以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
〔1.実施の形態1〕
〔1−1.構成〕
以下、図1〜図3を用いてデジタルカメラの構成を説明する。デジタルカメラは、撮像装置の一例である。
図1は、デジタルカメラ100の正面図である。デジタルカメラ100は正面に光学系110を納める鏡筒を備える。また、デジタルカメラ100は上面に操作釦を備える。操作釦は、レリーズ釦201、ズームレバー202、電源釦203を含む。
図2は、デジタルカメラ100の背面図である。デジタルカメラ100は背面に液晶モニタ123を備える。液晶モニタ123は、後述するように、使用者のタッチ操作を受け付ける。また、デジタルカメラ100は背面に操作釦を備える。操作釦は、中央釦204、十字釦205、モード切替スイッチ207を含む。
図3は、デジタルカメラ100の電気的構成図である。デジタルカメラ100は、光学系110を介して形成された被写体像をCCDイメージセンサ120で撮像する。CCDイメージセンサ120は撮像した被写体像に基づく画像データを生成する。CCDイメージセンサ120は、撮像部の一例である。撮像により生成された画像データは、AFE(Analog Front End)121や画像処理部122において各種処理が施される。生成された画像データはフラッシュメモリ142やメモリカード140に記録される。フラッシュメモリ142やメモリカード140に記録された画像データは、使用者による釦操作部150やタッチ操作部160の操作を受け付けて液晶モニタ123上に表示される。以下で、図1から図3に示す各構成の詳細を説明する。
光学系110は、フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、絞り113、シャッター114等により構成される。図示していないが、光学系110は、光学式手ぶれ補正(OIS:Optical Image Stabilizer)レンズを含んでいてもよい。なお、光学系110を構成する各種レンズは何枚から構成されるものでも、何群から構成されるものでもよい。
フォーカスレンズ111は被写体像のフォーカス(合焦)状態の調節に用いられる。ズームレンズ112は被写体の画角の調節に用いられる。絞り113は、CCDイメージセンサ120に入射する光量の調節に用いられる。シャッター114は、CCDイメージセンサ120に入射する光の露出時間を調節する。
また、デジタルカメラ100は、光学系110を駆動する駆動系115を備える。駆動系115として、DCモータやステッピングモータなどが挙げられる。フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、絞り113、シャッター114は、それぞれに対応した駆動手段を、駆動系115内に有する。光学系110は、駆動系115により、コントローラ130から通知された制御信号に従って駆動される。
CCDイメージセンサ120は、光学系110を通して形成された被写体像を撮像して画像データを生成する。CCDイメージセンサ120は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるとき、一定時間ごとに新しいフレームの画像データを生成することができる。
AFE121では、CCDイメージセンサ120から読み出された画像データを処理してデジタル信号に変換する。AFE121は、画像データに対して相関二重サンプリングによる雑音抑圧、アナログゲインコントローラによるA/Dコンバータの入力レンジ幅への増幅、A/DコンバータによるA/D変換を施す。その後、AFE121はデジタル信号に変換された画像データを画像処理部122に出力する。
画像処理部122は、AFE121から出力された画像データに対して各種の処理を施す。各種処理としては、スミア補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。画像処理部122は、各種処理を施した画像情報をバッファメモリ124に記憶する。画像処理部122は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。またコントローラ130などと共に1つの半導体チップで構成してもよい。
液晶モニタ123は、デジタルカメラ100の背面に備わる。液晶モニタ123は、画像処理部122にて処理された画像データに基づく画像を表示する。液晶モニタ123が表示する画像には、スルー画像や記録画像がある。スルー画像は、CCDイメージセンサ120により一定時間ごとに生成される新しいフレームの画像データを連続して表示する画像である。通常は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるときに、画像処理部122がCCDイメージセンサ120の生成した画像データからスルー画像を生成する。使用者は、液晶モニタ123に表示されるスルー画像を参照することにより、被写体の構図を確認しながら撮影できる。記録画像は、デジタルカメラ100が再生モードにあるときに、メモリカード140等に記録された高画素の画像データを液晶モニタ123に表示するために低画素に縮小した画像である。メモリカード140に記録される高画素の画像データは、使用者によるレリーズ釦201の操作を受け付けた後に、CCDイメージセンサ120が生成した画像データに基づいて画像処理部122により生成される。液晶モニタ123は、表示部の一例である。
コントローラ130は、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御する。また、コントローラ130は、画像処理部122で処理された後、バッファメモリ124に記憶された画像データを、メモリカード140等の記録媒体へ記録する。コントローラ130は、プログラム等の情報を格納するROMや、プログラムを実行することにより各種情報を処理するCPUなどにより構成される。ROMは、ファイル制御、オートフォーカス(AF:Auto Focus)制御や自動露出(AE:Auto Exposure)制御、フラッシュの発光制御に関するプログラムの他、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御するためのプログラムを格納している。
コントローラ130は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、マイクロコンピュータなどで構成してもよい。また、画像処理部122などと共に1つの半導体チップで構成してもよい。また、ROMはコントローラ130の内部構成である必要はなく、コントローラ130の外部に備わったものでもよい。
バッファメモリ124は、画像処理部122やコントローラ130のワークメモリとして機能する記憶手段である。バッファメモリ124はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などで実現できる。また、フラッシュメモリ142は、画像データおよびデジタルカメラ100の設定情報等を記録するための内部メモリとして機能する。
カードスロット141は、メモリカード140を着脱可能な接続手段である。カードスロット141は、メモリカード140を電気的及び機械的に接続可能である。また、カードスロット141は、メモリカード140を制御する機能を備えてもよい。
メモリカード140は、内部にフラッシュメモリ等の記録部を備えた外部メモリである。メモリカード140は、画像処理部122で処理される画像データなどのデータを記録可能である。
釦操作部150は、デジタルカメラ100の外装に備わっている操作釦や操作ダイヤルの総称であり、使用者による操作を受け付ける。釦操作部150は、レリーズ釦201、ズームレバー202、電源釦203、中央釦204、十字釦205、モード切替スイッチ207を含む。釦操作部150は使用者による操作を受け付けると、コントローラ130に種々の動作指示信号を通知する。
タッチ操作部160は、液晶モニタ123に備わっている操作系である。使用者が液晶モニタ123上に表示されたアイコン等を触れると、タッチ操作部はコントローラ130に種々の動作指示信号を通知する。デジタルカメラ100が撮影モードであるとき、液晶モニタ123にはスルー画像が表示されている。使用者は、液晶モニタ123上のフォーカスを合わせたい位置(合焦位置)をタッチすることで、AF制御を行う対象を指示することができる。
レリーズ釦201は、半押し状態と全押し状態の二段階押下式釦である。レリーズ釦201が使用者により半押しされると、コントローラ130は、AF制御や、AE制御を実行し撮影条件を決定する。続いて、レリーズ釦201が、使用者により全押しされると、コントローラ130は、撮影処理を行う。コントローラ130は、全押しのタイミングに撮像された画像データを静止画としてメモリカード140等に記録する。以下、単にレリーズ釦201を押下すると記載する場合は、全押しを示すものとする。
ズームレバー202は画角を広角端と望遠端との間で調節するための中央位置自己復帰式のレバーである。ズームレバー202は、使用者により操作されるとコントローラ130にズームレンズ112を駆動するための動作指示信号を通知する。すわなち、ズームレバー202が広角端側に操作されると、コントローラ130は、被写体を広角で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。同様に、ズームレバー202が望遠端側に操作されると、コントローラ130は、被写体を望遠で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。
電源釦203は、デジタルカメラ100を構成する各部への電力供給をON/OFFするための押下式釦である。電源OFF時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130はデジタルカメラ100を構成する各部に電力を供給し、起動させる。また、電源ON時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130は各部への電力供給を停止する。
中央釦204は、押下式釦である。デジタルカメラ100が撮影モードあるいは再生モードにあるときに、中央釦204が使用者により押下されると、コントローラ130は液晶モニタ123にメニュー画面を表示する。メニュー画面は、撮影/再生のための各種条件を設定するための画面である。メニュー画面で設定された情報は、フラッシュメモリ142に記録される。各種条件の設定項目が選択されているときに押下されると、中央釦204は決定釦としても機能する。
十字釦205は、上下左右方向に設けられた押下式釦である。使用者は、十字釦205のいずれかの方向を押下することにより、液晶モニタ123に表示される各種条件項目を選択することができる。
モード切替スイッチ207は、上下方向に設けられた押下式釦である。使用者はモード切替スイッチ207のいずれかの方向を押下することにより、デジタルカメラ100の撮影モードと再生モードとを切り替えることができる。
〔1−2.動作〕
〔1−2−1.AF動作〕
本実施の形態では、デジタルカメラ100はAF制御の際に、コントラストAFと呼ばれる制御方式を用いる。
デジタルカメラ100が撮影モードであるとき、光学系110により撮像される被写体像は、CCDイメージセンサ120で画像データに変換される。その後AFE121、画像処理部122を経て液晶モニタ123にスルー画像として表示される。使用者は、液晶モニタ123に表示されたスルー画像を見て画角等を決定する。また、使用者は、液晶モニタ123に表示されたスルー画像上で、ピントを合わせたい位置を一箇所選択し、タッチする。タッチ操作部160は、使用者がタッチした位置を判断し、コントローラ130に通知する。コントローラ130は、タッチ操作部160により通知された位置において、以下で説明するコントラストAFを行う。
コントラストAFは、画像データが生成されるごとに算出されるAF評価値に基づいて実行される。AF評価値は、画像データを構成する輝度信号の高周波成分を積算することにより得られる。なお、AF評価値はコントラスト値とも呼ばれる。算出した複数のAF評価値を比較することにより、コントローラ130は、フォーカスレンズ111を移動させる方向および、被写体像の合焦状態を判断する。1点AF制御では、使用者が指定した位置のAF評価値が最も高くなるように制御する。
図4は、コントラストAF制御の基本動作説明図である。駆動系115に含まれるフォーカスレンズモータは、フォーカスレンズ111を無限端あるいは至近端から一方向に駆動し続ける。コントローラ130は、フォーカスレンズ111の駆動に合わせて周期的にAF評価値を算出し続ける。フォーカスレンズモータは、AF評価値が上昇し続ける限りフォーカスレンズ111を一方向に駆動し続ける。AF評価値の上昇が止まり、下降が開始すると、コントローラ130は、フォーカスレンズ111が画像データを合焦させる位置(フォーカス位置)を通過したと判断する。そして、フォーカスレンズモータは、フォーカスレンズ111を今までとは逆方向に駆動し、最もAF評価値が高くなるときのフォーカスレンズ111の位置であるフォーカス位置に移動させる。コントローラ130は、使用者のレリーズ釦201の半押し操作を受け付けて、AF動作を実行する。AF動作後、フォーカスレンズ111がフォーカス位置に移動すると、コントローラ130は、フォーカスレンズ111をフォーカス位置に固定する。このように、デジタルカメラ100は、フォーカスレンズ111を駆動しAF評価値を算出することにより、画像データの合焦状態を調整する合焦調整部としての機能を備えている。
そして、使用者がレリーズ釦201を全押し操作すると、コントローラ130は被写体像を撮影し、メモリカード140やフラッシュメモリ142に記録する。これにより、デジタルカメラ100は、使用者の意図した位置にピントが合った画像を撮影することができる。
〔1−2−2.短時間動画の概要〕
本実施の形態に係るデジタルカメラ100は、予め決められた時間、短時間動画を撮影し、短時間動画を連続して再生することができる。また、デジタルカメラ100は、短時間動画の撮影中にフォーカス位置を変更してピント送りを自動的に行うことができる。
図5は、デジタルカメラ100の短時間動画の概要図である。記録時には、使用者がレリーズ釦201を押下すると、デジタルカメラ100は予め決められた動画撮影時間であるT時間、動画を撮影する。使用者が動画撮影を繰り返すと、デジタルカメラ100にはT時間Tの動画データD1〜D3が蓄積される。
再生時には、使用者が短時間動画の再生をデジタルカメラ100に指示すると、デジタルカメラ100は撮影された動画データD1〜D3を連続で再生する。このように、短時間動画の動画データD1〜D3を撮影した順につなげて再生することで、スライドショーの様な物語の作成を簡単に行うことができる。
なお、動画データD1〜D3は再生時に順次再生される別ファイルとして保存されるようにしてもよいし、使用者が短時間動画の撮影を終了したと判断した際に合成して保存されるようにしてもよい。
また、動画撮影時間は予めデジタルカメラ100に決められた時間でも構わないし、使用者が自由に設定可能な時間でも構わない。
〔1−2−3.動画撮影準備〕
次に、動画撮影の準備動作について説明する。
使用者は、短時間動画の撮影を行う際、釦操作部150やタッチ操作部160を操作して、短時間動画撮影モードを選択する。使用者は、続いて短時間動画撮影モードにおける各種の撮影条件を設定する。撮影条件とは、具体的には短時間動画の撮影時間や、撮影する動画の数、各短時間動画間に挿入される効果等が挙げられる。ここでは、使用者は撮影条件として、短時間動画の撮影時間をT時間に設定したとする。また、撮影条件として、使用者は、ピント送りの有無を選択することができる。
ピント送りについて図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aおよび図6Bは、液晶モニタ123の表示例を示す図である。使用者は撮影条件としてピント送りを選択すると、続いてピント送りの開始位置としてAF枠Aを入力し(図6A)、ピント送りの終了位置としてAF枠Bを入力する(図6B)。使用者は、液晶モニタ123に表示された被写体像をタッチすることでAF枠A及びAF枠Bを入力することができる。デジタルカメラ100は、短時間動画の撮影中において、AF枠AからAF枠Bに合焦位置が移動するようにフォーカスレンズ111を駆動する。ここでは、AF枠Aに対応する被写体は、AF枠Bに対応する被写体に比べて、デジタルカメラ100から遠い位置に存在するものとする。AF枠A及びAF枠Bは合焦枠の一例である。
〔1−2−4.動画撮影動作〕
次に、図7及び図8を用いてピント送りを伴う短時間動画撮影について説明する。
図7は、短時間動画撮影の際のフォーカスレンズ111の駆動軌跡の概略図である。図8は、短時間動画撮影の際のフローチャートである。図7に示す時間t1〜t7は、図8に示す時間t1〜t7と対応している。
使用者がピント送りを含む短時間動画撮影モードを選択すると、デジタルカメラ100はAF枠Aが使用者により入力されるか否かを監視する(ステップS11)。
AF枠Aが使用者により設定されると(ステップS11のYes)、デジタルカメラ100は、AF枠Bが使用者により入力されるか否かを監視する(ステップS12)。
AF枠Bが使用者により設定されると(ステップS12のYes)、コントローラ130は、AF枠A及びAF枠Bに対応する被写体に合焦するように駆動系115を介してフォーカスレンズ111を駆動する。具体的には、コントローラ130は、まず駆動系115を介してフォーカスレンズ111を駆動し、上記図4に示すように、AF評価値を算出することにより、AF枠Aに対応する被写体の画像データの合焦状態を調整して、AF枠Aに対応する被写体に合焦するフォーカスレンズ111の位置(フォーカス位置fA)を決定する(図7に示す時間t1〜t2)。そして、コントローラ130はそのフォーカス位置fAをフラッシュメモリ142等に記録する(ステップS13A)。
続いて、コントローラ130は、AF枠Bに対応する被写体に合焦するように駆動系115を介してフォーカスレンズ111を駆動する(図7に示す時間t2〜t3)。AF枠Bに対応する被写体に合焦するフォーカスレンズ111の位置(フォーカス位置fB)が決まると、コントローラ130はフォーカス位置fBをフラッシュメモリ142等に記録する(ステップS13B)。
次に、ステップS14に進み、コントローラ130は、フォーカス位置fAにフォーカスレンズ111を移動させる(図7に示す時間t3〜t4)。
上述した例では、コントローラ130は、AF枠A及びAF枠Bに対応する被写体に合焦するフォーカスレンズ111の位置(フォーカス位置fA、fB)を順次求めているが、複数のAF枠に対して同時に測距可能な場合はステップS13AとS13Bの処理を同時に行ってもよい。
次に、ステップS15に進み、コントローラ130は、使用者によりレリーズ釦201が押下されるか否かを監視する。
使用者によりレリーズ釦201が押下されると(ステップS15のYes)、コントローラ130は動画の記録を開始する(ステップS16、図7に示す時間t5)。
動画の記録を開始すると、コントローラ130はフォーカスレンズ111をフォーカス位置fAからフォーカス位置fBに向かって移動させながら、動画データを記録する。この場合、デジタルカメラ100は、フォーカスレンズ111を一定速度で駆動するように制御する。即ち、フォーカス位置fAからフォーカス位置fBまでの距離を間隔fLとし、動画撮影時間をT時間とすると、コントローラ130はフォーカスレンズ111を速度v0=(間隔fL)/Tで駆動する。このとき、コントローラ130は、動画データの記録時間がT時間を経過したか否かを監視する(ステップS17)。
動画データの記録時間がT時間に到達していない間(ステップS17におけるNo)、コントローラ130はフォーカスレンズ111をフォーカス位置fBに向かって速度v0で移動させながら動画データの記録を継続する(ステップS18)。
動画データの記録時間がT時間に到達すると(ステップS17におけるYes)、コントローラ130は動画データの記録を終了する(ステップS19)。このとき、フォーカスレンズ111は、一定速度v0で駆動していたので、フォーカス位置fBに位置する(図7に示すt6)。このように、フォーカスレンズ111は、動画撮影時間の間に、フォーカス位置fAからフォーカス位置fBに遷移する。
動画データの記録を終了すると、コントローラ130はフォーカスレンズ111をフォーカス位置fAに移動する(ステップS20、図7に示すt6〜t7)。これは、使用者が再度同じ構図での撮影を意図している際に、次の撮影にスムーズに移行するためである。
以上の説明では、動画記録中にフォーカスレンズ111を一定速度で駆動する例を説明したが、フォーカスレンズ111の駆動方法はこれに限られない。図9を用いて変形例について説明する。
図9は、フォーカスレンズ111の駆動方法の変形例を示す図である。図9で示す変形例は、図7に示す例と比べて動画撮影時間の時間t5〜t6におけるフォーカスレンズ111の駆動方法が異なっている。
コントローラ130は、図9に示すように動画撮影の記録が開始(時間t5)した後、所定時間、フォーカスレンズ111をフォーカス位置fAから駆動させない(時間t5〜t5A)。所定時間経過後、コントローラ130はフォーカスレンズ111をフォーカス位置fBに向かって駆動する。このとき、コントローラ130は、動画データの記録時間がT時間に到達する前に、フォーカスレンズ111がフォーカス位置fBに到達するようにフォーカスレンズ111を駆動する。フォーカスレンズ111がフォーカス位置fBに到達した後、コントローラ130は、動画データの記録時間がT時間に到達するまで、フォーカスレンズ111を駆動せずに動画データの記録を継続する(時間t5B〜t6)。
また、図9における時間t5A〜t5Bの区間では、コントローラ130は、フォーカスレンズ111をフォーカス位置fAからフォーカス位置fBまで駆動する際に、フォーカス位置fA及びフォーカス位置fBの近傍では、その他の領域に比べて低速でフォーカスレンズ111を駆動する。即ち、フォーカスレンズ111は、時間t5Aから徐々に速度を上げてフォーカス位置fAからフォーカス位置fBに向かって移動し、その後、フォーカス位置fBに近づくにつれて速度を下げてフォーカス位置fBに到達する(時間t5B)。
このように制御することで、デジタルカメラ100は、フォーカスレンズ111がフォーカス位置fA及びフォーカス位置fBの近傍に位置する時間を長く確保することができる。これにより、デジタルカメラ100は、使用者が指定したAF枠A、AF枠Bに対応する被写体に合焦する時間を長く確保することができる。
また、上記変形例では、フォーカス位置fA、fBにおいて、それぞれ所定時間(時間t5〜t5A及び時間t5B〜t6)、フォーカスレンズ111が停止している。しかしながら、かかる停止の時間は必ずしも設けなくてもよい。即ち、コントローラ130は、フォーカスレンズ111を、時間t5から徐々に速度を上げてフォーカス位置fAからフォーカス位置fBに向かって移動させ、フォーカス位置fBに近づくにつれて速度を下げて時間t6にフォーカス位置fBに到達させるように制御してもよい。この場合、デジタルカメラ100に近い方の被写体に対応するフォーカス位置fBの近傍で、より緩やかにフォーカスレンズ111を駆動させることが好ましい。デジタルカメラ100に近い方の被写体は、遠い方の被写体に比べて、液晶モニタ123上の合焦状態の変化が著しいことから、このように制御することで、デジタルカメララ100からの距離にかかわらず、フォーカスレンズ111の移動に伴う被写体の合焦状態の変化を実質的に同程度にすることができる。
なお、動画データの記録時におけるフォーカスレンズ111の駆動方法は上述したものに限られない。また、動画データの記録時におけるフォーカスレンズ111の駆動方法は、撮影条件として使用者が設定可能なようにしても構わない。
〔1−2−5.ピント送り動作中の表示態様〕
図10A〜図10Cを用いて、ピント送り動作中の液晶モニタ123の表示態様について説明する。
本実施の形態に係るデジタルカメラ100は、図7又は図9に示す時間t5〜t6の間に、AF枠A及びAF枠Bの表示態様を変化させることで、使用者にピント送りの状況を知らせることができる。
図10Aは、動画データの記録開始時(図7又は図9に示す時間t5)において、AF枠Aに対応する被写体に合焦している時の液晶モニタ123の表示例を示す図である。このとき、フォーカスレンズ111はフォーカス位置fAに位置する。図10Aに示すように、AF枠Aに対応する被写体に合焦しているとき、AF枠AはAF枠Bに比べて強調表示されている。具体的には、AF枠AはAF枠Bに比べて太い線で表示される。
図10Bは、動画データの記録途中(図7又は図9に示す時間t5〜t6の中間付近)における液晶モニタ123の表示例を示す図である。このとき、フォーカスレンズ111はフォーカス位置fAとフォーカス位置fBの中間付近に位置する。図10Bに示すように、フォーカスレンズ111がフォーカス位置fAとフォーカス位置fBの中間付近に位置するとき、AF枠AとAF枠Bの表示態様は略一致する。具体的には、AF枠A及びAF枠Bはほぼ同じ太さの線で表示される。
このとき、図10Bに示すAF枠Aは図10Aに示すAF枠Aよりも細い線で表示され、図10Bに示すAF枠Bは、図10Aに示すAF枠Bよりも太い線で表示される。即ち、コントローラ130は、フォーカスレンズ111の移動に対応させて、AF枠A及びAF枠Bの各枠の太さを徐々に変化させる。
図10Cは、動画データの記録終了時(図7又は図9に示す時間t6)において、AF枠Bに対応する被写体に合焦している時の液晶モニタ123の表示例を示す図である。このとき、フォーカスレンズ111はフォーカス位置fBに位置する。図10Cに示すように、AF枠Bに対応する被写体に合焦しているとき、AF枠BはAF枠Aに比べて強調表示されている。具体的には、AF枠BはAF枠Aに比べて太い線で表示される。
このとき、図10Cに示すAF枠Aは図10Bに示すAF枠Aよりも細い線で表示され、図10Cに示すAF枠Bは、図10Bに示すAF枠Bよりも太い線で表示される。即ち、コントローラ130は、フォーカスレンズ111の移動に対応させて、AF枠A及びAF枠Bの各枠の太さを徐々に変化させる。
このように、本実施の形態に係るデジタルカメラ100は、合焦状態の変化に応じてAF枠A及びAF枠Bの表示態様を変化させる。これにより、使用者は容易にピント送り動作中の合焦状態を視認することができる。
なお、上述した例では、AF枠A及びAF枠Bの強調表示として、枠を構成する線の太さを徐々に変化させる制御としたが、本開示はこれに限定されるものではない。合焦状態の変化に応じてAF枠の色を滑らかに変化させるようにしても構わない。例えば、合焦しているAF枠を緑色、合焦していない枠を白色で表示し、合焦状態が変化している最中はAF枠の色がグラデーションの様に変化するようにしても構わない。
〔1−3.効果〕
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラ100は、短時間動画の撮影の際に、動画データにピント送り効果を付与することができる。
また、デジタルカメラ100は、ピント送りの開始時のAF枠A及び終了時のAF枠Bにおける合焦情報を、使用者の撮影指示より前に取得する。このように構成することで、デジタルカメラ100は、使用者による撮影指示を受け付けた直後に、スムーズに動画データの記録を開始することができる。
また、デジタルカメラ100は、ピント送りを伴う撮影動作中には、合焦情報を取得しない。このように構成することで、デジタルカメラ100は、動画データに合焦情報を取得する際のフォーカスレンズ111の戻り動作による合焦状態のふらつきを記録しないようにすることができる。
また、デジタルカメラ100は、ピント送りを伴う撮影動作中に、AF枠の表示態様を変化させる。このように構成することで、使用者は容易にピント送り動作中の合焦状態を視認することができる。
〔2.実施の形態2〕
以下、図11及び図12を用いて実施の形態2について説明する。
〔2−1.構成〕
実施の形態2に係るデジタルカメラ200は、コントラストAFではなく、位相差AF或いはDFD(Depth From Defocus)等を用いて被写体距離を算出することにより、合焦情報を取得することができる。デジタルカメラ200のその他の構成は、実施の形態1に係るデジタルカメラ100と同様であるので、説明を省略する。
位相差AFとは、レンズから入った光を二つに分けて専用のセンサ(図示せず)へ導き、結像した二つの画像の間隔から合焦方向及び量を判断する方式である。
DFDとは、合焦位置の異なる複数の画像から空間を認識し、被写体までの距離を演算する方式である。
位相差AF及びDFDについては、既知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
〔2−2.動作〕
デジタルカメラ200は、上述の位相差AF又はDFDを用いて被写体までの距離を把握することが可能である。そのため、デジタルカメラ200は、フォーカスレンズ111を駆動させることなく、複数の被写体までの距離をそれぞれ算出し、それらに基づいてそれぞれの被写体に対応するフォーカスレンズ111のフォーカス位置を決定する。そして、デジタルカメラ200は予め定められた動画撮影時間との関係からフォーカスレンズ111の駆動速度を決定し、ピント送り動作を行うことができる。
図11は、デジタルカメラ200と、被写体P及び被写体Qの関係を示した概略図である。デジタルカメラ200から見て、被写体Pは被写体Qより近い位置に存在する。本実施の形態では、使用者は、ピント送り動作の開始時に合焦している被写体として被写体Pを選択し、ピント送り動作の終了時に合焦している被写体として被写体Qを選択する。従って、使用者は、液晶モニタ123上で、被写体Pが表示されている位置にAF枠Aを設定した後、被写体Qが表示されている位置にAF枠Bを設定する。
デジタルカメラ200は、位相差AF又はDFDにより、動画データの記録前に被写体P及び被写体Qまでの距離LP及び距離LQを算出する。このとき、デジタルカメラ200は被写体までの距離LP、LQに対してそれぞれ合焦するフォーカスレンズ111のフォーカス位置fP、fQを算出する。図11に示すように、被写体間距離Lは被写体P、Q間の距離であり、間隔fLは被写体間距離Lに対応するフォーカス位置fP、fQの距離である。
本実施の形態では、複数の被写体までの距離を同時に測距可能であるので、被写体P及び被写体Qに対してそれぞれ合焦するフォーカスレンズ111のフォーカス位置fP、fQも同時に求めることができる。そのため、実施の形態1で説明した図8のフローチャートにおいて、ステップS13A及びS13Bに相当する処理を同時に行うことができる。そして、フォーカス位置fP、fQが求まると、コントローラ130は、直ちにフォーカスレンズ111をフォーカス位置fPに移動させることができる。
使用者による動画撮影の指示を受け付けると、デジタルカメラ200はフォーカス位置fPからfQまでフォーカスレンズ111を駆動し、ピント送り動作を実現する。本実施の形態では、フォーカス位置fPからfQまでのフォーカスレンズ111の移動は、速度v1、v2、v3の3段階に分けて行う。
デジタルカメラ200のピント送りについて、図12を用いて具体的に説明する。フォーカス位置fP、fQが算出されると、デジタルカメラ200は、フォーカスレンズ111をピント送りの開始位置であるフォーカス位置fPに移動させる(図12のt1からt5)。フォーカスレンズ111がフォーカス位置fPに位置すると(図12のt5)、デジタルカメラ200は、被写体Pに対して合焦している。撮影動作が開始されると、コントローラ130は被写体Qに対して合焦するフォーカス位置fQの方向にフォーカスレンズ111を速度v1で駆動する(図12のt5からt5P)。コントローラ130は、フォーカスレンズ111を速度v1で所定距離駆動した後、速度v1より高速な速度v2で、フォーカス位置fQの方向にフォーカスレンズ111を駆動する(図12のt5Pからt5Q)。コントローラ130は、フォーカスレンズ111を速度v2で所定距離駆動した後、速度v2より低速な速度v3で、フォーカス位置fQの方向にフォーカスレンズ111を駆動する(図12のt5Qからt6)。そして、フォーカスレンズ111はフォーカス位置fQに到達する(図12のt6)。
このとき、速度v1で駆動する量、速度v2で駆動する量、速度v3で駆動する量の合計は、フォーカス位置fPとフォーカス位置fQとの間隔fLとなる。速度v1と速度v3とは同じであっても異なっていてもよいが、デジタルカメラ200に近い方の被写体Pに対応するフォーカス位置fPの近傍での速度v1をより低速にすることが好ましい。デジタルカメラ200に近い方の被写体は、遠い方の被写体に比べて、液晶モニタ123上の合焦状態の変化が著しいことを考慮して、被写体P、Qの合焦状態の変化を実質的に合わせるためである。
なお、動画データ記録中のフォーカスレンズ111の駆動方法は上述した例に限られない。コントローラ130は、フォーカスレンズ111をフォーカス位置fPからフォーカス位置fQまでを一定の速度で駆動するようにしても構わないし、フォーカス位置fP、fQにおいて所定時間、フォーカスレンズ111を停止させるようにしても構わない。また、動画データ記録時におけるフォーカスレンズ111の駆動方法は、撮影条件として使用者が設定可能なようにしても構わない。
〔2−3.効果〕
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラ200は、動画撮影前に複数の被写体に対する合焦情報を、フォーカスレンズ111を駆動させることなく取得するとともに、動画撮影中に、被写体間距離Lに応じて、動画データにピント送り効果を付与することができる。このように構成することで、デジタルカメラ200は、動画データに対して有効なピント送り効果を付与するために必要な合焦情報の取得を迅速に行うことができる。
〔3.他の実施の形態〕
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1、2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1、2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1において、デジタルカメラは、短時間動画撮影の動画撮影時間に応じたピント送り効果を付与するものとしたが、本開示はこれに限定されるものではない。動画データ記録中の所定時間においてフォーカスレンズを駆動してピント送り効果を付与するものであれば良い。具体的には、動画撮影はレリーズ釦が押されている間行われ、その間の所定時間でフォーカスレンズを駆動してピント送り効果を付与するように構成しても構わない。このとき、所定時間は、デジタルカメラによって予め決められるようにしても構わないし、使用者が設定可能なものとしても構わない。
実施の形態1、2において、デジタルカメラは、使用者がAF枠A及びAF枠Bの入力を終えた後に、AF枠A及びAF枠Bに対応する被写体に対して合焦するフォーカスレンズの位置を求めるものとしたが、本開示はこれに限定されるものではない。使用者がAF枠を入力する度に、入力されたAF枠に対して合焦するフォーカスレンズの位置を求めても構わない。例えば、図8に示すステップS11でAF枠Aが設定されると、ステップ13Aに進んで、AF枠Aに対応するフォーカス位置fAを求め、その後、AF枠Bが設定される(ステップS12に相当)と、ステップ13Bに進んで、AF枠Bに対応するフォーカス位置fBを求めてもよい。
実施の形態1、2において、デジタルカメラは、使用者が入力した2つのAF枠に対してピント送り動作を実行するものとしたが、本開示はこれに限定されるものではない。使用者が3つ以上のAF枠を入力し、入力されたこれらのAF枠に対して順次ピント送り動作を実行してもよい。使用者が2つ以上のAF枠を入力し、入力された複数のAF枠に対してピント送り動作を実行するものであればよい。