状態の前兆状態であるリーチ状態と、前記第2大当たり状態の前兆状態であるリーチ状態とにより区分けされていることを特徴とする遊技機2。なお、第1大当たり状態としては、普通図柄による大当たりが該当し、第2大当たり状態としては、確変図柄による確率変動大当たりが該当する。ここで、確率変動大当たりとは、大当たり状態終了後の大当たりの発生確率が通常より高確率となって大当たりが発生し易くなる大当たりである。
遊技機1または2において、前記表示結果テーブルは、前記リーチ状態の現出数に応じて区分けされていることを特徴とする遊技機3。例えば、表示結果テーブルは、1ラインでリーチ状態となっているシングルリーチ状態と、2ラインで同時にリーチ状態となっているダブルリーチ状態とに区分けされる。また、この遊技機3を遊技機2と組み合わせた場合には、表示結果テーブルは、リーチ状態の現出数およびリーチ状態で発生し得る第1又は第2大当たり状態に応じて区分けされる。なお、2以上のリーチ状態が同時に現出しており、且つ、そのリーチ状態が異なる大当たり状態を現出し得る場合には、表示結果テーブルは基準となるリーチ状態に基づいて区分けされるものである。この基準としては、リーチ状態の成立方向(例えば右上がり)などが用いられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から3のいずれかにおいて、区分けされた表示結果テーブル(例えば停止図柄パターンテーブル)の中から参照する1の表示結果テーブルを選択するための選択値(例えば第2検索オフセット値)とその選択値に基づいて選択された表示結果テーブルから1の表示結果のパターンを読み出すためのオフセット値(例えばテーブル開始オフセット値)とを識別情報を示すコード毎に対応つけて記憶した参照テーブル(例えば図柄チェック用データテーブル)を備えており、前記表示制御手段は、前記動的表示の表示結果として表示される1の識別情報(例えば右図柄)を示すコードに基づいて、前記参照テーブルから前記選択値を読み出して参照する表示結果テーブルを決定し、前記参照テーブルから前記オフセット値を読み出して、そのオフセット値と他の識別情報(例えば中図柄)を示すコードとに基づいて、前記表示結果のパターンを選択するものであることを特徴とする遊技機4。
遊技機4において、前記表示制御手段は、前記オフセット値と前記他の識別情報(例えば中図柄)を示すコードとの差に基づいて前記表示結果のパターンを選択するものであることを特徴とする遊技機5。表示結果テーブルを選択するための選択値と、その選択された表示結果テーブルから1の表示結果のパターンを読み出すためのオフセット値とを記憶した参照テーブルを備え、選択値に基づいて参照する表示結果テーブルを選択し、更に、オフセット値と他の識別情報を示すコードとの差に基づいて表示結果のパターンを選択する。即ち、表示結果のパターンの選択は、動的表示の表示結果として表示される識別情報を示すコードと、参照テーブルに記憶される各値とによって行われる。よって、プログラムのアルゴリズムを変更すること無く、参照テーブルのデータを変更することにより、動的表示の表示態様を変更することができる。即ち、参照テーブルのデータ変更により、動的表示の表示態様を容易に設計変更することができるのである。
遊技機5において、前記表示制御手段は、前記オフセット値と前記他の識別情報(例えば中図柄)を示すコードとの差が負になった場合には、その負となった差に前記他の識別情報の取り得る状態の数を加算し、その加算結果に基づいて前記表示結果のパターンを選択するものであることを特徴とする遊技機6。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機7。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の出力時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれる情報等も含む)が付与されるものが挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機8。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を出力させる特別遊技状態出力手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機9。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を出力させる特別遊技状態出力手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の出力に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。