JP5424411B2 - 液晶表示パネルの製造方法および液晶表示パネル - Google Patents

液晶表示パネルの製造方法および液晶表示パネル Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示パネルの製造方法および液晶表示パネルに関する。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器の画像表示パネルとして、液晶表示パネルが広く使用されている。液晶表示パネルは、表面に電極が設けられた2枚の透明基板の間に液晶材料(以下、単に「液晶」という)を挟み込み、その周りを液晶シール剤によってシールされた構造を有する画像表示パネルである。
上記液晶シール剤は、その使用量は僅かであるものの液晶と直接接触するため、液晶表示パネルの信頼性に大きな影響を与える。したがって、液晶表示パネルの高画質化を実現するため、現在、液晶シール剤には、高度かつ多様な特性が求められている。
従来から、液晶表示パネルは、主に液晶注入工法によって製造されている。液晶注入工法は、一般に、(1)1枚の透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して枠を形成し、(2)当該基板をプレキュア処理することによって液晶シール剤を乾燥させた後、他方の基板を貼り合わせ、(3)この2枚の基板を加熱圧締し、基板同士を接着させることにより基板の間に液晶シール剤の枠(セル)を形成し、(4)空のセル内に適量の液晶を注入した後、液晶の注入口を封止することにより液晶表示パネルを製造する方法である。
一方、最近では、生産性の向上が見込まれる液晶表示パネルの製造方法として液晶滴下工法が検討されている。液晶滴下工法は、(1)透明な基板の上に液晶シール剤を塗布して液晶を充填するための枠を形成し、(2)前記枠内に微小の液晶を滴下し、(3)液晶シール剤が未硬化状態のままで2枚の基板を高真空下で重ね合わせた後、(4)液晶シール剤を硬化させてパネルを製造する方法である。通常、液晶滴下工法では、光および熱硬化性の液晶シール剤を使用し、上記(4)の工程で、液晶シール剤に紫外線などの光を照射する仮硬化を行った後、加熱による後硬化が行われている。
この液晶滴下工法では、液晶シール剤が未硬化の状態で液晶と接触するため、液晶注入工法よりも液晶シール剤の成分が液晶に溶解しやすい。このため、液晶表示パネルの表示特性が低下し易いという問題があった。
これに対して、液晶滴下工法用の液晶シール剤として、種々のものが提案されている(例えば特許文献1〜4)。これらの液晶シール剤の多くは、液晶がシールパターンの外側へ滲み出すことによるリークや、シールパターン成分が液晶に溶解することによる液晶汚染を抑制する等の観点から、比較的高粘度に調整されている。
特開2006−23419号公報 特開2005−308811号公報 特許第3583326号公報 特開2009−8754号公報
ところで本発明者らは、液晶滴下工法用の液晶シール剤に、アクリル樹脂とエポキシ樹脂の相溶性を高めて、硬化性および接着性を高めるために、一定以上の(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を含ませている。しかしながら、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を一定以上含む液晶シール剤は、特に粘度が高く、粘度安定性も低いという問題があった。このため、液晶シール剤を常温で塗布してシールパターンを得ることが難しかった。また、得られるシールパターンは線幅が不均一になり易く、液晶表示パネルのシール性が低下したり、基板と基板とのギャップ(セルギャップ)を調整し難くなったりするという問題があった。
一方、液晶シール剤の塗布速度を小さくすれば、一定のシールパターンを得ることはできるものの、製造効率が低下するという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法において、製造効率を低下させることなく、シール性と表示特性(特に耐湿表示特性)に優れた液晶表示パネルを得るための液晶表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を一定以上含む液晶シール剤であっても、加温下で塗布することで、塗布性を向上できることを見出した。一方で、液晶シール剤を加温すると、液晶シール剤に含まれる硬化性樹脂と硬化剤との予期せぬ反応等が生じ、加温下での粘度安定性が低くなるという不具合があった。
そこで本発明者らは、特定の有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール変性化合物、ポリアミン化合物およびポリアミノウレア化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の化合物からなる潜在性エポキシ硬化剤を用いることにより、加温下での液晶シール剤の粘度上昇率を少なくできること;即ち加温下での粘度安定性を高められることを見出した。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
本発明は、以下の液晶表示パネルの製造方法に関する。
[1] 1)一方の基板上に、エポキシ樹脂と、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と、潜在性エポキシ硬化剤とを含む液晶シール剤を塗布形成して枠状のシールパターンを得る工程と、2)前記一方の基板上に形成したシールパターンで囲まれた領域、または前記シールパターンで囲まれた領域と対向する他方の基板上に、液晶を滴下する工程と、3)前記シールパターンが未硬化の状態で、前記一方の基板と前記他方の基板とを貼りあわせる工程と、4)前記シールパターンを光硬化させた後、熱硬化させる工程と、を含む液晶滴下工法用の液晶表示パネルの製造方法であって、前記1)の工程では、前記液晶シール剤または前記一方の基板を26〜50℃に加温し、E型粘度計を用いて25℃、1rpmで測定される粘度η(25℃)が100〜500Pa・sであり、40℃、1rpmで測定される粘度η(40℃)が10〜60Pa・sであり、かつ40℃で24時間保存後に、E型粘度計を用いて25℃、1rpmで測定される粘度をη(25℃)としたとき、下記式(1)で表される粘度上昇率が1.0〜1.1である、液晶表示パネルの製造方法。
粘度上昇率=η(25℃)/η(25℃)・・・(1)
[2] 前記潜在性エポキシ硬化剤は、融点が170℃以上の有機ジヒドラジド化合物、融点が130℃以下のイミダゾール変性化合物、融点が130℃以下のポリアミン化合物および融点が130℃以下のポリアミノウレア化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の化合物からなる、[1]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
[3] 前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量が、前記硬化性樹脂全体100重量部に対して40重量部以上である、[1]または[2]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
[4] 前記潜在性エポキシ硬化剤の含有量が、前記硬化性樹脂全体100重量部に対して1〜20重量部である、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
[5] 前記液晶シール剤を、ディスペンサにより塗布する、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
[6] 前記液晶シール剤を、スクリーン印刷により塗布する、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法。
本発明の第二は、以下の液晶表示パネルに関する。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の液晶表示パネルの製造方法により製造される液晶表示パネル。
本発明によれば、液晶シール剤の塗布性が高く、製造効率の高い液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法を提供できる。この液晶表示パネルの製造方法により得られる液晶表示パネルは、シール性(耐湿性)および表示特性に優れている。
1.液晶シール剤
本発明に用いられる液晶シール剤は、後述の液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法に好適な液晶シール剤であって、(A)エポキシ樹脂と、(B)特定の潜在性エポキシ硬化剤と、(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂とを含み、必要に応じて(D)アクリル樹脂、(E)光重合開始剤、および(F)フィラー等をさらに含んでよい。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、および水添ビスフェノール型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、ビスフェノールノボラック型、ナフトールノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフチル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型、トリフェノールエタン型、トリフェノールプロパン型等のトリフェノールアルカン型エポキシ樹脂;脂環型エポキシ樹脂等が含まれる。
なかでも、2官能のエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型およびビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましい。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂は、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂等と比べて結晶性が低いため、塗布性や粘度安定性に優れる等の利点があるからである。
エポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、種類や分子量の異なる2種類以上のエポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。エポキシ樹脂は、分子蒸留法などによって高純度化され、不純物が取り除かれた樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂の含有量は、100重量部の液晶シール剤に対して、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは3〜10重量部である。
(B)潜在性エポキシ硬化剤
潜在性エポキシ硬化剤は、エポキシ樹脂に混合されていても、樹脂を通常保存する状態(室温、可視光線下等)ではエポキシ樹脂を硬化させないが、熱が与えられるとエポキシ樹脂を硬化させる化合物である。具体的には、常温では固体であり、加熱硬化時に液化して硬化剤として作用する潜在性エポキシ硬化剤などである。このような潜在性エポキシ硬化剤を液晶シール剤に含ませることにより、液晶シール剤の室温での粘度安定性が向上する。
潜在性エポキシ硬化剤は、好ましくは融点が50℃以上の硬化剤、より好ましくは融点50℃以上250℃以下である熱硬化剤が好ましい。
なかでも、熱硬化剤は、融点が170℃以上の有機ジヒドラジド化合物、融点が130℃以下のイミダゾール変性化合物、融点が130℃以下のポリアミン化合物および融点が130℃以下のポリアミノウレア化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の化合物からなることが好ましい。これらの熱硬化剤は、単独で用いてもよいし、複数以上を組み合わせて用いてもよい。
融点が170℃以上である有機酸ジヒドラジド化合物の例には、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、ドデカン二酸ジヒドラジド(融点190℃)、イソフタル酸ジヒドラジド(融点224℃)、およびセバシン酸ジヒドラジド(融点189℃)などが含まれる。このように、一定以上の融点を有する有機酸ジヒドラジド化合物は、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(VDH)等の融点が低い有機酸ジヒドラジド化合物と比べて熱的に安定であるため、加温下における粘度安定性に優れる。
融点が130℃以下のイミダゾール変性化合物の例には、味の素ファインテクノ社製PN-23(融点100℃)、PN−40J(融点110℃)、MY−H(融点130℃)、MY−24(融点120℃)、およびADEKA社製EH-4344S(110℃)等が含まれる。融点が130℃以下のポリアミン化合物の例には、ADEKA社製EH−5057(80℃)が含まれる。融点が130℃以下のポリアミノウレア化合物の例には、フジキュアFXR−1081(融点121℃)、およびフジキュアFXR−1020(融点124℃)などが含まれる。ポリアミノウレア化合物とは、アミンと尿素を加熱硬化させて得られる化合物である。
潜在性エポキシ硬化剤は、前述の通り固形物であり、その数平均粒子径は4μm以下であることが好ましく、0.5〜4μmであることがより好ましく、1〜3μmであることがさらに好ましい。潜在性エポキシ硬化剤の数平均粒子径が0.5μmよりも小さいと粘度安定性が低下しやすく、数平均粒子径が4μmを超えると、分散性が低下するからである。潜在性エポキシ硬化剤の粒子径は、ビーズミル、ボールミル等により粉砕することで調整できる。
潜在性エポキシ硬化剤の含有量は、硬化性樹脂の合計((A)エポキシ樹脂、(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂および(D)アクリル樹脂の合計)100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは3〜15重量部である。
(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂には、2官能以上のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させることにより得られる樹脂が含まれる。原料となる2官能以上のエポキシ樹脂は、前述のエポキシ樹脂と同様のものであってよい。
原料としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の2官能のエポキシ樹脂を用いる場合は、(メタ)アクリル酸をエポキシ基と(メタ)アクリル酸がほぼ1:1となる比率で反応させて得られる樹脂が好ましい。
このように、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有するため、それを含む液晶シール剤は、光硬化性と熱硬化性とを併せ持つことができる。また、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、(D)アクリル樹脂と(A)エポキシ樹脂の相溶性を高めることができる。このため、硬化性および接着信頼性に優れた硬化物が得られる。
(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量は、100重量部の液晶シール剤に対して、40重量部以上であり、好ましくは40〜70重量部である。
(D)アクリル樹脂
本発明の液晶シール剤は、必要に応じてアクリル樹脂を含んでいてもよい。アクリル樹脂の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリアクリレートおよび/またはジまたはトリメタクリレート;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ペンタエリスリトールトリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート、またはそのオリゴマー;ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸アクリレートおよび/またはジメタクリレート;ネオペンチルグルコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴアクリレートおよび/またはオリゴメタクリレート等が含まれる。
アクリル樹脂の含有量は、100重量部の液晶シール剤に対して、好ましくは1〜40重量部であり、より好ましくは3〜20重量部である。
(E)光重合開始剤
光重合開始剤は、(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂や(D)アクリル樹脂などを光硬化させるための重合開始剤である。液晶シール剤が光重合開始剤を含むと、液晶パネルを製造する際に光硬化によるシール剤の仮硬化が可能となり、作業工程が容易になる。
光重合開始剤としては公知のものが使用できる。この例には、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサトン系化合物、α−アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等が含まれる。
アルキルフェノン系化合物の例には、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651)等のベンジルジメチルケタール;2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(IIRGACURE 907)等のα−アミノアルキルフェノン;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184)等のα−ヒドロキシアルキルフェノン等が含まれる。アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が含まれ、チタノセン系化合物には、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム(IRGACURE 784)等が含まれ、オキシムエステル化合物の例には、1.2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01)などが含まれる。
光重合開始剤の含有量は、(A)エポキシ樹脂、(B)潜在性エポキシ硬化剤、(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂および(D)アクリル樹脂の合計(以下「樹脂ユニット」ともいう)100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることが好ましい。前記含有量を0.3重量部以上とすることにより液晶シール剤の光照射による硬化性が良好となり、5.0重量部以下とすることにより、基板への塗布時の安定性が良好となる。
(F)フィラー
本発明の液晶シール剤は、さらにフィラーを含んでいてもよい。フィラーの添加により、液晶シール剤の粘度、硬化物の強度、および線膨張性の制御等を行うことができる。
フィラーは、特に制限されないが、その例には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機フィラーが含まれ、好ましくは二酸化ケイ素、タルクである。
フィラーの形状は、特に限定されず、球状、板状、針状等の定形状あるいは非定形状のいずれであってもよい。フィラーは平均一次粒子径が1.5μm以下であることが好ましく、かつその比表面積が0.5m/g〜20m/gであることが好ましい。フィラーの平均一次粒子径は、JIS Z8825−1に記載のレーザー回折法で測定できる。また、比表面積測定は、JIS Z8830に記載のBET法により測定できる。
フィラーの充填量は、樹脂ユニット100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましく、10〜30重量部であることがより好ましい。
(G)熱可塑性樹脂粒子
本発明の液晶シール剤は、必要に応じてエポキシ樹脂で変性された熱可塑性樹脂粒子(「エポキシ変性粒子」ともいう)を含んでもよい。熱可塑性樹脂粒子は、エポキシ基と二重結合基を含む樹脂を、ラジカル重合可能なモノマーと懸濁重合して得られる。
エポキシ基と二重結合基を含む樹脂の例には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とメタアクリル酸を三級アミン存在下で反応させた樹脂が含まれる。ラジカル重合可能なモノマーの例には、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびジビニルベンゼンが含まれる。熱可塑性樹脂粒子は、樹脂ユニット100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、液晶セルのギャップは5μm以下が主流であるために、通常0.05〜5μm、好ましくは0.07〜3μmの範囲であることがより好ましい。
(H)その他の添加剤
本発明の液晶シール剤は、必要に応じてさらに、熱ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、液晶パネルのギャップを調整するためにスペーサー等を配合してもよい。
本発明の液晶シール剤は、前述の通り、液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法に好適である。液晶滴下工法における硬化は、熱硬化のみであっても、光硬化と熱硬化の併用であってもよいが、好ましくは光硬化と熱硬化との併用が好ましい。熱硬化のみでは、加熱によりシールパターンが低粘度化し易く、硬化するのに時間がかかるのに対し、光硬化と熱硬化の併用では、光硬化により短時間で仮硬化させることにより、シールパターンが低粘度化するのを抑制できるからである。
このような液晶シール剤は、以下1)〜3)の粘度特性を有する。
1)E型粘度計を用いて25℃、1rpmで測定される粘度η(25℃)は、100〜500Pa・sであり、好ましくは170〜400Pa・sである。
2)E型粘度計を用いて40℃、1rpmで測定される粘度η(40℃)は、10〜60Pa・sであり、好ましくは20〜50Pa・sである。
3)液晶シール剤を40℃で24時間保存後に、E型粘度計により25℃、1rpmで測定される粘度をη(25℃)としたとき、下記式(1)で表される粘度上昇率が1.0〜1.1、好ましくは1.00〜1.05である。
粘度上昇率=η(25℃)/η(25℃)・・・(1)
粘度η(25℃)、粘度η(40℃)および粘度η(25℃)は、液晶シール剤を、昇温速度10〜50℃/分で測定温度まで昇温させて約5分以内に測定される粘度である。
すなわち、25℃での粘度η(25℃)を前記1)の範囲とするのは、液晶シール剤の粘度η(25℃)が100Pa・sよりも低いと、硬化後のシールパターンの粘度が低く、液晶汚染が生じ易くなり、500Pa・sよりも高いと、貼り合わせたガラス基板を押圧して、ガラス基板間のギャップを調整し難くなるからである。
40℃での粘度η(40℃)を前記2)の範囲とするのは、液晶シール剤を26〜50℃に加温した状態での塗布性を高めるためである。すなわち、40℃での粘度η(40℃)が10Pa・sよりも低いと、一定のシールパターンの塗布形状を保持し難く、60Pa・sよりも高いと、加温下での流動性が十分でないからである。
そして、液晶シール剤の粘度上昇率を前記3)の範囲とするのは、液晶シール剤を加温下で塗布する際の粘度安定性を高め、得られるシールパターンの硬さ(弾性率)を適切な範囲に調整するためである。すなわち、粘度上昇率が1.1を超えると、液晶シール剤を加温下で塗布する瞬間から粘度が上昇するため、均一な線幅のシールパターンが得られ難い。また、得られるシールパターンの弾性率も高くなりすぎて、シール性や接着性が低下したり、セルギャップの調整が困難になったりする。
式(1)で表される粘度上昇率は、前述のように、(B)特定の有機酸ジヒドラジド系化合物から選ばれる潜在性エポキシ硬化剤の種類や含有量等によって調整できる。
このように、本発明に用いられる液晶シール剤は、加温下において優れた粘度安定性を有する。このため、本発明に用いられる液晶シール剤は、常温では比較的高い粘度を有するが、加温下で良好な塗布性を維持できるので、本発明の液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法に好ましく用いられる。
2.液晶表示パネルの構成とその製造方法
本発明の液晶表示パネルは、表示基板と、それと対になる対向基板と、表示基板と対向基板との間に介在している枠状のシール部材と、表示基板と対向基板との間のシール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含む。後述する液晶シール剤の硬化物を、シール部材とすることができる。
表示基板および対向基板は、いずれも透明基板である。透明基板の材質は、ガラス、または、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォンおよびPMMA等のプラスチックでありうる。
表示基板または対向基板の表面には、マトリックス状のTFT、カラーフィルタ、ブラックマトリクスなどが配置されうる。表示基板または対向基板の表面には、さらに配向膜が形成される。配向膜には、公知の有機配向剤や無機配向剤などが含まれる。
このような液晶表示パネルは、製造効率が高い等の観点から、液晶滴下工法により製造される。液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法は、
1)一方の基板に、前述の液晶シール剤を塗布して枠状のシールパターンを得る工程と、
2)シールパターンが未硬化の状態において、前記シールパターンで囲まれた領域、または該シールパターンで囲まれた領域に対向する他方の基板の領域に、液晶を滴下する工程と、
3)一方の基板と、他方の基板とを、シールパターンを介して重ね合わせる工程と、
4)シールパターンを硬化させる工程と、を含む。
そして、前記1)の工程において、液晶シール剤を所定の温度に加温した状態で塗布してシールパターンを得ることを特徴とする。
前記1)の工程における加熱温度は、前述の液晶シール剤を、均一な線幅のシールパターンを安定して塗布形成できる範囲であればよいが、26〜50℃、好ましくは26〜40℃である。(塗布される)基板またはその周辺の雰囲気を加熱してもよいし、液晶シール剤自体を加熱してもよいが、液晶シール剤の粘度安定性を維持する観点では、基板またはその周辺の雰囲気を加熱することが好ましい。基板またはその周辺の雰囲気を加熱する加熱手段としては、特に制限されず、保温ヒータ、熱風ヒータ等であってよい。
液晶シール剤の塗布手段は、特に制限されないが、スクリーン印刷による塗布、およびディスペンサによる塗布等が含まれる。ディスペンサによる塗布速度は、製造効率を損なわない観点から、好ましくは60mm/秒以上であり、より好ましくは100〜350mm/秒である。スクリーン印刷による塗布速度は、製造効率を損なわない観点から、好ましくは20mm/秒以上であり、より好ましくは30〜100mm/秒程度である。
このように、加温下で塗布形成されたシールパターンは、自然冷却等されて室温(約23℃)まで戻される。このとき、液晶シール剤の粘度上昇率が前述の範囲を満たすため、得られるシールパターンの弾性率も高くなりすぎず、シール性が損なわれ難い。
前記2)の工程における、シールパターンが未硬化の状態とは、液晶シール剤の硬化反応がゲル化点までは進行していない状態を意味する。このため、前記2)の工程では、液晶シール剤の液晶への溶解を抑制するために、シールパターンを光照射または加熱して半硬化させてもよい。一方の基板および他方の基板は、それぞれ表示基板または対向基板である。
前記4)の工程では、加熱による硬化のみを行ってもよいが、光照射による硬化(仮硬化)を行った後、加熱による硬化(本硬化)を行うことが好ましい。すなわち、熱硬化のみでは、シールパターンが硬化するまでに時間がかかるため、硬化の初期段階で液晶を汚染することがある。一方、光照射によりシールパターンを瞬時に硬化させた後、熱硬化させれば、硬化の初期段階での液晶汚染を抑制できる。特に、本発明の液晶シール剤は、加熱により低粘度化し易いため、光硬化と熱硬化とを併用することが好ましい。
光照射エネルギーは、(B)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂や(C)アクリル樹脂などを硬化できる程度であればよいが、1000〜3000mJ/cm程度、好ましくは2000mJ/cm程度である。光は、好ましくは紫外線である。熱硬化温度は、液晶シール剤の組成にもよるが、液晶の劣化を少なくする等の点から、できるだけ低い温度、例えば120℃程度、好ましくは80〜100℃であり、熱硬化時間は1〜2時間程度とすることができる。
従来の液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法では、液晶シール剤を常温で塗布するため、塗布速度を小さくする必要があり、製造効率が低かった。一方、液晶シール剤の常温での粘度を低くすることで、塗布性は向上するが、未硬化状態でのシールパターンが液晶に溶解して液晶汚染を生じ易くなる。
これに対して、本発明の液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法によれば、(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を一定以上含む、比較的粘度の高い液晶シール剤であっても、加温下で塗布することにより、液晶シール剤の塗布性を向上できる。このため、高い塗布速度でも、均一な線幅で、適度な弾性を有するシールパターンを得ることができる。このため、本発明の液晶表示パネルの製造方法は、製造効率が高く、シール性と表示特性(特に耐湿表示特性)に優れた液晶表示パネルを得ることができる。
以下に、本発明に係る実施例を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(A)エポキシ樹脂
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (DIC社製品 商品名「EXA−850CRP」、エポキシ当量173g/eq)
液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂 (DIC社製品・商品名「EXA−830CRP」、エポキシ当量160g/eq)
(B)潜在性エポキシ硬化剤
[有機酸ジヒドラジド化合物]
アジピン酸ジヒドラジド(日本ファインケム社製 商品名「ADH」 融点181℃)
ドデカン二酸ジヒドラジド(日本ファインケム社製 商品名「N−12」
融点190℃)
セバチン酸ジヒドラジド(日本ファインケム社製 商品名「SDH」 融点189℃)
1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素社製 商品名「アミキュアVDH−J」 融点120℃)
[ポリアミン化合物]
EH−5057(ADEKA社製 融点80℃)
(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂
下記合成例1〜3で合成した(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を用いた。
[合成例1]
攪拌機、気体導入管、温度計、および冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、173gの液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製 商品名「エピクロンEXA−850CRP」、エポキシ当量173g/eq)、43gのメタアクリル酸、および0.2gのトリエタノールアミンを投入および混合し、乾燥エア気流下、110℃、5時間加熱攪拌して、メタアクリル変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。得られたメタアクリル変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を、超純水にて3回洗浄処理した。
[合成例2]
攪拌機、気体導入管、温度計、および冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコで、160gの液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成社製・商品名「エポトートYDF−8170C」、エポキシ当量160g/eq)、43gのメタアクリル酸、および0.2gのトリエタノールアミンを投入および混合し、乾燥エア気流下、110℃ 、5時間加熱攪拌して、メタアクリル変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。得られたメタアクリル変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を超純水にて3回洗浄処理した。
[合成例3]
攪拌機、気体導入管、温度計、および冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコで、160gの液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成社製・商品名「エポトートYDF−8170C」、エポキシ当量160g/eq)、115gの2−ヒドロキシエチルアクリレート変性イプシロン−カプロラクトン(ダイセル化学社製・商品名「プラクセル FA1DDM」)、および0.2gのトリエタノールアミンを混合し、乾燥エア気流下、110℃、5時間加熱攪拌して、アクリル変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。得られたアクリル変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を、超純水にて3回洗浄処理した。
(D)アクリル樹脂
ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製 ビスコートV#300)
(E)光ラジカル重合開始剤
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン(BASF社製 商品名「イルガキュア651」)
(F)フィラー
超高純度シリカ(SO−E1 アドマテックス社製)
(G)熱可塑性樹脂粒子
熱可塑性ポリマー (ガンツ化成社製 ゼフィアックF351)
(H)その他
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403)
[実施例1]
6重量部の(A)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EXA−850CRP)を、25重量部の(D)ペンタエリスリトールトリアクリレート(ビスコートV#300)に加熱溶解させて均一溶液とした。この溶液に、さらに(B)6重量部のアジピン酸ジヒドラジド(ADH)、(C)25重量部の合成例1のメタアクリル変性エポキシ樹脂、(E)2重量部の2,2ージメトキシー2ーフェニルアセトン(イルガキュア651)、(F)20重量部の超高純度シリカ(SO−E1)、(G)15重量部の熱可塑性ポリマー(ゼフィアックF351)、および(H)1重量部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加えて、ミキサーで予備混合した。その後、この混合溶液を、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶シール剤を得た。
[実施例2〜5]
液晶シール剤の組成を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例6〜10]
液晶シール剤の組成を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例11]
(B)アジピン酸ジヒドラジド(ADH)に代えて、ドデカン二酸ジヒドラジド(N−12)を用いて表1に示されるような組成とした以外は、実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例12〜15]
液晶シール剤の組成を表1に示されるように変更した以外は、実施例11と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例16]
(B)アジピン酸ジヒドラジド(ADH)に代えて、セバチン酸ジヒドラジド(SDH)を用いた以外は実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例17〜20]
液晶シール剤の組成を表2に示されるような組成とした以外は実施例16と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例21]
(B)6重量部のアジピン酸ジヒドラジド(ADH)に代えて、(B)3重量部のアジピン酸ジヒドラジド(ADH)/3重量部のドデカン二酸ジヒドラジド(N−12)を併用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例22〜25]
液晶シール剤の組成を表2に示されるような組成とした以外は実施例21と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例26]
(B)アジピン酸ジヒドラジド(ADH)に代えて、(B)ポリアミン(EH−5057)を用いた以外は実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[実施例27〜30]
液晶シール剤の組成を表2に示されるような組成とした以外は実施例26と同様にして液晶シール剤を得た。
[比較例1]
(B)アジピン酸ジヒドラジド(ADH)の代わりに、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J)を用いた以外は実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[比較例2〜5]
液晶シール剤の組成を表3に示されるように変更した以外は比較例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[比較例6]
(B)6重量部のアジピン酸ジヒドラジド(ADH)に代えて、(B)3重量部のアジピン酸ジヒドラジド(ADH)/3重量部の1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J)を併用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤を得た。
[比較例7〜10]
液晶シール剤の組成を表3に示されるように変更した以外は比較例6と同様にして液晶シール剤を得た。
実施例1〜15の液晶シール剤の組成を表1に;実施例16〜30の液晶シール剤の組成を表2に;比較例1〜10の液晶シール剤の組成を表3にそれぞれ示す。
Figure 0005424411
Figure 0005424411
Figure 0005424411
実施例1〜30および比較例1〜10で得られたシール剤の、1)粘度安定性、2)スクリーン印刷による塗布性、3)ディスペンスによる塗布性、4)液晶表示パネルの表示特性、および5)耐湿表示特性を、以下の方法で評価した。
1)粘度安定性
得られたシール剤100重量部をポリエチレン製容器に入れて、E型粘度計を用いて室温(25℃)、1rpmにおける初期の粘度η(25℃)を測定した。次いで、ポリエチレン製容器を密封した後、40℃の恒温槽で24時間保存した後、恒温槽から取り出した。
その後、ポリエチレン製容器を室温(23℃)まで放冷し、ポリエチレン製容器内のシール剤の室温(25℃)、1rpmにおける保存後粘度η(25℃)を測定した。これらの測定値を下記式に当てはめて粘度上昇率を求めた。
粘度上昇率=40℃保存後の粘度η(25℃)/初期の粘度η(25℃)・・・(1)
これとは別に、得られたシール剤100重量部をカップに入れて、E型粘度計を用いて40℃、1rpmにおける粘度η(40℃)を測定した。
2)スクリーン印刷によるシール塗布
100重量部のシール剤に、1重量部のガラスファイバー(平均粒径 4μm)を添加したシール剤を調製した。次いで、360mm×460mmの無アルカリガラス基板(日本電気硝子社製、OA−10F)上に、前記調製したシール剤を、スクリーン印刷機(SERIA SSA−GL4737−P 東海精機社製)において、50mm□のパターンが縦に6個、横に7個形成されたスクリーン版を用いて、室温(23℃)にて、印刷速度10mm/sec〜80mm/secで、220μmの線幅、15μmの厚みのシールパターンを塗布した。そして、連続して50枚印刷後のシールパターンの塗布形状を目視観察した。
塗布形状が良好である場合を○;断線、カスレがある場合を△;塗布が不可能である場合を×とした。
さらに、無アルカリガラス基板および印刷スクリーンを、熱風ヒータで26℃、40℃にそれぞれ加熱した状態で、シール剤を塗布して得られるシールパターンの塗布形状を同様に目視観察した。
3)ディスペンサによるシール塗布
360mm×460mmの無アルカリガラス基板(日本電気硝子社製、OA−10F)上に、前記調製したシール剤を、ディスペンサ(ショットマスター 武蔵エンジニアリング社製)にて、塗布速度20mm/sec〜300mm/secで、200μmの線幅、20μmの厚みのシールパターンを塗布した。シールパターンは、始点から400mm描画した終端部を、2Rで(半径2mmの円を描きながら180°方向を変えて)折り返し、この折り返しを85回繰り返して、1枚あたり合計34m塗布した。これを連続20枚塗布した後の、シールパターンの塗布形状を目視観察した。
塗布形状が良好である場合を○;断線、カスレがある場合を△;塗布が不可能である場合を×とした。
さらに、無アルカリガラス基板とその周辺を、熱風ヒータで26℃、40℃にそれぞれ加熱した状態で、シール剤を塗布して得られるシールパターンの塗布形状を同様に目視観察した。
4)液晶表示パネルの表示特性評価
透明電極および配向膜を付した40mm×45mmガラス基板(EHC社製、RT−DM88−P1N)を熱風ヒータで26℃に加熱した状態で、シール剤を、ディスペンサ(ショットマスター 武蔵エンジニアリング製)にて、35mm×40mmの四角形のシールパターン(線幅200μm、断面積3500μm)(メインシール)を形成し、さらにその外周にも同様のシールパターンを形成した。塗布速度は、100mm/secとした。
次いで、貼り合せ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−11900−000 メルク社製)を、ディスペンサを用いてメインシールの枠内に精密に滴下し、対になるガラス基板を減圧下で貼り合せた後、大気開放して貼りあわせた。貼り合わせたガラス基板を、3分間遮光ボックスにて保持した後、紫外線を3000mJ/cm照射し、その後120℃で1時間加熱した。
得られた液晶表示パネルのシール部周辺の液晶に生じる色むらを目視で観察した。色むらが確認されなかったものを○;確認されたものを×とした。
この液晶表示パネルを、直流電源装置を用いて5Vの印加電圧で駆動させたときの、液晶シール剤近傍の液晶表示機能が駆動初期から正常に機能するか否かでパネル表示特性を評価した。
シール際まで液晶表示機能が発揮できている場合を○(良好);シール際の近傍0.3mm未満で表示機能の異常が確認された場合を△(やや劣る);シール際の近傍0.3mmを超えて表示機能の異常が確認された場合を×(著しく劣る);とした。
5)液晶表示パネルの耐湿表示特性評価
前記4)と同様にして作製した液晶表示パネルを、70℃、95%RHで500時間保存後における、シール部周辺の液晶に生じる色むらを目視観察した。
保存前の状態と比較して、保存後において新たな色むらが確認されなかったものを○;新たな色むらが確認されたものを×とした。
この液晶表示パネルを、直流電源装置を用いて5Vの印加電圧で駆動させ、液晶シール剤近傍の液晶表示機能が駆動初期から正常に機能するか否かでパネル表示特性を評価した。
シール際まで液晶表示機能が発揮できている場合を○(良好);シール際の近傍0.3mm未満で表示機能の異常が確認された場合を△(やや劣る);シール際の近傍0.3mmを超えて表示機能の異常が確認された場合を×(著しく劣る)とした。
実施例1〜15の結果を表4に;実施例16〜30の結果を表5に;比較例1〜10の結果を表6にそれぞれ示す。
Figure 0005424411
Figure 0005424411
Figure 0005424411
特定の潜在性エポキシ硬化剤を用いた実施例1〜30のシール剤は、粘度上昇率が1.1以下と低く、(加温下での)粘度安定性に優れることがわかる。また、実施例1〜30のシール剤のスクリーン印刷による塗布性、およびディスペンス塗布性も、非加温(23℃)の場合よりも、25℃、40℃に加温することにより、塗布性、特に高い塗布速度における塗布性が良好となることがわかる。また、実施例1〜30のシール剤を用いて作製した液晶表示パネルは、特に耐湿表示特性において優れることがわかる。これは、実施例1〜30のシール剤により形成されるシールパターンは、線幅や厚みの均一性が高く、シール性が高いためと考えられる。
一方、他の潜在性エポキシ硬化剤を用いた比較例1〜10のシール剤は、粘度上昇率が1.1を超えて高く、(加温下での)粘度安定性が低いことがわかる。また、比較例1〜10のシール剤のスクリーン印刷による塗布性、およびディスペンス塗布性は、25℃、40℃に加温しても、非加温(23℃)の場合と変わらず塗布性が低いことがわかる。また、比較例1〜10のシール剤を用いて作製した液晶表示パネルは、特に耐湿表示特性において著しく低いことがわかる。これは、比較例1〜10のシール剤により形成されるシールパターンは、線幅や厚みの均一性が低く、シール性が低いためと考えられる。
特に、硬化性樹脂のうち(C)(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量が多くなるほど、粘度安定性が低下する傾向がみられる。そのようなシール剤でも、26℃〜40℃で加温しながら塗布することで、良好な塗布形状のシールパターンが得られることが示唆される。
本発明によれば、液晶シール剤の塗布性が高く、製造効率の高い液晶表示パネルの製造方法を提供できる。この液晶表示パネルの製造方法により得られる液晶表示パネルは、シール性(耐湿性)および表示特性に優れている。

Claims (6)

  1. 1)一方の基板上に、エポキシ樹脂と、(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と、潜在性エポキシ硬化剤とを含む液晶シール剤を塗布形成して枠状のシールパターンを得る工程と、
    2)前記一方の基板上に形成したシールパターンで囲まれた領域、または前記シールパターンで囲まれた領域と対向する他方の基板上に、液晶を滴下する工程と、
    3)前記シールパターンが未硬化の状態で、前記一方の基板と前記他方の基板とを貼りあわせる工程と、
    4)前記シールパターンを光硬化させた後、熱硬化させる工程と、
    を含む液晶滴下工法用の液晶表示パネルの製造方法であって、
    前記1)の工程では、前記液晶シール剤または前記一方の基板を26〜50℃に加温し、
    前記潜在性エポキシ硬化剤は、融点が170℃以上の有機酸ジヒドラジド化合物、融点が130℃以下のイミダゾール変性化合物、融点が130℃以下のポリアミン化合物および融点が130℃以下のポリアミノウレア化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の化合物からなり、
    E型粘度計を用いて25℃、1rpmで測定される粘度η(25℃)が100〜500Pa・sであり、40℃、1rpmで測定される粘度η(40℃)が10〜60Pa・sであり、かつ
    40℃で24時間保存後に、E型粘度計を用いて25℃、1rpmで測定される粘度をη(25℃)としたとき、下記式(1)で表される粘度上昇率が1.0〜1.1である、液晶表示パネルの製造方法。
    粘度上昇率=η(25℃)/η(25℃)・・・(1)
  2. 前記(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量が、硬化性樹脂全体100重量部に対して40重量部以上である、請求項に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  3. 前記潜在性エポキシ硬化剤の含有量が、硬化性樹脂全体100重量部に対して1〜20重量部である、請求項1または2に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  4. 前記液晶シール剤を、ディスペンサにより塗布する、請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  5. 前記液晶シール剤を、スクリーン印刷により塗布する、請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶表示パネルの製造方法により製造される液晶表示パネル。
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