JP6438491B2 - 液晶表示パネルの製造方法、液晶表示パネル、及び液晶シール剤組成物 - Google Patents

液晶表示パネルの製造方法、液晶表示パネル、及び液晶シール剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示パネルの製造方法、および当該方法により得られる液晶表示パネル、並びに液晶シール剤組成物に関する。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器の画像表示パネルとして、液晶表示パネルが広く使用されている。液晶表示パネルは、表面に電極が設けられた2枚の透明基板の間に液晶材料(以下、単に「液晶」という)を挟み込み、その周りを液晶シール剤によってシールされた構造を有する画像表示パネルである。
上記液晶シール剤は、その使用量は僅かであるものの液晶と直接接触するため、液晶表示パネルの信頼性に大きな影響を与える。したがって、液晶表示パネルの高画質化を実現するため、現在、液晶シール剤には、高度かつ多様な特性が求められている。
従来から、液晶表示パネルは、主に液晶注入工法によって製造されている。液晶注入工法は、一般に、(1)1枚の透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して枠を形成し、(2)当該基板をプレキュア処理することによって液晶シール剤を乾燥させた後、他方の基板を貼り合わせ、(3)この2枚の基板を加熱圧締し、基板同士を接着させることにより基板の間に液晶シール剤の枠(セル)を形成し、(4)空のセル内に適量の液晶を注入した後、液晶の注入口を封止することにより液晶表示パネルを製造する方法である。
一方、最近では、生産性の向上が見込まれる液晶表示パネルの製造方法として液晶滴下工法が検討されている。液晶滴下工法は、(1)透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して液晶を充填するための枠を形成し、(2)前記枠内に微小の液晶を滴下し、(3)液晶シール剤が未硬化状態のままで2枚の基板を高真空下で重ね合わせた後、(4)液晶シール剤を硬化させてパネルを製造する方法である。通常、液晶滴下工法では、光および熱硬化性の液晶シール剤を使用してもよく、上記(3)の工程で、液晶シール剤に紫外線などの光を照射する仮硬化を行った後、加熱による後硬化を行ってもよい。
この液晶滴下工法では、液晶シール剤が未硬化の状態で長時間液晶と接触するため、液晶注入工法よりも液晶シール剤の成分が液晶に溶解しやすい。そのため、液晶表示パネルの表示特性が低下し易いとの問題があった。そこで、例えばチタノセン系ラジカル開始剤と、光硬化性樹脂と、潜在性エポキシ硬化剤とを含む液晶滴下工法用シール剤が提案されている(特許文献1)。
一方、歯科材料等に用いられる光重合性の組成物として、チタノセン誘導体、プロトン性供与基を有する化合物、及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、を含む光重合性組成物が提案されている(特許文献2及び3)。
国際公開第2011/007649号 特開2001−316416号公報 特開平2−4705号公報
前述の特許文献1の樹脂組成物は、チタノセン系ラジカル開始剤によって、光硬化性樹脂の光硬化を早め、液晶への液晶シール剤成分の溶解を抑制しようとするものである。しかし、液晶の充填時に生じる、液晶シール剤成分の液晶への溶解は十分に抑制し難かった。
そこで、液晶に対して溶け難く、(液晶に溶解する前に)効率良く硬化できる液晶シール剤が求められている。本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、効率良く硬化でき、さらに未硬化成分が液晶と接しても液晶に溶け難く、さらに得られる液晶表示パネルの表示信頼性が高い液晶シール剤組成物や、これを用いた液晶表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、液晶シール剤組成物に、特定の有機酸を含めることで、液晶シール剤組成物の光硬化が促進されやすくなること、さらに特定の有機酸であれば、硬化前の液晶シール剤と液晶とが接触したとしても、液晶が汚染され難くなることを見出し、なされたものである。
本発明の第一は、以下の液晶表示パネルの製造方法、及び当該方法で得られる液晶表示パネルに関する。
[1]液晶滴下工法により液晶表示パネルを製造する方法であって、基板上に(A)有機酸、(B)1分子内にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する光硬化性樹脂(ただし、前記有機酸を除く)、及び(C)チタノセン系光重合開始剤、を含み、前記(A)有機酸の下記式(1)で表される酸素原子当量が、23g/eq以上75g/eq以下である液晶シール剤組成物を塗布し、液晶シールパターンを形成する工程と、前記液晶シール剤組成物を光硬化させる工程と、を含む、液晶表示パネルの製造方法。
酸素原子当量(g/eq)=(有機酸の分子量)/(有機酸1分子中の酸素原子数)(1)
[2]前記(A)有機酸が酸無水物である、[1]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
[3]前記(A)有機酸が、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する、[1]または[2]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
[4]前記(A)有機酸が1分子内に、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族、脂肪族炭化水素又はこれらの誘導体を表す)、−COOH基、−OP(=O)(OH)基、−P(=O)(OH)基、−SOH基、−CONH基、−NHOH基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1つ有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
[5]前記(B)光硬化性樹脂が、(B2)1分子内にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ有する樹脂である、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
[6](D)熱硬化性樹脂をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
[7](E)熱硬化剤をさらに含み、かつ前記(D)熱硬化性樹脂が、(D1)1分子内にエポキシ基を少なくとも1つ有する樹脂である、[6]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
[8]前記(E)熱硬化剤が、ジヒドラジド系熱潜在性硬化剤、イミダゾール系熱潜在性硬化剤、アミンアダクト系熱潜在性硬化剤、およびポリアミン系熱潜在性硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱潜在性硬化剤である[7]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
[9]液晶シール剤組成物をさらに熱硬化させる工程、をさらに含む、[6]〜[8]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
[10]前記光硬化工程で照射する光が可視光領域を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
[11]前記[1]〜[10]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法によって製造された液晶表示パネル。
本発明の第二は、以下の液晶シール剤組成物に関する。
[12](A)有機酸、(B)1分子内にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する光硬化性樹脂(ただし、前記有機酸を除く)、及び(C)チタノセン系光重合開始剤、を含み、前記(A)有機酸は下記式(1)で表される酸素原子当量が23g/eq以上75g/eq以下である液晶シール剤組成物。
酸素原子当量(g/eq)=(有機酸の分子量)/(有機酸1分子中の酸素原子数)(1)
本発明の液晶表示パネルの製造方法によれば、液晶シール剤組成物が未硬化状態で液晶と接触しても液晶の汚染が少ない。またさらに上記液晶シール剤組成物を用いることで、短時間で効率良く光硬化でき、表示信頼性に優れた液晶表示パネルが得られる。
1.液晶シール剤組成物
本発明の液晶シール剤組成物には、(A)有機酸、(B)光硬化性樹脂、及び(C)チタノセン系光重合開始剤が少なくとも含まれる。本発明の液晶シール剤組成物には、必要に応じて、(D)熱硬化性樹脂や(E)熱硬化剤、(F)無機フィラーや(G)有機フィラー等、上記以外の成分が含まれてもよい。
従来の液晶シール剤組成物では、未硬化の状態で液晶と接すると、樹脂成分等が液晶に溶解しやすく、液晶表示パネルの表示特性が低下する等の問題があった。さらに、液晶シール剤組成物を光硬化させる際に、照射光が届かない領域では、液晶シール剤組成物が十分に硬化しない。そのため、例えば液晶パネルの端部等、散乱光しか照射されない領域では、液晶シール剤組成物の未硬化成分が残存しやすく、液晶表示パネルの表示特性が低下しやすかった。ここで、有機酸を添加すると、光重合性組成物の硬化性が高まりやすくなることが知られている。ただし、液晶シール剤に一般的な有機酸を添加すると、当該有機酸が液晶に溶解するため、液晶表示パネルの表示特性が低下しやすくなる。
これに対し、本発明の液晶シール剤組成物には、特定の酸素原子当量を有する(A)有機酸が含まれる。当該(A)有機酸が含まれる液晶シール剤では、(B)光硬化性樹脂の光硬化反応が促進される。したがって、光が十分に照射されない領域であっても、液晶シール剤組成物が十分に硬化する。一方で、特定の酸素原子当量を有する(A)有機酸であれば、液晶との親和性が低いため、液晶に溶解し難い。したがって、未硬化の液晶シール剤組成物と液晶とが接触したとしても、液晶に液晶シール剤組成物中の成分が溶解し難い。つまり、得られる表示パネルにおいて、表示特性の低下等が生じ難く、さらに電圧保持率の低下等も生じ難くなる。
(A)有機酸
前述のように、液晶シール剤組成物に(A)有機酸が含まれると、液晶シール剤組成物の硬化性が高まりやすい。本発明において、(A)有機酸には、酸無水物構造を有する化合物も含むものとする。ここで、(A)有機酸は、下記式(1)で表される酸素原子当量が23g/eq以上75g/eq以下であり、好ましくは25〜60g/eqであり、さらに好ましくは27〜55g/eqである。
酸素原子当量(g/eq)=(有機酸の分子量)/(有機酸1分子中の酸素原子数) (1)
上記酸素原子当量が過剰に高いと、(A)有機酸が液晶に極微量溶出した場合にも、液晶に大きな影響を与えやすくなる、つまり、液晶を汚染しやすくなる。これに対し、酸素原子当量が75g/eq以下であると、(A)有機酸が液晶に与える影響が小さく、液晶の汚染が抑制される。また、酸素原子当量が23g/eq以上であれば、(A)有機酸が液晶と相溶し難くなり、液晶の汚染が抑制される。
ここで、(A)有機酸には、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族、脂肪族炭化水素又はこれらの誘導体を表す)、−COOH基、−OP(=O)(OH)基、−P(=O)(OH)基、−SOH基、−CONH基、−NHOH基からなる群より選ばれる1種以上の官能基が含まれることが好ましい。(A)有機酸にこれらの基が含まれると、(A)有機酸と液晶とが相溶し難くなり、液晶の汚染が抑制されやすい。(A)有機酸には、これらの基が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
上記(A)有機酸には、エチレン性不飽和二重結合が分子中に含まれてもよい。(A)有機酸1分子内に不飽和二重結合が少なくとも1つ含まれると、(A)有機酸が(B)光硬化性樹脂と重合し、液晶シール剤組成物の硬化物から(A)有機酸が滲出し難くなる。(A)有機酸1分子内に含まれる不飽和二重結合の数は、2つ以上であってもよい。
1分子内に不飽和二重結合を有する(A)有機酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、ビスフェノールA型エポキシアクリレートの酸無水物変性化合物、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートのリン酸変性化合物、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートの酸無水物変性化合物、ビスフェノールF型エポキシアクリレートのリン酸変性化合物、リン酸(メタ)アクリレート類等が挙げられる。ここでリン酸(メタ)アクリレート類は、例えば[CH=CRCOOCHCH[OCO(CHO]PO(OH)3−b(Rは水素原子またはメチル基を表し、aは0〜2を表し、bは1または2を表す)、[CH=CRCOOCHCH[OCHCH(CH)]O]PO(OH)3−e(Rは水素原子またはメチル基を表し、dは0〜2を表し、c及びeは1または2を表す)でありうる。
一方、1分子内にエチレン性不飽和二重結合を有さない(A)有機酸としては、酢酸、酪酸、蓚酸、クエン酸、ラウリル酸、ステアリン酸、マロン酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、リン酸モノエチル、リン酸モノフェニル、リン酸ジエチル、リン酸モノ2−エチルヘキシル、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホ安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデカン二酸、セシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼントリカルボン酸(異性体含む)、ピロメリット酸、メリト酸、4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、フェニルホスホン酸、グリコール酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸等が挙げられる。なお、(A)有機酸は、上記化合物の高分子量体でもあり得る。
好ましい(A)有機酸の例としては、シュウ酸、酒石酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、イソフタル酸、フェニルホスホン酸、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸、テレフタル酸、コハク酸、及びグルタル酸が挙げられる。
上記結合を有する(A)有機酸の例には、上記結合を含むカルボン酸やリン酸が含まれ、例えば、下記式で表される化合物が含まれる。
Figure 0006438491
(A)有機酸の好ましい分子量は60〜3000であり、より好ましくは60〜1000であり、さらに好ましくは60〜500である。(A)有機酸の分子量が上記範囲であると、液晶シール剤組成物内で(A)有機酸が流動しやすく、液晶シール剤組成物の光硬化が促進されやすくなる。
また、液晶シール剤組成物100質量部に対する、(A)有機酸の含有量は0.01〜10質量部であり、好ましくは0.05〜2質量部である。(A)有機酸が上記範囲含まれると、液晶シール剤組成物の光硬化性が高まりやすく、さらに(A)有機酸によって液晶が汚染され難くなる。
(B)光硬化性樹脂
(B)光硬化性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を1分子内に少なくとも1つ有する樹脂であれば特に制限されない。ただし、(B)光硬化性樹脂には、前述の(A)有機酸に相当する化合物は含まないものとする。(B)光硬化性樹脂の例として、(B1)(メタ)アクリル樹脂や、(B2)1分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とをそれぞれ少なくとも1つ有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂が、(B1)(メタ)アクリル樹脂、または(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂であると、液晶シール剤組成物の光硬化性が十分に高まりやすい。また特に光硬化性樹脂が(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂であると、液晶シール剤組成物の硬化物の耐湿性が高まりやすい。なお、本発明の液晶シール剤組成物には、(B1)(メタ)アクリル樹脂及び(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂が含まれてもよい。
(B1)(メタ)アクリル樹脂は、1分子内に1つ以上の(メタ)アクリル基を含む化合物であり、エポキシ基を含まない化合物とする。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルのいずれでもあり得ることをいう。
(B1)(メタ)アクリル樹脂の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリアクリレートおよび/またはジまたはトリメタクリレート;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ペンタエリスリトールトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴアクリレートおよび/またはオリゴメタクリレート等が含まれる。
(B1)(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、例えば310〜1000程度でありうる。(B1)(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量Mwは、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
また、液晶シール剤組成物における(B1)(メタ)アクリル樹脂の量は、求められる硬化性の程度にもよるが、液晶シール剤組成物100質量部に対して、10〜99質量部であることが好ましく、20〜99質量部であることがより好ましい。
一方、(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、(メタ)アクリル基とエポキシ基とを、それぞれ少なくとも1つ含む化合物であり、好ましくはエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、例えば三級アミン等の塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる化合物である。
(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有するため、光硬化性と熱硬化性とを併せ持つことができる。さらに、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂が、非結晶性のエポキシ樹脂であったとしても、エポキシ基の数に対する水酸基の数の割合が多いことから、液晶に対する親和性が低く、液晶に対する溶解が十分に抑制される。
(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の原料となるエポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2つ以上有する2官能以上のエポキシ樹脂であればよく、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、および水添ビスフェノール型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、およびトリスフェノールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂等が含まれる。3官能や4官能などの多官能エポキシ樹脂を(メタ)アクリル変性して得られる(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、架橋密度が高く、密着強度が低下し易いことから、(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の原料となるエポキシ樹脂は、2官能のエポキシ樹脂であることが好ましい。
また特に、2官能のエポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびビスフェノール型エポキシ樹脂であることが好ましく、なかでもビスフェノールA型およびビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂が、液晶シール剤組成物の塗布性等の観点から好ましい。
原料となるエポキシ樹脂は、1種類のみであってもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。また、原料となるエポキシ樹脂は、分子蒸留法、洗浄法等により高純度化されていることが好ましい。
ここで、(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、原料となるエポキシ樹脂のエポキシ基の10〜99.5%が(メタ)アクリル基で変性されたものであることが好ましく、より好ましくは30〜70%である。エポキシ基が上記範囲、(メタ)アクリル基で変性されていると、液晶シール剤組成物の光硬化性及び熱硬化性が良好になり、さらに液晶シール剤組成物の硬化物の耐湿性が低くなり難い
(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば310〜1000程度でありうる。(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
液晶シール剤組成物における(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の量は、求められる硬化性の程度にもよるが、液晶シール剤組成物100質量部に対して、10〜99質量部であることが好ましく、20〜99質量部であることがより好ましい。
ここで、上記(B1)(メタ)アクリル樹脂および(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、水酸基、ウレタン結合、アミド基、カルボキシル基などの水素結合性官能基を有することが好ましい。水素結合性官能基には、エポキシ樹脂のエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応することにより生成する水酸基や、(B1)(メタ)アクリル樹脂および(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の原料となる(メタ)アクリル酸やエポキシ樹脂に含まれる水酸基、ウレタン結合、カルボキシル基、およびアミド基等が含まれる。(B)光硬化性樹脂が、水素結合性官能基を有すると、疎水性である液晶材料との相溶性が低くなり、液晶への溶解が抑制される。その結果、液晶滴下工法用に適した液晶シール剤が得られる。
(B1)(メタ)アクリル樹脂及び(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基当量は、1.0×10−4〜5×10−3mol/gであることが好ましく、3.5×10−3〜4.5×10−3mol/gであることがより好ましい。水素結合性官能基当量が1.0×10−4mol/g以上であると、(B1)(メタ)アクリル樹脂や(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の一分子中に水素結合性官能基が充分な数含まれる。そのため、(B)光硬化性樹脂の液晶への溶解が抑制されやすい。一方、水素結合性官能基当量が5×10−3mol/g以下であると、(B1)(メタ)アクリル樹脂および(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の硬化物が充分な耐湿性を有しやすく、液晶シール剤組成物の硬化物の耐湿性が低下しにくい。
(B1)(メタ)アクリル樹脂および(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基当量(mol/g)は、「(B1)(メタ)アクリル樹脂または(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂1分子に含まれる水素結合性官能基の数」/「(B1)(メタ)アクリル樹脂または(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)」として表される。例えば、水素結合性官能基として、(メタ)アクリル酸とエポキシ樹脂とを反応させて得られる水酸基のみを有する場合、水素結合性官能基当量は、反応させた(メタ)アクリル酸のモル数を、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)で割ることにより求めることができる。
(B1)(メタ)アクリル樹脂の水素結合性官能基当量は、(B1)(メタ)アクリル樹脂自体が有する水素結合性官能基の量を調整すること等によって制御される。一方、(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の水素結合性官能基当量は、例えば、原料となるエポキシ樹脂に反応させる(メタ)アクリル酸のモル数を調整したり;原料となる(メタ)アクリル酸やエポキシ樹脂が有する水素結合性官能基の量を調整したりすることなどによって制御される。
液晶シール剤組成物100質量部に対する、(B)光硬化性樹脂の総量(例えば、(B1)(メタ)アクリル樹脂と(B2)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂との合計量)は、10〜99質量部であることが好ましく、20〜99質量部であることがより好ましい。
(C)チタノセン系光重合開始剤
本発明の液晶シール剤組成物に含まれる(C)チタノセン系光重合開始剤は、前述の(B)光硬化性樹脂を硬化させるための化合物であり;光重合開始剤が、チタノセン系の化合物であると、液晶シール剤組成物の硬化性が高まりやすい。また、可視光領域を含む照射光によって、液晶シール剤組成物を硬化させることができる。
(C)チタノセン系光重合開始剤の例には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジクロロチタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジフェニルチタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−ビス(2,6ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((2,5−ジメチル−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((3−トリメチルシリル−2,5−ジメチル−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((2,5−ビス(モルホリノメチル)−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−4−((2,5−ジメチル−1−ピル−1−イル)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−メチル−4−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−メチル−2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(6−(9−カルバゾル−9−イル)ヘキシル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(3−(4,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−1−インドル−1−イル)プロピル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−((アセチルアミノ)メチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(プロピオニルアミノ)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(4−(バロイルアミノ)ブチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)エチル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(3−(ベンゾイルアミノ)プロピル)フェニル]チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(N−アリルメチルスルホニルアミノ)エチル)フェニル]チタニウム等が含まれる。液晶シール剤組成物には、上記化合物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
液晶シール剤組成物100質量部に対する、(C)チタノセン系光重合開始剤の含有量は0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜2質量部である。液晶シール剤組成物に、(C)チタノセン系光重合開始剤が上記範囲含まれると、液晶シール剤組成物の光硬化性が高まりやすい。
(D)熱硬化性樹脂
本発明の液晶シール剤組成物には、(D)熱硬化性樹脂が含まれてもよい。(D)熱硬化性樹脂が含まれると、液晶シール剤組成物の硬化物の耐湿性が高まりやすくなる。(D)熱硬化性樹脂の一例として、(D1)1分子内にエポキシ基を少なくとも1つ有するエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ基の数は、好ましくは2以上であり、特に好ましくは2である。
(D1)エポキシ樹脂の例には、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、および水添ビスフェノール型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、ビスフェノールノボラック型、ナフトールノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフチル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型、トリフェノールエタン型、トリフェノールプロパン型等のトリフェノールアルカン型エポキシ樹脂;脂環型エポキシ樹脂等が含まれる。なかでも、ビスフェノールA型およびビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましい。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂は、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂等と比べて結晶性が低いため、塗工安定性に優れる等の利点がある。
また、(D1)エポキシ樹脂は、液晶に対する溶解性、拡散性が低く、得られる液晶パネルの表示特性が良好になるだけでなく、液晶シール剤組成物の硬化物の耐湿性が高まる。
(D1)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、300〜3000であることが好ましく、300〜2000であることがより好ましい。(D1)エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定できる。(D1)エポキシ樹脂は、液状であってもよく、固形であってもよい。固形エポキシ樹脂の場合、軟化点が40℃以上150℃以下であることが好ましい。
液晶シール剤組成物には、(D)熱硬化性樹脂が1種のみ含まれてもよく、種類や分子量の異なる2種以上が含まれてもよい。液晶シール剤組成物100質量部に対する、(D)熱硬化性樹脂の量は20質量部以下であり、好ましくは10質量部以下である。(D)熱硬化性樹脂が含まれると、液晶シール剤組成物の耐湿性が高まりやすくなる。
(E)熱硬化剤
本発明の液晶シール剤組成物には、(E)熱硬化剤が含まれてもよい。(E)熱硬化剤は、熱硬化性樹脂を硬化させるための化合物であり、その種類は特に制限されないが、熱潜在性硬化剤であることが好ましい。熱潜在性硬化剤とは、液晶シール剤組成物を保存する状態(室温下)では、熱硬化性樹脂を硬化させず、加熱によって熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤である。
熱潜在性硬化剤は、公知のものでありうるが、液晶シール剤組成物の粘度安定性を高めるため、融点が50℃以上250℃以下である熱潜在性硬化剤であることが好ましい。また、低い熱硬化温度(80〜100℃程度)でも樹脂を硬化させるとの観点から、融点は50℃以上150℃以下であることがより好ましい。
熱潜在性硬化剤の好ましい例には、ジヒドラジド系熱潜在性硬化剤、イミダゾール系熱潜在性硬化剤、アミンアダクト系熱潜在性硬化剤、およびポリアミン系熱潜在性硬化剤が含まれる。
ジヒドラジド系熱潜在性硬化剤の例には、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点120℃)、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド(融点160℃)、ドデカン二酸ジヒドラジド(融点190℃)、およびセバシン酸ジヒドラジド(融点189℃)等が含まれる。
イミダゾール系熱潜在性硬化剤は、例えば下記式(X)で表される構造の化合物でありうる。
Figure 0006438491
式(X)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級ヒドロキシアルキル基、フェニル基またはベンジル基である。また、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基または低級ヒドロキシアルキル基である。そして、R〜Rの少なくとも一つが、低級ヒドロキシアルキル基である。このように、低級ヒドロキシアルキル基を有するイミダゾール系熱潜在性硬化剤は、水酸基を含むため、液晶に対して溶解し難い。
上記式(X)においてR〜Rでありうる低級アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくはメチル基またはエチル基である。一方、低級ヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であり、好ましくはヒドロキシメチル基である。低級ヒドロキシアルキル基には、複数の水酸基が含まれてもよい。
イミダゾール系硬化触媒に含まれる水酸基の数は、特に制限されないが、水酸基数が2個以上になると耐水性が低下することがあるため、耐水性等を低下させない点では、水酸基数は1個であることが好ましい。
式(X)で表されるイミダゾール系熱潜在性硬化剤の融点は、液晶シール剤組成物の熱硬化温度にもよるが、比較的低温(例えば80〜100℃程度)で熱硬化させる場合は、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、60〜120℃であることがさらに好ましく、80〜100℃であることが特に好ましい。イミダゾール系熱潜在性硬化剤の融点が低すぎると、室温でイミダゾール系熱潜在性硬化剤が融解する。そして、(D)熱硬化性樹脂の硬化反応が進み、液晶シール剤組成物の室温での保存安定性が悪くなる。一方、融点が高すぎると、液晶シール剤組成物の熱硬化温度において、イミダゾール系熱潜在性硬化剤の触媒機能が十分に発揮され難くなる。イミダゾール系熱潜在性硬化剤の融点は、例えば芳香族環を含まない構造とすることで、低くすることができる。
イミダゾール系熱潜在性硬化剤の融点を低くする点では、Rは、フェニル基やベンジル基以外の基、即ち水素原子、低級アルキル基または低級ヒドロキシアルキル基であることが好ましく、低級ヒドロキシアルキル基であることがより好ましい。
式(X)で表されるイミダゾール系熱潜在性硬化剤の例には、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1,2−ジヒドロキシエチルイミダゾール等が含まれる。上記の中でも、融点が150℃以下のイミダゾール系熱潜在性硬化剤としては、例えば2−ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
アミンアダクト系熱潜在性硬化剤は、触媒活性を有するアミン系化合物と任意の化合物とを反応させて得られる付加化合物でありうる。このようなアミンアダクト系熱潜在性硬化剤は、熱によりアミンが解離して活性化する。上記のアミン系化合物の例には、1,2,3級アミノ基を有する化合物が含まれ、例えば、アミキュアPN−40(融点110℃)やアミキュアPN−23(融点100℃)、アミキュアPN−31(融点115℃)、アミキュアPN−H(融点115℃)、アミキュアMY−24(融点120℃)、アミキュアMY−H(融点130℃)(以上、味の素ファインテクノ(株)製)等が含まれる。
ポリアミン系熱潜在性硬化剤は、アミンとエポキシとを反応させて得られるポリマー構造を有する熱潜在硬化剤であり、その具体例には、(株)ADEKA製アデカハードナーEH4339S(軟化点120〜130℃)、および(株)ADEKA製アデカハードナーEH4357S(軟化点73〜83℃)等が含まれる。
(E)熱硬化剤の含有量は、(B)光硬化性樹脂、及び(D)熱硬化性樹脂の総量100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは15質量部以下である。(E)熱硬化剤が含まれると、液晶シール剤組成物の熱硬化反応が十分に進行しやすくなる。
(F)無機フィラー
本発明の液晶シール剤組成物には、さらに(F)無機フィラーが含まれてもよい。(F)無機フィラーの添加により、液晶シール剤組成物の粘度、硬化物の強度、および線膨張性の制御等を行うことができる。
(F)無機フィラーは、特に制限されないが、その例には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン等の無機フィラーが含まれ、好ましくは二酸化ケイ素、タルクである。
(F)無機フィラーの形状は、特に限定されず、球状、板状、針状等の定形状あるいは非定形状のいずれであってもよい。(F)無機フィラーは平均一次粒子径が1.5μm以下であることが好ましく、かつその比表面積が1m/g〜500m/gであることが好ましい。(F)無機フィラーの平均一次粒子径は、JIS Z8825に記載のレーザー回折法で測定できる。また、比表面積測定は、JIS Z8830に記載のBET法により測定できる。
(F)無機フィラーの量は、液晶シール剤組成物100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。
(G)有機フィラー
本発明の液晶シール剤組成物には、必要に応じて(G)有機フィラーが含まれてもよい。液晶シール剤組成物に(G)有機フィラーが含まれると、液晶シール剤組成物の硬化物の耐衝撃性等が高まりやすい。(G)有機フィラーの種類は、特に制限されないが、液晶シール剤組成物を熱硬化させる場合に、熱硬化温度近傍で(G)有機フィラーが融解すると、液晶シール剤組成物が液だれする。一方で、(G)有機フィラーの融点または軟化点が高すぎると、(G)有機フィラーが変形し難くなる。そこで、(G)有機フィラーの融点または軟化点が30〜120℃であることが好ましい。
(G)有機フィラーの例には、シリコーン微粒子、アクリル微粒子、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体等のスチレン微粒子、およびポリオレフィン微粒子からなる群より選ばれる微粒子などが含まれる。
(G)有機フィラーの形状は特に制限されず、例えば球状等でありうる。また(G)有機フィラーの平均粒子径は、液晶セルのギャップが通常5μm以下であるため、0.05〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.07〜3μmである。(G)有機フィラーの平均粒子径は、例えばJIS Z8825に記載のレーザー回折法で測定できる。
(G)有機フィラーの量は、液晶シール剤組成物100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。
(H)その他の添加剤
本発明の液晶シール剤組成物には、必要に応じてさらに、熱ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤等の添加剤が含まれてもよい。また、液晶パネルのギャップを調整するためにスペーサー等が配合されていてもよい。
・液晶シール剤組成物の用途
本発明の液晶シール剤は、液晶注入工法と液晶滴下工法のいずれにも用いることができる。特に、本発明の液晶シール剤組成物は、液晶に対して溶解し難く、短時間で硬化できる点等から、好ましくは液晶滴下工法に用いられる。液晶滴下工法における硬化は、光硬化のみであっても、光硬化と熱硬化の併用であってもよいが、加熱による液晶の劣化が少なく、速やかに硬化できる等の点から、光硬化と熱硬化とを併用することが好ましい。
光硬化と熱硬化を併用する液晶滴下工法用の液晶シール剤は、(B)光硬化性樹脂、(C)チタノセン系光重合開始剤、(A)有機酸、(D)熱硬化性樹脂、(E)熱硬化剤を含むことが好ましく、(F)無機フィラーや(G)有機フィラー等をさらに含むことが好ましい。
本発明の液晶シール剤組成物のE型粘度計を用いた25℃、2.5rpmでの粘度は、30〜350Pa・sであることが好ましい。粘度が上記範囲にある液晶シール剤は、塗工安定性に優れる。
2.液晶表示パネルの製造方法
本発明の液晶表示パネルは、表示基板と、それと対になる対向基板と、表示基板と対向基板との間に介在している枠状のシール部材と、表示基板と対向基板との間のシール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含む。本発明の液晶シール剤の硬化物を、シール部材とすることができる。
表示基板および対向基板は、いずれも透明基板である。透明基板の材質は、ガラス、または、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォンおよびPMMA等のプラスチックでありうる。
表示基板または対向基板の表面には、マトリックス状のTFT、カラーフィルタ、ブラックマトリクスなどが配置されうる。表示基板または対向基板の表面には、さらに配向膜が形成される。配向膜には、公知の有機配向剤や無機配向剤などが含まれる。
このような液晶表示パネルは、本発明の液晶シール剤組成物を用いて製造されうる。液晶表示パネルの製造方法には、液晶滴下工法と、液晶注入工法とがある。
液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法は、
a1)一方の基板に、本発明の液晶シール剤組成物を塗布し、液晶シールパターンを形成する第1の工程と、
a2)液晶シール剤組成物からなる液晶シールパターンが未硬化の状態において、前記液晶シールパターンで囲まれた領域、または前記液晶シールパターンで囲まれた領域に対向する他方の基板の領域に、液晶を滴下する第2の工程と、
a3)一方の基板と、他方の基板とを、液晶シールパターンを介して重ね合わせて、液晶シール剤組成物を光硬化させる第3の工程と、を含む。
a2)の工程における、シールパターンが未硬化の状態とは、液晶シール剤の硬化反応がゲル化点までは進行していない状態を意味する。このため、a2)の工程では、液晶シール剤の液晶への溶解を抑制するために、シールパターンを光照射または加熱して半硬化させてもよい。一方の基板および他方の基板は、それぞれ表示基板または対向基板である。
a3)の工程では、光による硬化のみを行ってもよいが、光照射による硬化(仮硬化)を行った後、加熱による硬化(本硬化)を行うことが好ましい。光照射による仮硬化で液晶シール剤を瞬時に硬化させることで、液晶への溶解を抑制できるからである。
光照射エネルギーは、(B)光硬化性樹脂等を硬化させることができる程度であればよく、1000〜3000mJ/cm程度、好ましくは2000mJ/cm程度である。本発明の液晶シール剤組成物には、(C)チタノセン系光重合開始剤が含まれるため、照射光は紫外線もしくは可視領域を含む光でありうる。一方、熱硬化温度は、液晶シール剤の組成にもよるが、液晶の劣化を少なくする等の点から、できるだけ低い温度、例えば120℃程度、好ましくは80〜100℃であり、熱硬化時間は1〜2時間程度である。
液晶滴下工法では、未硬化の液晶シール剤組成物と液晶との接触時間が比較的長いため、液晶汚染を生じやすい。これに対して本発明の液晶シール剤組成物は、液晶への溶解性が低いため、本発明の液晶シール剤組成物を用いた液晶滴下工法により得られる液晶表示パネルは、表示信頼性に優れている。
一方、液晶注入工法による液晶表示パネルの製造方法は、
b1)一方の基板に、本発明の液晶シール剤組成物を塗布し、液晶シールパターンを形成する第1の工程と、
b2)一方の基板と、他方の基板とを、液晶シールパターンを介して重ね合わせる第2の工程と、
b3)液晶シールパターンを光硬化させて、液晶を注入するための注入口を有する液晶注入用セルを得る第3の工程と、
b4)液晶を、注入口を介して液晶注入用セルに注入する第4の工程と、
b5)注入口を封止する第5の工程と、を含む。
b1)〜b3)の工程では、液晶注入用セルを準備する。まず、2枚の透明な基板(例えば、ガラス板)を準備する。そして、一方の基板に液晶シール剤組成物で液晶シールパターンを形成する。基板のシールパターンが形成された面に、他方の基板を重ね合わせた後、液晶シールパターンを硬化させればよい。この際、液晶注入用セルの一部に、液晶を注入するための注入口を設ける必要があるが、注入口は液晶シールパターンを描画する際に、一部に開口部を設ければよい。また、液晶シールパターンを形成した後に、所望の箇所の液晶シールパターンを除去して注入口を設けてもよい。
b3)の工程における光硬化条件は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば光照射エネルギーは、1000〜3000mJ/cm程度である。
b4)の工程は、b1)〜b3)の工程で得られた液晶注入用セルの内部を真空状態にして、液晶注入用セルの注入口から液晶を吸い込ませるという公知の方法に準じて行えばよい。b5)の工程では、液晶シール剤を、液晶注入用セルの注入口に封入した後、硬化させてもよい。
液晶注入工法では、未硬化の液晶シール剤組成物と液晶が接触する時間は比較的短い。しかし、液晶注入用セルの液晶シール剤組成物の硬化が十分に進行していなくても、液晶を注入する場合がある。本発明の液晶シール剤組成物は液晶への溶解性が低いため、そのような場合でも液晶を汚染しにくい。よって、本発明の液晶シール剤組成物を用いた液晶注入工法によっても表示信頼性に優れた液晶表示パネルを得られる。
以下に、本発明に係る実施例を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。したがって、本発明から逸脱しない限り、材料、製造方法等は適宜変更することができる。
[合成例1](メタクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂の合成(95%部分メタクリル化物))
160gの液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポトートYDF−8170C 新日鉄住金化学社製 エポキシ当量160g/eq)、0.1gのp−メトキシフェノール(重合禁止剤)、0.2gのトリエタノールアミン(触媒)、及び81.7gのメタクリル酸をフラスコ内に仕込んだ。当該フラスコ内に乾燥空気を送り込んで90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた化合物を、超純水にて20回洗浄し、メタクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(重量平均分子量:484)を得た。
[実施例1]
合成例1で得られたメタクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂100質量部、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名 イルガキュア784、BASF社製)0.5質量部、及びシュウ酸0.5質量部を混合して液晶シール剤組成物を調製した。
[実施例2]
シュウ酸を酒石酸に変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を調製した。
[実施例3]
シュウ酸をトリメリット酸に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を作製した。
[実施例4]
シュウ酸をトリメリット酸無水物に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶シール剤組成物を調製した。
[実施例5]
シュウ酸をイソフタル酸に変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を調製した。
[実施例6]
シュウ酸をフェニルホスホン酸に変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を調製した。
[実施例7]
シュウ酸を4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸に変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を調製した。
[比較例1]
シュウ酸を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を調製した。
[比較例2]
シュウ酸を2−エチルヘキシルホスフェートに変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を調製した。
[比較例3]
シュウ酸を3,5−ビストリフルオロメチル安息香酸に変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤組成物を調製した。
[評価]
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた液晶シール剤組成物について、1)液晶の電圧保持率、2)光硬化性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
1)液晶の電圧保持率
実施例および比較例で得られた0.1gの液晶シール剤組成物と、1gの液晶(MLC−7021−000、メルク社製)とをバイアル瓶に投入し、120℃で1時間加熱して液晶混合物を得た。次いで、この液晶混合物を取り出して、透明電極が予め形成されたガラスセル(KSSZ−10/B111M1NSS05、EHC社製)に注入し、電圧1Vを印加し、60Hzでの電圧保持率を6254型測定装置(東陽テクニカ製)により測定した。評価は以下のように行った。
〇:電圧保持率が90%以上であった場合(液晶への汚染が少ない)
×:電圧保持率が90%未満であった場合(液晶への汚染が生じた)
2)光硬化性
実施例および比較例で得られた液晶シール剤組成物に、1mW/cmの光(400nm以下の波長をカットし、405nmセンサーで校正した光)を照射後の粘度上昇挙動を、VISCOANALYSER VAR100(REOLOGICA INSTRUMENT社製)を用いて測定した。光照射後の液晶シール剤組成物の粘度が、飽和粘度値に対して50%の値となるまでの硬化時間を測定した。飽和粘度値とは、液晶シール剤組成物を完全硬化させたときの粘度である。硬化時間が短い程、硬化性に優れると判断できる。
Figure 0006438491
表1に示されるように、液晶シール剤組成物に有機酸が含まれる(実施例1〜7及び比較例2、3)と、有機酸を含まない場合(比較例1)と比較して光硬化性が高まった。また、有機酸の酸素原子当量が23g/eq以上75g/eq以下である(実施例1〜7)と、酸素原子当量が75g/eq超である場合(比較例2及び3)と比較して、液晶の電圧保持率が極めて良好であった。また、比較例2及び3では、光硬化性は良好であったが、液晶が汚染されたため、電圧保持率が低下した。
[実施例8]
合成例1で得られたメタクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂43質量部、固形エポキシ樹脂(三菱化学社製 jER1004、軟化点97℃)5質量部、アクリル樹脂(ポリエチレングリコールジアクリレート、共栄社化学製 ライトアクリレート14EG−A、重量平均分子量:708)20質量部、熱硬化剤としてアジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製 ADH、融点177〜184℃)9質量部、シリカ粒子:S−100(日本触媒社製)13質量部、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとこれらと共重合可能なモノマーとを共重合させて得られる有機フィラー(微粒子ポリマー、ゼオン化成社製 F351)7質量部、シランカップリング剤(信越化学工業社製 KBM−403)2質量部、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(BASF社製 イルガキュア784)0.5質量部、およびシュウ酸0.5質量部を、三本ロールミルを用いて均一な液となるように十分に混合して、液晶シール剤組成物を得た。
[実施例9]
シュウ酸を酒石酸に変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[実施例10]
シュウ酸をトリメリット酸に変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[実施例11]
シュウ酸をトリメリット酸無水物に変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[実施例12]
シュウ酸をイソフタル酸に変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[実施例13]
シュウ酸をフェニルホスホン酸に変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[実施例14]
シュウ酸を4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸に変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[比較例4]
シュウ酸を添加しなかったこと以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[比較例5]
シュウ酸を2−エチルヘキシルホスフェートに変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[比較例6]
シュウ酸を3,5−ビストリフルオロメチル安息香酸に変更した以外は実施例8と同様にして液晶シール剤組成物を得た。
[評価]
実施例8〜14および比較例4〜6で得られた液晶シール剤組成物について、3)液晶表示パネル表示特性テスト、4)液晶パネル通電時の表示特性テストを以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
3)液晶表示パネル表示特性テスト
実施例及び比較例で得られた液晶シール剤組成物を、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング製 ショットマスター)を用いて、透明電極と配向膜が予め形成された40mm×45mmガラス基板(EHC社製 RT−DM88−PIN)上に、外寸35mm×40mm、貼り合せ後の線幅が0.7mmとなる四角形の枠状のシールパターン(断面積3500μm)(メインシール)と、その外周に外寸38mm×43mm、貼り合せ後の線幅が1.0mmとなる四角形の枠状のシールパターンを形成した。
次いで、基板貼り合せ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−7021−000、メルク社製)を、メインシールの枠内にディスペンサーを用いて精密に滴下した。対になるガラス基板を減圧下で貼り合せた後、大気開放して貼り合わせた。そして、貼り合わせた2枚のガラス基板を3分間遮光ボックス内で保持した。その後、メインシールに直接光が照射されないように、36mm×41mmの四角形のブラックマトリックスを塗布した基板でマスクした。この状態で3000mJ/cmの光(波長400nm以下の波長をカットし、405nmセンサーで校正した光)を照射し、さらに120℃で1時間加熱した。その後、両面に偏光フィルムを貼り付けた。
液晶シール剤組成物を硬化処理した後の液晶表示パネルについて、以下のように評価した。
〇:液晶パネルのメインシールの際(きわ)まで液晶が配向されて色ムラが全くない場合(表示特性が良好である)
×:インシールの際(きわ)の近傍が正常に配向されず色ムラが発生している場合(表示特性が劣る)
4)液晶表示パネル通電時の表示特性テスト
前述の3)液晶表示パネル表示特性テストと同様にして作製した液晶パネルを、直流電源を用い、5Vの印加電圧で駆動させた。このときの表示特性を以下のように評価した。
〇:メインシール近傍の液晶表示機能が発揮できている場合(表示特性が良好である)
×:メインシール近傍が正常に駆動せず、白ムラが発生している場合(表示特性が劣る)
Figure 0006438491
表2に示されるように、液晶シール剤組成物に有機酸を含む場合(実施例8〜14および比較例5、6)、有機酸を含まない場合(比較例4)と比較して、液晶表示パネル特性が良好であった。これは、有機酸が含まれることにより、液晶シール剤の硬化時に直接光が照射されなくとも十分に硬化し、液晶シール剤用組成物の未硬化成分の液晶への溶解が顕著に抑制されたと考えられる。
また、有機酸の酸素原子当量が23以上75以下である(実施例8〜14)と、酸素原子当量が75超である場合(比較例5及び6)と比較して、液晶表示パネル通電時の表示特性が良好であった。これは、酸素原子当量が上記範囲であると、液晶シール剤用組成物の未硬化成分が液晶に影響を及ぼし難く、さらに溶解し難かったため、液晶の電圧保持率が極めて良好になったと考えられる。
本出願は、2014年10月30日出願の特願2014−221018号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の液晶シール剤組成物は、有機酸を含むため、硬化性が非常に良好であり、さらに未硬化成分の液晶への溶解が非常に少ない。そのため、表示信頼性に優れた液晶パネルを提供でき、各種液晶表示パネルの製造に好適である。

Claims (12)

  1. 液晶滴下工法により液晶表示パネルを製造する方法であって、
    基板上に
    (A)有機酸、
    (B)1分子内にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する光硬化性樹脂(ただし、前記有機酸を除く)、及び
    (C)チタノセン系光重合開始剤、
    を含み、
    前記(A)有機酸の下記式(1)で表される酸素原子当量が、23g/eq以上75g/eq以下である液晶シール剤組成物を塗布し、液晶シールパターンを形成する工程と、
    前記液晶シール剤組成物を光硬化させる工程と、を含む、液晶表示パネルの製造方法。
    酸素原子当量(g/eq)=(有機酸の分子量)/(有機酸1分子中の酸素原子数)(1)
  2. 前記(A)有機酸が酸無水物である、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  3. 前記(A)有機酸が、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  4. 前記(A)有機酸が1分子内に、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族、脂肪族炭化水素又はこれらの誘導体を表す)、−COOH基、−OP(=O)(OH)基、−P(=O)(OH)基、−SOH基、−CONH基、−NHOH基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1つ有する、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  5. 前記(B)光硬化性樹脂が、(B2)1分子内にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ有する樹脂である、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  6. (D)熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  7. (E)熱硬化剤をさらに含み、かつ
    前記(D)熱硬化性樹脂が、(D1)1分子内にエポキシ基を少なくとも1つ有する樹脂である、請求項6に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  8. 前記(E)熱硬化剤が、ジヒドラジド系熱潜在性硬化剤、イミダゾール系熱潜在性硬化剤、アミンアダクト系熱潜在性硬化剤、およびポリアミン系熱潜在性硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱潜在性硬化剤である請求項7に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  9. 液晶シール剤組成物をさらに熱硬化させる工程をさらに含む、請求項6に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  10. 前記光硬化工程で照射する光が可視光領域を含む、請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  11. 請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法によって製造された液晶表示パネル。
  12. (A)有機酸、
    (B)1分子内にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する光硬化性樹脂(ただし、前記有機酸を除く)、及び
    (C)チタノセン系光重合開始剤、
    を含み、
    前記(A)有機酸は下記式(1)で表される酸素原子当量が23g/eq以上75g/eq以下である液晶シール剤組成物。
    酸素原子当量(g/eq)=(有機酸の分子量)/(有機酸1分子中の酸素原子数)(1)
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