[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を詳細に説明する。
図1には、本実施形態に係る燃料電池システム10Aの概略構成が示されている。本実施形態に係る燃料電池システム10Aは、主要な構成として、気化器12、改質器14、第1燃料電池セルスタック16、第2燃料電池セルスタック18、燃料再生器20、パワーコンディショナ22、運転制御部24、第1電流制御器26、第2電流制御器28、及び、燃焼器40を備えている。
気化器12には、原料ガス管P1の一端が接続されており、原料ガス管P1の他端は図示しないガス源に接続されている。ガス源からは、ブロアB1によりメタンが気化器12へ送出される。ブロアB1は、運転制御部24と電気的に接続されており、運転制御部24によってメタンの供給量が制御される。
また、気化器12には、水供給管P2が接続されている。水供給管P2からは、ポンプPにより、水(液相)が気化器12へ送出される。気化器12では、水が気化される。気化には、後述する燃焼器40から排出された燃焼排ガスG10の熱を用いることができる。なお、本実施形態では、原料ガスとしてメタンを用いるが、改質が可能なガスであれば特に限定されず、炭化水素燃料を用いることができる。炭化水素燃料としては、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。低級炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の炭素数4以下の低級炭化水素が挙げられ、本実施形態で用いるメタンが好ましい。なお、炭化水素燃料としては、上述した低級炭化水素ガスを混合したものであってもよい。
メタン及び水蒸気は、気化器12から配管P3を介して改質器14へ送出される。改質器14は、後述する燃焼器40との熱交換により加熱される。改質器14では、メタンを改質し、水素を含む600℃程度の温度の燃料ガスG1を生成する。改質器14には、燃料ガス管P4の一端が接続されている。燃料ガス管P4の他端は、燃料電池セルスタック16のアノード(燃料極)16Aと接続されている。改質器14で生成された燃料ガスG1は、燃料ガス管P4を介してアノード16Aに供給される。
第1燃料電池セルスタック16は、固体酸化物形の燃料電池セルスタックであり(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、積層された複数の燃料電池セルを有している。第1燃料電池セルスタック16は、作動温度が650℃程度に設定されている。第1燃料電池セルスタック16は、後述する燃焼器40の一方面に沿って隣接して配置され、燃焼器40との間で熱交換可能となっている。なお、当該熱交換は、輻射であってもよいし、伝熱材を介した伝熱であってもよい。
第1燃料電池セルスタック16の個々の燃料電池セルは、電解質膜と、当該電解質膜の表裏面にそれぞれ積層されたアノード(燃料極)16A、及びカソード(空気極)16Bと、を有している。
第1燃料電池セルスタック16のカソード16Bには、空気管P5の一端が接続され、空気管P5の他端には、ブロアB2が接続されている。ブロアB2は、運転制御部24と電気的に接続されており、運転制御部24によって空気G5の供給量が制御される。ブロアB2から送出された空気G5は、空気管P5によって、カソード16Bへ供給される。なお、空気管P5を流通する空気G5は、後述する燃焼排ガスG10との間で熱交換を行って、加熱してもよい。
カソード16Bでは、下記(1)式に示すように、空気中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。生成された酸素イオンは電解質膜を通って第1燃料電池セルスタック16のアノード16Aに到達する。
(空気極反応)
1/2O2+2e− →O2− …(1)
カソード16Bからは、カソードオフガスが排出される。
一方、第1燃料電池セルスタック16のアノード16Aでは、下記(2)式及び(3)式に示すように、電解質膜を通ってきた酸素イオンが燃料ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水(水蒸気)及び二酸化炭素と電子が生成される。アノード16Aで生成された電子がアノード16Aから外部回路を通ってカソード16Bに移動することで、各燃料電池セルスタックにおいて発電される。また、各燃料電池セルスタックは、発電時に発熱する。
(燃料極反応)
H2 +O2− →H2O+2e− …(2)
CO+O2− →CO2+2e− …(3)
アノード16Aには、アノードオフガス管P7−1の一端が接続されている。アノード16Aからアノードオフガス管P7−1へ、第1アノードオフガスG3が排出される。第1アノードオフガスG3には、未反応の水素、未反応の一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気等が含まれている。
アノードオフガス管P7−1の他端は、燃料再生器20と接続されている。燃料再生器20は、第1アノードオフガスG3から二酸化炭素及び水蒸気の内の少なくとも一方を除去するものであり、分離膜、凝縮器などを用いることができる。燃料再生器20には、再生燃料ガス管P7−2の一端が接続され、アノード18Aには、再生燃料ガス管P7−2の他端が接続されている。燃料再生器20で第1アノードオフガスG3から二酸化炭素及び水蒸気の内の少なくとも一方が除去された再生燃料ガスG4は、再生燃料ガス管P7−2を通ってアノード18Aへ供給される。
第2燃料電池セルスタック18は、第1燃料電池セルスタック16と同様の構成を有しており、アノード16Aに対応するアノード18Aと、カソード16Bに対応するカソード18Bを備えている。第2燃料電池セルスタック18では、第1燃料電池セルスタック16と同様の反応により、発電される。第2燃料電池セルスタック18は、後述する燃焼器40の第1燃料電池セルスタック16と同一面側に沿って並んで配置され、燃焼器40との間で熱交換可能となっている。なお、当該熱交換は、輻射であってもよいし、伝熱材を介した伝熱であってもよい。
カソード18Bには、カソードオフガス管P9−2の一端が接続されている。カソードオフガス管P9−2の他端は、燃焼器40と接続されている。カソード18Bから排出されたカソードオフガスG9−2は燃焼器40へ送出される。燃焼器40は、内部に燃焼空間Rが形成された金属製の箱体とされ、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の一方面側を覆うように配置されている。燃焼器40には、燃焼器40内へカソードオフガスG9−2を放出する放出部43が形成されている。放出部43は、燃焼器40の第1燃料電池セルスタック16が配置されている側の一端に設けられている。
アノード18Aには、アノードオフガス管P8の一端が接続されている。アノードオフガス管P8の他端は、燃焼器40と接続されている。燃焼器40には、燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8を放出する放出部42が形成されている。放出部42は、燃焼器40の第1燃料電池セルスタック16が配置されている側の一端に設けられている。放出部42から放出された第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、放出部42近傍で燃焼する。これにより、燃焼器40内の放出部42近傍が燃焼点となる。
なお、放出部42までの経路としては、図2(A)に示されるように、燃焼器40の外側から放出部42までアノードオフガス管P8を延在させてもよいし、図2(B)に示されるように、燃焼器40の内側にアノードオフガス管P8を引き込んで放出部42まで延在させてもよい。さらに、図2(C)に示されるように、燃焼器40の内部に第2アノードオフガスG8の流路41を設けて放出部42まで導き、燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8を放出させてもよい。また、放出部43についても、図2(A)〜(C)に示されるように、放出部42と同様に形成してもよい。
燃焼器40には、燃焼排ガス管P10Aが接続されている。燃焼排ガス管P10Aは、燃焼器40の燃焼空間Rを挟んで放出部42、43と反対の他端側に接続されている。燃焼排ガス管P10Aから、燃焼排ガスG10が排出される。
第1燃料電池セルスタック16は、電気配線26Aを介して第1電流制御器26と接続されている。第1電流制御器26は、電気配線26Bを介してパワーコンディショナ22と電気的に接続されている。第1電流制御器26は、電気配線26A、26Bを流れる電流の大きさを制御可能とされている。第2燃料電池セルスタック18は、電気配線28Aを介して第2電流制御器28と接続されている。第2電流制御器28は、電気配線26Bを介してパワーコンディショナ22と電気的に接続されている。第2電流制御器28は、電気配線28A、28Bを流れる電流の大きさを制御可能とされている。パワーコンディショナ22は、運転制御部24と電気的に接続されている。パワーコンディショナ22は、第1電流制御器26、第2電流制御器28を介して電気配線26A、26B、28A、28Bを流れる各々の電流の大きさを制御可能とされ、電気配線26A、26B、28A、28Bを流れる各々の電流の大きさは、パワーコンディショナ22を介して運転制御部24によって制御されている。また、パワーコンディショナ22は、図示しない変電機器を介して図示しない電力負荷に接続されている。第1燃料電池セルスタック16、第2燃料電池セルスタック18で発電された電力は、直流→交流や電圧変換などの変電処理を経て電力負荷で消費される。
運転制御部24は、燃料電池システム10Aに対して要求される負荷電力に応じて、定格出力を上限として出力を変化させつつ運転するように制御を行っている。具体的には、第2燃料電池セルスタック18は一定の出力とし、第1燃料電池セルスタック16に接続された電気配線26Aを流れる電流を制御することで第1燃料電池セルスタック16の出力を下げる。すなわち、燃料電池システム10Aの出力が要求電力負荷に追従するように第1燃料電池セルスタック16の出力を変えて、電力負荷追従運転が行われている。
次に、本実施形態の燃料電池システム10Aの動作について説明する。
ブロアB2により所定の流量で送出された空気G5は、カソード16Bへ供給され、発電に供された後、カソードオフガス管P9−1を経てカソードオフガスG9−1がカソード18Bへ送出される。カソードオフガスG9−1は、カソード18Bで発電に供され、カソード18BからカソードオフガスG9−2が排出される。カソードオフガスG9−2は、カソードオフガス管P9−2を経て燃焼器40へ送出される。
一方、ブロアB1により送出されたメタンは、気化器12へ供給される。また、気化器12には、ポンプPにより水(液相)が供給され、燃焼排ガス(不図示)により加熱される。これにより水は気化され、加熱されたメタンと水蒸気は配管P3を経て改質器14へ送出され、燃料ガスG1へ改質される。燃料ガスG1は、燃料ガス管P4を経てアノード16Aへ供給され、発電に供される。アノード16Aからは、未反応の水素等の燃料を含む第1アノードオフガスG3が排出され、アノードオフガス管P7−1を経て、燃料再生器20へ送出される。第1アノードオフガスG3は、燃料再生器20で二酸化炭素及び水蒸気の内の少なくとも一方が除去されて、再生燃料ガスG4となる。再生燃料ガスG4は、再生燃料ガス管P7−2を通ってアノード18Aへ供給される。再生燃料ガスG4は、アノード18Aで発電に供され、アノード18Aから第2アノードオフガスG8が排出される。
第2アノードオフガスG8は、アノードオフガス管P8を経て燃焼器40へ送出され、放出部42から燃焼器40内へ放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、放出部42近傍で燃焼する。これにより、放出部42近傍の温度が最も上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Aから排出される。
本実施形態では、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18は、燃焼器40と隣接されて熱交換可能となっているので、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18を高温に維持することができる。また、放出部42が、第2燃料電池セルスタック18よりも第1燃料電池セルスタック16に近い位置に配置されているので、第1燃料電池セルスタック16側の温度をより高温に維持することができる。
なお、本実施形態では、燃料再生器20を設けたが、燃料再生器20は必ずしも必要ではない。本実施形態のように、燃料再生器20を設けることにより、第2燃料電池セルスタック18での発電効率を向上させることができる。燃料再生器20を設けた場合、燃料電池システム10Aの昇温時に、燃料再生器20の作動状態が不安定で、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18による発電開始までに時間がかかる場合がある。本実施形態のように、放出部42を配置することにより、第1燃料電池セルスタック16側に優先的に熱を加えて第2燃料電池セルスタック18よりも先に高温にすることができるので、燃料再生器20の影響を受けずに発電可能な第1燃料電池セルスタック16を第2燃料電池セルスタック18よりも先に発電可能温度にし、第1燃料電池セルスタック16による発電開始までの待機時間を短縮することができる。また、燃料再生器20に不具合があった場合でも、燃料再生器20の影響を受けない第1燃料電池セルスタック16を高温に維持して、燃料電池システム10Aの運転を継続することができる。
また、本実施形態では、第1燃料電池セルスタック16側の温度をより高温に維持することができるので、電力負荷追従運転が行われている第1燃料電池セルスタック16について、発電効率の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、燃焼排ガス管P10Aが、燃焼器40の放出部42、43が形成された一端と燃焼空間Rを挟んで反対側の他端に接続されている。したがって、燃焼器40内で燃焼排ガスが一端側から他端側へ流れ、燃焼器40内の第2燃料電池セルスタック18側との温度差を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、第2燃料電池セルスタック18は一定の出力とし、第1燃料電池セルスタック16の出力のみを変えて、電力負荷追従運転が行われる例について説明したが、各種の条件に応じて、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方の出力を変えてもよい。この場合には、第1燃料電池セルスタック16での出力、もしくは電流の変化量が第2燃料電池セルスタック18での出力、もしくは電流の変化量以上となるか、第1燃料電池セルスタック16での出力、もしくは電流の変化率が第2燃料電池セルスタック18での出力、もしくは電流の変化率以上となるように、第1燃料電池セルスタック16での出力を優先的に変化させる。
また、本実施形態の燃料電池システム10Aは、第1燃料電池セルスタック16を前段、第2燃料電池セルスタック18を後段とする、2段の構成の例で説明したが、第2燃料電池セルスタック18の後段に別の燃料電池セルスタックを有する3段の構成、更に4段目の燃料電池セルスタックを備えた燃料電池システムに本発明を適用することもできる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図3に示されるように、本実施形態の燃料電池システム10Bは、放出部42、43に代えて、燃焼器40の第2燃料電池セルスタック18が配置されている側の一端に、放出部44、46が設けられている。
アノード18Aから送出された第2アノードオフガスG8は、第2アノードオフガス管P8を経て、燃焼器40の第2燃料電池セルスタック18が配置されている側の一端に設けられた放出部44から燃焼器40内へ放出される。また、カソード18Bから送出された第2カソードオフガスG9−2は、第2カソードオフガス管P9−2を経て、燃焼器40の第2燃料電池セルスタック18が配置されている側の一端に設けられた放出部46から燃焼器40内へ放出される。
放出部44された第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、放出部44の近傍で燃焼する。これにより、燃焼器40内の放出部44の近傍が燃焼点となる。
なお、放出部44は、図4(A)に示されるように、燃焼器40の外側から放出部44までアノードオフガス管P8を延在させてもよいし、図4(B)に示されるように、燃焼器40の内側にアノードオフガス管P8を引き込んで放出部44まで延在させてもよい。さらに、図4(C)に示されるように、燃焼器40の内部に第2アノードオフガスG8の流路45を設けて放出部44まで導き、燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8を放出させてもよい。また、放出部46についても、図4(A)〜(C)に示されるように、放出部44と同様に形成してもよい。
燃焼器40には、燃焼排ガス管P10Bが接続されている。燃焼排ガス管P10は、燃焼器40の第1燃料電池セルスタック16と第2燃料電池セルスタック18の並び方向の中間部に対応する位置に接続されている。燃焼排ガス管P10Bから、燃焼排ガスG10が燃焼器40の外へ排出される。
運転制御部24は、燃料電池システム10Bに対して要求される負荷電力に応じて、第2燃料電池セルスタック18の出力を定格出力を上限として出力を変化させつつ運転するように制御を行っている。具体的には、第1燃料電池セルスタック16は一定の出力とし、第2燃料電池セルスタック18に接続された電気配線28Aを流れる電流を制御することで第2燃料電池セルスタック18の出力を下げる。すなわち、燃料電池システム10Bの出力が要求電力負荷に追従するように、第2燃料電池セルスタック18の出力を変えて電力負荷追従運転が行われている。
本実施形態でも、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18は、燃焼器40と隣接されて熱交換可能となっているので、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18を高温に維持することができる。また、放出部44が、第1燃料電池セルスタック16よりも第2燃料電池セルスタック18に近い位置に配置されているので、第2燃料電池セルスタック18側の温度をより高温に維持することができる。
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様に燃料再生器20は必ずしも必要ではない。本実施形態のように、燃料再生器20を設けることにより、第2燃料電池セルスタック18での発電効率を向上させることができる。また、燃料再生器20を設けた場合、燃料電池システム10Bの昇温時に、燃料再生器20の作動状態が不安定で、第2燃料電池セルスタック18による発電開始までに時間がかかったり、低出力での発電になったりする場合がある。本実施形態のように、放出部44を配置することにより、第2燃料電池セルスタック18側に優先的に熱を加えることができるので、燃料再生器20が不安定であっても、第2燃料電池セルスタック18を昇温させて発電可能温度することができる。また、燃料再生器20を通過して温度が低下した再生燃料ガスG4を昇温することができる。
また、本実施形態では、第2燃料電池セルスタック18側の温度を高温に維持することができるので、電力負荷追従運転が行われている第2燃料電池セルスタック18について、発電効率の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、燃焼排ガス管P10Bが、燃焼器40の放出部44、46が形成された一端と燃焼空間Rを挟んで反対側の他端に接続されている。したがって、燃焼器40内で燃焼排ガスが一端側から他端側へ流れ、燃焼器40内の第1燃料電池セルスタック16側との温度差を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、第1燃料電池セルスタック16は一定の出力とし、第2燃料電池セルスタック18の出力のみを変えて、電力負荷追従運転が行われる例について説明したが、各種の条件に応じて、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方の出力を変えてもよい。この場合には、第2燃料電池セルスタック18での出力、もしくは電流の変化量が、第1燃料電池セルスタック16での出力、もしくは電流の変化量以上となるか、又は、第2燃料電池セルスタック18での出力、もしくは電流の変化率が、第1燃料電池セルスタック16での出力、もしくは電流の変化率以上となるように、第2燃料電池セルスタック18での出力を優先的に変化させる。
また、本実施形態の燃料電池システム10Bについても、第2燃料電池セルスタック18の後段に別の燃料電池セルスタックを有する3段の構成、更に4段目の燃料電池セルスタックを備えた燃料電池システムに本発明を適用することもできる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図5に示されるように、本実施形態の燃料電池システム10Cは、第1放出部42D、43D、第2放出部44D、46Dを備えている。アノードオフガス管P8は、分岐部V1で前アノードオフガス管P8−1と後アノードオフガス管P8−2に分岐されており、前アノードオフガス管P8−1が放出部42と接続され、後アノードオフガス管P8−2が放出部44と接続されている。切換部としての分岐部V1はバルブで構成されており、運転制御部24と電気的に接続され、運転制御部24によって開閉が制御される。
分岐部V1のバルブは、アノードオフガス管P8からの流路を、前アノードオフガス管P8−1側への流路を開、後アノードオフガス管P8−2側への流路を閉にする場合、前アノードオフガス管P8−1側への流路を閉、後アノードオフガス管P8−2側への流路を開にする場合、前アノードオフガス管P8−1側への流路と後アノードオフガス管P8−2側への流路の両方を開にする場合で切換え可能とされている。
カソードオフガス管P9−2は、分岐部V2で前カソードオフガス管P9−3と後カソードオフガス管P9−4に分岐されており、前カソードオフガス管P9−3が放出部43と接続され、後カソードオフガス管P9−4が放出部46と接続されている。切換部としての分岐部V2はバルブで構成されており、運転制御部24と電気的に接続され、運転制御部24によって開閉が制御される。
分岐部V2のバルブは、カソードオフガス管P9−2からの流路を、前カソードオフガス管P9−3側への流路を開、後カソードオフガス管P9−4側への流路を閉にする場合、前カソードオフガス管P9−3側への流路を閉、後カソードオフガス管P9−4側への流路を開にする場合、前カソードオフガス管P9−3側への流路と後カソードオフガス管P9−4側への流路の両方を開にする場合で切換え可能とされている。
アノード18Aから送出された第2アノードオフガスG8は、第2アノードオフガス管P8を経て、第1放出部42または第2放出部44、或いは第1放出部42及び第2放出部44の両方から燃焼器40内へ放出される。また、カソード18Bから送出された第2カソードオフガスG9−2は、第2カソードオフガス管P9−2を経て、第1放出部43若しくは第2放出部46、又は第1放出部43及び第2放出部46の両方から燃焼器40内へ放出される。
第1放出部42、第2放出部44から燃焼器40内へ放出された第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第1放出部42、第2放出部44の近傍で燃焼する。第1放出部42からの放出の場合には、燃焼器40内の第1放出部42の近傍が燃焼点となり、第2放出部44からの放出の場合には、燃焼器40内の第2放出部44の近傍が燃焼点となり、第1放出部42及び第2放出部44の両方からの放出の場合には、燃焼器40内の第1放出部42、第2放出部44の近傍が燃焼点となる。
なお、第1放出部42、第2放出部44は、図6(A)に示されるように、燃焼器40の外側から第1放出部42、第2放出部44までアノードオフガス管P8−1、P8−2を延在させてもよいし、図6(B)に示されるように、燃焼器40の内側にアノードオフガス管P8−1を引き込んで第1放出部42まで延在させてもよい。さらに、図6(C)に示されるように、燃焼器40の内部に第2アノードオフガスG8の流路47を設けて放出部42まで導き、燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8を放出させてもよい。また、第1放出部43、第2放出部46についても、図6(A)〜(C)に示されるように、第1放出部42、第2放出部44と同様に形成してもよい。
燃焼器40には、燃焼排ガス管P10Cが接続されている。燃焼排ガス管P10は、燃焼器40の第1燃料電池セルスタック16と第2燃料電池セルスタック18の並び方向の中間部に対応する位置に接続されている。燃焼排ガス管P10Cから、燃焼排ガスG10が燃焼器40の外へ排出される。
運転制御部24は、不図示のCPU、ROM、RAMや、データ等の書き込み及び読み出しが可能な記憶部を備えており、予め記憶部に記憶された条件に基づいて、燃料電池システム10Cに対して要求される負荷電力に応じて、第1燃料電池セルスタック16、または、第2燃料電池セルスタック18のいずれか一方の出力を優先的に変動させつつ運転するように制御を行っている。すなわち、燃料電池システム10Cの出力が要求電力負荷に追従するように、第1燃料電池セルスタック16または第2燃料電池セルスタック18の出力を優先的に変動させて、電力負荷追従運転が行われている。具体的には、一方の燃料電池セルスタックのみの出力を定格出力よりも減少させる場合の他、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方の出力を定格出力よりも減少させる場合を含む。第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方の出力を定格出力よりも減少させる場合には、優先変動の燃料電池セルスタックでの出力、もしくは電流の変化量を他方の燃料電池セルスタックでの出力、もしくは電流の変化量以上とするか、または、優先変動の燃料電池セルスタックでの出力、もしくは電流の変化率を他方の燃料電池セルスタックでの出力、もしくは電流の変化率以上とする。
第1燃料電池セルスタック16の出力を優先的に変化させるか、第2燃料電池セルスタック18の出力を優先的に変化させるか、については、各々の燃料電池セルスタックにおける総発電電力量、劣化度合い、時間帯、各々の性能や使用状態等によって決定することができ、その条件が予め運転制御部24に記憶されている。例えば、一方の燃料電池セルスタックの総発電電力量が一定の上限値を超えた場合には、他方の燃料電池セルスタックを優先的に負荷追従運転に対応させて優先的に出力、もしくは電流を制御するように条件を記憶しておくことができる。また、時間の場合であれば、午前7時から午後9時までは、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方を一定出力で運転し、午後9時〜午前2時までは第1燃料電池セルスタック16の出力、もしくは電流を制御し、午前2時〜午前7時までは第2燃料電池セルスタック18の出力、もしくは電流を制御する、という設定を予め記憶しておくことができる。
次に、本実施形態の燃料電池システム10Cの動作について説明する。
運転制御部24は、燃料電池システム10Cの運転中、所定のタイミング、例えば一定時間毎に、図7に示される、第1オフガス送出切換処理を実行する。
第1オフガス送出切換処理では、ステップS10で、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方が定格出力で運転されているかどうかを判断する。判断が肯定された場合には、ステップS12で、運転制御部24から分岐部V1及び分岐部V2へ、第1放出部42、43、第2放出部44、46へ送出する旨の信号が送信される。運転制御部24からの信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−2、8−1の両方が開放される。分岐部V2は、カソードオフガス管P9−4、9−3の両方が開放される。これにより、第1放出部42、第2放出部44から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第1放出部43、第2放出部46から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第1放出部42、第2放出部44近傍で燃焼する。これにより、第1放出部42、第2放出部44近傍の温度が上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
一方、ステップS10での判断が否定された場合には、ステップS14へ進み、予め記憶された条件に基づいて、第1燃料電池セルスタック16の出力を要求負荷電力に応じて優先的に変化させるかどうかを判断する。ステップS14での判断が肯定された場合には、ステップS16で、運転制御部24から分岐部V1及び分岐部V2へ第1放出部42、43へ送出する旨の信号が送信される。この信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−1側が開放され、アノードオフガス管P8−2側が閉鎖される。また、分岐部V2は、カソードオフガス管P9−3側が開放され、カソードオフガス管P9−4側が閉鎖される。これにより、第1放出部42から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第1放出部43から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第1放出部42近傍で燃焼する。これにより、第1放出部42近傍の温度が最も上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
一方、ステップS14での判断が否定された場合には、第2燃料電池セルスタック18の出力を優先的に変化させるため、ステップS18で、運転制御部24から分岐部V1及び分岐部V2へ、第2放出部44、46へ送出する旨の信号が送信される。運転制御部24からの信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−2側が開放され、アノードオフガス管P8−1側が閉鎖される。分岐部V2は、カソードオフガス管P9−4側が開放され、カソードオフガス管P9−3側が閉鎖される。これにより、第2放出部44から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第2放出部46から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、放出部44近傍で燃焼する。これにより、第2放出部44近傍の温度が最も上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
本実施形態でも、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18は、燃焼器40と隣接されて熱交換可能となっているので、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18を高温に維持することができる。また、第1燃料電池セルスタック16が電力負荷追従運転に応じて出力を優先的に変化させている場合には、第1放出部42の近傍に燃焼点を設けて、第1燃料電池セルスタック16側の温度をより高温に維持することができるので、第1燃料電池セルスタック16について、発熱量低下による発電効率の低下を抑制することができる。また、第2燃料電池セルスタック18が電力負荷追従運転に応じて出力を優先的に変化させている場合には、第2放出部44の近傍に燃焼点を設けて、第2燃料電池セルスタック18側の温度をより高温に維持することができるので、第2燃料電池セルスタック18について、発熱量低下による発電効率の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様に燃料再生器20は必ずしも必要ではない。本実施形態のように、燃料再生器20を設けることにより、第2燃料電池セルスタック18での発電効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、燃焼排ガス管P10Cが、燃焼器40の第1燃料電池セルスタック16と第2燃料電池セルスタック18の並び方向の中間部に対応する位置に設けられた例について説明したが、第1実施形態の燃焼排ガス管P10A、及び第2実施形態の燃焼排ガス管P10Bを更に備え、電力負荷追従運転に応じて開放される燃焼排ガス管を、各々に切換弁を設置して切換えてもよい。例えば、第1燃料電池セルスタック16の出力が変化するように制御されている場合には、燃焼排ガス管P10Aの切換弁のみを開放し、第2燃料電池セルスタック18の出力が変化するように制御されている場合には、燃焼排ガス管P10Bの切換弁のみを開放し、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方が一定出力で運転されている場合には、燃焼排ガス管P10Cの切換弁のみを開放して、燃焼排ガスG10を排出することができる。
また、本実施形態の燃料電池システム10Cについても、第2燃料電池セルスタック18の後段に別の燃料電池セルスタックを有する3段の構成、更に4段目の燃料電池セルスタックを備えた燃料電池システムに本発明を適用することもできる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、第1−第3実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
本実施形態の燃料電池システム10Dは、第3実施形態の燃料電池システム10Cと同様の構成を有し、運転制御部24に記憶された、第1燃料電池セルスタック16、第2燃料電池セルスタック18の運転状況と分岐部V1、V2の切換えの条件関係が、第3実施形態の燃料電池システム10Cと異なっている。
運転制御部24は、予め記憶部に記憶された条件に基づいて、第1燃料電池セルスタック16、または、第2燃料電池セルスタック18のいずれか一方を一時的に停止させ、他方のみの発電により運転するように制御を行っている。例えば、燃料電池システム10Dに対する要求負荷が所定の電力量以下の超低負荷である場合には、各々の燃料電池セルスタックにおける総発電電力量、劣化度合い、時間帯、各々の性能や使用状態等によって一方の燃料電池セルスタックを停止させるように運転制御を行うことができる。
なお、第1燃料電池セルスタック16を停止させる場合、運転制御部24は、パワーコンディショナ22を介して第1電流制御器26を制御することにより、電気配線26A、26Bを流れる電流の大きさがゼロになるようにする。また、第2燃料電池セルスタック18を停止させる場合、運転制御部24は、パワーコンディショナ22を介して第2電流制御器28を制御することにより、電気配線28A、28Bを流れる電流の大きさがゼロになるようにする。停止されている燃料電池セルスタックへの燃料ガスG1、再生燃料ガスG4の供給は、運転時と同様に行われ、発電に用いられることなく排出される。
次に、本実施形態の燃料電池システム10Dの動作について説明する。
運転制御部24は、燃料電池システム10Dの運転中、所定のタイミング、例えば一定時間毎に、図8に示される、第2オフガス送出切換処理を実行する。
第2オフガス送出切換処理では、ステップS20で、予め記憶された条件に基づいて、第1燃料電池セルスタック16が停止されているかどうかを判断する。なお、ここでの「第1燃料電池セルスタック16が停止されている」についての判断は、運転制御部24が第1電流制御器26へ運転停止のための信号を送信する前後を問わず、停止のための条件が検出された後で運転停止のための信号送出前に運転停止と判断してもよいし、運転停止の信号送信後の一定時間経過後に運転停止と判断してもよい。
第1燃料電池セルスタック16第1燃料電池セルスタック16が停止されていると判断した場合には、ステップS22で、運転制御部24から分岐部V1及び分岐部V2へ、第2放出部44、46へ送出する旨の信号が送信される。この信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−2側が開放され、アノードオフガス管P8−1側が閉鎖される。また、分岐部V2は、カソードオフガス管P9−4側が開放され、カソードオフガス管P9−3側が閉鎖される。これにより、第2放出部44から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第2放出部46から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第2放出部44近傍で燃焼する。これにより、第2放出部44近傍の温度が最も上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
一方、ステップS20で、第1燃料電池セルスタック16が停止されていないと判断した場合には、ステップS24、で予め記憶された条件に基づいて、第2燃料電池セルスタック18が停止されているかどうかを判断する。ここでの「第2燃料電池セルスタック18が停止されている」についての判断についても、運転制御部24が第2電流制御器28へ運転停止のための信号を送信する前後を問わず、停止のための条件が検出された後で運転停止のための信号送出前に運転停止と判断してもよいし、運転停止の信号送信後の一定時間経過後に運転停止と判断してもよい。
第2燃料電池セルスタック18が停止されていると判断した場合には、ステップS26で、運転制御部24から分岐部V1及び分岐部V2へ第1放出部42、43へ送出する旨の信号が送信される。この信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−1側が開放され、アノードオフガス管P8−2側が閉鎖される。また、分岐部V2は、カソードオフガス管P9−3側が開放され、カソードオフガス管P9−4側が閉鎖される。これにより、第1放出部42から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第1放出部43から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第1放出部42近傍で燃焼する。これにより、第1放出部42近傍の温度が最も上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
ステップS24で、第2燃料電池セルスタック18が停止されていないと判断した場合には、ステップS28で、運転制御部24から分岐部V1及び分岐部V2へ第1放出部42、43、第2放出部44、46へ送出する旨の信号が送信される。運転制御部24からの信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−2、8−1の両方が開放される。分岐部V2は、カソードオフガス管P9−4、9−3の両方が開放される。これにより、第1放出部42、第2放出部44から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第1放出部43、第2放出部46から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第1放出部42、第2放出部44近傍で燃焼する。これにより、第1放出部43、第2放出部44近傍の温度が上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
本実施形態でも、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18は、燃焼器40と隣接されて熱交換可能となっているので、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18を高温に維持することができる。また、第1燃料電池セルスタック16が停止されている場合には、第2放出部44の近傍に燃焼点を設けて、第2燃料電池セルスタック18側の温度を効率よく高温に維持することができる。また、第2燃料電池セルスタック18が停止されている場合には、第1放出部42の近傍に燃焼点を設けて、第1燃料電池セルスタック18側の温度を効率よく高温に維持することができる。
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様に燃料再生器20は必ずしも必要ではない。本実施形態のように、燃料再生器20を設けることにより、第2燃料電池セルスタック18での発電効率を向上させることができる。
また、本実施形態でも、第3実施形態で説明したように、第1実施形態の燃焼排ガス管P10A、及び第2実施形態の燃焼排ガス管P10Bを更に備え、開放される燃焼排ガス管を、各々に切換弁を設置して切換えてもよい。例えば、第1燃料電池セルスタック16が停止の場合には、燃焼排ガス管P10Aの切換弁のみを開放し、第2燃料電池セルスタック18が停止の場合には、燃焼排ガス管P10Bの切換弁のみを開放し、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方が発電状態で運転されている場合には、燃焼排ガス管P10Cの切換弁のみを開放して、燃焼排ガスG10を排出することができる。
また、本実施形態の燃料電池システム10Dについても、第2燃料電池セルスタック18の後段に別の燃料電池セルスタックを有する3段の構成、更に4段目の燃料電池セルスタックを備えた燃料電池システムに本発明を適用することもできる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、第1−第4実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
本実施形態の燃料電池システム10Eは、第3実施形態の燃料電池システム10Cと同様の構成を有し、さらに、温度検知部TC1、TC2を有している。そして、運転制御部24に記憶された、第1燃料電池セルスタック16、第2燃料電池セルスタック18の運転状況と分岐部V1、V2の切換えの条件関係、オフガス送出切換処理が、第3、第4実施形態の燃料電池システム10C、10Dと異なっている。
図9に示されるように、第1燃料電池セルスタック16には、温度検知部TC1が設けられている。温度検知部TC1は、第1燃料電池セルスタック16の温度α1を検知可能とされており、熱電対などを用いることができる。第2燃料電池セルスタック18には、温度検知部TC2が設けられている。温度検知部TC2は、第2燃料電池セルスタック18の温度α2を検知可能とされており、熱電対などを用いることができる。温度検知部TC1、TC2は、運転制御部24と電気的に接続されており、温度α1、α2を運転制御部24へ出力している。
運転制御部24は、予め記憶部に記憶された条件に基づいて、温度α1、α2に応じて分岐部V1、V2の開閉を制御する。具体的には、温度α1、α2の差が予め記憶部に記憶された閾値TH以下の場合には、第1放出部42、第2放出部44の両方へ第2アノードオフガスG8が送出され、第1放出部44、第2放出部46の両方へカソードオフガスG9−2が送出されるように分岐部V1、V2を切換える。温度α1、α2の差が閾値THを超え、α1>α2の場合には、第2放出部44へ第2アノードオフガスG8が送出され、第2放出部46へカソードオフガスG9−2が送出されるように分岐部V1、V2を切換える。温度α1、α2の差が閾値THを超え、α1<α2の場合には、第1放出部42へ第2アノードオフガスG8が送出され、第1放出部43へカソードオフガスG9−2が送出されるように分岐部V1、V2を切換える。
次に、本実施形態の燃料電池システム10Eの動作について説明する。
運転制御部24は、燃料電池システム10Eの運転中、所定のタイミング、例えば一定時間毎に、図10に示される、第3オフガス送出切換処理を実行する。
第3オフガス送出切換処理では、ステップS30で、温度α1、α2の差の絶対値が、予め記憶された閾値TH以下かどうかを判断する。温度α1、α2の差の絶対値が閾値TH以下と判断された場合には、ステップS32で、運転制御部24から分岐部V1及び分岐部V2へ第1放出部42、43、第2放出部44、46へ送出する旨の信号が送信される。
運転制御部24からの信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−2、8−1の両方が開放される。分岐部V2は、カソードオフガス管P9−4、9−3の両方が開放される。これにより、第1放出部42、第2放出部44から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第1放出部43、第2放出部46から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第1放出部42、第2放出部44近傍で燃焼する。これにより、第1放出部42、第2放出部44近傍の温度が上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
一方、ステップS30で、温度α1、α2の差の絶対値が、閾値TH以下でないと判断された場合には、ステップS34へ進む。ステップS34では、温度α1が温度α2よりも高いかどうか(温度α1>温度α2)を判断する。温度α1が温度α2よりも高いと判断された場合には、ステップS36で、第2放出部44、46へ送出する旨の信号が送信される。
この信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−2側が開放され、アノードオフガス管P8−1側が閉鎖される。また、分岐部V2は、カソードオフガス管P9−4側が開放され、カソードオフガス管P9−3側が閉鎖される。これにより、第2放出部44から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第2放出部46から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第2放出部44近傍で燃焼する。これにより、第2放出部44近傍の温度が最も上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
ステップS34で、温度α1が温度α2よりも高くないと判断された場合には、ステップS38で、第1放出部42、43へ送出する旨の信号が送信される。この信号により分岐部V1は、アノードオフガス管P8−1側が開放され、アノードオフガス管P8−2側が閉鎖される。また、分岐部V2は、カソードオフガス管P9−3側が開放され、カソードオフガス管P9−4側が閉鎖される。これにより、第1放出部42から燃焼器40内へ第2アノードオフガスG8が放出され、第1放出部43から燃焼器40内へカソードオフガスG9−2が放出される。第2アノードオフガスG8中の未反応水素、一酸化炭素は、第1放出部42近傍で燃焼する。これにより、第1放出部42近傍の温度が最も上昇する。燃焼器40内の燃焼排ガスG10は、燃焼排ガス管P10Cから排出される。
本実施形態でも、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18は、燃焼器40と隣接されて熱交換可能となっているので、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18を高温に維持することができる。また、第1燃料電池セルスタック16が低温の場合には、第1放出部42の近傍に燃焼点を設けて、第1燃料電池セルスタック16側の温度を高温にして、第2燃料電池セルスタック18との温度差を小さくすることができる。また、第2燃料電池セルスタック18が低温の場合には、第2放出部44の近傍に燃焼点を設けて、第2燃料電池セルスタック18側の温度を高温にして、第1燃料電池セルスタック16との温度差を小さくすることができる。
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様に燃料再生器20は必ずしも必要ではない。本実施形態のように、燃料再生器20を設けることにより、第2燃料電池セルスタック18での発電効率を向上させることができる。
また、本実施形態の第3オフガス送出切換処理を、第3実施形態の第1オフガス送出切換処理や、第4実施形態の第2オフガス送出切換処理に組み込んで実施してもよい。本実施形態の第3オフガス送出切換処理を、第3実施形態の第1オフガス送出切換処理に組み込む場合には、図11に示されるように、第1オフガス送出切換処理において、ステップS12に換えて、第3オフガス送出切換処理をステップS13として組み込むことができる。また、第4実施形態の第2オフガス送出切換処理に組み込む場合には、図12に示されるように、第2オフガス送出切換処理において、ステップS28に換えて、第3オフガス送出切換処理をステップS29として組み込むことができる。
さらに、第4実施形態の第2オフガス送出処理の後に続けて、本実施形態の第3オフガス送出切換処理を行ってもよい。これにより、一方の燃料電池セルスタックの温度が上がりすぎることを防止できる。
また、本実施形態でも、第3実施形態で説明したように、第1実施形態の燃焼排ガス管P10A、及び第2実施形態の燃焼排ガス管P10Bを更に備え、開放される燃焼排ガス管を、各々に切換弁を設置して切換えてもよい。例えば、第1燃料電池セルスタック16が停止の場合には、燃焼排ガス管P10Aの切換弁のみを開放し、第2燃料電池セルスタック18が停止の場合には、燃焼排ガス管P10Bの切換弁のみを開放し、第1燃料電池セルスタック16及び第2燃料電池セルスタック18の両方が発電状態で運転されている場合には、燃焼排ガス管P10Cの切換弁のみを開放して、燃焼排ガスG10を排出することができる。
また、本実施形態の燃料電池システム10Eについても、第2燃料電池セルスタック18の後段に別の燃料電池セルスタックを有する3段の構成、更に4段目の燃料電池セルスタックを備えた燃料電池システムに本発明を適用することもできる。
なお、本発明の燃料電池としては、固体酸化物形の燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に限られるものではなく、他の燃料電池、例えば、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)であってもよい。
さらに、本発明は、前述の第1〜5実施形態に限定されず、本発明の技術的思想内で、当業者によって、既知の装置を組み合わせて実施することができる。例えば、熱交換器の設置、組み合わせなどを、種々に設定することができる。