JP6441836B2 - コンクリート壁高欄の取付け構造 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート壁高欄の取付け構造に関し、特にコンクリート床版の側縁部に沿って設置されるコンクリート壁高欄の取付け構造に関する。
例えば道路橋や高架道路等における幅員方向の側縁部には、当該側縁部に沿って、主として走行車両の運転者の視線を誘導したり、走行車両が道路の外側に逸脱するのを防止したりするための、コンクリート製の壁高欄が設置されている。
コンクリート製の壁高欄は、一般に現場打ちコンクリートによって、コンクリート床版の側縁部に沿って形成されており、また走行車両が衝突して破損したり、老朽化したりすることで取り替える必要が生じた際にも、現場打ちコンクリートによって形成し直すのが一般的であったが、現場打ちコンクリートによってコンクリート製の壁高欄を形成する場合、鉄筋や型枠の組立作業や、コンクリートの打設作業や養生等に多くの手間を要することになる。また、こうした作業に伴い、通行止めや通行規制時間を設けるなどの対応が必要となっていた。
このため、予め工場等で製造されたプレキャストコンクリート製の壁高欄を用いて、効率良く簡易に壁高欄を新設したり取り替えたりできるようにする技術が種々開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。また、コンクリート製の壁高欄は、走行車両が道路の外側に逸脱するのを防止するだけでなく、走行車両が衝突した際の衝突エネルギーも吸収できるようにすることが望ましいことから、衝突エネルギーを吸収できるようにした、プレキャストコンクリート製の壁高欄とコンクリート床版との結合方法も開発されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2001−193015号公報 特開2008−2259号公報 特開2013−36205号公報 特開平7−102528号公報
しかしながら、特許文献4の結合方法では、プレキャストコンクリート製の壁高欄に、縦方向に貫通するシースを複数形成したり、各々のシースにPC鋼棒や定着具を取り付けたり、PC鋼棒にプレストレスを導入したりする必要を生じて、壁高欄の製造や取付け工程が煩雑且つ高価になる。このため、走行車両が道路の外側に逸脱するのを防止できると共に、走行車両が衝突した際の衝突エネルギーを効果的に吸収できるコンクリート壁高欄を、プレキャストコンクリート製の部材を用いて、より簡易に且つ安価に、コンクリート床版の側縁部に沿って設置することを可能にする新たな技術の開発が望まれている。
本発明は、走行車両が道路の外側に逸脱するのを防止できると共に、走行車両が衝突した際の衝突エネルギーを効果的に吸収可能なコンクリート壁高欄を、プレキャストコンクリート製の部材を用いて、より簡易に且つ安価に、コンクリート床版の側縁部に沿って設置することのできるコンクリート壁高欄の取付け構造を提供することを目的とする。
本発明は、コンクリート床版の側縁部に沿って設置されるコンクリート壁高欄の取付け構造であって、前記コンクリート壁高欄は、プレキャストコンクリート製の壁本体部と、該壁本体部の下端部内側面に一体として取り付けられる鋼製地覆部とからなり、該鋼製地覆部は、複数のボルト締着孔が形成された底面接合板及び側面接合板によるL字断面形状を備える接合プレートと、該接合プレートの長手方向に間隔をおいて配置されると共に、前記底面接合板の内側面と前記側面接合板の内側面とに跨って、前記接合プレートの長手方向と垂直又は略垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレートとを含んで構成されており、前記コンクリート壁高欄の前記壁本体部は、前記側面接合板のボルト締着孔にボルト部材を締着して前記鋼製地覆部を当該壁本体部の下端部内側面に接合すると共に、前記底面接合板のボルト締着孔にボルト部材を締着して前記鋼製地覆部を前記コンクリート床版に接合することにより、前記鋼製地覆部を介して前記コンクリート床版の側縁部に沿って取り付けられており、且つ前記鋼製地覆部は、前記コンクリート壁高欄が車両からの衝突荷重を受けた際に、前記壁本体部の主鉄筋が降伏したり、前記壁本体部のコンクリートが圧壊するのに先立って、前記リブプレートが、前記底面接合板と前記側面接合板との角度を広げる力を受けて塑性変形するように設計されているコンクリート壁高欄の取付け構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明のコンクリート壁高欄の取付け構造は、前記L字断面形状を備える接合プレートの、前記底面接合板の先端部と前記側面接合板の先端部との間の開口部分を覆って、斜め蓋プレートが取り付けられていることが好ましい。
また、本発明のコンクリート壁高欄の取付け構造は、前記リブプレートが、接合辺部を、前記接合プレートの角部との間に間隔おいた状態で前記底面接合板の内側面や前記側面接合板の内側面に接合することで、これらの内側面に跨って設けられていることが好ましい。
さらに、本発明のコンクリート壁高欄の取付け構造は、前記リブプレートが、前記底面接合板の内側面に接合される接合辺部を、50〜200mmの接合長さで接合して、前記底面接合板の内側面と前記側面接合板の内側面とに跨って設けられていることが好ましい。
さらにまた、本発明のコンクリート壁高欄の取付け構造は、前記リブプレートの、前記接合プレートの角部と対向する位置において斜めに延設する斜辺部に、角部側に向けて切りまれた切込み部が形成されていることが好ましい。
また、本発明のコンクリート壁高欄の取付け構造は、前記コンクリート壁高欄の前記壁本体部が、外側面を前記コンクリート床版の端面と面一に配置して取り付けられており、前記壁本体部の外側面と前記コンクリート床版の端面とに跨って、耐風補強プレートが、ボルト締着孔にボルト部材を締着して取り付けられていることが好ましい。
さらに、本発明のコンクリート壁高欄の取付け構造は、前記耐風補強プレートが、前記コンクリート床版の端面の下端部から折れ曲がって、前記コンクリート床版の底面に沿って延設した状態で取り付けられていることが好ましい。
本発明のコンクリート壁高欄の取付け構造によれば、走行車両が道路の外側に逸脱するのを防止できると共に、走行車両が衝突した際の衝突エネルギーを効果的に吸収可能なコンクリート壁高欄を、プレキャストコンクリート製の部材を用いて、より簡易に且つ安価に、コンクリート床版の側縁部に沿って設置することができる。また、コンクリート壁高欄を簡易に設置できるので、通行止めや通行規制の時間を短縮することができる。
本発明の好ましい一実施形態に係るコンクリート壁高欄の取付け構造の構成を説明する断面図である。 コンクリート壁高欄を内側から見た、斜め蓋プレート及び締付けナットを除いた状態で示す正面図である。 コンクリート壁高欄の、斜め蓋プレート及び締付けナットを除いた状態で示す上面図である。 鋼製地覆部の接合プレートの、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は(a)のB−Bに沿った断面図、(d)は(a)のC−Cに沿った断面図である。 図1のA部拡大図である。 耐風補強プレートの他の取付け形態を例示する略示断面図である。 リブプレートの他の形態を説明するコンクリート壁高欄の取付け構造の要部断面図である。 (a)、(b)は鋼製地覆部の他の形態を説明する断面図である。 鋼製地覆部の他の形態を説明する、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は左側面図である。 斜め蓋プレートの他の形態を説明する、(a)は背面図、(b)は上面図、(c)は左側面図である。 鋼製地覆部と斜め蓋プレートとの他の接合状態を説明する断面図である。
本発明の好ましい一実施形態に係るコンクリート壁高欄の取付け構造10は、図1に示すように、例えば道路橋を新設する際に、コンクリート床版11の側縁部に沿って、コンクリート壁高欄12を、プレキャストコンクリート製の部材を用いて、簡易に且つ安価に設置できるようにするための構造として採用されたものである。また、本実施形態の取付け構造10は、形成したコンクリート壁高欄12に交通事故等によって走行車両が衝突した際に、衝突時のエネルギーを効果的に吸収することで、プレキャストコンクリート製の部材からなる壁本体部13が、圧壊等して破損することになるのを抑制すると共に、本体構造物であるコンクリート床版11が破損するのを抑制して、好ましくは壁本体部13を再利用できるようにすると共に、コンクリート床版11を補修することなくそのまま利用できるようにする機能を備えている。
そして、本実施形態のコンクリート壁高欄の取付け構造10は、コンクリート床版11の側縁部に沿ってコンクリート壁高欄12を設置するための取付け構造であって、図2及び図3にも示すように、コンクリート壁高欄12は、プレキャストコンクリート製の壁本体部13と、壁本体部13の下端部内側面に一体として取り付けられる鋼製地覆部14とからなり、鋼製地覆部14は、複数のボルト締着孔15a、16aが形成された底面接合板15及び側面接合板16によるL字断面形状を備える接合プレート17と、接合プレート17の長手方向に間隔をおいて配置されると共に、底面接合板15の内側面と側面接合板16の内側面とに跨って、接合プレート17の長手方向と垂直又は略垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレート18,19とを含んで構成されている。コンクリート壁高欄12の壁本体部13は、側面接合板16の側面ボルト締着孔16aに第1ボルト部材20aを締着して鋼製地覆部14を当該壁本体部13の下端部内側面に接合すると共に、底面接合板15の底面ボルト締着孔15aに第2ボルト部材20bを締着して鋼製地覆部14をコンクリート床版11に接合することにより、鋼製地覆部14を介してコンクリート床版11の側縁部に沿って強固に取り付けられている。且つ鋼製地覆部14は、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、壁本体部13の主鉄筋が降伏したり、壁本体部13のコンクリートが圧壊するのに先立って、リブプレート18,19が、底面接合板15と側面接合板16との角度を広げる力を受けて塑性変形するように設計されている。
また、本実施形態では、L字断面形状を備える接合プレート17の底面接合板15の先端部と側面接合板16の先端部との間の開口部分を覆って、斜め蓋プレート21(図1参照)が取り付けられている。
さらに、本実施形態では、コンクリート壁高欄12の壁本体部13は、図1に示すように、外側面をコンクリート床版11の端面と面一に配置して取り付けられており、壁本体部13の外側面とコンクリート床版11の端面とに跨って、耐風補強プレート22が、外側ボルト締着孔22aにボルト部材20a,20cを締着して取り付けられている。
本実施形態では、コンクリート壁高欄12を構成する壁本体部13は、予め工場等で製造された、プレキャストコンクリート製の鉄筋コンクリート部材として形成されている。壁本体部13は、例えば高さが1080mm程度、長さが1990mm程度の矩形の正面形状を有すると共に、厚さが200mm程度の縦長偏平な断面形状を有する、角部が面取りされた厚板形状に形成されている。壁本体部13は、コンクリート床版11の側縁部に沿って、例えば無収縮モルタル等による10mm程度の幅の目地部23を介在させた状態で(図2、図3参照)、長さ方向に複数連設配置されることで、コンクリート床版11の側縁部に沿って延設する一連の壁体を形成する。これらの複数連設配置された壁本体部13は、例えばPC鋼線等を用いて連設方向に連結しておくことが好ましい。
また、本実施形態では、各々の壁本体部13の下端部分には、複数の第1ボルト部材20aが、厚さ方向に貫通すると共に、両端部に形成された雄ネジ部を壁本体部13の内側面及び外側面から突出させた状態で、埋め込みボルトとして取り付けられている。これらの第1ボルト部材20aは、後述する鋼製地覆部14の接合プレート17の側面接合板16に形成された側面ボルト締着孔16aの配設位置や、耐風補強プレート22に形成された外側ボルト締着孔22aの配設位置と対応させて、例えば壁本体部13の長さ方向に250mm程度のピッチで、2段に埋め込み配置されて取り付けられている。また各々の壁本体部13の上端面及び下端面には、吊上げ用のインサートアンカー24が、2箇所づつ埋め込み配置されて取り付けられている。
壁本体部13と共にコンクリート壁高欄12を構成する鋼製地覆部14は、図4(a)〜(d)に示すように、底面接合板15及び側面接合板16によるL字断面形状を有する接合プレート17と、底面接合板15の内側面と側面接合板16の内側面とに跨って接合された複数のリブプレート18,19とからなり、さらに、図5に示すように、底面接合板15の先端部と側面接合板16の先端部との間の開口部分を覆って、斜め蓋プレート21が取り付けられている。
接合プレート17は、例えば幅が550mm程度、長さが1990mm程度の帯板形状を有する、厚さが6〜9mm程度の鋼製プレートに、折曲げ加工等を施すことによって形成される。接合プレート17は、幅方向中央部分を折曲げ線として、底面接合板15に対して側面接合板16を垂直に折り曲げることによって、L字断面形状を有するように形成される。また底面接合板15や側面接合板16の張出し先端側の縁部分を、例えば30mm程度の幅で内側に垂直に折り曲げることによって、斜め蓋プレート21を接合させる接合片15b,16bが形成されている。
さらに、本実施形態では、接合プレート17の側面接合板16に、複数の側面ボルト締着孔16aが開口形成されていると共に、底面接合板15に、複数の底面ボルト締着孔15aが開口形成されている。すなわち、側面接合板16の側面ボルト締着孔16aは、壁本体部13の下端部分に取り付けられた複数の第1ボルト部材20aの配設位置と対応させて、例えば接合プレート17の長さ方向に250mm程度のピッチで2段に配置されて形成されている。底面接合板15の底面ボルト締着孔15aは、例えば打込み式アンカーとしてコンクリート床版11の上面に打ち込まれて固定された、複数の第2ボルト部材20bの配設位置と対応させて、複数形成されている。底面接合板15の底面ボルト締着孔15aは、現場で打ち込まれてコンクリート床版11に固定された第2ボルト部材20bの施工誤差を吸収できるように、楕円形状を有する締着孔として開口形成されている。
底面接合板15の内側面と側面接合板16の内側面とに跨って接合されるリブプレート18,19は、本実施形態では、接合プレート17の長さ方向の両端部に取り付けられる端部リブプレート19と、両側の端部リブプレート19の間の部分に、例えば500mm程度のピッチで配置されて取り付けられる複数の中間リブプレート18とからなる。
端部リブプレート19は、例えば5〜9mm程度の厚さの鋼製プレートからなり、図4(c)に示すように、直角三角形の3箇所の角部を、対向する辺部と平行な切欠き辺部で切り欠いた、6角形の側面形状を有するように形成されている。端部リブプレート19は、直角部分を挟んだ両側の辺部を接合辺部19a,19bとして、好ましく溶接等によって、底面接合板15の内側面や側面接合板16の内側面に接合すると共に、各接合辺部19a,19bの直角部分とは反対側に連設する切欠き辺部を、底面接合板15や側面接合板16の接合片15b,16bの内側に各々収めた状態で、接合プレート17の長手方向Xと垂直な面に沿って配置されて、接合プレート17の両端部に取り付けられる。これによって、端部リブプレート19の直角部分と対向する斜辺部19cは、両側の接合片15b,16bの間で斜めに延設するように配置される。また、端部リブプレート19は、直角部分が切欠き辺部によって切り欠かれていることにより、これの両側の接合辺部19a,19bが、接合プレート17の角部17aとの間に間隔おいた状態で、底面接合板15の内側面や側面接合板16の内側面に接合されるようになっている。
中間リブプレート18は、例えば5〜9mm程度の厚さの鋼製プレートからなり、図4(d)に示すように、直角三角形の3箇所の角部を切り欠いた上述の端部リブプレート19の形状から、上部切欠き辺部18dを、側面接合板16の接合片16bと離間させるようにさらに下方に切り欠くと共に、側部切欠き辺部18eを、底面接合板15の接合片15bと離間させるように、円弧形状に湾曲する湾曲切欠き部としてさらに側方に切り欠いた形状を備えている。これによって、中間リブプレート18は、端部リブプレート19と比較して、底面接合板15の内側面や側面接合板16の内側面に接合される、接合辺部18a,18bの接合長さが減少している。特に、底面接合板15の内側面に接合される接合辺部18aは、湾曲切欠き部18eが形成されていることで、50〜200mmの接合長さで底面接合板15に接合されるようになっている。中間リブプレート18の直角部分と対向する位置には、斜めに延設する斜辺部18cが配設されている。
なお、本発明では、鋼製地覆部に設けられるリブプレートの形状、厚さ、大きさ、配設ピッチ等は、上述の中間リブプレート18及び端部リブプレート19や、これらの配設位置等に限定されることなく、コンクリート壁高欄が車両からの衝突荷重を受けた際に、壁本体部の主鉄筋が降伏したり、壁本体部のコンクリートが圧壊するのに先立って、リブプレートが、底面接合板と側面接合板との角度を広げる力を受けて効率良く塑性変形することを可能にする、種々の形状、厚さ、大きさ、配設ピッチ等となるように、適宜設計することが可能である。
また、本実施形態では、中間リブプレート18や端部リブプレート19は、接合辺部18a,18b,19a,19bを、接合プレート17の角部17aとの間に間隔おいた状態で、底面接合板15の内側面や側面接合板16の内側面に接合されるようになっているので、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けることで、底面接合板15と側面接合板16との角度を広げる力を受けた際の、塑性変形の開始時期を調整することが可能になる。
特に、本実施形態では、中間リブプレート18は、湾曲切欠き部18eが形成されていることで、底面接合板15の内側面に接合される接合辺部18aを、50〜200mmの接合長さで接合して、底面接合板15の内側面と側面接合板16の内側面とに跨って設けられているので、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、底面接合板15と側面接合板16との角度を広げる力を受けて、より一層効率良く塑性変形することが可能になる。
底面接合板15の先端部と側面接合板16の先端部との間の開口部分を覆って取り付けられる斜め蓋プレート21は、本実施形態では、図5に示すように、例えば幅が400mm程度、長さが1990mm程度の帯板形状を有する、厚さが6〜9mm程度の鋼製プレートに、折曲げ加工等を施すことによって形成される。斜め蓋プレート21には、両側の側縁部を、各々略45度の角度で折り曲げることによって、幅の狭い上部蓋側接合片21aと幅の広い下部蓋側接合片21bとが形成されている。斜め蓋プレート21は、壁本体部13と共に鋼製地覆部14をコンクリート床版11の側縁部に沿って取り付けた後に、上部蓋側接合片21aや下部蓋側接合片21bを、接合プレート17の側面接合板16の接合片16bや底面接合板15の接合片15bに、溶接等によって接合することで、底面接合板15の先端部と側面接合板16の先端部との間の開口部分を覆って、内側面を中間リブプレート18や端部リブプレート19の斜辺部18c,19cに沿わせるようにして斜めに取り付けられて、接合プレート17やリブプレート18,19と共にコンクリート壁高欄12の鋼製地覆部14を形成する。
接合プレート17の底面接合板15の先端部と側面接合板16の先端部との間の開口部分を覆って、斜め蓋プレート21が取り付けられていることにより、走行車両がコンクリート壁高欄12に衝突する際に、鋼製地覆部14の斜め蓋プレート21に車輪を乗り上げさせてから、壁本体部13に車両を衝突させることで、コンクリート壁高欄12に負荷される衝突時のエネルギーを、効果的に緩和することが可能になる。
本実施形態では、コンクリート壁高欄12をコンクリート床版11の側縁部に沿って設置するのに先立って、鋼製地覆部14を、壁本体部13の下端部内側面に一体として取り付ける。鋼製地覆部14の壁本体部13への取り付けは、図1及び図5に示すように、壁本体部13の下端部分に埋め込みボルトとして取り付けられている複数の第1ボルト部材20aの、内側面から突出している雄ネジ部を、接合プレート17の側面接合板16に形成された複数の側面ボルト締着孔16aに各々合致させて挿通した状態で、締付けナット25aを締め着けることで、鋼製地覆部14を壁本体部13に接合することによって行うことができる。
次に、下端部内側面に鋼製地覆部14が一体として取り付けられた壁本体部13を、例えば吊上げ用のインサートアンカー24を介して吊上げて、コンクリート床版11の側縁部に沿った所定の位置に取り付ける。壁本体部13のコンクリート床版11の側縁部への取り付けは、打込み式アンカーとしてコンクリート床版11の上面に打ち込まれて固定されている複数の第2ボルト部材20bの、敷きモルタル26の上面から突出している雄ネジ部を、鋼製地覆部14の底面接合板15に形成された複数の底面ボルト締着孔15aに各々合致させて挿通した状態で、締付けナット25bを締め着けることで、壁本体部13を、製地覆部14介してコンクリート床版11の側縁部に接合することによって行うことができる。
壁本体部13と共に鋼製地覆部14を、コンクリート床版11の側縁部に沿って取り付けたら、上述のように、斜め蓋プレート21を、鋼製地覆部14の底面接合板15の先端部と側面接合板16の先端部との間の開口部分を覆って取り付けることにより、コンクリート壁高欄12が、本実施形態の取付け構造10によって、コンクリート床版11の側縁部に沿って設置されることになる。
ここで、本実施形態では、コンクリート壁高欄12をコンクリート床版11に固定するための第2ボルト部材20bは、コンクリート床版11を貫通させることなく、打込み式アンカーとしてコンクリート床版11の上面に打ち込まれることにより固定されている。これによって、コンクリート床版11にボルト挿通用の貫通孔を形成した場合よりも、コンクリート床版11の強度が低下しないようにすることが可能になる。また、例えばコンクリート床版の厚さが薄い場合には、コンクリート床版にボルト挿通用の貫通孔を形成して、コンクリート床版の上面及び下面の双方からボルト部材を締着させても良い。
また、本実施形態では、コンクリート床版11の側縁部にコンクリート壁高欄12を据え付けるのに先立って、コンクリート床版11の上面に敷きモルタル26を、例えば20mm程度の厚さで敷設することで、敷きモルタル26を介在させた状態で、コンクリート壁高欄12がコンクリート床版11の側縁部に沿って設置されるようになっている。敷きモルタル26を敷設することにより、コンクリート床版11の側縁部の上面の不陸を整正して、コンクリート壁高欄12をより安定した状態で設置することが可能になる。なお、本実施形態では、例えば道路橋にコンクリート壁高欄12を新設する際の取付け構造10として、本発明を説明しているが、破損したり老朽化したコンクリート壁高欄を取り替える際にも、古いコンクリート壁高欄を撤去した部分のコンクリート床版の上面に敷きモルタルを敷設することによって、コンクリート床版の上面の不陸を整正して、コンクリート壁高欄をより安定した状態で設置することが可能になる。
本実施形態のコンクリート壁高欄の取付け構造10では、さらに、コンクリート壁高欄12の外側に、コンクリート壁高欄12が風荷重を受けても内側に倒れ込まないように補強するための、耐風補強プレート22が取り付けられている。耐風補強プレート22は、例えば幅が450mm程度、長さが1990mm程度の帯板形状を有する、厚さが6mm程度の鋼製プレートからなる。耐風補強プレート22の上部には、壁本体部13の下端部分に取り付けられた複数の第1ボルト部材20aの配設位置と対応させて、複数の外側ボルト締着孔22aが、長さ方向に250mm程度のピッチで2段に配置されて形成されている。耐風補強プレート22の下部にもまた、複数の外側ボルト締着孔22aが、例えば打込み式アンカーとしてコンクリート床版11の端面に打ち込まれて固定された、複数の第3ボルト部材20cの配設位置と対応させて形成されている。
また、本実施形態では、コンクリート壁高欄12の壁本体部13は、外側面をコンクリート床版11の端面と面一に配置して取り付けられている。耐風補強プレート22は、壁本体部13の外側面とコンクリート床版11の端面とに跨がるように配置されると共に、壁本体部13の下端部分に埋め込みボルトとして取り付けられている複数の第1ボルト部材20aの、外側面から突出している雄ネジ部を、上部に形成された複数の外側ボルト締着孔22aに各々合致させて挿通した状態で、締付けナット25cを締め着け、また打込み式アンカーとしてコンクリート床版11の端面に打ち込まれて固定されている複数の第3ボルト部材20cの、コンクリート床版11の端面から突出している雄ネジ部を、下部に形成された複数の外側ボルト締着孔22aに各々合致させて挿通した状態で、締付けナット25dを締め着けることによって、コンクリート壁高欄12の外側に強固に取り付けられている。
コンクリート壁高欄12の外側に、壁本体部13の外側面とコンクリート床版11の端面とに跨って、耐風補強プレート22が取り付けられていることにより、例えばコンクリート壁高欄12の壁本体部13に支持させてこれの上方に防音壁等が取り付けられていて、コンクリート壁高欄12に相当の大きさの風荷重が負荷される場合でも、風荷重によってコンクリート壁高欄12の壁本体部13が内側に倒れ込まないように、効果的に補強することが可能になる。
そして、上述の構成を備える本実施形態のコンクリート壁高欄の取付け構造10によれば、走行車両が道路の外側に逸脱するのを防止できると共に、走行車両が衝突した際の衝突エネルギーを効果的に吸収可能なコンクリート壁高欄12を、プレキャストコンクリート製の部材を用いて、より簡易に且つ安価に、コンクリート床版11の側縁部に沿って設置することが可能になる。
すなわち、本実施形態の取付け構造10によれば、コンクリート壁高欄12は、プレキャストコンクリート製の壁本体部13と、壁本体部13の下端部内側面に一体として取り付けられる鋼製地覆部14とからなり、鋼製地覆部14は、L字断面形状を備える接合プレート17と、接合プレート17の長手方向と垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレート18,19とからなり、壁本体部13は、第1ボルト部材20aを締着して鋼製地覆部14を下端部内側面に接合すると共に、第2ボルト部材20bを締着して鋼製地覆部14をコンクリート床版11に接合することで、鋼製地覆部14を介してコンクリート床版11の側縁部に沿って強固に取り付けられており、且つ鋼製地覆部14は、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、壁本体部13の主鉄筋が降伏したり、壁本体部13のコンクリートが圧壊するのに先立って、リブプレート18,19が、底面接合板15と側面接合板16との角度を広げる力を受けて塑性変形するように設計されている。
これによって、本実施形態によれば、工場等で精度良く形成されたプレキャストコンクリート製の壁本体部13や、鋼製地覆部14を用いて、且つ第1ボルト部材20aや第2ボルト部材20bを締着するだけの簡易な施工方法によって、安価に且つ容易に、コンクリート壁高欄12をコンクリート床版11の側縁部に沿って設置することが可能になると共に、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、鋼製地覆部14のリブプレート18,19が塑性変形することで、衝突エネルギーを効果的に吸収して、壁本体部13が損傷するのを効果的に抑制することが可能になる。またこれによって、損傷が抑制された壁本体部13を再利用することが可能になる。さらに、本体構造物であるコンクリート床版11が破損するのを抑制して、コンクリート床版11を補修することなくそのまま利用できるようにすることが可能になる。さらにまた、コンクリート壁高欄12を簡易に設置できるので、通行止めや通行規制の時間を短縮することが可能になる。
図7は、底面接合板15の内側面と側面接合板16の内側面とに跨って接合されるリブプレートの他の形態を例示するものである。図7に示すリブプレート27は、例えば5〜9mm程度の厚さの鋼製プレートからなり、直角三角形の3箇所の角部を、対向する辺部と平行又は略平行な切欠き辺部で切り欠いた、略6角形の側面形状を有するように形成されている。リブプレート27は、直角部分を挟んだ両側の辺部を接合辺部27a,27bとして、好ましく溶接等によって、底面接合板15の内側面や側面接合板16の内側面に接合すると共に、円弧形状に切り欠かれた直角部分に臨んで配置されている、接合プレート17の角部17aと対向する位置において、斜めに延設する斜辺部27cの中央部分に、接合プレート17の角部17a側に向けて切りまれた切込み部27dが形成されている。
リブプレート27の斜辺部27cに切込み部27dが形成されていることにより、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、底面接合板15と側面接合板16との角度を広げる力を受けて、リブプレート27がよりスムーズに塑性変形することが可能になると共に、切込み部27dの長さを調整することによって、鋼製地覆部14の耐力を調整することが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、壁本体部の外側面とコンクリート床版の端面とに跨って、耐風補強プレートを取り付ける必要は必ずしも無い。また、耐風補強プレート22’は、図6に示すように、コンクリート床版11’の端面の下端部から折れ曲がって、コンクリート床版11’の底面に沿って延設させた状態で取り付けても良い。これによって、風荷重によって壁本体部13’が内側に倒れ込まないように、コンクリート壁高欄12’をさらに効果的に補強することが可能になる。
図8(a)、(b)に示すように、鋼製地覆部の接合プレートの底面接合板28や側面接合板29には、これらの張出し先端側の縁部分を折り曲げて、接合片を設ける必要は必ずしも無く、鋼製地覆部のリブプレート30,31は、円弧形状の湾曲切欠き部30a(図8(a)参照)や、斜辺部に形成された切込み部31a(図8(b)参照)の大きさや形状を、適宜設計して用いることができる。
図9(a)〜(c)に示すように、鋼製地覆部32には、接合プレート33の長さ方向の両端部に端部リブプレートを設ける必要は必ずしも無く、両端部を除いた部分にのみ、複数のリブプレート34を、長さ方向に所定の間隔をおいて設けることができる。
また、斜め蓋プレート35を鋼製地覆部32に取り付けるための他の好ましい方法として、例えば図10(a)〜(c)に示すように、斜め蓋プレート35の上部蓋側接合片35aと下部蓋側接合片35bに、これらの先端から内側に折れ曲がるようにして突出する係合リブ片36a,36bを、長さ方向に所定の間隔をおいて複数設けると共に、斜め蓋プレート35の斜め本体部35cの中央部分に、鉤状リブ片36cを、内側に突出させて長さ方向に所定の間隔をおいて複数設けておく。一方、図9(a)〜(c)に示すように、鋼製地覆部32には、接合プレート33の側面接合板37の接合片37aに、細長いスリット状の係合孔37bが長さ方向に所定の間隔をおいて複数形成されていると共に、底面接合板38の接合片38aに、幅広部と狭幅部とからなる2段形状の係合孔38bが長さ方向に所定の間隔をおいて複数形成されており、さらに、鋼製地覆部32の各々のリブプレート34には、斜辺部34aの中央部分に近接して、スリット状の係合孔34bが、当該斜辺部34aと平行に延設して形成されている。
そして、斜め蓋プレート35の上部蓋側接合片35aの係合リブ片36aを、鋼製地覆部32の側面接合板37の接合片37aの係合孔37bに差し込むと共に、斜め蓋プレート35の下部蓋側接合片35bの係合リブ片36bを、鋼製地覆部32の底面接合板38の接合片38aの係合孔38bに差し込み、さらに斜め蓋プレート35の斜め本体部35cの鉤状リブ片36cの先端片を、鋼製地覆部32のリブプレート34の係合孔34bに対向配置した状態で、斜め蓋プレート35を、鋼製地覆部32に対してこれらの長さ方向に僅かにスライド移動させることで、斜め蓋プレート35の上部蓋側接合片35aの係合リブ片36aを、鋼製地覆部32の側面接合板37の接合片37aの係合孔37bに係合させると共に、斜め蓋プレート35の下部蓋側接合片35bの係合リブ片36bを、鋼製地覆部32の底面接合板38の接合片38aの係合孔38bに係合させ、さらに斜め蓋プレート35の斜め本体部35cの鉤状リブ片36cの先端片を、鋼製地覆部32のリブプレート34の係合孔34bに係合させることで、図11に示すように、斜め蓋プレート35を鋼製地覆部32に一体として取り付けることができる。
また、コンクリート床版11の側縁部に沿って、複数のコンクリート壁高欄12が長さ方向に連設配置された際に、隣接するコンクリート壁高欄12の鋼製地覆部32に取り付けられた一対の斜め蓋プレート35を、これらの長さ方向の端部同志を例えばジョイント用の差し込みゴムとして公知の一般工業用のH型ゴムを介して隙間無く連結接合することで、鋼製地覆部32の内部に雨水等が侵入するのを、効果的に回避することが可能になる。
10 コンクリート壁高欄の取付け構造
11 コンクリート床版
12 コンクリート壁高欄
13 壁本体部
14 鋼製地覆部
15 底面接合板
15a 底面ボルト締着孔
15b 接合片
16 側面接合板
16a 側面ボルト締着孔
16b 接合片
17 接合プレート
17a 角部
18 中間リブプレート
18a,18b 接合辺部
18c 斜辺部
18d 上部切欠き辺部
18e 側部切欠き辺部(湾曲切欠き部)
19 端部リブプレート
19a,19b 接合辺部
19c 斜辺部
20a 第1ボルト部材
20b 第2ボルト部材
20c 第3ボルト部材
21 斜め蓋プレート
22 耐風補強プレート
25a,25b,25c,25d 締付けナット
26 敷きモルタル

Claims (7)

  1. コンクリート床版の側縁部に沿って設置されるコンクリート壁高欄の取付け構造であって、
    前記コンクリート壁高欄は、プレキャストコンクリート製の壁本体部と、該壁本体部の下端部内側面に一体として取り付けられる鋼製地覆部とからなり、
    該鋼製地覆部は、複数のボルト締着孔が形成された底面接合板及び側面接合板によるL字断面形状を備える接合プレートと、該接合プレートの長手方向に間隔をおいて配置されると共に、前記底面接合板の内側面と前記側面接合板の内側面とに跨って、前記接合プレートの長手方向と垂直又は略垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレートとを含んで構成されており、
    前記コンクリート壁高欄の前記壁本体部は、前記側面接合板のボルト締着孔にボルト部材を締着して前記鋼製地覆部を当該壁本体部の下端部内側面に接合すると共に、前記底面接合板のボルト締着孔にボルト部材を締着して前記鋼製地覆部を前記コンクリート床版に接合することにより、前記鋼製地覆部を介して前記コンクリート床版の側縁部に沿って取り付けられており、
    且つ前記鋼製地覆部は、前記コンクリート壁高欄が車両からの衝突荷重を受けた際に、前記壁本体部の主鉄筋が降伏したり、前記壁本体部のコンクリートが圧壊するのに先立って、前記リブプレートが、前記底面接合板と前記側面接合板との角度を広げる力を受けて塑性変形するように設計されているコンクリート壁高欄の取付け構造。
  2. 前記L字断面形状を備える接合プレートの、前記底面接合板の先端部と前記側面接合板の先端部との間の開口部分を覆って、斜め蓋プレートが取り付けられている請求項1記載のコンクリート壁高欄の取付け構造。
  3. 前記リブプレートは、接合辺部を、前記接合プレートの角部との間に間隔おいた状態で前記底面接合板の内側面や前記側面接合板の内側面に接合することで、これらの内側面に跨って設けられている請求項1又は2記載のコンクリート壁高欄の取付け構造。
  4. 前記リブプレートは、前記底面接合板の内側面に接合される接合辺部を、50〜200mmの接合長さで接合して、前記底面接合板の内側面と前記側面接合板の内側面とに跨って設けられている請求項3記載のコンクリート壁高欄の取付け構造。
  5. 前記リブプレートの、前記接合プレートの角部と対向する位置において斜めに延設する斜辺部に、角部側に向けて切りまれた切込み部が形成されている請求項1〜4記載のいずれか1項記載のコンクリート壁高欄の取付け構造。
  6. 前記コンクリート壁高欄の前記壁本体部は、外側面を前記コンクリート床版の端面と面一に配置して取り付けられており、前記壁本体部の外側面と前記コンクリート床版の端面とに跨って、耐風補強プレートが、ボルト締着孔にボルト部材を締着して取り付けられている請求項1〜5のいずれか1項記載のコンクリート壁高欄の取付け構造。
  7. 前記耐風補強プレートは、前記コンクリート床版の端面の下端部から折れ曲がって、前記コンクリート床版の底面に沿って延設した状態で取り付けられている請求項6記載のコンクリート壁高欄の取付け構造。
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